2021フオリサローネ 番外その2
今回は、あまりあちこちをうろうろはしなかったのですけれど、それでもよく歩いたんです。というのも、Covidで在宅勤務になったのが、昨年の3月前半で、非常事態宣言が開けたのは、5月だったでしょうか。
何年くらい前からかな、3.4年前かな。それまでは健康のために定期的にジョギングをしていたんですが、ジョギングって、膝とか腰に結構来るし、きついし、というんで、ウォーキングに宗旨替えしたんです。最初のころは、予定のない週末に、自宅から郊外方向にぐるりと、10キロ程度のお散歩をしていましたが、そのうち、時間も勿体ないし、通勤をウオーキングすればよいのでは?と気付いて、主に会社からの帰り道を歩くことにするようになりました。
それで、結構速足で歩くことを覚えて、大体1キロ10分ペース。会社と自宅の距離は約5キロなので、一回に50ー60分程度歩くことが日常化していました。
そんな日常を送っていたので、Covidのために在宅勤務している関係もあり、感染防止として、公共の交通機関を使わずに、とにかく歩く、という生活に移行することには、何らの違和感も感じませんでした。
それでも、自宅と町を挟んで反対側にあるかかりつけの歯医者はどうだろう、と思うこともあったのですが、そういう場所でも、とんでもない郊外でなければ、せいぜい1時間強の距離だったりするんですよね。
そういうソロでやる運動以外できませんし、外出禁止の二か月間、狭い自宅内でジョギングしていたことを思えば、外で歩けるだけで幸せ、という気持ちにも後押しされて、実によく歩くようになりました。
その後、感染率も激減して、たまにメトロを使うことはありましたが、時間の制約さえクリアできれば、今でも、5-10キロ程度は、歩くのが前提になっています。先週など、三日連続で、連日10キロ強を踏破しました。
そんなわけで、今回フオリサローネについても、すべてを歩いて移動しておりました、笑。健康によく、交通費節約にもなり、一石二鳥です。そんな中、びっくりの出会いがあったんです。前置き長いな、笑。
ミラベッロ邸Villa Mirabello
我が家から比較的近い地域には、ミラノには珍しく、一軒家とか、長屋的な建物とか、とにかくいわゆるマンション系ではない家並みの地域が、分散的にあるんです。そういう家並みができたころは、ミラノの本当の中心部とは、隔絶されていて、間に緑の地域というか、一旦市街地が終わった地域が挟まったようなロケーションだと思うんですけれど、今では、市街が城がっていますから、もうマンションなど普通の住居群とつながってしまっているのですけれど、一軒家地域は、全体にせいぜいが二階建てだったりするので、空が広く、また比較的道路がゆったりしていたりして、いくつかお気に入りのお散歩コースになっている場所があります。
でも、今回であったこのミラベッロのある辺りは、あまりお散歩対象にしていなかった場所。
なので、自宅に向かって、ちょっと迷いながらも、地図を見る必要もなくぶらぶらお散歩していて、急に空が広がって、なんか変に空間がぽっかりした豪邸があるな、と思ったのが、このミラベッロだったというわけです。
道に面しては、上のように立派な門構えとなっていて、個人宅にも見えますが、それにしては立派過ぎ。その上、別に門扉が閉まっているわけでもなく、 Fondazione(財団)何とかの看板もかかっていました。門の一部が門番小屋になっており、ちょうど顔を出したおじさんに、Fondazioneって何かと聞こうとしたら、Fondazoineは、あそこから入ればいいですよ、と機先を制されてしまいました。
へぇぇ、と思って、恐る恐るのぞいたら、何とも中世の香り漂う素敵な雰囲気のお城が…。
お城というよりは、こじんまりとした、やはりヴィラというのがぴったりなたたずまいですね。それにしても、とても美しく整備されていて、何とも魅力的な空間ではないですか。
この地域に住んで10年以上経つのに、そしてこの近所は何度も通っているのに、今まで全く気が付かなかったなんて、自分の間抜けさにびっくりです。
もともとは1400年代のお屋敷で、ミラノの有力な一族ヴィスコンティ家およびスフォルツァ家の住まいとして、また狩の拠点として使われたものだったそうです。狩の拠点ということは、往時は、やはり超郊外だったんですね。
その後も、ミラノやフィレンツェの有力一族のお屋敷として使われましたが、1500年代には、宗教団体の拠点となります。おそらく、当時の所有者が、寄進したとかそういう話なのでしょう。
その後、一時は放置され、農家に使われるなど、荒れた時代もあったようなのですが、1800年代半ばに、ある建築家が、この建物のロンバルディア様式の重要性に気付いて、再生され、その後は公共施設として使用されて、今に至るということらしいです。再生には、多くの企業やお金持ちの人々がかかわっていて、今ではミラベッロ財団として運営されているようです。
1900年代に入ってからの、企業寄進者、個人寄進者の名前がずらりと。
わたしが訪ねたときは、たまたま、展覧会をやっていたので、建物の中に入ることもできました。
古色蒼然の内装や調度の中に、現代的な家具とかアート。こういうテイスト、大好きで、わくわくします。
天井の感じ、素敵ですよねぇ。
すごく中世後期っていうか、お城の雰囲気の調度です。その後の優雅なお城とは全然違って、質実剛健なお城の内装。とんがった明りも良きことです。
展示されている現代美術の作品は、あまり溶け込んじゃっていて、なんか目立たなすぎですね。
今では、お庭スペースはかなり限られてしまっているとはいえ、周囲のお宅に比べれば、ずいぶん広いスペースを取っていて、狩の拠点だった往時の雰囲気を想像することはできます。こんなところに、馬が駆け込んできても、違和感ないですよね。
いやはや、やはり歩くというのは良いことです。自転車や車だと通り過ぎちゃうところも、歩いていると、立ち寄るのが簡単で、発見が多いです。
ウォーキング健康法は、一石五鳥くらいの価値がありそうですよ。
以上で、今回のフオリサローネ報告、終了です。お付き合いありがとうございました。
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2021/09/28(火) 21:46:21 |
ミラノ・フオリサローネ
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2021フオリサローネ 番外その1
前回、市営プールの記事で、ちょろっと言及したマウリツィオ・カッテランというアーティストですが、この夏から、我が家最寄りの、そして個人的にはミラノで最も好きな美術館で、展覧会が開催されているんです。
ピレッリ・ハンガービコッカPirelli HangarBicocca
Via Chiesa 2 Milan
過去にも何度か言及していると思いますが、ここはタイヤで有名なピレリ社の工場跡地を現代美術館に転用したもので、ミラノ市の北部郊外にあります。
この地域は、一応ミラノ市内ではありますが、市街地とは完全に途切れており、ヨーロッパ北部へ向かう光速度悪露へのアクセスも良いなどの理由で、かつては、ピレリ社以外にも、多数の工場やメーカー系の会社があった土地です。しかし近年、ミラノ市の人口が増えるとともに市街地がここまで迫ってくる中で、再開発地域となり、多くの会社が、工場を閉鎖したり住居や他施設へ転用したり、ということが行われて、今では大学や劇場も作られ、新興の住居ビルとともに、新しい文化的な町に変貌しています。
そういう中で、このハンガーは、かなり早い時期に美術館に転用されたもので、まだ常設しかなかった初期のころから、定期的に通っている次第。なんといっても、無料なのが嬉しいですよ。
ピレッリ社は、数年前に中国企業に買われて中国企業となってしまいましたが、幸い、ピレッリ財団はそのまま残されました。どういう形で運営されているのか知りませんが、とにかく開館当初から無料を貫いております。それなのに、展覧会の旅に、とてもお手頃なボリューム、内容の小冊子もくださるという、有料の美術館でも今やなかなかないサービスを提供してくれています。
展示会場には、スタッフが数人いて、フリーの質問に的確に答えてくれますし、ガイドツアーも適宜実施されています。
という、まったく稀有な美術館が、自宅最寄り、というのは、実にありがたいことです。車で10分弱程度で、駐車もし放題なので、買い物や用事などのついでに、ちょっと寄ることができるんです。
が。今回は、そういうわけにいきませんでした。
そういう気持ちで気楽に行ったところ、今年際オープンしてからは予約制になりました、ということで、撃退されてしまったのです。周囲に同様の人多数いました。
一旦帰宅して、約1時間後の予約をしてから、再び出かけることになりましたが、なんせ10分ですからね、問題なしです。
前置きが長くなってすみませんが、そういうわけで、以下、カッテランです。
Maurizio Cattelan
Breath Ghosts Blind
手前に、別の展覧会がありましたが、それはとりあえず無視して、奥にあるカッテランの会場へ、暗幕をくぐって入ったら、ほぼ暗闇。その中、一点だけにスポットライトが充てられていて、遠目にもやばい感じの不穏な眺め…。
スポットライトの周りを取り囲む見学者の姿が浮かび上がる、それすらが、何かまがまがしいような…。
Breath, 2021
横たわっている人と、その連れらしいワンコでした。
近付いたら、なんかさらに怖くて、皆が結構遠巻きに見てしまうのもわかります。
なんかね、なんか分からないけど、近寄りがたい何かがありました。
勇気を出して、近寄ってみたけど、なんかマテリアルすらよくわからなかったです。つやつやしていて、本当の柔らかそうな毛にも見えたし。
でも、今解説を読んだら、カッラーラ産大理石という非常に高価なマテリアルを使った本気の彫刻でした。
カッラーラ産大理石は、ミケランジェロもベルニーニもカノーヴァも、時代を超えて愛されている素材です。現代の、それも素材で勝負するようなタイプでないカッテランが、わざわざ使う理由は、素材勝負ではもちろんなくて、そういう普遍性の高い高価な材料、というところにポイントがあるようです。
美術館でいただいた冊子の解説は、なかなか良いと思いましたが、作品は作品に語ってもらえばよいので、ここでは触れません。カッテランは日本でも展示されてことありますから、検索すれば日本語情報も結構出てくると思います。
先に進んで、さらにぞーっと…。
Ghosts, 2021
ここもまた、ほぼ暗闇です。鳥目の人だと、歩くのもおぼつかないくらいかも。で、がらんとしているので、あれ?なんだっけ?と思うのですが、一瞬後に気付きます。ぼんやりした明りに浮かび上がる鳩の姿…。
ここ、工場だっただけあって、とにかく巨大なんですよ。縦も横も高さも。特にこの高さ、これはインスタレーション系の現代美術の展示にとっては、得難いものだと思います。
そして、柱意外に遮るもののないオープンスペースの迫力もすごいんです。
通常なら、ここはメインの展示スペースとなって、かなり大きな作品がいくつも並べられるだけの広さがるのですが、この作品は、壁、天井、梁に作品が…。
ある程度の年齢の方なら、必ずやヒッチコックの「鳥」を見ていると思いますが、やはりどうしてもあれを印象してしまいます。シーンとしているのが、さらに怖いですよ。これだけの鳥の数に対して、暗闇を一人で歩く心細さ。
小冊子を見て思い出しましたが、インスタレーション、ベネチアのビエンナーレでも見てます。
Others, 2011
Biennnale di Venezia
過去記事を見たら、ヒッチコックの鳥が連想されて怖かった、という非常にありがちなコメントが書いてありましたが、今回のハンガーの展示に比べたら、明るいし、怖さのレベル、全然違います、笑。
1997年に、ベネチアで展示されたのが、最初だったとあります。それは見たのか見てないのか、おそらく見てないと思いますけれど、その時のタイトルはTouristsだったということ。リョコウバトのイメージなのかな。そして、Othersときて、今回はGhost。さて、何が読み取れますでしょうか。
最後、この広い暗闇スペースの先に、ちょっと区切りのある別スペースがあります。これまたたまげました。
Blind, 2021
程よく人がいるので、作品の巨大さが分かると思います。
なんじゃこりゃ、と思いながら、上を見上げながら回りだすと、あ…
一目見てピンとこない自分の頭の悪さよ、と思いましたわ。
こりは、どう見ても9.11の世界であろう。あまりに直接的な気もするから、もしかして全然別発想があるのかもしれないけど、でもどう見ても…。
この作品は、今回の展覧会が初めての公開になるそうです。9.11からちょうど10年ということもあったのかもね。ちなみに、アーティストは、90年代にニューヨークに移り、同地で活動しています。その後はミラノとニューヨークを行ったり来たりで暮らしているようですが、9.11当時はニューヨークにいたかもしれないですね。
今回、初めて経歴をちゃんと知ったので、ちょっと記しておこうと思います。
カッテランは1960年パドヴァ生まれ。実はもっと年齢が上の人と勝手に思っていました。わたしが、初めてカッテランの作品を見たのは、いや、少なくともあれはカッテランだったんだ、と認識した作品は、2004年、トリノ郊外にあるリヴォリの現代美術館でしたが、すでに90年代からベネチア・ビエンナーレには出品していたようなので、そちらでもすでに何かを目にしていたのかもしれません。
とすると、30代から活躍していたということになるわけで、その特異な作品内容を考えると、すごいことですね。
日本では、横浜のトリエンナーレなどに出品しているようですが、何を持って行ったのかなぁ。とにかくやばいというとか、気持ち悪かったり、こんなんあり?だったり、一歩間違えると単に奇をてらってるだけじゃん、みたいな作品が多いんですけど、すごく印象に残るし、単純に怖い面白いということで、私は好きなアーティストです。
特に今回のような、壮大な作品、こういう特殊な入れ物でしか表現できないインスタレーションというのは良いです。
会期は長く、来年2月までやっているので、もう一度くらい行ってしまいそうです。
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2021/09/25(土) 11:36:39 |
ミラノ・フオリサローネ
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2021フオリサローネ その9
期間中に、市の広報メールで写真を見て、おぉ、こんなの絶対行きたいに決まっている!と、メールに従って予約をして、最終日の午後、仕事を早めに切り上げて、駆け付けました。
市営プールコッツィPiscina Comunale Coperta Roberto Cozzi
なんかいきなり地味な…。
まずびっくりしたんですよね、会場の住所見て、グーグルマップで確認して。というのも、この道は、ミラノに暮らして30年、最近でこそ少なくなりましたが、一時は職場が近かったこともあるし、本当によく通ったところなんです。だから、この建物は知っていたんですけれど、まさか中がプールである、ということは想像もしてなかったんです。
よく見たら、上の方にちゃんと市営プールって書いてあるよ。
でもさ、この面構えで、プールだと分かる人がいるでしょうか?その上、場所が、かなり繁華街なんですよ。中央駅から地下鉄で一駅だし、5分もしないところに、ミラノ庶民のお買い物ゾーンであるブエノスアイレス通りがあるし。
というわけで、30年暮らして、今回初めてこれがプールだった、ということを知った驚き、分かっていただけるでしょうか。フオリサローネのおかげです。
例によって、ちょっと検索してみたら、なんと1934年に、イタリア初の屋内プールとしてオープンして、多くの国際大会の会場としても使われたそうです。
そして、今もちゃんと現役です。
そういえば、ミラノには市営プールが多い。大体各地域に一つはあるんじゃないだろうか。前に住んでいた家の時も徒歩5分に屋内プールあったし、今住んでるところも、5分強のところにあります。海好きが多いから、水泳も好き、ということになっているのかなぁ。
おっと、プールの紹介記事ではありませんでした。
Be Water projected by Toiletpaper
なんだかわけがわかりませんが、かっけー!と思いませんか?思わないですか?私は思っちゃいました、笑。
トイレットペーパーは、著名なアート・マガジンで、主催しているのは、イタリア出身の超有名現代アーティスト、マウリツィオ・カッテランMaurizio Cattelan(日本語だとカテランとなっているようですが、正確な発音不明です)。
勝手欄に関しては、検索いただくと、「なんとなく知ってるぽい」的なやばい作品が、出てくると思います。実は、現在、ミラノでこの方の展覧会が開催中なんで、本日行ってきたところです。というわけで、カッテランについては後日、もうちょっと書いてみたいと思います。
これはまぁ別に、何を語る必要もないと思うんですよ。
60年代っぽいペンキアートっていうか、日本人的には、お風呂屋さんの壁アートにも通じる安っぽさとか、なんかレトロ感とか、そういうのが面白いんじゃないかと。
国際大会にも使われたというだけあって、プールの立派さにも感心します。
飛び込み台も、結構高いものまであって、この部分は深さも相当ありそうです。現役ですから、水も美しく管理されているし、いやはや。
そして、そういう現役プールを会場に使うっていうミラノ市やミラノのスポーツ振興団体や、なんかそういうのがすごいなっていうのもあって。
でも、待てよ。実際にプールを使っている人たちは、このペンキ絵をどう思うんだろう。
プールに無関係な人は、このフオリサローネ会期中しかアクセスできませんが、プール使用者は、当然いつでもアクセス可能で、確かこの作品、しばらくはここに置いたまま、ということだったと思います。
クローズアップしたら、絵の真ん中を横断するものに気付きました。
なんかきらきらして、水族館とかにありそうな装飾。レシンとかで作っているんでしょうかね。レトロ感満載ですし、やっぱりおしゃれな年代のおしゃれな装飾って気がします。
それにしても、カッテランにお風呂屋さん見てほしいなぁ、と思いました、笑。
さて、この日は最終日で、もう回る気はなかったのですが、時間もあるしせっかくだし、とこのサローネを前にオープンしたらしい中央駅の新しい施設を視察してから帰ることにしました。視察っていうのも変だけど、まぁそういう気持ちです。中央駅も、もう長らく行っておりませんでした。
有名なミラノ中央駅Stazione Centrale di Milanoです。
わたしがミラノに暮らしだしたころは、この駅前、草ぼうぼうの広場で、麻薬中毒者の巣窟でした。おどろな雰囲気で、かなり怖かったですよ。
今でも、置き引きやすり、かっぱらいみたいな人はうろうろしているはずで、危険には変わりがないはずですが、少なくとも麻薬中毒者とか、すでにオーバードーズで倒れちゃってる系の人はいなくなって、たまに泥酔して倒れている路上生活者がいるくらいですかね。軍隊の車が常駐していたり、警官もしょっちゅう見回りをしているので、昔に比べれば、本当にすごくよくなりました。
その中央駅舎の、上の写真で見る向かって左側に、今般オープンしたのが、メルカートMercatoという飲食店街です。
これは、反対側から撮影したものですが、駅舎に張り付いているデオールというんですが、テラスみたいな場所と、駅舎の一階と中二階みたいな部分が、その施設となります。ウナギの寝床みたいに、すっごく長いです。
とにかく駅は大きいです。そして執着的構造のため、すごく長いんですよね。その長さを余さず使ったような形で、ひたすら長いです。
第一印象は、デパ地下。細い通路にずらりと様々な飲食店が並び、どこまでもどこまでもって、イメージとしてはそっくりです。
販売と同時に、イートインがついていますので、その場で食べられるものも多いようですし、もちろんレストラン形式の場所もありました。旅行者にとっては、飲み物だけでも気軽に座れる場所、便利だと思います。とはいえ、長すぎるから、ホームからアクセスすると、相当の距離を歩くことになって荷物持ってたら、無理じゃん?というのはあります。通路が狭いので、場所によっては渋滞しそうだし。
ま、でも新しい感じは間違いなくあって、駅はどうしたって人が集まる場所ではあるから、それなりに成功はするのかもね。
なんにせよ、公共のスペースがきれいにあっていくのは良いことだと思いました。結構な雇用創出につながったと思うしね。
頑張ってほしい。
というながら、手ぶらで、本当に視察だけで帰ってきたオレ…。申し訳ない…。
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2021/09/18(土) 16:39:06 |
ミラノ・フオリサローネ
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2021フオリサローネ その8
ついアウディに寄り道しちゃいましたけど、アウディのショールームのあるファッションディストリクトに来た本来の目的は、こちらでした。
バガッティ・ヴァルセッキ博物館Museo Bagatti Valsecchi
ここは、ここ何年も、フオリサローネの際に必ず何らかの展示会場になっていますが、本当に素敵なお屋敷です。前の記事で紹介した邸宅博物館よりは、ちょっと前の時代のものとなりますので、お屋敷っぽさ全開ですよ。これまで、その由来を調べたことがなかったので、ちょっと調べてみました。どうせすぐ忘れちゃうんですが、近代史つまみ食いみたいで、そういうのも面白いなって思います。
ここは、名称になっているバガッティ・ヴァルセッキ男爵一家の
お住まいです。いわゆる貴族階級の方々ですね。1800年代の終わりごろにいらした二人のご兄弟、ファウストとジュゼッペによって、今あるようなお屋敷になったということなんです。
このお二人、一族のお家を改装することを思い立ち、1400年代から1500年代の美術品の収集を始めたんだそうです。というのも、お屋敷に、1500年代ロンバルディア様式にインスパイアされた内装を作りだそうと思いついたから。
彼らは、装飾品のみならず、暖房や照明、水回りなども、その当時の様式にするというような、徹底した改装をしたそうです。びっくり。まさかそういう経緯だとは知りませんでした。
このご兄弟がなくなった後も、一族は、1974年まで、ここで住み続けていたそうですが、その年に、財団が作られ、その20年後の1994年に、博物館として開館したという運び。ひゃあ、とすると、私がミラノに住みだして頃には、まだなかったんだなぁ。
ちなみにファウスト及びジュゼッペの兄弟は、大学で法律を勉強されたそうですが、その資格を使うことなく、このお屋敷の改装にすべてを投資したということdす。今では死語ですかね?いわゆる高等遊民っていう結構なご身分だったわけですね。憧れの高等遊民。やはり高等遊民は、何かした高尚な趣味を持たないとだめですよねぇ。
最後の相続人は、1974年に財団を作る決意をした人らしいですが、おそらく、その時代まで、財産で食っていたんでしょうねぇ。っていうか、その時代に、こんなお屋敷に住まう方がいたんだ、という事実にぼーっとしちゃいます。まぁ日本でも、冷泉家とか、そういう信じられない一族がいらっしゃったりはしますけれどもさs。
ま、そういう歴史遡るみたいなお屋敷の雰囲気の中、フオリサローネ関連の展示は、基本わけのわからない現代美術だったりするので、そのミスマッチが結構ゾクゾクするんですよ。
Palazzo delle Meraviglie - Le Temps des Cocus by Decluuz
上の、左下ににょきにょきした金色の物体が展示品です。
あまり趣味じゃなくて、よく見てないんですけど、これ多分特殊な糸で特殊な織り方をした布状の素材なんです。光の当たり具合で、一方向だけ光を反射するとか、なんかそういう仕組みになっているみたい。
このとんがりコーンみたいのは、その布をとんがり三角にしただけなんだけど、もっと複雑な作品も並んでました。
肖像画みたいのが、浮き上がる織物。ゴブラン織りとかの現代版っていうか、これね、相当照明が暗いところで、わずかの光を反射してこういう感じで、なかなか不気味な様子でした、笑。
このお屋敷が展示会場ということで、あえてこういうルネサンス的なものを作ってきたのかと思うのですが、ここは思い切って、もっともザンデ斬新な現代バリバリのものを作った方が、ミスマッチで印象は強くなったのではないか、と思いましたねぇ。これじゃ、はまりすぎて、素材の面白さとかまったく気にならずに、お屋敷のテイストにはまりこんじゃって違和感なさすぎ、笑。
こんなの今はコンピューター制御で織るんでしょうから、モチーフは何でもよいはずで、残念なプロデュースだったと思います。あ、案内の人たちも、全然案内とか売り込む気持ちゼロだったのも、マイナスでしたね。
今回は、お屋敷常設品との再会の方が、よほど楽しかったです。
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2021/09/18(土) 15:23:22 |
ミラノ・フオリサローネ
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2021フオリサローネ その7
今回も、初めて訪ねる会場。よく前を通っていて、高そうだなぁ、と思っていたので、楽しみに行ってみました。
セナート・ホテル・ミラノSenato Hotel Milanoです。
ミラノが誇るファッション・ディストリクトである、モンテナポレオーネ通りVia Montenapoleoneやスピガ通りVia Spigaにも近く、それでいて高級住宅が並ぶ閑静な地域でもあり、押し出しは地味目ですね。もともと住居用の建物だったのをホテルに改装したんだろうと思われますね。
エントランス入ってすぐに、吹き抜けの中庭状のスペースがあり、そこで今回の展示となっていました。
Aqua - Artemest
アクア、そのタイトル通り、水をテーマにしていて、水のイメージをインテリアに持ち込もうとかそういうコンセプトですね。
展示スペースが、本来どうなっているのか分からないため、その変容の面白さは分かりませんが、場所にしっくりとしていたのは確か。もともとこういう池だったとしてもありだなぁ、という安定感でした。
行ったときは特に何もなかったですが、おそらく照明や音響も考えられているようだったので、夜間などは全く違う様子、雰囲気になるのかと思います。つまり、この、照明とか音響なしに、日中の光の下で見るのは、完全な展示ではないようなので、単に地味、と評価してはいけないんだと思います。
水の反射、鏡などを多用して、いろんな眺めが見えて、それはそれで面白いものになっていました。飛び石のようなものを伝って水を渡るのですけど、意外とわかりにくくて、踏み外す人もいるような気がして、それもクスリとするっていうか。
撮影に夢中になって、危うく踏み外しそうになったわけです、自分自身が、笑。
ミラノでは、ホテルのエントランスとかロビーって、あまり公共空間ではないところが多いです。巨大ホテルが少ないので、関係してないと入りにくいっていう感じ。だから、こういうプレステージの高いホテルを、気軽にのぞき見できるのは、個人的に楽しかったりします。
廊下に、いろんなオブジェとか、古い映画やオペラのパンフレットが並んでいて、これもまるで展示みたいなんだけど、これは別に今回の規格とは無関係なホテルのインテリアのはず。20年くらい前のスカラ座のチラシとか、もっと昔の広告とか、ちょっとレトロなものが沢山張ってあって、ついつい何かを探すように見てしまう自分は、その時代にすでに普通にこの町で生活していたからなんだと思います。恐ろしいですね。
さて、見学はあっという間に終わり、次に移動ですが、その途中に、引っかかりました。
Audi
Creative Connections by Marcel Wanders studio
アウディは、毎回積極的に展示している車会社の一つですね。イタリアの会社は、あまり投資してないし、日本も、トヨタ、というよりレクサスとして参加することがありますが、車会社の展示で魅力的だったことはあまりないです。
今回たまたま通り過ぎて、次々と人が入るし、つられて入ってみました。
前の人についていったら、なんか広大な応接室みたいな場所でびっくり。大きなスクリーンにコマーシャルみたいな映像が流れているだけで、ほとんど人がいないし、これは何だっけ?車の内装会社とのタイアップの家具かしらん、とか思いながら、とりあえずゆったりと腰掛けて、手持ちの水をごくごくやって、机に無造作に置かれていた美しいパンフレットを眺めて、使えそうな写真ページのある冊子を数冊いただくことに成功。
ちなみにですが、このフオリサローネとか、ベネチアのビエンナーレは、私の手作り品(主に小さなノート類)に使える紙ものをゲットする貴重なチャンスでもあるんです。去年はサローネもビエンナーレもダメだったから、紙ストックが枯渇しつつありまして、このアウディは、そのためだけでも大きな収穫でした。
ふふ、宣伝の冊子を見て、実は、その内容ではなくて、紙の厚さとか写真の大きさを、自分のノート用に使えるかどうか考えているとは、誰も思うまい、笑。
で、一休みできたので、入り口に戻ったら、ヤダ~、違うじゃん!本来見るべき展示はこっちじゃん~、と遅ればせながら気付いた次第。
おおお~、なんかかっけー!
これね、布が浮いてるように貼ってあるんだけど、その下にセンサーがあるみたいで、軽く触ると、そこから模様が変わるようになってました。
指でチョン、と押すと、こういう丸いのが生まれて、それが形を変えて流れていくみたいな。色も刻々変化して、きれいでした。
そして、この光の洪水状態の通路の先に、オーソドックスな展示が。
すっごく高そうですっごくドイツ車っぽい銀のアウディがドカン!
もしかして自動運転車?と思いましたが、それはなかったです。ちゃんと普通にハンドルがあって、ダッシュボードがありました。でも電気車だったんだろうね、おそらく。
車はさ、高いとは言っても、普通にお金持ちなら買えるブツだからだと思うし、イタリア人は本当にクルマ好きだから、こういう展示って、多くの人が真剣に見るよね。運転席とか座らせてもらったりとか、まじ、買う目線で見てたりする。
ま、私は買う予定ないけどね。
でも、きれいだったし、立ち寄ってみてよかった。フオリサローネは、やっぱり犬も歩けば、だなぁ。
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2021/09/17(金) 17:12:30 |
ミラノ・フオリサローネ
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