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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

緑の中の灯台的な(モンフェルミー23)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅その70

初めてのリムーザン地方、結構距離のあるアリエ地域からの日帰りだったので、あまり時間の余裕がなかったのですが、ビオレの後、もう一つ訪ねました。

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山の斜面にへばりついているような村、モンフェルミーMontfermyの、山との境みたいな、村で一番高い場所にあるサン・レジェ教会Eglise Saint-Legerです。

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こんな、すさまじいほどの緑の中を走って、たどり着くような村です。なかなかのロケーションですよね。
もうね、オーベルニュとの州境にも近いので、歴史的な位置としては、ほとんどオーベルニュなんだと思います。やっぱり、ほら、鉋屑だし。

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中は、一身廊で、シンプルな様子です。

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かなりきれいにされちゃっているし、後陣のフレスコは新しいものなので、先に見た二つの教会のような驚きはありません。

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しっかしとした彫りのオーソドックスな柱頭。

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見慣れた感じの、こなれたモチーフの柱頭。

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ビオレが強烈すぎて、ここではふーん、で終わってしまいますね、笑。
あの後に訪ねられた教会は、本来の実力というか、魅力を発揮できないはず。ビオレは、一日駆けずり回って疲れて、もう打ち止めにしないと、とかいう状態で、よろよろ訪ねるのがベストな教会ではないか、と今、振り返って、感じますね~。
最後の最後に、「呼ばれちゃった~」みたいな気持ちになって、一日の充実感が百倍くらいになりそうです。今後いかれる方は、どうぞ、そのような企画で、笑。

さてこの教会は、実はちょっと離れて、見なければいけません。
後陣側に回って、その先に延びている山道に入り込む必要があります。

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二つの民家の間の道を行きます。
いきなり山の中に迷い込んだみたい。

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教会からすぐの場所なんですが、田舎の田舎ぶりってすごいですよね。一人だったら、ちょっとためらっちゃうような山道。それも、結構な登りです。
5分程度のことだったと思いますが、結構はぁはぁして、ちょっと木々が途切れる高台に出ました。見たかったものは、これ。

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木が茂りすぎて、辛うじて、の写真となってしまいました。三つ葉型の後陣を確認したかったのですが、石の上に乗り出して、何とか隙間を見つけて、やっと見られたのがこれでした。瓦が美しいオレンジなのもあり、よいたたずまいとなっています。昔から、こんなに明るいオレンジの瓦があったのでしょうかね。だとしたら、山道のこちらの方から村にアクセスする旅人には、とても目立つランドマークであったことでしょう。

この辺りは、トップの方に乗せた写真のように、緑深い土地となっています。グーグルで確認すると、この後陣側は、小高い山となっていて、道はそれをぐるりと取り巻くようにあるので、旅人は、何もない緑の小道をぐるりと歩いてきて、この地点で、この教会の姿を見て、安心したのかも。

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  1. 2020/02/22(土) 02:46:34|
  2. ペリゴール・リムーザン 23-87-19-24-46
  3. | コメント:0

思想を感じるヘタウマ系(ビオレ23)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅その69

次に訪ねたのは、前回のリュペルサから、東方面に40分ほどのドライブでたどり着く村です。ここは、本当にたまげました。

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ビオレBiolletのサン・ピエール教会Eglise Saint-Pierre(教会脇に、トイレあり)。

教会のたたずまいとしては、結構外壁ぬりぬりだったり、さしたる魅力は感じない、大変地味なものなんですが、正面にある、これまた激地味な扉に立っただけで、どひゃあああ!という驚きでしたよ。

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内部もぬりぬり感があるのですが、すぐに、柱頭に目が吸い寄せられて、そんな状態はどうでもよくなります。何あれ何あれ~!?と、いきなり興奮の極みに包まれること、必至です。

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ほら、どうですか、これ!
特に初期、またはプレロマネスクあたりが好きな向きには、もう感涙の浮彫ではないでしょうか。このミステリアスな、そしてハイスペックなヘタウマぶり。

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トスカーナのGropinaを髣髴としたり、はたまたアフリカあたりのプリミティブアートにも通じるような、何とも不思議な、得体のしれないものたちがひしめいています。

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手、なんですかね。とってもフューチャーされているんです。他のフィギュアでも、手が、とにかくでかいです。

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エニグマティックというのか、ミステリアスというのか。おそらく、いろいろな研究、解釈がされていることと思うのですが、ここまで突き抜けちゃうと、もう、見てて楽しいだけでいいじゃん、と思ってしまうタイプです。意味よりなにより、とにかくかわいいんだもん~!

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これは、たとえプレロマネスクだとしても、主流で活躍した石工さんではありえないですよね。技術が稚拙だったり、道具のためもあるのでしょうけれど、ヘタウマ的な中にも思想が感じられるし、こういう縁取りなんかの手法を使ってみたりという多様性もあって、なんというのか、地域に生きた孤高の石工さんがいたのかしら、とか想像してしまいます。

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こういうやつ見ると、デザイン的とも感じられます。すっきりした線で、すっきりと描きたいものを描いて、うさこちゃんのディック・ブルーノ的な、そういうスタイリッシュな。宗教的な意味って、あまり感じられないのですけれど、なんだろう、これ。本当にキリスト教の教会としての彫り物だったのだろうか、と思ってしまいます。
右の人とか、一応十字架持ってるし、そうは見えなくても、やはり何かエピソードを描いているんでしょうけれど。

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聖書に詳しい方なら、何か、これはあれではないか、とわかったりするんでしょうか。サン・ピエトロの逸話とかまでは、ほとんど知りませんが、もしかしてそういうことなのかな。

すっごく長い割れ顎みたいに見えるのは、おひげなんでしょうかね。

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オリジナルには、どうやら彩色があったらしいと思われる、植物モチーフの柱頭もありました。

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不思議な人たちの方にも色がついていたら、なんかちょっと派手な、絵としてはわかりすぎるくらいにわかってしまうどぎつい感じになりそうですけど、さてどうだったんでしょうか。シンプルな彫りは、もしかすると、彩色前提?と思えないこともないですねえ。

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全然調べる気がないので、勝手なことをほざいているのは、毎度のことですが、フランス語で検索すれば、結構情報は出てくると思います。でも、解読が大変なので、あえてやりません、笑。すいません。
でも、意味とか由来とか歴史とか、そんなものは置いといて、絶対見たい!と思わされる柱頭だと思います。これを見ただけでも、リムーザン地域、もっと探求してみたい、と思いますもん。実は、それほど数はなさそうですけれど。

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割と新しくなっている全体像ですが、ちょっとオーベルニュ・スタイルも入っているような雰囲気です。
さて、このときは、お弁当持参だったので、この教会前にあったベンチで、ゆったりとランチをいただきました。友人が作ってくれたのは、鳥そぼろ弁当。

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すっごい田舎のはずだから、きっとレストランなんか見つからない、という危機感で、お弁当持参だったのですが、そういうときに限って、道沿いに結構レストラン、ありました、笑。でも、こういう場所で、何も気にせず、日本飯をガシガシ、というのは幸せです。孤独のグルメの五郎さん的に、本気でワシワシとかき込みました。お米っておいしい。

ちなみに教会は村の真ん中にあるので、村にたどり着きさえすれば、迷うことはありません。

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美しい村の、不思議な人たち(リュペルサ23)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅その68

前回の記事から、ずいぶんと間があいてしまって、ちょっとどうしていいのやら、という気持ちでいます。でも、記憶を探りながら、何とか再開していきたいと思います。
本当は、この2018年の旅、昨年内に終える予定でいたのですが、なかなか思うようにはいかず…。それでも、一応、切れ目は付けといたようです。

今回からしばらくは、初めての地域となるんです。
フランスは、結構州の統合改変が激しくて、在住の方によれば、ロマネスクをやっている人たちは、日本人であろうが、フランス人よりも、昔の区分けに詳しくて驚かれるということです。なぜかというと、ロマネスク、特にフランス・ロマネスクのバイブルともいえるゾディアック叢書が、刊行当時の州に区分されて作られているからなんですね。今では、州の名前としては消滅したものもあるのですが、ロマネスク的な区分では、どうしてもその当時の区分が目安となるわけです。
今の区分けは、政治的なものですが、当時の区分けは、もっと歴史や文化に紐づいたものであったはずなので、正しい方向性だと思います。
というわけで、今では、非情に大きな地域をまとめて、Nouvelle-Aquitaineという州にくくられていますが、今回訪ねたのは、かつてで言えば、Limousinリムーザンという地域、さらにその小さな一角にある教会で、県の区分番号で言えば23のCreuse地域となります。

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遠くに、世界遺産の山などを眺めながら、緑の美しいドライブです。でも、結構細い道の連続で、一人だったら、ちょっと不安になるような道もあります。

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このときは、在フランスの友人と一緒だったので、ゆったりと安心して、後部座席でドライブを楽しめました。丘の合間に村が続くといった、ある意味とてもフランス的な土地なんだと思います。

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そういう道を縫うようにして、たどり着いたのが、この、童話のようにかわいらしい村リュペルサLupersatのサントラドゥー教会Eglise St-Oradouxです。

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実際、この村のたたずまい、と言っても、道沿いにお家がいくつか並んでいるだけ、というものですが、とっても愛らしくて、教会の姿よりも、そちらの方が強く記憶に残っているほどです。

さて、外側は、ちょっと今一つの教会ですが、中に入ると。

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例によっての白塗り状態で、一瞬ぎょっとしますけれど、心配することなかれ。面白い柱頭がたくさんあります。

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惜しむらくは、あまりのすごさに興奮したせいか、多くの写真がピンボケだったことです、涙…。しばらくアワアワした後で、落ち着いて、撮影できたらしいです。毎度のことながら、自分の情けないほどのあせあせアワアワぶり、あきれますし、写真が如実にそういう状態を表しているので、自ら笑っちゃいますよ。

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植物と頭のセットが結構あり、うにょうにょっとした彫りです。
それから、人のフィギュアのタイプもあります。

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これなどは、未完の彫りにも見えますね。つい、ミケランジェロの最後のピエタなどを想像するようなありさまというか。建物の中の柱頭ですから、溶けるように劣化することはありえないわけで、やはり未完かな。のはずないよね。

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これもね、特に右の人はどすこい的ポーズなんですが、アトラスですかね?それにしても、妙に余白がありますよね。普通だと、余白にも渦巻き入れてみたり、もうちょっと余白がなくなるように彫るように思うのですが…。
こちらはまた、手が違うような。

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性器思いっきり誇示型。唐突ですよねぇ。無表情で、でもポーズにはやけに動きがあるアンバランスも、不思議。

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こちらは、コルシニャーノのアーキトレーブを髣髴とさせるモチーフ!ツチノコ状の蛇に、両耳かまれていますね。コルシニャーノ(イタリア、トスカーナ)の項、参照してほしいです。意味も同じなんですかね。

これもすごいです。

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余白、ツルツルに磨かれているから、確信犯的に残しているんでしょうけれど、やっぱり不思議。
その一方で、蔓的な植物モチーフなら、余白というより、すっきりしていてそれでありなのに、そこには、無理やり顔を突っ込んだりしてるんですよね~。

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なんか、全体に絶対変でしょ、ここやった石工さん、複数だと思うけど、みんな変、笑。

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これは、さっきの男性器の人と対になるのかな。こういうのも、他とのバランスで言うと、やはりモチーフ的には唐突感否めないです。

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お祈りしながら、ふと見上げて、こういう変なものが目に入ってきたら、なんか不思議な気持ちにならなかったですかね。こういう柱頭を、当時の人々はどうとらえていたんでしょうか。しみじみと思いをいたしてしまいます。

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撮影したすべてを掲載したいくらいですが、きりがないので…。
外のやつらも、ちょこっと。

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外にも、変な奴ら満載ですよ。楽しいですねぇ。

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美しい村のたたずまいとともに、忘れがたい教会。写真を見ていたら、もう一度行ってみたくなりました。

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  1. 2020/02/17(月) 02:32:06|
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