思いっきり時間を戻して、モンレアーレのキオストロです。
前回、西側の柱頭を紹介しましたが、今回は、南側。
まずこちら。ソロモン王とシバの女王とされているもの。
シバの女王は、当時から伝説ということになっていたらしいですね。
この同じ柱頭には、コンスタンティヌスとその母エレナの姿も見られるので、聖十字架伝説、ですね。
これはまた間抜けな感じです。
このアクロバットの姿は、日常からの解放を意味するんだそうですよ。そしてまた、肉体の喜びも。
ちょっと怖いライオンです。
バリバリと音がしそうな状態で、人をかじっていますけれど、これは、善が悪に勝つということなんだそうです。バリバリ…。
こちらは、創世記に言及するテーマで、西側にもありましたけれど、地上の生活には、とげとげ、つまり苦しみがたくさん、という意味で、アーカンサスの上に人がいます。
神が、女性に、「汝の苦しみを、子を産む苦しみを何倍にもしよう」と言ったことが現されています。いぢわる。
ドラゴンと人の頭。
ドラゴンは、キリスト教でも異教でも、必ず登場するシンボリックなフィギュアで、敵の役割を担っています。黙示録では、神に対するもの。
なんだかバラエティに富んだテーマが次々と現れて、面白いのですよ。解説本を買ってきたので、今、こうしていろいろとわかりますが、実際に見ているときは、シバの女王なんて、絶対わかりません。いい本を入手したものです。絶対に現地でしか手にはいらない貴重な本です。
ロマネスクはこちらでどうぞ。
エミリアの後は、久しぶりのロンバルディアですよ。鋭意勉強中。
ロマネスクのおと
- 2011/03/22(火) 05:40:31|
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クリプタです。
ここの柱頭はすごいです。本当にすごいことになってる、って感じで、そんな必要もないのに、なんだか一人で焦ってしまうくらいです。
今回、多くの柱頭の写真入のガイド本を購入してきたので、じっくりと勉強しながら、改めて味わうのが今から楽しみ。
彫刻のモチーフは、多岐を極めていますよ。
取り急ぎ、どんなもんかを、こちらでちょっと出し。
まずは西側から。
真ん中にいるのは、鼻の形状から、もしかするといのししとか豚さんにも見えてしまうんですが、実はライオンです。鹿を倒している図なんですが、ここでのライオンは復活のシンボルで、鹿は生命の樹のシンボルなんだそうですよ。
細いとはいえ、二本の柱の上にある柱頭ですから、こうやって全体で使うと、結構なスペースなんですよね。
こちらは、ノアのお話の柱頭で、箱舟から降りるところから始まるんですけれど、ここでは、葡萄を搾って飲んで酔っ払うという部分。小さい柱頭の各部をうまく使って、こんなお話全部をちゃんと彫りこんでしまうって、すごいですねぇ。
聖書のエピソードがあるかと思えば、普通の道徳的なテーマとか、象徴的な図柄とか、次々と出てくるので、意図がよくわからなかったり。
これは、子供が乱暴な牛をしつけている図。
知性が野蛮な力を支配するっていう意味らしいですね。
今度のものまた、象徴的な図柄。
ユニバースの存在を人のフィギュアであらわしたとか言う壮大な柱頭です。それぞれの人のフィギュアが、アーカンサスのとげとげした上に立ったり座ったりという姿なのは、天国へと行く前の煉獄で、魂が苦しんでいることを表しているんだとか。そういえば、人々の顔が、みんな思いつめたような苦しそうな感じで、見ていると息が詰まります。
どうでしょう、面白くないですか?
わざわざ二度もモンレアーレに行った価値があるように、わたしには思えたんですけど。
せっかくなので、じっくりと記事にしますよ~。
- 2011/03/05(土) 05:12:02|
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大聖堂の本堂のお隣にある、クリプタの紹介に移ります。
本堂を訪れた日、クリプタはクローズ。そんなことはどこにも書いてなかったんですけれども、やられた!という感じでした。
一番の目的は、本堂のモザイクでしたから、あきらめようかとも思ったのですが、ブックショップで求めた本を見ていたら、ここまで来てこれを見ないで帰るわけには行かない、と思い、結局翌日、朝一番で再訪しました。
朝一番だし、独り占めで、そしてもちろんクリプタそのものはすばらしくて、本当に改めて訪ねた甲斐がありました。
本堂の入場は無料ですが、クリプタは有料。それに本堂から直接入れず、入り口がちょっと離れたところにあるせいもあるのか、教会には来ても、クリプタを訪れる人はほんのわずかで、大変もったいないような気がしました。モンレアーレを訪れる方があれば、本堂を出た後で、忘れずにクリプタにも寄ってくださいね。
では。
各辺が47メートルの四角形で、なんと228本もの円柱があるんですよ。
近付くと、こんな感じ。
優美なほっそりとした柱は二本一組になっています。多くの柱に、黄金をベースにしたモザイクがはめ込まれていて、豪奢ですねぇ。
アーチの幅が狭くて、表側には、アラブっぽい幾何学模様が施されています。
後陣の装飾とおそろいという感じで、なんともかわいらしいし、アラブ・テイスト爆発です。後陣もそうですけれど、このベースの土色がなんとも。
そしてまた、これだけの数の柱とアーチが生み出すリズムというのが、どんな片隅までも、これでもか、と装飾を施さずにはおれないアラブ芸術が体現されているようにも思われます。
構造として面白いのが、キオストロの中に、さらに入れ子のように、小さなキオストロがあるというところ。キオストリーノ(小さなキオストロ)と呼ばれているようです。
四辺の大きさが違うだけで、柱やアーチのサイズは同じなので、中にはいると、ちょっとうるさいくらい装飾が激しく目に入ってきます。特に、この部分の装飾は、他よりもさらに激しいみたいで。
他は、せいぜいモザイクはめ込みなのに、柱なんかこれですよ。
あ~、うるさい!って感じでしょ。
実際はもちろん、とってもきれいだし、蔓の間に挿入された人や動物のフィギュアは、見ていて飽きないんですけどね。
いやはや、じっくり見ていたら、一日あっても足りないようなおもちゃ箱ですよ、ここは。
思いっきり続きます。
ロマネスクはこちらでどうぞ。
気づいたら、モデナ周辺ページ・アップの目標にしていた2月が終わってしまいました。楽勝のつもりだったのにねぇ。でも、いよいよ佳境にはいってきましたので、本当にもう少しです。多分。きっと。
ロマネスクのおと
- 2011/03/03(木) 05:16:50|
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モンレアーレのカテドラル見学でも、もしかしたらこれはかなりマイナー部分かなと思いつつ、でも面白かったし、サイトでは絶対に紹介できないので、えいっ、やっぱり紹介しちゃえ。
昔行ったとき、あったのかなぁ。行った記憶がないので、その後に整備してできた見学コースかもしれませんね。
右側身廊の入り口部分に入場口があり、なんと、本堂の秘密通路みたいなところを見学できるようになっているんです。
狭い狭い階段を登って、たどり着くのは、身廊の上の方の細い細い通路です。
人二人が通り過ぎるのもやっとという通路。ちょっと太っている人がいたら、もうお手上げという狭さ。時々、のぞき穴があって、本堂の様子がのぞけます。すごく上の方で、びっくりしてしまう高さです。
しばらくすると、表に出ます。屋根の脇の方っていう感じですかね。
そして、このカテドラルの、本堂のモザイクの他にもうひとつとっても重要なキオストロを、上から見下ろすことができるんです。
実は、モンレアーレを訪ねた日、キオストロはクローズでした。結局、ここだけはどうしても見なければ、と思って、翌朝もう一度訪ねたのですが、この時点では、「せっかくここまで来たのに見られないのか」という思いが強くて、そのせいもあるのか、もともと美しいキオストロの姿が、何百倍も美しいものとなって目に入ってきました。
わたしに興味があるのは、柱頭彫刻なわけで、それは、当然、こんな高さからは見分けられないわけで。でも、あそこに美しいものがあるというだけで、人の目は、同じ風景であっても、その見えない美しさをちゃんと計算してみてしまうんですねぇ、きっと。
冷静に見れば、かなりだだっ広いけど、ちょっと殺風景と言ってもいいようなキオストロなのに、このときのわたしには、本当に美しく見えたんですよ。
さて、見学順路を進むと、後陣の上に出ます。
後陣の美しい装飾が、すぐ間近に見られます。
ついわれを忘れて身を乗り出して撮影。
右に見えるのは、地面の石畳です。これ、実はかなり身を乗り出しているので、はっと気づいて、怖かったです。高いですもんねぇ。歩いている人があんなに小さい…。
これだけ高いですから、当然パノラマも楽しめます。パレルモ方向の海。
これは万人にお勧めの、中世とか関係なく楽しめるアトラクション。なかなかやるじゃんね、モンレアーレ。
とはいえ、これだけのものを作るということのすごさが、妙に感じられる見学路であるのも確かなんですよね。だって、今でも楽しめる高さなんですから、千年も昔のことを思えば、ちょっと想像もつかないすごさです。もちろん当時は、職人さんしかアクセスできない場所だったと思うのですけれど。そういう風に考えると、一般庶民にとって、こういう建造物の与えたインパクトのすごさっていうのが、ちょっとわかるような気もするんです。
どうですか?
- 2011/03/02(水) 06:06:39|
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モザイクは、見ても見ても飽きることなく美しさにうっとりするものの、きりがないので、ちょっと視点を変えまして、アラブの影響かな、と思う装飾をご紹介します。
たとえば天井の装飾。
これ、蜂の巣状になっていて、やはり黄金がふんだんに使われていて、その上にはっきりしたたくさんの色が用いられています。遠目ではよくわからないのですが、人物フィギュアとかがミニアチュール状態で描かれていたりするんですよねぇ。これはイスラム美術でしょう、どうしたって。
側廊の方はこんな感じ。パレルモのマルトラーナとか、パラティーナ礼拝堂にも、確かこういう装飾がありました。
建物の隅々まで、ほんのわずかな隙もおろそかにしないこの装飾、とにかく呆然としてしまいますね。そして、黄金がベースになっているけれども、適度に渋くて、全体の雰囲気がしまります。
モザイクは、床面にもたくさん用いられていますよ。こちらは内陣の階段部分に施されたもの。
細かくて精密な幾何学模様は、やはりイスラムっぽいですね。
壁面にも。
白い壁にすっと縦のラインを走らせて、色彩の割にはごたごたしていないのが、センスあります。細かい丁寧な仕事で、聖書の物語のモザイクとは違う目で、やはり美しさには脱帽です。
この窓なんかもいかがでしょうか。
この、石の装飾の窓も、パレルモのいくつかの教会で見られましたが、ここで見ると、明らかにイスラム美術だなって思いますよえぇ。そういえば、ローマでも、もっとシンプルながら、こういう窓があったと思いますが、もしかして起源はここ?
そのときにも書いたように思うのですが、ステンドグラスって絶対ここから始まっていますよね。だって、この石の装飾だけでも、光が差すと、影が面白いことになるんですよ。
光といえば、最初に入ったのはランチの後で、午後も半ば。冬なので、日差しも弱くて、後陣部分以外は照明が自然光だけなので、上の方のモザイクはあまりよく見えませんでした。翌日は朝一番で訪れたのですが、明るい朝日の中で見るモザイクは格別に美しかったです。やはり、ここは夏の日盛りに訪れたいものだな、と思いました。夏なら、きっと、教会中が太陽光でさんさんと、ますますきんきらに輝いていることでしょう。
- 2011/02/28(月) 05:34:52|
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