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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

無料の思い出(アギオス・ニコラウス・オルファノス教会その2)

ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その25

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アギオス・ニコラウス・オルファノス教会Agios Nikolaos Orfanos、続きです。

前回は、後陣部分の内壁部分にある壁画をあげてみましたが、他の場所のものをあげていきますね。なんせ、モスクに転用された歴史もないために、保存状態の良さは驚愕レベルです。
描かれた時代は、テッサロニキで壁画が普及し始めた14世紀初頭からそれ以降とされているようです。

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(おそらく後陣と相対する場所の内壁)

解説を以下翻訳したものとなりますので、写真と合わせて見てみてくださいね。前の記事に書いたように、システマティックに撮影してませんので、意味を取っていくのも難しいんですが、典型的な場面などもありますよね。

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「ビザンチン教会で使われたスタイル、天国の教会を象徴化し、ヒエラルキーを繁栄する形で描かれた壁画である。
身廊の下部には、軍事的及び癒し系の聖人、全身と半身。聖母と救世主としてのキリスト。聖所近くには、洗礼者ヨハネとヨハネ。
北、南、西壁の高い部分には、受難。西側入り口の上に聖母の眠りの場面。」

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「下部から上部に向かって、9のサークルに分割されている(The Cycle of the 12 Major Feasts,キリストの受難と、復活後の場面。聖所の構図、奇跡、聖ニコラウスの人生、月の暦、旧約聖書からの場面、聖母の人生、聖Gerasimos the Jordaniteの人生)。
壁画には、ミックスされた技術が使われている。
12Major Feastsと奇跡の場面では、赤い線が、物語の場面を区切っている。それにより、各場面が分割して絵画となっている。」

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ここ、現場には何も置かれてないんですよね。簡単な説明図版があれば、きっともっと楽しめると思うので、本当に紙ペラ一枚に、場面一行の説明でもしてくださったのがあればなぁ。

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これが、マギだ、なんていうのは、さすがの私も分かるんですが。でも、現場では、目が泳いでますから、絵のディテールをちゃんと見て、マギだのなんだの、と認識していなかったです。説明版があれば、それをもって、もうちょっと内容に踏み込んでみることが出来たのではないか、と思うわけなんですが、私のことだから、説明?いいや。勝手に見とくわ、見たいになっていた可能性も大ですけどね。

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「この小さな教会の壁画は、間違いなく偉大な画家の仕事だ。場面における構図の力は、鮮やかな彩色も伴い、とてつもなく印象的で、間違いなくビザンチン芸術の最も重要な作品の一つとなっている。また、14世紀のテッサロニキにおける絵画技術のレベルを物語っている。」

ちょっと建物のことも。

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(左側の小後陣。右側の円柱のあるアーチの中が主後陣。)

「14世紀初頭、修道院の教会として建てられたと考えられている。その歴史はよく分かっていないが、トルコ人によってモスクに転換されたことがないというのは確かだ。17世紀には、ヴラタドン修道院に属していたことが、文献から分かる。そして今でもそれは変わらない。古い小さな修道院の痕跡は、現在、通りに面した扉口の部分と、教会そのものだけである。
扉口は、1927年までは保存状態が良いものだった。現在まで残されている数少ないゲートであるということの他に、扉口が面している通りが、Herodotus通り、ビザンチン時代から存在していたことの証拠になっているという点で、非常に重要なものである。
名前の由来は、創建者又はその家族に関連しているか、または、孤児や寡婦への奉仕的な活動という意味で、教会が捧げられた聖ニコラウスとのつながりか。聖ニコラウスに関しては、その人生が、壁画にも描かれている。」

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「教会は、細長い中央部のスペース、それは北側を取り巻くような形で、西及び南側はアーケードで囲まれている。
アーケードは、東側で、二つの小さい礼拝堂で終わりとなる。そのうちの北側のものは、聖所に隣り合っている。
中央部のスペースの北側も南側も、オープンな二重アーチを持ち、アーチは、円柱によって区切られている。柱頭は、テオドシアン様式で、アーカンサスの葉モチーフが二段になっており、オリジナルの彩色が残っている。建築的装飾としては、初期キリスト教時代の柱頭が見られる。」

柱頭は、初期キリスト教時代のものとありますが、ビザンチンテイストも感じられるように思います。そして、柱頭の上の、結構狭い部分にも、ミニアチュールのようなフレスコ画が詰め込まれているのが、驚きます。

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改めて感心します。

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それも、ここ無料なんですよ。これだけのフレスコ画が、手の届く場所にありますから、監視の人はいて、入場すると、跡をずっと付いて来ます。狭い場所だけに、若干うっとうしいのは確かですが、でも、対応は理解できます。
正直、入場料を取って、説明版とかも置いてくれた方がありがたいと思いました。

それで思い出したのがラベンナです。
最初に行ったときは、まだ世界遺産でもなくて、クラッセなどは車がないとバスでアクセスするしかなかったのですが、当時は周囲に何もなくて、バス停も近くなかったことが、懐かしく思い出されます。確かバスの運転手がとても親切で、いいよいいよ、バス停じゃないけど、ここで降りな、と大変イタリア的な柔軟な対応をしてくださったんですよねぇ。牧歌的な時代でした。
街中の教会も、無料でどこでも入れたんです。
でも、世界遺産になってからは、整備を進めると同時に、有料になりました。と言っても大した金額じゃないんですけれど。

教会ですから、入場料を取ることは微妙なものがあるかもだし、税金処理とか出てくるから面倒な部分もあるかもだし、それなら寄附だけで、みたいになるのかもだし…。でも、これだけの宝物なんだしねぇ。
と、複雑な気持ちになったんですが、写真で見てもすごい壁画に、改めて、色々考えてしまいました。

そういえば、個人的には時代が下ったフレスコ画は好きじゃないんですが、ここのは実に良いです。褪せた色も美しいです。

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  1. 2023/04/02(日) 11:34:58|
  2. ビザンチン
  3. | コメント:0

外からは絶対に分からないやつ(アギオス・ニコラウス・オルファノス教会その1)

ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その24

テッサロニキの教会って、レンガ積みが美しい、見るからにビザンチン体現タイプと、一見普通の家屋にしか見えないタイプと、二つあるんですけど、次に訪ねたのは、後者のタイプ。

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アギオス・ニコラウス・オルファノス教会Agios Nikolaos Orfanosです。
確かに寺院っぽい様子はあるものの、建物の前はお庭になっていて、通りに面して門扉があったりして、おうちっぽいし、一見して、おおお、とは決してならないやつですよね。

そんな地味な外観なんだけど、一歩中に踏み込むと、声にならない声が出ちゃう、みたいな教会です。おそらく、外壁も屋根も、後代、むしろ近代に、中を守るためにも、大幅に改装されているんだと思います。

今回は、さっそく入場してみます。

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内部は、ほとんどの壁に、壁画が残されており、そのまんま美術館状態なんです。驚きました。例によって、ですが、事前準備が足りず、ここまでとは知らなかったんで、すさまじい状況に声が出ませんでした。

外から見た様子そのままに小さな教会です。

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内部は二重構造みたいになっていて、トップの写真は、入場してすぐでの一枚ですが、図面で、下の正面から入るとすぐ、内部構造の壁が立ちはだかるっていう作りです。
そして、その区切りの壁の、外もうちも、びっしりとフレスコ画があります。
おそらく、かつてはすべての壁面にあったかもしれませんが、今ではない壁面もあります。とはいえ、残された部分の状態は、びっくりするくらいに良いのです。

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冷静に、後付で分かるようにメモしたりして順番に撮影したらよいのだけど、例によって興奮した自分には、絶対無理、笑。
ということで、興奮状態で、夢遊病者のようにふらふらとさまよいながら、ハッと気づくと撮影する、といういつものパターンで撮影したものを、並べてみます。

上も下も、建物内部にある聖所部分の内壁になります。小さなスペースですが、三方向にアーチ壁となっているので、閉塞感はありません。

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写真だと、シャンデリアも煌々としており、明るそうですが、実際には、全体にもっと薄暗い感じで、特に、聖所外側部分は、結構暗闇感ありました。
二枚上のが、聖書の正面部分で、聖母の被昇天ぽいですね。すぐ上のは、正面左壁と思います。
そして、下が正面右になるようです。

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左手に見えているのは、イコノスタシス、障壁で、その向こうはアクセスできない例のアレです、笑。
このイコノスタシスは大理石製で、教会と同年代のもののようです。素敵な帯浮彫があり、いつもだったら好物のやつですが、ここでは壁画が優先してしまって、ちゃんと見た記憶もありません。

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とてもビザンチンって様子の浮彫ですね、今更感心するのもなんですが、笑。
天井、相当新しい様子ですよね。天井近くの部分は全体に剥落している様子なので、もしかすると建物の劣化でやられてしまったのかもしれませんね。全体がひどくなる前に修復修繕がされてよかった~。

ちなみに、この障壁のところ、ビロードのような布で仕切られていたのですが、そこに施されていた刺繡がとてもチャーミングでした。

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これは現代ものなんでしょうけれど、刺繍っていうのもすごい技術だし、こういうキラキラ効果が出せるのですね。こんなに愛らしい表情まで出せるって、すごい職人技。職人仕事は感心しかありません。

いくつかをアップで。

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戦闘系の聖人が何人かいましたが、ビザンチンでは、そういう系列の聖人信仰が強いような。他の場所でもあったように思います。これはジョルジョかミカエルか…。戦闘は置いといても、例によってイケメンです、笑。

こちらは、ラクダの皮衣っぽいので、洗礼者ヨハネかな。

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ここでも、全体が暗めの青で、とてもしっとりしているんだけど、もともとはもっと鮮やかな青だったかもしれないですね。縁取りの赤も褪せているし。
光背も、もしかすると、もっと金色感が強かったのかも。だとすると、本当に目もくらまんばかりに燦然としていたんだろうな。

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ビザンチン教会、残念なのは、イコノスタシスの向こう側が完全に隠されちゃっていることですよね。
ここも、今は布で見られない向こう側、こういう風になっているようです。

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世界遺産で観光地でも、そこはやはり宗教優先。仕方ないかな。

次回、解説を交えながら、他部分の壁画を紹介します。

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  1. 2023/03/27(月) 18:50:53|
  2. ビザンチン
  3. | コメント:0

(実は)優しい司祭さんに導かれて(ヴラタドン修道院教会 その2)

ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その23

ヴラタドン修道院Monastery of Vlatades、続きです。

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付け足し部分とか、外壁とかに漆喰塗っちゃうと、なんか違うもんになるよね。構造的には、古いものが残されているように思われるんだけど。

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トップの写真のナルテックス部分は後付のようですね。入り口は、後陣と反対側にある小さなナルテックス風構造が書かれているところでした。

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構造的には四角の中に十字がイン、みたいな変則スタイルです。

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これはどうやら、14世紀に現在のような形で教会が建てられたとき、それよりも古い教会があったことに由来するようです。

さて、前回の記事に書いたように、最初に訪ねたときは絶賛昼休み中で、教会に入ることが出来ませんでした。幸いにも夕方、戻ってくることが出来たのですが、冬のことでもあり、すでに真っ暗です。そして、なんと!絶賛イベント中…。

扉は閉ざされていますが、その向こう側はキラキラに照明がともされています。のぞき込んで結婚式ぽかったので、前例(アギア・ソフィア)からしてアクセス可能と思い込んで、ドアを開けたところ、司祭さんが飛んできて、ノーノ―!とすごい勢いで怒られてしまいました。今でもよく覚えているんですけど、テニスのマリー選手を瘦せさせてしょぼくしたようなタイプ(かなり失礼な描写…)の司祭さんでしたけど、怖かった~。

他にも訪問者いたし(私と違って、おとなしく待っていました…)、せっかくなのでしばし待つことに。
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おそらく10分ほどで式は終わり、参列者が出てきて、ライス・シャワーをしようという状況の中、するりと入っていくと、先ほど激おこの司祭さん、柔和な笑顔で、アイム・ソーリーって言ってきたんです!
いや、びっくりした。すっげーいい人じゃん!貧相なマリーのくせに!とか、散々くさしてごめんよーと超反省しました、笑。

そして、結果的に結婚式直後というのは、すごくラッキーだったんです。

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堂内隅々まで光輝いており、燦然キラキラ、狭いスペースだけに、目もつぶれんばかりのヘヴンリー度なんですよ。
教会内のど派手なシャンデリアって、ローマのいくつかの教会で目にしたことがあり、どうにも違和感だったけど、あれビザンチン起源なんだね、おそらく。考えたら、テッサロニキでは、ほとんどの教会でシャンデリアあったと思います。現地ではローマと結びつかなかったけど、今気付きました。ビザンチンとシャンデリア、これも調べないといけないポイントかも。

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後陣部分を隠すように置かれた障壁は、キラキラのイコンの壁。イコンは、まったく興味の範疇外なんですが、これでもか状態で迫力あります。

そして、多くお壁や天井などに、フレスコ画があり、保存状態もなかなか良いのです。残念ながら、多くの絵に瑕がついているのは、おそらくモスク時代に、漆喰で覆われていたらしいということです。覆われていて、状態が良いということもあり、これは痛し痒しってやつですね。

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ビザンチン教会のドームは、縦長だったりするので、どうしても光が届きにくいのに、ここではよく見えました。と言っても、肉眼ではなかなか細かいところまでは無理でしたけど、撮影にも助かる煌々とした明りですよね。

フレスコ画は、1360/1380頃のものとされているようですが、おそらくそれ以外の時代のものも混じっているという感じです。

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このキリストなんかは後代に相当加筆されている様子。

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瑕が痛々しいですが、美しい青です。

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小さい後陣内にもびっしり。ということは、おそらくもともとは壁前面がフレスコ画でおおわれていた可能性が高いので、それも、こんな傷がなかったわけで、まさに天国のような空間だったと思われます。シャンデリアって、当時からあったのかな。とすれば当然ろうそくだったから、キラキラ感は落ちるかもしれないけれど、より荘厳な雰囲気があったかもね。

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結婚式はすでに終わっているわけだし、いつ明りがおとされるか分からない、という危機感、っていうのも変ですが、明り消えたら、ほぼ真っ暗闇になるので、焦りがあったわけで、少しでも撮影を、とアワアワしてしまい、実際に絵の内容を考えたり、味わったりする余裕は、ほぼなかったです。
明りを考えると、ギリシャに行くのは夏時間がベターですね、きっと。

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これは、預言者ですかね。右の着物柄みたいな人は、良くいますね。ギリシャ十字なんだろうけど、派手すぎます。

こっちは使徒でしょうかね。

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早朝から歩き詰めで、身体は相当きつかったのですが、戻って、本当によかったです。ここは、外観はあまり面白くないし、このフレスコ画見ないと始まらない教会だったので。
それにしても、こういったチャンスでもない限り、ここは日中でも暗いと思われるので、いや、ここに限らず暗い教会が多いので、テッサロニキに行く際は、手持ちの明かりが必携かもね。


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  1. 2023/03/26(日) 18:01:02|
  2. ビザンチン
  3. | コメント:0

現役だけあって働き者(ヴラタドン修道院教会 その1)

ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その22

次に訪ねた教会は、修道院教会なのですが、ちょうどお昼休みの時間に当たってしまって、敷地内には入れるし、かなり立派なお土産屋さんもオープンしていて、今、まとめるにあたって大変役に立っている書籍を購入することが出来たんですが、肝心な教会は閉まっていたんです。

前に書いたと思うのですが、この町の教会、昼休みが長いです。ここも、夕方は17時か18時に開きます、と言われたのですが、実際に戻ってこられるかどうかはその時点では分かりませんでした。

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ヴラタドン修道院Monastery of Vlatadesです。ここも、様々な表記があって、正しいのはどれなのか、分かってません、笑。

たどり着くまでの道は、猫遭遇比率がめちゃくちゃ高い住宅地で、小路、坂道、いきなり崖があったりと、海に近い、碁盤の目状に整備された地域とは全く違って、まるでとんでもない田舎村を歩いているかのような錯覚に陥るような地域を縫っていくんですけども、この修道院の一角だけ、妙に整備荒れていて、なになに?と目が驚くような様子になっています。

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こんな立派な門扉から入場します。昼休みならクローズでも不思議はないのですが、現役修道院だから常時人がいることもあるのかな、ちゃんと開いているんです。

内部は、かなり広くて、目的の教会がどれなのかもよくわからず、うろうろしました。
敷地内入ってすぐ、こういう感じで、正面に小さくドームが見えていますが、それが教会。でも、この時点では、どこで何を見るのか、ほぼ分かってないでうろうろしていました。

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今更ですが、ビザンチン教会では、塔がないのですね。鐘は、大抵建物とは別の場所に、下の写真のように作られているか、または、建物の一部に、ちょっと鐘のスペースがあったりとか。でも塔はないですね。

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ここは修道院なので、内部の連絡用の鐘ということになるのかな。サイズが色々あるのは、目的別なのかな。しかし、このくらいのサイズの鐘なら、打つのも楽そうですし、置かれている高さからいっても、ガランガランと鳴らしまくるようなシチュエーションはなさそうに印象ですが、どうなのでしょうか。

実は、イタリア各地で、声をかけられて、何度か鐘撞体験してるんですけど、もちろんコツはあるんでしょうけど、塔の鐘を突くのって、結構大変なんですよ。肉体酷使。

ここのは、これだけ小ぶりだけど、よく見ると、電気線が通されているので、自動で鳴らされるようになっているようです。

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こんなかわいらしいチャペルがあって、まさかこれじゃないよね?なんて悩みながら先へ。
これは、結構新しく作られたものに見えました。祈りに没頭するには、よさげなサイズ感ですね。

その他、かなり大きな鳥小屋があったり、修道院だから、見えない場所に畑とかもあるのかもね。相当立派な修道院であることが分かります。

ちょっと歴史を。
「この教会は十二使徒教会の少し後、おそらく1320-1350くらいまでにたてられたものと考えられている。クレタ出身の二人の兄弟がテッサロニキで僧になり、彼らが創建したものとされる。兄弟の名前がVlatadesで、布地商人の家庭の一員であったことが分かっている。
オリジナルでは、全能のキリストに捧げられていたが、現在は変容のキリストに捧げられている。
ここは、テッサロニキでも唯一の、現在でも現役で稼働しているビザンチン修道院である。」

創建が、割と新し目のようです。他の本では、さらに遅く、1351/71頃ではないか、とありました。

向かう道で分かりますが、修道院のロケーションは、町の中ではかなり高い場所となります。それは生活面において優位で、というのも、町に向かって作られた水道橋が最初に利用できる場所なんだそうです。そのため、この修道院の地下には、今でも三つもの貯水槽があるらしいです。使われてはいないでしょうけどね。

昨年12月にローマに行ったとき、ローマ時代の貯水槽を訪ねたんですが、まぁあそこまで大きくないとしても、目的的には結構容量があるはずなので、遺跡として整備されたら立派なものではないかと思うんだけど、今はどうなっているのでしょうか。

おっと、余談多し、笑。
ここ、結局夕方戻ることが出来たんですけど、本当によかったです。中はいらないと、特段見るべきものもないわけで、でも入ってびっくり、のやつだったんです。
ということで、一旦切ります。

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  1. 2023/03/25(土) 10:04:31|
  2. ビザンチン
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ジュクジュクのやつ…(番外その1)

ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その番外

この辺りで、ちょっと面白いことがあったので、番外編にします。

次の教会を探しながら、住宅街の分かりにくい道にきて、通りすがりのおばさんに道を尋ねたのです。英語で聞いたのですが、立ち止まったおばさんから返ってきたのは、なんとイタリア語でした。
今でもよく分からないのですが、こちらの発言にイタリア語が入っていたのか、激しいイタリアなまりだったのか、笑、とにかくイタリア語で、道を教えてくれました。

そして、ありがとう、と別れようとすると、ちょっと待って!と、傍らの家に駆けこんで、すぐに戻ってきました。手に持っていたのは、なんと…。

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枝付の柿でした!

ここ私のうちなんだけど、立派な柿でしょう。食べきれないし、どうぞ持って行って、と三つも四つも実をつけている枝を渡されました。ちょっと戸惑っていると、家の入り口辺りで作業していたパートナーらしいおじさんが、「それは、まだ熟れてないから、今食べごろなのがあるから!」と、二つの柿をナプキンにくるんで、いそいそと渡しに来ました。

イタリアにも柿はありますが、食べ方が日本とは全く違います。日本から渡来した柿は、渋柿だったようで、イタリアでは、ぐじゅぐじゅに熟したものが柿です。渋柿は、干し柿にするか、ジュクジュクに熟すまで放置しとくと、脳天突き抜けるくらい甘くなるんだよね。で、どうやらギリシャでも同様だったらしい。
わたし、本来柿は苦手な果物で、特に少しでも熟したやつはダメ…。これ、絶対ダメなやつじゃん…。同行の友人も、ほぼ同じ。

でも、嬉しそうにプレゼントしてくれて、嬉しそうに見送ってくださっているご夫婦を見たら、若干ひきつっていたと思うけれども、ニコニコとお礼を言って、歩きながらひとなめ、二なめ…。
本当に脳天突き抜ける甘さで、体力回復の糖分として、若干役だったかもだけど、角を曲がって、ご夫婦の姿が見えなくなってから、速攻、道端のごみ箱に捨てさせていただきました。申し訳ないが、仕方ない…。

でも、枝付のしっかりしたやつは、捨てるに忍びなく、ホテルまで持ち帰って、レセプションのお兄さんにもらってもらいましたとさ。

テッサロニキの人たちは、英語堪能だし、イタリア語も結構いけるんかな。それにしても、感じの良いご夫婦だったなぁ。とはいえ、数日、どころか二日しかいない旅人に、熟すまで食べられない柿…。柿が日本起源だからとか、そういうわけでももちろんなかったし、不思議だよねぇ。いわゆるおもてなし、精いっぱいの気持ちってやつだったんかな。

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  1. 2023/03/21(火) 18:01:21|
  2. ビザンチン
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