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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

犬好きに捧げる、暗闇の柱頭。サン・ヴィセンテ・デ・ラ・バルケーラ

カンタブリア・ロマネスク、その33(最終回)

サン・ヴィセンテ・デ・ラ・バルケーラSan Vicente de la Barquera、サンタ・マリアまたは、ヌエストラ・セニョーラ・デ・ロス・アンヘレス教会Iglesia de Santa Maria / Nuestra Senora de los Angeles、続きです。

この、外観はほぼゴシックという教会では、かすかに残るロマネスクを求めて、宝探しをする必要があります。
前回の門をさらに回り込むと、現在、教会の入り口となっている、もうひとつの門があります。




教会の南側になるこの門は、村の人々の門La Puerta de las gentes de la villaという名称になっています。
リュネッタの部分には、後代、16世紀のもののようですが、(わたしにとっては大いに)余計な飾りがついていますし、その下には、入場料とかが大きく掲げられていて、げっそりしますが、門そのものは、とても立派な構造で、装飾的にはシンプルですが、アーキボルトの積み重ねに迫力があります。こういうのが流行ったことがあるんですね、きっと。

側柱の柱頭彫り物は、時代が入り混じっている印象ですが、かわいらしいです。
右側。




そして左側。




好みでは、右側はこの、にょろにょろに取り込まれた顔の人。




左側では、得体の知れない物の怪風満載のこれかな。




アーキボルトにも、ちょっと面白い人たちがいます。




なんか!この手の素朴系フィギュアに出会うのって、すごく久々感がありました!
角っこにつつましく佇む、聖職者風。胸の前で自分を抱きしめるように巻いた手が、すごく大きくて、印象的。目力も半端ないですよね。
衣が短めで、出ちゃっている足の感じもかわいい~!

お向かいにいる人は、ほぼ完璧お地蔵様!




内側アーキボルトの大きなジグザグも、結構好きなモチーフです。

有料ですが、ここまで来た以上、勿論入場。
いきなりこんな感じなので、ちょっと気持ちが引けます。




でも、ありがたいことに、古い時代のものが、ちゃんと薄闇の中で待っていてくれるんです。
ほれ!




いやん、ただ、かわいい!




あれ~?わたしは、犬か猫かといえば、完全に猫派ですが、それにしても、この子達かわいいし、でも、かなり明らかに犬?ちょっとびっくり。上のも犬っぽい。ライオンが犬に見えるっていうのはあっても、犬そのものって、モチーフとして、出てこないよね?猫もないけど、ライオンが猫っぽいっていうのは多いです。
ってことは、モチーフとして、かなり新しい?それとも、犬って、ロマネスク装飾にありましたっけ?




動物モチーフ、それもよくある幻獣系というよりも、現実派系が多い柱頭満載。
単に手がつたないから、時代が古いような気がしてるのかな?




そういわれれば、そうなのかな?という気もする彫り物。
とは言え、なんとなくかわいくて、そういうものがあるというイメージがなくて意外な発見だったのも面白くて、結構じっくり観察してしまいました。

結果、この町でランチを取る時間がなくなって、空港に直行することになってしまいました。が、それはそれ。最後まで好きなものにどっぷり浸れてよかったです。ちょっぴりだけど、海も見られたしね。

というわけで、最後は地味ですが、カンタブリアの旅、これでとりあえずの終了。とりあえずというのは、おそらく次回があるという気持ちをこめてです。
アストゥリアスと合わせて、1週間で合計53の教会めぐり。がんばったな~と、今更ながら感心しています。
いずれにしても、長丁場、お付き合いください、有難うございました。

次回以降は、引き続きスペイン特集にするか、たまにはイタリアに戻るか、思案中です。最近怠け癖がついて、お休みも多いですが、どうぞ、あきれずにお付き合いくださいね~。

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  1. 2016/02/20(土) 07:03:27|
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ゴシックに埋もれた宝を探せ!サン・ヴィセンテ・デ・ラ・バルケーラ

カンタブリア・ロマネスク、その32

いよいよ、長丁場となってしまったカンタブリア編、最後の訪問地サン・ヴィセンテ・デ・ラ・バルケーラSan Vicente de la Barqueraです。
この町の名前って、なんだかそれだけで、海の童話みたいなイメージが湧いて、わくわく感を覚えます。名前フェチって訳ではないんですが。

さて、まずは、町の作りもよくわからないなりに、旧市街から橋を渡った側に出てしまいました。
駐車場の目印があったので、すかさず入場、停車。この日は時間に限りがあることから、駐車場ごときでうろうろ悩む暇がないのです。
幸いにも、橋を渡ってすぐだったので、旧市街に戻るのは、ちょっとした足慣らし程度で、ちょうどよかったです。




赤い目印のあるのと、反対側の袂から、ちょっと先に行ったところの水色が、わたしの利用した立体駐車場。手前の方にも水色がありますが、こちらはほぼ満杯だったのでした。

車で動いていると、歩くことが少なくなり、土地勘が鈍ります。こういうように、ちょっと離れた場所に車を停めることで歩かざるを得なくなり、ほんのわずかでも、町の雰囲気がつかめるようなところがあるので、時間があまりなくても、個人的には、ちょっとでも歩ける方が嬉しい。

橋から、旧市街の様子が見えます。と言っても、このときは、緑の向こうの高台が旧市街だとは、まったくわかってなかったんですが。




旧市街は、丘にへばりついているような町で、橋をわたりきるとすぐ、結構な坂道が始まります。
道脇のところどころには、こんな岩肌が見られます。




丘ではなく、岩山なんですね。
岩の上には、お城があります。時間的に余裕のある旅だったら、第一の観光スポットは、このお城なのかもしれません。城壁に登ったら、美しい海の風景が広がりそうです。




わたしが目指すのは、こちらです。




サンチャゴ北部巡礼路。
この辺りからだと、サンチャゴ・デ・コンポステラも、かなり近づいてきた感じがあるかも。巡礼路も相当多くのルートが入り乱れています。この北部ルートは、美しい海の眺めも広がりますが、アップダウンも激しく、岩山が途切れ途切れにつながり、内陸と比べても、決して楽な道ではありません。でも、内陸だと、ピコス・デ・エウローパが立ちはだかったりするので、こっちのルートも開発されたのでしょうかね。

坂道を登りきった先に、目指す教会がありますが、その前に、これ。




教会のすぐ前に位置しますが、巡礼救護所Hospital de la Concepcionの門だけが残っているのです。14/16世紀頃に栄えたようですが、様式はそれ以前のものですから、古い建物を再利用していたのかもしれません。

いよいよ目的地に到着。




サンタ・マリアまたは、ヌエストラ・セニョーラ・デ・ロス・アンヘレス教会Iglesia de Santa Maria / Nuestra Senora de los Angelesです。




うっ!?これは何?と思いますよね。どう見てもロマネスクじゃないし。
実は、今ある教会建物全体は、ゴシック時代のもので、外観的には、ほぼロマネスクは感じられないたたずまいになっているのです。
でも、せっかくはるばる、坂まで登ってきたのに、とがっかりするのは早い。一応、一部、古い遺構もあるのですよ。

それが、こちらの門。ポデール門La puerta de Puder。




明らかに門とその周囲の装飾だけ、建物から浮いてしまっています。
気になる側柱の柱頭。右側。




騎馬の人がいたり、何かやってる人がいたり、残念ながら摩滅が激しいですけれど、間違いなく、わたしの大好きな時代です。
左側。




チェッカー帯まで傷んでいるのは、痛々しいです。
右側の一番奥。手前に騎馬の人がいて、門の方は町の姿ですから、エルサレム入場だったりしますかね。

一方、左側の一番奥は、なんだかとても面白いんですが、意味が分かりません。




扉の上にあるひさし部分に施された持ち送りにも、好ましい奴らが並んでいます。




猫科二連。どっちも口をあけて、何か加えていますが、ライオンとは思えない。どう見ても猫。
間に置かれた花の浅浮き彫りもいい感じです。

地味だけど、こんなところにね~、という発見の喜びがあって、結構満足。
扉の先は、小さいテラスになっていて、眼下には、海とつながる湿地帯が広がっています。




もう一回、続きます。

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  1. 2016/02/18(木) 06:53:31|
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猫額でも夢のようなプレ・ロマネスク教会。カボ・レドンド。

カンタブリア・ロマネスク、その31

カンタブリア最終日は、午後早い飛行機で出発だったので、あまり時間がありません。悩んだ結果、せっかくここまで来ていながら、ほとんど見ていない海を見てから帰ろう、と思いつき、行き先を決めました。




目的は、サン・ヴィセンテ・デ・ラ・バルケラSan Vicente de la Barqueraです。遥か昔に、通り過ぎたことはあると思うのですが、記憶なし。空港とは反対方向ですが、でも、高速に乗ってしまえばたいした距離でもないので、余裕です。うまくいけば、お魚ランチにもありつけるかも…。

ということで出発。サンティジャーナから出発なので、高速(写真下の赤白の道)ではなく、海側の国道を使うことにしました。
がらがらのきれいな道を、快適に走っていると、10キロも行かない地点、道端に、またもや、目立つ看板発見!




いったん通り過ぎたのですが、後戻って確認。道端に教会があるわけではなく、街道沿いの村に入り込む必要があります。でも、好物のプレロマネスクとあっちゃ、知らん振りは出来ません。
というわけで、カボ・レドンドCabo Redondoという村の住宅街に入り込みました。
ちょっとの間、さして広くもない住宅地を行ったり来たりして、たどり着いたのは、こちら。サン・バルトロメ礼拝堂Ermita Prerromanico de San Bartolome'。9世紀起源です。




かわいらしい後陣!
本来あるはずのファサード側、つまり西側は、のっぺらぼう。




おそらく、こんな小さな建物ですから、もともとファサードのようなものはなかったと思いますが、いずれにしても、後付の壁のようですね。
一帯は小さな児童公園になっていて、脇を小川が流れ、実に小さな土地ではありますが、夢のようにきれいな場所でした。

南側に扉。勿論開いていませんでしたけど。




こんな小さくても、持ち送りには、ちゃんと彫り物が飾ってありますね。北側もずらり。ただし、ほとんどは傷んでしまっていて、原型がわからないものの方が多いのは残念。




こういう教会では、きっと地元の石工さんが働いていたのでしょうから、いずれにしても、シンプルなモチーフだったのだと思います。それも、かわいらしい村の教会には合っていますよね。
なんだか、人知れず、大切にされていて、ちゃんと往時の姿をとどめている教会に出会うと、無性に嬉しくなります。わたしだけが出会った、みたいな希少な気持ちになったりしてね。

気を取り直して、再発進。国道を順調に飛ばし、サン・ヴィセンテに近づくにつれて、海も近付いてきて、時々絶景が広がります。




でも、写真が撮りたい~、と思う場所では、なかなかうまく停車できず、やっと停車できる場所では、こんなつまらない絵しかとれないといういつものパターンで、残念。

サン・ヴィセンテは、予想より面白くて、教会の見所も多かったので、次回じっくり。

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  1. 2016/02/17(水) 05:54:39|
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芳しい?牛糞臭漂う教会の、不思議な生き物たち。アルゴミジャ。

カンタブリア・ロマネスク、その30

元気なときだと、まだまだこれから、という17時近くでしたが、やはり旅も後半になると疲労が押し寄せてきて、ホテルに向かおうと思う時間が早くなる傾向にあります。この日も、正直、サンタ・マリア・デ・カジョンから直帰したい気持ちだったのですが、せっかく通り道にあるものはやはり無視できません。身にも心にも鞭打つ感じで停車したのは、アルゴミジャArgomillaという村。




こういうときに限って、すごく探しているわけでもないのに、道端にこんなわかりやすい表示があって、ますます「無視するなよ」と言われている気分になります。
0.6とあるので、幹線から入ってすぐの道端に車を置いて、歩き出しました。

ところが、その辺は普通の住宅街で、教会の影も形もなし。100メートルほど歩いて、結局車に引き返して、改めて目指すこととなりました。600メートルなら徒歩でも10分もかからないし、と思ったのですが、実は、町をはずれた丘の上にあったので、すぐに引き返して大正解でした。丘の上だから、直線距離にしたら600メートルくらいのもの?




でも、丘の上から町のほうを見るとこんな感じですから、600メートルは間違っていると思います。マイル表示だったり?謎です。

丘には、牧畜農家があり、牛がたくさん。そして、例の田舎のにおい(牛糞系)が激しく漂っています。緑は美しく整備されており、においさえ気にしなければ、美しいたたずまいの教会、サン・アンドレスIglesia de San Andresがありました。




見るからに、いろんな時代に、いろんなものがくっつけられてしまった結果、こんな形になっちゃいました、というような複雑な建物になっています。
手前にどーんと建っている塔も、基部は教会創建時12世紀のものですが、上部は、15世紀以降に付け足されてもののようです。

この教会の向かいに、その頃の貴族の館のような建物があり、今はすっかり農家となっているのでびっくりですが、その貴族が、プライベートな教会のように使っていた時代があったのかもしれません。「丘の上にお館」って、まるで童話のようなたたずまいでしたが、今は、牛糞に取り囲まれて、ちょっと荒れた雰囲気でした。
というのも、酪農なのか肉牛農家なのかわかりませんが、泥と牛糞で辺りがぐちゃぐちゃで、正直言って、もう少し清潔に保てるのにそうしていないのではないか、という様子なんです。せっかく建物が素晴らしいのに、落魄というか、寂しい雰囲気っていうのかな。ここのミルクは飲みたくない、と思うような。

塔の下に隠されたポルタイユ。




ここも、アーキボルトへの気合は相当入ってますね。ここでは、柱頭彫り物があり、サンタ・マリア・デ・カジョンよりは、かなり装飾的です。




赤味がかった石と、白い石を、混ぜて使っているのが面白いです。彫り物はかわいらしいのですが、残念ながら、ちょっと放置されている様子が寂しいですね。それでも、雨風が直接当たらない場所だから、何とか完全磨耗を免れているような感じです。
しかし、ここ、鉄柵があり、近づけないのは残念でした。
後ろの方も、ポーチのようになっている場所に鉄柵があり、中には入れません。が、一部見られるようになっています。




何かしら心惹かれるものがあったので、入れるものなら入りたいと思い、向かいの貴族の館を訪ねてみたのですが、誰も出てきてくれませんでした。車があったので、人はいたはずなんですが、面倒だったのでしょうね、きっと。

さて、見るべきは、後陣側の装飾です。




後陣側が斜面となっていて、全体をうまく撮影できる場所がなかったので、こんな半端に姿。シンプルな付け柱三分割で、装飾が施された開口部あり。




大好物なチェッカー帯があります。これだけで嬉しくなっちゃうわたしですが、ここの持ち送り彫刻、楽しいですから、さらに嬉しかったです。










動物モチーフが多いと思うのですけれど、個性的です。動物以外のモチーフも、なんだかとっても不思議。チェッカー模様のお化けみたいなの、初めて見ます。
ライオンも、各種並んでいて、楽しい!




人もいます。




後陣の方向から考えると、理論的には北壁、そちらの持ち送りも面白いです。




普通、装飾は南壁に施されることが多いので、もしかすると後陣の方向が違うのかも。

それにしても、まさかの楽しさ。鞭打って来た甲斐、大いにありました。
この日は、数はあまり見られなかったのですが、終わりよければすべてよし、というのはあります。かなり満足して、ホテルに向かうことが出来ました。

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  1. 2016/02/14(日) 22:13:03|
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まさか鼻つまみ者?ってことか?サンタ・マリア・デ・カジョン。

カンタブリア・ロマネスク、その29

とてもステキなランチに大満足して、次に向かったのは、サンタ・マリア・デ・カジョンSanta Maria de Cayonという村にあるサンタンドレス教会Iglesia de San Andresです。




住宅地にあります。まん前にバールがあり、外のテーブルには、地元のオヤジ鈴なり。例によって、アワアワした感じで視界に飛び込んだであろうわたしに、視線が突き刺さります。
このあたり、基本的にみな親切で人懐っこいですが、無遠慮にべたべたするような文化はないので、特に声をかけてくるような人はいないのですが、ラテンの人たちは、興味のあるものを、遠慮なく凝視しますよね。
日本の、日本人の旅行者すらめったに来ないようなど田舎に、金髪碧眼とか、ブラック・アフリカ系の人とかが、アワアワやってきたら、やっぱり注目されちゃうと思いますが、日本だったら、きっと見て見ぬ振りをする人も多いように思います。

さて、一見、ちょっとがっかりした、というのが正直なところ。結構わざわざ来た、という気持ちだったんですが、どう見てもクローズだし、来た甲斐がなかったかも、といきなり意気消沈。視線が痛い。

正面扉、近寄ります。




すごい~。きれいさっぱりすっきり、装飾ゼロ!いっそ潔い清潔感です。何連ものアーキボルト、気合を感じますが、それで気合と石工の技量、使い果たしちゃったかな。
実際、シンプルだけど、ここまでアーチを重ねると、単純な美しさが産み出されるものですね。目からうろこ。

後付で残念感が高まったのは、ガイド本で、内部の写真を見たときです。




中も、すっきりさっぱり系ですが、こういう石だけ系アーチ多用、かなり好み。素敵ですよねぇ。この現場で写真を見ていたら、少なくともバールの人には、鍵のありかを尋ねたと思うのですが、この時点では、中はたいしたこともなかろう、と決め付けちゃったんです。だめですよ、こういう思い込みは。

何はともあれ、入れませんので(例によって、ミサのときだけオープンするようでした)、周囲の見学はきっちりしてきました。




後陣の方に移動しつつ、嬉しい発見!(シンプルもいいですが、やっぱり、何かあると嬉しい。)
円筒形じゃない角々のある変則後陣ですが、こちらは、ちゃんと装飾があるんです。特に持ち送り彫刻、かなりの数が目視で楽しめます。




ズームすると、軒送りにご丁寧にチェッカー帯まであります。これも好みです。
彫り物は、磨耗も激しいのですが、一目見て、怪しい感じがありあり。




付け柱の柱頭ですが、二羽の鳥に、鼻をつままれているようです。初めて見るモチーフ!

こちらは、教会の入り口で、人や羊を抱え込んでいるライオンと同じモチーフですが、それを数百倍かわいらしくしたバージョンで、その上、ライオンは猫にしか見えないし、抱え込んでいるものも、人ではなく獣、それも子猫にしか見えないっていうのは、不思議っていうか、かわいすぎ~!




これも、一見すると、普段はあまり目に留めない鳥モチーフなんだけど、足が発達してペンギン化してるバージョン!




こちらも、面白いのが並んでいます。




真ん中の三人オヤジぎっちり寄り添い系は、マギかな?と一瞬思えますが、でも、一人バージョンもあるんですよねぇ。




手の彫り方が一緒で、顔も似ているし、同じ石工さんだと思うけれど、単に持っているものが違うから、やっぱりマギかしらん。

これも、すっごくなぞ。 




顔が、水のようなうねうねなんですよね。よく、洗礼をするキリストを表すフレスコ画やモザイクであるような表現方法で、顔に水のうねうねが走ってるのです。だから、アップで見ると、ただの荒削りの石みたいな。こうやって遠めにすると、やっぱり顔ですよね。




面白いし、こうやって見ると素敵な後陣。がっかりして悪かった~!

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2016/02/13(土) 23:52:52|
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