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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

最速の宝探し

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その27

降り出した雨にもめげず、残されたわずかな時間を惜しんで、駆けずり回るのは、毎度のパターン。目指したのは、前回のバルベラから半時間位の距離にあるルビRubi'という町にあるサント・ペレ教会Eglesia de Sant Pereです。




幸いにも、町の入り口に大変大きくて無料の、立派な駐車場があったので、迷わず車を停めて、旧市街に入りました。
すぐに、素晴らしく開けた広場があり、そこに目的の教会があります。迷いよう無し、という、ロケーション的にはありがたい教会ではありましたが、でも、これは、かなり新しい…。というか、激しく修復を受けてしまっていて、まるで、ゼロから作ったネオ・ロマネスク様式の教会のようにぴかぴかです。

入り口が開いているので、取り急ぎ中をのぞきました。




見事にぴかぴかの近代建築。これはだめです~!わざわざ、苦労して来たわけじゃないので、これはこれ、と冷静に思えるのですが、それでも、少ない時間をやりくりして来ているので、やはりがっくりします。
こういう時は、細心の宝探しが必要。

というわけで、外に出て、目を皿にした宝探し。
横っちょ、南側の壁。




全然だめ!
でも、この教会、後陣側と、北側壁は、他の建物とくっついていて、フリーなのは、正面ファサードと、この南壁部分だけ。でも、どちらも、建物構造は、新しくなってしまっていて、特にこの南側は、全とっかえ状態ですね。

めげずに、正面に戻り、ディテールを観察。
残念なことに、というか、鬱陶しいことに、入り口に、乞食の女性が座っていて、わたしを見据えて、金をくれ!というようなことをぶつぶつと言っているんです。ちょっとでも近寄ると、手を出しそうな勢いなので、近くに寄ることが出来ない。
だから、十分距離を取って観察です。

入り口扉上の二連窓。




超地味ですが、二連の間にある小さな円柱と柱頭には、何か見えます。ズーム。




縄目が彫りこまれた柱は、もしかして新しいものかもしれませんが、小さな柱頭は、どうやらオリジナル。もはや浮き彫りともいえない線描で、人の顔のようなフィギュアが見えます。とってもプリミティブなグリーンマン的モチーフのようにも見えます。
手前に、やはり縄目のものが見えるので、装飾的オリジナルは結構古そう。教会も、11世紀ですから、確かに古いし。

ズームしたおかげで、屋根に沿った傾斜部分のアーチ垂れ下がり部分に、顔風フィギュアが並んでいるのも確認。




だからどうってんでもないんですが、少しでも何か見つかると、ちょっとだけ嬉しくなるってことです。




どうやら、この垂れ下がり部分の石は、古いままのような感じです。要は11世紀。と思うと、貴重な感じも。
この部分だけ見ると、ちょっと面白い感じになります。




アーチの感じが、相当プリミティブですよね。それも、建物に比べると、この垂れ下がり部分のフィギュアは、かなり小さい。やはり、建物全体を改変してしまって、なんとなくプロポーションがおかしくなってしまったのかしら。

乞食のオバサンに気をつけながら、入り口脇の柱頭にもズームイン。




これも、プリミティブなアーカンサス・モチーフで、古そうではありますが、なんせ、近くから肉眼で観察できなかったので、残念です。

ちなみに、鐘楼に大きくかけられた人は、列福町の聖職者のようでした。

教会に到着してから、そこを離れるまで、デジカメの記録によれば、約5分。多分、今回の旅で最速の見学だったと思います。ま、こういう物件もあります。

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  1. 2015/05/05(火) 05:43:40|
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修行の醍醐味?

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その26

若干落胆しつつ、次に向かったのは、バルベラ・デ・ヴァッリェスBarbera de Vallesという町。これがまた、相当迷いました。
町までは、比較的すいすいとたどり着いたのですが、これが大都市(バルセロナ)郊外の、結構大きな都市で、旧市街があるのかどうか分かりませんが(多分ない)、住宅地が延々と続くといった場所で、もうまったく、探しようがありません。

事前に調べておいた住所を、ナビに入力したところ、巨大スーパーの敷地に入り込み、もう一生抜け出ることが出来ないのでは、と危惧するほどに、何度も同じ場所をぐるぐるしたりしたので、ここはだめだな、とほぼあきらめつつ、通りすがりの初老カップルに尋ねたところ、「あ、ロマネスクの教会ね」と、驚くほどスムーズな反応で、すごく丁寧に、道を教えてくれたのでした。
「ここを行ったらロータリーがあるから、そこを左に行って、交差点を二つ通り過ぎて、次に右側に行けば、道なりに見えるから」という説明を、おそらくスペイン語で聞いたんだと思うんですが、よく、理解できたものですよね、われながら。そして、聞いたとおりに行ったところ、本当に見えたんだから、びっくりです。

というわけでこちら、サンタ・マリア教会Eglesia de Santa Maria。




遠目に、教会の姿に感動したのも確かですが、同じ敷地内にあった高校の名称にも、感動してしまいました。




ロマネスク高校。専門学校とかそういうものかもしれないけれど、ロマネスクという名称がついていると言うのは、このサンタ・マリアにちなんでいるに違いなく、この教会が、いかに地域で大切にされているか、ということですよね。

さて、教会。




これは、予想外の素晴らしいたたずまいでした。
前回の教会の石積みと同じような感じで、比較的小さいサイズの、色彩の異なる石を積んだ外観。




ロンバルディア風の総称とあいまって、なんとも好みの外観です。
大きさも、かなりこじんまり系で、これもまた好みですね。
それにしても、かなり発展してしまった町の中で、良くぞ、この姿を保って、残ったものだ、と思わざるを得ないほど、オリジナルの姿をよく残しています。




しかし、今現在、かなり激しい修復の元にあることを考えると、おそらく長い間、放置されていたのではないかと考えられます。新興都市にはそぐわない小ささ、古さのために、かえって現在では利用されにくく、また農業地でもないために、納屋や家畜小屋にされることもなく、ただ放置されて、荒れるに任せて、という状態が長く続いた可能性が大。そのために、オリジナルの姿が残された、と。




石積みも含めての修復がされたと思いますが、それにしても、美しい。

内部はどうかと言うと、実はここを訪ねた目的は、内部にあるはずのフレスコ画でした。




後陣部分が、フレスコで覆われています。でも、アーチには、痛々しい補強がされていました。今修復中だからの措置かと思い、尋ねたところ、もはやこの補強を取り外すことは出来ないだろう、というこたえでした。実際、後陣に走る大きな亀裂は、この補強だけで大丈夫なのだろうか?と思わせるようなものでした。




ちょうど、ガイド役のボランティアさんがいたので、他の人への説明を、端っこだけ盗み聞きしたのです。

それにしても、ここのフレスコは、相当古いと見受けました。ちゃんと調べていないのですが、カロリングっぽい感じもあり。もしかしたら、古そうなだけ、という可能性もあるんですけれど。




わたしは、色合いとか、絵がかれ方の感じで、いい加減に言っていますけれど、いずれにしても、時代の異なるフレスコ画が見られるように思います。




もう少し早くに修復がされていたら、色彩がかなりよく残されたでしょうけれどね。




こういうのを見ると、ボイ谷のフレスコをはがして、バルセロナに持っていった気持ちもわからんでもないような気がしたり…。とは言え、やはり千年もたっているオリジナルだから、この色彩でいいんじゃ、と思ったり。うん、まさに、現代目にするロマネスク的色彩だよね。要は退色激しいミレニアム・カラー…。




なんだかんだ言っても、やっぱりオリジナルだから、納得できるし、いいなって思います。
わざわざ苦労して探し当てた甲斐がある。うん。

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  1. 2015/05/03(日) 06:46:44|
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石積み大会、入賞候補

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その25

寄り道が続きましたが、やっとロマネスク修行に戻ります。

ヴィックに泊まり、翌朝目指したのは、ラ・ガリーガLa garrigaという町の教会サンタ・マリア・デル・カミEglesia de Santa Maria de Cami。
この日は、夕方にはバルセロナに戻る必要があったため、その途上にある町を目指したのです。
町までは順調にたどり着いたものの、教会の場所はまったく分かりません。
とりあえず、車を止めて、そこにあった町の地図でチェック。




こういう地図って、ほんっと、腹立たしいです。
一見、ちゃんとしてて情報として役立ちそうなのに、実は、道の名前は記されていないわ、教会のマークはあっても名前は記されていないわ、もうまったく、町として、自分たちの大切にすべきものを大切にしてないって言うか、自信もってないって言うか、何のための地図なのか分からないって言うか。そのくせ、「古代コース」「中世から近代コース」とかの観光コースを、ざわざわ色分けして記しているという訳の分からなさで、脱力です。

通行人数人に聞いても、古い教会なんて知らない、と言う人ばかり。やっと、かなり地域に詳しい人に出会い、多分ローマ遺跡のある場所のアレじゃないか、と地図を見ながら、行き方を教えてくれました。
その通りに辿ったつもりですが、まったく視界に入るそれらしい建物はないし、どうしても訪ねたい理由もないので、結構苦労したのに、収穫なしで町にお別れすることになってしまいました。




何の変哲もない、ラ・ガッリーガの中心地。特徴のない町並み、そして何の収穫もなかったのに、おろおろうろうろしたので、そのたたずまいは、結構しっかり記憶にあります。

次に目指したのは、カノヴェラスCanovellas。これも、途上にあるから、というに過ぎません。
しかし、ここもまた、迷いに迷いました。
この辺り、元は何もなかった丘の続く土地だったのが、どうやら比較的最近、開発されたようなんです。新興住宅地。教会のあるはずの道の名前をナビに入力したのですが、わたしのアップデートしていないナビには、開発後の姿など分かるはずもなく、変な道に入り込んでは固まる、ということの繰り返し。

それも、丘を切り開いているので、かなりアップダウンも激しく、変な道に入り込んだら、坂道の苦手なわたしには、相当リスクが高い。用心しつつ、やっとの思いで、この先にありそうだ、とかなり確信できる道にたどり着きました。
最後は、車は行き止まりでしたが、徒歩で進めそうです。




古い建物があるので、新興住宅地になる前にも、もちろん村があったのだと思いますが、それは、農家が数軒とか、家が数軒とか、多分そういった村だったのでしょう。もしかすると、修道院とかがあったのかもしれません。今の村の中心に、この閉鎖的な建物がそびえていましたので、修道院の名残かもしれないと思いました。

やっと探し当てた、目的の教会サン・フェリクス・デ・カノヴェラスEglesia de Sant Felix de Canovellas。




しかし、残念ながら、入り口には鉄柵があり、これ以上近づくことも出来ませんでした。




こんな、遠いんです。
でも、目的は、正面入り口周りの装飾なので、遠くとも、現代の優れたデジタル機器のおかげで、レンズを通してになりますが、とりあえず観察と記録はすることが出来ました。

全体に摩滅が激しいようですが、わたしの好むチェッカー模様がたくさん。




ぎざぎざの模様も、好み~!鳥がたくさんいますね。




鳥が中心モチーフ。鍵爪が妙に鋭い猛禽類的なのに、身体は鶉にしか見えなかったり。石工さん、地元系かな。表現力はいまひとつなんだけど、チェッカーやぎざぎざ模様の使い方は、モダンで、不思議。モダンっていうのも変ですが、でも、こういう風に幾何学モチーフを縁取りに使おうっていうのを、どこから思いついたかな、っていうところに、興味あります。




ハーピー?顔怖いけど、小さくて丸っこい身体と全然合っていません。翼がまた繊細に、彫りこまれていますねぇ。

扉上部にある、この二連窓の素朴さも好きでした。




おざなりな装飾。でも飾ろうっていう気概が感じられます。
それに、この微妙に色合いの異なる石積みが、大変好ましいです。




すごくきれいです。レンガも混じっているのか、それとも天然石で、こういうオレンジとかピンク系があるのか。これは、後陣の方も、是非見てみたかったです。こんなに異なる色でサイズも小さめの石積みっていうのは、なかなか見ないですよ。「最も美しい石積み」大会があれば、かなり上位に食い込みそうな、そういう石積みだと思います。

というわけで、見学はあっという間に終わったものの、何とか、遠くからでも後陣側が見えないか、と周囲をめぐり、ベンチに立ってみたりしたのですが、これが精一杯。




ファサード側の天辺と、後陣側の天辺が、手前の建物に隠れて、ほんのちょっと見えています。教会前にあった簡単な説明版に拠れば、後陣は三つあり、ロンバルディア・スタイルの装飾、という事なので、ブラインド・アーチ、もしかしたら、わたしの大好きな付け柱すらあったのかも!
ミサのときは入れるのでしょうけれど、平日17時に、この辺にいることは、相当難しいので、まず無理。本当に残念。

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  1. 2015/05/02(土) 01:51:43|
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色っぽい東方の三博士

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その24

ヴィックVIC、司教の博物館Museo Episcopale続きです。

祭壇板絵や木彫りの像の他に、もちろん、得意のフレスコ引っ剥がしも、いくつか展示されています。




Sant Sadurni d'Osormortという教会の後陣。
色の後退ぶりが、いかにもオリジナルって感じではありますが、それにしても、張りぼてのように形を作って博物館展示される後陣フレスコは、本当にいただけないです。こうやって正面から周囲を切り落として見れば、それなりの雰囲気も出ますけれど、でも実際は、かまくらを半分にぶった切ったような形をさらしているわけで。どうせなら、全体を教会の雰囲気にしてくれれば、まだいいんですけれども。




12世紀のものということですが、表現力は、プリミティブで、すごく力強いです。ビザンチンの風がなくて、色合いもあいまって、なんとなくカロリング風味が感じられてしまいます。




それにしても、足が立派…。

足つながりで、これも是非載せておきたいもの。





いや~ん、めちゃくちゃかわいい上に、色っぽい?ガーターの人たち。
EspinelvesのSant Vicenc教会の祭壇板絵で、もちろんまじめなテーマですよ。このお二人、誰だと思います?




じゃーん、左上の三人のうちの二人。どうやらマギの三博士。
こんなぽちぽちつきのタイツにガーター、それも、まさかの太もも生足で、ちらリズムですか~!
それにしても、この祭壇画の絵は、本当にかわいらしいです。

引っぺがし系に戻り、これもまた重要そうな一枚。




セウデウルヘルSeu d'Urgellのカテドラルから来たもの。いつか行きましたが、こんなものがあったなんて、記憶にないのですが、複製も置かれていないんでしょうか。
それにしてもこの最後の晩餐。相当、無礼講的な…。




そして、先に紹介した、今はずっと後代の形になってしまっている、この博物館のお隣にあるカテドラルにあった彫り物なども、並べられています。







窓外には、ロマネスク時代のままの、壮大な鐘楼が見えて、そうだった、ヴィックにいるんだった、としみじみ。だって、博物館とかにいると、展示は古くても新しい建物で、ここはどこ?って感じにもなるじゃないですか。




最初の記事に(確か)書いたように、ロマネスク時代については、意外と展示品少ないのですが、そのためにじっくりと見られたし、こうやって改めて振り返ると、すごいものを持っていることに感心しています。オリジナルを持ってきてしまうことについて、個人的には、賛否の否の方ではあるんですが、それでも、二度楽しめたことは確かです。

やっぱり、またスペインに行きたくなって来てます。

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  1. 2015/04/15(水) 06:33:36|
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聖母子の博覧会?

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その23

ヴィックVIC、司教の博物館Museo Episcopale続きです。
色彩も鮮やかな板絵の数々。





派手なピンク系の色、とってもきれいです。人の姿も、ちょっとベアトゥス入っている感じで、好み。マットな彩色も好みです。フレスコよりも、すべてがくっきりはっきりしているけれど、嫌味じゃないのが、不思議~。
まさに、ヘタウマって感じ。
これが、現地にあるのなら、何をおいても行くんですけれども。




光背を背負った聖人たちに見つめられて、曲芸しているこの図は、なんでしょう。

それにしても、この手のものを見ていると、色合いが、歌舞伎とか、派手な神社とかに通じるものがありませんか。そういえば、柱頭だって、昔は彩色されていたものが多かったし、それがまた派手な色なんですよね。結局宗教施設を飾るものは、派手に豪奢にすることで、神を寿ぐ、みたいな意識なんでしょうかね。

色がすっかり褪せて、枯れた感じになった千年後のたたずまいに慣れているし、そういうもんだと思っているし、それが好きなんだけど、当時は、度肝を抜かれるような姿だったのかも、と想像(しにくいけれども)するのも、楽しいものです。

エリル・ラ・ヴァルErill la Val、ボイ谷Vall de Boi'の教会の木彫り群像もありました。




ということは、現地のは、レプリカだったんだっけ?
2006年にアップした自分のサイトで確認したら、確かに「オリジナルはヴィックの博物館」と書いてありました。でも、その旅のときはヴィックに立ち寄ることはなく、それ以前2002年に訪ねた落成直後の博物館には、まだ展示されていなかったか、または、自分が気付かなかったか、です。当時はまだロマネスクに詳しくもなかったので、見落としの可能性も高いです。

なんだかこれら木彫り彫像、すごく精巧で、理科の教材のようでもあり、同時に、まるで現代彫刻のようなモダン・テイストもあるんです。




ね、これ、現代作家の作品と言っても、通りそうです。

木彫りといえば、ここらではこれですよね。





マリア像や聖母子。10世紀から15世紀くらいまでにわたって、実に多くの木彫り聖母子像が作られています。これは、簡単に盗まれたりしそうだから、博物館入りになるのがちょっと理解できる作品。
それぞれ味があります。上のは、ソルソナSolsonaご出身聖母。13世紀。
時代が下るにつれ、細部にこだわりが出てきたりしますね。衣装のスタイルや色、髪型とか、すごく凝っています。

こちらは、ヴィック近郊ご出身聖母子。12世紀。





地味ながら、意外と金のかかった衣装、みたいなイメージです。それにしても聖母の鼻のつんとした感じが、エキゾチック。





ヴェシアーナVecianaご出身聖母子。13世紀。
立派な王冠で、威厳のある聖母。
個人的には、12世紀以前の素朴系が好みですが、こうやって比べてみるのは、興味深いものです。

最後にもうひとつ。





色が美しいです。ついつい聖母にばかり目が行ってしまいますが、このキリストは~。お茶目全開、身をよじって、俺もいるぜ~、とばかりのポーズにどや顔です。セウドゥルヘルご出身聖母子。13世紀。

ああ、どれもかわいらしい。
こうやって改めてみると、やっぱりたいしたものを持っているじゃん、と感心します。そして、写真で見直すと、細部が観察できるし、勉強になります。現場では、あっちにふらふら、こっちによろよろ、となってしまい、見ているようで見ていなかったりするもんですから。
面白くもないでしょうが、もう一回続きます。

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  1. 2015/04/10(金) 05:18:19|
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