ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その28(最終回)
本来なら、最初の方にまとめるべきことかもしれませんが、最後になって言及します。無計画人間だからね~、基本が。だからイタリアなんかに来て、30年も暮らしちゃうんだよな、笑。

何かといえば、これ、ビザンチン・ウォールです。
壁そのものの正確な起源は不明ながら、現存する壁の多くは、中世起源ということらしいです。町を取り囲む壁なので、町はずれに、色々な形で残っています。

すでに住宅地と一体化しているようなところもありました。

解説をちゃんと読もうとしたんだけど、歴史の話が長くなるので、正直面倒だなというのが勝ちまして、割愛することにしました。ただ、現地では、本当にあちこちに残されていて、結構面白い風景になっていたりするため、撮影はしていたので、ここに簡単に言及しとこうと思います。
で、今回は、テッサロニキにある二つの重要な博物館めぐりです。
予想外に、一日で、目的の教会をコンプリート出来てしまったので、帰る日は余裕があり、博物館まで訪問できてしまったんですよね。

ビザンチン文化博物館Museum of Byzanthine Cultureです。
入場料高かったら迷ったかもしれないんですが、なんと、訪ねた日は無料ということで、とてもお得気分になって、すんなり入場。
教会にも、ほとんどお金を落としてないのに、なんという閉まり具合か、我ながらあきれますけど、笑。

無料というのに、訪問者は少なく、ゆったりと見学できました。まぁ、こういう博物館って、住んでいる人はそうそう来るものでもなさそうだしな。
テッサロニキやその周辺のものも含めたビザンチン文化にかかわる遺構が、多数展示されています。

5世紀頃のバジリカの床を飾っていたモザイクだったり。
壁画だったり。

すごくでかい、いかにもビザンチン的浮彫装飾の柱頭が、こういう風に置いてあって、すごくリアルに構造を認識できました。

柱頭って、こんな感じなのね。そりゃ、浮彫するんだし、よく柱頭だけ盗まれるなんて話もあるし、柱頭が独立したアイテムだってことは分かってるんだけど、なんか柱とアーチとつながって一体化した様子になっているから、独立したものとしてとらえにくいところあるよね。たまに、聖水盤載せたり建材的に使われているケースもあるけど、逆置きってあまり見ないような。
でさ、こうやって見ると、円柱にすぽっとはめて、アーチを支える役目があるわけだから、柱との一体化は必至なわけで、このサイズ決めも大変な職人技なんだ、と実感したんですよ。
そういうのって、完成形を見ても、なかなか気持ちが行かないところじゃないでしょうか。

これは、4/5世紀ごろのお墓の装飾だったと思います。
お墓って、古代から中世まで、装飾すごいよね。もちろん身分のある人限定だろうけど。そう考えると、現代は、地位や金があっても、お墓って大したことなかったりするのかもねぇ。

そして、時代が下って12世紀の壁画。
こうなると、この数年南イタリアで回っている洞窟教会のビザンチン壁画を彷彿とする感じになる。

これは、12世紀にしたら、かなりヘタな…、笑。
ライオンと戦ってる感じだと、サムソンとかになるけど長髪じゃないし、なんかすべてにおいてダメな様子?

これもおなじみ感あるけど、何だろうね。可愛さは薄いし、オリエント的な雰囲気もありの、リアクションどうしたらいいのか…。いや、リアクションいらんかも知らんが。

上のとこのワシは、10世紀とあったけど、確かにプリミティブということなのかな。それにしても、このグラサンちょい悪系は…、笑。超浅浮彫っていうのも、地元の見習い作、的なやつにしか思えない…。執拗なまでの職人仕事ビザンチン人はどこに…。
確かに緻密で空間恐怖的なビザンチンとは違うものもあるってことで、面白いので、載せておきます。

なんだかおおらかだよねぇ。職人ではなくて、アーティストが一筆書き的にすいっと描いたものを、そのまま彫ったみたいな。
10世紀くらいってこういう感じだったのかな。

おなじみっぽい彫り物もあります。
そして、13世紀ごろからは、イコンの世界になってきて。

これはこれでおなじみ感ですね、もはや、笑。
美術館博物館で、きちんと保存していくのは、非常に大切なことなんですけど、教会美術って、やはり現場で見てなんぼ、みたいな気持ちが強くて、博物館で見るのって気持ちが入りにくいところがありますなぁ。現地に置かれて朽ちてしまいました、というのは残念なことかもしれないけれど、かといって、博物館でピカピカ、現地でレプリカきらきら、というのも、なんか違和感あったり。難しいところです。
ところで、この博物館、実は一番気に入ったのは、これだったかも。言い過ぎか、笑。

廊下に赤い棚があってね、その前にこれ。消火器のピクトグラムですよね。
かわいい!と感動したら、受付では、同じモザイクのピクトグラムで、館内説明がありました。

なかなかしゃれてますよね。
ちなみに、テッサロニキには、もう一つ重要な博物館がありまして、ここビザンチン博物館とも近かったので、無料の勢いで行ってみました。考古学博物館Archaeological Museumというのですが、そちらは、まぁいわゆるギリシャ彫刻とかモザイクとか、視点が考古学のため、割愛します。我々の見学も、本当にさーっと駆け足だったしね。
というわけで、二泊二日の日程としては、驚くばかりというよりあきれるような密度の濃い旅でした。見慣れた中世とは違う風景が広がっていたからか、3年超過ぎているのですが、その時々の眺めが結構鮮明で、それもまた、自分的には嬉しいことでもありました。
この間に、世界はあり方を変えて、そしてまた、以前の状況を取り戻しつつあると思うと、感慨無量です。といったことを、まだまだ古い修行旅の整理が待っているために、今後も同じようなことを言ってしまいそうですが…。
いずれにしても、ビザンチンは、もうちょい深めてみたい、ということが認識できた旅でした。次回を楽しみに。
長々とお付き合い、ありがとうございました。
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- 2023/04/11(火) 17:54:37|
- ビザンチン
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ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その27
今回の教会も、前回同様、日中に訪ねたときはお昼休み中でした。その上、ここでは教会を取り巻く鉄柵までも施錠されており、近くによることもできなかったんですよね。幸い、日が暮れてから、再訪することが出来、無事本堂を訪ねることが出来たのは、カテリーナ同様です。

十二使徒教会Twelve Apostlesです。
ここは、カテリーナよりもさらに町のはずれという位置付けで、町を取り囲んでいた壁もすぐそこ、という場所になりますから、そのせいなのか、土地に余裕があり、全体像を垣間見ることが出来ます。
それにしても、素晴らしいレンガ装飾芸術で、鉄柵に隔てられて遠くからしか見ることが出来ず、かなり不満でした。
特にこの後陣部分は、どうやったらこんなことが、と思わされるようなモチーフが沢山並んでいて、見ていて飽きない面です。

例えば刺繍とか編み物などの手仕事だったら、モチーフだったり技法だったりに名前があると思うのですが、こういったレンガの技術にも、それぞれ名称があるんでしょうね。私は、屋根下のギザギザくらいしか知らないけれど…。
それにしても、ギザギザのすぐ下のキャンディーみたいな逆三角形とか、他で見たことないし…。
イタリアも、特に北部ロンバルディアやピエモンテではレンガが建材として多く使われていますけれど、ここまでこった装飾はないと思うんです。

幾何学模様と思って、拡大したら、組紐文様じゃないですか。これ、私などは正確に描くこともできないのに、笑、レンガでやっちゃうとは、職人さんってすごいわぁ。

この、ブラインド・アーチも、強烈じゃないですか。あらゆるモチーフ総出大盤振る舞いですよ。
浮彫彫るより労力はかからないかもしれないけれど、でも、同じように緻密さは問われそうだし、モチーフをどれだけ知ってるかで出来上がりのセンスも変わってきそうだし、そういう知識面でも、相当の熟練度を問われる職人技なんでしょうねぇ。この壁面、半日くらいいていられそうな気がします、笑。
実際、私などは身近な消しゴムハンコのモチーフに使ったりもしてるんですけど、きっと、多くのモチーフが、連綿と伝わってきて、今でもどこかで現代化したりして使われていたりするんだろうなぁ。
装飾の世界というのも、考えたら芸術と職人のせめぎあい的な部分がありますよね。どこまでが職人で、どこからが芸術家、みたいな。
そういう意味では、建築的には、いつも気になるんですけど、どこまでが棟梁の指示でどこからが個々の職人の裁量なのか、ということも、大変興味がありますねぇ。
ここは、他の面は、割と普通のレンガ積みで、後陣だけすごいことになっているので、ここは職人の中でも芸術家的な人が請け負ったと思うんですけどね、その辺の仕事っていうか、契約っていうか、いつも興味があります。

ブラインドだけではなくて、ちゃんと開口部もあるんですが、この細細せませまのアーチにはやられました。とてつもなくかわいいです。この発想は他にはないですよね。一つのミクロな開口部というのは、ロマネスクにはありますけど、これはもはや芸術性だけだし、それにしてもこだわりがすごすぎるっていうか。いやはや、ビザンチンの方向性って、手仕事好きとかに異常に訴えるものがあるかもしれない、と今気付いています。
せっかくなので、日暮れてから訪ねたときのお姿も。

レンガを楽しむなら、昼間の方がよさそうです。
さて、日暮れてから再訪した時、ミサ中でした。カテリーナは、ミサ中でもこっそり入れましたが、入ったところで身動き取れないのは学習済みなので、しばらく外で待って、ミサの終了後に入場しました。11月のことでしたから、寒さはあったのですが、しばらく待つくらいは問題ない程度だったのは幸いでした。
大気中に、建物をぐるりと回り、窓から中をのぞいたりして、夜間撮影をしておりました。

内部はシャンデリアがともされていて、雰囲気あります。
考えたら、ミサだったり、儀式のときって、教会は明りを煌々とともしますよね。カテリーナ教会のミサは、真っ暗闇状態で、ちょっと特殊なのかな。
結婚式などのイベント的なミサはともかく、この時は、通常のミサだったし、直後でも明り煌々とまでは行かず、薄ぼんやりでした。シャンデリアの明かりは、写真だと煌々にうつりますが、実際は暗いんですよねぇ。
さて、この教会、内部にフレスコ画があります。ここらで、ちょっと解説を見ていきましょう。
「四角い建物の壁によって囲まれるような形にある教会の中心部が、十字型で、四本の円柱の上に建つ四つのトンネルヴォルトによって支えられたドームを抱くスタイル。」

「中心部を取り巻くような形の廊下が北、西そして南側にあることで、サイズ感が大きくなっているが、形は正四角形のままである。
回廊の、北と南側の翼部分は、東側で小さな礼拝堂となっている。
ビザンチン中期及び後期の教会建築のルールに従って、教会は東側に三つの後陣を持つ。そして、西側は入り口の両方について、ナルテックスが置かれ、それは壁の代わりに、大きな開口部を持ち、それぞれが、中央に二本の柱を持つ。
創建は11世紀(7世紀とする研究者もいる)とされてきたが、今では14世紀のものとされている。」

「中央ドームの四本の柱の柱頭は、それよりも以前の教会にあったものの再利用と考えられる。
この教会は、14世紀に同地にあった大きな修道院に属するものであった(市壁に近い場所にあった)」。
「内部壁は、モザイク及び壁画によって装飾されている。モザイクは、テッサロニキにあるモザイクにおいて、もっとも後期のものとされる。
ドームには、預言者とともに神が描かれている。ペンデンティブには、福音書家。」
正直言いますと、解説読むまで、モザイクとは分かっていませんでした。すべて壁画にしか見えなかったし、いずれにしても、かなり薄暗かったため、肉眼で詳細を見るのは不可能でしたしね。

「南壁には、誕生と洗礼、西壁には変容とエルサレム入場。北壁は、磔刑と復活。西壁には、聖母の昇天。
モザイクでも、キリストの寺院でのPresentationや受胎告知などが描かれている。モザイクでは、テッサロニキにおけるレアリズムや芸術の劇的な品質が顕著である。二人の芸術家が見分けられるが、どちらも高度な技術を持ち、色彩の使い方も幅広い。
最初の芸術家は、ドーム、ペンデンティブ、そして十字の翼部分を担当しているが、壁画による影響を受けている。彼は、顔に小さなテッセラを使用して、とてもディテールに凝った表現力を駆使している。彼はまた、中間色を使用し、モザイクは遠目にはまるでフレスコ画のようにも見えるのである。
もう一人は、モザイクの基本であるシンプルな線を使っている。彼は、11世紀から12世紀に発展したがままに、モザイクの技術を素直に使用したタイプのようだ。
壁画は、アーケード、聖所、中央寺院の三面にある。それらは主に、聖母の人生を描くものとなっている。」
この解説で納得です。実際、本に掲載されている写真を見ても、テッセラはかなり細かく、絵画的な表現となっているモザイクです。

全体で見ると、残されている部分が天上や壁に点在している状態で、ポツンポツンとあるので、あ、あそこに、ここに、という感じで、撮影しており、ちゃんと見られていないものも沢山あったのだと思います。
ビザンチンの教会は、シャンデリアがつるされていたり、ごちゃごちゃとしていて、天井を遮るアイテムも多くて、笑、撮影泣かせだったりします。

「南アーケードの東側には、そのライフ・ツリーが描かれている。これは、この時期のマスターピースを言われる作品であり、優雅さ、高貴さが飛びぬけている。
北アーケードの東側は、洗礼者ヨハネに捧げられた礼拝堂となっており、その人生が描かれている。」
この辺りは、現地では分からなかったと思います。
撮影した写真を見ても、片鱗すら写ってないのです。おそらく簡単に取れないような状態だったのか、状態がよくなくて、よく見えなかったのか。サロメがあったらしいのですが、気付きもせず、残念至極です。
そんな中、最重要っぽく取り扱われてるこれは、割としっかりと撮影できていたので、自分の写真を使います。

「変容のモザイク
変容が描かれた部分は、黄金の背景以外は、ほぼ無傷で残っている(黄金は、ほとんとすべてのモザイクから失われている)。
モニュメントがモスクに転用された際。おそらく1430年直後、モザイクは白色塗料で覆われ、それで黄金がはがれてしまった。
場面の中央で、キリストは岩の上に立ち、彼の右手は祈りのポーズでさし伸ばされている。彼の後ろには、楕円形の円盤があり、光線を発している。
左には預言者エリア、彼の腕は胸で交差されている。右にはモーゼがいて、十戒を手に持っている。
場面の下の方には、三人の使徒。左は膝まづくピーター、中央には、ヤコブが身を低くしており、右にはジョンがあおむけに横たわっていて、頭部が外側に飛び出している。」
ちなみに、サロメはこういう様子です。
かなりオリエントっぽい雰囲気が感じられると思うのですが、どうでしょうか。ヨハネを頭にのっけて、やばい女ですよね、笑。

改めて写真を見直すと、ここは、一連の教会の中では地味な方に位置付けされていると思うのですが、見所てんこ盛りだし、雰囲気も良い教会だと思います。ここに限らずですが、教会中を煌々たる明りで満たして、望遠鏡など併用して、心行くまで楽しみたい教会の多いことよ、です。かなうことはない夢でしょうけれど。

というわけで、教会巡りは、これで終了となります。
ビザンチンのことは、歴史からして、身についていないし、美術については門外漢もよいところなのですが、後付け、それも相当の後付けながら、解説を読むことで、ほんの少しは学びがあった気がします。
結果、もう少し見たい気持ちは強まっていますので、また連休など利用して、他の土地にも行けたらなぁ、と現実的に考えておりますので、その際はまた、お付き合いください。
おっと、まだちょっとだけ続きますので、早まらず…。
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- 2023/04/09(日) 18:12:59|
- ビザンチン
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ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その26
次に訪ねた教会も、住宅に埋もれるようにして建っているタイプで、レンガ積みが見事なたたずまいです。

カテリーナ教会Agia Aikaterini/Eyia Ekaterini
おそらく英語でカテリーナとなるのでしょうが、ギリシャ語だとエカテリーナなんですかね。ロシア語っぽい響きも感じますねぇ。東方なんだな、と。
教会の建物は、鉄柵に囲まれていたように記憶するのですが、一応扉の所にアクセスはできました。でも、建物本体への扉には、がっちりとしたいかにも鍵らしいカギが…。

扉にも、上下普通のカギは付いているようですが、さらに南京錠。何か過去にあったのかもしれないような頑丈な守りですね。どう見ても開いてないのに、念のため、とガチャガチャしたのは私です、笑。開くわけないよねぇ。でも、過去の経験から、一応試してみないと、と思ってしまうんですよねぇ。中世病あるあるかもしれません。
レンガ積みが美しい教会なので、中も見てみたかったですが、かなり不便な場所だったので、およそ再訪がかなうとは思いませんでした。でも、これまでの記事で書いたように、夕方に、勢いでもう一周してしまったので、無事再訪がかなったのです。
というわけで、写真は、日中のものと、夜間のものが混じります。
全体の姿は、自分では無理なので、本から拝借したものです。

とてもチャーミングですよね。
どこでも、こういう姿が眺められるスポットがあればよいのですけれど、それは難しいところで、接写しかできないのは残念です。
解説、行ってみます。
「中央のドームは、四つのトンネルヴォルトに支えられており、四角の中で十字を形作っている。四角いスペースは、12使徒教会のように、外側の回廊を形作り、四角部分の北、西、南側に走っている。それによって、本来小さな教会を、大きくしているのである。その回廊の四隅には、四つのドームが持ち上げられており、それらは、中央部のものより小ぶりである。
そのスタイルにより、この教会は、十二使徒教会と非常に似通ったものとなっている。」
これを理解するには、内部の様子が必要ですよね。以下となっています。

ギリシャ十字って、縦横の腕が同じ長さで、教会もしっかりギリシャ十字なんですねぇ。なんか四角って、長方形よりかわいいです。なんでも「かわいい」呼ばわりは、日本語の悪い癖かもしれないけれど、でも、かわいくないですか、フロアプランだというのに…。
上記でも言及されている十二使徒教会は、次回記事にしますけれど、場所も近いし、すべてが類似しているようなんです。実際に現場で見て、レンガ積みの美しさに関しては、まさに双璧をなすような素晴らしさ、ということは納得しますけれど、建物のスタイルとかまでは、気付けなかったです。どちらも、やはり全体像が見られないことが大きいかもね。
「その創建の時代についても、二つの教会は類似している。エカテリーナ教会は13世紀終わりと考えられている。一方十二使徒は、14世紀初頭。二つの教会は、また外側の装飾についても類似する。壁にタイル装飾。十二使徒の方が、いくらか装飾性が強い。」
タイルとあったのですが、少なくともこの教会では見られなかったです。

それにしても、このレンガ積みのディテール、すごくないですか。私は大好きです。職人さんの執念というのか、幾何学計算の粋みたいな感じっているか、これ、ただ漫然と積んでたら、多分ダメなやつですよねぇ。どうなんだろう。

再建部分も沢山あるのでしょうけれど、コンセプトが、やはり東方って感じします。レンガも、空間恐怖には有効な装飾となりますね。積んでるだけで、びっしり書き込んでる様子になりますもんね。それにしても、こののこぎり歯というか、ライオン歯というか、この帯装飾が、どうしてこんなに好きなんだろう…。
夜になると、ライトアップもされていたんですけど、ちょっとびっくりしますよ。

ちょっと遊園地的な楽しさまでありませんか。
うろこ窓みたいなところに、色が入っているとはねぇ。こういう感覚、独特です。
そして、のこぎり歯のところは陰影が出来て、さらに面白い印象になります。
上の小さな写真で、お気づきでしょうか。
例の、ごつい南京錠、外されていました。そして、内部はほんのり明るい様子ですよね。開いてるよ!と小躍りして、入ったんですよ。
そしたら、絶賛ミサ中…、真っ暗闇…。
早朝から始まるミサは、夕刻にもしっかり行われて、この町、信者比率高いし、なんかすごいな。一日何回やるんだろうか。
小躍りどころじゃないです。
狭いスペースに椅子が何客か置かれていて信者さん、数人でしたか。とにかく暗くて、ミサを執り行う方だけにスポットライトのような、それもピンライトのようなものが当たっているだけなので、周囲は逆に暗闇なんです。
そしてその方がお説教なのか、聖書を読まれているのか、朗々とした声で、雰囲気すごかったです。
入ったは良いけれど、何も見えんし動けん、というやばい状態になってしまって、固まってしばらく拝聴していたのですが、なんていうのか、持ってかれそうなくらいのすごい声で、このまま固まっちゃいそうだったので、慌てて、しかしそーっと出るしかありませんでした。
解説によれば、
「内部の壁表面には、壁画の一部が残っている。聖人の姿や福音その場面、特にキリストの奇跡など。ハンセン病患者、盲目の人、身体がマヒした人などを治す場面、カナの結婚、サマリアの女性など。」
ということらしいですが、残念ながら、何一つ確認できませんでした。
本の写真によれば、こういう感じらしいです。

我々が迷い込んだ時は、真ん中の四角い部分の、周囲に椅子が置かれていて、聖職者はこのイコノスタシスの前のあたりに説教壇みたいのを置いてお話していたと思います。
イコンもこんなにあったの、見えていたのかもだけど、厳粛な空気しか感じなかったな。
壁画は、14世紀初頭の頃のものらしく、前回のオルファノスとの共通点もあるしっかりした技術者の作品ということでした。

ここは、世界遺産になっているビザンチン遺構に加わっているのかどうか不明ですが、場所的にも訪れる観光客は少ないでしょうね。しかしレンガ装飾的には、見るべき教会の一つだと思います。中もね、ミサさえなければ、見てみたかったです。
ちなみにですが、アクセスは、かなり大変ですよ。

かなりの坂道登ったり下りたりの道になります。おそらく住んでいる人しか、クルマで走ることはできない迷路。
これは、ここらの住人の駐車場と思いますが、車止めついてますよね。
道を間違えようものなら、悔しさでキリキリするような。
でも、にゃんこ好きなら、にゃんこを追っかけてれば、結構歩けるかもね。

至る所、にゃんこだらけの地域です。
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- 2023/04/07(金) 16:19:45|
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ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、番外その3
普通の旅レポなら、メインになるかもしれないものが、私の中世偏向ブログでは、番外編扱いになっちまいますな、笑。
一般観光客なら、まず目指す場所かもしれない海沿いの散歩道なんですけど、私は全然目指してなくて、ただ、目的地に行くために歩いたに過ぎません。なので、こういうものがあることも知らんかった…。

よゐこの皆さんなら、ピンときますよね。私は、遠くに騎馬像を認めて、もしかして?と中世よりも古い歴史に思いが至りました、笑。

アレキサンダー大王です!
イケメン度高し!マケドニアですよ。ここに来るまで、頭になかったよね、マケドニアって。多分、東向いてるんだよね。
この人が東を目指さなかったら、歴史は変わっていたとか言われるよねぇ。そういう人がいたのがここだったんだねぇ。
イケメンというのもあったんだけど、結構な数の写真を撮影してしまいました。アレクサンダー大王は、好きだよね、女子は。イメージとしては、イタリアにあるモザイクの彼だけど、これも長髪で重なりますねぇ。モザイクの方が古いわけだから、あれからのイメージなのかなぁ。

海辺の散歩道はこういう感じ。左側に見える円形の建物は、ホワイトタワーとかいう観光名所だと思います。興味がある方は、調べてくださいね、笑。
11月に行ったけど、あったかかったから、お散歩している人も多いです。
帆船みたいのが見えますよね。

これは湾内を回りながらお食事ができます的な遊覧船だったと思います。水のあるとこにはつきものだよね。なかなか風情のある作りだけど、おもちゃっぽい感もぬぐえないし、安全なんだろうか…、と一抹思わされますなぁ。

その海に背を向けると、こういった眺めになります。丘になっていて、あの斜面部分に、迷いながら訪ねたいくつかの教会があったり、にゃんこが集会していたりするんですね。
そして、天辺には、かつてのアクロポリスなどがあるようですが、もちろん足を踏み入れるどころが実態は全く知りませんので、紹介もできません。観光名所なのかしら。
手前の平地の大通りには、市場もありまして、やはりどっちかというとオリエントのスーク的な印象もあるんですよねぇ。

香辛料や甘そうなお菓子屋らが、所せましの乾物屋さん。確かこの辺りで、干しイチジクを買いました。イタリアよりずいぶんと安かったので。
オリーブ専門店とかお魚屋さんとか、活気のある市場でした。

そういえば大通りの一部が、大工事中で閉鎖されていました。

地下鉄の工事じゃなかったかと思うのですが、あれから3年超たっていますから、どうなっているんだろうな。
実は、テッサロニキ近くにも、ビザンチン教会の固まっている町があって、本来はそこと合わせて訪ねたいと思っていたんですよね。もうそろそろ旅も自由になってきたので、前回のような安い航空券が見つかるならば、また行きたいと思いますし、テッサロニキ・インならば、やはり少しは町の再訪もしてみたいものだと思っていますので、工事のその後も見ることが出来るかもしれませんね。
ちょっと地味な番外でしたが、では、本編に戻ります。
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- 2023/04/04(火) 18:26:30|
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ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、番外その2
一応、実際の旅の時系列で、順番に書いていますが、一回訪ねて入れずに戻ったりもしているので、前後はしていて、前回のオルファノスでフレスコ画を堪能した後に、ランチの時間となりました。
というわけで、一旦繁華街の方に戻ってランチをしました。
ということから、この辺りで、番外とし、ホテルや食事のことを備忘として記しておこうと思います。
まず、今回二泊したホテルは、普通にBooking.comで探した、比較的お安めタイプです。

ParkHotel
Ionos Dragoumi 81 二泊三日ツイン朝食付きで約140ユーロ
整然とした五番目の港側地域と、山側との調度境目くらいのロケーションで、位置的にはとてもよかったです。どこを歩いていても、戻るのが楽なので、日中も荷物を置きに戻ったりできました。また、近所にお店も多くて、そこも便利だったし、何より、スタッフが全員感じよくて、楽しかったです。

目の前には、こんな遺跡が広がっており、ビザンチンで頭一杯状態で着いた時は、なんでローマなの?とか思ってしまいました、笑。
そして、このホテルと、おそらく同じビルだと思うんですが、素敵なカフェがあって、これも大変良かったです。

ギリシャ語なんで、正確な名前も分かりませんけどね。
到着は夜だったので、機内で持参のおにぎりを夕食として、ホテルにチェックインしてから、すぐに寝るのも寂しいので、一杯飲みに出て、しばらく歩いたものの入りたいと思うような店がなかったんですよね。
それで、すごすごとホテルに引き返してきたところ、灯台下暗し、青い鳥的な状態で、このカフェがあった、というわけです、笑。
でね、入って、びっくりしました!
ドリンクを注文したら、なんと。

なみなみとお冷が出て来ました!
店員さんは、当たり前のように英語をしゃべるし、この水だし、同行者は日本人だし、旅の疲れでボーっとしてたら、あれ?今どこにいるんだっけ?という混乱に陥りました、笑。
ワインが3ユーロとか、お安いのも嬉しいことでした。
翌日も、夕食の後、一杯飲みに行ってしまいました。
で、オルファノスの後のランチなんですが、これはもう衝撃でしかなかったな。
大通りには、定食屋さん風のお店がいくつもあって、まさにお昼時だったんで、どの店もそこそこ人が入っています。私は好き嫌いも少なくて、割と何でも行けるんですが、同行者は若干偏食があるので、お店の選択は彼女に任せました。
何軒見ても、正直よく分からず、数軒目のお店、ここでいいんじゃないか、トライしよう!ときめました。

こうやって、ちょっと人が溢れてたりしたのも、もしかして美味しいのかもね、という印象を受けたんだと思います。ここ、確かテイクアウトもやっていて、この行列はそのお客さんだったと思います。
いざ入ると、メニューもなく、どうするんだ、とアワアワしていると、テイクアウトのカウンターに並んでいる料理を選べ、ということらしく、おいしそうだったやつを適当にチョイス。

ピーマンの肉詰めとベークドポテト。それもどっさり持ってくれた。飲み物は僕が、とイタリアの誇るダンサー、ロベルト・ボッレをちょっと貧相にしたようなタイプのお兄ちゃん、まず、ふかふかもっちりの食パンみたいな四角いパンを、ほぼ一斤分くらい、かごに入れて持ってきてくれました。二人分にしても大容量。お水は無料、ワインを頼んだら、水飲みグラスになみなみ。
お値段、まったく不明でしたが、お客さん、どう見ても地元の人たちだし、気にせず。美味しかったです。お料理もパンもワインも。
でね、何が衝撃だったかというとね、カウンターで払え、というので、これとそれを二人分とワイン一杯、と身振り手振りで伝えたところ、「3ユーロ二人分ね、6ユーロとワインで合計7ユーロ!」
一瞬耳を疑って、一人分だと思ったよね。
すっごく昔、通貨がユーロに変わったばかりの頃、イタリアの田舎で、トマトのパスタが3ユーロというのに、ミラノ価格に慣れた私はのけぞるほどに驚いて、何かの間違いじゃないかと思ったことがあったんだけど、それ以来の衝撃でした。
庶民の店は、安いのね、どうやら。
カフェも安いけど、ワイン3ユーロはそれほどの衝撃でもなかったし、この後行った店でも、そこまで安くなかったからね。
ここは、サービスも早いし、ランチにはピッタリのお店でした。
夕食は、お店を探して結構歩きました。港の方にあるお店は、どこも結構よいお値段で、なかなか選べず、結局かなりホテルから離れてしまったその延長で、夕方からまた教会を一回り、という運びになったんですよね。
それでくたくたになってしまったんで、結局ホテル近くの、何でもなさそうな普通のお店で。
メニューも、まぁまぁ普通な感じで。

私はイカのグリル。同行者はタリアータを、赤ワインでいただきました。

ひよこ豆のサラダも美味しく、帰りにカフェで一杯追加で、満足して爆睡。
翌日の昼は、最後の食事になるので、お魚が食べられそうなお店をチョイス。

私は巨大タコ足グリル。同行者はイワシ。

多分ひよこ豆のマッシュみたいのをお供にした。

同行者は飲まないけど、私は白を半分。
そういえば、どの店でもパンが美味しい。ふかふかもちもちの、日本人が好むタイプのパンも多いんだよね。イタリアとはずいぶん方向性が違います。同行者が、お土産にパン屋さんで甘い系のパンを買って帰って、おすそ分けしてもらったけど、それも美味しかったし、日本のパンみたいでした。
パンが美味しいと言えば、トルコなどももちもち系が美味しかったので、歴史や位置的にそういう系譜があるかもしれないよねぇ。

同行者は甘いものもしっかり。

甘いものが好きそうな様子も、ちょっとアラブとかオリエント入ってる可能性ある?甘み強めっていうか。
繁華街に並ぶお菓子屋さんの数、半端ないのよ。


ということで、食に関しては、結構満足度の高い街かもね。ワインも普通に美味しかったよ。
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テーマ:海外グルメ - ジャンル:海外情報
- 2023/04/03(月) 18:53:25|
- ビザンチン
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