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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ウンブリアその5-ベヴァーニャBevagna

事前にネットで情報収集したものの、フォリーニョから相当近いのに、バスの便はかなり少ないし、でも歩くには遠すぎだし、結局いけないのかな~と危惧しておりました。でもフォリーニョの観光案内所で、あっさりバスの時刻表をもらって、あっさりといけることが判明しました。とは言え、便数はかなり限られるので、不便であることには変わりはありません。
ここは、中世の村がそのまま残されているような、そういう土地。実際、年に一度、村の人たちが中世の衣装を着て、中世の生活を繰り広げるというお祭りがあるようです。そんなの聞いたことあるけど、ここだったんだー!って感じでした。
お目当ては、村の中心シルベストリ広場にある、二つの教会です。

まずは、シルベストロ教会堂。ファサードは愛想のないのっぺらぼうですが、鳩の糞まみれで、ちょっと荒廃?っていう感じの重い木の扉を開けて一歩教会に足を踏み入れれば、そこはもう別世界です。
イメージとしては、深い森?深海の底?そういう感じです。広くもないスペースなのに、やたら太くて立派な円柱が林立し、そして天井が高い。小さな窓から差し込む光の効果がすごいのです。でも遠い。それで、森とか深海の匂いが…。いや、というよりも、これ鳩の糞のにおい…?
一段、というかかなり高く持ち上がっている内陣の下にはクリプタがあります。そこはまたさらに太い円柱に支えられていて、どっしり、がっしり、じんわり、っていう感じ。この写真です。まさにロマネスク。ロマネスクを理解するにはうってつけの教会ではないかと思います。


村には、ちらほらと観光客の姿が見られますが、団体はいないし、とにかく数は少ないので、教会は独占状態です。田舎のロマネスク教会では、他に誰もいない、という状況はまま遭遇できますけど、人がいないというだけでは、必ずしもトリップできるわけではないんですよね。ここは、かなり飛べる条件がそろっていると思います。

そして、同じ広場の向かいにあるのが、サン・ミケーレ・アルカンジェロ教会(大天使ミカエル教会)。
こちらは、ポルタイユを飾る柱頭彫刻がすばらしいのです。


大天使のフィギュアと思いますが、表現力が独特。とても力強くて、大天使というより、力士とか修験者とか山伏とか、そういうイメージです。変ですけど、マジ、このごつい手は山伏でしょ。
こちらの教会は、シルベストロ教会に比べると、すごく修復がピカピカ状態でされていて、美しいけど、あまりにも漆喰白すぎ、と思いました。ロマネスク時代以降17世紀にかなり激しく手を加えられてしまって、やっと1950年代に、オリジナルの姿を取り戻す修復がされたということなので、仕方ないですけどね。こちらも、クリプタはよいです。かなり洗練されているのだけど、シルベストロ教会と趣向が違っているので、とても面白いです。



中世のおうちがかなりそのまま残っていたり、また驚いたのは、ローマ時代の円形競技場が、一部民家になっているのでした。ぶらぶらしたあと、メインストリートにあるレストランでランチをいただいたのですが、これは今回の旅の中でも特筆するくらいおいしいご飯でした。というか洗練されている?内装もかわいらしかったし、料理が凝っていて、田舎なのに!とびっくりです。そうそう、ここで初めて、ウンブリア特産のパスタをいただきました(Sgozzinoみたいな名前でしたが度忘れ)。シエナのピチ系統のパスタだけど、硬質小麦と水だけで打っているそうで、しこしこ感が、うどんのような。辛いトマトソースでいただくのが基本で、これがまた夏にぴったりで、このあと、どこでもパスタはこれを食べ続けました。なんといったかな。各地で異なる名前を使ってました。

石好き系ロマネスク派の方は、是非訪れるべき町。車の旅だったら、フォリーニョなんかに泊まるよりは、こういうところに滞在したいものです。
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  1. 2008/10/30(木) 06:09:50|
  2. ウンブリア・ロマネスク
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モトGP-バレンシアその2

ああ、やはり、の展開。ただニッキーがこんなにすぐだめになるのは、ちょっとがっかり。そしてロッシ、ここまですばやく飛び出してくるとは、うれしいびっくりです。エドワーズとドヴィの追い越し、やっぱりうまい~、と惚れ惚れ。
でも、正直ロッシが3位に浮上したあとは、全くつまらないレースで、それぞれがポジションを悠々維持できる状態で、だらけました。アナウンサーと解説者も、レースに関係のない来年の話とかばっかりしていて、みんな飽きていたんですね。ストーナーが一人勝ちするレースは大抵こういう展開なので、面白くないんですよね、わたしとしては。
ロッシが、レース後のインタビューで、「すごく退屈なレースになっていたから、何とかトップに追いついて、盛り上げたかったけど、残念ながら今日は無理だった。」といってました。プロですね~、レースを盛り上げないと、なんて考えて走っているライダーは、多分他にはいないのじゃないかと。こういうとこ大好きです。
彼のチーム監督ブリビオさんも、「本音を言えば、ストーナー、ダニ、ヴァレの三つ巴のバトルを見たいけど、今日はヴァレはちょっと追いつけそうもなくて残念だね。でもヴァレのことだから何かやってくれるかもしれないし、とにかく楽しもうよ。」と言ってて、あ、なんかこの発言もいいなぁと思いました。まぁ、王者ならでは余裕というか、そういうことなんでしょうけど、でもこれがポイントで、ロッシがいるおかげで、今のモトGPは、わたしみたいなバイクのことを何も知らないミーハーでもはまってしまうショウになりえているいるんですよね、確かに。
今年のレースを引っ張ってきた三人が、最後に表彰台に上って、来年につながる美しい締めくくりだったかも。
ところで残念だったのは、250で高橋君が2位になりましたが、わー、久しぶりのインタビューだ!と喜んだのもつかの間、勝利インタビューなし…。ちくしょ~。来年モトGPで、どうなるんでしょう。そういえば新人賞は、ロレンツォだったみたいですね。相変わらずチュッパチャプスなめまくりで。
ああ、これから3月まで、ないんですねぇ。おかげで気軽に遊びに出られますけど、でもさびしいなぁ。なんていっても仕方なし。また来年、ですね。

  1. 2008/10/27(月) 00:32:50|
  2. モトGP
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モトGP-バレンシア

うーん、ロッシ、十番…。ほんとにこのコース、苦手なんですねぇ。ま、仕方ないか。苦手なコースだけに、今回はいきなりごぼう抜きでトップ争いに絡む可能性はかなり低いと思うので、ちょっと残念。
一方ストーナー、久しぶりにぐいぐいPP来ましたね。あまり満足そうじゃなかったけど。そーゆーとこが嫌いなんだよ~。
できればニッキーに来てほしいな、と思っていたのに、なんとダニまで絡んできちゃって、あらまぁ、やっぱりだめ、にっきー?って感じです。ホンダ最後のレースで、相当気合が入っているみたいなんだけども~。
やはりストーナーが、びゅ~っと飛び出して、ダニとニッキーがちょっと争って、かなり後ろの方でロッシが4位争いに絡むみたいな展開でしょうか。ダニとニッキーががんばって、ストーナーとがんがんやってほしいですけど、三人が三人ともそういうタイプじゃないので、なんとなく差がついてなんとなくっていうレースになるのかな。
そうそう、セテが来てましたね。なんかあの人若くなった?若作り?イタリア語がすごい流暢なので、え、こんなうまかったっけ、とびっくりしちゃった。ダニとかロレンツォとか、ラテン系のライダーは、みんなイタリア語話すし結構うまいんだけど、でも相当スペイン語が混じってたりのレベルなんですが、セテのはほとんどイタリア人レベルでした。こんなにブランクがあって、復帰って、どうよ、と思いますが、どうなんでしょう~。なんにせよ、楽しみではありますけど。ロッシのこと嫌いだし、今でもライバル視してるのかも、だけど、とても勝負にならない可能性も大ですよね。ま、来年の話。
シーズン最後のレース、楽しみたいですね!

  1. 2008/10/26(日) 06:39:53|
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ウンブリアその4-Sassovivoサッソヴィーヴォ修道院

ここは珍道中な旅でした(日本語あってるのかな)。今思い出しても、くくくっと笑ってしまいます。
前日に、フォリーニョの観光案内所で、「途中までバスで行き、そのあと、かなり厳しい坂道は徒歩で行くしかない、でもせいぜい20分くらいの道」だということでした。20分程度なら、普段ジョギングで鍛えていることだし、問題ない!と、翌日早起きして、フォリーニョ駅でバスのチケットを購入しました。
時間がちょっと早かったので、駅前でうろうろしていると、バスの運転手が寄り集まってタバコをふかしながら、おしゃべりしています。念の為と思い、「修道院に行きたいんだけど」と尋ねると、「ああ、それなら、○○番に乗って、分かれ道のところで下ろしてもらって、あとは歩くしかないよ。詳しくは乗ったバスの運転手に聞くといいよ」、と観光案内所と同じ情報だったので、安心して、バスの来るのを待ちました。
しばらくして、○○番のバスが来たので乗り込もうとすると「おお、君だね!」え?こんなところに知り合い?何?と戸惑った顔で運ちゃんを見ると、ニコニコして、「さっき同僚から聞いたよ。修道院に行きたいんでしょう。」あらあら、フォリーニョ、親切でフレンドリーな人もいるじゃん!と朝からうれしくなりました。
郊外に出てしばらく行ってから、「さ、ここでおりて、あとはこの道をどうとかこうとか…」と、他に乗客がいないせいもあるのか、とても熱心に説明してくれます。でもわたしは、どうも根が方向音痴のせいか、道順を外国語で聞いて理解するのが、実はとても苦手なのです。正直イタリア語はかなり堪能の部類に入ると思うのですが(十数年もいれば当然、という程度のレベルですが)、道順は、聞く片端から頭の中で日本語に翻訳しないと、頭に入らないのです。これは数字も同じで、何か脳のどっかがちゃんと反応してないんだと思うんです。
それはともかく、そのときは、運ちゃんが説明してくれながら、ちょっと余計なおしゃべりもして、だから即翻訳ができず、聞いている端から、あ、多分これは分かってない、と自覚しつつも、何度も確かめるのも失礼だったので、半端に分かった時点で別れました(でもなんか、ウンブリアのなまりもあるみたいで、道順以外でも、相手の話していることがよく分からないことは、このあとも各地で起こりました)。
さて、いざハイキングです。
お天気は上々、まだ朝早いので、空気もさわやか。とりあえずはまっすぐだよね、とるんるんと歩きます。歩きます。ん?途中で川があって、橋みたいのがあるところを道なりに左折して、とか言ってなかった(自信ないけど、確か…)?あ、ここ、それらしい…。と左折します。急坂。入り口にマリア像があるし、いかにもそれらしい!それもかなりの激しさ。確かに観光案内所の人が行ってた通りだ!と確信に満ちて歩きます。
しかし、急坂が終わると、緩やかなのぼり坂の普通の道になり、前方に村が。これは聞いてないなぁ…。道端で、何か作業をしているオヤジがいたので、確認。「修道院?歩いていくって?そりゃ無理だよ、こっからじゃ5キロくらいあるよ!」「は?5キロ?」
がーん、大げさですけど、一瞬目の前真っ暗という感じでした。だって観光案内所の人は、バス降りてから20分って言ってたんだよ、5キロなんて聞いてたら来ないよ!と見も知らぬオヤジに訴えるわたし。オヤジもまた親切にうん、うん、と聞いてくれます。5分もそんな会話をしていたでしょうか。向こうからプップーと軽快なクラクションとともにバスがやってきました。さっきの運ちゃんが、運転席から笑顔でわたしを見て、「やっぱり間違えてる~、わはは」(わたしの方向音痴、なぜかばればれ)と楽しそうに笑いながら、バスを停めました。
彼は、わたしを下ろしたあとで、少し先の村まで行って、そこから折り返し運転してフォリーニョに戻るところだったのです。お客さんも乗っているというのに、バスを停めたままで、オヤジとああでもないこうでもないと修道院への最短の道を協議して、最終的に、こうしていきなさい、と親切な指示をくれて、じゃあねぇ、と去っていきました。
オヤジがもう一度説明してくれて、今度はすぐに翻訳したので、かなり明確になりました。では行きます!帰りもこの村、Uppelloまで戻って、そこでバスに乗ります!ということで別れました。
そこから村の中心を通り抜けて、言われたように国道に出て、あとは上り坂をひたすら歩くのみです。5キロはないことを祈りながら。だんだん日差しも強くなり、汗が吹き出てきます。たまに車が通り抜けていきますが、本当にたまにで、歩く人など、勿論誰もいない道です。つい、乗せてくれよ~、せめて止まれよ~とか、逆恨み状態。両側とも緑でいっぱいのがらがらの道は、ドライブには最適ですが、歩くのは、ちょっと、辛い。

(こんな道が延々と続きます。)

いい加減歩いて、坂道もきつくなる一方だし、ああ、どうしよう、と思ったあたりで、折りよく向こうから犬の散歩の人が歩いてきました。正直、こんな田舎の何もない国道を、東洋人の女が一人で汗だくになってゼエゼエしながら歩いている光景というのは、かなり異様だと思うのですが、さすが無反応無感動のフォリーニョ地域の人だけあって(フォリーニョの項参照のこと)、道を尋ねても平然としています。それでも、もう少しだからがんばれ、と言ってくれたのは、やはりわたしの姿が相当見苦しかったのではなかろうか。
彼の言うとおり、そこからはほんのちょっとの距離でした。緑の合間に、ちらりと修道院の姿が見えて、ああ、うれしい、と感無量。



今も修復工事をしていましたが、この修道院で最も重要とされている回廊は、おそらくつい最近工事が終わったばかりのようで、白く輝いていました。ほっそりとした二連の小さい柱がずらりと並び、庭側には、モザイクがはめ込まれていたりとても装飾的で美しいキオストロです。



付属の教会はとても小さいものですが、今修復している修道院の居住部分は結構立派な大きさなので、それなりに多くの修道士が暮らしていたのかと思われます。
あの工事、もしかしたらホテルにでも改装する工事だったかもしれません。

疲れましたが、開いててよかった!そして回廊の工事が終わっていてよかった!ついてます。道は思いっきり間違えましたが、おかげでUppelloなんて、おそらく一生行くこともない村にも出会えたことだし。
帰りはのんびりと歩いて、そのUppelloに戻りました。バス停のある村唯一の広場には、じいさんたちが集まって、ひっそりとおしゃべりしています。わたしも一角に座って、スケッチをしていました。そしてバスが来て、そして例の運ちゃんが元気いっぱい降りてきて、お、修道院はどうだった?と二度目の再会で、もうお友達のような感覚で楽しくおしゃべりしながら、フォリーニョに戻りましたとさ。
めでたしめでたし。
(ロマネスクの薀蓄は、HPに譲ることに決めました。いつまとめられるかは分かりませんが…。)
  1. 2008/10/21(火) 05:25:34|
  2. ウンブリア・ロマネスク
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モト-マレーシアGP

どんよりしていてそうは見えなかったですが、超暑かったようですね~。革のスーツに全身包まれているライダーたち、たまらなかったでしょうね。湿度の低い国出身の方々ばかりだし。中でも、特にひ弱そうなストーナーがだめだったのは、そのせいもあるのかも?
ロッシ、チャンピオン確定でも、年間レースの半分は少なくとも勝ちたい(9勝)、できれば二桁勝ちたい(10勝)といいつつ、さすが有言実行男ですね!まずは9勝、きっちり抑えてしまいました。
そういう目標を置いて、自分のテンションを高めモチベーションをあげるっていうのもあるんだろうけど、やっぱりなかなかフツーの人にはできないことで、改めて、天才とはこういうものか、と感服するレースでした。
レース展開は、でも全体に地味でした。ストーナー、嫌いだけど、やはり彼ががんばらないと、ロッシ一人勝ちになっちゃうので、レースそのものの面白さは半減します(すげーわがままですが)。今日はPPのダニが、スタートもすばらしくて、そのままレースを引っ張ったけど、ダニとロッシはバトルになりませんよね。大抵ロッシがうま~く追い抜いて、そのままダニは徐々に遅れていくってパターンですし、今回もまさにそうでした。ただ、ダニ、ブリヂストンに履き替えたばかりなのに、たいしたもんです。勝利者パドックで、ロッシと抱き合ったとき、久しぶりにいい笑顔でした~。
でも今日の殊勲は、ドヴィ君ですね!がんばった~、やっと表彰台、勝ち取りましたね。彼とニッキーの3位争いは、今日のレースの見所だったと思います。ニッキーも相当リキが入ったと思うけど、今一歩、でした。彼も攻めるんだけど、どうしても今一歩、というパターンが多いような気がします。でもこういう攻めを見ると、来シーズン、Ducatiでどういう走りをしてくれるのか、かなり楽しみ。ドヴィも来シーズンが楽しみです。
ロレンツォは転倒してしまったけど、彼も激しい攻めで、よいですね~。バレンシアは、地元スペインだし、来年につながる最後のレースだし、果敢に攻めてもらいたいものです。順位的に、彼が最優秀新人賞かな?
あとは、250のシモンチェッロ、祝、優勝!
彼も性格的にはロッシ系統で、すごくサービス精神旺盛で、って言うか、ちょっとしゃべりすぎ?って感じの人(口から生まれたみたいな典型的イタリア人です)。ファンを楽しませようとするタイプだし、この人の今後も楽しみ。
残るはあと一戦と思うと、さびしいです。

  1. 2008/10/20(月) 00:37:10|
  2. モトGP
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ロマネスクのおと更新のお知らせ

古いものを置いといて、また比較的最近訪れた場所をアップしてしまいました。ああ、いつになったらベネチアの整理ができるんだろう。
今回は久しぶりのエミリア地方です。ターロ川流域は、ちょっと前にぶらぶらしましたが、今回はよりパルマに近い、つまりより訪れやすい場所中心です。コモの石工たちが大活躍した、ローマへの巡礼路沿いの町村で、楽しい柱頭装飾がてんこ盛り。また様々なレリーフもどっさりで、彫刻系がお好きな向きには垂涎の地域でもあるでしょう。この辺はご飯もおいしいし、訪れるには楽しい場所です。
よろしかったら、ご高覧くださいませ。
ロマネスクのおと
  1. 2008/10/15(水) 05:20:14|
  2. ロマネスク全般
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ウンブリアその3-フォリーニョ

アッシジ、ペルージャと、すでによく知っている土地を離れて、初めて、全く未知の土地です。朝早くにアッシジを出たので、街に着いたのは、早朝といってもよい時間帯。前日、ガイドブックを見て、駅前のホテルを予約しておいたところ、バスが止まった駅前からなんと徒歩30秒のまさに駅前ホテルでした。それがさえないのなんのって(そのわりに安くなかったし)。
なんとなく憮然としつつ、かばんを置いて、早速町に出ます。
ここに泊まるのは、この町が目当てというよりも、周辺に訪れたい土地がいくつかあるため、拠点としてなのです。とは言え、ここにも見るべき場所が二つばかりあります。
まずはこちら、サンタ・マリア・インフラポルタス教会。町の西側の端っこにあります。


教会前は小さな広場になっていますが、教会は、なんか忘れ去られた存在になりつつあるような、ちょっとほったらかされ状態で、荒廃進んでいるというか、近づくにつれ、全体の寂れた空気が漂ってきました。向かって左側は工事していたものの、でもファサードは結構美しく修復されているし、ナルテックスになっているファサード下部を支えている円柱に乗っけられた柱頭も、お掃除されているし、かわいらしいです。


全体アッシジと同じ石を使っているのか、ピンクと白のしましまで、柔らかい雰囲気です。でもポルタイユが、ぼろぼろで、そして完全クローズされてはや何十年立つのかな、という雰囲気の壊れ方で、多分それがとっても荒廃ムードをかもし出しているのです。
ドアの隙間から、ちらりとでも中の様子が見えないかな、とおもって、いろいろ試していたら、通りがかりの地元の人が「そこは閉まっているよ!」分かってます…。「開けてもらえる可能性はないんでしょうかね?」「もうずっとしまっているし、中はごちゃごちゃのはずで、多分無理でしょう。それより、あっちにあいている、もっときれいな新しい教会があるから、それを見に行ったらいいじゃないか!」う、う~ん。親切で言ってくれているのは、分かるのですが、答えようがありません。
これって、でもわりと言われることかも。”(そんな壊れて古臭いものより)もっときれいで新しい教会”。多分それって、そのロマネスク教会が、大切にされていないってことかもしれません。大切にされている場合は、地元の人たちは自慢しますもんね。それがこの荒廃ムードをかもし出しているのかなぁ。
現在進行中の工事や、入れない内部は、おそらく10年前の地震の名残。アッシジのサン・フランチェスコはあっという間に修復されましたけど、実は、地震後10年たっても、まだまだ後遺症に悩んでいる土地はたくさんあるのですよね。知名度がないのもあるし、多分集まった寄付金が他に使われたりとかの不正もあるだろうし。実際、この町は、あちこち普請中の建物が多くて、全体に埃っぽくて、どうもそれも、町の印象を今ひとつ悪くしていた気がします。

そしてカテドラル。


こちらは町の中心にありますが、この周りも工事中多し。ただ、Duomoを眺められる好位置にあるバールは気に入りました。いつまででものんびり座ってられるし(なかなか注文取りに来ない)、その上さすが田舎、安い!朝も晩も結構な時間を過ごしました。
特に夜は圧巻でした。
9月の最終週に、クライマックスを迎えるクインターナという祭りがあります。そのクライマックス(日本で言うところの流鏑馬みたいな競技が地区対抗で行われる)に向けて、毎晩のように何かイベントがあるという時期でした。夕食を済ませて、このお気に入りのバールに一杯飲みに行って、ライトアップされたDuomoを眺めたり、行きかう地元の人々を眺めていると、突然に太鼓の演奏が始まりました。どうやら本番に向けてのプローバの日だったらしいのです。7,8人が、普段着なのは残念でしたが、かわいらしい肩下げの太鼓を思いっきり演奏。背の高い建物に囲まれた場所ですから、すごい音響効果で、身体にぶるぶるときます。すごく感動しました。ホテルに帰る道でも、今度は多分違う地区の太鼓部隊がまたどこどこやっています。あっちでもこっちでもどこどこやっていて、そのたびにどうしても立ち止まって聞いてしまうので、帰るのにえらい時間がかかりました。
それにしても、不思議だったのは、町の人々の反応、というか、無反応。演奏が終わっても、すーと何事もなかったようにそれまでの会話に帰るみたいな反応で、拍手なし、声援なし。思わず立ち上がって拍手と身体が反射しそうだったわたしは、そのシーンとした空気を感じてしまって、え?いけないの?と固まってしまいました。道端では、思わず拍手してブラーボと声援を送ってしまったのですが、他の人々はシーン、奇異な目で見られている気がしました。演奏者の方も、一人ぐらいはもごもごとありがとうみたいなことを言ってたかもしれませんが、なんか無視。何じゃこいつ?ってムードがあふれてしまいました。
太鼓演奏のおかげで、フォリーニョもいい町じゃん、とわたし内部の評価がやっと少し上がったのですが、この異常な無反応で、フォリーニョの人は変、と強く思わされ、上がった以上にググっと下がりました。フォリーニョ人、どうして反応しないのか?理由を聞いてみたい。そりゃ、いくら毎年同じ光景同じ太鼓かもしれないけれど、パーカッションの怒涛のような演奏って、本能的に身体に来ると思うんですけどね~。
ああ、ロマネスクに全く触れてないですね。
ま、フォリーニョはそういう町だということです。
このあと近郊に出かけますが、いい人にも会いましたよ。あ、でも彼はモンテファルコの人だといってたな。やっぱりフォリーニョはだめか?いや、悪いわけじゃないけど、無反応はなぁ…。
  1. 2008/10/09(木) 05:15:57|
  2. ウンブリア・ロマネスク
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モトGP-オーストラリア、フィリップアイランド

やりましたね~。ロッシ、本領発揮という感じのレース展開で、大満足です。早起きの甲斐ありです。

まさかの12位スタート。実は昨日は見てなかったのですが、結構派手に転倒したのでしょうか。首をひねったとかで医者に手当ては受けていたようだけれども。それでもそんなことはそぶりにも見せないところがさすがですね。今の彼なら、きっといつものごとく、トップ争いに絡むのは間違いない!と安心してみていましたが、出てくるの、予想以上に早かったです。気付いたら、さり気にそこにいるんですもんね。

PPのストーナーが飛び出すのは予想通りでしたが、しかしニッキーがあそこまで食いついていくとは、正直びっくり。かなりぴったりと、ついていってましたね~。ニッキーもシーズン後半に向けて、しり上がりに調子がよくなってきたけど、Ducatiに向けてのアピールもあるのでしょうか。この調子でDucatiも乗りこなしてくれればよいけどね~。でももう少しストーナーにプレッシャーを与えてほしかったなぁ。結局どんどん差を広げられてしまうわけですが、あれはやっぱりテンションが切れてしまうとかそういうのがあるのでしょうか。タイヤの状態が悪くなるとか、勿論技術的なこともあるのでしょうが。

そういう意味では、今日のロッシとトーズランドのバトルはすごかった。トーズランド気合入りまくりで。ロレンツォまでは楽々抜いたロッシなのに、本当にてこずりましたよね。追い越しても、またすぐやり返されるし、やっと追い抜いても、なかなか差が広げられないし。トーズランドも、今ひとつ結果を残せてないから、必至だったんでしょうね。ちょっとペースが遅くて、そんなとこでのろのろしてたら、ロッシがトップにいけないじゃん~、とイラッともしたんですが、そうはいっても見応えのあるいいバトルでした。
ロッシが抜けたあとの四つ巴も、すごく面白かったですね。トーズランド、ロレンツォ、ドヴィツィオーゾ、そして中野。前三人が抜いたり抜かれたりとしょっちゅう順位を変えているのに、中野は淡々と最後尾を走り、なんと最後はトーズランドとドヴィを抜いて5位で入ってきたので、これはびっくりしました。残念ながら、ラストラップはロッシがニッキーを抜くところにカメラが張り付き、リプレイもなかったので、一体何が起こったのかわからず。中野選手、かなり気合はいりましたね。か、トーズランドとドヴィがなんかエラーしたのかな。

そう、最後にニッキーは、ロッシにどんどん差を縮められて、とうとう二位を譲る羽目になりました。マシンの粘りがなかったのかな。それにしてもロッシって、やっぱり天才という以外にないです。とにかくこれだけ華のある人っていないですよね。どんなところにいても、やっぱり彼に注目せざるを得ないレース展開をするって、すごいことだと思います。本人もまた、ファンが喜んでくれること、自分も楽しむことをすごく大切にしていて、だから12位でも腐らず、楽しいレースにしようとがんばる。プロとして、当然のことだと思うけど、ファンどころか自分自身楽しむことさえ余裕がなくてできなかったりするんだろうな(=ストーナー?)。

今後の期待は、ロレンツォ、ドヴィ、とルーキー組がどうなっていくか、です。というか、ロッシのライバルは彼らしかいないじゃないか、という感じですし。来期はまたルーキー参入で、どういう展開になるのか、今から楽しみです。
次回マレーシアもまた早朝ですか~。早起き厳しいなぁ。

  1. 2008/10/05(日) 18:33:17|
  2. モトGP
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ウンブリアその2-ペルージャ

ペルージャは、ミラノに来る前、半年弱暮らしていた町。そして、その後は一度も訪れる機会がなかった町。
今回アッシジからバスに乗っていったのですが、ペルージャが近づいてくると、心臓が本気でドキドキして、なんだか泣きそうになってしまいました。青春、なんていまや死語かもしれないし、それにペルージャにいた頃の年齢を考えると、ちょっと違うんじゃないか?という感もありますが、でもやっぱり青春。すごく痛い。全部覚えているわけじゃないけど、本当にいろんな思い出があります。
さて、そういう、わたしにとってはちょっと特別な町ペルージャですが、当時ロマネスクに関しては全く無知でした。それで、今回調べて、やはりせっかくだから見に行こう、と思った次第です。

まずは、昔済んでいたアパートをずっと先に、町外れに進んだ場所にあるサンタンジェロです。


ここはロマネスクよりずっと昔の初期キリスト教時代の建物です。中は後代にかなり手が入っていて、変にすっきり清潔で、ちょっと違うぞって感じですが、何よりここのよさはロケーションにあります。さして広くはないものの、前面が美しい芝生で、このようにお天気がよくてくっきりの青空が背景にあると、とてもすがすがしいですよね。ここに至るまで、両側は住宅だったり、昔の病院だったり、結構背の高い建物がびっしりと続く狭い道で、ちょっとした閉塞感があるので、この開けた空間でぱぁっと開放感に満たされます。

そして、今度はサン・プロスペロ教会。これはガイドブックを熟読して見つけてしまいました。正直知らなければよかったのに!って思うほど、町をかなり下った場所にあり、たどりつくまで大変でした(ペルージャは、この辺にありがちな岳上都市で、それは珍しくもなんともないのですが、ここの場合岳上都市というより、町が丘の天辺の一部と、その周辺でできていて、要は町の中心を貫くバンヌッチ通り以外は、みな坂道といっても過言ではないほどの町なのです。中心部から外に向かう場合、必ず急坂を下ることになり、それはつまり戻る際には急坂を上らなければいけないということに…)。


プロスペロは通りの名前でもあり、中世にもすでにあった道だという事です。この教会は、エトルリアおよびローマ時代の埋葬地だった場所に、7~8世紀に建てられたもので、今でも外壁の一部には、エトルリア時代の石が認められるそうです。内部には、13世紀初頭のフレスコ画と、8世紀の祭壇が保管されているということで、えっちらおっちら、道に迷いつつ、汗をだらだら流しつつ、やっとの思いでたどりついたのですがしまっていて、ガイドブックに、ベルを鳴らせばあけてもらえるとあったので、素直にそうしたところ、今代表者が会議中で、1時間半~2時間後に戻ってこいといわれてしまったのでした(今は学校になっているようです)。そこで待つには何もない場所だし、これから町に戻って、またこの坂道を戻ってくるのは多分無理だなぁ、と残念に思いながら、とぼとぼと来た道を引き返したのでした。
外見は、全く普通の建物。つまらないですよね。だから内部もきっと、つまらないことでしょう(と思い込むことにしました)。誰か、内部潜入に成功した方、いらっしゃるでしょうか。8世紀の祭壇というのは、正直とても興味があります。ロンゴバルドでしょうか。

そして戻る道で、中世の塔が見えたので、あんなところにあんな塔があったっけ?と思いながら、そこを訪ねてみることにしました。


中世の塔(13世紀)のすぐ側に、サント・ステファノ・エ・サン・バレンティーノ教会という12世紀創設の小さな教会がありました。造られたのは12世紀で、かろうじてロマネスク様式を保っていますが、部分的にも、また内部も、後代に改変されているようです。当然、ここもクローズでしたけど。

というわけで、わたしのペルージャ探訪はお仕舞い。ロマネスク、ではないですね。やはりここはゴシック~ルネサンスの町です。
さて、次はフォリーニョに行きますよ。
  1. 2008/10/01(水) 05:20:17|
  2. ウンブリア・ロマネスク
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