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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

中世の会、講演会「マルコ・ポーロ」

誰でも知ってるマルコ・ポーロ、しかし、中世のキー・パーソン、と考えたことはなかったです。もっと新しい時代の人、ルネサンスあたりの人っていうイメージを漠然と持ってしまっていました。
でも、生まれが13世紀半ばで、14世紀前半になくなっていますから、まさに中世の人だったんですね。

それにしても!今日の講演会は、すごく面白かったんです。マルコ・ポーロという分かりやすいテーマだったことも多少はあるかもしれないのですが、やはり講師がよかったのだと思います。フェデリコ・バルバロッサにしろ、先日のテンプル騎士団にしろ、専門家が淡々と話しているという感じで、ふーん、で終わってしまったんですが、今日の先生は、情熱がほとばしるって言うのか、ほおっておいたら、きっと一日でも話してるんだろうなって言う熱さなんです。話者の情熱って確実に伝わりますよね。というか、わたしはそういうのって結構好きみたいで、すぐ感化されて、乗り出して聞いてしまうタイプ。思わず、メモをがんがん取ってしまいました。

お話は、まずチンギスハンのモンゴル統一の話から始まりました。それが面白い。そして、オリエントとヨーロッパとのつながりが、よく見えてくるんですね。世界史だと、ヨーロッパとオリエントと、どうしても分割して扱うけど、ユーラシア大陸で、ほとんど地続きで、ローマ時代の蛮族だってオリエントからたくさん来ているわけで、本当はそこを分割しちゃいけないですよね。
モンゴルがヨーロッパ最奥まで来ていたら、歴史は全然違うものになっていたんでしょうねぇ。
なんて話を30分以上していて、あれ?そういえば、マルコ・ポーロは?と多分誰もが思い出した頃、ようやっとヨーロッパに話が戻りました。モンゴル統一当時のヨーロッパ。
騎士がいて、市井の人々、ほとんど農民がいて、宗教関係がいて、それで終わりだった社会に、商人が出てきたと。オリエントに勢力を伸ばしたい教会は、フランチェスコ会やドメニコ会のミッションをオリエントに送るけど、うまく行かない。法王がモンゴルに、キリスト教信仰を勧める手紙を送って、思いっきり拒否されたその拒否の手紙なんかが、今も残っているそうですねぇ。面白っ。
で、オリエントとの交流を担ったのが、なんと商人だったと。
商人というのは、やはり商売をしなければならないから、相手を受け入れ、また受け入れてもらわなければならない。一方で宗教関係者というのは、オリエントを上から目線で見下していたのが、商人は、ヨーロッパの社会でも最下層にランクされていたこともあり、上から目線なんてありえない話だったと。
宗教関係者の上から目線、って言うのが個人的には受けました。そもそも、自分たちの信仰を押し付けに世界中押しかけたんですから、キリスト教のミッションって、実に上から目線だと昔から思っていたので。
まぁ、そういうわけで、ベネチアやジェノバの商人たちは世界を駆け巡り始めたわけですね。
そして、そういう時代に、マルコ・ポーロは、父親やおじなど一家が商人という家庭に生まれていますから、生まれたときから商人の世界にドップリ。ベネチアは、商人向けの教育も充実していたそうで、今でいえば商業学校みたいなものがあったんだそうです。そこで学ぶのは、やはり算数、数学。そして外国語。
当時、教養人の共通語はラテン語でしたが、商人や一般人はそんなもんしゃべりません。共通語、なんだと思います?ペルシャ語なんですって。それ以外にも、ヨーロッパ他言語なんかを学んだそうです。たいしたもんですよね、ベニスの商人も。
17歳のときに、父親やおじと一緒にオリエントに向かい、途中病でアフガニスタンに一年足止めを食らいつつ、最後はモンゴルにたどりつき、そこで15年も過ごしたんですね。モンゴル王フビライ・ハンにかわいがられて、国内はもとより、中国など外国にもモンゴル王の使節として足を伸ばしたそうです。それもすごい。
ベネチアに戻った後、ジェノバとの戦いで敗れ、そのときジェノバに捕虜としてつかまって牢に入れられ、そこで物書きに出会ったのが、彼の記録が残るきっかけになったのでした。まさに波乱万丈の人生、という言葉はこの人のためにあるような。
日本では、「東方見聞録」として翻訳されていますけど、もう当時から、ヨーロッパ各国語に翻訳されて、今でいうベスト・セラーのような本になっていたそうです。コロンブスだって、この本を参考にしていたんだそうですよ。
で、わたしとしたことが、ちゃんと持っています。


そういえば、持っていた気がする、と講演中に思い、帰宅するなり本棚を見たら、やっぱりありました。う~ん、不思議と中世関係については、我が家の本棚は充実していますね。いつ買ったのかも覚えていないし、実は積読で、読んでない気もしますが。
せっかくなので、読んでみることにします。

講演の締めで、実は数年前、英国の研究者が、実はマルコ・ポーロのオリエントの旅の話は、すべて作ったもの(つまりやらせ)ではないか、という主張をして、論争が起こったという話になりました。先生は、口角泡を飛ばす状態で、そんなはずはない!と熱を込めて語っておられました。全くね、あの時代に、すべてを空想できたとしたら、それはそれでたいしたものだと思いますけども。

というわけで、やはり講師によるんだという当たり前のことに、気付いた講演会でした。面白い講演求む。
来月は、音楽の会とか、講演はダンテかな。すごく楽しみになってきました。
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  1. 2010/02/28(日) 06:13:48|
  2. ロマネスク全般
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ミラノ、ステッリーネ財団

今週は、めちゃめちゃ仕事が忙しくて、毎日残業で、その上、夜中におきだしてオリンピックのフィギュア・スケート生中継を見るなんて事をしていたので、アートの日どころではなかったんですが、その分、金曜日の今日は、本来の就業時間より、ちょっとだけ遅いけれど、普段よりは早めの4時に会社を出ました。
実は、わたしの金曜の終業は、2時!へへへ、今までは、行使してなかったんだけど、今年から、行使させていただくことになりましたんで、明日できる仕事は全部先のべして、出られるときは出よう、と思っています。実際は、なかなか難しいんですけど。
というわけで、今日はアートの日。長年気になっていたステッリーネ財団、行ってきました。


この財団があるステッリーネ館は、レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐で有名なサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の向かいにあるんですが、もともとはサンタ・マリア・デッラ・ステッラというベネディクト派の修道女のための修道院だったそうです。かつては、捨子の養育施設かつ教育施設として有名だったそうです。1986年、そこをミラノ市とロンバルディア州が買い取り、文化施設として、修道院の姿を残していこうというのが、この財団の始まり。
で、今は、現代アートの拠点のひとつとなっています。
かなりだだっ広く、かつての修道院の規模に驚きます。キオストロが三つくらいあるんですよ。今はそれぞれの部分が、会社だったり、ホテルだったり、そしてアート・スペースだったり、いろいろな利用がされています。アート・スペースも、三つくらいあるみたいです。
うち一つには、フランス文化センターとかいう組織がアート・スペースを持っていて、そこの展覧会は、なんと無料という太っ腹。フランス、すごいぞ。
そこでやっていたのは、若い作家の作品展。


こういうインスタレーション系なので、会場には写真だけでしたが、大きな画面でビデオ上映もしていて、そして誰も来ないので、一人貸しきり鑑賞。すごい贅沢です。その上、山ほどのパンフレットとか、こんな写真の出ている美しい展覧会カタログも無料で下さるのでした。フランス、なんでこんなに太っ腹なんだ?

もう一つの会場では、英国系のアーティストの作品展でしたが、そちらは有料(安いですが)。結構まっとうな油絵で、こういうのを今の時代でやっているっていうのはどういう感じなのかな~、とか思いました。
わたしのいる間、もう一人鑑賞者がいて、絵を見ていたら、「ねぇねぇ、ちょっと聞きたいんだけどもさ、これってさ、ボクはこう思うんだけどさ、どういうもんなのかねぇ」とか、唐突にしゃべり始めるおやじ。は?どうも、言いたい事を口に出さずにおれず、たまたま目の前にわたしがいたので、独り言を言う状態で、声を掛けたらしいのですが、内容はほとんど独り言。あああ、危ない?このヒト?
まぁ、彼の独り言のおかげで、なるほどね、そういう視点もあるのね、と面白かったのも事実です。
特筆すべきは、ここ、有料なのに、パンフレットの類、一切なし。その上、チケット売り場のお姉ちゃんは、珍しいくらいに愛想がなく感じが悪かったのでした。わたし的には、フランス文化センター、株あがりまくり。
ほら、こんなにたくさん、いろんな情報、いただいたんですから。


ステッリーネ財団、もう一つアート・スペースがあり、そこは6月まで現代アートの展覧会をやっているようなので、また行ってみることにします。
本当に長年、懸案だった場所で、行けて満足です。ミラノ、こんなに狭いのにね。
  1. 2010/02/27(土) 05:55:31|
  2. アートの旅
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ちょっとだけ、オリンピックのことなど

バンクーバー冬季オリンピック、イタリアでは、まーーったく盛り上がっておりません。
一応、夜のゴールデン・タイムには、生中継でスキーとかやっていますが、はっきり言って、サッカーのチャンピオンズ・リーグとかの方が、圧倒的に扱い量が多く、ま、時間、あっちゃってるから生放送できるし、仕方ないから、ちょっと流すけどさ、という感じ。職場でもどこでも、オリンピックの話題なんて、限りなくゼロ。4年前は、トリノだったので、ちょっとは話題性があったんですけど、要は地元だったから、というだけのことなんですね。
ま、それはそれでいいですけど、個人的には、フィギュア・スケートだけは見たかったんです。
先週は、いろいろ忙しくて、とても時間を調整できず、高橋大輔の銅メダル、見逃して、すごく後悔。
それで、女子は、順当に行けば真央ちゃんのメダルは確実だし、やはり見たい!と思い、がんばって生中継にあわせて、時間調整しました!やはり生で見たい。というより、録画機能、家にはないですから、生以外ありえないという現実…。どこまで遅れているんだ、我が家。
イタリア時間では、深夜1時半に競技開始ですが、テレビ放送は3時から。ということで、一度普段どおり11時半過ぎに寝て、3時半に起床。見ましたよ!
見てよかった~。話題のキムヨナ、初めてだったし、真央ちゃんも、ちゃんとした演技見るの初めてだし。
感動しました。
日本人ですからね、どうしたって真央ちゃん応援してます。で、彼女がすべるときは、ドキドキ祈るような気持ち。こういうのってなんでしょうねえ。鈴木明子や安藤美姫は、とりあえず流せちゃうんですが。で、イタリアのカロリーナ・コストナーも、やっぱりちょっと祈るような気持ちが入って、そういうのって見ていて辛い。痛い。でもそういう思い入れがないと、テレビ観戦の面白さは半減するかも、ですね。
見て分かったのは、キムヨナと、真央ちゃんが、他の選手とは全然違う次元にいるらしいってことですね。
スケート・ファンにはなんのこっちゃ、でしょうが、ロッシとストーナーの世界を感じてしまいました。明らかに、二人だけ、違う世界で争っている。
これが、どっちか一人だったら、面白さは半減。一人だけ行っちゃってるよ、って感じで別枠に括られて終わりそうそうですが、同じ地平に二人いるっていうのがいいですよねぇ。フリー、すごく楽しみ。
今季、あれだけ不振だったのに、きっちり五輪で最高点を出す真央ちゃんは、やはりすごい。そして、彼女の絶好調な演技の直後の滑走でも、何の動揺も見せずに、これまた自己最高点を出してしまえるキムヨナもまた、只者ではない!
カナダのロシェット(でしたか?)も、お母さんが急死したという、異常な状態の中自己最高点をたたき出すというミラクルを演じていて、一流のアスリートって、すごい、としか…。

ちなみに、6時に終了直後、二度寝。会社には、2時間遅刻して行きました。オリンピック休暇。ホホ。考えたら、普段よりきっちり寝ていたりして。
でも、明日は、そういうわけに行かないので、ちょっと辛いですが、でもがんばって生、観戦します!
  1. 2010/02/25(木) 06:32:27|
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ローマ中世、その20、サンタ・コズマ・エ・ダミアーノ教会堂

サンタ・マリア・アラチェリ教会を見学したあと、カンピドリオの丘を下って、フォロ・ロマーノを眺めながら、コロッセオに向かって歩きます。地図を見ていた時点では、この教会、フォロ・ロマーノの中にあるものだとばかり思っていて、フォロ・ロマーノって何度も行っているけど、記憶にないなぁ、と不思議に思っていました。実際、ここはフォロ・ロマーノに沿っていますが、入り口は外にありました。
こんな感じ。かなり期待薄な印象を持たされる入り口です。


でも!そんなことにだまされてはいけないのが、ローマの教会です。まさに!
小さなキオストロを通り過ぎて、本堂の脇から入って、途端に、息をのみました!


これ、写真だとインパクトに欠けますが、すごいんです。本堂のスペースがかなり小さいのに、この後陣はすごい立派な大きさで、その上、中の半円天井部分も、その手前のアーチ部分も、モザイクでびっしりで、黄金が、文字通り光り輝いているのですよ。
それがいきなり目に飛び込んでくるので、え?なに?まぶしい?みたいな。大げさじゃなくてですよ。
6,7世紀頃のモザイクです。


羊の行列は、ラベンナ風。こういうのがはやったんですよね、きっと。


アーチの上の方の天使たち。今回、オペラグラス、もって行かなかったのは、大失敗でしたね~。実際は、いつも大荷物だったので、持っていたらいたで辛いものがあったとは思うのですが、こういうの、細部を見たいじゃないですか。

ここ、やはりフォロの時代に作られたものが元になっているようですね。最も古い部分は、地下に残っていて、ファサード側にあたる部分が、ガラスはめ込み窓で、こうやって地下の状態が、上から見られるようになっています。手前の方にあるのは、かなり古そうな祭壇。石がいい感じですよね。入れるようになっていてもいいのに。


今回、フォロ・ロマーノは、チケット売り場の行列がうっとうしくて入らなかったのですが、もしかしたら、フォロ側からは、下に入れたのかもしれないです。扉、ありますもんね。ちっ!

あ~、それにしても、次から次へと、すごいものが一杯で、ローマのすごさを改めて認識します。訪れる度に、さすが永遠の都といわれるだけのことはあるなぁ、と思うのですが、今回は、その思いをますます強くしました。
日本からイタリアに来られる方、ミラノなんてうろうろしている場合じゃないですよ!
  1. 2010/02/24(水) 06:04:53|
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ローマ中世、その19、サンタ・マリア・イン・アラチェリ教会

ローマ観光の中心に鎮座してますが、なんと、ここも初めて訪ねた教会です。なぜかというと、ミケランジェロの設計したというカンピドリオ広場は好きで、ローマに行ったら欠かせないスポットの一つですが、この教会とは直接つながっていないし、そもそもこの教会にどこからアクセスするのか、よく分かってなかったんですよね。
今回、よ~く分かりました。直接はつながっていないけれど、カンピドリオから、階段を登って、裏の方から行けるようになっていたんですね。ローマのどこからもよく見える、真っ白なヴィットリオ・エマヌエレ二世堂の裏を通れて、結構面白い秘密の抜け穴みたいな場所でしたけど(秘密どころか、観光客であふれかえっていましたけれども)。昔から、こんなだったんですかね。

さて、こちらは、教会の表側。
この急で長い階段の右隣には、カンピドリオ広場につながる、結構急なスロープがあります(で、いつもはついそっちに行ってしまっていたというわけです)。


アプローチは美しいですが、教会のファサードは、のっぺらぼうで魅力ないですね。でもこれ、13世紀ということだったんで、何かあるかも、と思って、わざわざ行ってみたんです。
古い神殿の上に、13世紀に再建された教会だそうです。だから、中世の何かを期待するには無理がありました。
中は、もうぎらぎらで、なんともゴテゴテで、すごい装飾でしたよ。


これは内陣部分。特に派手だなぁ、と感心したのが、シャンデリア。内陣部分、ぐるりと半円に、これでもかって、同じタイプのシャンデリアが釣り下がっていて、その同じ物が、身廊を分割する壁からも、これでもかって、下がっているんですよ。ベネチアン・ガラスとか、多分そういうもんだと思うんですが、これだけあると、高価なものとはとても思えないって言うか。
ただ、呆然と眺めてしまいました。

でもね、中世もちょっとだけあったんです。コスマーティ。コスマーティ、偉い!ほっとしましたよ。
内陣の入り口両脇に説教壇がありまして、その柱が、とてもきれいなコスマーティ・モザイク。


そして、床。ここのは相当古い時代のから残っていて、磨り減った渋さが好みでした。石がここまで磨耗している姿って、なんか、感じるものがありません?



そして、また中世から離れて、ピントゥリッキオ。
この教会は、長い間、人々に愛されていたんでしょうかね~。だらだらといつまでも装飾が付け加えられていって、ルネサンス期の絵画とかもかなりいろいろあるんですよ。でもわたしがアクセプトできるのは、ピントゥリッキオくらいかな~。


サン・ベルナルディーノの生涯を描いたフレスコ画で、入り口から入って、右側の最初の礼拝堂です。自然光で十分明るくて、大変よく見えました。ただ、礼拝堂は鉄柵で閉ざされているので、若干距離のあるのが残念でしたけど。
修復もしっかりされているようで、色もとても美しくて、とてもよいフレスコ画でした。この人も、女性が美しいですよね~。


お、よく撮れてる。ふふ、わたしのカメラじゃ無理。これは絵葉書からです。
  1. 2010/02/23(火) 03:53:34|
  2. ローマの中世
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ローマ中世、その18、バジリカ・サン・マルコ

え?また?とか思われそうですが、ローマ、実は全然終わってないんです。再開、思いっきり。スミマセン。
結構まだ有名どころを紹介していませんしね。
今回は、サン・マルコ教会。旅行者なら誰でもアクセスするベネチア広場にあるんですが、わたし、この教会の存在自体知りませんでした。おなじみの台詞ながら、この周辺、これまで何度通ったかわからないくらい歩いている道ですけどね(ベネチア宮殿のすぐ裏)。多分そう思われる方は多いのではないかと思います。

オリジナルは4世紀と古く、9世紀に再建されてます。その後は、多くのほかの教会同様の運命をたどり、バロック時代の大きな改築、改変などありまして、中のほとんどの部分は、その時代のものとなります。


ファサードは、目の前にある緑が邪魔して、全体見えませんが、もともと、コロッセオやらマルチェッロ劇場の、古代の石材が、相当流用されて作られたファサードらしいです。コロッセオ、どれだけ供給してるんだ、という感じですね。それでもいまだにあれだけ残っているんだから、驚くほど大量の石材で作られていたということですねぇ。
後ろの方にかすかに上部だけが見える鐘楼は、12世紀ロマネスク仕様です。これがばっちり見える場所って、どうやらなさそうなロケーションに建っていて、なんだかかわいそう。
そういえば、多くの教会で、本体はバロックになっちゃったけど、鐘楼だけはロマネスクというパターンが多いですが、その鐘楼全体を見ることが出来る教会は少ないですね~。とりあえず残しとくけど、残しとくだけ、って感じ?壊すよりも残す方が楽だから残したって感じもあるのかもしれませんね。

ここ、実は最初に訪問したとき、結婚式の最中で、入れない上に、中も見られないし、すごすごと他の場所に移ったんですが、ローマ滞在の最後の最後に、思い出して、駆けつけたんです。なぜそんなに中が見たかったかというと、ここも、後陣モザイクがあるからなんですよ。
これ。


入ったとき、真っ暗でどうしようかと思いましたが、幸いにも照明がありました。小銭を投入して、この黄金のモザイクが浮かび上がったときは、うれしかったですね~。暗い中に浮かび上がるというのは、また格別な感動があります。


アップ。きれいですよ。9世紀前半の作品です。



モザイクには、かなり満足しつつ、これだけオリジナルは古い教会なんだから、他にも中世の何かがあるはず!と目を皿のようにして歩きます。
入り口ポルティコにこれとか、


これ、人面ライオン?


これは初期キリスト教時代かな。カタコンベかな。なんか、とても稚拙でかわいらしいシンボリックな線画。壁に埋め込まれていました。


古いものには事欠かない、でも注意してないと、多分見過ごす場所にひっそりとあったりして。
ローマは、そういうディーテールにこだわるのも面白いですね。
  1. 2010/02/21(日) 07:21:53|
  2. ローマの中世
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ロマネスクのおと、更新のお知らせ

随分時間がかかってしまいましたが、今年最初の更新。
いまだにウンブリアをうろうろしています。
今回はウンブリア南部の、緑がとても美しい、ナルニ、ルニャーノ、アメリアというゾーンです。


自然が美しい上に、中世のままの佇まいを残す小さな町村。そして、その中には、ロマネスクの宝物がたくさん隠されています。わたしも、いつかもう一度歩いてみたい。
よろしかったら、お目汚しください。
ロマネスクのおと
  1. 2010/02/20(土) 06:36:26|
  2. ロマネスク全般
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ロンドン塔、おまけ

今日はアートの日ですが、残念ながら、またスキップ。なぜかというと、今日は滞在許可証の住所変更のため、警察でアポがあったんですが、それが、11時56分というアポなのに、実際窓口に行けたのは5時すぎ、で、どうしても終えなければならない仕事があったので、オフィスに戻ったのがもう6時近く。というわけで残業。明日早朝6時の汽車で出張なのに!
それにしても、それだけ待たせるなら、なぜ、56分なんて細かいアポを入れるんだ、警察!それも、住所変更の申請書は、一年前に出したもんなんだぜ。
今年の10月に、パスポートを更新しないといけないんだけど、またこれ繰り返すのか?とうんざり。ねえ、パスポート更新したら、またこれやらないといけないのかしら、と尋ねたところ、え~、わたしだったらやらない、って言うか、少なくともすぐはやらないわね~、だそうでした。アバウトですね。
そう、窓口の人たちは大変親切でリーズナブル。
そういうことも含めて、滞在許可証関係では、本当にひどい時代を知っているわたしは、こんな仕打ちにあっても、うん、昔を思えば、よくなったよね、と思えてしまって、なんか切ない。どれだけ辛い経験をしつつ、ここにいるんだ、わたし!

というわけで、アートはなし。
その代り、しつこいですが、もうちょっとだけロンドン塔の写真を、アップさせてください。中世がらみのおまけ話。


メイン・エントランスを入ってすぐのところ。13世紀頃のアーチです。ここは、シティからも近い場所なのに、良くぞ中世の面影が残りましたって感じなんですよね。テムズ川がすぐ脇を流れていて、その対面は、現代建築ラッシュなので、ますます時代めちゃくちゃっていう面白さがあるゾーンになっています。
近現代が交じったそういう場所に、こういう時代錯誤的衣装を身に着けた人たちが、堂々と行き交っているんですよ。


建物内にいる係員は、もうちょっと地味な制服でしたが、やはりお仕着せ風、ビクトリアン風でしたね。
しかし、この制服が、この中世の風景の中では、とても映えるし、似合います。


ね。
このバックのゴシックの教会、入るの忘れた。失敗。
それにしても、このビーフィーダーさんたち、そろいもそろって、メタボ体型なんですが、それって資格要件なのかな。

一転、ほっそり兵士。これは、ロンドン塔のいたるところに置かれた、メタルで作られた兵士のフィギュア。なかなか面白いシルエットで、気に入りました。


そして、武具の実物レプリカ。


こういうものとか、拷問器具とか、昔は全然興味がなくて、そういうのに夢中な中世ファンを、覚めた目で見ていたもんですが、今では、あれば、とりあえず、写真を撮る、触ろうとする、とすっかりフリークになりつつあります。でも、触り放題のレプリカなど置いているところはそうあるわけでなく、こういう鉄製の兜、初めて手にしましたよ。
すごい重量なんですよ。頭にこれ。そして身体は全身鉄の鎧?脛当てとか、篭手とか、全部こんな重さ?
こういうのを実感できると、先日テンプル騎士団の話で、武具の重量を考えると、若いときしか出来ない、という話なんかが、実感として分かるわけですね。
そういう意味では、このタワー内には、いろいろ遊びながら、中世の武具を試せたりするゲーム的展示もあって、わたしみたいな人には、なかなかナイスなんです。
あ、もう一つだけ。
タワーは、牢屋でもあったので、あちこちに幽閉されていた人たちの残した落書きがあります。それが結構すごいんだな。


落書きって、そういえば前に、フィレンツェでドゥオモだったかに日本人が落書きしたとかで大騒ぎしていたことがありますが、こちらでは結構昔から習慣的にあって、こういう風に古い落書きを残している歴史的建造物も一杯あって、落書きは必然、みたいな変な前提があるみたいです。

ロンドンの項、お仕舞いです。ほんの週末旅行なのに、結構盛りだくさんだったですね、われながら。
仕事の出張は嫌だけど、でも週末に引っ掛けられるなら、我慢してもいいかも~、とか、わけの分からないことを思う今日この頃のわたし。
  1. 2010/02/19(金) 05:53:54|
  2. イタリア以外のロマネスク
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ロンドン塔のロマネスク

ロンドンの旅、最後はやはり中世でしめましょう。
ロンドン塔。タワー・オブ・ロンドン。ロンドンの観光スポットの中では、最も有名といっても過言ではない場所ですが、初めて行ってきました~!
ロンドンというと、つい美術館、博物館、ミュージカルやバレエ、オペラなど、忙しくって、こういう観光地にわざわざ行こうとは、どうもならなかったんですね、今まで。
でも今回は、中世という観点から、最も行ってみたい場所でした。というのも、ここ、ロマネスクが隠されているんですよぉ。

では、メイン・エントランスから入場です。


朝一番だったけれど、もうたくさんの観光客が。さすがです。それにしても、入場料、17ポンドとは高い!一日中遊べると思えば、納得も出来るかもしませんが。わたしは、ロマネスク的興味がなかったら、この金額を見た途端に、多分、やめとく、と踵を返すのではないかと。

わたしの興味がある最も古い場所が11世紀で、その後だらだらと周囲に建物が建てられているので、中世といっても、かなり長い時間をかけて全体が形作られています。
早速、その最も古い場所、ホワイト・タワーに参りましょう。


これが、中心部にあります。ロマネスクを扱った本では、必ず出てくる建物なので、とても見たかったんですが、一見、妙にピカピカした感じなので、へ?これ?と気が抜けた感じでした。11世紀とはいっても、修復を繰り返しているのでしょうね。今もまさに修復中。あまり一生懸命やらなくてもいいんじゃないの、とちょっと思ってしまいました。
内部は、武具の展示などしているスペースがありますが、ほとんどすっ飛ばして、すぐ上に登ります。なんせ、お城の中の礼拝堂が目的なんですからね。
残念ながら、内部は激しく撮影禁止。そのため、持っている本から、ちょっとこんな感じですということで。


日本でいう3階部分の角っこに、アーチの絵のある場所、それが目的であるサン・ジョンズ・チャペル、イタリア語だと、サン・ジョバンニです。
写真で見ていても、いいなぁ~、わたし好みだなぁ~、と思っていましたが、実物はさらにすばらしくわたし好み。というか、ロンバルディアの田舎の素朴なロマネスクが好きだったら、きっとここも好き、って言う感じです。


石の色は、もっとピンクがかった白で、この写真よりはずっと柔らかいイメージでした。礼拝堂というには大きいけど、教会というには小さいのかな。建物の一角にあるにしては、でも実に大きい。三身廊になっていて、側廊部分は二階構造になっています。円柱が、とてもどっしりとしていて、柱頭も、でかい。素朴ながら、T字形十字架などが浮き彫りされていたり、地味で質実剛健、って感じの装飾がありました。
マントバのロトンダとか、アルメンノのサン・トメとか、ローマのサント・ステファノとか、円形の教会って結構ありますよね。あれを、横から押して、楕円形にした印象を受けました。なぜかというと、身廊と内陣の区切りがないことと、二階部分に大きく開口部があることが、円形教会の構造に似ているからかと思います。
教会であればファサードである側は、ただの壁なので、全体は勿論楕円ではなく、馬蹄形なんですけどね。

実は、この教会に入ったとき、すぐにガイド・ツアーの案内が目に付きました。ちょうど後5分くらいで始まるようなんです。でも気配なし。お隣の部屋に、制服の係員が数人たむろしておしゃべりしていたので、尋ねてみると、「あ、それはボク、ボクが担当で~す。あと5分ほどで始めるので、もうちょっと待ってね!」とお茶目に言い放ち、また同僚とのおしゃべりに戻りました。
入場したときにたくさんいた観光客ですが、ここまではなかなか上がってきません。タワーに入っても、外でガイド・ツアーに参加したり、お土産屋を見たり、お茶を飲んだり、他の建物を見学していたりしているんでしょうけど。時間になって、先ほどのお兄ちゃんがやってきても、誰も来ません!ぎょえ~、英語のガイドを一人で聞くのぉ~?ちょっと困ったなぁ~。
お兄さんも、ま、一人でもいいんだけどさ、せっかくだからちょっと待ってみてもいい?ということで、しばしおしゃべり。はっきり言って、半分くらいしか分からなかったのですが、分かった振りは得意なので、彼はわたしがわかってないことは分からない…。英語上手だね、とほめられるのも辛い。
そうこうするうちに、やっと3人連れアメリカ人がやってきて、ツアー開始しました。
案の定、半分も分からなかったですね。ああ、分からないなぁ。一人じゃなくてよかったなぁ、と思いながら、うんうん、とうなづいていました。お兄ちゃんはとても熱心で、分からないのが申し訳なくて。

歴史の話が主だったのですが、お話の中で興味深かったのは、ここが、現在もミサが行われる現役の礼拝堂機能を保っているということ。定期的に、早朝かなんかに行われて、それは参加したい人は誰でも参加できるのだそうですよ。
あ、それでかな、と思ったんです。なんか、この場所の空気が、博物館とは違うなっていう感じを受けたんですよ。単に、ミサを行うように椅子が並んでたからかも知れないんですけれども。でも、多分、宗教活動をやらなくなった宗教施設って言うのは、もうそういう空気を持つようになっているように思うんです。

ガイド・ツアー、30分くらいだったんですが、こんなことしか分からなかったな~、みたいな。それでも、内陣に入れたし(ツアーじゃないと、ロープが張ってあるので、中の方には入れない)、得した気分にはなりました。
タワー内では、他にもいろいろ無料のガイド・ツアーをやっているようなので、17ポンドも払う以上、是非そういうのに参加されるといいと思います。
  1. 2010/02/17(水) 06:11:45|
  2. イタリア以外のロマネスク
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パッチワーク、新作

久しぶりに、手仕事のこと。
数ヶ月かかって、クッション・カバーが完成しました。


今回は、古くなった枕カバーの再利用です。よく見たら、ちょっと薄汚れているような部分もあったりして、あらら、いかん!でももう作ってしまったので、後の祭り。リサイクルだから、そういう不具合も仕方ないけども。
あ!でもこの写真くらい遠目だと、全然OKですね!

大きさは65センチ角。モチーフ49枚ですから、結構時間かかってしまいました。
でも、一度ベッド・カバーのような大きなものを作った後では、達成感もなくて、完成しても、ふーん、というさめた目で見てしまって、ちょっとつまらないものです。やはり、ここは再び大作を!

ということで、早速、次の作品用に、型紙を切りました。目標は、2メールx2.5メートルくらいの、ソファ・カバーです。
着なくなったブラウスや、端切れを使います。ソファや絨毯が青なので、基本的に青を中心に。きっとまた一年くらいかかっちゃうでしょうね。
テレビをボーっと見ていたりすると、何かやりたくなっちゃうんで、ちょうどいいんですよね、パッチワークって。

それにしても全然上達しない。
って言うか、根がいい加減な正確なので、いつも、サイズが合わなくなって、最後は引っ張ったり伸ばしたりして、無理やり裏地と合わせるということになります。型を取るときは、ちゃんと計っているのにねぇ、何で合わなくなるんでしょうか。
では、また一年後。
  1. 2010/02/16(火) 05:47:26|
  2. インテリア、小物
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