fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ミラノ展覧会 ジョー・ポンティ

ジョー・ポンティの「陶器の魅力」という展覧会。
?とっても違和感。だって、ポンティは、ミラノ駅前にあるピレッリ・ビルを作った建築家として有名で、陶器って?ほんとにピレッリのポンティ?



そうなんです。まさにそのポンティでした。
何でも、リチャード・ジノリとのコラボで、1923/1930年に、一連の作品を作っていたんだそうなんです。上の作品なんて、まさにジノリっぽいです。

え?と思われる方も多いかもしれませんね。日本でジノリが有名になったのって、フルーツかなんかのモチーフの、とても安っぽいプリント絵付けのカップとかだし。実際のジノリは、こういう印象なんですよ。美しい色彩、モダン・デザインの、ハイ・クオリティの食器。

こんな、アール・ヌーボー調のお皿とか。


これは、明るい赤紫の発色が絶品。ゴールドとの相性が抜群ですよね。
かなりの数の展示があったのですが、どれをみても、思わず、ほしいいい!と叫んでしまう美しさ、愛らしさです。このお皿シリーズは、モチーフのどれもが楽しくて美しくて。料理なんて、とても盛れそうもないですけど。



この、朱がかった赤も、また実に印象的な色でした。



なんともいえないテイストの緑。この緑はとても好きな色で、私が持っている唯一のジノリのカップも、こういう緑が基調です。だから、とてもジノリっぽい緑のような気がします。絵も、どれも素敵ですよねぇ。建築家の癖に、絵もうまいなんて!うまいし、とにかくセンスがあります。



こんな素敵なつぼ、一個くらいほしいもんです。でもこんな素晴らしいつぼを置こうと思うと、そのための場所、家具をそろえなければならないし、芋づる式に家全体のインテリアを変えなきゃならないって感じで、とても無理ですねぇ。はぁぁ。

いやはや、眼福でした。芸術家ってすごいなぁ、と改めて感心してしまいました。
そうそう、考えたら、会場が、ピレッリ・ビルなんですよねぇ。会場のビルの建築家が陶器の展覧会。なんだか、すごいなぁ。
ポンティはミラノ出身の方と思うのですが、デザイン隆盛のミラノの基礎を築いた一人に違いないですね。インダストリアル・デザインがアートとであるのは、何も今始まったことじゃないんだな、とそんなことを思いました。

入場無料なので、もしかしたらもう一回くらい行っちゃうかも。
始まったばかりなので、お時間のある方は是非どうぞ。
ロンバルディア州の事務所ビルなので、入場には身分証明書が必要です。結構面倒ですけど、でもそれだけの価値ありますよ。

Gio Ponti
Il Fascino della Ceramica
Spazio Eventi - Grattacielo Pirelli
火曜/金曜15/19 土曜/日曜10/19
  1. 2011/05/17(火) 05:38:13|
  2. アートの旅
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

ミラノ展覧会 アルチンボルド



この週末は、遠方より友人が来ていて、一緒に展覧会めぐり。短時間にこんなにたくさんの展覧会を回ったのは、本当に久しぶり。今、結構見るべきものがたくさんあるので、彼女にとてもよいチャンスを与えていただきました。ありがとぉ、Fちゃん!
まずは、アルチンボルドです。

アルチンボルド、誰だっけ、ちょっと聞いたことある感じ…、と思う方は多いのではないでしょうか。それです、それ。たいてい、美術の教科書に出てますから!
トップは、彼の絵を具象化した作品です。

より分かりやすいのは、こういうのかな。


お魚とか、植物や花とか、野菜とか、そういう素材を巧みに組み立てて、肖像画みたいに描いた人。
教科書系の、小さい写真では見たことがあるけど、本物をみるのは初めてで、そして、やっぱり本物の迫力というのは、すごいもので。

どの素材にしても、とても丁寧に、実物に忠実に描かれていて、その上に、肖像画的な絵となっていて、面白いんです!
これ、小さい写真だと、絶対ディテールが分からなくて面白さ半減以下と思います。好き嫌いはともかくとしても、もしチャンスがあったら、是非本物を、身近でみてほしいと思います。



要は騙し絵。でも、技術レベルがとても高いので、騙している部分が、とにかくとっても興味深い。



技術が高いのは、こういうデッサン的なメモ的な絵を見ても納得。さらりとペンで描いている絵でも、素晴らしい。この時代は、近代と違って、下手な人っていないですからね~。

でも、宮廷画家として地位を築きながらも、こういう絵に手を出して、結果的には、こういう絵で名をなしたっていうのが、アルチンボルドのすごいところ。
彼はミラノ出身で、各地で活躍した後、人生の最後にミラノに戻ってきます。ミラノの気性というか、今のデザイン興隆のルーツが、遠いこういうところにも、何がしかはあるような気がして、ちょっと面白いですね。

Arcimboldo
Palazzo Reale
22.05.2011まで
  1. 2011/05/16(月) 06:15:17|
  2. アートの旅
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ヴェローナ・バッサ その3

ますます地味になります。
今回は、Bonavigoの町外れにあるサンタ・マリア教会。
ここは、かなり強烈でした。


ボナヴィーゴの村から、1キロ以上、あぜ道みたいな細くてくねくねした道を行きます。緑いっぱいできれいなんですけど、でも対向車来たらどうする?みたいな細さ。で、思いっきり不安になった頃に、行き止まり状態となったところが、この教会のある小さな小さな集落。
そういえば、「プライベートの敷地」と、ガイドブックにも書いてあったっけ。でも、ビザンチン風の12世紀のフレスコ画が後陣にあるともあったので、プライベートなんて記述は見てみぬ振りして、わざわざ訪ねちゃうわけですね、ロマネスク病ですからね。

アクセスは、結構美しくて、一瞬期待したのですが、近寄るにつれ、期待は一気にしぼみました。だってね~、他の建物も教会につながっていて、そういう増築部分は、いかにも居住用で、今でも人がいる気配もあるんですが、教会は、その分激しく放棄されている空気が明白なんです。
ファサードにある唯一の扉も、もう完全に朽ち果てている状態で、たとえ鍵を持っている人がいるとしても、とても中は入れないだろう、と容易に予想できます。
一応、外観をチェックしたのですが。


後陣は、外からだと、こんな状態。後代に改築された教会にはありがちですけれど、でも、ビザンチンのフレスコ画、今でも本当に残っているのかな。
脇もこんな感じ。


こんなになっても、一応建物として残っているのが、ある意味すごいかも。おそらく、建物は堅固だし、壊すよりは、倉庫とか家畜小屋とか、そういう目的で使われてきた結果かも知れないです。そういうロマネスクの建築は結構ありますから、ここも、いつか、十年後か30年後か、もしかしたら、篤志家が復活させる可能性はゼロではありませんよ。ビザンチンのフレスコ画の保存状態によりますけれど。

こんなわけで、お隣のアパートには人がいそうだったけれど、とても、鍵があるかどうかなんて尋ねる気にもならずに、そそくさと帰って来ました。放棄された教会って、哀れです。
車に乗り込もうとしているとき、町の方から、若者が自転車をこいで、のんびりとあぜ道をやってきました。おそらく、教会と続いているアパートに住んでいる人なんだろうなぁ。でも絶対、教会の存在自体にも気づいてないんだろうなぁって感じで、やり過ごしました。向こうも、こんなところになぜ東洋人がいるんだろう、ときっと不思議だったに違いありません。

ベネトのロマネスク、こちらもどうぞ。
ロマネスクのおと
  1. 2011/05/13(金) 05:01:15|
  2. ヴェネト・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

ヴェローナ・バッサ その2

地味で、その上、一見ロマネスクに無関係そうな教会が続きます。
ベルフィオーレという町にあるサン・ミケーレ教会。通称は、マドンナ・ディ・ストラというらしく、サン・ミケーレでは首をひねった地元の人が、マドンナ・ディ・ストラではすぐ反応しました。



ベルフィオーレの町からほんの数百メートル離れた、ヴェローナに向かう道沿いにぽつんと建っていて、ベルフィオーレの町から行くと、後陣側からのアクセスとなります。
上部は、おそらく後代の再建で、下部の礫の部分が、オリジナルと思われます。再建でも、嫌味のない美しい後陣で、これは期待できるかも!

でも、ファサード側に回ると、期待度、ちょいとしぼみます。


たたずまいが美しいし、緑の中で映えますけどね。そして、ヴェローナっぽいレンガと白い石の縞々も、オリジナルっぽく作っているのは高感度高いんですけど、でも、ちょっときれい過ぎますねぇ。
何はともあれ、扉が開いているのは、うれしいです。

内部も相当きれいにされちゃっているんですけど、でも天井はちゃんと木製だし、身廊壁も漆喰を塗りたくるようなものではなく、ちゃんと礫を使ったスタイルで、雰囲気があるんです。うん。悪くないですねぇ。



それに、ちょっと面白いものがあるんですよ。


柱に彫りこまれた12世紀の碑文が、美しく遺されているんです。「鍛冶屋のアルベリコが、その作品で、神と聖ミカエルをたたえた」とあります。十字架でも作って奉納したんですかね。このほかにも、もうひとつ彫り込みがありました。
修復しても、こうやってきれいに遺すことができるんですねぇ。
それにしても、アルベリコさん、まさか勝手に彫りこんだわけじゃないでしょうね?鍛冶屋だから、全然問題なくできちゃいそうだけどねぇ。

8/9世紀の柱頭もいくつかありますし、古そうな、かなり下手なフレスコ画も、かすかに遺されていました。古そうなだけで、せいぜい14世紀あたりのモノかなという感じもします。


いずれにしても、由緒ある教会なんでしょう。
修復は2004年に行われたという、小さな覚書が外壁に埋め込まれていました。地元の銀行がスポンサーですけれど、地域の信者の支えなしには、これほどトータルの素晴らしい修復はなかなかできないことなので、間違いなく愛されている教会でもあります。

実際、人々が、ポツリポツリとやってきて、静かに座ってしばらく祈りを捧げて、そしてひっそりと帰っていく姿が、とても印象的でした。私が本堂に滞在したのは20分程度と思いますけれど、その短時間にも、一人の方が複数、カップルが二組ほど、祈りに来られて。そういうのって、ありそうだけど、意外とないんですよね。なんかちょっと不思議で、そして美しい空気だと思いました。

ベネトのロマネスク、こちらもどうぞ。
ロマネスクのおと
  1. 2011/05/11(水) 04:40:24|
  2. ヴェネト・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

ミラノ展覧会 建築家ミケランジェロ



最近ちょっとサボり気味の展覧会めぐりですが、終わってしまう~、とあわてて訪ねてきました。建築家ミケランジェロ。
スフォルツェスコ城で、ミケランジェロに関する展覧会が二つ開催中ですが、そのひとつです。
建築家としてのミケランジェロの業績を記録する、とてもまじめな展覧会でした。

ミケランジェロって、本人は、彫刻家と自覚していたんでしたよね、確か。たとえ、素晴らしいフレスコ画を描き、建築家としても多くの業績を遺しているとしても。同時代に生きた天才レオナルドより、今に残る作品を多く残したミケランジェロですが、最も印象的なのは、彫刻となるのでしょうか。いや、システィーナのフレスコ画の印象も相当強いですけど。
いずれにしても、確かに、建築家としてのミケランジェロは、印象としては最も影が薄いイメージかも知れませんね。
実際、ミケランジェロの建築家としての研究というのは、近年盛んになってきたものらしいです。



レオナルドのコードは、有名だし、ミラノも所有しているし、何度か目にする機会を得ましたが、そういえばミケランジェロのコードというのは、見たことがないような気がしました。
展覧会では、建築に関するメモ的な紙片(もちろん実物)がたくさん展示されていたんですが、美しいんですよ。
フリーハンドで描いているに決まっているものばかりなんですが、そもそも線がまっすぐで迷いがない。さすがです。

そしてまた、文字が芸術品。


マジ、直筆?とガラスケースに目をくっつけるように見てしまいました。字も芸術的に美しいですが、用紙への配置も含めて、全体が絵のように美しいんですよ。やっぱり、絵も彫刻もものす方だけに、なんかもう次元が違うって言うか。こんな美しい文字で書かれると、どうでもいいような内容でも、なんか重みを持っちゃうような、そういう感じって言ったらいいのでしょうか。いやはや。

メモとか秀作にしても、そのままアートじゃん、みたいな。


これは、古い建築の柱の基部を切り紙で現して、そこにまた美しい文字で何か書き付けられているんですけどね、そのまま飾りたいよねってレベルですよ。

レオナルドは、全人的な印象が強いので、絵画でも彫刻でも建築でも、何でもやっちゃってるよね、っていう認識がすごくあるけれど、ミケランジェロ、建築ってそういえば考えたことがなかったなぁ。

ロマネスクにはまるようになってから身近になった建築ですが、それまでは、美術には常に興味があったけれども、建築は別のものだったんですよね。ロマネスクは、建築=美術みたいな部分が強いので、それで建築にも興味がわいてきて、去年はとうとうベネチアの建築ビエンナーレに行くほどになってきたわけで、新参者ながら、最近はそれなりに見る目を養ってきているわけです。
ミケランジェロの時代は、まだ中世を引きずっていて、そしてレオナルドやミケランジェロというのは、何でもかんでもできる最後の世代って感じの人たちで、そういう意味では、中世の系譜に連なる人たちなのかなとか、いろいろ考えるのでした。
建築と美術というのは、どこかで分かれていきますよね、道が。
でも、結局また、どんどん近付いて、建築ビエンナーレではびっくりするくらい、表現の境界があいまいになってきて。

展覧会としては、とても地味でしたが、そんなこと等考えさせられて、面白い機会でした。それに!スフォルツェスコ城の有料部分が、金曜日の午後は無料ということを知ったのも、なんかとても得した気分でした。
もうひとつの展覧会は、ロンダニーニのピエタのためのデッサンが中心の、最後のミケランジェロというものらしいので、デッサン好きなわたしとしては、これも是非、金曜日の午後に行ってみたいと思います。

MICHELANGELO - ARCHITETTO nei disegni della Casa Buonarroti
Castello Sforzesco (残念ながら、本日で終了)
  1. 2011/05/09(月) 05:24:24|
  2. アートの旅
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

ヴェローナ・バッサ その1

久しぶりにベネトのロマネスク。
ヴェローナの周辺では、まずは以前訪ねたガルダ湖畔、そしてワイン産地のヴァルポリチェッラ地域のロマネスクに、比較的著名な教会がありますが、今回訪ねたバッサ(南部)は、かなりマイナーで、一般的な知名度はほとんどない教会ばかり。
それでもいくつかは、愛用のツーリング・クラブのガイドブックに出ていますが、ほとんどは、地元の方が主催していたサイトで情報を得ました。
そのサイト上の古ぼけた写真を見る限りでは、わざわざ行くほどの価値はなさそうなところが多かったのですが、まぁ、どうせミラノへの帰り道だし、このあたりは思いっきり平地なので、わたしの天敵、坂道に恐怖する必要もないし、ドライブ気分で回ることにしたのです。
かなり狭い地域に点々としているので、程よく休憩も取れて、ちょいと楽しいドライブができましたよ。

幕開けは、その中では比較的著名なサン・ボニファチオ郊外の、サン・ピエトロ・ディ・ヴィッラノーヴァ。


高速を降りて、サン・ボニファチオを目指すと、すぐにヴィッラノーヴァの町に入り、その入り口にあるのがこの教会。これかな?と迷うような外観ではあります。

教会前の広場の駐車場はいっぱい。どうやら、ミサの最中らしいです。
ちょっと離れた場所に停車した途端、教会から人があふれ出てきました。ちょうどイースターの当日だったので、おそらく普段よりもさらに多くの人が集まっていたのではないでしょうか。
出てきた人に、これはサン・ピエトロですか?と尋ねたのですが、尋ねた二人ともに、「え?どうだろう?サン・ピエトロ?」とアワアワされてしまいました。地元の人にとっては、ただの教会で、意外と名称なんて気にしてないんですよね~。

ここは、かつてのベネディクト派修道院の教会。ファサードの右側に、その、かつての修道院の僧房なんかがあったであろう敷地が広がっていましたが、今では、一般の住宅や事務所になっているようで、貸事務所の看板が、入り口にかかげられていました。教会が管理している感じだったです。この敷地の様子では、相当大きな修道院だったようですねぇ。



多くを期待せずに入場。


中もずいぶんと漆喰が塗りたくられちゃったりはしているのですが、でも、オリジナルの柱頭がちゃんと残っていたり、全体の雰囲気はなかなかよいのです。上の写真では小さくてわからないですが、この柱頭は、かわいらしいライオンが各角っこにいるんですよ。
実は、撮影禁止の札がかかげられていたので、こそこそ隠れて撮影したので、あまりよい写真がないんです。ミサの直後だっただけに、結構人がいましたし。

内陣へのアクセスの階段の高さから想像できると思いますが、ここには、立派なクリプタがあります。


雰囲気はそれなりですが、特筆すべきものでもなく、でも入れてよかったな、と思った矢先。
あああ。好きなものが。


めちゃくちゃかわいい~!ロンゴバルドの十字架じゃないですか!下の方にはかわいらしい孔雀もいます。美しい生花がとっても邪魔してるのが、なんとも。組紐もかわいらしいし、干菓子のようなお花や馬蹄形のモチーフ。つるつるしていて、もう頬ずりしたくなるような完璧な保存状態でした。
元は説教壇の装飾のようです。いや、うれしかった!予期していない出会いって、本当にうれしいですね。

では次回。おそらく期待に反して、どんどん地味になりますけどね。

ロマネスク好きな方、是非こちらもどうぞ~!
ロマネスクのおと
  1. 2011/05/08(日) 05:17:34|
  2. ヴェネト・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

パリの美術館、その4

ポンピドー
二十数年前に初めてパリに行ったときも、ルーブルよりなにより、このポンピドーが気になっていた記憶があります。なんでだろ。別に美術学生でもなんでもなくて、当時、特に現代に興味があったとも思えないんだけど、実はそうだったのかしらん。

現代美術専門美術館としては、かなり走りであったと思われるポンピドーですが、今見ても、やっぱり現代してますね。たいしたもんです。



実はここ、一日歩き回った最後にたどり着いた観光ポイント。というのも、夜間も営業してるということを知っていたから、元気があったらみてしまおう、と思って、とにかく何とかたどり着いたんですけどね、朝っぱらからパリ中を駆けずり回った挙句、ですから、すでに身体はボロボロ。
とりあえず、美術館の周りあちこちで繰り広げられている大道芸をちらちらと見ながらも、まずはカフェで一休みです。白ワインで一服。

で、何とかエネルギーを呼び覚まして、改めていざ出陣です。だって、すでに夕食OKの時間であっても、せっかくオープンしているのに無視はできない、やはりここは観光優先でしょう!辛いけど!

夜だというのに、チケット売り場行列。へとへとの身体には行列は堪える…!
やっとチケットをゲットして、外が見えるエスカレーターで上階へ。


ちょうどエッフェル塔のライトアップが始まったところで、ビカビカととても派手で美しい姿を目にすることができました。いやはや、パリにいるんだ~、わたし、と、ちょっと感慨、ふぅぅ。

ここはやっぱりすごいですね。とにかく持ってるよ、パリは。
まずは常設を見学したんですが、エスカレーターから会場に足を踏み入れたとき、文字通り、めまいがしましたよ。延々と見えないほど先まで続いているんですから、展示が。この、すでに絞りきった雑巾のように疲れきっている肉体を、さらに酷使しろというのか!と肉体は文句の嵐、気持ちは、何とかもう少しだから、ここを見た後はちゃんとラーメン食べに行くから!と言い訳の嵐。本当に辛かったな。なんでここまでして観光するんだ、わたし。

と、悩みながら足を引きずって展示を見ていくと、やっぱり近代のコレクションはすごいんですよねぇ。で、やはり次々と、見ていかざるを得ない。まったく。

常設の後、一応展覧会も、見たいわけで。


ありがちな(なんて、失礼ですが)蛍光灯アートですね。きれいだったけど、正直、感想の余裕なし。フランス人で、Francois Morelletという人らしい。どうやら結構なキャリアの人のようなので、蛍光灯アートとしては、それなりに先駆者なのかも。
この展覧会は、7月4日まで継続中らしいですよ。

そうそう、デジカメのバッテリーも、エッフェル塔のあたりで終末を迎えていましたんで、多くの素晴らしい近代の写真は撮れずでした。どうでもよかったけど。

もうひとつの展覧会。この人は、翌日、市内でも作品があったので、結構名のある人なのではないかと。


ガラス球多様で、美しい作品がたくさんありました。ただ、早く終わってくれ、と思いながら見ていましたけどね、ここでは。
そうそう、これこれ。


ルーブルのそばの広場にあったんです。同じ作家のもの。わかりやすい~。
Jean-Michel Othonielという作家。何人?
こちらは5月23日まで、やはり継続中。
余裕があれば、それなりに好きだったかもしれないなぁ。

パリの現代を見て思ったのは、古いものしかない、と思い込んでいたイタリアが、実は現代アートでは結構たいしたもんではないか、ということです。
ベネチアのビエンナーレを毎回見に行けば、かなり現代シーンをキャッチアップできるし、特に北イタリアには、多くの現代美術館があるので、まめに回っているとかなり接することができるんですよね。意外な発見というか、認識。
やはり、ビエンナーレは通わねばなりません。いつもぎりぎりになっちゃうけど、今年は早めに行ってみようかな~。

あ~、それにしても、パリはよく歩いたな。振り返るだけでも、なんだかげっそりしそうなほどです。
  1. 2011/05/07(土) 05:35:12|
  2. アートの旅
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

ポンポーザおまけ、アドリア

ポンポーザからの帰り道に、アドリアに立ち寄りました。なぜかというと、愛用のツーリング・クラブのガイドに「1800年代の新しいカテドラルの中から、旧カテドラルの一部にアクセスでき、そこには8世紀ごろのビザンチンのフレスコ画のあるクリプタが見られる」とあったもんで…。

小さな町なので、車でアクセスしたらすぐ、迷うことなくカテドラルの広場です。


これ。1800年代だからね、こんなもんだろうけど、旧カテドラル、本当にあるのかしらん。
左身廊からアクセス、とガイド通りに行けたんですが、もしかして、これ?


思いっきりクローズだし、誰もいないし、秒殺って感じ。



置いてあった説明版によれば、10世紀後半の建造物で、半円構造。使徒の姿が、カロリング朝後期様式のフレスコ画で描かれていると。
写真で見てもよく分からないので、保存状態はあまりよくないのかもしれません。でも残念。こんなところなら、別に開けてくれてもよさそうなのにな~。階段下りてすぐだし。

本堂に戻ると、教会守らしいおじさんがいたので、尋ねたけど、まったく愛想なく、オープンすることはないから、とボソッと。さびしい。まぁ、夕方には開くとか、明日だったら開いてるとか言われるよりも、潔く諦めがついて、いいといえばいいんだけど。

教会守おじさん、何をしていたかというと、ろうそくに火をともしてたんです、おそらくミサに備えて。その姿がなんとも情緒があって。


分かりますでしょうか。細長い物干し竿のような棒の先端にろうそくがつけられていて、その火で、高いところにある宗教画の前にはめ込まれた燭台のろうそくに点火。
なんと言うか、映画の一場面みたいでした。
だって、こんな光景って、そうお目にかかれないですよ。そもそも、お布施のためのろうそくは、よく置かれているけれど、こういう教会そのものの明かりというか、聖火みたいな明かりをろうそくでやっている教会って、いまやあまりないのではないかと思うんですよね。
でも、ろうそくの明かりは、やっぱりよいですねぇ。電気とは圧倒的に空気が違います。
旧カテドラルが見られなかったのは残念でしたが、なんだかよい場に居合わせたなぁ、とほんわかとしました。

ちなみに、アドリアは、ベネトっぽいかわいらしい小都市でした。滞在時間は20分、というところでしたけどね。
では、この後、いよいよヴェローナ・バッサ(南部)を回りますので、お楽しみに!

ロマネスク好きな方、こちらもどうぞ。
夏休み前の小旅行企画中。実現は不明ながら、妄想ばかりが膨らみます。行きたいところばかり。でも時間もお金も限りがありすぎて…。
ロマネスクのおと
  1. 2011/05/06(金) 05:02:38|
  2. ヴェネト・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ポンポーザ修道院、サンタ・マリア教会2

ポンポーザといえば、なんと言っても、ファサード前のアトリオ部分の装飾と、そして鐘楼ですね。まずはアトリオ。


全体に薄い色バリエのレンガ積みで、見た感じが優しくて暖かいので、とてもシンパシーを感じてしまいます。修道院の教会の割には、規模がこじんまりとしているのも、気持ちが入りやすい理由かも。
装飾もまた、素朴なのですが、かわいいんです。


アーチの、レンガ二色使いもかわいらしいし、アーキボルトは、つる草の中に動物や人のフィギュアや幻獣や、様々なものが彫り込まれていて、どれもこれもうっとりするほど愛らしい!いくら見ていても飽きません。



レンガでの装飾が、こういう風に凝っているのは知らなかったですねぇ。色が薄いので、ちょっと離れると、細かい部分が見えないので、写真ではなかなか分かりにくい部分です。
この帯レリーフは、同じモチーフが繰り返しなされていて、まるでプリントされたテープを貼ったような感じで、ちょっと不思議でした。一定の長さの装飾を、いくつもまとめてコピーしながら彫ったということなんでしょうねぇ。そういうのって、あまりないようにも思うんですけれど。

レンガの中に、真っ白の大理石版がはめ込まれていました。古い時代のものを見つけて、無理やりはめ込んだんでしょうね。


ロンゴバルドの十字架ですよね。わたしの大好きな装飾。

そして、鐘楼。


これ、教会の大きさに比べると、やけに壮大なスケールで、ちょっとバランス取れてない感じもあるのですが、もしかすると修道院全体のスケールに合わせて建てられたんですかね。
でかすぎる感はともかくとして、美しい塔です。軽快感を出すために、開口部に工夫が施されるのが、ロマネスクの塔の特徴ですが、それにしてもこの塔は凝っています。でかいからここまでできるって言うのもありますが、一連窓、二連窓、幅違いの三連窓、さらに幅違いの四連窓(この幅違いって言うのが特徴的です)。
盲アーチには、ピサでおなじみの陶器の皿がはめ込まれているのも、発見でした。
こういう風に、ディテールが面白いものは、いろいろと調べていくのがとっても楽しみです。

ポンポーザの近くには、二つ三つ、訪ねたい場所がありますので、近々ボローニャ経由で行ってみようかと思っています。無事訪ねることができたら、まとめてアップしますね。


ロマネスク好きな方、是非こちらもどうぞ!
いよいよローマ中世の編集に取り掛かりました。いよいよって言ったって、旅をしたのは2009年12月…。遅っ!
ロマネスクのおと
  1. 2011/05/05(木) 05:24:07|
  2. エミリア・ロマーニャ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

春爛漫、フリージア

昨日、やっと!フリージアが開花しました。


つぼみが4,5個付いていて、今朝はもうひとつも開花です。昨秋、球根を10個植えて、春になって出てきた芽はやっと二つ。そして、つぼみをつけるまで育ったのはこの子だけ、というちょっとさびしい結果でしたが、でもひとつでも育ったのがうれしい!


公園をバックに、すべて青々と、まさに春爛漫です。
やっとアレルギーも治まって、これから落ち着いて春を楽しめそう。
フリージアって、香りがとっても好きなんです。たったの一輪二輪の花だというのに、ベランダに出ると、ふわっといいにおいがするんですよ。冬を我慢して、咲いてくれてありがとうって思わず感謝。

今年我が家で三回目の春を迎えたベルバニアちゃんも、冬の間枯れ枯れなんですが、春の空気が漂うとともに、いきなり花を付け出すんだから、これまたありがたいしうれしい子です。


ラベンダーも、いつになくたくさんのつぼみをつけています。開花はもう少し先でしょうけれど、とにかくよく茂っているのがうれしい。この子達は、触るだけで、移り香があって、気持ちよいのです。



そして、久しぶりに種から育てたバジリコ。


土をちゃんと全部換えなかったせいか、ちょっと育ちが悪いのですが、でも、そろそろ食用に使えそうです。バジリコちゃんは、成長が早いので助かりますね。
先日訪ねた友人宅で、簡単ペスト(ジェノベーゼ)の作り方を見てきたので、今年は、どんどん育てて、自分でもペストを作りたいと思いま~す。
  1. 2011/05/04(水) 05:11:41|
  2. 植物、花
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
前のページ 次のページ