カンタブリア・ロマネスク、その28
サントーニャSantonaの次に、プラヴェスPravesという村に向かいました。ここは、不思議でした。
街道からちょっと入った場所に、民家が点在しているだけの村。その一番奥に、それらしい建物が見えます。
多分、目指している教区教会Iglesia Parroquial de Praves。
でももう、遠めにも、見るからに「違う」。
とは言え、はるばる来たのですから近づいていきます。事前情報の見所は、「ポルタイユ」。
正面扉にして、この簡素さは驚きです。
確かに完全半円アーチだし、ロマネスク時代の構造であることは間違いないと思いますが、それにしても、見所というにはあまりに…。
うーむ。ここを訪ねる場所のひとつとしてメモしたのはわたしなので、文句も言えませんが…。
かすかーに、何かのあとはありましたが…。
そしてかろうじて、軒送りに、こんなものは見つけましたが…。(…、多すぎ。)
実際、現地で仕入れた、かなり小さな教会まで網羅しているカンタブリアのロマネスク本にも、出ていませんでした。どこで拾ったんだろう?
気を取り直し、西部に戻ります。地図を眺めて、ランチをいただけそうな、という観点で向かったのが、リエルガネスLierganesという町でした。
ここからは、ロマネスク修行、一時停止で、旅行記となります~。
いきなり、割と繁華な場所に出てしまい、アワアワしていると駅前広場に出ました。どうやら地元の祭り(日本だったら盆踊り的な)の片付け最中。労働者に、ランチできる場所を尋ねてみると、地元の人だったようで、適切な駐車場所も含め、実に詳細な情報を教えてくれました。
で、教会は多分、目指しているものと違うようだったので、完全に方向転換。ここではご飯をいただくことに目的を絞りました。
駐車して最初に出会った風景がこちら。
これは、ローマ橋と呼ばれているものの、今ある姿は、16世紀に作られたもののようです。でも、きっとローマ時代から橋があったのでしょうね。美しい眺めです。
この橋を渡り、旧市街にアクセスします。
いきなり、中世そのままの町並みが展開するので、びっくりしました。
だって、車ではいきなり新市街にアクセスして、かなりごちゃごちゃとしていましたからね。
とても美しい町だし、その美しさを自覚して、メンテナンスして、観光客を呼んでいる様子で、好感度高し。
そして、事細かに教えてもらったレストランがまた、素晴らしかったのです。
外観は、安っぽい海の家的な大味な雰囲気だったので、半信半疑で入ったのですが、内装はシックで、なんで?っていうくらいオサレ度高かったのです。
やっぱり、山のリゾートみたいなことで売っている町なのかも。
El Ojo del Abrego - Lierganes
メニュー15ユーロで、ランチにはちょっと高いと思いましたが、十分価値がありました。
コシーダ(盛りだくさんのスープ)、メルルーサのフライ、そしてデザートはタルト・タタン。
家庭料理的ではあるのですが、お皿や銀器、グラスがオサレなこともあり、余計においしく感じました。実際、タルト・タタンは、絶品でしたが。
ついでに、カンタブリアでいただいたものを、ちょっと並べてみようかな。どうせ今日は、観光記事に成り下がっちゃったし。
友人と過ごしたサンティジャーナ・デル・マルでは、一人じゃなくて3人で食卓を囲むというのが、とっても嬉しかったですね~。
というのも、スペインは全般的に飲み文化がありますから、つまみ複数でのんびり飲む、という食べ方が出来る居酒屋系のお店も多いのです。が、一人だと、あまりたくさんのお皿を頼めないですからね。
そういうときに食べるもの。
山盛りサラダ、ガリシア風の蛸、ガンバス(海老)!
そういえば、サンティジャーナでもシードルに出会ったのですが、ここでは、店員さんが1メートルも上から一杯ずつ注ぐ、などという非生産的なことはしておらず(あれ、楽しいですけどね)、自動的に泡立てながら注げる器械的なものが、テーブルごとに置いてありました。
食後には、あれば必ずクアハーダ。これ、大好き~!
カンタブリアでは、レイノーザReinossaという内陸の町に二泊、サンティジャーナに二泊しました。サンティジャーナでは、友人と落ち合ったこともあり、楽しくおいしい夕食を、時間的余裕も持っていただく機会を得たのですが、レイノーザでは、かなりしょぼい夕食をいただいていたことを思い出しました。
歩いていける場所にレストランがあることを条件に、それなりの規模の町を選んだのですが、一日修行を終えてホテルに戻ると、疲れが激しく、結局二晩とも、ホテルにあるレストランでいただくこととなってしまったのです。
宿泊客には、激安でメニューが供されていたと記憶しています。10ユーロとかそういうレベル。多分、レストランのアラカルトでいただいても、たいした金額じゃなかったと思うのですが、それすら面倒で、自動的に出してくれる激安メニューを食べていたんですよねぇ。今考えると、もったいなかったなぁ。
でも、いいホテルでした。駐車も、ホテルの前に停め放題でらくちんでしたし。
Hotel San Roque
Avenida Cantabria 3, Reinosa
ついでに、サンティジャーナの方も、かわいらしいホテルでした。
Posada de la Abadia
Calle Revolgo 26, Santillana del Mar
ということで、わき道にそれてしまいましたが、カンタブリア・ロマネスク、もう少し続きます。
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- 2016/02/12(金) 06:42:50|
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カンタブリア・ロマネスク、その27
バレージョBareyoのあと、エスカランテEscalanteという村にあるはずの礼拝所のような教会を探したのですが、どうにも見つからなかったのであきらめ、向かったのは、サントーニャSantona。
だめなときは本当にだめ。特に町はずれにあるような礼拝所などは、道路標識が頼りになることが多いので、その土地でいかに大切にされているか、ということが、見つかるか見つけられないかの差になったりしますねぇ。
あとは、自分のやる気にもかかっていますけれど。このときは、もう旅の終盤(最終日の前日)だったため、疲れもピークで、執着に弱気が見えていました。あきらめも早いわけです。
さて、サントーニャですが、これは結構な町のはずれにある、結構立派な町の教会でした。サンタ・マリア・デル・プエルト教会Iglesia de Santa Maria de Puerto、または、ノストラ・セニョーラ・デル・プエルト教会Iglesia Nuestra Senora de la Virgen de Puerto。
見るからにゴシックが主という感じですが、一個見逃して、はるばる来た感もあり、期待したいところです。
周囲は柵で囲まれた広い敷地となっています。門が開いていただけでも、満足すべきなのかも。
どうやら、かつては、9世紀初期創建の修道院があったようです。とは言え、今ある教会は、13世紀に建てられたもの。やはりゴシック入っているわけです。
いやん、ポルタイユも、ゴシック臭ぷんぷん!
アーチの先っぽがちょっととがっているだけで、なんかだめーと思ってしまう、この感覚、何とかならないですかね。千年以前の雄大な話をしている中で、100年くらいの違いがなんだろうと思うんですが、この違いが無限に大きいというのは不思議なものです。
でも、ところどころ、名残がありますね。
実はたどり着いたとき、大清掃中で、もうしばらくで終わるから、と中には入れてくれなかったのです。というわけで、近所のバールでカフェを飲んだり、清掃中の人の犬と遊んだりして時間をつぶす羽目になりました。
一応周囲は見て回ったのですが、ほんの一部しか、ロマネスク見所はありませんで、時間をもてあましてしまいました。
その一部は、たとえば南側にある扉周辺の装飾とか。
シンプルながら、古い彫り物があります。残念ながら、磨耗が激しい。
でも、扉も半円アーチだし、こちらはロマネスクが残っています。
さらに地味な名残としては、軒下に並んだ、お干菓子系超浅彫り。
超シンプルだけど、シンボリックな単純なモチーフが横並び。深読みすれば、これなど性器にも見えたりするんですが、どうでっしゃろ?
さすがに待ちくたびれたので、催促すると、まだ床がぬれているから、滑らないように気をつけてくれれば、ということで、入場できました。
こんな感じなので、一瞬腰が引けますが、いやいや、せっかく30分近くも待ったのだから、と気を取り直して、ディテールの観察に入ります。
ゴシック・テイストが若干入りますが、なかなか面白い柱頭がたくさんあります。
つるつるした質感そのままの彫り物と、やけに細かい手の込んだタイプと、色々。テーマも様々です。
そして、バレージョに続いてここでも、面白い洗礼盤がありました。
すごい~、立派!正面。
ここも、足のところは、ライオンが二頭です。バレージョのライオンよりもお茶目な感じ。
水盤周りは、ただ装飾的なものですね。勿論、このあみあみ組紐系が永遠などを表しているシンボリックな装飾だとは思いますが。
後ろ側。
尻尾を巻いたライオンのお知りに挟まれて、人物フィギュア。なんでしょうねぇ。
念のため、もう一度ライオンのアップ。
ちょっと爬虫類っぽい。石が黒いのもあいまって、ぬめぬめ系っていうか。
それにしても、ライオンのいる洗礼盤。やはり試されるってことですかねぇ。
ということで、この教会は、入れないと、ほとんど訪ねる意味がないかもです。特に、鉄柵が閉まってしまうと、教会にすら近寄ることも出来ないので、こういうロケーションって、要注意。
ということで、重要なアクセス情報も貼っておきますね~。
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- 2016/02/11(木) 06:37:28|
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カンタブリア・ロマネスク、その26
バレージョBareyoにある、サンタ・マリア教会Iglesia de Santa Maria続きです。
昨日の記事の最後で紹介した水色の男は、大変唐突で不思議ですが、こうやって全体で見ると、その感じがよく伝わるのではないかと思います。彩色が、ここだけに残っていたのだとすると、それもまた非常に不思議ですよね。
男以外の柱頭彫り物もまた、どうも、あまり他に見ないタイプのものが多いのですよ。
遠目にも、頭部がやけに多いなっていうイメージが伝わると思うのですが、アップにすると、なんだろう?的な。
これなど、やばいでしょ?
後陣右手にある、祭具室への小さな扉周囲の装飾も特異です。普通は、さほど装飾満載にしない場所だと思うんだけど。
よく見ると、やたら珍しいタイプの頭部満載。
ちょっと吉田戦車入ってる感じのこちらとか、一方で、イタリア現代美術の巨匠、ミンモ・パラディーノだろう?というようなこちらとか。
ね?興奮しませんか?
これだって相当変な感じなのに、すごくまともに見えちゃったり。
というのも、蛇に耳を噛まれちゃっているというのは、割とよくあるモチーフで、だからそれなりにロマネスク範疇に入るよな、と納得できちゃうわけですが、上の方のは、一体なに?
それなりにエピソードっぽいものも、あります。
ドラゴンか蛇か、にょろにょろ系と戦っています。右手にはライオンのお尻があるので、サムソンかダビデか?
こちらは、ある種の写実ぶりがすごいです。
牛の鼻輪をぐいぐい。ここまで細かい彫りで鼻輪って、見たことない!
こっちにも、えぐい顔がいた。
本堂の方は、建物もゴシック以降だし、彫り物装飾も、ゴシック臭が感じられます。
それにしても、面白いでしょう。
で、これだけでもいい加減感動しているのに、実はこれで終りじゃなくて、むしろ、この教会の一番の売りは、もうひとつあるんです!
ちょっと脇っちょの隠れたところにある、こちらです~!
怪しい彩色が残る、洗礼盤。
そういえば、あの怪しい男の衣服と同じ色ですね。きれいな水色。
これを見せるために、ちゃんと係りの人がいて、確か1ユーロとか2ユーロを徴収されるのです。でも、その分、しっかりとした解説メモをくださいます。
スペイン語なので、斜め読みですが、この面では、左側のイチョウの葉っぱみたいのが連続しているところ(雲なのかな)が天を、右側は地上を現しているようです。
地上のさらに右側に回ると、こちらは世界を現しているとか。連続性ですよね。
その先はこちら。
永遠。これも、更なる連続性を、組紐系の果てしないモチーフで表しているようです。
水盤の下部には、ライオンが二頭。
この位置だと南方面らしいのですが、二頭そろって同じ方向を向いて、何かを加えていますね。結構シリアス顔。
で、向かって見ると。
どしゃ~!人、喰ってる~!右の方の手が、やけにリアルで、これは怖い!水盤の下にこのモチーフって、見たことないです。
モチーフとしては、よく教会入り口脇にいるライオンと同じなんでしょうが、この手が~!
というわけで、すっごく期待があったわけではなかった教会なのに、大満足の見学となりました。ここでは、同好の士とも出会い、片言のスペイン語で感動を分かち合うことが出来たのも、嬉しかったです。そのため、わたしにしてはずいぶんとゆっくりじっくりと見学したものでした。
やはり、写真だけではわからない。現地に行ってこそ、としみじみ思います。
っていうか、ここは、ゾーン的には行けそうもない、と思っていて、それでも一応調べといた程度の場所だったので、発見的な喜びもありました。
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- 2016/02/09(火) 05:59:35|
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カンタブリア・ロマネスク、その25
覚書として始めたブログなのに、記憶が薄れるくらいにアップが遅れてしまって、めまいがしそうです。が、めげずに再開しますね。
次に回るのは、カンタブリアの最北東地域となります。
まず向かったのは、バレージョBareyoにある、サンタ・マリア教会Iglesia de Santa Mariaとなります。
やさしい起伏の続く美しい田舎。村に続く、緩やかな登りの中腹に現れる教会です。
入り方がわからず、ちょっと先まで行ってしまったので、車をうっちゃって、徒歩で引き返しながらアクセスしたのですが、こういう風に、ちょっと離れた場所から全体を眺めながら近づくわくわく感って、とっても好きです。
足元には、自然の花がたくさん咲いていて、のどかな気分増幅。
最初に言ってしまいますが、ここ、素晴らしいです。
今、写真を見返しても、どこから紹介しようか、アワアワするほど楽しいです。
上の写真でわかるように、外部は、かなり大きく変わっていて、ロマネスク起源が明らかなのは、後陣部分くらいかも。
こうやって見ると、ちょっとずんぐり感がありますが、現地で見ると、もっとすらりとしたイメージです。
地面が斜面になっているのがわかると思うのですが、後陣全体を見ようとして離れると、おそらく自分の位置が低くなるので、スラリ効果があったのだろうと思います。
ズーム。
ゴシック期以降に、かなり手が入っていることを考えると、ここの装飾も、結構時代が入り混じっているのでは、と想像します。
窓アーチのトップに置かれた十字架は、勿論後代のものでしょう。持ち送り彫刻とくっつきそうな邪魔しそうな微妙な位置におかれたせいか、若干ずれているというのか、無理やり置いた結果ずれちゃったのか、変ですよね。
そもそも、一番外側のアーチも、後代の付け足しと見ましたが、でも、なぜあえて付け足したのか?もっとばんばんに変えようとして、結果的にはこれだけで終わってしまったのか?
後陣全体の写真を見ると、この意味のない付け足しのおかげで、わたしの愛する付け柱が、途中でぶった切られた様子がわかります。
こんな感じですね。
アーチ部分は、石の材質も異なりますね。地は、凝灰岩的な感じがしますが、後付のアーチは、白い。
持ち送りの彫り物も、こういう、いかにも素朴なロマネスク風があり。
一方で、やっぱりちょっと時代が下る様子のものもあり、入り乱れています。
この顔は、右にある動物の頭よりはあとではないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
こっち側から見る後陣が、本来のオリジナルの姿に近いでしょう。
この窓、二連というのが、とても独創的。それも、開口部が猫の瞳を縦にしたように細い(下にある、内側からの後陣の写真を見ると、細さがわかります)。
こういう時代ミックスが、実は内部にもあります。
南側に開けられた入り口から入りますと、西側、礼拝席の方は、ゴシック。
全体が新しい雰囲気です。マトロネオまたは合唱席の部分などは、相当新しい。
そして、後陣側は、どうかというと。
おお~!ゴシックの林の向こうに、大好物的な!
例によって小走り!
素晴らしいです。保存状態のよさもあり、全体のたたずまいもうっとりものなのですが、ほぼ完璧に残されている柱頭そのほかの彫り物の面白さは、すごいですよ。
その中で、まずどうしたって目に付くのが、この人。
すっごく唐突な全身像。その上、彩色あり!
この内陣全体は、相当繊細な修復を施されていると思うのですが、彩色はオリジナルと思われます。ということは、他の彫り物にも彩色が施されていた可能性大。興味深いです。
それにしても、この男、誰?
髭、濃いです。
年寄りでもなく若くもなく。髪型的には聖職者に見えないこともなく、一般人的でもあり。教会の寄進者とかの可能性もゼロではなさそうな。
教会は、サンタ・マリアに捧げられているので、ゆかりの聖人でもなく。
実際、この人が誰か、ということは謎となっているようです。
それにしても、衣の色が好き。この微妙な水色は、何からとられた色なのか。
ちょうど、教会に入る前に咲いていた花たちと同色。ロマンですねぇ。
ということで、続きます。
いつも、訪問くださる方には、再開が遅れて大変済みませんでした。
先週末、ウィルス性の風邪をどっかでもらってしまったようで、風邪症状に加えて胃痛、骨痛など、こんなの初めて~!という日々で、それでも仕事を休めなかったため、早寝する以外に対策もなく、結果、長いお休みとなってしまいました。
おかげさまで、昨夜は久しぶりに外食を物し、無事、グラッパまでたどり着けましたので、ほぼ大丈夫かと。いきなりグラッパかよ、ですけどね。笑。
アップしたい場所がたくさんある上、今年はイースターが3月後半と早いので、追い討ちをかけるように写真がたまりそうですから、どんどん行きます!
のわりに、一回の記事が少ないですけど。結構大変なんですよ、記憶薄れてきてて…。
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- 2016/02/07(日) 21:50:54|
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カンタブリア・ロマネスク、その24
カスタニェーダCastaneda、サンタ・クルス参事会教会Colegiata de Santa Cruz de Castaneda続きです。
時間が押し迫っていたので、アワアワと内部を見学したあと、ゆっくりと外観見学です。
中もよかったけれど、外もなかなかのもんなんです。後陣側、特にステキ。
昔は、何もない場所に、ぽつんと建っていたのでしょうけれど、今は周囲が整備されて、公園のようになっています。裏の方は、先に抜ける車道もなく、放牧場になっていました。
大きく突き出した後陣には、三つ開口部。それぞれ、シンプルな装飾が施されていて、内部と通じるものがあります。
アーチにぐるりとぎざぎざ三角帯。そして、下部には、チェッカー帯。素朴で、でも好き!
両脇の小さな後陣も含めて、軒送りの彫刻がありますが、ここは建物に比して、正しい、というか、本来の縮尺って感じ。
モチーフは、それぞれ面白いし独創的ですが、小さいせいか、インパクトも小さい。ここに至るまで、散々、「でかすぎるだろうよ?」というものを見すぎてしまいましたかね。
正面入り口部分。
改めて、こうやって見ると、すごい大アーチなんですね。それも幾重にも。
アーチ根元の柱頭装飾では、やはりここでも”ほっぺたスリスリ二頭スタイル”でしたよ。
ディテールはよく残っていますが、全体構造、この辺りを見ると、ずいぶんと後代の手が入っているようです。
よく見ると、一つ一つが、やっぱり愛らしいのです。
ゆっくり堪能しましたが、いくらスペイン時間でも、これ以上見ていると、ランチをくいっぱぐれるような時間になってきました。実は、オープン時間を超えて、中を見学させてくれた親切なオバサンに、近所のレストラン情報をもらっていましたので、そこに向かうことにしました。
一応、教えられたように行ってみたつもりなんですが、まったくわからない。
車の生活をしている人って、距離感が違うんですよね。ほんのすぐそこ、というのが、平気で10キロくらいの距離だったりする。わたしは普段の生活では車を使ってないから、どうも、そういう感覚がわからず、すぐって言ったよなぁ?と悩んでしまうことが多いのです。
このときも、かなり進んでも見当たらないので、ほとんどあきらめかけたところで、道端に、駐車も出来るしょぼいバールのようなレストラン発見。
とるものもとりあえず、入ってみました。っていうか、選択肢、他にないし。
予想通り、かなりしょぼい感じの店で、お客さんは、どこで働いているのか、いわゆる肉体労働者系の男性ばかり。なぜか、スペインの田舎の食堂に入ると、こういう状況に遭遇する確立がすごく高いような気がします。
だから、驚くこともなく、やっぱり~、という印象で、テーブルに腰掛け、定食を適当に注文し、ぼそぼそといただいていると、日本語が聞こえた!
顔を上げると、日本人がお二人、入ってきたところでした。こんなところで?なぜ?と呆然としたのも一瞬、もしかして、今夜お会いすることになっている方々では?と思いつき、声をおかけしたら、まさにその方たちだったのでした。
ドラマ~!すごくしょぼいですが、でもドラマ。
彼らとは、メールや電話でコンタクトしていましたが、お互い顔は知りませんでしたからね~。嬉しい驚きでした。
テーブルをご一緒し、おしゃべりを堪能しました。いきなり日本にいるみたいな錯覚。
彼らは、カスタニェーダを訪ねたものの、既にクローズしていたので、まずは腹ごしらえを、ということで、やっと見つけたのがこの食堂だったということでした。ということは、やはりこのあたりには、ここしかないということで、あのオバサンが教えてくださったレストランは、やはりここということらしい。
食事のあと、夕食をご一緒することを約し、彼らは、カスタニェーダに戻り、わたしは、今夜の宿のあるサンティリャーナ・デル・マルに向かいました。
旅先で、こういう出会いがあるというのも、楽しいことですね。
なんだか、もはや年内には終わりそうもないので、のんびりとアップすることにします。あと、もう少しなんですけどね。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2015/12/29(火) 06:46:07|
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