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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

横たわる人第二弾、そして足元注意再び(サン・ローラン・アン・ブリオネ71)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅その77

リヨンに向かう前、ブリオネ地域で、もう一つ訪ねました。
ブリオネ地域は、丘や山が入り組んだ地形のため、広さはたいしたことがないのですが、さした距離がなくても、結構移動に時間がかかったりします。そのため、ブリオネ、というくくりで、全部を一度に訪ねるのは、効率も悪いし、難しいものがあります。
最初に固めて訪ねて以来、そういうわけで、立ち寄るチャンスを利用して、少しずつ訪問しているわけですが、それはそれで、ロングタームな攻略が楽しめる部分もありますね。
そういう訪ね方で、訪問地も徐々に増えて、結構見てきているとは思いますが、おそらく、まだまだ訪ねるべき土地も、残っていると思います。なんせ、教会の規模やあるものが、かなり自分の好みを反映しているケースが多いので、特別な思い入れのある土地でもあります。

さて、今回のブリオネ地域、最後に訪ねたのは、こちらとなります。

2018 france centre 977

サン・ローラン・アン・ブリオネの教会Egilse Saint-Laurent-en-Brionnais。

一部修復や再建が入っていますが、全体は、往時の面影を十分に残した、美しいたたずまいです。見るべきは、彫り物装飾だと思いますが、たたずまいも含めて、なんかとても正統派のきちんとしたロマネスク教会っていうイメージです。

とりあえず、あ、いいな、この外観。そして、目を凝らすと、お約束のやつらも、待っていてくれる。

2018 france centre 978

ね、なんか、こういうのあると嬉しいよね、というやつらが、少数ながらいてくれるんです。

2018 france centre 979

普通にかわいくて、ちょっと変さが入っていて、やっぱりすごくちゃんとしたロマネスク教会だなって思います。

中は、まず目に入るのは、おなじみの白さ、そして、手前の方は、どうやら再建ぽいですが、再建ぽさ満載の植物モチーフ柱頭に、一瞬ひるむかもしれません。

2018 france centre 980

でも、奥の方に進むと、ちゃんといますよ。

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ここでも石工さんは複数らしい。これなどは、ちょっとゴシック・テイスト入ってますよね。私が苦手な、なんだろう、ゴシック的細かさでゴシック的な写実感っていうか。同じ細かさでも、ロマネスク的な細かさとは違うっていうか。これは、時代というよりも、自分の好みの問題ですけれど。

勿論、ちゃんと自分好みの人たちもいてくれますよ。

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来た~!
やっぱりこういうタイプが好きです。副柱頭に並んでいる顔はすごいです。俺だって彫れるんだぜ、とか言いたかったのか、と思っちゃうような力作。

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こういうのも、好き。テーマは何ですかね、これ。
面白いのは、ペアを並べて、ほぼコピー的なのに、ちゃんと、腕の組み方が違う風にしてるんですね。つまり、ペアが鏡に映っているようになってる。お洋服もそうですよね。それで、安定したバランスを出しているんかなぁ。

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こんなすごいのもあるんです。これはダビデでしょうか。すごくうまいですよね。こういうのは、うまいなって思うだけで、うひゃぁ、という興奮は意外になかったりするんですけど、この人イケメンなので、好きですね、笑。

で、上のすごいのがある、その同じ教会に、こういうのがある、というのが、ロマネスクの面白さだと思います。

2018 france centre 985

何でしょう、これ。下を見ると、グリーンマンの亜種?とも思えますけれど、上のは、万歳ポーズに見えます。

2018 france centre 986

変なものの流れで言うと、これも相当。

2018 france centre 987

全体ガジガジしていますから、地獄図ですかね。副柱頭で横になっている人は、何してるんでしょうか。踏んづけているのは、悪魔顔にも見えるんですが。

柱頭が面白いからと言って、上ばかり見ていてはいけないのが、この教会です。
なんとお足元にも、色々並んでいるんですよ。

2018 france centre 988

床が、元来よりも上に上がっていますが、柱の足元にある彫り物が見えるように、その部分だけ、後付けの敷石がされていません。というより、きっと一度は覆っちゃったのを、あとからはがしたのでは、と思います。

2018 france centre 989

上にある柱頭の彫り物よりも、かなりざっくりと大胆な彫り物が多いようです。もちろん、足元ですから、距離がすごく近いので、柱頭を見るよりも細かさを感じにくいというのはありますけれど。

というわけで、見どころ豊富な教会。余った時間で、ついでに立ち寄れた、という訪問だったのですが、ここはちゃんと目指して訪ねるべき教会だと思います。

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  1. 2020/03/07(土) 21:21:07|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
  3. | コメント:0

横たわる人の謎(ヴァレイユ71)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅その76

旅の最終日です。
残念ながらお天気はぐずぐずで、今一つやる気が出ないまま、宿を出ました。最近は、8月も半ばを過ぎると、秋の気配が漂ってくることが多くて、温暖化とは言われながら、季節が前倒しにずれてきている気もします。

まず訪ねたのは、こちら。

2018 france centre 969

ヴァレイユVareillesのサン・マルタン教会Eglise Saint-Martinです。
たたずまいが美しいこじんまりとした村の教会です。

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見どころは、やはり美しい後陣、そして、ファサードの扉周りに遺された彫り物装飾、内部にある柱頭の彫り物、そして、立派な鐘楼となりましょうか。
まずは、扉周りですが、基本的に地味で、植物モチーフや十字架を、限りなくシンプルに彫った、という様子なのですが、中に謎の方が…。

2018 france centre 971

何ですかね。扉口と垂直にある場所で、よくアトラス的な人がいたりしますが、横になってますけど、これ、明らかに人の姿ですよねぇ。
向かいの同じ場所には、串団子が並んでいるんですよ。

2018 france centre 972

解釈は、私にはお手上げです。横たわったお顔、すごく気になります。周りの彫りが残っていたら、何か意図がわかるようになっていたのかな。でも、どう考えても、対面の三つ玉との関連はあるべきですよね。

さて、内部は、天井も変な形で覆われちゃっていたり、ちょっと無残なことになっていますが、内陣部分だけ、石がむき出しになっています。

2018 france centre 973

石むき出しは風情がありますが、やはり傷みやすいものと思いますから、漆喰等を塗るのはわかるんです。ここも、本堂全体はぬられていますから、これは、後付けではがしたんでしょうか。返って汚らしい状態になっているというか。いや、これはこれで好きですけどね、でもどうなんでしょう、ちょっと放置された感が否めません。

シンプルで、素敵にデザイン的な柱頭が、いくつかあります。

2018 france centre 974

ここはすごく暗くて、なかなかフラッシュなしでの撮影は厳しいほどでした。

2018 france centre 975

それでも、側壁にある窓などは、後代に開けられたものと思われますので、本来は、もっともっと暗かったんだろうな、と想像できます。

外に出ても、この日は暗いですけれど、笑、最後のお宝、鐘楼です。

2018 france centre 976

教会は、シンプルな作りで、装飾もさして力を入れた様子がないですが、この鐘楼は、過剰に装飾していますね。
ということは、本堂も、本来はもうちょっと装飾的な作りになっていた可能性があるのでしょうかね。それとも、鐘楼で、お金が尽きたとかそういう可能性もありますね。
でも、若干うるさいかな、笑。

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  1. 2020/03/01(日) 20:59:51|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
  3. | コメント:0

ブリオネのお勧めシャンブルドット(行きにくいこと必至)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅、番外編その4

番外編の最後として、ご飯と宿の情報をまとめておきます。

トイレ探しに苦労したThiers郊外でのランチは、すっごく地元民向け、というお店でした。そもそも、こんなところに観光客が押し寄せるわけもないので、そりゃ地元民しかおらんな。または、車で移動している人向け。大きな道沿いで、路肩が駐車場になっているので、確かに車移動には大変便利なロケーションです。

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Le 40
40 Avenue Charles de Gaulle, 63300 Thiers

前菜、メイン、デザート、コーヒーまで含めたメニューが14ユーロですから、お得感はありますよね。トマトのスープに、グリル肉の薄切り、と、いかにも、スピード第一、という感じの内容でしたが、でも味はそこそこ、ボリュームもよくて、ちゃちゃっと済ませたい場合は、十分オウケイな内容でした。

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特筆しておきたいのは、最後に泊まったお宿です。

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Chambre D'hotes des Collines
Le Bourg, Amanze (2018年当時一人50ユーロ)

Booking.comで、予約しています。すっごい田舎の村の、さらにはずれにある農家で、イタリアで言えばアグリツーリズムです。サイトのコメントでは、見つけるのが大変だったというのが散見されましたが、時代遅れのナビでも、普通にわかりました。住所はないも同然ですが、村に行けば、看板があるので、それに従っていけばよいだけです。
今って、ナビに頼っちゃうから、道端の表示を確認するとか、そういう本来すべきことを忘れてしまっている人も多いから、田舎で住所がないと、結構大変かも、ですね、笑。

お部屋のファシリティーは最低限、必要なものがそろっている程度ですが、一泊ですし、まったく問題なし。ただ、Wifiがほとんどダメだったのは、ちょっとストレスでした。これは改善してほしいものです。

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周囲は、ただ緑にあふれていて、どうやら肉牛農家のようです。敷地内で、野菜や果物も育てているようでした。これだけ土地があれば、なんでもできますよねぇ。

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で、こんな田舎のシャンブルドットだし、まったく期待していなかったのですが、若奥様が英語堪能なんです。これは助かります。
シャンブルドットなんですが、お隣にレストランがあります。同じ経営者ですが、宿泊の方をタブルドットにはせず、レストランとして独立して営業しているのは、やはり宿泊のお客さんは、あまりいないということなのかな。

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Auberge des Collines
www.fermeaubergedescollines.com

古い建物をレストアしていて、とても雰囲気があります。19時半から、ということで、時間ピッタリに伺いました。

2018 france centre 964

一番乗り。
と言っても、私以外のお客さんは、小さなお子さんを連れた若いカップル、そして熟年カップルの二組だけでした。
お店の意図はわかりませんが、若いカップルと違い席に着かされて、居心地が今一つでした。イタリアだったら、挨拶から始まって、ちょっと会話が始まるような雰囲気だと思うんですが、どうやら若いのに英語もほとんどダメな感じで、一言二言会話しただけで、距離感が近いだけに、気まずいというか…。どっちかというと、熟年カップルの方と同席の方が、気楽だったんですけどねぇ。

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メニューは、複数あったのですが、あの牧草地を見たら、牛で決まりでしょう。この辺りの牛は、シャロレという美味な肉牛で有名らしいのですよ。他のメニューよりちょっぴり高めでしたが、それでも前菜から始まって25ユーロです。お安い!ワインも、半リットルで5ユーロ。嬉しい!

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立派なステーキ、多分300gくらいありました。付け合わせは、イモ。

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スイスではロシュティというイモのおやき。ここではなんというのか知りませんが、もちもちしておいしいです。口当たりがよいので、いくらでもするする入っちゃう危険な奴、笑。
すべておいしくて、もりもりガブガブ、大満足の夕食でした。

そして、朝ごはんでまたびっくりです。

2018 france centre 968

このセッティングだと、見た目はあれだけど、結局限りなくコンチネンタル、みたいじゃないですか。しかし、チーズはあるし、ハムやらなんやらどんどん出てきて、いい加減食べた頃に、なんとホカホカのクレープまで出てきたんで、もう困る~!食べる~!って、昨晩のシャロレはどこに行ったんだ状態で、もりもりいただくことになりました。
朝ごはんがここまですごかったのは、こういう小さな宿では初めてです。良心的すぎます。
このお食事のためだけでも、また行きたいと思うくらいですが、なかなか微妙なロケーションなんで、さて、二度目があるかどうか。

さて、ではこの2018年の旅も最後の一日。リヨンに向かって、もうひと頑張りです。

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  1. 2020/03/01(日) 20:24:33|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
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こんなところでワンパンマン(ヴァレンヌ・ラルコンス71)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅その75

さて、前回のパレ・ル・モニアルに向かっている頃から、雲行きが怪しくなってきており、同地を出るころには、遠方に、明らかに相当の雨が落ちていそうな黒雲が広がりつつありました。
何とか違う方向でありますように、と祈るような気持ちで、ブリオネ地域に分け入りましたが、残念ながら、雨が落ちてきました。

本来なら、ここから宿に直行すべきスケジュールでもありましたが、どうしても欲があり、
せめて一つなりと、と向かったのはこちら。宿からも近い村です。

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ヴァレンヌ・ラルコンスVarenne-l'Arconceのサン・ピエール教会Eglise Saint-Pierreです。
雨は小降り、そして、教会は村の中心の広場にあってわかりやすく、また駐車し放題、というのは幸いでした。

全体のたたずまい、私が好きなサイズで、落ち着いていて、広がったスペースに一人佇む、というロケーションも、とてもいいです。

2018 france centre 948

こういう、古い風情が残されている教会は、雨も合う気がします。負け惜しみですが、でも、晴れている時とは違う風情がありますよね。

ここ、ファサード側はほとんど何もないんですが、南側の扉に、ちょっと面白いものがあります。

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すっごいシンプルだけど、すっごくかわいいですよね。なんかハンコのモチーフになりそうな、いや、シンプルすぎて、面白くないかも、くらいの超無駄を排したキメの線が、逆にすごいなって思います。

内部は、例によっての真っ白感強くて、ちょっとひるみますが、大丈夫です。

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白い中に、いろんなやつらが隠れていますよ。

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なんだか、にやにやしてますよね、この方。

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この方たちも、絶対、にやにやです。キメラですかね?二人仲良く、玉をつかんで、「うしし…」みたいな様子にしか見えません。
かと思えば、流し目が妙に色っぽいグリフィン。

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あれ、キメラとグリフィン、逆だったかな?いつも迷ってしまう(海馬、機能せず、笑)。

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颯爽と駆け抜けるケンタウロス。長髪をなびかせたお姿、一瞬サムソンかと思っちゃいますよね。しかし、後方にいる鬼瓦みたいな顔は、なんなんでしょうか。

ちょっと楽しい柱頭が多いですよね。
一方で、こんなシリアスなアイテムもあるんです。

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教会なんだから、不思議でもなんでもないはずなんですが、実際に、あまりにもお茶目な様子の柱頭と同時にあると、とても不思議な気がいたします。そうだ、そうだった、キリスト教の教会なんだよね、いばらの冠だよ、磔だよ、と、遠くから掘り起こさないと結びつかないような感じ。
現代の我々にとっては、ロマネスクの不思議彫り物って、そういう感じになっちゃいますよね。でも、当時の人々にとっては、これもあり、同時にこれもあり、というはずなわけで、そこがまたロマネスクの面白さではないか、と思います。
ちなみに、この十字架は、12世紀のものと書いてありました。

それにしても、曇り空の夕方にしては、とても明るい教会でしたね。内部が白いせいもあるのかもしれませんが、採光がよいのですね。後付けで開けられた窓もあるのだと思いますけれど。

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白いのは、使われている石も白っぽい上に、漆喰が塗られていたりするからみたいですね。
いずれにしても、ブリオネらしいよい教会で、無理して訪ねた甲斐がありました。
最後にもう一枚。

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ファサード側扉周りの装飾なんですが、このお顔、どう見ても、ワンパンマンですよね?あ、きっとワンパンマン、知らない人の方が多そうですけど、検索してみてください。瓜二つ…、笑。

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  1. 2020/03/01(日) 02:04:29|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
  3. | コメント:0

記憶がわやわや(パレ・ル・モニアル71)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅その74

ティエール郊外で、おいしくランチをいただいた後、向かったのは、ブルゴーニュの懐かしい町、そして教会です。

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パレ・ル・モニアルParay le Monialのサクレ・クール教会Basilique du Sacre-Coeurです。
(教会脇にツーリスト・インフォメーションと、トイレあり。)

ここは、「ロマネスクをやる以上、フランスに行かねば始まらんだろう」と決意して、初めて実行した、ロマネスク特化の旅のときに訪ねた教会なので、とても思い出深いのです。2012年だったかな。たった四日間の駆け足旅だったのですが、その分、ブルゴーニュの著名教会を回る内容だったので、その時訪ねた場所については、どこも変に細かいエピソードまで、かなり鮮明に記憶に残っています。やはり最初の頃、というのもあるとは思いますけれど、当時の方が、一つ一つ、丁寧に見て回ったかもしれないなぁ、とちょっと反省気分、笑。
このブログ内ですが、以下が、当時の記事です。見学は丁寧だったけど、ブログは、当時の方がシンプルです。

2012年の記事

教会の記憶はかなり鮮明だし、ここは私があまり得意ではない巨大教会で、好きなポイントは限られるため、特段再訪の必要はなかったんですが、今回この町を訪ねた目的は、別にありました。

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Musee' Eucharistique du Hieronです。以前この町を訪れた時は、クローズだったのか、または自分がうっかりしていたのか、訪ねていなかったんです。
見たかったのは、これ。

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なんか、前に変な衝立があって、わかりにくい写真になっちゃってますが、教会の扉部分のオリジナルが展示されているんです。この美術館、目玉がこれで、そして、正直、これ以外は見るものもないっていうか…。

しかし…。私ときたら、今の今まで、すっごい勘違いをしてたかも。えっと、このタンパンは、アンジー・ル・デュックというブルゴーニュはブリオネ地方にある教会のものなんですが、そして、旅のノートにも、ちゃんとそれは記していたのですが、頭の中では、完全に、同じブリオネ地域にあるモンソー・レトワール教会の映像と結びつけていました。
私、そういうことよくあるんですよねぇ。なんか、名詞を違う映像と結び付けて覚えちゃうこと。人の名前と顔で頻発するんですが、教会でも、割とありますねぇ。要は海馬の働きがダメなんですよ。情けないなぁ。

というわけで、これは、Anzy-le-Ducの教会にあったもの。

同地は、2012年と2016年にも訪ねているんですが、現地で壊れまくっているタンパンがこれ、ということなんですかねぇ。なんだか本当にいい加減に理解して、いい加減に感心してたりするんで、本当にまじめに取り組んでいるのか?と、我ながら情けなくなります。今すっごく情けないです。

ま、もともとわかっていることですし、仕方ないですね。

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なぜ、混同が起こったかというと、この、アーモンドを支える天使のポーズが、モンソーのタンパンで、すごく印象的だったからなんです。そして、ピンクの入った石色もそうなんです。

ここにあっても、傷みはあるのですが、それでも、立派な彫り物です。

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ちょっと注目したのは、キリストのお顔。

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きょとんとしてかわいらしいですよね。大人の男性の姿だけど、なんかお身体と表情が、アンバランス。全体の均整がデフォルメなしで、手も実寸的な。でも、この方、立ち上がったら、脚がすっごく長いことにならないだろうか?

展示に記されていたのは、元来、彩色があった、ということ。

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こんなだったらしいですぜ。
もう、こういうもんだった、ということになっていますし、色が一部残っていたりするし、そうなんでしょうけど、色はない方が好きです。

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こんなお姿、色がついていたら、なんか完全に違うものになりそうですよね。
しかし繊細な彫りで、この地域の様式、好きだなぁ。ブリオネは、教会の規模も自分の好みにピッタリで、何度でも行きたくなる土地です。

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やはり現地で見たいものではありますね。現地にあったら、見られなくなっていたのかもしれませんけれど。

そういえば、このMusee、これしかない割には、4ユーロも取るんで、びっくりしました。いや、博物館ですから、他にも展示はあったんで、一通りぐるりとはしたんですけれど、4ユーロは高いな。
その上、受付の人たち、すっごく感じ悪くて、喧嘩しそうになっちゃいました。
まず、入り口のガラス扉があかなくて、「手で開けろ」とフランス語の張り紙があったと思うんです。張り紙を理解するのにちょっと手間取り、開けろって言ってもどうやって?と理解するのに手間取り…。というのも、本来は横開きの自動扉なんですよ。当時、腱鞘炎で手首に問題があった私は、力づく、ということができず、困惑して佇んでしまいました。
扉から見える場所に受付があるのに、そして、そこには二人もいるのに、無視。
ずいぶん経ってから、やっと一人が来てくれて、嫌そうな様子で、かなり無理無理状態、力を込めてこじ開けてくれましたが、そんなことを客に強制するなよ、というレベルでした。
やっとたどり着いた受付で、「一人」というと、同じ女性が、早口で何か言うんだけど聞き取れず。何度言われてもわからず、きょとんとしていたら、やっととなりに座っていた東洋系の青年が、英語で「4ユーロ」と。
絶句しました。
そりゃここはフランスですから、数字も聞き取れないこっちが悪いとは思います。でも、4ユーロなんて、ゆっくり言ってくれれば、絶対にわかるですよ、私だって。その手間を惜しむというか、本当にわからない人たちなんですね。コミュニケーション能力欠如してますからね。

でも、最近は、こういう理不尽なフランス人の態度って、相当減っていますんで、これは久しぶりのヒットでした、笑。
タンパンのことは、また忘れちゃうかもしれないけれど、この美術館の失礼な態度は、おそらくずっと記憶に残りそうですよ。

2018 france centre 946

教会も、再訪しましたが、やはりでかさに圧倒されちゃいました。

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  1. 2020/03/01(日) 01:21:01|
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