ジャルディーニを離れ、もう一つの会場、アルセナーレを訪ねましょう。
ここは、かつての造船所。ですから、大きな建物が連なっていて、島の突端は小さなドッグになっています。そのすべての敷地を効果的に利用して、ビエンナーレ会場に転用しています。仕切りの少ない大きな建物が、現代アートにぴったりです。
この会場は、ジャルディーニよりも、少しサン・マルコ広場に近く、歩いてもたいしたことはありません。大運河から、ちょっと中に入ったところ、まさに倉庫街のような地味な小路が入り口になっています。
その入り口の対面に、いきなり香港のアーティストの展示館がありました。
朝一番で到着したばかりで、思いっきり体力もありますし、この派手な看板を無視するのもなんですから、いきなり入場(勿論無料です)。
ま、ふつーのありがちな現代美術。嫌いじゃないけど、特筆すべきものでもなし。一般の住居のバルコニーなんかが見えて、雰囲気が猥雑な香港風?
入場してすぐは、かなり大きなホールになっていて、インパクトのある作品が置かれることも多い場所なのですが、今回は薄暗い中に地味な造形で、とにかく暗すぎてインパクトも何もない、というような作品で、さっさと通り過ぎました。そして一発目が、この鏡を多用した作品。これ、トリノのリボリ現代美術館にある人かな?そうじゃないのしても、ちょっと陳腐なのは否めないですね。時代遅れって感じ?
そのあとからは、まさに造船所跡、という雰囲気そのまま、高い天井が太い円柱に支えられただけのとてもシンプルな空間が広がり、これでもか、状態で作品が展示されていきます。ときどき、どこからどこまでが、一つの作品なのか不明なこともあったりして、この天井から下がっているような作品も、そういうものの一つですね。
メッセージ性があるようなないような、ロシア系のヒトの作品(多分)。わたし的には、うーん、あまり流行んない?って感じですが。
一つ一つの作品の良し悪しや好き嫌いは別にしても、ずらずらとひたすら並んでいて、見学者がそれぞれ勝手な方法で鑑賞している空間というのは、なんだか楽しいものです。
コラージュと棺おけ。???よく現代美術の話題になると、理解できない、鑑賞の仕方がわからない、とおっしゃる方がいますが、そういう発想が、すでに現代美術では不要なのでは、と思っております。だってこんなの、鑑賞もへったくれもないでしょう。面白いか面白くないか、好きか嫌いか、その程度の感覚で眺めればよろしいのではないかと。ポップ・アートが出てくるあたりまでは、思想的な何かもあったかもしれないと思いますが、もはや、そういう次元ではないように思っています。村上隆なんて、思想的に説明なんか出来ませんしね。
説明なんて出来ないけれども、ときどきはっとするくらい新鮮な眺めがあったりします。作家としては、やはり言いたいことがあったりするんでしょう。こっちに興味がないだけで。ただ、わたし自身、いいたいことがあっても、こういう形で表現することは出来ないし、そういう部分で、アートってすごい、アーティストってすごいなって思うわけです。
かといって、この築山は、別に自分の家にほしいなんて死んでも思いませんけどね。
ずらずら並べると、結構楽しいですね。大抵、フラッシュなしで撮っているのですが(会場はフラッシュもOKですけど、やはりフラッシュで撮る写真はよくないですから)、さすが中世教会めぐりで鍛えられて、結構よく撮れてますよね。
しばらく続きます。飽きたらごめん。
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- 2009/09/29(火) 05:36:40|
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ここは、フィレンツェから電車で20分くらいの町。今まで、なぜか訪ねたことがなく、今回初めてでした。
ルッカから近く、滞在するに値する町として、なんとなく目に付いたので、一泊することにしました。やはりフィレンツェに近い町ではプラートがありますが、ロマネスク的には、ピストイアの方が見所が多いし、町の感じもよさそうな気がしたのです。
旧市街と新市街の境目の辺りにある安宿に荷物を置いて、まずは町に出ました。う~ん、思ったより小さい。そして、何かとらえどころのないような感じです。
最初に訪ねたのは、旧市街の中心であるドゥオモ広場、そしてそのドゥオモです。
おお、まさにトスカーナ、ピサ様式の派生のピストイア様式。感じとしては、ピサ様式とルッカ様式の中間的な、しましまで装飾的だけど、ルッカほどレリーフや象眼装飾がないといったら言いのでしょうか。このドゥオモは、結構こじんまりとしていて自己主張が柔らかくて、結構いい感じでした。自分の名を冠した広場にあるわりには、隅っこにひっそりとたたずむ奥ゆかしさも、なんとなくいい感じです。広場では、どちらかというと、ゴチックの市庁舎の建物の方が堂々と目立っていました。
でも、教会の脇に聳え立つ同時代の鐘楼は、やけにでかくて、思いっきり自己主張しているのでしたよ。
内部は三身廊で、身廊を分ける柱には、手がこんだ植物モチーフの柱頭が飾られています。かなり後代の手が入っているとは言え、当時の面影を十分残しています。
古いクリプタがあり、こんな素敵な、おそらくかつての柱頭が置かれていたり、レリーフが飾られていたり、歴史を感じさせます。
ドゥオモの前に、洗礼堂がありますが、ゴチックのもので興味がもてなかったし、時間もなかったので、パス。古い洗礼盤がのこっているようなので、チェックしとくべきでしたかね~。
さて、次に向かったのは、ピストイア・ロマネスクの宝、とうたわれている、サン・ジョバンニ・フオルチヴィタス。
これはすごいです。これでもか!どうだ!のしましまぶり。強烈です。それも、北側側面が、比較的幅広の道に面していますが、ファサードも後陣も、全く見通しの聞かない小路に面しているし、南側などは、他の建物とべったりとくっついている始末。一体どうしてこんなところにこんなすごいものが建てられたんでしょう。
装飾はあくまで幾何学模様。ピサでもそうだったように、並びあう模様がみんな異なるのが面白いです。また、ここまでしつこくやられると、かえってスカッとするというか、あきれるというか、なるほどね~、と納得してしまいます。
北側の扉に、素敵なアーキトレーブ浮き彫りがあります。これは、東方の三博士の図でしょうか。
内部はかなり新しくなっているのですが、すばらしい説教壇がありました。ピサの石工、グリエルモさんという僧の作品とのこと。
そういえば、この地域の教会は、説教壇が好きですね。かなりあちこちで見かけます。
続きは次回。
- 2009/09/28(月) 05:46:30|
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引き続き、メイン会場のジャルディーニです。
今年は、ベネチア館が設けられ、数年ぶりとなるらしいのですが、ベネチア名物のガラス作品が展示されていました。会場の端っこの方で、人々がそろそろ疲れるあたりなのですが、入り口前のインパクトで、疲れが一瞬吹き飛びます。
どうですか、いいでしょう?
これ、建物の入り口の、箱庭みたいな空間に並んでいる色とりどりのガラスの造形です。
遠めにはガラスというよりも、プラスティックの造形に見えるんですが、多分ガラスだからこその重量感というか、存在感があるんだと思います。
では、特別展の方をのぞいてみます。
いきなり、いかにもの現代アートの連発。いい感じです!そして最初の大ホールの作品がこれ、これはインパクトありました。
これは、透明ビニールの筒に鮮やかな色水が入っていて、写真で見てもよくわからないですが、視覚的インパクトは強かったもの。日本人の作品だったらしいです。
意外とこんな普通の絵画があったりして、妙に新鮮だったりして。
もう一つ、インパクトも強くて、個人的に気に入ったのが、地下大ホールに展開された怪しい植物園。紙粘土みたいなチープなマテリアルな感じなんですが、ホール全体の暗闇に効果的なスポットライト、ぬるぬるべとべとした感じの彩色、まさに秘密の花園というか、怪しさがたまりませんでした。
おまけ。
ジャルディーニ会場では、毎回(多分)必ず、マスコット的なオブジェが展開されますが、今回は、どうやらこの、ほとんど全部の部品が盗まれた自転車だったらしいです。
頑丈な鍵つき鎖錠でつながれた部分だけが残っている自転車というのは(つまりそれ以外の部分は盗まれてしまうのです)、ミラノなどではおなじみの哀しい姿ですが、他の国の人にはよく分からないオブジェかもしれないですね。
では次回、アルセナール会場に移動します。
- 2009/09/27(日) 04:53:48|
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バルガ、続きです。
これがファサード。かなり地味ですね。そして、上部は、後代の再建のものだと思われます。というのも、前回も触れましたが、1900年代初頭に大地震があり、屋根が落ちたらしいので。本来のファサードのスタイルは不明です。
ポルタイユの装飾は、多分オリジナル。かわいらしいですよ。
こんな古そうな彫りこみがあります。意味、全然分かりませんけど。
さて、後陣を外から見るため、脇に回りこみます。南側はロンバルディア帯があるくらいの装飾でしたが、北側に、小さな扉があります。以前、北側は死者の側なので、装飾も地味、という説明のある教会がありましたが、ここでは北側の方が装飾的。
その小さな扉には立派なアーキトレーブがのこっていて、素敵なレリーフがありました。
この北側に、元は司祭さんとかの居住用だったらしい建物があり、今は、そこが地域の博物館となっています。時間がありましたので、入場したんですが、そこの受付をしていた地元の学生さん風の女性に、地震のこととか、いろいろと話を聞けたので、面白かったです。
とても地味な博物館でしたけど、展示は丁寧で、よかったです。
こんな素敵なレリーフが展示されていたり。
そして、この建物の地下は、近代に牢獄として使用されていたとかで、その部分も公開されています。他に誰もいなかったので、この二重の重い扉の中の独居房に入るのは、ちょっと勇気がいりました。中世の建物を牢獄に利用するというのは、結構あちこちで見られます。厚い壁で開口部が少なくて、適しているんでしょうが、なんというか、すごい再利用法ですよね。
さて、見るべきものは見たし、後はこの古い町並みを楽しみながら散策。そしてランチ。
旧市街の中心部にあったピッツェリアに入りました。そもそも、メニューを持ってくるのが遅い。注文を取りに来るのが遅い。で、すぐにいらいらっ、とするわたくし。
やっと注文取りに来た女の子に、「ガス入りのお水と、○○のピザね」と(勿論イタリア語で)注文したところ、返ってきたのは、「ホワッツ?」いやいや、これは絶句でした。
なんせ外人比率が高かったのは確かで、わたしの周囲からは英語しか聞こえてこなかったですしね。それにしても、イタリアの田舎で、イタリア語が通じないという事態は、さすがに驚きました。そして、注文した品の出てくるのが、また異常に遅かったので、切れそうになりましたよ(でも、ピザは意外とおいしかったので、切れずに済んだ。ホッ)。
なんだかな~、とちょっと鬱々とした気分で歩いていたところ、街角で変なもの発見!中世アンテナ、結構敏感です。
ちょうど手のひらサイズくらいの、いかにも中世らしいフィギュアが、改装されてきれいになっている建物の壁の一部に、ぽつんと落し物のように残されています。なんだろう、かわいいからとりあえず写真撮っとこう、と撮ってると、その建物にあるレストランの、屋外テラスに座っている女性二人が、日本人がどうとか言っているのが、耳に入りました。どうせまた、日本人は何でも写真に撮るくらいのことを言って、馬鹿にしてるんだろう、と嫌な気持ちになっていると、一人が近づいてきたのでした。
なんだろう?わたしが何を撮っているか興味があるのかな、と思っていると、やおら、「あなた、これ何か知っているの?」と来るのでびっくり。いやいや、かわいいんで…。「これはね、厄除け!」
ハート型に三つのくぼみがあるんですが、そこに、親指、人差し指、小指を当てると、厄除けになるんだそうですよ!昔は、どの家の壁にもあったけど、今はほとんど残っていないと。そして、これが残された建物にあるレストランの名前は、まさに「厄除け」でした!
こういうのは、楽しいですね。言葉が出来ることによる喜び。相手が言葉が出来るどうかなんてお構いなく、教えたかったら教えようとするイタリア人の気質の楽しさ。
なんせ、来るときに、黒猫に横切られているし、よしよし、これでチャラになったか、またはちょっと運が上向くかも、とほくそえんだわたしでした。
が、帰り道、ルッカへの途上にあるロマネスクに立ち寄るつもりで、バスの運転手に、どこで降りればいいかわかんないから、絶対教えてね、止まってね、と念押ししたのに、あえなく通過されて、気付いたらルッカに到着していました。ま、あれは厄除けだから、違うか。もしくは黒猫でもたらされたかもしれない不運をこの程度の軽い不運に払拭してくれたのか…。なんか納得できず。仕方ないけど。また来いということですね。確かにこの谷には、他にもいくつか素朴系、かつかわいらしい彫刻物がいくつかあるようですので、いつか行きたいと思いますし。
それに、予定より早く町に戻ったので、お買い物の時間が出来て、とても素敵な小物を買ったとさ。ラッキーなのか、ただの無駄使いなのか。
バルガの項お仕舞い。
次はピストイアに行きましょう。
- 2009/09/26(土) 05:45:31|
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各国のパビリオンが並ぶメイン会場、ジャルディーニでの鑑賞が続きます。
セルビア館。ありがちな作品で、面白さは今ひとつ。斬新さにもかけますねぇ。
ブラジル館。珍しく絵画でした。おお、そりゃあ現代物だって絵画はありだよな、なんですけれど、このごろまっとうに絵画で勝負ってありえない、みたいなトレンドもあるような。でもこの絵画は、結構インパクトがあり、個人的には意外と好きでした。
ギリシャ館でも、鏡を外面に貼り付けた箱のようなものがでんと置いてあって、ふーん。ここは会場の最奥部なので、すでにおんなじ様な作品をたくさん見ていて、感動がどんどん薄れるだけに、難しいところです。
ただ、このパビリオンは、建物がかっこいいんです。さすがに歴史のあるギリシャだから、かな。堂々。
イスラエル館も絵画。これは古いオルガンのふたをキャンバスにしたもの。このかわいらしい彩り豊かな絵画とはちょっと結びつかない、すごいデブのおじさんが作家で、製作過程のビデオをちょっとだけ興味深く見ました。すべて、とても正当な現代絵画で、新しさはないかな。でも一枚くらい家にあってもいいかな。そういう絵です(図々しい発想ですが)。
アメリカ。さすがアメリカ。生意気ですよ。
このビエンナーレの楽しさは、写真撮り放題、フラッシュ焚き放題、という環境にもあると思うのですが、思いっきり撮影禁止ですから。全くなんていやらしい(←アメリカ嫌い)。実際、作品はたいしたものじゃなかったし、どうでもいいし。プンプン。
ハンガリー館には、小品がいくつか並んでいたような記憶が。これは椅子が斜めっていて面白いし、小人さん用みたいな小さなサイズがかわいらしい模擬劇場でした。ちょっと暗すぎ。
これで、各国パビリオンはおおよそ回った感じ。一部はしょっています。
次は、同じ会場にある特別展のパビリオン。会場内で一番大きくて、今回特別賞をもらったヨーコ・オノの作品もあるようで、楽しみですね。では次回。
- 2009/09/23(水) 05:34:06|
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車がないと、田舎への旅は面倒なのですが、やはり一度は行かないと。ここルッカからだと、北上してガルファニャーナ地域に向かう国道沿いに、いくつかのロマネスクがあります。ロマネスクにこだわらなくとも、緑が多くて、田舎の村が点在していて、とても美しい場所なので、のんびりと一日エクスカーションには最適。
本数はあまり多くありませんが、公共の路線バスで、二箇所ほどいけることを発見して、喜び勇んで、早起き、出発!で、向かったのが、このバルガの村。
ルッカから北上する道をたどり、川とであったり遠ざかったりして約1時間、こんな緑に囲まれた美しい山間のリゾート地、それがバルガです。
しかしながら、この美しい緑とは裏腹に、途中、バスの運転手と地元の乗客が口論を始めるわ、隣に座ったオバサンと後ろのオバサンが、全くの他人同士なのに、こっちの耳が痛くなるくらいの大声でおしゃべりを始めるわ、徐行走行中のバスの前を、絵に描いたように見事に黒猫が横切るわ、挙句は、にぎやかな場所で、ここ中心部かしら?と訪ねたらそうだよ、といわれてあわてて降りたら新市街中心地で、旧市街は急坂の天辺にあるわ、で、この遠足は失敗だったのか?と観光以前にうんざりしつつ到着。
何はともあれ、ロマネスクの教会があるらしい旧市街に行かねば仕方ないので、このようなどぎつい急坂をえっちらおっちらと登ります。
そして着いた天辺に、お目当ての教会がすっくりと建っているのでした。
町を見下ろす高台というロケーション、教会の佇まいから、スイス、ティチーノはビアスカの教会をちょっと髣髴です。
ここはよいですよぉ。素朴かつしっかり装飾も忘れず、で、内部のディテールが激しくわたし好みでした。
構造は地味な三身廊ですが、内陣との本体との境に、初期キリスト教会風の壁があり、そこに施されている象嵌のモチーフとか、説教壇のレリーフとか、すばらしいんです。
かわいいでしょ~。
レリーフの技術的レベルも、かなり高いものです。
これは怪しい、と思い、とにかく角から角までじっくりと歩きました。こういう、一見地味だけどディテールがかわいい教会は、どうやらわたしのツボにはまるみたいですね。ほら、見つけた。こんなかわいい水盤が、あちこちに。
実はこの教会、1920年代に起こった大地震で、上部がかなり崩れて、再建されているそうなんですけど、でも幸い、こうやって古い美しいものが、何とかのこりました。外壁にも、素敵なアーキトレーブがあります。
例によって重くなりますので、また次回。
- 2009/09/22(火) 05:45:12|
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わたしが日常を送るミラノも、起源はとっても古い町で幾層もの歴史が積み重なっていますが、中心街は、ポイントとして古いものがのこっているだけで、全体は1800年900年代に立てられた大型の建物が中心です。だからたまに中世の町並みに入り込むと、とても新鮮。以前は好きになれなかったフィレンツェも、ミラノに住みだしてからしばらくして訪ねたときは、ごてごてしたルネサンスの建物や、街角にいきなり現れる彫像などがとても新鮮で楽しかったことを覚えています。
こんな感じ。
ルッカの城壁で囲まれた旧市街は、まさに中世がそのまま残っているといってもよい姿です。勿論ミラノ同様、比較的新しい建物も多いのですが、それにしても全体がアンティークなのです。
ロマネスクを探しながらも、思わず、これは!と目に付いたのが、これ、建物の入り口付近についている呼び鈴。
勿論中世のものじゃないんですけど、でもかなり古いものです。こんなのが、あちこちの建物に、いまだに残っているのでした。ミラノでは、まず見かけないものです。
多分、引っ張ると糸でつながったベルが鳴るとかそういう単純な仕掛けだと思うのですが、なんともかわいいです。新しい呼び鈴が脇についている建物もあったりして、それでいて古いものをそのまま残しているというのが、中世の町っぽいんです。
99%、今は使われていないはず、と思っても、やはり実際に建物についているので、試すわけにはいかなかったのですが、こういう呼び鈴に出くわす度に、試したいという強烈な誘惑に、駆られてしまいました。
これなんかは、多分現役。古いものをコピーして作りました、みたいな。
うう、かわいい。
ちなみに我が家は古い建物ながら、インターフォンは、半端に現代的で、全然かわいくありません。残念。
では次回はまたロマネスクに戻って、ルッカから北に上った山間の田舎を訪ねます。
- 2009/09/21(月) 05:37:40|
- トスカーナ・ロマネスク
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現代美術の祭典ビエンナーレは、二年に一回、開催で、ときどき、思い立ったように出かけていて、今回で、3,4回目になるのかな。中世美術にはまっているわりに、実は現代美術もかなり好きなのです。とは言え、専門的に見ているわけでもなく、そんなに知識があるわけではないのですが、ベネチア・ビエンナーレは、すでに世間で認められている作家の作品中心なので、結構分かりやすいし、背景には運河の美しい風景が広がるし、容れ物も歴史的建造物を使っていたりして、いかにもイタリアっぽかったりするのが楽しい展覧会で、それで結構いってしまう傾向にあります。
前回の訪問は、4年前。なんかちょっとつまんないなぁ、と思った記憶があるのです。というのも、ビデオ・アート全盛の時代で、それに意義を見出せないわたしとしては、腑に落ちないというのか、納得できないというのか。そして今回。ビデオ・アートの時代はどうやら終わったらしい!勿論ゼロではないですが、数は4年前に比べると格段に少なく、また内容は、ちょっとひねった感じのものも多くて、ただフィルムを回す、というのは少なかったような。やはりあれは一過性のものだったのですね。というか、一応やるべきことはやりつくされちゃったということなのかな。
今回は、かなり正統的なインスタレーション系が多くて、おお、回帰してる?みたいな分かりやすさがありました。
ビエンナーレの会場は、メインが二つ、各国のパビリオンが並ぶGiardini(庭)と、個人作品が並ぶArsenale(元造船所)。その外、ジャルディーニにパビリオンを持たない国が、町のあちこちの建物を借りたり、公道や海に、作品を並べている展示、また個人の作家の企画展が、数え切れないほどで、町中が、現代アートしています。
二年に一回とは言え、開催期間は半年もあるので、ほとんど毎年やっているようなもので、それが今年で66回目、というのはすごいことです。単純計算で132年続いているわけですから。132年前の現代アートは、つまり今では近代アート?なんかすごいです。イタリアのすごさは、多分こういうところにあるんだと思ったりします。
サイトにまとめようかな、とも思うのですが、例によっていつになるか分からないので、時事性も高いことだし、こちらで紹介していこうかな。
まずはビエンナーレのメイン会場で、各国パビリオンが並ぶジャルディーニ。
メイン・ゲートを入ってすぐ、こんなものが。大抵いつも、何かしら置いてある場所。漢字のネオンが中にあるので、中国人か台湾人かのアーティストの作品と思います。椅子がみんなかわいらしいのでした。
スイス館。壁に絵が描かれています。今回、モチーフとして、こういう部屋らしい作品が多かったのは偶然なのか、トレンドなのか。
ロシア館のこれは、多分樹脂製で、それぞれの玉の中に、小さな写真が埋め込まれていました。内容は不明。タイトルも不明。暗闇の中で照明が効果的で、とても美しい作品でした。
これもいかにもありがちな現代アート。ビニール布の巨大な作品です。結構好きでした。分かりやすいし。ディテールがかわいいんですよ。
こちらは北欧館。これまた部屋がテーマになっていました。でもこのパビリオンでは、いつもスペースの真ん中に、天井を突き破ってすっくりと建っている三本の樹木に注目してしまいます。おそらくパビリオンが出来た当時は、ほんの小さな木だったのではないでしょうか。それが意外に育ってしまって、でもなんせ北欧館ですからね、切るわけにも行かず、で、屋根を一部はずしたのだと思われます。
さて、日本館です。
Yanagi Miwaさんという作家の方の作品で、女性の変形ヌードの巨大写真。大きさ的な迫力はあったのですが、写真って、造形がごろごろしている環境で見ると、インパクトが弱いです。出展前、NHKかなんかで製作過程のドキュメンタリーがあったそうで、同行者たちはとても楽しみにしていましたが、製作過程はとても面白かったけど、実物は?だったということでした。
これまで見学した中で、日本館にインパクトがあったことはなく、残念な気がします。世界中で評価されている日本の現代アーティストは結構多いと思うのですが、なぜかベネチア・ビエンナーレでは、だめですね。選出委員会に問題があるのかな、と思ったり。
ドイツ館。
なんじゃ、これは。台所家具の形を白木で作って、会場中に並んでいます。ううん。わからん。猫がいます。ウウム。どうしろと。
フランス館。
スペース中に鉄格子。部屋モチーフと言えないこともない。照明と銀色と黒で、美しかったですけど、で?という気持ちになっちゃいますね。
総合テーマがFARE MONDI = MAKING WORLDS =製造世界ということなので、それがベースになっているのかな。でもねぇ、部屋を作るんじゃ、小さすぎますよね?
エジプト館。
かわいい!
葦みたいな植物で、いろいろなフィギュアが編まれていて、ここは好きでした。
重くなっちゃうので、続きは次回。
- 2009/09/20(日) 00:24:36|
- アートの旅
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先週からお休み中で、更新も滞っております。
ベネチアのビエンナーレ、フィレンツェ観光、そして、バルセロナと、回ってきました。なんか日本人の王道、みたいなスケジュールですが、これは日本から家族が来ていて、その希望に従った結果。
でもそれぞれに、久しぶりだったので、私自身もそれなりに楽しめました。
で、また写真がどっさりとたまってしまいました。
一部はサイトにていずれまとめますが、まずは例によって、ブログでちょっとずつアップすることにします。
ベネチアは、現代アート見学に大忙しでした。ビエンナーレに加えて、安藤忠雄が改築したという、オープン直後の現代美術館もしっかり見学、また二十年ぶりくらいにグッゲンハイムにも行ってきました。どっぷり現代、堪能です。いつも中世にどっぷりなのですが、実は現代物は大好きなので、楽しかった~。
フィレンツェでは、これまた超久しぶりのウフィッツィ。去年と今年と、フィリッポ・リッピのフレスコ画の大作(スポレート、プラート)を見ましたので、リッピの作品と、そしてまたリッピのフレスコを模写したというボッティチェリの春を見たかったので、ちょうどよい機会でした。やはり、リッピはよいです。リッピと並べてみると、ボッティチェリは、わたしの好み的にはかなりランクが落ちるな、というようなことをはじめて感じました。
そして、バルセロナ。いきなり、背中のリュックサックのファスナーを開けられて、冷水をかけられたように緊張しました。さすがバルセロナ。そういう危険度が、ミラノなどよりよほど高いようです。こんなに荷物に気を配って緊張して歩いたのは、実に久しぶりな気がします。なんといっても、そのファスナーを開けた人が、ブロンドの美しい中年女性で、こぎれいなスタイルをしていて、とてもそういうことをする人には見えなかったのが、ショックだったんですよね。
しばらく留守にしている間に、ミラノは、すっかり秋の気配が濃厚です。考えたら、もう9月も半ば過ぎ、当然ですけれど、夏の終わりは、いつでもさびしいものです。来週からまた仕事か~、と思うと、すでにどんより。都合3週間も夏休みだったけれど、終わってしまえば、三日も3週間も、同じような。違うか。
せっかくたくさん写真を撮ったので、これからしこしことアップすることにします。
- 2009/09/19(土) 04:11:13|
- 旅歩き
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浴室は、西側に面しているので、午後になると西日がかんかんにさします。西側には寝室と台所もあるのですが、そちらはブラインドがあるので、それを閉めてしまえば、西日をかなりさえぎることが出来ます。一方浴室は、窓がすりガラスになっているのですが、ブラインドはなし。窓幅が狭く(30センチくらい)、物理的に付けられなかったのだと思います。
そんなわけで、カーテンが必要だとは思っていたのですが、その窓幅の狭さのために、普通の窓枠用カーテン棒のサイズが合いません。何度もホームセンターに通っていて、つっかえ棒ならいいんじゃないか、と気付きました。というのも、窓の前は、50センチ強の幅の狭い空間なので、窓枠分だけじゃなく、その部分全体を覆うカーテンをつけたらよいわけです。
で、つっかえ棒を買ったものの、カーテンはずっと探していました。
夏休みがあけて、以前居間の窓枠用カーテンを買った店に行ってみました。寝室の窓枠用カーテンもほしかったし。
寝室用のは、吟味した挙句に、居間に使った布と色違いのものを購入。前回は、接客したくれたのが女性だったのですが、今回は、たぶん店主のおやじ。これが商人を絵に描いたようなおやじで、売るのがうまい!で、浴室用にも、他の布を勧められてしまい、その上、半端物の切り売り布まで買ってしまいました。
浴室のカーテンは、浴室全体の色に合わせて、青または青が入っているもの、と考えていたのですが、おやじの勧める絹色の刺繍もの、とても繊細で美しく、気に入ってしまいました。おやじも駄目押しをするように、「青?いや、色物はすぐ飽きるから、絶対飽きるから。もう絶対こういう色がよくなるから!」と怒涛の接客トーク。
窓のある壁部分全体を覆い隠すサイズで、ぴったりでした。
麻とレーヨン混紡で、シャラシャラしつつとても柔らかい布です。お日様、結構カットします。縁に刺繍、そして上から下に二本刺繍。
窓枠が汚れているけれども、どうしても汚れが落ちないのですが、これはよいアイディアで、全部が隠れました。外からの目隠しにもなるので、シャワーを浴びるときにも、窓を開けっぱなしに出来そうです。
寝室はこれ。居間につけたのは、花と縁の刺繍がベージュっぽい白なのですが、こちらは、オレンジと黄色の中間くらいの色。将来的にちゃんとつける予定のカーテンレールの花モチーフともぴったりです。
居間のはモチーフが、雪っぽくも見えるのですが、こっちはオレンジなので、花らしいです。
そしてクッション・カバー。
イケアで中身を買ったものの、ずっとむき出しのままでした。というのも、なかなか気に入るカバーってないし、たまによさそうなのがあっても変に高かったりして、買えないままだったのです。あ、パッチワークで製作中のもありますしね。
これは、切り売りの布なので、お安かったのですが、とてもきれいな布。模様はプリントでなく織りです。地の青も、グラデーションが入っていて、織りならでの深みがあり、とても丁寧な仕事がされた布なのです。店のおやじは、ここの布は、有名ブランドでもたくさん使われている、とても品質のいいものなんだ、と自慢げにトークをしていましたが、ほんと、ぺらぺらのプリント布とは全然違いますし、色合いも上品なんです。いちいちイタリア製だから、とか言われると、うるさいな、と思うことも多いのですが、確かにイタリアのファブリックは定評がありますからね~。
カバーの必要なクッションはまだあるし、もしかして寒い季節向けのカーテンによい布もあるかも、と思うので、この店には定期的に通ってしまいそうです。
で、ついついちくちくやってしまって、また腱鞘炎を悪化させそうな。
最近ずいぶんとよくなっていたのですが、週末一気に、クッション・カバー二枚縫いとカーテン上下始末三枚縫いで、ちょいと痛みが出たような。いかん!でもうれしい。
- 2009/09/07(月) 23:20:47|
- インテリア、小物
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