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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

おしゃべりな旅の人となって(アナーニ、カテドラル、その1)

2017年12月の週末旅行、ローマの古代から現代まで、その4

前回の記事で訪ねたサン・ロレンツォは、確かテルミニ駅近くから、バス1本で行けたのですが、なんか帰りは違う路線じゃないと、テルミニに素直に戻れないとか、そんな話だったような記憶があります。
いずれにしても、昔に比べれば、かなり良くなったとはいえ、インフラ関係が比較的整っているミラノから来ると、ローマのバスは、いまだにかなりわかりにくいと思います。
それでも、どのバス停でもバス待ちの人は結構多いし、実際にバスは混雑しているので、本当に市民の足なんでしょうが、時間に余裕がない場合に使いこなすのは、厳しい。この時も、ここで待てばいいんだろうな、というのは分かったものの、時間が読めないので、結局歩き出して、とうとうテルミニまで歩いてしまいました。

歩いた方が早い、っていう発想が原始…。でもね、今ミラノのバス停は、ほとんど、あと何分で着くっていう表示があるので、待つ決断をしやすいのですが、時刻表もなく、あと何分で着くか分からないバスを待つのは、リスク高いんですよね。30分待ってこなかったら、予定が確実に狂うので。

というわけで歩いて駅に行き、もちろん駅前のホテルに行くわけではなく、直接、次の目的地に向かいます。
一旦ローマを出るんです。短い週末旅行なのに、予定はびっしり。時間の無駄遣いが許されない旅です、笑。

行先は、アナーニAnagniという町です。

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ローマから、ローカル線で約1時間で目的の駅に着き、そこから町までは、ローカル・バスという旅になります。
最近は、こういう公共の交通機関を使う旅、あまりしないですが、車で動くのに比べると効率は下がるものの、移動に緊張したり、時間に繊細になったり、特に、人とのふれあいっていうか、大げさじゃなく、交流するのは、楽しいものです。
この時も、駅前から乗ったローカル・バスの運ちゃんが、すごく親切で、ほんの短い会話だったけど、なんだか楽しくて、こういうのが面白かったから、イタリアが好きになって、気付いたら30年住んじゃったんだよなっていう原点みたいなところあるんで、時々はいいもんだなと思ったり。
それにしても、漠然とした記憶ですが、ここのローカル路線バス、とんでもなく古かったなぁ。

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最寄り駅は、確かにアナーニという駅名なんですが、イタリアではありがち、実際の町村は、はるか遠方の丘の上、というパターン。丘の上ということもあり、15分から20分くらいはかかったでしょうか。
そんなわけで、旅気分というんでしょうか。遠足を楽しむ状態で、一番前に座って、運ちゃんとしゃべりながら、楽しいバスでした。

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この週末、お天気は今一つ不安定だったのですが、腫れ女健在で、ほとんど雨に降られることはなかったのです。でも、この日はどんよりって様子で、昼過ぎなのに薄暗い状況ながら、ヤコブの梯子?車窓から、なんと4本も同時に見えて、びっくりの美しさでした。

運ちゃんは、カテドラルなら、ここで降りて、それ、そこを行って、と道までしっかり教えてくれて、去っていきました。
車なら、ピュッと目的地に到着ですが、公共の足で動くと、たどり着くまでに物語ができちゃいますよね。

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サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂Cattedrale di Santa Maria Assunta di Anagni(9-13/15-18。クリプタは博物館見学ルート内で、見学時間が30分毎の入れ替え制)。

トップにある写真が、町の入り口となるのですが、そこからカテドラルには自動的に行ってしまう感じの小さな旧市街です。でも、広場に面しているのは、地味な側壁で、あれっ?って感じになります。

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右側が教会の一部で、正面の、ちょっと縦長の四角っぽい建物に、ツーリスト・インフォメーションが入っています。
私がここについた時、教会はまだ閉まっている時間だったので、まず、このオフィスを訪れて、資料をもらったりしたんですが、よさげな本があったので、つい一冊購入しました。カテドラル情報が大半を占めるとはいえ、アナーニの全体情報というか、そういうタイプの本で、確か10ユーロでした。でもね、教会に入ったら、そちらでは、アイテムごとのガイド本が、確か各5ユーロで売っていたと思います。
紙ものは、現地でしか入手できないと思うので、手ごろなものはつい入手しがちですが、正直、読むか読まないか不明なところもあり、なるべく容量の少ないながら意味のあるものが欲しいし、お値段は安いに越したことがないので、こういうのって、結構悔しさが強いです、笑。
とはいえ、今ちゃんと読んでいますので、結果的に意味があるので、よし、ですけどね。

まず、外側から。

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最初にアクセスしたツーリスト・インフォメーションの建物のすぐ後ろにあるのが、この、なんというか、四角い箱から、ポコっと飛び出したような後陣です。建物全体からいうと、なんとなくサイズ感は小さいようにも思えます。背は高いですけれども。
ちょっと独特な感じですよね。

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規模は違うけど、トスカーナのファルネータとか、あとどこだったかな、マルケのどっかにも、こういうタイプの後陣、あった気がします。普通は、半円のこの後陣としての構造がどどん!って感じになるのに、なんか変に取ってつけたような不思議な存在感のタイプ。

解説によりますと、ここに、この教会で使われたロンバルディア様式が明らかになる場所とあります。この建設を担当したのは、ここよりもちょっと南、地域としてはローマと同じラツィオになるのですが、モンテカッシーニという大規模な修道院を拠点とする土地の職人さんたちとされています。その職人さんたちは、もともと南部出身の人たちらしく、ロンバルディア様式がどうして採用されたのか、その辺は不明。当時先端的なものだったのか、単純に、北部出身の職人さんがいたか、または、その地場の職人さんの中に、北部でも仕事をした人がいるのか。
ロンバルディア様式は、遠くスペインまでもいっているわけですから、当時のそういった知識や技術の普及というのは、今のようなメディアがないことを考えると、驚異的です。ローマ帝国は帝国を広げることで、己の文化や法律を広げていったわけですが、中世期では、ローマの遺産である街道などによって、情報や流行や技術が国を超えて広がったわけですね。強制ではなく選択的な普及とでも言いましょうか。いずれにしても、歴史を感じるところです。

さて、ぱっと見かなり地味目ですが、丈夫の方は、ブラインドアーチで、装飾的アイテム満載。

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地上からこんなに遠い場所なのに、細部まで繊細な彫り物がたくさんあって、相変わらず職人さん、腕が鳴る的な仕事をしています。

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この、シナモンロールみたいなフリーズ、久しぶりに見た気がします。フランスではあまりないタイプなのかな。これも、実にかわいらしいんですが、その下のアーチの部分、いわゆるアーキボルトですが、ここにも、それぞれに組紐とかのモチーフが飾られているのは、驚きです。
もしかして、昔の人は目がよくて、今の人よりももっと良く見ることができたなんてこともあるのかしら、と思ったりします。

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脇の小さな後陣は地味ですけれど、窓のところに、こんなデザイン的な素敵な浅彫りがあったりします。これはセンス良いですね。

この後陣側に、扉がありますが、解説では、その扉から広場に降りる階段の優美さに言及していました。

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緩やかな坂道を、階段状にした、階段というよりは坂道に限りなく近い構造。なるほど、こういうのって時々あって、確かに上り下りが楽なような気はしますが、Cordonata(イタリア語)という単語は初めて認識した気がします。やはり、たまにはちゃんと本を読むもんですね。何て言いながら、すぐ忘れるんですが。

続きます。

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  1. 2021/07/11(日) 10:53:09|
  2. ラツィオ・ロマネスク
  3. | コメント:0

7年たっても、変わりませんな、いろんな意味で。(その他の教会)

2020.08 コロナ禍中、炊飯器持参の夏休み(エトルリアとロマネスク)9

今回の旅の中で訪ねた主なロマネスクは、前回までの記事となります。残りは、再訪だったり、以前入れなかった教会に入れたりしたものですが、残念ながら、ほとんど写真がありませんので、まとめてさらりと記しておくことにします。

ネピNepiのサンタ・マリア・アッスンタ大聖堂Duomo di Santa Maria Aassunta。

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ここは、引き返そうかと思ってしまうような上物なんですが、そして入場すると、ピカピカキラキラの内装に、さらに気持ちがめげそうになるんですが、実は素晴らしいクリプタがあるのですよね。本当にびっくりするくらいキラキラの内陣の、ピカピカした階段を下りていく感じなんて、落差にもびっくりします。
実際、同行者も、かなり絶句状態で、興奮していました。

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また、楽しい柱頭が多くて、うれしくなっちゃいます。
しかし、いかんせん、本当に暗い!小銭を入れて明かりがつくシステムがありましたが、50セントでしたかねぇ。幸いにも一枚見つけたんですが、まぁ、びっくりするくらい短かったです、点灯時間、笑。うわうわ言いながら撮影していたら、あっという間に暗闇です。残念ながら延長用の小銭なし。誰も来ないし、まさに時間切れでしたが、また来ることもあろうし、きっと毎回こういうことになるんだろうなぁ、としみじみ。
修行旅のことは、特にイタリアでは、こういう有料点灯方式が結構あるので、小銭は常に準備しているんですけれど、思うようにはいかないもんです。

このネピは、この素敵なロマネスクの他、ローマの遺構も楽しめます。

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町のすぐ外に、立派な水道橋があります。
水道橋では、毎度驚きますが、ここもまた、今でも道路をまたいで立っていて、アーチの下をくぐっていく感じなんですよ。二千年たっても、構造物として現役、というのはすごいことです。なんだかんだ言っても、ローマの技術って、やはり半端ない。権力と富が集中して、それを使いこなす人材がいて、という時代の結果ですかね。やっぱり、人材なんだろうなぁ。

さて、この後、懐かしのカステルサンテリアCastel Sant'Eliaに行きました。
ここ、素晴らしいフレスコ画を持つ教会がありますけれど、初めて一人で訪ねたときは、あと数か月後には終了予定の修復中で入れず、3年前に訪ねたときは、午前中にクローズで、午後に再訪したところ、またクローズで、自分がきちんと時間を確認していなかったから悪いんですが、とにかく、都合三回、入場拒否されている因縁の教会なんです。
今回は、事前にきちんと時間を確認して、ちゃんと開いているはずの時間に行ったんですが、なんと、Covidのため、訪問可能時間が限定的になっていて、要は、訪ねた時間は、またもやクローズだったんです。もう呪われているとしか思えない…。四回目にして、また入れず、という結果です。
縁がないのかといえば、無理せずに四回も訪ねることができる場所というのは、そうあるわけでもないので、決して縁がないとは思えない節もあるんですよね。何だろう、ツンデレ的な?

ヴィテルボViterboでは、一人で訪ねた2013年には入れなかった、サン・シスト教会への入場がかないました。

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素敵な教会でしたけれど、写真なし。ヴィテルボへの再訪は、微妙ですが、ロケーションがいいしホテルも多いので、この辺りに行く際には、宿泊場所となる可能性が高く、そういう意味では、再訪あり、かもしれません。

帰りに北上する際に、ボルセーナBolsenaにも立ち寄りました。
同行者が地下好きなので、クリプタやカタコンベには、積極的な興味があるんです。
以前訪ねたときは、すっと教会近くまで行けたんですが、イースターと夏の違い、実感でした。というのも、ここは湖畔の町なので、夏は海水浴客が多く来ていて、道も渋滞していたり、イメージが違っていて、前の道が見極められなかったんです。湖沿いの方に出てしまったのですが、こんなに駐車場のある観光地とは、夢にも思っていなくて、びっくりでした。

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ここも、上物は面白みがないのですが、長年常に現役教会であっただけあって、つぎはぎ構造がすごいんです。その一角に中世の名残があり、そして、地下にはカタコンベまであるんですよねぇ。
一人で来たときは、ちょっと怖くて、奥にまで入れなかったカタコンベ、同行者がいたので、安心して、隅から隅まで見て回ることができました。見学可能な場所は限定的で、実は、まだ発掘できていない部分も含めて、相応広範囲に広がっているようでした。
文字や絵なども残っているし、雰囲気はかなりカタコンベで、ローマ周辺の観光地化したものより、お勧めだと思います。
何より、ロマネスクの遺構がかわいいですしね。

しかし、2013年の時も、見学システムがわけわからず、かなり待たされたんですが、今回もまったく同様で、うろうろおろおろさせられました。ボルセーナってそういう場所なんですかね?あれは、改善してほしい…。

最後の日は、ルッカに泊まりましたので、ルッカの旧市街も散策して、いくつかの教会を見て回りました。あそこは、いつ行っても楽しくて愛らしくて、良い町だと思います。

ということで、あまりに写真が少ないので、サクサクと終了です。

次回からは、この旅のもう一つの目的であるエトルリア遺跡について、ちょっと書いてみたいと思います。

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  1. 2020/09/13(日) 01:34:32|
  2. ラツィオ・ロマネスク
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非難の目つきで丁重に追い出された不法侵入者風東洋人(チヴィタ・カステッラーナ)

2020.08 コロナ禍中、炊飯器持参の夏休み(エトルリアとロマネスク)8

さて、次に紹介しておこうと思うのは、実は、今回、写真を失ったことが最も悔やまれる教会です。

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チヴィタ・カステッラーナCivita' Castellanaの、クラリッセ・アル・カルミネ修道院Monastero delle Clarisse al Carmineのサンタ・マリア・デル・カルミネ教会Chiesa di Santa Maria del Carmineです。
上は、2013年のイースターに旅をした時の写真です。

ここは、現役の女子修道院のようなんですよ。入り口に、こんな日課が掲げられています。

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このチヴィタは、わざわざ行ったというよりは、通り道として通過したので、それならせっかくだから、ロマネスクを再訪するか、と思い、ここではなくて、確か素敵なフレスコ画があると記憶している、町の中心部にあるドゥオモに立ちよるつもりだったんです。

ただ、前回もそうだったんですが、この修道院は、町をほぼ貫通する幹線道路に沿ってあり、その道は路肩に駐車できるもんですから、この近くに駐車したこともあり、それで、立ち寄ってみたんですよ。

そうしたら、なんと、絶対に開きそうもない教会の扉が、ほんのわずか開いているじゃないですか!この鐘楼の左側にある扉です(これも、以前の写真です)。

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半信半疑で押してみると、ちゃんと開いています。小躍りする気持ちでするりと本堂へ。
かなり薄暗くて、陽光さんさんの外から入ってきた目では、ほとんど暗闇でしたが、うら若き修道女さんが一人、驚いてたたずんでいるのが目に入りました。教会に修道女さんがいるのは、当たり前のことではありますから、こちらは何とも思わず、小声であいさつをしながらも、カメラのスイッチをオン!本堂中をなめまわすように見回しながら、撮影開始です。

薄闇に浮かび上がるような、素朴な柱頭、そして、実際の年代はわからないながらも、面白い浮彫の施された祭壇が、すぐに目を引きます。その状態の端で、修道女さんが、逃げるように本堂を去っていったのが見えました。
その慌てぶりに違和感もあり、これは、追い出されるのではないか、と悪い予感もあり、慌てて数枚の撮影をしたところ、修道女さんがすぐ戻ってきて、蚊の鳴くような声で、「あの、教会は閉まっているんです。開放していないので、恐れ入りますが、お帰りください…。」と、予感的中です。

別に扉をこじ開けて入ったわけでもないのですが、まるで、そうやって不法侵入でもしたような気にさせられるような、何とも居心地の悪い修道女さんの案内でした。すっごく若い娘さんだったし、こっちはわけのわからない東洋のおばさん二人で、実際に怖かったのかも知れませんねぇ。だとしたら、申し訳なかったですけど、まぁ、扉が開いていたのは、彼らの不行き届きだし、仕方ないですね。

ここ、修道院なので、ロマネスクの回廊もあるようなんですが、あまり写真とかも出てこないし、どういう状態なのか不明。そもそも、ほとんど開いていないと思うので、本堂は、ミサの時に入れるかもしれないけれど、回廊などは無理そうですね、現役だとしたら、それも女子修道院だしね。

そんなわけで、他のどの教会よりも、貴重な写真だったかもしれないと思うと、ちくしょー、と思ってしまいます。

ちなみに、私が勝手に、心模様も含めてそういうドラマをやっていた最中、同行者は写真の一枚も撮らずに何をやっていたかというと…。
なんかね、ずっとごそごそ探しているな、というのは気付いていたんです。教会の椅子にバッグを置いて、なんかガサゴソ音を立てていて、何をしているんだろう、とは疑問に思いつつ、それどころじゃなかったんで、追い出されてから聞いたところ、「あんまり暑いから、センスを探してたけど、とうとう見つからないうちに追い出された。教会の中は、ほとんど何一つ見ていない」と。追い打ちをかけるように、「センスを探しながら、せっかく訪問者(=私たち)が来たというのに、明りもつけてくれない気の利かない修道女だな、とイラっとしていた」と。
私は私で、自分の心模様を説明して、同じ空間で同じ時間を過ごしたというのに、そのあまりの落差に、大爆笑しました。
この人とは、良く一緒に旅行をしているんですが、たぶんこういう人だから、気楽に長時間過ごせるんだと実感しました。お互いが好き勝手にできるとか、干渉しすぎないとか、そういう距離感って、大事ですよね。あ、あと、経済感覚も、すごく大事。
写真撮ってくれないけど、多くの旅で、良い相棒です。

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本来目指していた、ドゥオモ、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂Cattedrale di Santa Maria Maggioreです。

フレスコ画があると思い込んでいたドゥオモは、大きな勘違いで、こちらも、2013年の旅では入れなかったらしいことを、今、昔の写真を見て思い出しました。訪問した時に、確かミサの最中だったのではないかと、うっすらと記憶が。
終わるまで待っている時間の余裕がなく、外だけ見て、引き揚げたんです、たぶん。

今回は、こちらは中に入ることができたので、これまたリベンジ成功だったわけですが、それも、大いに遅ればせで今気づいたわけですが、笑、いずれにしても、写真は一枚もないので、成功といえないことも、また気付いたわけで。

内部はかなりキラキラなんですが、古いクリプタがあります。ラツィオには、本当にクリプタが多いです。ただここのは、起原は古いけれど、全体にすっきりきれいになり過ぎていた感じがあって、あまり印象に残りませんでした。もちろん、写真がないことも一因です。

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こういう感じです。これはネットからお借りしました。

いろいろ悔しいから、この町もまた、再訪しないといけないリストに並びました。まぁ、2013年の旅などは、イースターの3泊4日の旅で、かなり回れているので、そう考えれば、週末にちょっとくっつければ行けるかな、と気楽に考えています。

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  1. 2020/09/10(木) 05:08:16|
  2. ラツィオ・ロマネスク
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饒舌な建築家のガイドツアー(サンテウセビオ、ロンチリオーネ)

2020.08 コロナ禍中、炊飯器持参の夏休み(エトルリアとロマネスク)7

前回の記事の後からは、エトルリア関連の訪問が入るため、時系列通りにするとわかりにくいので、まずはロマネスクだけをまとめたいと思います。

目的地への移動途中で、懐かしい教会によることができました。

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以前この辺りを回った際、宿泊していた宿のすぐ前にあった教会なんですが、上の写真でわかる人がいたら、すごいですね、笑。
ファルネータFarnetaという村の修道院教会Abbadiaです(昼休みはあったようですが、大体いつも開いているみたいです)。

同行者は、この柱頭だけを撮影していましたが、建物そのものも、結構立派で、見所がある教会です。10年ぶりの訪問で、なんとなくですが、全体が整備されているような気がしました。でも、過去の写真と比べて、正確に何が違うかは、わかりませんでしたけどね。
今も、後陣側は、畑が広がっていて、修道院があった当時と、あまり変わっていないかも、という風景です。そういえば、以前訪ねたときは、草むらから、いきなりキジが飛び出して、びっくりしたんですよね。今でもそんな感じです。
過去の記事は、左にあるトスカーナ・ロマネスク内(トスカーナ・ロマネスク2010 その6)にありますので、よろしかったらのぞいてみてください。

今回の記事は、写真がなくなったことがかなり悔やまれる教会の一つの紹介です。うう、辛い…。というのも、この教会だけで、100枚くらい撮影したと思うからです。でも、同行者にとっては、数多く訪ねているロマネスク教会の一つに過ぎなかったようで、見学そのものは楽しんだようですが、写真は、数枚しかないのです。そのため、雰囲気をお伝えするため、最低限、ネットから画像をお借りしようと思います。

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ロンチリオーネRonciglione郊外にあるサンテウセビオ教会Chiesa di Sant'Eusebioです(Via Sant'Eusebio、ロンチリオーネの村の南2キロほどで、東に入る小さい道があるので、そこを入り、約1キロ先のヘーゼルナッツの林の中にあります。その1キロほどの道は、途中から未舗装となり、ほぼ能動のような道なので、タイヤのしっかりした四駆などでなければ、道が分かれる角のバール、FestivalBarの駐車場をお借りするなどがベターと思います)。

ここ、10年前の旅の時も、行先としてピックアップはしていたのですが、当時はネットでは、情報がほとんど出てこなかったものと思われます。ロンチリオーネは訪ねたものの、この教会については、「場所不明」というメモだけが残っています。

今回は、その10年前の旅の補完という意味もあったので、調べてみると、あなた!なんでこれを見てないのか、俺?とあきれるような教会じゃないですか。あわてて、オープン情報を集めだしました。教区などにも電話して確認を取って、たどり着いたのが、教会の修復を行ったという建築家の方。

訪問予定の日が、日本でいうお盆のような日程だったので、事前にはアポが確定できず、結局旅の最中に電話して、無事アポに成功しました。訪問情報を探せば絶対出てきますが、建築家のお名前は、ピエトロ・ラテアーノPietro Lateanoさんです。ネットで携帯の電話番号も出てきますし、彼は、訪問受け入れ大歓迎の方なんで、チャンスがあれば、ぜひ訪問して、修復のための浄財を寄付してきてほしいと思います!

前置きが長くなりましたが、本当に素敵な教会なんです。
分かれ道から歩いていくと、しばらく工場とか沿うことか、愛想のない道が続き、本当にこれでいいのか、と思い出したころ、ーゼルナッツの林となり、やばいんじゃないか、と思う頃、木の陰から忽然と、という感じで姿を現します。
ヘーゼルナッツの木は決して大きくはないのですが、横に広がっているので視界を遮りますし、この教会がまた、ずんぐりとしていて、縦にはとてもちびっこなんですよ。

もともとは、初期キリスト教時代の墳墓があった場所で、葬られていたのが、Flavio Eusebioという土地の有力者だったそうです。後陣部分は、その墳墓の建物を覆うように作られているため、後陣の開口部から、古い建物の外壁を見ることができますし、中でも、一部外壁が残っています。

その後、教会としての創建は、7/8世紀で、その時、近所のシュトリの司教だったEusebioさんと混同が起こり、それで、Eusebioさんにささげられる教会になったようなんです。

11世紀から12世紀にかけて描かれたとされるフレスコ画。

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後陣の半円部分には、もうちょっと時代の下る絵があります。教会に入った時、かなり興奮する風景となりますよ。
私としては、素朴で大きな柱頭に、より惹かれるものがありましたが、その写真が、どうぞネットで検索してみてくださいね。どっしりして、格別な空間です。

入り口の、入って左側に、Jesseの木というフレスコ画があります。
 
etruria romanica 042

Jesseの木というテーマ、私は不勉強で知らなかったのですが、キリストのファミリー・ツリー的なものらしいですね。11世紀から14世紀にはやったテーマらしいですが、教会に描かれているものは、あまりないということなんです。もともと、フランスのどこぞの教会にあるものが、最も古いと認められていたのが、このサンテウセビアの方が古い、となったとか、そういう話、件の建築家が話してくれました。いずれにしても、14世紀とかそういう時代なので、私の興味の範疇外ですが、フランス人の世界の中心的な、すべて自分たちが起原的な、そういうのに勝った!というんで、イタリアの研究者が喜んだ的な、笑、そういう話でもあるようでした。

この建築家ピエトロさんは、この教会が民間に売り払われようとしているときに、大反対して、私財を投じて修復を請け負ったということなんです。だから、今でもカギを持って、管理を任されているそうで、なかなかのやり手と見受けました。映画の撮影にも、使ってもらったり、自分は国の文化財関係の仕事を請け負うなど、やはりそういう才覚がないと、私財を投じるなんてできないですよね。
ただ、建築家だけあって、お話はそっちに偏る傾向があり、当たり前ですが、美術に関しては、あまりお話がなかったです。
ただ、いろいろ質問をしたところ、それなりに詳しい人らしいと認めてくださり、近所のシュトリにある岩窟教会の特別見学を手配してあげられるかもしれない、といううれしい提案をいただいたりしました。
結局、先にも言及したお盆のため、鍵を管理している人が夏休みだったためにかなわなかったのですが、次回は、この方に連絡すればよいということが分かっただけでも、ありがたいことです。

写真が少なくて、編集がすごく楽です、笑。でも、記事としてはつまらないでしょうねぇ。すみません。

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  1. 2020/09/07(月) 00:00:23|
  2. ラツィオ・ロマネスク
  3. | コメント:2

クリプタで仰天した、今どきの子供…(ヴェトラッラ)

2017年7月 エトルリアを巡りつつロマネスクもちょっぴり、トスカーナとラツィオの旅 その11

このときの旅で、最後に訪ねたロマネスクは、こちらです。

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ヴェトラッラVetrallaのサン・フランチェスコ教会Chiesa di San Francescoです。
たずねようとしたわけではなく、傍らを通過したので、ちょっと寄って行こうか、ということになりました。この教会、以前の旅でも、ここを目指すというより、脇を通ったので、せっかくだから見ていこう、ということになったような覚えがあります。
カステル・サンテリアとは違って、妙に縁があるというのか…。

訪ねた時、ちょうど結婚式が終わったとか、どうやらミサの直後とかだったみたいで、多くの人がいました。気にせず中へ。

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構造は古いし、雰囲気はそれなりにありますが、ロマネスク的な遺構は、少ない教会です。
とはいえ、いくつかの立派な柱頭は、きちんと見るべきものです。

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正統派ロマネスク、っていう感じですね。

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これも、超正統派アーカンサス。写実に過ぎて、芸術的な面白さという意味では、ちょっと薄いかも。

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こんな細かい彫りのフィギュア系もありますが、肉眼では全然見えないですよ、勿論。
上の方のは、ちょいと楽しい感じですけれど、全体としては、ごちゃごちゃとりとめのない柱頭で、どうですか。この石工さん、すっごくちゃんとした技術を持っていた人なんでしょうけど、創造力というのか、クリエイティブな部分には、あまり重きを置かない人だったのかなぁ。

で、ここに立ち寄ったのは、プリミティブな感じのクリプタを再訪したかったからなんですが、クリプタをのぞいたら、真っ暗でした。

イベントが終わったのに、中でおしゃべりに余念のないおばさんたちがいたので、明かりがあるかどうか尋ねると、ちょっと待て、と言いながら、手をたたき、大声で誰かの名前を呼ばわるのです。一応教会の中なんですけど、構っちゃいない…。
すると、名前を呼ばれたらしい子供が、順番にやってきて、「知らん」と。最後に司祭さんが登場したので、おばさんは、司祭はどこにいるんだ、と聞いていたらしいですね。で、迷惑そうに現れた司祭さん、うんざりした様子で、はいはい、と灯りをつけてくれました。
きっといつも、
傍若無人なことをされているんだろうなあ、と思わずクスリとしてしまいました。おばさんは、どこでも強し。

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古いクリプタですが、ちゃんと使われてきて、だからケアされています。
天井の一部にフレスコ画がありますが、少なくとも今残っているものは、それほど古いものではない様子です。それでも、古色蒼然として、退色は激しいですが。

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古いフレスコ画が上書きされているのかもしれないなぁ。暗くて、よく見えない写真ですみません。

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上物にある精緻な柱頭との違いに、愕然とするほど、プリミティブな柱頭の彫り物。素朴で、よい感じです。時代的には、10世紀以前とかかもしれないですね。

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やはり、記憶通り、なかなか趣のあるクリプタで、再訪の価値があったのですが、しかし、参ったのは、子供たちです。クリプタに明かりがついたら、数人が駆け込んできて、暗闇すら楽しみながら、追っかけっこです。
落ち着いて、脳内タイムスリップどころじゃなかったのです。さっきのおばさんと司祭さんのやり取りを見ても、おそらく、ここはそういう教会で、住民が好き放題にサロン的に使っていたりするんですかね。司祭さんも、発言力なさそうだし…。


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しかし、少年の一人が、祭壇のところに立ち、右手を挙げて「ハイル・ヒットラー」、と叫んだのには、仰天しました。
そのポーズで、壁に写る、手を挙げた自分の影を見ているんで、「意味わかってるのかな?それは、ダメなことだよ」と注意したんです。小学5年生くらいですかねぇ。「分かってるよ、冗談だよ」と平然と言います。「冗談でもやったらダメなことだよ」というと、「分かってるって、大丈夫だよ、冗談なんだから~」と言いながら、走り去っていきました。

なんだろうなぁ。
やはり、歴史がそこにあるということなのかなぁ。こちらでは、極右的な若者が、ハーケンクロイツを使ったり、ネオナチみたいな動きは常にあると思うので、そういうのが子供にも見えるということなのかなぁ。そしたら、なんかちょっとかっこいいとか思っちゃうのかなぁ。もしくは、親が、家庭が、なんかあるんかなぁ。珍しい東洋人がいるし、ちょっくら決めポーズしてみようとか思ったのかなぁ。
すっごく考えちゃいました。こんなの初めてだったんで。

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  1. 2020/05/18(月) 00:43:39|
  2. ラツィオ・ロマネスク
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