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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

修行が問われた、みたいな(ウンカスティリョ4)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その24

ウンカスティリョUncastillo、続きです。
サンタ・マリア教会で、かなり満足したものの、暑さの疲れが出てきました。なんか、もういいか、という気持ちになり、サンタ・マリアのあたりで、うろうろと悩んでいました。
最初に書いたように、この町には、主なロマネスク起源の主な教会が、のっけに出会った遺構だけのものを含めて五つあるとわかっています。
そして、町には地図があったので、おおよその場所も、わかりました。




かなり迷った挙句ですが、「ここを再訪することはない確率の方が高いだろう」という判断で、疲弊した身体にムチ打って、サン・マルティン教会を訪ねることにしました。
上の地図でいうと、左下の方にごちゃごちゃしているところが、サンタ・マリア教会で、右上の方にツーリスト・インフォメーションのIがあるところが、目的地となります。
すぐ近くと思われるでしょうが、この村、全体がアップダウンしているので、登り路になるのです。ランチをしたレストラン方向に戻ることになるので、結構なのぼり道だとわかっているだけに、躊躇したんですよね。

とはいえ、二度と来られないだろう、という現実は、やはり重くて、身も心も修行気分満載で、重い足を引きずり、いざ。




サン・マルティン教会Iglesia de San Martin。

結果としては、頑張った甲斐がありました。
建物の全体は、再建や修復が目立つものの、しかし、往時のままの彫り物が、随所に見られます。事前メモでは、「廃墟」とあったので、もしかすると放置されていたものが、近年修復されて、よみがえりつつあるのかもしれません。一部工事現場的な状況でしたから、おそらく、現在進行形で。
だとしたら、数年前だったら、近寄ることもできなかった可能性大で、ちょっとはラッキーだったのかも。




グリーンマンではなく、グリーンアニマル?すっごくかわいい。




後陣の窓装飾。ちょっとお掃除しすぎ感もありますが、彫り物がきれいに残っているのはうれしいですね。




おなじみの軒持ち送りの面々。こなき爺系、多数。




ここは、これから掃除されるのかもしれません。
撮影数の少なさに、自分の疲れが見える気がします。




それでも、ユーモラスな彫り物の数々のおかげでちょっと元気になったので、その勢いのまま、地図でいえば、水色の小川を渡って、左側の地域にまで進出。




サン・フェリセス教会Iglesia de San Felices。
こちらは、もう修復終了、って感じです。

ここの目的は扉口のタンパン装飾です。




洗いすぎで陰影がなくて、日差しが強い時間は、きつい。
確信はないのですが、サン・フェリセスという聖人に関係するエピソードなのでは?右側に倒れているのが、もしかして拷問を受けた聖人で、天から駆けつけてきている天使も見えます。推測ですが。

扉に向いた彫り物も、狛犬系で、かなりしっかりしたもの。




巨大な獅子の頭部にかじりついているフィギュアは、長髪っぽくて、もしかしてサムソン?とか思えなくもないですが、さてね。イケメンだし、衣装のひだひだや、ライオンのたてがみの彫は、すごく細かいですね。オリエント風味もあり。
遺構のサン・ロレンツォ教会と同じ手かしら。

向かい側も同じモチーフです。




それにしても、これって、教会に入る人たちに、背を向けているんですね。そこにも意味がある?珍しいモチーフです。

私が、炎天下、汗だくになって撮影しているのを、地元の子供二人、おそらくきょうだいでしょうけれど、塀に腰かけて、ずっと見ていました。




何やってるんだろうな、とかこそこそと話しているのは聞こえていたのですが、とても相手をする元気がなく…。子供たちも、積極的に絡んでくることもなかったので、残念ながら、交流なしでした。でも、後ろ姿でも、子供たち、私のことをずっと意識していましたね。そりゃそうだ。怪しい東洋人だもんね。

あと一つ、サン・ファン教会Iglesia de San Juanは、地図の、左下をさらに進んだところで、丘の上になります。




遠くに後陣が見えましたが、これはさすがに無理。遠目にも、かなり再建入っているし、もういい、とあきらめました。
それでも、自分的には本当に頑張ったな、とかなり達成感に満ち溢れました。

いつも、修行修行とちゃらちゃらと言ってますが、夏のスペインの場合は、暑さが本気で厳しいケースも多くて、真剣に修行モードにならざるを得ないことが多いです。このときは、涼しいレストランでランチを取ることができたので、体力も持ったのだと思うのですが、この後、ランチを取ろうにも店すらない、という土地にも巡り合え、結構過酷な日々でしたよ。

この後、ナヴァラ州に移動します。

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  1. 2017/03/14(火) 06:13:58|
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育ちすぎの幼子キリスト?(ウンカスティリョ3)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その23

ウンカスティリョUncastillo、サンタ・マリア教会Iglesia de Santa Maria続きです。




撮影した写真を見て、気付いたのですが、この教会では、細部があんまりすごかったので、全体の写真をほとんど撮影していませんでした。確かに、教会の姿そのものは、あまり面白みがないですよね。というか、妙にシンプルなスタイルで、一軒、教会にすら見えないような建築です。
でも、扉以外にも、好物があちこちにあるんだから、侮れません。

スペイン・ロマネスク定番の軒持ち送りには、たくさんの面白いフィギュアが並んでいます。アクロバティックな逆さ宙返り。




こちらは、ほとんど狛犬状態のライオン。




たてがみのこういう表現って、オリエントから東西に流れたのかしらん。時代が違っているとしても、おんなじだから面白いですよね。

この辺りには、ペアのフィギュアが並んでいるんですが、それが戦いなのか、またはやばいシーンなのか、よくわからず。




でも、これを見ると、お話し的な寓話的ななにか?と思われます。




これ、なんかいいですよね。保存状態もすごいし、モチーフとしては珍しい。衣装がまた、東洋的というのか。いつごろのものなのか、ちゃんと調べたい。




楽師の爺さん。
これを見ると、すごく修復及びお掃除が施されているのがわかります。これだけ燕の巣に囲まれてしまうと、保存も大変だろうな。
とんがった靴が、すっごく好物。何か言わんとしている表情もいいですね。単に自己陶酔しているのかなぁ。

いくつかある窓の装飾も、好きです。シンプルだけど、やっぱり好みの帯があるからかな。




こちらは、柱頭もよいですよ。




ズームすると、この角っこの人物が、イケメン王子風。




この粒粒はブドウに見えるんですけれど、確かにつる草もあるし。でもイケメンさんのスタイルは、農民ではなく、貴族または王族風。全然わかんないな~。

最後に、正面、いわゆるファサードに回り込みました。




この前を通ったら、あ、私には関係ない、と通り過ぎちゃいそうなスタイルです。後ろからアクセスして大正解でした。
でもここにも、一つだけ、注目ポイントあります。




サンタ・マリア教会のマリア、ここにいらっしゃった!
左はマギですかね。
形からして、オリジナルの教会では、ファサード扉のタンパンに置かれていたものではないかと思います。ファサードを改築するにあたっても、これだけは壊せない、ということになったのでしょうが、これだけのタンパンがあったとすると、側柱やらなにやら、他の装飾はどうだったのでしょう。

いや、でも、南壁の扉が、メイン風だとすると、こちらには、もともと何もなかった可能性もありますね。うーん。昼時に訪ねたために、観光局も閉まっているし、資料を何もゲットできなかったのが、悔やまれます。




それにしても、細かい仕事です。ウンカスティリョ、ハイレベルな石工さんが、活躍したのですね。
しかし、ジェズ、なんか育ちすぎ感も?聖母子のジェズって、もっとこう赤子っぽいサイズじゃないですか?これでは、イタリアではよく目にしますが、幼稚園生くらいになっても乳母車に乗せられている子供状態…。ちょっと、うっとうしい…。

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怒涛の浮彫に、修行本気モード(ウンカスティリョ2)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その22

ウンカスティリョUncastillo、続きです。
快適なランチの後、暑さにあえぎながら、たどり着いたのは、サンタ・マリア教会Iglesia de Santa Mariaです。
遠目の外観では、たいしたことないな、という感じだったのですが、側面にある扉に、愕然としました。




全体に傷みはあるものの、しかし彫りの細かさと、「これでもか」ぶりは、相当なもんです。
とにかく、すべての要素に余すところなく装飾びっしり。




側柱だって、単純に円柱というだけじゃなくて、ねじりんぼうとか、あみあみ模様を施しちゃっています。
複数のアーキボルトも、びっくりするくらいに多様な彫り物がビチビチに並んでいますよ。




全体に、大振りなんで、迫力あります。




ちょこっと一個だけ置かれていたとしても、結構嬉しくなっちゃうような、彫りの細かいフィギュアが、これだけ並んでいるんですから、本当に唖然茫然です。それも、人や動物のフィギュアの間の、細い帯には、装飾的な植物模様などが、これまたびっしり。しつこいほどです。

改めて、ちょっと大きめのサイズで、アップしてみます。これは、写真をクリックすると、ちょっと大きく見えると思います。




上にあげたのは、アーキボルトの、一番外側の大きな輪にある彫り物で、サイズも大きめ。大きめのサイズだから、一つ一つが丁寧な仕事。でも、お隣同士でつながっているかというと、どうもそういう感じでもない。でも、とにかく面白い!




真ん中の輪の人たちも、ユニークさでは、負けてません。




この人たちは、わっかに押しつぶされそうになって、頭と足をのぞかせています。

さらに、かわいさから言うと、一番内側の小さい輪にあるフィギュアも、すっごくいいんです。




ここは、また、石の感じも違うし、彫りも違います。それにしても、すごい細かさ!




二股じゃなくて、女らしい人魚。手がごついけど…。




実は、日差しが強くて、肉眼で見るのは、かなりしんどかったし、撮影も大変でしたが、取りつかれたように撮りまくっていました。これじゃ、そうなりますよねぇ。




柱頭にだって、ちゃんと彫り物です。




かなり傷んでいるし、剥落しているし、図像はよくわからなかったりするんですが、幸い私は研究者じゃないので、すごい~楽しい~で、いいわけなんです。




わからないなりに、この右側は、例によって、ラクダの皮衣の洗礼者ヨハネさんですかね。ラクダの皮衣の表現ですよね。

また一歩下がって。




扉の上に掲げられた像も、でかくて印象深いです。




これはやはり玉座のキリストと、そして聖母なんでしょうか。キリストのお顔、よく残っていますよね。

この教会、残念ながらクローズ。まぁ、昼休み時間だから当然です。でももうこの外の装飾だけで十分と思いました。実はまだ軒送りとかあるんですが、重くなっちゃうので、一旦切りますね。

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  1. 2017/03/10(金) 06:51:35|
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埃舞い散る村のレストランで寒さに震える(ウンカスティリョ1)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その21

ソス・デル・レイ・カトリコの教会の昼休みを利用して、というか、昼休みのロスを避けるために向かったのは、ウンカスティリョUncastilloという村。




25万分の1の地図ですが、こんな感じ。アラゴンの典型的な荒野、みたいな土地です。地図にある道以外は、普通の車ではいけないような道しかないので、迷いようがない、というのは利点ですが、それにしても、地図上ですら愛想がない土地ですよねぇ。

とはいえ、荒野の中の一本道ではなく、高低差もあり、細かいカーブの続く、どっちかと言えば山道系でした。なので、距離は20キロ強となっていますが、実際にはその倍くらいに感じられ、移動には30分以上かかっています。昼の炎天下の中のドライブですから、快適とは程遠く、これは昼休みでは終わらない話ではないか、いくら修行だからって、と後悔したのを覚えています。

行けども行けども続く同じような風景、同じような曲道…。相当うんざりした先に、目的のウンカスティリョはありました。




着いたときは、確かにここが目的地であるかどうか定かではないし、まるで西部劇の埃っぽい村のようだし、暑さでぼーっとしている上に空腹で、まず何からどうしたらいいのか、とりあえず、路肩に車を置いて、西部劇の埃の道に降り立ち、村の中心らしい遠景を撮影したのでした。
その昔、現地で出くわすまで知らなかったギメラという村が、髣髴とする風景。

この村、苦労してでも来ようと思ったのは、たいした規模の村じゃないはずなのに、中世またはそれ以前起源の教会が、五つもあるからなんです。
正確な場所とかは行けばわかるだろうとは思っていましたが、村に着いてすぐ、その一つを路肩に発見したのにはびっくりでした。




サン・ロレンソ教会Iglesia de San Lorenzo。
教会と言っても、ほとんど破損崩壊していて、一部だけが遺跡のように残されているものです。




ほぼ溶けちゃっているタンパン。
でも、内容はわかりますよね。聖人がグリルされちゃっている図ですよね。殉教の場面だと思うんですが、グリルされちゃう人って、結構いたような気がします。まったく恐ろしい。火の表現が、独特。
クリスモンも含めて、スペース目いっぱいビチビチに物語を詰め込んでいるのが、好きです。怖いけど。崇高な図像よりも、こういった、素朴なわかりやすい図像というのも、田舎の教会には合っているような気がします。
アーキボルトのお団子も好みですが、これは、よく見ると、ホタテ貝というか、お干菓子というか…。

この場所は、古代から神聖な場所っぽくて、ネクロポリ、要は墓所に使われていたようです。今も、教会の基部が残っているので、教会のスタイルは、わかるようです。




今は、構造物としては、おそらく側壁に位置する扉とその周囲の壁だけが残っているということです。
側柱部分も、かなりしっかりと残されています。




溶けていなければ、これはなかなかの彫り物だと思います。
狛犬系も。




扉だけでも、なかなかの満足度でした。特に探すでもなく出会えちゃった嬉しさもありました。

さて、この時点で14時。
村の中心部へ移動して、路肩に車を停め、まずは腹ごしらえです。改めて路肩に駐車して、幸いにも、「ちょうどランチのために帰宅して、やはり路肩に駐車して、村の中心部の家に帰ろうとしている」風のおやじがいたので、食事のできる場所を尋ねました。
一瞬考えこんだおやじ「あそこを左に行って…」と説明し始めたのですが、「いや、ついておいで」、と歩き出しました。




こういう村って、道の見通しが利かないし、入り組んでいるので、口頭での説明って、結構難しい。連れて行った方が早い、とおやじも思ったんでしょう。

途中、右手にバールのような店が見えたので、あ、バールでもいいので、あそこはどうでしょうかと尋ねると、「いや、ごはんはちゃんとレストランで食べない」と、とかなんとか行って、レストランのすぐ近くまで連れていかれました。




住宅地の中のレストラン。これは、教えてもらわないと、絶対にわかりません。
結構広い店内に、先客の1カップルと私だけ。定食は10ユーロで、前菜とメインとデザートと水1.5リットルという安さ。そして、クーラー全開。
幸せを通り越して、前菜を食べ終えるころ、寒さで震えあがって、クーラーを弱めてもらいました。笑。

そして、15時過ぎに、再び修行再開。




すぐに、倒れるのではないか、こんな時間に外にいては危険なのではないか、という殺人的な暑さだったのを覚えています。




しかし、次に向かった教会で、衝撃。一気に修行スイッチが入り、疲れも暑さも吹き飛びました。

続く…。

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  1. 2017/03/09(木) 06:37:35|
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地下に隠された赤いマリア(ソス・デル・レイ・カトリコ3)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その20

ソス・デル・レイ・カトリコSos del Rey Catolico、教区教会サンテステーバンIglesia Parroquial de San Esteban続きです。




いよいよ本堂内部ですが、実はここ、入場は有料となっています。今でも現役の教会と思いますけれどね、見学は有料。と言っても、確か1ユーロなので、シンボリックな料金です。
午前中の最後に来た時、取りつく島もなく私を追い出したじいさんがいて、私を見るなり、おお!本当に戻ってきたんだな!と嬉しそうに、抱きついてきました。おいおい、いきなりセクハラかよ!

年を取るにつれ、そういう危険は減ってきていると思いますが、それでも、じいさんによるセクハラまがいの対応というのは、実は結構ありますね。一人の場合、いろんなことに気を付けなければならず、うっとうしいことです。

お金を取られるのはいいのですが、しかし、その上撮影禁止、というのは、ちょっとがっかりでした。その上、このセクハラじいさん、べたべたと私の後をついてくるもんだから、隠れて撮影も難しい。
他の見学者がやってきたのを幸い、柱の陰から、ササッと一枚。




内部は、相当きれいになっています。これだけの予算が付いたなら、扉周りももう少し手をかけられなかったのかな、と思ってしまうほど。
背が高くて、立派な構造です。内陣のアーチもよい感じ。




柱頭も面白いのに、かなりの距離から望遠で、これが精いっぱい。
外から見えた窓の一つ。かわいいです。

この内陣は13世紀のもので、それ以外の部分は、そのかなり後に、手が入っているということですが、それでも、柱頭には、中世のものが残っていたと思います。現地で購入した本は、中世美術観点の写真と解説が少なく、不満が残ります。そもそも、フラッシュ禁止なら理解もできますが、今更撮影禁止の意味って、よく分からないんですよね。
あ、イタリアでは、複数の教会で、盗難防止のため、と言われたことがあり、それはある程度納得できますけれど。それでも、すでにインターネットのサイト等に、写真はアップされている以上、個人の撮影を禁止してもねぇ。

さて、この教会、わざわざ引き返してまで訪ねたのは、サンタ・マリア・デ・ぺルドンのクリプタCripta de Santa Maria del Perdonにあるフレスコ画が、どうしても見たかったからです。
本堂から、ちょっと怖いような、小さならせん階段で、降りるようになっています。撮影できず、残念です。




ちょっとボケボケの写真でごめんなさい。隠れてアワアワ撮っているもので~。
クリプタと言っても、かなり大きなスペースで、三つの後陣があります。そのそれぞれに、素晴らしいフレスコ画がなされているのです。

図面で見ると、こういう感じになっています。
ここは、今は位置的に、サンテステーバン教会のクリプタとなりますが、そもそもはサンタ・マリア・デ・ペルドンという教会があり、その上に、サンテステーバンが建てられたことにより、結果的にクリプタになった、ということだと思います。




左にアーモンドのキリスト、真ん中に、マリア、右にはサン・ペドロのフレスコとなっていますが、なんと言っても、真ん中のサンタ・マリアです。




14世紀のもので、私が比較的苦手な時代に入っているのですが、しかし、これは好きでした!フランスの、ポワトー・シャラントのどこぞのクリプタで見たマリアにも通じる、気高いマリアの姿といい、色彩の美しさといい、これは実物を見てこそ!




時代が下った時に出てくる、何かいやらしいような表現がないのです。どっちかと言えば、ビザンチン的な、かわいらしい描写。
これは、奇跡的にピントが合ったアップ。

こういうのを見ると、ルネサンスの芸術家たちが、突然生れ出てきたわけじゃない、と思わされます。こういう、それ以前の作品があった上に、ルネサンスがあるんですよねぇ。




色も、ほとんどオリジナルのものと思います。高度もあり、乾燥している土地ですから、おそらく、保存には適していたのではないかと。

キリストの方。




こっちは、14世紀ね、ふんふん、と思わされる構図であり、描写であり。明らかに手が違います。こっちの人の方が、おそらく当時としては新しいセンスを持っていた人なんだろうな。

しばらくしたら、後続の見学者が降りてきたので、入れ替わりに去ることにしました。静寂の中、マリアに会えて、ラッキーでした。

帰り際、こんなものに気付きました。




8世紀の洗礼盤と説明書きがありました。ここも、歴史が集積している教会ですね。

教会守じいさんは、次々と訪ねてくる見学者の差配で忙しく、セクハラも忘れて、大わらわでした。めでたしめでたし。

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  1. 2017/03/05(日) 23:51:39|
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