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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

パリの美術館、その3

ロダン美術館。


今回、特に再訪したかった場所です。
ちょっと前に、ミラノ近郊の町でロダン展があって、わざわざ訪ねたら展覧会は結構しょぼかったんですが、それでも、久しぶりに出会った「接吻」に、遠い昔のロダン美術館で見た本物の「接吻」を思い出して、それはそれでうれしかったところで、まさかこんなにすぐ本物に再会できるとは思ってもみませんでしたね~。



でも結果的には、ここは、思い出の中においておくべき美術館だったのかもしれません。
なぜかといえば、思い出の中の、ロダン美術館じゃなかったから。そして、思い出の中にあるロダン美術館に再び出会うのは難しそうだと思ったから。

今思えば、なぜ、最初の(そして今回の訪問までは、最後の)パリ訪問で、時間に大きな余裕もなかったのに、どちらかといえばマイナーなロダン美術館に行ったのかは、覚えていないのです。ただ、モンパルナスに行きたくて、そして、かつて画家たちが通ったという有名なカフェでお茶を飲んでロダン美術館に行く、という道筋が自分の中でできていたのだけは覚えています。
そのとき訪ねた美術館は、誰もいなくて。もともとお屋敷を美術館にしているので、招かれた屋敷を一人でうろうろしているというような状況で、歩くたびにきしむ床板や、ふと窓から見えるパリ市内にしては広大な庭の緑や、そんなすべてを独り占めして、一つ一つの作品と、一人で対峙して、実に濃厚なロダンとの出会いをしたんですよねぇ。


でも、もはやそういう時代はないのか、または季節や時間を選べば今でも可能なのかは分からないのですが、今回訪ねたときは、チケット売り場で行列。お屋敷に入れば、満員。広大な庭でも、一人になれる場所はなく。


ざわざわする中で、多くの人が素晴らしいカメラを抱えて撮影する中で、とてもロダンとの対峙はありえず、ああ、いいときに来たんだなぁ、あの時、とつくづく思うのでした。あの経験があったからこそ、ロダンが好きになったんだろうし、今回もまた、訪ねようと思ったんでしょうけども。

とはいっても、パリに数多くある美術館の中では、やっぱりよい美術館だと思います。庭も素晴らしいし、全体の調和を楽しむ空間になっていて、これほどのスペースというのはなかなかないと思います。
朝一番とか、冬のさなかとか、そういうときに時間が取れる方には、是非訪ねてほしいと思います。わたしも次回は是非、冬の寒い中、観光客もほとんどいない時期にでも訪ねてみたいと切実に思います。



大好きなロダンのサイン。
えてして彫刻が得意な方はデッサンがよいのですが、この方のデッサンもよいのですよね~。裸婦、というか、春画みたいのを実は結構ものしていて、でも、それが一筆書きのようなさらりとした水彩画で、わたしは結構好きなのです。
どこかの美術館が持っているんでしょうが、めったに展覧会とかないですねぇ。この「本家」でも、やっぱり出会えませんでした。
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  1. 2011/04/28(木) 05:24:03|
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パリの美術館、その2

オランジュリー、ここも長年、一度は行ってみたいと思っていた美術館です。
オルセーからぶらぶらと歩いて、週末でにぎわっている公園を通って、気持ちのよいお散歩しながらアクセス。
地味な建物の脇には、ロダンのブロンズがいくつも置かれていて、とってもいい感じ。その上、この美術館には、なんと行列がないのでびっくりしました。すいすい入れてしまいます(そしてここも安い!)。

まずは回廊に並んだ小さな絵を鑑賞です。
ついさっきまでいたオルセーで、いまさらながらいいなぁ~と思ったばかりのルソーの小品がずらりと並んでいたのには、驚くやらうれしいやら。どれもとてもいいです。ひとつ家にほしいくらい。


そしてマチスのオダリスクが数枚。これも好きなシリーズ。


鮮やかな、それでいて嫌味のない色彩が本当に美しいです。

そして、いよいよモネの睡蓮の部屋に入りました。

実は、モネの睡蓮って、別に好きでもなんでもないんですよねぇ。でも、なんとなく一度はここで見てみたいなって思っていました。


二つの楕円形の部屋に、それぞれ睡蓮だけ展示されています。入ったときは、ふーん、なるほど、これが。という程度のインパクトだったのです。
しかし、二つの部屋を行ったりきたり、部屋の中央においてあるソファに腰掛けたり、立ち位置を変えたりして、いろんな角度からそれぞれの絵を眺めているうちに、なぜかこみ上げてくるものがありました。


見ても見てもぼんやりした絵で、インパクトなんかなくて、モネって絵が下手だなぁって感じなんですけれど、それでも、気づくと場に取り込まれて、モネの庭に立っているんですよ、自分。

そういえば、この前の一時帰国で、ジヴェルニーの画家たちという展覧会に行って、そこでモネの庭のビデオを流していたのですね。その庭が、にわかに眼前に広がってきて。


ふっと気づいたら、陽が翳って、全体が薄暗くなります。そうなんですよ、この部屋、自然光なんですよね。これはまったくもって憎い演出!自然光であることで、絵の変化を楽しめて、あたかも風やにおいが漂ってくるような空気になっているんです。
ちょうど、晴れているものの雲の多い日だったので、程よく、陽がさしたり翳ったりが繰り返されたのも、とってもよかったんです。
ひっそりと流されている環境音楽みたいなものも、邪魔にならず、気持ちを盛り上げてくれたような。

いやはや、これは感動しました。最後は泣きたいような気持ちになって、後ろ髪を引かれながら部屋を後にしました。
モネ、これまで馬鹿にしていてごめん!
  1. 2011/04/27(水) 05:00:29|
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ミラノ フオリサローネ2011 その6

Interni その2
もうほとんど終わっちゃいましたけど、もう少しだけ、フオリサローネ、お付き合いください。大学の続きです。
もうひとつの大きい中庭。中央に置かれた小さなお家から煙が湧き出ています。


何だ、何だ、と思わず浮き足立ってしまうようなドキドキ感。Enel(電気会社)の、まさに「ドキドキ感」とでも言ったタイトルの付いた作品。黒い外観、窓から真っ赤な内部がのぞいています。窓から覗き込むと、そこはまたびっくりするような色の氾濫。


真っ赤な中に、銀色の金属球がゆらゆらとしていて、その下の一部が黄緑なんです。こういうはっきりした色を組み合わせるって言う手法は、昨年訪ねたベネチア・ビエンナーレにもアート作品がありましたけれど、視覚を狂わせるものがあるんですよね。見ていると不思議な気持ちになってくるんです。煙が出てこの赤ですから、もちろん火を象徴しているんだと思います。

もうひとつの中庭。去年は、とても気に入った日本人デザイナーの作品がおかれていた場所。今年の作品も、美しかった!


化粧品会社とのコラボで、この中央の竹のようなファイバーで作られたオブジェの周囲は、口紅の容器の茂みなんです。このファイバーは、やはり照明が付くようになっているので、やかんはさぞや美しかったと思います。環境音楽が流れている異空間で、思わず、夜一緒に行かないか、と思わず友人に電話をしてしまいました。結局行かなかったんですけれどね。

実は、このフオリサローネ、まだ会期が終わってない協賛展示があるので、この週末にでも行ってみようと思っているんです。ですから、この項、もうちょっとだけ続きます。
  1. 2011/04/26(火) 04:29:44|
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イースター休暇、菜の花畑



イースターで四連休だったので、久しぶりにドライブしてきました。ずいぶんと長い間、長距離ドライブをしていなかったので、ちょっとどきどきしながら、でも往復540キロ、とても快適な旅でした。
行き先は、古いお友達のところ。家を買う前は、毎年のようにこの時期に訪ねていたのに、このところ、なんだかんだと忙しくて行けなかったのです。
最後に訪ねたのは三年前。お子さんたちがすっかり大きくなっていて、過ぎ去った時間を実感させられました。だって、この前訪ねたときは、子供用の小さな自転車に乗っていたのに、今ではもう大人用の自転車に乗っているんです。子供が大きくなるのは当たり前だけども、目の当たりにすると素直にびっくりしてしまいます。

友人とおしゃべり三昧しながらも、遠出をしたからには、中世探訪は忘れませんよ。
憧れのポンポーザ修道院を訪ね、ミラノへの帰り道には、ヴェローナ南部の平地に散らばるマイナー・ロマネスクをたくさん訪ねてきました。残念ながら、中に入れない教会の方が多かったのですが、でも、いずれも素晴らしいロケーションで、ヴェローナ・タイプのロマネスクをまとめて見る面白い機会ともなり、緑の中の田舎道ドライブも気持ちよくて、とっても充実したイースターが過ごせました。

その途中、あちこちで出会ったのが菜の花畑。今が旬なんですね。ああ、なんてきれいなんだろう、ってドライブしながら横目で見ていたのですが、広大な畑に出会った道で、とうとう我慢できなくなって、停車しました。


田舎道で、私以外に通る車もなくって、車を降りたらシーン、としているんです。鳥の声が聞こえるくらいで。
見渡す限りの菜の花畑。手前には、早くも真っ赤なポピーが咲いていました。


もう少しすると、今度はポピーの真っ赤なじゅうたんが見られるんですよね。



そういえば、きれいな景色をちらちらと見たいので、のんびりと走っていたら、ある場所でキジが道を横切りました。右手の草むらから出てきて、とことこっと小走りに道の反対側の草むらに入り込みました。
そういえば、去年トスカーナの田舎の草原にいたら、いきなりそばからキジが飛び立ったことがありましたっけ。キジってその辺にいるんですねぇ。大きいし、なんだか感動しました。それにしても徐行運転中でよかったよ~。キジも不用意に歩いてると危ないなぁ。
実際、田舎の道では、かわいそうなことに、よく小動物がはねられてるんですよねぇ。

なんだかいろんな写真がたまってきちゃいましたけど、少しずつアップしていきますね。今回のロマネスク探訪も、ちゃんとしますよ。でもちょっと待っててくださいね。
古い友人とのおしゃべりで、私がいかに記憶力がないか、ということを改めて思い知らされたんで、やはりこれは記録のためにも、いちいちアップしときたい!と気持ちを新たにしたんです。

ベネトのロマネスクは本当に久しぶり。
そのほかはこちらをどうぞ。ロマネスクのおと
  1. 2011/04/25(月) 04:42:18|
  2. 旅歩き
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ミラノ フオリサローネ2011 その5

Interni その1
今回もまたインテルニは、大学を舞台に、楽しい展示を行っていました。こちらは、まだ数日会期があるので(4月23日まで)、イースターの週末をミラノで過ごされる方は、是非訪ねてみてはいかがでしょうか。

今回のテーマはミュータント。突然変異。
ここは、オープン・スペースだし、伸びやかな展示が、とにかく気持ちよくて、正直テーマはあまり気にせずに、見たり触ったり座ったりして、デザインというものを楽しむ空間かも。
メインの中庭。


手前が、日本人、ご夫婦かご家族か、伊藤さん、セツさんとシノブさんがデザイナーさんです。可動式のくつろぎスペースで、異なるタイプのものが数個連なっていました。どれにも人々がくつろいでいたところを見ると、それなりに居心地がよかったのかもね。見た目は、正直、特にこれってことはなし。
奥の方、地球みたいなの。これは、おそらく夜間、内部からの照明で、かなり美しいオブジェクトであろうと想像します。本当に宇宙に浮かぶ地球のようなのかも。

最近のサローネでは、照明器具が重要度を増しているトレンドによるのか、今回のここでの展示は、かなり照明を意識したものが多かった気がします。ここは、24時までオープンなので、夜間にまた来ようか、とも思ったのですが、寒かったし、夕食で呑んじゃうと、また出直して、という気にはなれず断念。ちょっと見てみたかったので、残念ですね。次回こそ!

別の中庭。


これも、同じ高さで見てると、たいしたことないのだけど、上から見ると、どんどん面白くなってくる作品でした。タイルなんですよね、どうやら。モノトーンで、白からグレー、黒というグラディエーションが美しい。また、ここも照明はアルテミデとのコラボですから、なかなか面白い効果を生み出すのではないかと思われます。
このオブジェクトそのものは、インテリアとしての意味はないけれど、使用している技術が、マテリアルも含めて見せたいものなんですね。なんか、とても納得。
ちなみに同じレベルからだと、こんな感じで、あまり面白みがないでしょ。



これも、近くから見ていると、あまりよくわからない作品。


パネルが、端はまっすぐに普通にたっているのが、真ん中に行くほどねじくれて、ちょうど真ん中のはぐるりとねじくれているんですよね。
でも、足の踏み入れられないスペースぎりぎりに置かれているので、全容が見れないじゃん!プンプン!と思いつつ、反対側に行ったら、あ、見えた!


ね、ぐるりんと。面白いです。ここもライトアップを前提にしていて、どうやら、この壁そのものが発光するようになっているらしいんですな。
やっぱり、夜、行ってみるべきだった~。いまさら仕方ないんですけれどもね~。
あ~、こうやって見直してると、ミュータントってテーマがしっくり来る感じもしますね。
  1. 2011/04/21(木) 05:29:57|
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ミラノ フオリサローネ2011 その4

Fabbrica del Vapore
今回は時間がなかったのと花粉アレルギーのため、行動範囲が昨年に比べるとかなり狭かったのですが、それでも近所の、コノファブリカには行ってきました。

去年工事中だった建物がすっかり完成して、バールなどもできていて、イベント・スペースとしてはさらに充実していました。町外れで、ベンチなどもたくさんあるので、家族連れがたくさん憩っていて、サローネというよりは、公園状態でしたけどね。
テーマは、Sensible Design。

入っていきなり、骨の骨組み?センシブル?何でしょうねぇ。子供は大喜び。



女性デザイナーをフューチャーしたコーナーでは、こんなチョコレート尽くしのテーブルセッティングとか。


ちょっとデザインと言われるとねぇ。うーむ。

そんなところで、出会ったのが水周りデザイン。


とてもスタイリッシュな上に、水量も少なくてすむというエコな側面も持っているというシャワー・システムの展示。水が滝のように落ちてきたり、自然落下のシステムなので、面白いんですよ。ジェット噴射みたいなことをしていない分、重力に従った落ち方らしいんですが、逆に人工的に見えるのが、とても興味深くて。
ここは、メーカーの人がとても親切で、びっちりとそばについて説明してくれたんです。つい真剣に見入ってしまったせいか、はたまた、帽子にミニスカート、レギンス、という年齢および職業不詳スタイルだったせいか、またはもしかしてイタリア・デザインが大好きで何でも買いたい日本人と思われたせいか、「お仕事はやはり業界の方ですか」と言われてしまいました。熱心に説明してくれる方に、デザインにもシャワーにもまったく関係ない一般会社員です、と言う勇気はなく、「あ、あの~、わたしはアートの方で~、デザインではないんで~、実用的じゃなくて~」としどろもどろ、ま、うそではないですけど、中世やってるし。でも、会社員ということと、中世アートをやっているということと、果たしてどちらが状況に適しているのかというと、ううん、よくわからんですな。

このファブリカ会場でもっとも面白かったのは、ユニバーサル・デザイン、といいましたかね?身体の不自由な人や、老人などに使いかってよく作られたさまざまのインテリアや生活必需品のコーナーかもしれません。
たとえば、これは松葉杖なんだと思いますけれど。


おそらく、デザイン的にも最新のテクノロジーとか使われていると思うんですが、その上、なぜかヒョウ柄。おしゃれにも気を使って?
片手で缶詰や瓶を開けられる道具とか、パンきり台とか、糖尿病の人用の食事計(食べた量を視覚化するもの)とか、まだプロトタイプの段階ながら、今すぐ実用品になりそうなもの多数。こういうところに生かされるデザインというのは、とても大切だし、素晴らしい。また実際に作っていられる方と思いますが、説明がとても親切で、感動しました。

というわけで、かなり地味なファブリカですが、こんな、サローネっぽい展示もちゃんとありましたよ。これは結構人気だったな。


壁や机、大理石状の素材なんですが、この照明が、ボーっと浮き上がっているんです。種も仕掛けもない感じで、どうやって光らしているのか、全然わかりませんでした。みんな不思議がって触ってみるんですけれど…。
  1. 2011/04/20(水) 05:16:10|
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ミラノ フオリサローネ2011 その3

ブレラ地区、その3
無差別にいろいろ歩き回って、見て回って、面白いなぁ、と思うのが、自分の知らない世界がいかにたくさんあるかってことに気づかされることです。

普段は絶対にアクセスできない、立派な建物の中庭に面したショウルーム。照明も暗めで、なんか宝飾店のような雰囲気で、一瞬足が止まりますが、ままよ、と入ってみました。展示も宝飾店そのもの。どひゃ~。円形のガラスケースに品物が並べられていて、中にいる男性たちは、タキシードに白手袋ですよ!


何だと思います?
実はドアノブ。
ドア、窓、引き出しなどの取っ手なんですけれど、ちょっと驚きませんか。
考えたら、インテリアの中では、最もアクセサリーっぽいのが取っ手関連なのに、ホームセンターなどでは、機能性重視のものしかないんですよね。それでいて、ちょいと洒落たものは異常に高価。それも家の中の取っ手って、ドアノブだけでも相当の数になるんですよね。狭い我が家ですら、扉が5個ですからね。
改装をするとき、あれでもないこれでもない、と悩んだ挙句、やはりベースが金欠ですから、半端な値段の半端なものを選ぶよりは、安くて我慢できるものを使って、将来換えればいいや!と思って、安物を買ったんですよねぇ(そして将来という日が来るのかは不明…)。
でも、お金がふんだんにあったら、絶対、こういうメーカーを探して、買いたかったなぁ。でもホームセンターごときであの値段だったんだから、こういうのは、すっごく高いんだろうなぁ。
これなんかもどうです?


イタリア人が大好きな鉱物系。こりゃ、金持ちには受けそうだわ。

小物では、これもちょっと受けました。壁一面に並んでるこれは。


水洗トイレの、なんていうんですか?水を流すボタンですね。大と小と並んでるやつ。意外とオーソドックスな感じもしますけれど、でもいきなり入ったトイレで実際にあったら、どこをどう触ったら、とあたふたするかも。最近のトイレは、わからないつくりになっているところが多いですからね~、暗いし。こういうもののデザインを四六時中考えている人もいるんですよね、当然ですが。

全然違う分野でも、たとえばこれ。


これは、さまざまなタイプの加工がしてある銅の板なんです。工夫次第で、インテリアのあちこちに使用可能って感じで、多種の穴あき、エンボスっぽい加工、透かしっぽいもの、それはもうびっくりするくらいの種類があって。真ん中に仕切りを置いて、右は普通の素材の部屋、左は銅板使用の部屋にした展示もあって、驚きました。インテリアの可能性も無限ですねぇ。そして、どこまでも創造力を広げる現代の職人さんや技術者やデザイナーさんたちには、脱帽ですねぇ。

こういうのを見ると、インダストリアル・デザインの面白さも感じます。何もアートじゃなくていいじゃん、みたいな。でもあまりに具体的になると、いきなり脇で商談始まったりするので、なんか困るんですけどね。

最後にちょっとだけ、アートっぽいスペース。


これは日本人のYoshioka TokujinさんのTwiright。Morosoのスペースです。スモークがたかれている中に純白の椅子。そして純白のライトが幻想的に漂っていて、ちょっと息苦しいんですけど、すごく美しくって、見た目よりもすわり心地のよい椅子に座っていると、ちょっと夢見状態にトリップできます。
この方は、昨年のサローネで、もっとも印象的だったスワロフスキーをやってなかったですかね?これはもう、インテリアというよりもアートです。
やっぱりアートもいいです。ブレラだしね。
  1. 2011/04/19(火) 04:34:30|
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ロマネスクのおと、更新のお知らせ



更新の目標は、最低でも1ヶ月にひとつなんですが、なかなか達成できません。今回は、資料も少ないマイナーな場所だったので、すぐできると思っていたのですが、ついロンゴバルドにはまって、ある程度できてから停滞してしまいました。


ブレーシャと、その周辺にあるマイナーなロマネスクです。ブレーシャはともかくとして、マイナーな教会は、アクセスの難しい場所でもあり、また、なんといってもマイナーでクローズのことも多いし、わたしのように近所に住んでいるということでもない限り、なかなか訪ねる機会はないと思います。
そういう場所こそ、サイトで紹介したいとは思うのですけれどもねぇ。



このあとは、しばらくローマにどっぷりとつかることになりそうです。2009年暮れに訪れたので、そろそろ整理しないと、忘却が怖い。
ローマは、現地で購入してきた資料に加え、とてもよいサイトがあるので、資料に困ることはなさそうですが、とにかく訪ねた教会の数が膨大なので、どこから手を付けたらよいのか、ちょっと途方にくれる感じです。

では、とりあえずブレーシャ編、ごらんいただければ嬉しいです。
ロマネスクのおと
  1. 2011/04/18(月) 05:16:52|
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ミラノ フオリサローネ2011 その2

ブレラ地区、その2
この、古い建物をショウルームにしたスペースも驚きでした。広いし、とても入り組んだ形で建物がつながっていて、こういったらどこに出る、というのが、方向音痴のわたしにはわからなくなるような構造です。
日本人のIshigamiさんという人の家具だったようです。とても繊細なスチールパイプの椅子とか、透明のプラスチック・テーブルとか。



水周りのものはとてもたくさん。インパクトもあるし、人々の興味もあるところなんでしょうかね。これなんて、素敵~。


すっごくお金持ちだったら、こういうところでいろいろ見て、家に取り付けることもできるんですねぇ。わたしは貧乏だったので、バスルームの造作なんて、選択の余地もなかったんで、まさに違う世界の話って感じで。

これがまた素敵なスペースでした。


ミッソーニとリチャード・ジノリのコラボで、ガーデン・パーティー。ジノリの食器が積まれていて、ミッソーニのニットのハンモックとか敷物が置かれて、日差しもさんさん。椅子でくつろぐ見学者。
ちまちまと入り組んで古い建物でびっしりのブレラ地区ですが、実は多くの建物には緑あふれる中庭があって、こんな温室みたいな建物があったりして、秘密の花園状態なんですねぇ。

今度はブレラ美術館。ここには、ルネサンス期の重要な絵画も収容されているし、ミラノに住みだした当初は何回か訪ねた記憶がありますが、すっかりご無沙汰です。
やはり古い建物を利用していて、今回は中庭を見下ろす二階部分と、一回の一部が展示に使われていました。薄いチュール状の布が回廊を飾っていて、実際はインパクトも結構あるし、美しいものでした。



二階部分は、ベルギーのスペースでしたが、とても気に入ったのはこのマッチ棒状の照明。


陳腐といえないこともないですが、でもすっごくかわいい!

こちらは一回部分にあったGiovanettiという、椅子メーカーの展示。


暗い照明の中に、ふかふかしたクラシックな感じのソファや椅子が並べられていて、思わずお昼寝したくなっちゃうようなムード満点でした。写真の椅子に座って、しばらく休みました。大体どの展示でも、実際に気楽に座れたりするのも、サローネのいいところですね。
  1. 2011/04/17(日) 05:41:32|
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ミラノ、フオリサローネ2011、その1

今週は、なんだか用事が続いて忙しくて、せっかくサローネが開幕したのに、立ち寄る暇がありませんでした。今日やっと、仕事を15時に放り出して、一番行きやすかったブレラ地区を歩いてきました。
なんせ、ガイドを入手する時間もなかったので、とりあえず行くしかなくて。家具の雑誌を買えば、付録でガイドがついて来るんだと思うのですが、どうせ会場に行けば山積みになっているので、行ってしまえと。

ブレラ地区、その1
ブレラは、もともとファッションや家具などトレンディなお店も多いおしゃれな地域です。ブレラ美術館併設で美術学校もあるので、ギャラリーや画材屋さんの並ぶ芸術的な地域でもあります。
まずはブレラのちょっとはずれ、ソルフェリーノ通りから歩き出しました。

お、これは。唐突な緑から始まります。


何もない広場の空き地に、小さな林、というか草むら程度ですが、緑が茂っていて、憩いのスペースが作り出されています。眼目は、木立に囲まれたスペースに置かれている椅子だと思うのですが、そういえば椅子はちゃんと見てこなかったな~。

巨大ハンガー。その名もフライング・ハンガーだそうです。



寝具ファブリックと思いますが、色目といい、並べ方といい、まったく洒落ていますよね。


こういうのは、お店なので、サローネのときじゃなくても、おそらくこんな感じ。

このあたりって、昔はよく会社帰りにぶらぶらしたのに、今回実に久しぶりでした。お店もずいぶんと変わっていたんですが、以前よりもさらにおしゃれ度が増したような。これなんかもインテリアのお店なんですよねぇ。柱頭コレクション?


どのように何するものなのかもわかりませんが、なんか一個ほしいと思うのでしたよ。

これは、Boffiというメーカーかな。超スタイリッシュなキッチンとかお風呂の展示。


これはシックなお風呂なんですが、ONSENというタイトルだったような。

サローネ本体は、ミラノ郊外の巨大見本市会場で行われており、フオリは、市内のあちこちで、ショウルームや店舗、場合によっては青空会場で開催されているものです。本体は、最終日だけ一般公開となります。が、わたしは、去年に続き、今年もフオリサローネだけ回ります。
というのも、わたしは、インテリアにすごく興味があるわけでもなく、ただ、デザインとアートとの境界線上にあるものに引かれて、どちらかというと展覧会を見に行く感覚だからなんです。サローネ本体だと、かなりインテリア・デザイン寄りになってしまうのではないかと思うんですよね。
その他、フオリは、市内のさまざまな場所を展示会場に使用するので、普段入れない場所にも平気で入り込める楽しさがあります。
今日も、お風呂の展示があったBoffiなど、こんなところにこんな広いスペースが、とびっくりしました。ギャラリー・スペース以外は住宅だったりする建物もあるし、そういうのが面白いんです。
それに、無料ですしね!その上、夕方だと、食前酒が振舞われたりもするしね!
まぁ、見本市会場にも、いつか一度は行ってみようと思いますけれど。
続きます。
  1. 2011/04/16(土) 04:56:25|
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