サンタ・マリア・イン・コスメディン教会の前、大きな道路を挟んだ反対側のテヴェレ川沿いは、ちょっとした緑地帯となっています。
ここら辺一帯は、かつてローマの肉市場があったそうです。
そこに、当時の名残、神殿が二つあります。神殿といっても、ギリシャの神殿とか、ローマ遺跡にある神殿とは違って、とても小さなこじんまりとした、かわいらしい神殿なんです。
まずは、円形の、ヴェスタの神殿。
紀元前2世紀の終わりごろの建造物で、ローマに現存する最古の大理石の建物だということです。12世紀には、サン・ステファノ教会となり、実際に使用されていたようです。今は、周囲に柵で囲われていて、閉ざされていましたが、隙間から垣間見えた内部は、かなり近代的に改築されている様子でした。なんか、2千年以上も古いものであるという感じがないのが不思議でした。
そして、そのすぐ側には、フォルトゥーナ・ヴィリレ神殿。
こちらは四角くて、より神殿ぽいです。フォロ・ロマーノなどに残されている柱だけの遺跡とかは、こういう建物の柱部分が残ったんだろうなあ、とよく分かりますよね。
ここも中世(9世紀)に、サンタ・マリア・エジツィアカ教会というキリスト教会に模様替えしたのだそうです。その際に、柱の間に壁が作られたようです。そして内部はフレスコ画が覆われたとか。今は、修復工事していましたけれど、内部の見学は出来なかったようです。
壁は、ちょっと残念ですが、でも、壁が作られなかったら、こういう完璧に近い形では残っていなかったかもしれませんね。いろいろな理由で壊れていたかもしれないし、また柱が、他の建造物に流用されていたりしたかもしれません。
それにしても、二千年、ほぼ当時の姿で残っているというのがすごいですね。地震が少ないとか、石造りだからとか、残りやすい理由はあるとは言え、人為的に壊されなかったことに感心します。ここのみならず、ローマの町は、本当にいたるところ遺跡だらけで、だから遺跡とつながって家が建っていたり、とんでもないところも多くて、全くうまい具合に共存しているなって感心します。
ミラノに来る前は、本当はローマに住みたかったんですよね、わたし。ローマに住んでいたら、中世にはまっていたかどうかは難しいところですが、でも、少なくともミラノより、町歩きを楽しんでいたのは確かだろうなと思います。
ミラノにも、ときどきローマの遺跡はあるんですけれど、あまりに少ないし、町のつくりが遺跡と共存するつくりじゃないですね。工事のため掘ったら出てきちゃった、仕方ないから、一部は展示しときます、みたいなスタンス。ミラノは近代に発展しすぎちゃった感があります。町歩きを楽しむためだけに街があるわけじゃないし、仕方ないけれどね。
ふふ、思わず古代に寄り道しちゃいました。ローマにいたら、どうしてもね。
次回は、また中世散歩に戻りますよ。
スポンサーサイト
- 2010/01/31(日) 01:55:11|
- ローマの中世
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
恒例の木曜アートの日、再開です。
第一弾は、ずっと楽しみにしていた草間弥生さんの展覧会です。Giardini Pubbliciという市立公園のすぐ脇にあるPACという、こじんまりとしてとてもかわいらしい現代アート専門の美術館。小さいながらも、雰囲気がよくて、とても好きな美術館です。以前は、勤務する会社がすぐ側にあったので、よく行ったものですが、今は会社がすっかり遠くなってしまって、この場所そのものに近づくこともめったになくなってしまいました。
草間弥生さんは、実はイタリアで知りました。初めてベネチアのビエンナーレに行ったときに、日本館でみたのが、最初の出会いだったと思います。今日展覧会で、草間さんが日本代表になったのは1993年とありましたので、まさにそのとき。作品の具体的な形などは覚えていないのですが、ピンクと白の水玉とかとにかく強烈な水玉の作品が出ていたように思います。布モノだったかも。それで、彼女の存在が一気に刻印されたんです。
でもそれ以来、特に目にすることもなく今日にいたり、ミラノで初めての展覧会が、久しぶりの邂逅となりました。
よいです。本当によいですねぇ。
会場が狭いので、作品は、十点にも満たないのですが、インパクト、プレゼンス、とにかく強烈で、そのくらいの量でちょうどよろしいという感じです。どれもこれも面白い。そして、多くの作品が、つい最近作られたものであるという事実に、また驚かされます。芸術家のパワーというものはすごいもんですね。今お幾つか知りませんが、かなりのお年と思われます。それにして、このエネルギー。脱帽です。
これは、有名なかぼちゃさん。大小二つ。とてもきれいなんです。おお~きなお家に住んでたら、一個置いてみたいものです。実際、小の方は、個人蔵ですよ。うらやましいなぁ。
かわいらしいと同時に、本当に美しくて、完璧なフォルム。色彩。これ、今ビエンナーレに置いても、決して古くないし、ちょっといいですよね。
そして、これ。これは美しかったですね~。
人があまり来ない夜の時間に行って、よかった。というか、この美術館は、いつも人が少ないので、こういう展示にはぴったりかな。日本じゃ、こういうのを見るのは大変だと思います。
3メートル四方くらいの建物になっていて、内面が、壁も天井もガラス張り。床部分は、真ん中の足場以外水が張ってあります。そして、天井から下げられた無数の小さなLEDの灯りが、点滅したり、波のように強弱が変化したりすると、その建物内すべてにその灯りが写って、限りなく増殖するんです。せいぜい3メートル四方の部屋が、無限大に広がります。浮遊感。
誰も来ないので、一人で思いっきり堪能しました。これまたすばらしいことですよね。ここは、一人で浮遊したい空間です。
その外、美術館の外壁も、白地に赤の水玉になっていたり、最近の作品、食肉植物のような毒々しい、でも彼女にかかるととてもかわいらしい作品なんですけど、そういう花が二つ、外に置かれていました。太っ腹。ただですよ、そこの鑑賞は。
すごい人です。なんか、本当に水玉が見えちゃったそうですよね。昔、自閉症の人の書いた本を読んだとき、小さいとき、自分の周りにはいつも水玉が飛んでいたという記述がありましたから、実際、そういう病気だったりするのかもしれませんけど。でもそれを表せるのがゲージツでしょうし。
堪能です。のっけからこういうのみちゃうと、あと、困るな~。2月に、彼女の映画の上映会があるようなので、無料だし、行ってしまうかもしれません。かぼちゃ、何度見ても好きだと思うし。
ところで、面白かったのが、チケット。
イタリアでは、入場料は、正規料金と、割引料金が必ずあり、割引は、いろんなタイプのもので受けられます。たとえばわたしは、市内交通の年間定期券所有者のクラブ・カードと、大手書店のメンバーズ・クラブ・カードで、ときどき割引を利用することが出来ます。その外、コープのメンバーとか、ツーリング・クラブとか、協賛企業の社員とか、実にいろいろあって、チケット売り場には、細かく記述されています。
で、今日も、チケットを買う前に、その記述を見たのですが、残念ながら割引適用はなさそう。では、チケット一枚、と頼むと、「何かないの?何かのメンバーじゃないの?」いえ、あの、市内交通の定期券とぉ、書店のカードと…。「あ、いいや、それで。じゃ。割引一枚ね。」
え?いいの?「いいよ、いいよ。じゃ、4ユーロね。」と、別にこっちがお願いしたわけでもないのに、なんか割引適用。イタリアらしいですね。って言うか、変。
正規は6ユーロですが、満足度を考えると、それでも安いくらいなのに、4ユーロで、もっと嬉しいのでした。
こんな些細なことで、アートの日、ますます気合が入りそうです。
とにかく草間弥生、面白いので、ミラノ在の方、是非行ってみてください。2月一杯やってます。PACです。
- 2010/01/29(金) 06:11:14|
- アートの旅
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
アヴェンティーノの丘を一気に降りて、テヴェレ側沿いの道に下りてきました。目指すは、オープン直後の、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会。たどりついたときはまだオープン前で、日本人らしき団体が、列を作っていました。それを横目で見ながら、教会の前にある古い神殿のある公園で一服。朝も早よからすでに観光して来ているので、妙な充実感を感じつつ。
何で、列かというと、ここは、あれですよ!「ローマの休日」で一躍有名になった真実の口のある教会ですよ!みんな、教会じゃなくて、真実の口に手を突っ込んだ写真が撮りたくて来ているわけです!
でもね、ここ、すごくいい教会なんですよ。
まずは、この美しい鐘楼。典型的なローマのロマネスク鐘楼ですが、ここのは背が高くてほっそりしていて、大変優美なんですよ。
まぁ、北のものに比べると、装飾過多って感じもあり、やっぱり本質的にはあまり好きではないんですが。でもここのは、確かにきれいでした、佇まいが。
建物は、今では、他の建物に取り囲まれちゃって、全容は分からない状態になっていますが、古いバジリカ式。雰囲気はかなりいいのですが、入り口付近に固まっている真実の口目当ての観光客で、正直せっかくの雰囲気が台無しです。
中は、小さいですが三つに分かれた身廊で、中央身廊から内陣部分は、囲われている古い形式。
この形式だと、後陣に近づけないし、すごい迷惑なんですが、でもこの囲いの部分に、わたしの大好きな古い時代の浮き彫りが施された大理石版が使われていることが多かったりするので、ううん、良し悪し。難しいところです。
この教会では、コスマーティのモザイクが使われていました。細かい模様がとても美しいです。床もコスマーティで、古さが感じられる渋いものでした。
後陣。遠くて、写真撮るのも大変。その上、照明設備がなくて、暗いのでした。残念!ここのフレスコ画が、きっと最も古い時代のものと思うんですけどねぇ。でも遠さと暗さで、全く分かりませんでした。
さらに、すごーくがっかりしたのが、8世紀の黄金のモザイク。どっかにあるはず、と狭い本堂を探しまくって、分からずに教会守の人に尋ねたら、そこ入ったらあるから、といわれ、入ったのがお土産屋。あのぉ、エピファニアのモザイクがあるということなんですけど…、と恐る恐る店の人に尋ねたら、あ、あれ、と指差されたのは、ごちゃごちゃと安っぽいお土産が積まれたテーブルの上にかかっているモザイクの切れ端。
どう見ても、まがい物にしか見えないわけです。こんな扱いないでしょ?すごくきれいなんですよ、でも、哀しい。土産物屋の壁飾り…。
ま、気を取り直して。
そしたら、なんと!そういう嫌な気持ちを吹っ飛ばす、かわいらしいわたし好みの物に出会えましたぁ!
いや~ん、かわいくないですか?!
もひとつ、えいっ!
写真の感じから、大体分かっちゃうかと思いますが、どこにあるものだと思いますか?多分、ここに来る観光客の、90%くらい、もしかして98%くらいは、気付きもしないでだろうな。っていうか、どうでもいいだろうし。でも、これ見つけたわたしははしゃいじゃいました。といっても一人で叫ぶわけにも行かないので、ニマニマしつつ、心の中で快哉を叫んでいたわけです。見つけた~!みたいな。
ふふふ。完全に病気です。
ということで、真実の口は、一切気にもせず、みることすらなく、この教会を後にしました。ローマを観光される皆さん、せっかくここまで訪れたら、真実の口で写真を撮るついででもいいので、教会もめでてくださいね。
- 2010/01/28(木) 06:29:22|
- ローマの中世
-
| トラックバック:0
-
| コメント:6
ローマ中世、その11、マルタ騎士団
ちょっと教会を離れて、ローマの観光地の一つであるマルタ騎士団の本拠地です。
別に訪ねるつもりもなかったんですが、ここ、サンタ・サビーナ教会やサン・ボニファチオ・エ・アレッシオ教会の並びにあるんです。で、明らかに観光客としか見えない外国人のわたしを見ると、道行く人が、「違う違う、もっと先だよ」と、親切というかおせっかいというか、声を掛けてくるので、なんだろう、と思っていたら、兵隊さんが3人、道端で談笑しています。教会を探しているのに、やはり、そこそこ、そこだってば!と、なんだかうるさいほど、指示してくれるのです。
マルタ騎士団の建物があったんですね。そういえば、ガイド・ブックに出ていました。
これが建物の扉。ポイントは鍵穴です。小さな普通の鍵穴ですが、そこを通して、なんとバチカンのクーポラが見えるということなんですね。勿論、計算しつくして、作られたものです。
兵隊さんたちに勧められてのぞいたら、確かにクーポラ。
でも、だからなんなんだ?
「これだけ?」と呆然とつぶやいたら、兵隊さんたち爆笑でした。これだけだよ~って。でも、これをみるために、観光バスでやってくる団体もあるらしいし、観光客が来ては、喜んで写真を撮っていくとか。
では、せっかくなので、わたしも記念に一枚。
光っちゃって、だめでしたが、きれいな緑の小道の先に、クーポラが小さく見えます。鍵穴は直径1センチもないくらいですから、これだけ?としか言いようがありません。
本当は、この並びにあるように地図に示された、サンタ・マリア・デル・プリオラートという9世紀創建の教会が見たくてうろうろしたのですが、どうやら、それはマルタ騎士団の地所の中にある教会らしく、高い塀にさえぎられて、屋根の一部すら見ることが出来ませんでした。残念。
でも、退屈している兵隊さんたちとおしゃべりして、それなりに楽しかったのでした。そして、このあと、目指す教会への近道も分かりました。ここはアヴェンティーノの丘で、テベレ川を見下ろす、すごい高台にあるんです。そして、すぐ側にはバスも走ってないので、歩くしかない。大通りに出ると遠回りだし、と思っていたら、ここを行ったらいいよ、という小道を教えてくれました。切り通しのような、石畳のすごい坂道で、ちょっと怖いような道でしたが、おかげで、あっという間にテベレのほとりに下りることが出来ましたとさ。
それにしても、早起きしたこの日、この時点でまだ9時とか。がんばるなぁ、我ながら。
次回は、誰もが知っている、超有名教会です。さて、どこでしょう。
- 2010/01/27(水) 06:11:18|
- ローマの中世
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4
さて、しばらく間があいてしまいましたが、しつこくローマの中世を紹介して行くことにします。
前回紹介したサン・サビーナ教会のすぐお隣にあるのが、こちら、二人の聖人に捧げられた教会です。
快晴のローマの早朝。お日様がまぶしく輝き、冷え込んだ空気もぐんぐんと温まっていく感じでした。冬とは思えない青空、これはミラノにはないですね~。
ここもまた、ローマでおなじみの姿。鐘楼だけは、中世のものが残されていますが、本体は、もうすっかりバロック。ああ。なんか分かっていても、やっぱりがっかりしてしまいます。大体鐘楼がレンガで、バロックの本体って、絶対バランス悪いですよね。バロックの人たちが何を求めていたのか、感覚が全く分からないです。
中もまた、思いっきりバロックです。柱や天井に至るまで、見事にバロック装飾。気持ち悪くなりそう。
が、一つだけなじめる中世が、床にありました。
保存状態のよい様々なモチーフのコズマーティ・モザイクです。そして、後陣に隠れるようにして、コズマーティの小さなかわいらしい柱が二本建てられたお宮のようなものがあります。
とても繊細で美しいモザイクです。お宮…、なんでしょうね、これ。ラテン語らしき文字が彫られた石碑が祭って(?)ありました。
正面入り口の周りも、モザイクで飾られていました。
ああ、よかった。どうせ通り道とはいっても、何もなかったら、ちょっとさびしかったし。コズマーティは、ローマでは嫌ってほど目にしますけれど、やはりかわいらしいし、古い時代のものであればあるほど味があってよいです。モチーフの多彩さはすばらしいですしね。コズマーティ一家、かなり長い期間にわたって、モザイク職人をやっているんですが、一子相伝でモチーフを伝えたんでしょうかねぇ。いや、勿論、誰でも真似出来ちゃいますけれども。たいしたもんです。これはこれで、しっかり調べてみたい職人技ですね。
- 2010/01/26(火) 06:00:25|
- ローマの中世
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
中世の会では、ガイドツアーに加えて、講演会も行っています。前回は、予定があったので行けなかったのですが、今回はテーマがバルバロッサでもあり、がんばって行ってきました。
講演の前に、30分ほど、中世がらみのビデオ上映会もあるようなのですが、それは特に興味がなかったので、講演会の時間を目指して、それでも一応かなり早めに会場に着きました。郊外の大型書店内にあるコンファレンス・ルームですが、そもそもそんな場所に大型書店があるのにびっくり。そして、扉を開けて、またびっくり。
だって、かなり大きな部屋なんですが、お客さんびっしりだったんです。椅子は見事に埋まっていて、すでに立ち見が数人います。椅子席は、100以上あったと思います。
ビデオが終わったあとらしく、関係者が壇上でしゃべっていました。うわー、立ち見はちょっときついなぁ、どうしようかなぁ、と思いつつも、しばらくたっていたところ、係員の女性が、あそこの隅っこに一つソファがありますから、よろしかったらどうぞ、とささやいてくれました。おお、なんと細やかなサービス!ただなのに!感激して、ありがたく席をゲットです。
すでに講演会の時間が過ぎているのに、まだ壇上の人たちがしゃべっています。どうやら、講演をする大学教授がまだ到着してなかったようでした。10分ほど遅れて到着、早速バルバロッサのお話が始まります。
通称バルバロッサ(赤ひげ)王、神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ1世。一時はとめどなく勢力を拡大しますが、北イタリアのロンバルディア同盟に敗れてから、落ち目となり、最後は聖地に向かう旅の途上、南イタリアで客死します。それでも、当時としては大往生70歳まで生きたすごい人です。皇帝在位が1152年から90年と、まさにロマネスクの時代に生きた人なので、興味があります。
お話は、彼の一生を、当時のドイツ地域の状況とか(ザクセンやババリア公国との関係)、都市国家の成立の話などを絡めたもので、面白かったのですが、でももうちょっと何か切り口を持った、突っ込んだ内容を期待していたので、ふーん、という感じ。
面白かったのは、講演後の質疑応答です。
すでに予定時間を過ぎているし、日本だったら、終わりははしょって、では時間もありませんので、とささっと切り上げると思うんですが、そこはやはりイタリアというか、とってもアバウト。司会者が、時間もないけど、ちょっとだけ質疑応答の時間もとりましょう(先生は、そうね、次の列車に乗ればいいから、とかボソッとつぶやいていました。そもそも自分が遅刻したんだし)、質問ある方!と呼びかけると、ドドドっと手が上がったのでした。ええ~、何を聞くの?そんなに?
で、マイクを持つと、「えっと、質問じゃないんですが、都市国家の成立について、わたしはこう考えているんですよ」などと、いきなり自説を語りだすやつとかいて、うわ~、すげ~、オタクだぁ、と感心しました。そうなんです、おそらくそこに集まっていた多くが、歴史オタク。歴史ファン、ですけど、かなりの比率でオタクがいると思いました。
イタリア人って、オタク傾向、結構強いような気がします。のめりこんではまる。そうでない人は、何も関心がない、みたいな、両極端。はまっている人たちは、本もすごく読んでいるし、こういう催しにもとても熱心に参加するんですね。
いや全く感心しました。
午前中はガイドツアーで、いったん帰宅してランチをして、また出て行ったので、結構疲れていた上に、会場はぽかぽか暖かくて、かなり眠かったのですが、何とかお話は聞けて、質疑応答で面白くて目が覚めました。次回のテーマはマルコ・ポーロ。歴史オタク観察に、また行ってしまいそうです。
- 2010/01/25(月) 05:49:17|
- ロマネスク全般
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4
12月に初めて参加した中世の会の中世散歩ですが、その1月バージョンに参加してきました。
目的は、サン・ビンチェンツォ・イン・プラート。
住宅地の中に、いきなり、中世?って感じなんですが、それなりになじんだ佇まいの教会です。
町中だけあって、後世にかなり手が入っています。でも、1800年代に、古代復興、みたいな気運で、半端な時代のものが取り払われて、一応オリジナルの姿に戻しましょう、的な修復がされた結果、今、ロマネスクの姿が多少なりとも認識できる、ということらしいのです。ちなみに、後方に見える鐘楼は、ロマネスク時代にはないもので、バロック時代に、南側(側廊)後陣が壊された立てられた鐘楼を、19世紀になって、オリジナルのロマネスク様式にしようと建てられたものですが、中世には、そもそも鐘楼がなかったということで、半端な時代の半端な修復を笑えるエピソードです。
中はこんな感じ。初期キリスト教時代のバジリカ様式がベースです。
今さらではありますが、初期キリスト教時代は、屋根が木製だったので、支えがこのようなほっそりとした優美優先の柱でも大丈夫だったこと、窓が大きいこと、など、そうかそうか、だからロマネスクは違うんだよね、とか、思うこと多く、やはりガイドツアーで、改めて認識することは多々あります(わたしだけかな?)。
三身廊を隔てる柱の柱頭は、ローマ時代のものから、ローマ時代を模したもの、中世のもの、など様々。植物文様がほとんどです。
一段上がった内陣の下には、コンパクトでかわいらしいクリプタ。
ヴォルトの部分は、後代の修復で、ちょっと違うな、って感じですが、全体の佇まいは、かなりいいです。
ガイドのおかげで、面白い話がたくさん聞けました。
ここ、オリジナルは本当に古くて、9世紀とかですが、その後いろいろあって、一時、なんと化学薬品工場になっていた時代もあるとか!
その当時は、魔術師の館、とか呼ばれていたそうですよ。
19世紀に、オリジナルはオリジナルに、という気運があり、オリジナル以降になされた装飾、改築、などを元に戻そう、という流れなのか、この教会も、モトに戻されたそうですが、もともとなかった塔などが付けられたのは、ご愛嬌、でしょうか。
オリジナルで残っている部分は少ないですが、バジリカ様式という基本構造、中央後陣、北部外壁などは、当時の面影を残すものです。
これは、外からの後陣。あんまりきれいなので、後代に作られたという両脇の後陣との時代差が分からなかったくらいです。
なるほどね。
ミラノ散歩、ガイド付だと、なるほど、自分だけでは気付かないこともたくさんあって、面白い!次回は14世紀モノになっちゃうけど、行ってみようかな。
それにしてもわれながらあきれたのが、いまさらながら方向音痴。グーグルで地図を印刷までして、それを持っていったというのに思いっきり道を間違って、最後10分ほど、小走り状態で、アポの時間についたときは、かなり汗だく(さすがイタリアで、ツアーはそれから10分後くらいにはじまりましたので、涼む時間は十分ありましたけど)。おそらく気温3度とかそういう日だったのですが、無事ついたときのわたしの体温は、かなり上がっており、手袋を脱ぐのも苦どころか、自然な動作でありましたとさ。この方向音痴、何とかならんですかねぇ。
- 2010/01/24(日) 08:40:06|
- ロンバルディア・ロマネスク
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
東京散歩もお仕舞い。ミラノに戻って、ちょうど1週間がたちました。いやいやながらも、毎日の生活にはすぐに慣れてしまうものです。
歌舞伎も落語も下町散歩も、どうせ恋焦がれても、手に入るわけではないので、次回の一時帰国まで封印。ミラノにいるからこそ、の生活に戻ることにします。
で、まずはロマネスクですね。
今回、随分ゆっくりと書店で過ごすことが出来ましたので、久しぶりに、新刊の本を随分と買いました。本を持ってくるために、いつも必ず買う、イタリア在の友人へのお土産にもなる週刊誌を断念したり、食料品もかなり少なめになってしまいました。でもなんかうれしいです。
まずはこれ。いまさら、と笑われそうですが、聖書、苦手なんですよね~、ちゃんと読んだことないし。でも、古いフレスコ画などを鑑賞する際、聖書のエピソードはお約束ですから、やっぱり聖書の知識はないとね。といいながら、こういうミーハーな本を買ってしまうのが、情けないですが。でも分かりやすいです。それに、これだけきれいな写真が入っているのに、このシリーズはかなりお安いですよね。
これまたミーハーっぽいですね~。でも新書で、このお値段で、これはすごい、と飛びついてしまいました、ロマネスク・シリーズ。新書、すごいですね、今。ほとんどの出版社から出ているのではないでしょうか。様々なテーマのものがあり、どんな分野においても、入門書としてふさわしい本がどっさりですね。「物語イタリアの歴史2」は、おそらくすごく昔に出た1を持っているのですが、面白いんですよね~、歴史上の薀蓄話で、わたしもこういうものが書けたらな~ってそういう内容で。メロヴィング朝は、ロマネスク関連調べていると、よく出てくるんで、漠然と、あれね、とか思っていますが、ほとんど分かってないので。
出発地点がこのようにミーハー路線ですが、とりあえず、ロマネスク復帰を目指している気持ちが、出ているでしょうか。
明日は、今年最初のロマネスク散歩なので、ちょっと気合というか、気持ち的な準備で、つい本屋でこんな本も買ってしまいました。
シャルルマーニュ、カール大帝の伝記本。
本屋は定期的にのぞくのですが、中世関係って、結構出るんですよね~、新刊。修道院の本とか、つい買って積読多数、という有様ですが、積読になるのが分かっていても、なんか買ってしまいますねぇ。今日はバルバロッサの本も新刊で出ていて迷ったのですが、明日、バルバロッサ関連の講演会に行く予定なので、とりあえず、今日はシャルルマーニュにしました。
このやる気(?)をもって、今しばらくお天気は悪そうなのでお出かけは難しそうですが、去年、アップし損ねたローマやブレーシャを、しつこくアップしていくことにします。今年もロマネスク、よろしくお願いします。
- 2010/01/23(土) 06:20:58|
- ロマネスク全般
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
姉が下町住まいで、結構詳しいので、今回谷中に連れて行ってもらいました。
東京では、ずっと西部に住んでいますので、下町はほとんど未知の世界。いつも姉の話を聞いては、同じ東京とは思えない有様に、びっくりします。落語好きですから、そっちからの興味もあります。
で、JRの日暮里から歩き始めました。
駅前から、いきなりお寺がどん。次々にあります。それも、かなり古めの由緒正しそうな佇まいのお寺ばかり。こんなにたくさんお寺があるとはしらなかったな~。
そして古い佃煮屋さんとかせんべい屋さんとか酒屋さんとか、タイムスリップの世界ですね~。
驚いたのが、かなり込み合っていること。結構団体さんが歩いているし、正月明けのため、地図を片手に七福神めぐりをする人も多いようです。
古い蔵を改造したギャラリーなどや、谷中で有名な猫のグッズのお店を冷やかしたりしながらぶらぶら。店内に猫がうろうろしている乱歩という昔ながらの喫茶店で一服。こういう雰囲気のある喫茶店、随分と久しぶりに入った気がします。そういえば、猫はほとんど見かけず。ここら辺も再開発がすすんでいて、古い建物がなくなると猫もいなくなったりしちゃっているそうです。
染物屋さんとか、ただの住宅地の細い曲がりくねった路地をうろうろ。川のあとがそのまま道になったりしているようですね。
有名ないせ辰さん(店舗がすごく小さいのでびっくり!)で、お土産の小物を見繕ったりしながら、根津神社まで足を伸ばしました。それまで枯れた感じのお寺を見てきた目に、神社の色彩は鮮やかで、びっくりしますね。ここはつつじがすごいのだそうです。今は葉っぱだけですが、一面花が咲いたら、そりゃ見事だろうな、と想像できる多さです。
そのあとは、谷中銀座商店街。お茶など買いながら、また出発地の日暮里に戻りました。この商店街、昔ながらの細い道に沿って、ぎっしりとお店が並んでて、下町の人にとっては何の変哲もない、どこにでもある商店街らしいですが、西部居住者には、まさに下町の匂いプンプンで、歩いているだけで面白いようなところです。
最後は、蕎麦屋呑み!
池波正太郎とか大好きなおやじ趣味のわたくし。蕎麦屋で呑む、ってちょっとかっこよくてあこがれていました。いや、いい感じです。ちょうど樽酒なんかもあって、季節感がって、日本酒に合うつまみが適当にあって、なんといっても最後はお蕎麦で占められる、って言うのが粋ですよねぇ。ああ、よだれが出そうです。日本酒は、本当においしいですね。でも酔います。いい調子でくいくいやってると、足に来ます。
それに、実家は今も東京西部なので、帰りが遠いのが、ちょっとね~。
いつか日本に帰る日が来たら、是非下町に住みたいな、と遠い目をしてうっとり。でも、すでに、あそこもここも危ないよな、再開発、って感じの建物がたくさんありましたから、その頃には、すっかり違うものに変貌しているかもしれませんね。
ま、いいや。とりあえずは、次回(一年後)も下町散歩、すでに予定入れてます。
- 2010/01/21(木) 06:43:26|
- 日本徒然
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
前回の一時帰国中に、かなりいい席で鑑賞したせいか、えらく気に入った歌舞伎見物。
また、現在の歌舞伎座が、もうすぐ建て替えということもあり、どうしてもその前に見たくて行ってきました。今回は三階の安い席ですけど、初春のおめでたい公演ですから、役者もいい人が多数出ています。
三階席は、舞台全体、特に花道が見えないという欠点がありますが、その代り、常連というか通の方が多くて、掛け声がすぐ近くから、いいタイミングで飛びます。成田屋!とかどすの入った声というのか、あれはいいですねぇ。ああいうのが出来るようになるまでには、どれだけ通わなくてはならないんでしょう。
演目は、上の写真の通り。
春調娘七草(橋之助、染五郎、福助)
梶原平三誉石切(幸四郎、他)
勧進帳(団十郎、勘三郎、梅玉、他)
松浦の太鼓(吉右衛門、歌六、他)
娘七草の美しい踊りや、歌舞伎十八番の勧進帳は、勿論楽しめるのですが、お芝居2本が、とても面白かったのです。特に松浦の太鼓という話は、忠臣蔵の外伝といった内容で、話としてとても面白いものでした。忠臣蔵の悲壮感はなく、最後も明るい締めくくりで、新春にふさわしい演目だったかも。
落語関連のコラムで、伝統芸能として昔のままでは生き延びることは出来ない、やはり現代化は必要である、歌舞伎のように、イヤホン・ガイドを聴きながら鑑賞するようではだめなのだ、というようなことを書いているものがあったのですが、わたしはイヤホン・ガイド、結構楽しんでいます。お芝居になると、台詞は割りと聞きやすいし、話としてはかなりついていけますが、たとえば勧進帳など、本当に昔のままの演目は、台詞すらよく聞き取れないのが現実。でも、それを現代語に分かりやすくいえばいいかといえば、そうではないだろうし、まずイヤホン・ガイドで入門するのは、悪くないと思います。
見ていくうちに、分かってくること、覚えてくるものがあると思うし、そうなってから初めて本当に楽しめるかもしれないとは思いますけれどね。イヤホン挿していると、生音がききにくいのは確かだし。
お芝居は、基本的にあまり得意じゃないんですが、歌舞伎は、好き。多分、古典落語にも通じる、予定調和的なところとか、形を完全に作りこむので、汗とか人間くささが消えて、生々しくない虚構性とか、とにかくなんと言っても衣装のすばらしさ、女形の美しさ、舞台の面白さ、そういうことです。
しかし!
ちょっと長くないですか。夜昼連日公演するのに、一公演が、それぞれ5時間近くって。そりゃ休憩が入りますけど、かなりの苦行ではあります。今の歌舞伎座は古いし、椅子は小さいし座り心地は悪いし、最後の方は、お尻が痛くなってしまいます。せめて3時間くらいでいいのではないかとおもいますけどね~。役者も大変ですよね。
さて、歌舞伎座の建物です。
あと109日でクローズ。さびしいですね~。
新しくビルになっても、正面はこういう姿を残すらしいですけど、うまく融合した形になるといいですね。劇場内が新しくなることはよいことですけど、あまりにすべてピカピカと現代的になっては困りますし。
いつか、花道のかぶりつきで見たいものだと思います。新しい歌舞伎座が出来てから、の話になるわけで、いつになるんでしょうね~。
3月いっぱいさよなら公演が続きますので、最近見てないなぁ、とか見たことないなぁ、という方は、是非一度足を運ばれることをお勧めします。やっぱり日本の文化ですし、見る価値絶対にあります。たとえ5時間の苦行でお尻が痛くなるにしても!
- 2010/01/20(水) 06:17:53|
- 日本徒然
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0