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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

コモ湖西岸のマイナー・ロマネスク、とスクデット

雨雲のない日というのは何日振りでしょうか。
お出かけするとき、通常は、前日までにいろいろ資料を調べて、道も調べて、準備万端で、超早起きでお出かけ、というのが私のパターンなのですが、最近はとにかくお天気が悪いので、そういう気にならず、この週末も、特に予定を立てておりませんでした。
そしたら、なんと雨雲の見えない晴れ!これはもったいないな、と思って、いつものパターンと違って、午後から出かけることにしました。そうなると行き先は近場。で、久しぶりにコモ湖のロマネスクめぐりをしてきましたよ。


お天気の日の湖は、いい感じです。

コモ湖周辺、特に、コモからキアベンナまで続くレジーナ街道は、ロマネスク的にはとても重要な場所。たくさんのロマネスク教会が建っているんです。以北からローマへと続く巡礼の道だったことと、この辺はロマネスク時代に最も活躍した石工さんたちの出身地なので、作れる人がたくさんいたせいもあるのかな。

とは言え、ほとんどはとてもマイナーで、有名なのは、かなり北にあるグラヴェドーナ位でしょうね。
問題は、道が狭いくて対向二車線、駐車場が限られていること、資料が少なくて、正確な場所やオープン時間が分からないことなど、マイナーだけに。ま、とりあえず半日のんびりドライブ。たどりつければ御の字。
最近車も近所のスーパーへの買い物くらいしか使ってないし、たまには走らせてやらないと、かわいそうだしね。

しかし、想像はしていたけど、お天気のよい日曜日に、水辺の散歩を求めて出かけるミラネーゼ多数。高速もすでに混んでいる有様で、途中、渋滞で、いきなり止まってしまったりして。延々続く渋滞。私の前にも後ろにも長い列が出来てますよ。引き返すことも出来ません。


それでもなんとか、4箇所ほどたずね当てることは出来ました。残念ながら、どれもこれもクローズ。ほとんどの場所は、どこで誰が管理しているのかも不明で、鍵の探しようもなし。これはちょいとがっかりですね。

予定していた場所の見学は、思いがけず早く終わったので、グラヴェドーナまでも行っちゃおうかな、と思ったのですが、ちゃんと調べてなかったし、どうせもう一度はこの辺り来たいし、それに帰りに渋滞になったら嫌だな、と思って、結構早い時間に帰路につきました。
そしてミラノに近づくと、クラクションの嵐。なんだろ?とみてみると、インテルの旗をなびかせて走っていく車やバイクが多数。あ、そうか、スクデット!
ミラノのサッカー・チーム、インテルが、優勝した直後だったみたいです。みんなドゥオモ広場に行くのでしょう。うれしそう!


信号待ちのお隣さんも、思いっきりラッパを吹いて、旗を振って、幸せ120%。

家に帰ったら、前の公園にも、こんな大きな旗を抱えた若者たちが集っていました。



では、コモ湖ロマネスク、お楽しみに。
  1. 2010/05/17(月) 02:20:38|
  2. ロンバルディア・ロマネスク
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エトルリア遺跡、マルツァボットその3

遺跡エリアの入り口に、前回まで紹介した博物館があります。これがその建物。


周囲は、今では緑の草原が広がるだけで、ここにかつて一大都市があったなんて、全く想像も出来ないような田舎の風景です。おりしも好天に恵まれ、気温も高く、草原は原生花園状態で、かわいらしい花がたくさん咲いているのでした。


クリムトの絵みたい。ピクニックしたくなるような場所です(ピクニック厳禁でしたけど)。

さて、遺跡めぐり。ここもずーっとガイドさんが付いてくれたので、本当に面白かったです。ガイドさんなしでは、石がごろごろ転がっているだけのただの草原ですからね~。
全体図はこんな感じ。


赤い線が、メインストリート、馬車用のレーンが対面二車線あるくらいの広さで、10メートル近くある感じでしょうか。ツアーは、上から下にまっすぐ貫くメインストリートに沿って、始まりました。
ときどき、道を横切って置かれた飛び石がありますが、横断歩道のようなもの。地面がぬかるんだりしても歩きやすいようなそういう構造になっているわけです。


イメージとしては、ポンペイに近いということでした。
残っているのは、家の基礎の石構造だけです。なぜ上物がないかというと、ここでは、柱は木製で、補強と装飾のために、その周囲をテラコッタで覆ったものだったんだそうです。石と違って弱いので、持たなかったんですね。だから、建物の構造は分かっても、高さについてはよく分からないんです(一方で、屋根は、かわらが残っているので構造が分かっているんです。間がないんですね)。

基礎から分かるのは、やはりポンペイのように、家には屋根のない中庭が置かれて、そこに生活用水に使うための雨水をためる池が設けられていたそうです。家の周りはすべて水路で、家の中も、地下部分に水路が通されていたそうで、その構造は、今でも見ることが出来るのです。


石の列が接近しつつ離れて置かれている溝の部分が水路。上物があったときは、勿論石板等で覆われていて、廊下になっていたようです。ちなみに、石で囲われているのが部屋になります(雑草が生えないように、おがくずのようなものが撒かれていました)。

土地が、西から東に向かって若干傾斜していたそうです。歩いていても絶対に分からないほどの微妙な傾斜です。それを利用して、東に向かって水が流れるように、うまく水路を作っていたようです。
ローマは、道路や水道橋では定評があるわけですけれども、実はすでにエトルリア時代に、こういうことができていたんですねぇ。
そして、東の方では、水量も豊富になり、流れも激しくなりますので、水路があふれたりしないように、所々に分岐点を設けて、水量を調節していたんです。


これがその水路。右側などは、西側の地域に比べると、倍くらいの大きさになっていて、使われている石も立派です。

自分だけで歩いていたらただの草原に、ただの石なのに、ガイドさんと歩くと、想像力に乏しい私にもちょっと何か往時の風景が垣間見えるような気持ちになります。本当に面白かったです。
町の中心部を細かにガイドしてくれたあと、ガイドさんは、皆さん、あとどのくらい時間がありますか、それによって何をみるか決めましょう、というので、このあとランチを予約していた我々も、他のグループも、あと30分くらいということで、ではアクロポリスに行きましょうということになりました。この時点で、すでに1時間半くらい。そして結局、このときの確認はなんだったんだ?という感じで、アクロポリスはおろか、ネクロポリスまでも連れて行ってくれて、30分どころか…、ということになりましたとさ。
ガイドさん、本当に熱心。情熱がびんびん伝わってきました。

というわけで、せっかくなので、そういうところも紹介しましょ。to be continued...
  1. 2010/05/16(日) 05:41:13|
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ミラノ展覧会、コルソ・コモ10

連荘で、写真の展覧会です。ちょうど近くに行ったので、よって見ました。以前も行ったコルソ・コモ10にある写真ギャラリー、カルラ・ソッツァーニで開催中のワールド・プレス・フォト。


前回は写真を撮らなかった気がするので、コルソ・コモ10の入り口。かわいいです。古い建物を、内装だけ思いっきり変えて、外はそのまま使っていますので、オリジナルの住居の雰囲気そのまま。この狭い間口からは、中の様子は全く垣間見ることが出来ませんので、意外性もあります。とにかくおしゃれな空間。
日本の雑誌などにもよく取り上げられると思うのですが、でも、周囲は、まんま、住宅だったりするんですよね。

さて、展覧会です。


ワールド・プレス・フォトとは、オランダで1950年代に作られた、写真のエキスパートたちの財団。年に一度、世界中から応募された写真から、優秀な作品を選んで表彰し、その写真が世界中を巡回するということになっているようですね。40以上の国から集まった作品は、ジャーナリズムから自然モノ、スポートなど、いくつかのテーマに分けられて、それぞれのテーマで優れたものが表彰されます。そして、テーマを越えて最もすばらしいとされた写真が、2009年の写真として認められるのです。

今回2009年、その最優秀作品が、イタリア人フォトグラファーのものだったので、ちょっとした話題にはなっていました。確かニュースでも取り上げられていたような。
それが、この作品です。「テヘランの屋根から」。


2009年6月、テヘランのビルの屋上で、選挙結果への不満を叫んでいる女性が写されています。イランでの大統領選挙の後、デモが繰り広げられましたが、その夜、あちこちの屋上で叫ぶ人の姿が見られたのだそうです。この最優秀賞を受けた写真以外にも、同じ夜のものと思われる作品が何枚か並んでいました。
キャプションには、そういう説明と、そして、イランでは長らく見ることの出来なかった風景であるというようなことが書かれていました。たとえ夜に屋上から叫ぶしか自己表現の方法がないにしても、でもそれでもこれまでとは何かが変わったということなのでしょうか。
そういうトレンドを、非常にうまく捉えた一枚ということで、評価を受けたようでもありました。

これは自然テーマの一枚。


本物の鳥ですよ。すごい望遠でうまく撮っているんでしょうけどね。自然の作品は、なんと言っても迫力がすごかったです。小さな世界を扱ったものもありましたけど。

その他スポーツ・テーマも面白かったですが、やはりどうしても現代ジャーナリズムの作品に目が行ってしまいますね。写真は、それだけで語ってしまうし、たった一枚の写真が、時として、多くの言葉よりも有効だったりします。たとえば、オバマの大統領就任式。ワシントンの人並みを鳥瞰で写した一枚など、人々の期待感とか、高揚感とか、もういろんなものが伝わってきます。小さい写真だったけど、すごいインパクトでした。実際、ニュースで見る映像なんかよりも、そういう写真の方が多くを語りますね。白黒って言うのも、おそらくカラーよりも多くを語る素材の気がします。

そういう意味で、たとえばこんな写真。「The war is personal」。


イラク帰りの米兵の姿。身体のあちこちを失った人たち、なくなった人たちの写真がいろいろ並んでいましたけど、この人は、頭蓋骨の40%ほどを失ってしまったんだそうです。衝撃ですよ。人それぞれ、いろいろな痛みを持って、戦後生活を苦労して送っている事実。写真は実に雄弁です。

でも戦争や紛争の写真は辛い。死んでいる子供や若者の姿も容赦なく映し出されています。あまりにあからさまに事実を突きつけられる写真は、ちょっと辛くて、正視できない気分にもなりますが、たとえばこんな写真。


マダガスカルの紛争で、デモ隊と軍隊が激しく衝突している側で、なんかくつろいでいるように見えてしまう二人組み。こういう風景を切り取れるのも写真のすごさかと。

ロバート・キャパが好きだからか、戦争写真家というものに、ちょっと思い入れみたいなものがあります。だから、こういう写真には、辛い気持ちを感じつつも、ひきつけられるものがあります。芸術写真も嫌いじゃないんだけど、でも写真は、こういう現実を切り取る手段として最も優れているような気がしてしまいます。

コルソ・コモだからなのか、ワールド・プレス・フォトだからなのか、無料だからなのか、かなりの人が来ていました。昨日のフォルマとはえらい違いです。

お、それにしても感心したのはキャノン。フォルマでも最大スポンサーだし、こちらでもずっとスポンサーらしいです。カメラの会社とは言え、たいしたもんです。

World Press Photo
Galleria Carla Sozzani - Corso Como 10, Milano
- 6 June 2010
  1. 2010/05/15(土) 06:09:51|
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ミラノ展覧会、フォルマ

なんかちょいと落ち込むようなことがありまして。
今朝はかなりの早起きで病院での定期検査で、すでに疲れていたんですが、就業後、そのままお家に帰ると、ちょっと嫌だなって思って、アートの日、展覧会に行ってきました。
サローネでやたらといろんなものを見たので、最近ちょっとサボっていたアートの日。で、今何が見たかったのかよく分からなくなっていたので、以前から気になっていた写真専門のギャラリー、フォルマに行ってきました。


ミラノの南の町外れ、といっていい場所にあるフォルマですが、常に写真展を二つ三つ同時開催していて、写真好きな人にとっては、おそらくとても重要なスペースなんだと思います。
しばらく前から、イタリアの戦後の総括みたいな写真展をやっていて、気になっていたんです。宣伝に使っているミラノのドゥオモ前の写真もかっこよかったしね。

戦後、イタリアの写真がどういうもんだったか、どういう方向に発展して行ったかという検証みたいな展覧会で、50年代60年代中心の、オリジナル・プリントが並んでいました。すごい数です。


戦後すぐ、鼻水たらした子供たちや、娼婦の写真、その後発展した宗教的な写真(ルルドの巡礼なんかの写真がありました)、旅心をくすぐるベネチア等の美しい写真、映画スターたちのスチール写真などなど、それはもういろいろな写真が、すべてモノクロームで、そして小さいサイズで並んでいるのが、古い時代を感じさせました。

写真に関しては本当に門外漢で、特にイタリアの写真となると、写真家の名前も一つも知らない私ですが、Mario de Biasi、Frruccio Ferroni、Piergiorgio Branzi、Alfredo Camisa、Mario Giocomelliなどなど並べられると、あれ、聴いたことのあるような気がする人もいます。この中には、もしかしたら木村伊兵衛さんみたいな人がいるんでしょうか。
説明文にもありましたけど、 実際に有名な写真もいくつかあったみたいです。私が知ってるだけでも二点ほど。それって、たとえばロバート・キャパの超有名な写真とかブレッソン(だったかな)のとか、そういうことなんですよね。そう思うと、なんかすごい。貴重品です。

その中で、好きだな、と思ったのは、たとえば、こんなの。


それぞれ勝手に。みたいなタイトルがついていました。

作りこんだ写真も意外に嫌いじゃないのが、以前見た展覧会で感じたことなんだけど、これなんかは作りこんでいるわけじゃないと思うんですよね。それでいてこの面白さ。
写真って、よく分からないだけに、だけど、分かりやすく面白かったりするんで、写真展って、結構考え込んじゃいます。どういう風に楽しめばいいんだろうとか、なんかそういうくだらないこと。
そういえば、写真は門外漢ですけど、わたし、ロバート・キャパ、大好きなんですよね。なんなんでしょうね。つまりはミーハーなんですけど。

ところで、このフォルマ。裏が、トラムの点検修理場みたいな巨大な建物でした。フォルマの中からも一部見えて、結構かっこいいんですが、外からはこんな感じで、古くて素敵な建物で、雰囲気もよかったので、パチリ。


天井が高くて、全体にアールヌーボー調の雰囲気もあったりして。この辺り一体、おそらく結構古い町で、昔はこんな倉庫みたいなものが立ち並んでいたような様子です。フォルマも、元は倉庫とか工場とか、そういう建物でした。

FORMA
CENTRO INTERNAZIONALE DI FOTOGRAFIA
PIAZZA TITO LUCREZIO CARO 1
MILANO
  1. 2010/05/14(金) 05:50:56|
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エトルリア遺跡、マルツァボットその2

エトルリアって、今でもあまりよく分かってないんですよね。どこから来たのか、どういう文化だったのか。というのも、あとから出てきたローマ人が、思いっきり破壊しちゃったからね。
時代的にはギリシャがすごいときで、だからギリシャとの交流というか、混在はあるみたいです。
エトルリアにギリシャ文化が入ってきて、そこからまたエトルリアの第二段の文化的繁栄が始まったみたいです。
それまで素朴だった工芸も、一気に技術力がアップして、もともとあった創造性がますます発展して。

これは、家に掘られた井戸。水に関連したモチーフがレリーフになっていて、とてもかわいらしいものです。イルカと、波と。こういうのは、ローマにも引き継がれて、中世にまでつながりますね。波のモチーフなどは、海に関連した土地のレリーフでそのまま使われていますよね。別にエトルリア起源じゃないかもしれないですけれども。



こちらも井戸の口の部分。これは、ガラスケースに収められていたので、反射しちゃって写真がよくありませんが、ハートの印が見えますでしょうか。


今でもかすかに赤い色が確認できるんですが、当時はもっとはっきりとした人口的な強い色だったそうです。緑が茂ってしまっても、井戸のありかがよく分かるように、というようなことをガイドさんが言っていたような。全体に激しい彩色がされていたそうです。
それにしても、ハートのモチーフがこんな昔からあったなんて。

エトルリアは、墓をとても大切にして、だからエジプトのように、多くの副葬品を死者と一緒に埋めたんです。で、墓が発掘されて、色々なものが見つかるわけです。
古い時代のものは、こういう素焼きの壷とかばかりなのですが、


ギリシャが入ってきたあとの時代になると、ブロンズのものがいきなり多くなり、そして繊細な芸術品的な品物が増えるんだそうです。


これなんか、どうですか。
お玉ですけど、持ち手の部分が二股になっていておしゃれな上に、そこに置いたとき、またつかみやすいという実用的な部分もあり、今でもいけるデザインと思います。

こちらなんかは、燭台らしいんですけどね、すごくかわいらしくて、ちょっと玄関先にほしいよなって感じのオブジェになっています。足も、猫足でかわいいんですから。


奥の方にある壷は、ギリシャ風ですが、エトルリア。思いっきりギリシャが気に入っちゃったんですね、エトルリア人は。

では、次回遺跡めぐりです。
  1. 2010/05/12(水) 05:11:47|
  2. 旅歩き
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アンティーク机、ゲット!

最近、いろいろほしいものがあります。いや、いつもなんですが、転居して一年、当面のものはそろえたとは言え、何がなんでも必要じゃないものは、後回しにしているので、その後回しにしているものが、ほしいわけです。
で、考え出すと、風が吹くと桶屋が儲かるみたいな感じで、行き着くところが机。主にパソコン用の机です。
たとえば、ナビゲーターがほしいんですけど、あれってネットでアップデートしていく必要があります。そうすると今のパソコンのスペックでは多分厳しいので、やはり新しいパソコンがほしくなる。でも今のちゃぶ台状態では、デスクトップを置くのはきついし、いずれにしても一度設置してしまうと、その後動かすのは面倒、って言うわけで、机が必要となるわけですね。
結局イケアかな~、今ひとつ気に入らないけれど、ちょっとアンティーク風のスタイルで、サイズも小さいのがあって、あれならいいかな~、と考えていた矢先。

近所に、とても活発に活動している教会があるのは以前に書きました。現代ロマネスクの教会です。
そこでは、春と秋に、アンティーク市、までは行かないけど、古物市を開催します。去年引っ越してすぐに、春の市で、アンティークの家具がいくつかあって、いいなぁ、と眺めたものでした。当時はまだ食卓とかソファとかの優先順位が圧倒的に高くて、机を買う余裕が無かったのです。
秋に行ったときは、残念ながら机はなし。

で、今日!一応現金を多めに持って、ちょっとだけ期待しつつ行ってみました。
安いアクセサリーなどを物色したあと家具のコーナーに。相変わらず、ほしい、でも必要ないし高いし!みたいな物がたくさん並んでいます。昔の小麦はかり用バケツとか、石のなべ(これはすごく素敵でした。でもすごく高価でした…)、アルミのランチボックスなど、昔の農民が暮らしで使っていた諸々。携帯用トイレ(要はおまるなんですけど、すごくかわいいんですよ)なんかもありました。
見ているだけで楽しく、売主のおじさんはとても親切に、いちいち説明してくれます。

しかし、実は最初から目に付いたのが、昔のミシンを机にしたもの。
これです。


脚は鋳鉄だし、木の板の上には、大理石の板が乗っているんですよ。うわー、これいいなぁ、と思いましたけど、相当重そうだし、運べないし、と躊躇していました。
でもおじさんは何がなんでも売りたいのか、「このミシンは相当古いものなんだよ」「友達に手伝ってもらえば大丈夫だよ、家まではわしの車で運んでやるし」「もうちょっと安く出来るよ」などなどささやくのです。
もともとすごく安い。買おうかと思っていたイケアの机の半分くらい。なのにさらに値引き。
これは買うしかないでしょう!
というわけで、おじさんの車で家まで運んでもらい、後は同行の友人にお願いして、階段を運びましたとさ!
(きっと明日腕が痛くなることでしょう。)

ああ、うれしい!
掃除して、早速設置です!
サイズもぴったり!高さもOK。これまでちゃぶ台だったので、パソコンに長時間向かっているのは苦痛だったのですが、らくらくになりました!


足踏み部分が、邪魔かと思いきや、足台になって結構快適。



サイズが小さいので、デスクトップを買っても、脇にハードディスクを置ける場所が悠々あります。これもナイス。なんせ我が家の問題はスペースですからね。普通の机って小ぶりのサイズを見つけるの、すごく難しいんで。かといって、パソコン用の机って愛想も何もなくて、全然ほしいと思えないし。

新しいパソコンは、デスクトップでモニターは液晶で場所をとらないものにするつもりなので、書き机としても使えそうです。
いやはや、テーブルでパソコンを使うとこんなに楽だったんだ!
幸せです!
こんな素敵な市を開催してくれる教会が近所にあって、この地域がますます好きになります。
  1. 2010/05/10(月) 01:13:49|
  2. インテリア、小物
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エトルリア遺跡、マルツァボット

先日ノナントラに行ったのは、ボローニャ在住のお友達に会うのが一番の目的でした。
せっかくのボローニャではあるけれど、町はもう何回も観光しているし、どっかないかな、と思いついたのが、郊外にあるエトルリア遺跡です。
エトルリアって、その芸術性の高さからもとても興味がありますが、実は、まだ一度もちゃんと遺跡を見学したことがなかったのです。で、行ってみたいということになりました。
なんともラッキーなことに、ちょうど私が訪ねた頃は、文化週間みたいなイベントで、遺跡や美術館、博物館が無料公開、場所によってはガイド・ツアーが企画される、というようなことをイタリア中でやっているときでした。で、このマルツァボットでもガイド・ツアーがあるので、それに参加しよう、ということになりました。
(お友達ご夫婦のおかげ。Fちゃん、その節はありがとうございました。)

実は、ボローニャのちょいと外れ、ぐらいに思っていたのですが、結構な外れでした。距離にしたらおそらく15キロくらい?
地形を考えれば当然なんですけど、かなり山。緑が美しくて、とてもきれいな地域で、アップダウンも楽しいドライブでした。自分で運転していないので、ますますお気楽で、楽しさ倍増です。
そして、前日までは大雨で、この日も曇天でしたが、どんどん晴れ間が広がって、緑がどんどん濃くなって、美しさが増す一方です。



遺跡に到着。ガイド・ツアー開始時刻にちょっと遅れていますけれど、まだ誰もいません。しばし、のんびりと緑を眺めていました。何もない草原が広がっています。でも、右に行くとアクロポリス、先にすすめばネクロポリスと表示があるので、確かにここが遺跡です。



エトルリアというのは、なぞが多くて、今でも多くは分かってないんですよね。イタリアではローマの前に繁栄して、ローマに破壊されちゃって、残っているものも数少なくて。でも絵画にしろ彫刻にしろ工芸にしろ、とても精巧で繊細で、そして芸術的なんです。
このマルツァボットは、絵画や彫刻などがそのまま残っているようなところではなくて、エトルリアの町の跡。残念ながら、家屋基部の石積みしか残ってないんですけれども。
そして、掘り出されたものが展示された博物館があります。

さて、まずは博物館からガイド・ツアーがはじまりました。参加者は、10人ちょっと。小さな博物館で、ガイドがなかったら、さらりと15分ほどで見てしまってお仕舞い、って感じです。が、このイベントで来てくれたガイドさんは、実際に発掘にもかかわっている考古学やっている方で、すごく熱心。なんと博物館だけで1時間以上のガイドをしてくださいました。それが、とても面白くて、飽きることなく、熱心に聴いてしまいました。
考古学者って、おそらくすごい想像力の必要な世界ですから、熱意にあふれた方が多くなるのも必然なのかも。情熱的なガイドを聞いていると、想像力に欠ける私でも、思わず、ほぉぉ~、と、そういう世界を想像したくなりますからねぇ。

これは、お墓の上に、印としておかれたオブジェ。なぜかというと、完全に埋められちゃって平地になっちゃうので、印がないとどこにあるんだかわからなくなっちゃうから。要は、今の墓石ですね。



小さな小さなオブジェがたくさんありました。ブロンズ製で、信仰の印。お願い事をするときに、そういう場所に奉納してお祈りするっていうキリスト教でもやってるようなことらしいです。人の全身フィギュアがとてもスタンダードっぽいのですが(かなり簡単なつくり)、こんな足だけとか手だけとか首だけとか、もうそれは様々。エトルリア人、小さいものが好きだったのかな。


こういうものを奉納する特定の場所に設置されて、一定の期間が過ぎると集めて一箇所で埋められたそうで、だから発掘でそういう場所にあたると、もうざくざくと小さなブロンズ・フィギュアが出てくるということになるんだそうです。そりゃ興奮もんでしょうね。
それにしてもこの足は、明らかに陸上選手の足…(ちなみに5センチくらいの小さなものです)。

こちらは、そういうものじゃなくて、ちゃんとしたブロンズ像。それにしても細工が細かい!


びっくりしたのは、この像を参照して、作ってみました、という靴です。これ。


すごくないですか?今でもばっちりOK、というか、ほしくなるかわいさです。こんな細工の細かい靴を、すでにこの時代に作っていたとは。なんだかんだいっても、やはり現代イタリア人には、わずかながらでも、エトルリアやローマの血が流れているんでしょうかねぇ。

ねね、ガイド付だと、本当に面白いんですよ。
というわけで、続きます。
  1. 2010/05/09(日) 06:27:44|
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ミラノ、フオリ・サローネその14

最終回です。

ちょっと町外れの場所にあるトリエンナーレ美術館。この数年、意欲的な展覧会を数多く開催していて、デザインを中心にしたコンテンポラリー・アートでは、ミラノで最も多くの企画をしているのではないでしょうか。
サローネの時期は、半分くらいのスペースをフオリ・サローネ会場として、無料で公開していました。



入場してすぐにあったのが、キャノンの展示スペース。


これはかなりかっこよかったです。幾何学系で表面が白いパネルの巨大オブジェに、様々な映像を投影する仕組み。とにかく美しいし、映像がクリアで、度肝を抜かれました。
同じオブジェが、全く姿を変える面白さ!


日系電気系の会社では、トルトーナ地区に東芝も出ていましたが、とても地味で、インパクトに欠ける展示でした。技術的にはたいしたものだったのかもしれないんですけど、やはり素人は、こういうインパクトのあるものを好みますよね。会社としては、別に素人に訴えるつもりがないのかもしれませんが、せっかく一般消費者に強く訴えることの出来る場ですから、玄人受けしかしない展示は、ちょっともったいないような気がしました。

もう一つ面白かったのは、台湾人デザイナーの展示。




なんだろうな。私があまり好きじゃなかった行灯と路線は同じというのか、伝統的なマテリアル、竹とか紙を使った家具だったりするんですが、演出がうまいというのか、はっとするようなセンスがあるというのか。伝統的なマテリアルで伝統的な技法だけど、多分、新しいものを生み出している感じ。
こういうのって、日本人は、中国人や台湾人になぜか勝てない気がします。日本人は、いったん伝統を飛び出した上で、何か日本的テイストを持つものを作り出す方がうまい。

実際、日本人の結構有名なデザイナーさんの展示もあったのですが、正直がっかりしたんですよねぇ。

東欧の人たちの部屋もありました。アルテ・ポーベラみたいな、安くてごみみたいなマテリアルを使った作品で、センスがないと話にならないみたいな。


これはプラスティックのグラスで作ったすだれ?ちょっと面白かったですよ、全体に。

そういうわけで、ざっくりとフオリ・サローネ。写真は、馬鹿みたいに撮りましたんで、あくまで一部。雰囲気がちょっと伝わったかな。
週末を入れて丸3日間、実によく歩き、刺激を受けました。来年は、もうちょっと時間をかけて、もうちょっと丁寧に見ることが出来たら、と思います。お付き合いくださる方がいれば、あちこちでアペリティフ荒らしもしてみたいですね。
ではまた来年。
  1. 2010/05/08(土) 05:48:46|
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ミラノ、フオリ・サローネその13

長年近くを通ってきたけど、入ったこのないお店二つ、このサローネのおかげで入ることが出来ました。
もともとファッションでもなんでも、ブランドに興味なく、同時にまたブランドのお店は、お値段的に手が届かないから入れないという感覚もあり、めったに近寄りません。まして家具店なんてますます。

まずは、以前勤務先があった超近所のKartell。プラスティックとか人工素材を使ったモダン・デザイン家具の雄ですね。


ここ、ショウ・ウィンドウがすごくかっこよかった。かなり広いんですが、一面に、プラスティックの透明スティックを張り巡らした作品。地上階にはこれだけ。ちょっとゲイっぽい黒尽くめの男性店員がいて、まるでファッションの世界です。
地下は普通のショウルームになっていて、別にサローネを意識しているふうでもない展示でした。一番奥にあるのが、おそらくKartellの作品でも有名な壁据え置き本棚。


そういえば、ここでも、スワロフスキーの展示に参加していた日本人デザイナーさんが、最も注目度の高い「透明な椅子」という作品を出していました。Tokujinさん。すごい売れっ子なんですね。

も一つ。Doriade。ここも数え切れないくらい前を通っているけど、敷居が高すぎて、入ろうと思ったこともない店。
しかし、今回入ってよかった!まさにショウルーム、すごくかっこいいんです。


このマスクに惹かれて、ふらふらと入りました。これ、実はチェアなんです。ほしいとは思わないけど、かなりのインパクトですね。

この変わった一輪挿しは、サローネでもあちこちで使われていましたね。お店の人によれば、このタイプの品ではすでに定番で、ドリアデで最も売れているものの一つとか。



お店の間口はかなり狭いんですよ。でも、入ったらうなぎの寝床状態の店で、奥行きがすごくある上に、天井がすごく高いんです。建物が、相当古いんでしょうねぇ。我が家も古い建物なので、普通の家に比べれば相当高いんですけど、勿論比じゃありません。天井が高いと、同じ広さの部屋でも、開放感が全く違います。
その上、壁には絵があったり、天井が気だったり、古い貴族のお屋敷をそのままショウルームにしたような雰囲気なんですよ。おそらく古びの技術とかを使った新しい内装なんでしょうけどね。それにしてもイタリアらしい面白さにあふれています。だって、ほとんどの家具は、モダンなんですから。



すごく気に入ったのがこれ。


素材はステンレスと思うのですが、装飾的トレイ。イタリアの広場を模したいろんなタイプのものがありました。大きいのから小さ目まで、サイズもいろいろ。かなりほしいと思ったものの一つ。やはり展示会場と違ってお店ですから、作品でなく商品が揃っていますね。
でも、どう考えても相当高いだろうから、お値段は聞きませんでした。

一方でこのコート掛け。


これは思わずお値段まで確認してきちゃいました。というのも、コート掛けをずっと探しているからです。そして、手ごろな値段でほしいものに、いまだに出会えないからです。この樹木風のコート掛けは、相当好きです。ほしいです。でも、ほぼ1000ユーロ。う~ん、ちょっと分不相応で買えません。

でも値段を聞いてよかった、と思ったのは、ドリアデの店員さんがとても感じよいことを知ったからです。外国人で、長時間歩くためにはきなれた運動靴はいているし、そんな人が買うわけないじゃん、ってところがあるし、邪険にされても全然当然くらいに思っているのに、すごくすごく親切で、いろんな説明もしてくれて。これもまたサローネ効果があるのかもしれませんが、そういう店員を抱えているだけで、特にこの国では株がぐーんと上がりますよ。
実際、いまだにほしいな、って悩んでるくらいですからね。これが、対応が感じ悪かったら、その場でいらん、と思ってるはずです。

新居の家具は、経済的に、イケアやその他似たようなチェーン店で買い揃えているわけですが、余裕があれば、こういうところで一つ一つ吟味して買いそろえていく楽しみがあるのだなぁ、といまさら思いました。あくまで余裕があれば、の話ですけどもね。そういう余裕、持てる日は、もはやなさそうですけれど、美しいものを見るのは楽しいので、また来年のサローネ時期には、是非のぞいてみることにしよう、と思うのでした。ささやかな楽しみ。まさにね。
  1. 2010/05/07(金) 05:34:37|
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ミラノ、フオリ・サローネその12

いまさらのサローネですが、もうちょっとだけお付き合いください。
記録魔なもので、せっかく訪ねた場所、最低限は記録しときたいんです。

フオリ・サローネ協賛企画、という感じで、ミラノの近代美術館での展覧会です。
Tutti a tavola! がテーマ。口語日本語だったら、「ご飯出来たよ!」って感じかな。



テーブル周りや料理をテーマにした近現代アートの作品が、すごい数展示されていました。コースの最初の方は、暗闇の中で、ビデオがらみの作品がたくさん。料理しているまな板の画像が、白いエプロンに映されていたり、漆喰で作られた食材がごろごろしているテーブルを見下ろすスクリーンで、シェフの格好した人が延々としゃべっていたり。


意味もなく怪しい雰囲気があって、次は何が出てくるんだろうって、結構わくわくしちゃう展示なんですよ。

階上に行くと、今度は一転して開放的な明るいスペースに、ご飯のためにみんなが集まるはずのテーブルとか、でかいものがどーんと。


これはきれいな作品でした。このシャンデリアは、本物ですよ。
ここ、元は貴族の館なので、オリジナルがかなり豪華なわけです。床も寄木細工ですばらしいのですよ。それに、ちょうどこの辺にいたときかな。チーンチーンって、すごくノスタルジックな鐘が鳴って、どこから聞こえるんだろう、と思ったら、部屋においてある相当古いアンティークの時計が時を告げていたんです。なんか、とても雰囲気がマッチして。
っていうか、この光にあふれるメタルのテーブル、どう見たって現代アートなのに、なぜかしっくりマッチしてるんですよ。

こちらはお子様テーブル?
イケアの家具のような雰囲気ですが、テーブルには、子供たちの映像が流れています。ここも、周りのそもそもの雰囲気がすごいでしょ。



個人的に釘付けになったのが、こちら。


本格的マリオネットが作る、テーブルを囲む場面四種ほど。これは、マジすごかったです。マリオネット、50センチ以上はあるかという代物で、それぞれがすばらしい衣装を着けていて、テーブルや調度も、すごい完成度。


これは、いつまででも見ていたい、何枚でも写真を撮りたい、と思う作品でした。イタリアの文化も、実に幅広いですよね~。
そういえば、マリオネットはかなり盛んで、ミラノにもマリオネットの劇団があります。一度は行きたいと思いつつ、まだ行ったことがないのですけど、オペラなんかをやっちゃうんですよね、マリオネットで。本来、日本の文楽くらいの文化的レベルにある芸能だと思うのですが、そうならないのも、またイタリアらしいのかな。マリオネットは、あくまで子供向け、子供がお客さんの中心、という位置づけなんですよ。それって違うような気がするんですけどね~。

というような展覧会でした。ただなのが申し訳ないくらい、充実してたし、実際面白かったです。

ちなみにこの近代美術館は、いつも無料なんですけど、いつ行っても誰もいない、という感じの美術館です。昔暇でお金がない頃はよく行ったものですが、一人でぎしぎしと床板をきしませながら見学していると、後ろから、やはりぎしぎしと…。なんだと振り向くと、監視員が、私の行く先々をついてくるんですね。おかしいような、うっとうしいような、そういう記憶があります。
実は、マリーノ・マリーニの充実したコレクションがあったり、ロートレックなんかを結構持っていたり、それなりに見るものがあるんですけど、おそらくミラノ人でも、行ったことのない人の方が多いでしょうね。残念なことです。
お隣が現代美術のPACなので、ここもそこ同様に、週に一度くらい夜開館するといいと思うんですけど、ここは完全に市立のため、役所時間のオープンなんですよね。それも残念。

もしミラノにお住まいの方で、行ったことのない方は、一度くらい行ってみてください。こういうのを無料で開放しているのは、それなりにミラノの良心と思いますし。
  1. 2010/05/06(木) 05:18:13|
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