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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

モンレアーレ その5

モザイクは、見ても見ても飽きることなく美しさにうっとりするものの、きりがないので、ちょっと視点を変えまして、アラブの影響かな、と思う装飾をご紹介します。

たとえば天井の装飾。


これ、蜂の巣状になっていて、やはり黄金がふんだんに使われていて、その上にはっきりしたたくさんの色が用いられています。遠目ではよくわからないのですが、人物フィギュアとかがミニアチュール状態で描かれていたりするんですよねぇ。これはイスラム美術でしょう、どうしたって。
側廊の方はこんな感じ。パレルモのマルトラーナとか、パラティーナ礼拝堂にも、確かこういう装飾がありました。


建物の隅々まで、ほんのわずかな隙もおろそかにしないこの装飾、とにかく呆然としてしまいますね。そして、黄金がベースになっているけれども、適度に渋くて、全体の雰囲気がしまります。

モザイクは、床面にもたくさん用いられていますよ。こちらは内陣の階段部分に施されたもの。


細かくて精密な幾何学模様は、やはりイスラムっぽいですね。
壁面にも。


白い壁にすっと縦のラインを走らせて、色彩の割にはごたごたしていないのが、センスあります。細かい丁寧な仕事で、聖書の物語のモザイクとは違う目で、やはり美しさには脱帽です。

この窓なんかもいかがでしょうか。


この、石の装飾の窓も、パレルモのいくつかの教会で見られましたが、ここで見ると、明らかにイスラム美術だなって思いますよえぇ。そういえば、ローマでも、もっとシンプルながら、こういう窓があったと思いますが、もしかして起源はここ?
そのときにも書いたように思うのですが、ステンドグラスって絶対ここから始まっていますよね。だって、この石の装飾だけでも、光が差すと、影が面白いことになるんですよ。

光といえば、最初に入ったのはランチの後で、午後も半ば。冬なので、日差しも弱くて、後陣部分以外は照明が自然光だけなので、上の方のモザイクはあまりよく見えませんでした。翌日は朝一番で訪れたのですが、明るい朝日の中で見るモザイクは格別に美しかったです。やはり、ここは夏の日盛りに訪れたいものだな、と思いました。夏なら、きっと、教会中が太陽光でさんさんと、ますますきんきらに輝いていることでしょう。

ロマネスクはこちらでどうぞ。
ロマネスクのおと
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  1. 2011/02/28(月) 05:34:52|
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ノナントラのこと

いやはや、思いっきり自分にあきれた話です。

今日は、中世の会主催のガイド・ツアーが、わたしの大好きな教会(Vaprio d'Adda)だったので、久しぶりに参加しようと思っていたのですが、なんと鬼の霍乱、風邪を引いてしまったので自粛。ついてないなぁ、ドライブも含めて楽しみにしていたのに。その上お天気も上々で、昨夜は早寝をしたのでしっかり早起きしたから、ますますがっかり。
でも仕方ないですね。

ということで、朝っぱらから紙類の整理をしていました。
紙類というのは、旅先でもらう資料とか、展覧会のフライヤーとか、イベントのパンフレットとかそういうもの。ほっておくとどんどんたまるので、定期的に整理しないといけないんだけど、あちこちの箱に突っ込んで、もう一年近く整理をしていなかったと思います。
で、去年のサローネ関係の資料などを懐かしく眺めていると、おや?本が?
引っ張り出したら、これが!


ノナントラの本じゃーん!

去年訪ねたこのノナントラの修道院、今、モデナやボローニャとあわせて、サイトを作っているところです。自分のブログの過去記事でも、「ノナントラを訪ねたとき、その歴史などがまとめられた本を買った」と書いているのに、その本がどこを探しても見つからない。ロマネスク関係の棚は、何度さらえるように探したかわからないくらいですが、見つからない。ブログに書いた時点で、勘違いしてたのか?と悩みつつ、でも確かに本を手に取って読んだ記憶もあるし…。そういうわけで、相当悩んでいたんですよねぇ。いくら記憶力が悪いって言ってもねぇ、買ってないものはブログに書かんだろう?
結局見つからないので、ネットで資料を探して、サイトのページは適当にやっつけてたんですよねぇ。
それがまさかそんなところから見つかるとは…。やっぱりあったんだ、よかった、と思いつつ、複雑な気持ち。

早速読み出したら、ポルタイユの彫刻の細かい説明から、修道院の歴史から、わかりやすくまとまっていて、すっごくいい資料だし!
もうそろそろモデナ編も完成に近づいていたので、サイトのアップも来週早々、と思っていた矢先ですが、これでまた振り出しに戻った状態です。まったくもう。なんか、このページ、呪われてる感じ?
ちなみに、モデナの方は、こんな本。


かなりいろいろ詳しいのだけど、全体の構成がちょっと散漫でまとめにくいのと、歴史オタク的な傾向が強くて、アートの解説が弱いのがちょっと。でも、勉強にはなってます。

それにしてもねぇ、自分が掃除や整理が大の苦手で、記憶力にも問題があるのは、よーくわかっているけど、一年眠らしていて、今日のような日がなかったら、さらに一年くらいほっておいたのかもしれないと思うと、なんだか情けなくなりますねぇ。
風邪の状態にもよりますが、せいぜい明日はがんばって読むことにします。ずるずる。今夜は本を持って、もうベッド直行。おやすみなさい。

なかなか更新できないロマネスクのおとですが、よろしく~。
ロマネスクのおと
  1. 2011/02/27(日) 05:44:20|
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モンレアーレ その4

黄金のモザイクは、もうちょっと紹介したいので、お付き合いください。
後陣。


光り輝いている状態がわかってもらえるでしょうか。照明がはいっている効果ももちろんなんですが、なんと言うか、全体の黄金のオーラが、それ以上にあるって言うのか。とにかく、これでもか状態の黄金ですからね。
近づくと、こんな感じです。


ビカビカですよ、とにかく。祝福するキリストは、あまりに壮大で偉そうで(?)、ちょっと引けちゃうんですけど、聖母がいい感じなんですよねぇ。


どうでしょうか。天使に両側を守られて、玉座に座っています。青い衣をまとって、黄金を背景にしたマリアというと、ベネチアの島、ムラーノやトルチェッロの後陣を彷彿とさせるのですが、それら島の聖母がちょっと孤高の雰囲気があるのに対して、この聖母は、より安定感があり、表情もとても穏やかで、受ける印象が全然違います。
聖母の下には、聖人たちが並んでいますよ。


モザイクもすばらしいですが、窓のアラブ風の透かしとか、下部にある幾何学模様も、本当に美しいのです。パレルモやモンレアーレのモザイクの面白さ、そして美しさは、アラブ世界との交流なしには、考えられないものなんですね、おそらく。

ロマネスクはこちら。よかったら、ベネチアやラベンナのモザイクなどと比較してみてください。
ロマネスクのおと
  1. 2011/02/26(土) 05:27:28|
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モンレアーレ その3

モンレアーレ、まだまだ続きます。

いよいよ、本堂に突入!なんせ中にはいるのは二十数年ぶりとなりますので、すっごくどきどきしましたね~。


キラキラキラ…。あ~、やっぱり~!覚えていた眺めは、大げさじゃなかったんだ~、としばし呆然とたたずんでしまいました。

脇の扉から入ると、すぐの側廊部分は暗いのですが、ちょっと進むと、輝く黄金の後陣が出迎えてくれます。もちろん自然光ではなく、照明が当てられているんです。お金を入れなくても照明が当てられている教会って、そうないと思うんですよ。ここは、入場料を取るわけでもないのに、太っ腹ですねぇ、モンレアーレ。

さて、モザイクは、もちろん後陣だけではありません。
まず目を奪われるのは、身廊を分ける壁のモザイク。


すべてが黄金で、相当修復もしているのでしょうが、実に保存状態もよくて、とにかくすばらしいの一言です。
教会が堂々と大きいので、当然壁面も大きく、そのためモザイクで描かれているテーマも、全体にゆったりとしていて、とてもわかりやすいのもいいです。パレルモの街中にある、たとえばマルトラーナなども、同じように聖書のエピソードを描いているのですが、迫力が全然違います。かなり高い位置にあって、目からは遠いのですけどね。
そう、遠いので、写真を撮ると、どうしてもゆがんでしまいます。

最近、モデナの大聖堂でやたら勉強している旧約聖書。これはアダムとイブの楽園追放ですね。剣を持ったケルビムに追い出されています。アダムもイブもやけに筋肉質ですねぇ。


カインとアベル。モデナのカテドラルにある彫刻では、カインの棍棒が、アベルの頭を直撃する場面が彫られているのですが、ここでは定石どおり、その直前の図となっていますね。やはり絵とかモザイクだと、その瞬間を描くのはちょっと強烈過ぎるからかな。


アベルがつらそうな顔をしているけれど、カインは、してやったりの表情で、結構怖い絵です。
これは、エサウとヤコブのお話です。


うわー、このエピソードって知らなかった!兄弟の不和の話は、カインとアベルだけじゃなかったんですね。兄のエサウは左側で能天気に狩をしているんですが、その隙に、死にかけている父親をだますヤコブ。カインとアベルのエピソードだと、神の存在が前面に来ますが、こっちのエピソードは、ママのお気に入りの末っ子がうまくやってみたいな家族の話で、聖書にかぎらずって感じ。ただ、この後ヤコブは夢で天使に出会って、有名なヤコブの梯子のエピソードになるわけですね。

教会全体が、まさに絵で描かれた聖書そのもの。読むのが面倒な私としては、ここでじっくりと、聖書の勉強をしたいってな気持ちになりますねぇ。

ロマネスクはこちら。モデナのカテドラルの勉強が、こんなところでも役立って驚き。やはり聖書の知識は必要ですねぇ。
ロマネスクのおと
  1. 2011/02/23(水) 06:05:05|
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言い訳と、ちょっとだけ自慢…?

どうもなかなか、「ロマネスクのおと」の更新ができなくて。理由は、先日もどっかで書いたけど、とにかくイタリア語だと読むのに時間がかかって。つまり、読むべき資料が多い場所ほど、時間がかかってしまいます。今取り組んでいるエミリアは、メジャーな場所ばかりで、その分資料も多くて、特にモデナにてこずっています。実際は、いろいろ読んだからといって、必ずしも、結果に反映されるわけじゃないんですけどね~。

で、この週末も、資料を読んでいて、ふと気づいたのが、これ。


この、中世に特化した辞書です。
とりあえず、ペンなど置いて、その上に立ってもらって、そのどっしりぶりを表現したんですけどね。実はこの辞書、ずっとほしかったんですが、昨年末、やっとこさ購入したものなんです。
資料を読んでいると、人名とか事件とかいろいろ出てくるわけです、どんな土地のどんなロマネスクを調べていてもね。そういうときに、この辞書を買って以来、まずはこれにあたるわけです。そうすると、調べたい項目を見たついでに、ついつい他の項目やら、図版やらに目が行ってしまって、気づくと、やるべき仕事を忘れて、辞書に遊んでしまっているんですよねぇ。
だって、こんな感じ。


なんか、いいでしょ。カラー・ページも結構豊富。とにかく図版が多いので、何気にページをめくるだけでも、なんとなく引き込まれてしまうんですよ。


で、ふと気になった項目があったりすると、今やるべき仕事なんてあっという間にどっかに行って、ほかの事を調べている自分がいるわけです。
写真の多いロマネスク関係の本でも、見だすと、一通り見てしまいますが、本文はあまり読みません。でも、辞書の場合は、各項目の説明が簡潔で読みやすいので、サーフィン的に見るには、最も楽しいかも。
サーフィンといっても、紙媒体は、インターネットよりもずっと発見がありますねぇ。今日も、以前ルッカの中世展覧会で気になったミニアチュールの内容についての発見がありました、たまたま開いたページに。こういう「たまたま」っていうのは、紙の楽しさですねぇ。

もうひとつ、芸術関係を読んでいて、でも歴史が気になるときの基本資料は、これ。


これは、タイトルも「中世史」、多分こちらの高校生くらいが、教科書に使うような本だと思います。すごくまじめにクールに中世史を語った内容。中世史だけで、日本の高校で使う世界史の教科書くらいの厚さと内容があるので、もちろんかなり濃くて、細かく、資料的な価値は結構ある上に、マニアックな本ではないので、文もわかりやすいのです。

言い訳というのは、つまり、手持ち資料が増えてきて、イタリア語を読むのがただでさえも遅い上に理解力が低いのに、やらんでもいいリファレンスをやって時間をとっているということ。
自慢かもしれないのは、こんな役に立つ中世の資料は、日本語ではないでしょ~、ということでした。
へへ、でも思いっきり言い訳です。今日も一応数時間、モデナの勉強をしていましたけどね。結局辞書にはまって…。目標、二月内アップ!
僭越ながら、お楽しみに。
ロマネスクのおと
  1. 2011/02/21(月) 06:17:09|
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モンレアーレ その2

外観、続きです。チェックするべきポイント二番目は、ファサードの扉です。


この青銅の扉は、ピサの青銅の扉で気に入ってしまった、ボナンノ・ピサーノの作品なんですよ。ロマネスクをやるまでは、注目すらしていなかった人なので、今回は大いに興味があったんです。
しかし!実はこの扉、鉄格子に阻まれて、近づくことができない…。少なくとも5メートルは隔てられての鑑賞で、肉眼ではほとんど細かいところは見えないんです。がっかりですねぇ。入場料を払ってもいいから、近くで見たかったです。
仕方ないので、デジカメで思いっきりズーム。でもたったの6倍ですから、たいしたことはなくて。


ピサでいいなぁと思った感じは、ちょっとわかりました。でも実際は、後から写真をパソコンに取り込んでからじっくり見て、ほぉほぉ、です。微妙に違うような。モンレアーレは、ピサのあとの作品のはず。なんとなく、ピサの方が、よりスタイリッシュな感じがするので、もしかして逆?
これが、モンレアーレ。


こっちは、ピサのマギ。


あれ、モンレアーレの方は、マギと書いてないので、違う主題?でも内容は同じですよね。
どうなんでしょう?個人的にはピサの方が、デザイン性が高いような気がするんです。
ちなみにこれは、カインとアベル。


羊ちゃんたちが、妙にかわいらしいのですが、人物フィギュアはとてもシビアな感じです。モンレアーレの作品は、ちょっと土臭い感じがしたりするのですが、もしかしたら、それは私の勝手な思い入れかな。
いずれにしてもとてもデザイン的なのは間違いがなく、青銅というマテリアルのせいでそうなるのか、またはピサーノの性質と技術なのか。でも、青銅の扉といえば有名なヴェローナのサン・ゼノも、やっぱりデザイン的なんですよね。あれ?あれは誰の作品なんだっけね?あれは、確かすっごく古いもんだったような。ということは、このデザイン性は、青銅というマテリアルのなせる業っていうのもあるのかな~。ちょっと面白いですね。あまり例が数多くないので。
いずれにしてもボナンノ・ピサーノは、もうちょっと調べたい人かもね。
っていうか、頼むから近寄らせてくれ~。

ロマネスクはこちら。今日も、中世の辞書とともに、モデナの本を精読。イタリア語だと、どれだけ読むのが遅いんだ、自分!とびっくりしています。
ロマネスクのおと
  1. 2011/02/20(日) 07:18:55|
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Museo 900 (ミラノ)



ノヴェチェント美術館。日本語で言えば、20世紀美術館。昨年末に、長年の修復が完了して、何年ぶりか何十年ぶりか知らないのですが、再オープンした美術館。今年2月いっぱいは無料で鑑賞できるのですよ。
で、何度か立ち寄ったのですが、いつも入場の行列があるので、面倒で引き返していたのですが、そろそろ無料期間が終わりそうなので、今日は私も行列に並んで、見てきました。幸い、30分くらいで入ることができました。
(冒頭の写真は、実は年末のもの。このときは行列もなく、すいすいと入ることができたのですが、あまりに疲れていたので、引き返した記憶があります。)

特に、何があるとか、何かに期待していたわけではないのですが、結構いいものを持っています。もともと、ミラノ市内の他の複数の美術館で持っていたものを、1900年代、つまり20世紀というくくりで集めたのがこの美術館で、だから展示品は、すべて20世紀のもの。


最初の部屋には、印象派とかピカソとかあって、おそらく20世紀の導入部分。その後は、ひたすらイタリアのアーティストの作品が並びます。Futurismoに関しては、かなり充実しています。
イタリアというよりパリで活躍したモディリアニやデ・キリコの作品も結構あります。あれ?でもあの人は?
と思った頃に、ころあいよく出てくるのが、フォンターナや、マンズーや、マリーニや…。
展示も、入れ物の構造も、なかなかよくできています。ドゥオモのすぐお隣なので、途中の窓からの眺めが、とてもドラマティック。ドゥオモの尖塔だったり、中世の塔だったり。


最後の方には、20世紀半ば過ぎ、いわゆるコンテンポラリーに通じる、いかにも「ベネチア・ビエンナーレも出た?」みたいな作品も出てきます。今後、この辺が充実してほしい、と個人的には期待したいところです(現代アート好きです)。

とにかくかなりの人だったので、駆け足状態でチェックしただけですが、それでもたっぷり1時間以上かかったので、じっくりとみたら、ずいぶんと時間もかかりそう。でもそれなりの価値がありそうなので、ほとぼりが冷めた頃に、有料でも、またゆっくりと訪ねてみたい美術館です。写真も撮り放題だったので、次回はカメラ持参で行ってみたいと思います。

2月中は無料なので、多少の行列はあるにしても、その価値はあり!行ける人は、是非行ってくださいね。平日は19時半までですが、木曜日と土曜日は、なんと夜22時半までオープンしていますので、ねらい目は、木曜日の夜8時過ぎあたりと思います。

Museo del Novecento
Palazzo Arengario - Milano
gratis until Feb 2011
  1. 2011/02/19(土) 05:55:36|
  2. アートの旅
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モンレアーレ その1

パレルモに行ったら、たいていの人は、モンレアーレを訪ねると思います。
パレルモの町外れから、南東に向かって、緩やかな坂道を延々と行った、山の中腹にある小さな町。


これは、パレルモの町を見下ろす高台からの写真。かつて、アラブに占領されていた時代、この平野一帯に、オレンジやレモンなどの柑橘類が植えられていて、実がなる季節には、目に付くすべてがオレンジ色だったんだそうですよ。それで、黄金の平野(Conca d'oro)と呼ばれる土地です。
すべてがオレンジ色…。君よ知るや南の国、ですよね。
パレルモの町まで、家がずっと立ち並んでしまっている今の姿から、自然の緑やオレンジ、黄色など鮮やかな色しかなかった千年前の眺めを想像するのは、ちょっと難しいのですが、でも12月だというのに、この鮮やかな緑、青い空からは、今でも損なわれていない自然の豊かさは少なくとも伝わってきます。どうでしょうか。

私にとっては、三回目のシチリア、そしてモンレアーレ。
モンレアーレは、シチリアの中でももっとも思い入れの深い町なんです。というのは、初めて訪ねたときに知り合った子供と、今でも文通しているからなんですよ。文通!昔はインターネットも携帯もなかったですからねぇ。
当時小学生だった彼女、当初はお手紙でもしょっちゅうスペルを間違えていましたが、今では素敵な女性になって。
今回は、五年ほど前に彼女がミラノに来たとき以来の再会で、とても盛り上がりました。大人になっても、私にとってはどうしてもピッコラ(子供)で、すごく大人な女性らしい発言をされると、なんだか戸惑ってしまうのでした。

さて、モンレアーレを訪れる目的は、もちろん黄金のドゥオモです。
前回、十年前に訪ねたときは、オープンしているはずの日に、なぜか「消毒中」ということで、入場できませんでしたから、今回は大いに期待していました。
まずは、外側もしっかりチェックです。

内部は黄金ですが、ファサードや側壁、外観はとっても地味でびっくりするほど。
とはいえ、その地味な中でも注目するべきポイントは二つあって、ひとつは、後陣。


パレルモのカテドラルの後陣と同じ装飾ですが、こちらの方が、おそらく後代の手の入り方が少ないせいか、より美しいし、よく残されています。結構地味な建物の並ぶ路地の突き当たりに、装飾的にはかなり派手な姿が垣間見えて、このアングル、好きです。


やっぱりアラブ風、アラベスクなんですかね。とんがったアーチにしても、幾何学的モチーフにしても、ちょっと違いますよね。色も、なんか砂漠っぽい淡いベージュで。
エイッ、もう一枚。


うーん、やっぱり好き。
この後陣の向かい側の一角が、モンレアーレでも最も古い地域で、中世の建物がほぼそのまんま残っているということでした。逆に言えばそこ意外は、結構新しくなっちゃっているんですよね。
では、外観のポイント、もう一つは次回。

ロマネスクはこちら。今、モデナの本を精読中です。
ロマネスクのおと
  1. 2011/02/17(木) 06:07:09|
  2. シチリアの中世
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ロマネスクのおと



いやはや、実はまだ日本語問題、解決してないんです。それどころか、これでもだめ、あれでもだめっていう感じで、トライするすべてがだめで、かなり絶望的な状態です。
仕方ないので、最悪の手段として、職場のパソコンと、旧パソコンを活用して、何とか、作り直したサイトのトップ・ページだけアップしてみました。何とかアップはできたらしい。でも、すっごくめんどくさかった…。
その上、旧パソコンは、もともとかなりやばい音を出していたのですが、さらにさらにやばい感じで、もう長くはないというのが明らか。どうしたもんでしょうねぇ。最悪、更新なし、という事態も考えられます。そうなったら、ごめんなさい。
または、友人知人のパソコンを無理やり使わせてもらうのかな。いやはや。
ま、仕方ないですね、そういうことなんで。

とりあえず、作り直したトップ・ページ、いかがなもんでしょうか。
モニターのサイズとか考慮して、テーブル仕立てにしてみましたので、見苦しさはちょっとは解消されたかと思うのですけれども。
ロマネスクのおと
  1. 2011/02/14(月) 05:12:31|
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ロダン展 in Legnano

久しぶり、展覧会話題です。
昨年末から始まっていて気になっていた、ロダンの展覧会、やっと行ってきました。


ロダンは、はるか昔、私の人生で唯一のパリ訪問のとき、ロダン美術館に行きまして、すっごく、本当にすっごく感動したことがあるんです。

ロダンって、日本だと、まずは「考える人」じゃないですか。
小学校3年生のときのお誕生会で、招待した同級生から、小さな「考える人」の置物をもらったことがあるんです。ちゃんとブロンズ色をしていて、大きさも、結構実物大に近かったような。それって、あるときふっと思い出してから、時々思うことなんですけれど、小学3年生で、プレゼントするようなものじゃないですよね。当然親御さんが、これを持っていけとかそういうことだったと思うんですが、それにしても、なぜ「考える人」?なんかの景品かなんかで、家でもてあましてたとかそういうことだったんですかねぇ。

おっと、話がそれました。
そういう私にとって、パリのロダン美術館は、とにかく印象が強烈なんです。なんせ、初めてのヨーロッパ旅行のときだったし、それまでは、美術って遠かったですからねぇ。
今回の展覧会でも、小さいサイズのがありましたけど、これ。接吻。


これに、すごくすごく感動した覚えがあるんです。
実になんというか、神々しいくらいに美しかったんですよ、記憶にある限りでは。
二十数年前の話ですから、若かったですしねぇ。きっとロダン美術館のたたずまいというのが、なんと言うか、普通のおうちみたいな雰囲気で、その上、訪問客も少なくて、貸しきり状態で見ていたというシチュエーションもあると思うんです。そもそも、初めてのパリで、何で、わざわざ行く、みたいな場所にあるロダン美術館に行ったのかも、今では謎以外の何ものでもないんですけれど。特に好きだったわけでもないのに。やはり小学3年の「考える人」がどこかで尾を引いていたんですかね。

正直、本日の展覧会はたいしたもんじゃなかったです。
ただ、入場料にオーディオガイドが込みで、それがなかなかドラマチックな内容で、印象的でした。作品一つ一つについての薀蓄を説明するのではなく、ロダンのインタビューをいい具合につなげているんです。もちろんイタリア語訳なので、ロダン本人が話しているわけではないのですが、ロダンの声が、とても素敵で、ちょっとうっとり聞いてしまうようなお話なんですよ。
そんなわけで、確実に、パリに行きたい気持ちが強くなりました。実は、パリは、そのとき以来ご無沙汰なんです。こんなに近いのに。
やっぱり行かないと。

Rodin Le origini del genio (1864-1884)
20/11/2010-20/03/2011
Legnano, Palazzo Leone da Perego

ところで、この町は、先日中世の講演会で話を聞いてきた、中世では有名なレニャーノの戦いの舞台です。駅前にこんな彫像が。


ちゃんとチェックしていないのですが、この鎖帷子や時代がかった兜からいって、きっと中世の姿。ふふふ。なんか親しみを感じました。
  1. 2011/02/13(日) 06:23:10|
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