2017年12月の週末旅行、ローマの古代から現代まで、その13
旅のタイトルに盛り込んだ現代は、主に今日の記事になります。
このブログは主にロマネスク中心なわけですが、それに関連してロマネスク前後の中世、そっから初期キリスト教、ローマをすっ飛ばして古代や先史時代に言及することも多いわけですが、同時に、現代美術が好きなんで、そっちも一つの柱にしています。
しかしコロナのおかげで、昨年は、毎年恒例のベネチア詣でも、ミラノのフオリサローネ巡りもできませんで、現代美術の記事が寂しいことになっています。
ベネチアは、今年もお休みせざるを得ませんし、サローネは、いつもの春ではなく、この9月早々に開催することになっておりますが、どういう形になるのか、フオリサローネはあるのかなど、細かいことは不明ですし、たとえ開催されても、これまでのように簡単にアクセスできるものではないと思いますので、積極的に行くかどうかも不明。自分はワクチン接種済みだし、ミラノの接種率は相当高いと思いますが、それでもあえて密な場所に行くのは、まだまだ避けたいのが本音です。
そんなわけで、現代美術、本当に遠ざかっています。
この時のローマでは、数年前にオープンした現代美術館を訪ねることも、目的の一つとしていました。

Museo Nazionali dell’Arti del XXI Secolo(21世紀美術の国立美術館)、通称MAXXI(マキシ)です。
ローマ市内北部の町はずれ、フラミニオという地域ですが、もともと軍関係の施設があった場所。1997年に美術館の建設が決定し、翌年コンペが実施され、273もの応募から選ばれたのが、ザハ・ハディッドZaha Hadidの設計でした。ちなみに、日本の伊藤豊雄さん、妹島さんやレム・クールハースさんなども、最終15案件に残ったみたいです。
2003年に建築プロジェクトがスタートして、落成は2015年。
Zahaさんは、日本ではオリンピックの競技場の件で一躍一般人にも知られることになった建築家と思いますが、こちらでは一般的に有名な人でしたし、私もベネチアの建築ビエンナーレとか、家具やインテリアのデザインもずいぶんと見ていて、なじみの方でしたから、その興味もあり、その時開催されている展覧会とかは無関係に、箱を見に行くことが目的でした。

一帯が公園仕様になっていて、空が広いですが、ぱっと見、意外と小さいな、という印象でした。現代美術は、巨大インスタレーションも多く、高さや広さが必至のため、正直そのこじんまり感は、ちょっと違うんじゃないのか、と思いました。周囲はすっごくのびのび広々なんですけどね。

斬新さもないし、意外と普通というのか。中はどうかと期待はありましたが。

一部吹き抜けで、それなりの天井高をとれるスペースはあったものの、やはり全体にこじんまり感が激しく、ビルバオのグッゲンハイムとか、ロンドンのテートモダンに、初めてアクセスしたときのようなわくわく感は得られず、です。

迷路的で、各所で形や光が変わったりする面白さはあり、全体でインスタレーションをしたり、また展示のやり方で面白さ追求などはあるかもしれないけれど、とにかく天井低くて、こじんまりしすぎている印象。

当然展示されている作品の、小粒っていうか…。わたしは、どっちかというと、ドカンぼこん的な激しいやつが好みなんで~、笑。だからグッゲンハイムのパピーとか、ああいうくだらな系も大好きでー。

あら、これはびっくり。割と最近のフオリサローネで、この蜘蛛の巣やってるブランドあったよね?同じ人だよね、いくらなんでも。フオリサローネの本気アート・トレンド、すごいなぁ、と感心しますね。

常設展の展示は、ビデオ作品が多くて、これも若干うんざりしました。よくできたビデオは、確かに面白かったりもするのですが、基本、好きじゃないんですよ、ビデオをだらだらと見せられるのは。数分で、おっ、と思えるような内容の作品ならいいんですけれど、長いのは、本当に嫌。
プロジェクトの時期的に、もしかすると最もビデオがはやっていた時期かもしれないなぁ、とか思います。ベネチアのビエンナーレも、ビデオばかりでつまらない時期ありましたからね。今はね、そんなことないです。多分。

あ、ザハの椅子。
冬だったから、夕方なのに、もう暮れてしまっていて、黄昏が見えるスペース、きれいでした。
1時間半くらい、本当に急ぎ足の見学だったですから、全部見れたかどうかは分かりませんが、ま、こんな感じで、ちょっと期待外れだったかな。
まぁ、大物をどかどか展示する、というより、地域密着の文化センターとして、様々な発信をしていくことが目的な様子で、例えば子供に対する美術教育とか、そういうことにすごく力を入れているみたいだったから、グッゲンハイムとかをイメージしちゃいけないんですよね、コンセプト、全然違うはず。
周囲の公園も含めて、実際子供多かったし、入場料も安かったし、家族で楽しむ施設になっている様子はありました。

もともと軍関係施設の場所だから、おそらく高い塀に囲まれた場所だったりして、周囲も寂しかったに違いないですが、こういう施設になったことで、人流が生まれて、お店なども増えたでしょうし、地域が活性化したのは間違いないはず。
ビルバオのグッゲンハイムが、町を再生する大きな要因になったことは有名ですよね。わたしは、実際に、美術館ができる前、斜陽バリバリのビルバオに行ったことがあるので、美術館ができて数年後のビルバオを訪ねたときは、心底たまげたものです。美術館で再生なんかできるわけない、という主張が、それまでは結構あったようですが、あの変貌を見れば、文化の力というものを感じざるを得ないと思います。
Maxxiに、そこまでの力があるのかはわかりませんが、そういう予算がおりやすい首都であるローマをうらやましく思います。ミラノは、地方の有力都市に過ぎないため、国立の施設は少ないのです。財力があるから、多くの美術館博物館はありますが、国レベルの入れ物はどうしてもローマに持ってかれてしまう。
日本関係だって、日本文化会館はローマなんですね。日本映画上映したり、様々なイベントも、まずローマ。実際は、ミラノに作った方が、集客も注目度も圧倒的に高いと思うんですけど、やはり首都。ここは、日本の文化的な海外投資する人たちに、モノ申したいところですね~。ローマに投資するのはいいけど、ミラノにもお願いします、と。
ふふふ、こういう小さなことから、南北格差とか差別意識が生まれるのかもね。でもさぁ、南に行くと、バールのエスプレッソ一杯の値段が違うからね。なんか納得できないものがあります、私ですら。
おっとっと、また脱線しました。
現代はこれでおしまい。次回からは中世に戻る予定です。
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- 2021/08/25(水) 17:40:28|
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ミンモ・パラディーノOverture Bresciaその8、最終回
サンタ・ジュリアの見学を終了した後、遅めのランチを取って、今度は、ブレーシャのローマ、ブリクシア考古学公園Brixia Parco Archeologico di Brescia Romaへ向かいます。
Brixiaというのは、ローマ時代のブレーシャの名称ですね。
この公園、外から見たことは何度かありますが、入場するのは初めてだと思います。
町中にあり、ブレーシャが、ローマ時代からずっと同じ場所で栄えている証拠。
トップの写真が、左側の建物となり、右の方にはローマ劇場もあり、今もかすかに跡が残っています。この右側の建物の前が、いわゆるフォーラム、ローマの政治の中心地となっていたもので、今でも、当時そのままの地形で、ちょっとした広場となって遺っているのが、興味深いです。
最初に訪ねるのは、現在地である点の左下の建物。ここは、つい最近、二年ほど前に新築でできた部分ということでした。
入場すると、まず、入り口部分で、ちょっとしたブレーシャのローマ時代からの歴史ビデオを見せられます。教育的施設ですねぇ。
このビデオは、コンパクトな内容ながら、なかなかよくできていて、ブレーシャの町の、土地の成り立ちが、よくわかるものでした。それにしても、見学者が押し寄せたら、ちょっと整理できなそうな狭さです。システムも、数人ずつ見せるような形なので、おそらく混んだら、行列して、入場を待つ必要がありそうでした。
でも、ここも、サンタ・ジュリア同様に、入ってくる人はかなり少なかったです。建物以外は、チケットなしでも入れるせいか、外にいる人は結構多いのですが、チケットを買ってまで入る人は、本当に少ない。地元の人のお散歩比率が高かったんですかねぇ。
わたしとしては、独り占めが好きなので、よかったですが。
さて、この導入ビデオの後、奥の扉が開けられ、見学開始。
いかにも、最近修復されました、という鮮やかなフレスコ画の残る遺跡に、いきなりミンモで、興奮しました。
ローマ遺跡と違和感なさすぎ~!
ここは、これでおしまいなので、本体に進みます。
茶色い部分は、たぶん修復だと思うんですが、よくわかりません。建物は、ほとんど修復ですね。これらの足元に、ずらりとミンモが並んでいます。
柱の間や、外壁に沿って並んでいる、この、修復部分の素材にも通じる茶色の素材の立像が、全部ミンモの作品なんですが、あまりにしっくりと溶け込んでいるので、なんだかもうずっとそこにあったとしか思えないたたずまいとなっています。
一つ一つが、違うスタイル、しぐさ、アイテムもいろいろです。
ロマネスク的に好きだったのが、これ。
後ろ姿に絡みついているのは、どうやら猫的な動物。前に回ると。
狐のエリマキ状態になっていました!
この立像も、わざと自然石のような加工をしているんだと思いますが、まるで自然に朽ちたかのような効果が、おそらく場にしっくりくる理由かと思われます。
本体の中に入ると、どうやらここは、神殿の跡という様子で、祭壇状のものだけが横並びに遺っています。最初の部屋のは、小さめの祭壇。そこに、ミンモの絵画作品。
全体が壮大なためか、この絵画も相当のサイズですが、こじんまりと見えてしまうのが、ちょっとすごいですね。
それにしても、この絵画も、色彩の系統が、もう溶け込んじゃってます。
真ん中にある部屋は、碑文の石板がずらり。祭壇も巨大なものが置かれています。
この祭壇の側から、この神殿前に広がるフォーラムの広場を、ずっと先まで見晴らすことができたはず。壮大な話です。
その先の部屋は、おそらく何も残っていなかったスペースで、町の模型に光を当てて、ビデオで成り立ちを説明するシステムがありました。
が、これは、今一つでした。手間暇をかけて作り出したのでしょうけれど、つまらないというのは、致命的。
神殿を出て、劇場の方へ。
残念ながら、劇場の構造は、かなりダメになっちゃってます。劇場は、ローマのあった地域のあちこちに多く残っていますが、ここのは、かなりダメの方の一つでしょうね。
ずらりと並んだ円盤状のオブジェが、ミンモの作品です。
この作品は、数年前にローマに行ったとき、コロッセオと向かう広場で、別のタイプを見ました。ミラノの美術館前の広場でも、いくつか見たな。いろんなバリエがあります。
かなりでかいので、やはりオープンエアが合いますし、もともとオープンエア用の作品なんだと思います。
もしかして、こうして外に置かれている間に、雨風にさらされて出てくる風合いが、作品の味になっていくというのもあるのかなぁ。
かすかに残された段々の観客席。
古いドゥオモ、ロトンダのところでも言及しましたが、ローマから現代までの二千年で積もるチリは半端なく、中世期からでも、1メートル以上地面のレベルが違うのは、よく見る光景です。しかしブレーシャのチリは、やはりここでもすごい。まぁ、この部分は、チリもあるし、人工的に埋めてしまった部分もあるのでしょうけれどね。
段々席の右手の方は、おそらく、住居等を建てるために、埋め立てして、地面を水平にしたあとなんだと思われます。
そういう場所に、おそらく住居をバンバン立て続けていたはず。
奥の方に見えるのも、すべて一般住宅の建物ですが、おそらく、遺跡の上に立っていると思われます。でも、今更、退去させて、建物を壊して、遺跡を掘りだすことはできないため、既得権として、住居になってしまったという、イタリア特有の事情の結果と思われるのです。
一方で、遺跡内にある、この住居は、廃墟になっていました。
違法建築ってやつですね。こんなのが、自然公園の中や、文化遺産の中、イタリア中あちこちにあるのです。
ここは、考古学公園を整備するうえで、たぶん、撤去となったものと思われます。
ま、それはともかく、全部なくなってしまったとしても、それはそれ。時の流れには逆らえませんもんね。
今でも、町中に、これだけの過去が残っている、それだけでもロマンというのか、余裕というのか、素敵なことです。
ということで、最後はもうめちゃくちゃ走りましたが、ミンモを巡るブレーシャの旅、これで終了です。
本当は、地下鉄の駅に、大きな陶器の作品があるはずだったのですが、探してもなくて、おそらく何らかの事情で、設置できなかっのだと思います。が、説明、一切なし。謎。
ま、そういう姿勢の展覧会という意味では、一貫しているかもね。
ブレーシャ、地味な町ではありますが、中世的には、一度は行くべき土地ということで、改めて、紹介する価値はあったような気がします。ミンモには、よい機会を与えていただきました。
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- 2017/11/13(月) 05:03:18|
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ミンモ・パラディーノOverture Bresciaその7
サンタ・ジュリア美術館Museo Santa Giulia、続きです。
サン・サルバトーレ教会Chiesa di San Salvatoreの、クリプタに入ります。
美しい!ここは、本堂に比べると、かなり往時の雰囲気を残しています。
それにしても、やはり近年、照明技術が向上していて、インパクトのある見せ方のクリプタが増えているように感じます。ただ、本来クリプタが持つべき暗さや陰影がなおざりにされ、若干明るすぎるきらいはあります。ただし、今回は、ミンモがいるせいもあるのかどうか、そこはわかりませんが。
いた!
小鳥に説教するサン・フランチェスコではなく、小鳥についばまれるどなたか。ちょっとチクチク痛い…。
それにしても、なんというロケーション。
クリプタそのものを見に行ったとすると、ちょっと、なにこれ~、となるかもしれませんが、なんせ、他に誰もいませんし、もしかするとこの展示のおかげで超明るいので、それはそれでありだったかな。
実際に、見学に行った教会が、現代アートの展示会場になっていたことは何度かあり、いくら現代アート好きでも、教会が主目的だと、げんなりしますよ。特に、暗闇にされていたりすると、もう泣きたくなりますね。
これは、どちらにとっても幸せな結婚状態の展示と思いました。邪魔にならず、逆に、何かアクセントになっている。ミンモが好きだからなんでしょうけどね。
それにしても、やっぱり痛そう…。
修復、やはり進行中だと思いました。端っこの方とか、以前はかなりごたごた部分があったのですが、その辺が、すっきりきれいになっていたように思います。
本来は、これで順路終了なんですが、実は、ローマ時代のドムスを見逃していました。というわけで、後戻り。
オルタリアの家々Le Domus dell'Ortaglia
ローマ時代の家のいくつかが、そのままの形で発掘展示されているスペースです。
そこに、ミンモが点在。
すごい会場です。アーティストにとっては、やはり挑戦的な企画だろうなぁ、と思いました。あるものだけですごい中に、自分の作品をはめ込んで、お互い殺しあってはいけないわけで。
ここの展示、とてもうまくいっていたと思います。
改めて、あるものを見る目ができるっていうか。
黒と。
そして、白。
男性と女性。対称。非対称。対比。
いろいろ。
この、床面モザイクのモダンさに、改めて、驚かされました。ローマですよ。2千年以上前のデザインですよ。
サンタ・ジュリア、最後は、そういうローマのモザイク。このモダンさは、ある意味、古代と現代をつなげるデザインだと思います。
次は、考古学博物館に向かいます。ちょっと飛ばしますね。
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- 2017/11/12(日) 21:15:32|
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ミンモ・パラディーノOverture Bresciaその6
サンタ・ジュリア美術館Museo Santa Giulia、続きです。
ローマやロマネスクやミンモのカオスをたどりつつ、はっとしたものがありました。
これ。見るなり、え?と思う方、多いのでは。髣髴とするのは、こちら。
ベネチアに行くと、挨拶を欠かさない、この方たち。
ま、こうやって並べると、あ、違うか、と思うんですが、一見、すごく似ていませんか。もっとも、ベネチアのは、ロンゴバルド頃の作品で、サンタ・ジュリアのは、ずっとずっと下った時代、13世紀以降のものですが。
こんな素敵なフレスコも、以前見た記憶はないなぁ、と思いながら見学。
9年もたつと忘れてしまうものも多いですが、この美術館が進化しているのは確実なので、展示の仕方や展示物も、変わっている可能性は大なんです。9年もあると、修復も結構進みますしね。
ちなみにこれは、順路の最後に登場するロンゴバルド時代の教会サン・サルバトーレを、創建後のロマネスク時代に飾っていたフレスコ画です。
で、順路に従って、そのサン・サルバトーレ教会の、まずは二階部分に登ります。
いきなり!
ここは、後代に装飾されたスペースで、全体がキラキラギラギラ装飾に満ち満ちた部屋。まったく好みではないので、スミマセンが、一切写真を撮っていませんでした。
その、装飾過多の壁や天井に見下ろされている、意外に地味な床面に、のびのびと伸びちゃっているミンモの人型。
仰向けになっているとすると、左手にシルクハット、右足に小鳥、左目の上にエスプレッソサイズのコーヒーカップ、右手には、血管のような杉の木のようなモチーフ、そして、右胸の下の方に、鼻。
何ですかねぇ。事件ですかねぇ、笑。
自分の靴を入れて撮ってみた。靴っていうか、思いっきり運動靴。
かなり大きいものってわかりますよね。
上から見ると、これがまた、おもちゃっぽかったりもするね。ヒトの身体の各部分が別々のパートになってるから、組み合わせで変なものが出来たりしそう。
でも、これも見た目は木材だけど、実際のマテリアルは鉄らしいので、動かすのも大変そうだけど。
同じ場所に、ガラス作品もありました。
これは、実際に見てもよくわからなくて、ほしいとも面白いとも思わず、要は好みではなかったです。
さて、この場所から、サン・サルバトーレ本堂全体を眺めることができます。
遺り方が微妙な教会ですが、オリジナルはロンゴバルド時代。これらの柱は、1300年以上の間、この壁を支えてきているんです。すごくないですか。床も壁も内陣も、全部新しくなっちゃっているけど、でも、雰囲気はちゃんと残っていて、すごいと思います。
あ、正面にある、ナポリの横町に干された洗濯物シーツ状態のものは、勿論ミンモ。これは、本当にシーツ的な布で、なんだかなぁ、でした。この場所では、ロンゴバルドの勝ちで、かすんだな。いや、そういうバトルじゃないけれども。
下に降り、本堂に足を踏み入れる前のスペースに、ロンゴバルドの浮彫がたくさん展示されています。
こういうのは本当に好きで、ドキドキワクワクしてしまいます。なんで筋を彫っただけなのに、こんなにかわいいんだろうか。
本堂に入ると、ここは、ミンモ展示のハイライトの一つ。
コロンと。
ほとんどの作品同様、これもタイトルなしなんですが、どうも、聖母に見えてしまいます。それがコロンと、頭部だけ。なんだろう、政治や文化や思想や、そういうすべてを含む時の流れを感じさせるみたいな…。苔やら汚れがとても自然なので、製作後、庭とかに彫っておいて、自然のまま朽ちさせたのかな、と思ったり。
そういう、いろいろと余韻を感じさせる作品です。
一方で、その向かいのスペースに置かれたこちら。
これは何だろう。余韻とは反対の場所にいるっていうか。
借景となっているスペースには、比較的新しい時代のフレスコ画があるんだけど、これも、考えておかれたように感じたな。
実は、二階部分から見下ろしたとき、目を疑ったものがありました。祭壇近くに置かれているこれ。
つい先日、パヴィアの展覧会に展示されていたはずの、このサン・サルバトーレの宝、ロンゴバルドのクジャク浮彫。ブレーシャにこれがなかったら、かなりがっかりするよな、とパヴィアで思ったのですが、さすが、レプリカを用意していたんです。
確かに、そういわれてみれば、ちょっとレジン製っぽい雰囲気もあるけど、見たことがない人が見れば、気付かないかも。よくできたレプリカです。
もうちょっと続きます。
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- 2017/11/12(日) 20:33:54|
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ミンモ・パラディーノOverture Bresciaその5
サンタ・ジュリア美術館Museo Santa Giulia、続きです。
この美術館の目玉、ローマ時代、1世紀のブロンズ製、有翼のヴィットリア像です。
とってもはかなくて美しい姿。でも、割とさりげなく展示されているから、さらりと通り過ぎちゃう感もあり。
この先、ローマのモザイクがずらりと美しく展示されています。
こういう白黒の、デザイン的な床モザイクは、大好きです。今は、趣味の消しゴムハンコの素材としても、大変興味深くて、やたらと撮影してしまいました。
消しゴムハンコについても、一度記事にしたいなぁ、と思うのですが、ロマネスクがたまりにたまってしまって、なかなかそこまではカバーできない今日この頃ですねぇ。
単純にして独創的。ローマのモザイクは、やっぱりすごいです。具象よりも、こういったタイプの方が好きかな。
これなんて、現代にもしっかり通じるデザインですよね。
これは、先日消しゴムハンコで作ってみたデザインです。
自分でデザインをうつして、ハンコを彫ると、ますます、すごいなぁ、と感心します。
さて、モザイクに夢中になって、忘れたころに、ふと目に留まるミンモさん。
小さなエスプレッソサイズのコーヒーカップも、どうやらお気に入りのアイテムらしいです。いろいろな作品に、くっついていました。
それにしても、危ない危ない、これでは、ローマに混じって、通り過ぎてしまうぞ、と注意した途端、まさに見逃しました。
この、真ん中の。友人が気付かなかったら、私は正面にある彫り物に目が行ってしまって、完全に無視状態でした。
木箱の上に、牛と、骸骨が混ざったフィギュア。やはり、お棺をイメージしているんでしょうかね。なんだかいかにも埋葬品的な雰囲気があって、展示の中に溶け込んじゃっていますよ。
だって、このあたり、なんだかどかどかと並んじゃっているんです。展示しようもないよ、こんなにあっちゃ、と言わんばかりの無造作な展示。
ローマの石棺が続きます。
それらの彫り物も、面白かったり愛らしかったりで、本当に目移りする数です。
でも、これはさすがに、目についた!
なんだろう。黒い家。でも、怪しい様子ではなく、人形の家的な、愛らしいものなんです。コーヒーカップや、金平糖のせいもあるのかしら。
きっと、内部へのイメージを喚起する、入り口のせいだと思うんです。
これ、結構大きい細部なんですが、手乗りサイズだったら、ほしい作品だなぁ。
この後は、またガラスケースに入った小物の展示が続くのですが、ロンゴバルドの金細工の十字架のケースに、ずらりと並んだこれもまた、一見は、確実に古代の品物の展示でした。
一つ一つ、デザインが違うツボ状のオブジェなんですが、どの一つをとっても、異常にかわいくて、ほしい~!
ミンモさんの作品は、これまで大物しか見たことがないのですが、こういう小物、大変惹かれます。
現代アートではありますが、ロマネスク・ファンであれば、おそらく好きだと感じる人、多いのではないかと思うんですが、どうでしょうか。
これ、どう見ても、テラコッタでしょう。でも、なんと鉄製。手に取ってみたいものです。
すぐわきに、本当のローマのものがあるから、なんだか笑えるっていうか、面白い展示です。
お、終わらないぞ、これは…。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2017/11/09(木) 06:51:40|
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