もうこういうレースに慣れるしかないんでしょうねぇ、今年は…。
ロッシファンとしては、彼なら何かやってくれるはず!と期待して始まったシーズンだけど、まさかこういうことになるとはねぇ。奇跡は、そう簡単には起こらないということなんでしょうけれど。
でも、とんでもなくうしろ~の方でマイペースで走っているロッシを見ていると、ヤマハに移籍してすぐ優勝したりとか、いきなりブリヂストンに履き替えたりとか、トップに立っても満足することなく、遅れを取れば巻き返しを図り、王者であっても絶対に安住することのない人だったことを思い出して、今だって本人必死だろうし、とウルウルしてしまうのでした(ちょっと大げさかも)。
いずれにしても、今年はもうこういうものとして受け入れつつ、それでもまだ終わったわけじゃないと、今後を期待したいと思います。
慎重に大事に走った結果、リタイアの連続で、結局6位に入ったのは、なんだか、苦笑いって感じ。残念ながら今日はインタビュー聞いてませんけど、きっと例の調子で、「Sono contento lo stesso」とか言ってたんじゃないんでしょうかね。
激しい雨が残念でしたけれども、レースはそれなりに楽しめました。一人勝ちのストーナーはおいといて、ドヴィとシッチの因縁対決。またやばいバトルになったら嫌だな、と思っていたら、クリーンなバトルが続いて、それなりに楽しかったけれども、でもシッチが勝手に転倒して終わってしまったのは残念でした。結局、いつも最後までいけないね、シッチ。もう少し丁寧に走れないもんかな。そういえば、モトGP最初のシーズンでロレンツォは転倒を繰り返したけど、やっぱりそういうのってあるのかしらん。ドヴィに一日の長があるという結果に終わりました。まぁドヴィもがんばっている割りに結果が出てなかったので、よかったですね。
スピーズがリタイアした直後にロレンツォが転倒で、唯一残ったヤマハ勢エドワーズが表彰台に乗ったのは、ご愛嬌というか。ベテランががんばっているのは、なんかよいですね。エドワーズは、確か怪我もしているはずだし。
次回はどうなることやら。
レースが自分的に盛り上がらない唯一の利点は、無理に見なくてもいいや、という気持ちなんで、モトGPのために、週末の予定が左右されることが少ないこと。週末の予定がたてやすい~。さびしいけども。
- 2011/06/13(月) 05:12:53|
- モトGP
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今回のノヴァラ周辺ツアーは、ミラノから高速で一気にノヴァラの先まで行き、ノヴァラ北部の町村を時計回りに回るというドライブ。
まず訪ねたのが、高速からすぐの町、ヴィコルンゴです。
Vicolungo - Oratorio di San Martino
町の入り口、というよりもかなり手前なんですが、高速にも近いところに、大きなアウトレットやショッピングセンターと並んで墓地があります。その墓地を右に見て町に向かう道の左側にある、全然ロマネスクらしくないたたずまいの建物が、目的のサン・マルティーノ礼拝堂でした。
墓地にあるという情報を得ていたので、当然墓地の中の教会と思い、まずは墓地に入りました。小さいながらも、よく整備された美しい墓地でしたが、中にある礼拝堂は、いかにも現代風のものでしたので、「?」と思いながら外に出ました。墓地の裏側の方まで行ってみたら、畑が広がっていて、あぜ道に、野うさぎがおりました。
町育ち、町暮らしが長いもので、野良猫や野良犬はともかく、それ以外の動物が普通にいる風景に慣れていないもので。え?野良ウサギ?と不思議な気持ちで見つめておりました。野良ウサギじゃなくて、ただの野うさぎですよねぇ。
教会、ないじゃん、と車に目を向けた先に、このサン・マルティーノがありました。
建物本体は、もう新しいんです。19世紀終わりごろに後陣以外は崩れてしまって、再建されているのです。
これだけ。でも、典型的なロンバルディア様式の、シンプルながら美しい後陣です。わたしの大好きな付け柱もばっちり。上部にある盲アーチもとてもきれい。修復も、いい感じに仕上がっているなぁと思いました。
脇に小さい後陣もあったのでしょうか。
本体が崩壊したとき、今ある修復後の姿を見る限りでは、この後陣も相当傷んだと考えられますが、よくもわざわざ本体を再建したものだと思いませんか。それはおそらく、内部に、16世紀のフレスコ画が残されているためと思われます。
今回は、クローズでしたが、現在そのフレスコ画が修復中である旨の工事詳細が、教会の壁に掲げられていました。16世紀のものは、わたしにはまったく興味はないのですが、この後陣がこうやって大切に保存されてきたのは、そのフレスコ画があったからだろうし、それが修復でよみがえる程度の損傷状態だったからだろうし、そう思えば、ありがたいフレスコ画です。
ヴィコルンゴは、ちらりと見た限りでは、かわいらしい町だったのですが、教会がこんな郊外にあったので、わざわざ戻ってみるほどでもあるまい、と結局立ち寄らず。ちょっと後悔しました。
- 2011/06/12(日) 04:39:32|
- ピエモンテ・ロマネスク
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ミラノに長く住む間に、行動範囲や生活スタイルがずいぶんと変わりました。
たとえば、バレエやオペラにはまって、シーズン中は週の半分くらい、夜は劇場通いという時代があったし、映画も、週に2本くらいは見てた時代が長く続きました。
そういう時代に、よく行っていた小さなフィルム・センターが、ポルタ・ベネチアにあるスパチオ・オベルダン。
最近、展覧会に行くようになって、どこかに行けばさらにいろいろな情報が入手できるので、また他のものを見に行くというポジティブな循環ができてきて、それで、ずいぶんと狭まっていた町の行動範囲が、また少しずつ広がってきました。この、長らく忘れていたスパチオ・オベルダンに目が向いたのも、そういう流れででした。
タルコフスキー。
わたしにとっては、そして、おそらく多くのヨーロッパ映画ファンの方には、なんともいえないノスタルジックな名前じゃないでしょうか。
惑星ソラリスとストーカーとノスタルジアと、そして遺作となったサクリファイスしか鑑賞していないんですけれども、この人のインパクトというのは、ある時期すごいものがありました。
特に、イタリアはトスカーナで撮影されたノスタルジアは、イタリア語を勉強しているとき、ビデオで繰り返し見たりした思い出もあります。なんて美しい場所があるんだろう、いつか行ってみよう、と思いながら。
なのに、そういえば昨年、トスカーナを旅したとき、訪ねるチャンスはたくさんあったのに、結局行かなかったですねぇ。
そんなタルコフスキーが自ら撮影したポラロイド写真と、タルコフスキーの家族を撮影した昔の写真展が、このスペースで開催されていたのです。
わたしの大好きな無料展覧会ですから、ますますうれしく、行ってみました。
まずは、とてもよいスペースであることに感心しました。写真展にはちょうどよい大きさだし、部屋の感じも大変よろしい。これからは、欠かさずチェックしようと思います。
タルコフスキーは、お父さんが有名な詩人だったせいか、監督の子供の頃の写真とか、写真家の撮ったよい写真がたくさん残されているようです。ロシアの、大地を感じるような土地に建つどっしりとした家。
そういえば、オペラでもロシア・オペラって結構好きで、音楽が全然分からない私なんですが、それなのに、ロシア人のゲルギエフの指揮だったりすると、本当にロシアの雄大な雰囲気が感じられちゃうって言うか。ロシア、行ったこともないし、特に憧れとかあるわけでもないのですが、何かヨーロッパとは違う、でもアジアでもない、どっちにも通じながら、どっちとも違うなにか雄大なイメージがあって。結構タルコフスキーの映像に刷り込まれている部分があるのかも。
ああいう映画、興行的には成功しないから、いまやなかなかないですよね。
大体、あんなに気持ちよく眠れる映画、ありえないです。最後のサクリファイスは、なんだか映画の半分くらい気持ちよく寝ていた記憶ばかりがあるんですけれど、目が覚めて、なんだか分からない状態から映像にはまり込んで、分からないなりにすごく感動してしまって。映画の内容は全然覚えていないけれど、自分のそういう感情だけをすごく覚えています。そういう映画ってあってもいいと思うんですよねぇ。いや、眠ってしまった言い訳ではなく…。
まぁ、そういう監督の写真展だったわけです。映画、たまには映画館で見たくなりました。
Andorej Tarkovskii
L'immagine dell'assoluto
until 12/06/2011 at Spazio Oberdan - Porta Venezia, Milano
- 2011/06/10(金) 04:39:16|
- アートの旅
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大変長らくお待たせしました!
やっと、ローマ、第一弾、アップにこぎつけました。ぜえぜえ。一弾でこんなに息切れしていてどうする!?このペースでは、いつになったら終わるのやら。30ほど訪れた教会の、たった5つしか紹介してないっていうのに。
改めて写真を見直していて、モザイクの美しさ面白さにはまり込みました。それで、ローマ中世の歴史に加えて、ビザンチンの歴史や美術書まで読んでしまっている今日この頃(もちろん斜め読みですよ)。そんな風にふらふらとやっているから時間がかかってしまうんですけどね。
でも、モザイクは本当に素晴らしいので、モザイク好きな方は、是非モザイクを目指していかれるといいと思います。
それにしても、ページを作っていて感慨深かったのは、わたしの鑑賞眼もちっとは成長しているのかな、というか、以前は実に何も見てなかったんだということに気付いたことです。あまりに稚拙な過去のページは、いつかきちんと勉強しなおして、全部作り直したいものです。老後の楽しみ…。
ローマ、広いです。旅をしたのは2009年12月なので、もうずいぶん時間がたってしまいましたが、どこも印象が強くて、かなりよく覚えているんです。とにかく身体ががたがたになるほど歩き回った記憶がすごいです。ただ、訪問前には細かい見所までは勉強していかなかったので、いまさら、後悔もしているんですが。見残しもかなりありますし、時間の制約からカタコンベはあえて行きませんでしたので、すでに次回の旅を妄想しています。その節はまたお楽しみに。
実は、相変わらずパソコンの日本語問題を抱えてまして、今回もアップロードに苦労しました。最後の方は、アップするべき最新ファイルがどれだか分からなくなったりして、推敲完璧じゃないまま、エイッとやってしまいました。いろいろ不具合があるかもしれませんが、ご容赦ください。感想いただけましたら、とてもありがたいです。
- 2011/06/08(水) 05:22:46|
- ローマの中世
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中世博物館、続き、というかおまけです。
ここは中世に特化しているので、もちろんロマネスクだけじゃなく、というよりも、ロマネスク以外の中世の方が、圧倒的に多いですね。
この博物館を最も有名にしているのが、おそらくこちら。
乙女と一角獣を描いた大型のタペストリー6枚組みが、薄暗い部屋にずらり。すごい迫力です。
これって部分的に知っていましたけれど、これほどサイズが大きいとは知りませんでした。色も美しく、保存状態は良好で、細かい織り、素晴らしいものです。
モチーフは、人間の五感を具現化した絵なんだそうです。そんなことも今までまったく知りませんでした。味覚、触覚、嗅覚、視覚、聴覚。
6枚目の絵(多分トップの写真)が意味するところは、今でもよく分からないということでした。
1500年ごろの作品ということです。
これは視覚。乙女が持っている鏡に、ユニコーンが映っているようですね。上のは触覚かな~、乙女がユニコーンの角をすりすりしてるし。
現場では、全部並べてみているせいか、どれがどれかってすごくよく分かったんですけれどね。なんか、妙な迫力に圧倒されたのか、写真もほとんど撮ってなくて。
しかしここでも悔しかったのは、団体の子供たちですねぇ。そのおかげで、ガイドの解説(英語でやっていた)が聞けたのはラッキーでもあったのですが、でも、本音は一人でじっくりと楽しみたかった!
これから行かれる皆さん、早朝は団体が多くて危険ですので、避けたほうが賢明です…。
この博物館、タペストリーのコレクションはなかなかすごくて、この乙女とユニコーンのシリーズは比較的新しいものですが、すっごく古い、擦り切れた布切れのものも、しっかりと展示されています。これはかなり古かったもののように記憶しています。絵柄も、なんかヘタウマで(=わたし好み)、古そうですよね。
そのほか、多くのステンドグラスの展示もありました。
ステンドグラスは、きれいですよね。最近ではまじまじと見ることもなくなりましたが、お日様が差し込む時間、床に映ったステンドグラスの色は、ただ言葉もなく美しいものです。ガラスがなかったロマネスク時代には、考えることもできない芸術ですよねぇ。そもそも窓は明り取り状態の小ささだし、大理石とかの薄板がせいぜいだったわけですから。そう思うと、ロマネスクからゴシックへの移行というのは、短時間のようでいて、大きな変革時期だったんですねぇ。
パリの中世博物館。愛用している中世の辞書の図版では、しょっちゅう出てくるおなじみさん。確かに素晴らしい所蔵物、そして素晴らしい展示。ここは、次回パリに行くことがあれば、確実に再訪してしまいそうです。
サイトでは、現在ローマをアップするところです。
ローマの中世は、楽しい!
ロマネスクのおと
- 2011/06/06(月) 05:30:06|
- フランス・ロマネスク
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ごめんなさい、とっくに終わったと思われそうですが、実はこのシリーズ、まだ継続中です。美術館ではあるんですけれど、コンセプトとしてはロマネスクかな、と思って。
有名な、中世博物館(クリュニー博物館)で出会えるロマネスクです。
おお、博物館そのものが、すでに中世しているのがすごいですね。雰囲気めちゃくちゃあります。場所も町の中心部でかなり便利。でも、パリにこんな博物館があるなんて、今までまったく知らなかったんですよ。さすが中世研究ではトップを走るフランスの首都ですね。
ここは、「中世」がくくりなので、ロマネスクはあくまで一部、はっきり言って、かなり狭い一部で、ほとんどはそれ以外の時代のマスターピース。ロマネスク以外には造詣の深くないわたしですが、そのレベルは高さは、なんとなく分かります。
そういえば、早朝に行ったところ、すでに学生の団体が多数訪れていました。団体を避けるためには、もしかしたら午後遅く、とかの方がいいのかもしれません。子供はうるさい!これがイタリアだったら、「Silenzio!」とかびしっと言うところですけどね~、外国なので、一応遠慮しました(イタリアは、わたしにとっては、すでに自国状態)。
タペストリーなどが多いため、館内の照明はかなり暗め。すでに中世の雰囲気がみなぎっています。さて、いくつかの展示室を経て、たどり着いたロマネスクのお部屋。
いきなり、すごい柱頭彫刻がどかどかと。
これは、アダムとイブっぽいですね。
パリの教会にあった12世紀初頭のものらしいです。作品のキャプションはフランス語のみ。さすがおフランス。
こんな素敵な祭壇も。
なんかロンゴバルドっぽいのが素敵。ほしいなぁ、家に。
こちらは、やっぱりアダムとイブですが、12世紀終わりごろの、それもカタルーニャ北部から略奪(?)してきたものらしいです。
1世紀違うと、全然変わりますね。わたしの好みはもちろん、12世紀初頭の上の方のやつです。
ところでこれ、サン・ピエトロ・デ・ロードスの回廊の柱頭、と説明書きにありました。それってカタルーニャのすごく有名な教会ですよね、まだ行ったことないんですが。なんと、パリのこの博物館に、柱頭のオリジナルが6つもありますけども。一体どういう時代にどうやって、はるばるパリまで来たんでしょうねぇ。
ロマネスク時代はほんの一部屋なんですが、でも現在のパリには、ほとんどロマネスクが見られない分、面白く感じられました。
正直、中世でも、もうちょっと時代が下がったゴシック以降の方が充実していて、わたしの中にあるフランス=ゴシック、の図式が改めて確認されたような次第です。
でもちょいとかわいいものがあるんで、ここはもう一回紹介させてくださいね。
お口直しに、なんていっちゃアレですけど、ロマネスク好きな方、是非こちらもどうぞ~!
ロマネスクのおと
- 2011/06/05(日) 05:06:56|
- フランス・ロマネスク
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これは、面白かった!
作品の面白さももちろんなんですが、もしかするとそれ以上に面白かったのが、展示の仕方。そういうのって、すごく珍しいって言うか、いやはや、こういうやり方あるのねって。
この、イアッケッティというアーティスト、全然知らなかったのですが、十字架モチーフでは、すでに他でも展覧会をしたこともあるし、インダストリアル・デザイナーとしてはかなり著名な人らしいんですね。Alessiとか、Panasonic、Moleskineなど、インダストリアル・デザインに特に興味がなくても誰でも絶対に知っているようなブランドで、たくさんの仕事をしている人のようです。ナイフやフォークのデザインでイタリアの誇るデザイン賞であるコンパッソ・ドーロを獲得し、同じ作品がニューヨークのMOMAの常設作品となったとか。さすが、デザインのイタリア人、という経歴の持ち主。
この展覧会での作品は、すべて十字架がモチーフとなっているのですが、その自由さにはもう脱帽。
これは、十字架マットレス。
こちらは、Moleskineの有名なメモ帳ですが、ノートを閉じるゴムが来る部分に、さり気にゴムと同色の赤テープを貼っただけのことなんですが、見事に十字架が出現。
切手のシートを切り取って十字架に!誰がこんなこと思い付くでしょうか!
こんな、目からうろこ作品が目白押し。
でも、目白押しって言ったって、ずらりと並んでいるわけじゃないんです。冒頭に書いたように、面白かったのが展示方法なんですよ。
作品自体が、どれもそれぞれ面白い上に、実は、展示会場となっている、だだっ広い美術館全体のあちこちに、無作為にちりばめられているのです。
会場は、Museo Diocesano、つまり教区博物館、キリスト教教会付属の博物館でして、実は、ミラノに長年住んでいながら、訪ねるのは今回が初めて。ここは、結構展覧会もしているのですが、基本的には地味だし、わざわざ来ようという気にあまりならないままだったんです。ただ、今回、ボローニャから友人が来ていて、彼女が行くというので、ご一緒した結果、この素晴らしい展覧会に出会えて、まったく感謝感激だったんですけれど、とにかく広い美術館です。
常設展に加えて、特別展会場が三つくらいある感じでしょうか。その会場すべてのあちらこちらに、この不思議な十字架モチーフの作品が、もぐりこんでいるんですよ。
まさに宝探しの気分でした。はじめはそのシステムが分からなかったのですが、気づいてからは、面白くて。だって、常設展は、基本的にキリスト教美術ですからね。大時代的な絵画とか、工芸品とか、そういうものがとにかくどっしりと偉そうに並んでいるわけですが、その隙間にこそっと、このイアッケッティさんの作品が忍び込んでいるんです。
これなんかは、もう本当に面白かったですね、その展示のシチュエーションが。
さり気に置かれた現代アート作品ですが、どこにおかれているかというと、中世期のレリックを保存するための工芸品の後ろですよ。
十字架の作品の後ろにずらりと並んでいるのは、おそらく法王を模して作られた、金属の彫像で、胸の部分がレリック入れになっているという、日本人にとっては基本的にとっても分かりにくい、西洋キリスト教世界の美術品です。
レリック絡みの展示品(たとえば、聖人の骨にリボンがかけられたものとかが、ずらずらとありがたく展示されているんですよ)が並んでいる中に、すっきりさわやかって感じに、このイアッケッティさんの十字架。
いろんな意味で心をあらわれると言うか、レリックの異常な世界でどうしたらよいものやら途方に暮れる気持ちを救ってもらったというか(それも、これら重要なレリック入れ作品は、建物の地下にあって、逃げ場がないというひどい圧迫感のあるロケーションだったりもするんです)。
これも、やっぱりレリック入れと並んであって。一見普通の十字架ですが、よく見ると、鍵、なんですよ。ほっとする~。
これ以外にも、たとえば木製の素朴な十字架で、その表面にあるINRIという書き込みが、北欧家具のIKEAとまったく同じフォントと色で書き込まれていたり、とにかくセンスがいいし、展示が面白くて、これは本当に心から楽しめる展覧会だったといえましょう。
もう終了間近ですが、もしお時間があれば是非、お勧めです。
Cruciale - 20 Croci di Giulio Iacchetti
Museo Diocesano di Milano
until 12/06/2011
- 2011/06/04(土) 05:19:26|
- アートの旅
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このシリーズ最後を飾るのは、ソンマカンパーニャのサンタンドレアです。この地域では、知名度およびアクセスのしやすさでは、サン・ボニファチオに継ぐ場所かな。
Sant'Andrea di Sommacampagna
墓地の中の教会というのは、ロマネスク探訪をしていると結構あるのですが、どうも、それなりの教会にめぐり合える確率が高い要素かもしれません。かなりの高確率で、かわいいじゃん~!という教会にあっている気がします。
それに墓地にある場合って、地元らしい人を見つけて尋ねれば、場所がすぐ分かるという利点もあるんですよねぇ。
ここ、ソンマカンパーニャでも、目指す教会は墓地にありまして、アクセスはかなり簡単だったし、実際来てみたら、やっぱり、かわいい~。
それに墓地が現在もある場合、墓地はもちろんとして、教会も、それなりにケアされているので、たいていの墓地つき教会は、美しく保存されていますね、少なくとも外観は。
このサンタンドレアも美しく修復されて保存されている教会なのですが、残念ながら、オープンはかなりリミテッド。夏の間は、特に毎日曜日あけられているようなので、是非訪ねてみたいものです。
というのも、ここ、11世紀のフレスコ画が後陣に残されているようなんですよね。
執念で、ちょっと撮ってみたんですけどね。
まさに執念。正面扉の鍵穴から、最大ズームで撮影。よくやるよって感じでしょ。意外ときっちり撮影できて、自分でもびっくり。
11世紀のフレスコにしては、残り具合がかなりよさそうだし、ちゃんと見てみたいという気になりますよね。
ミラノから、あまり近くはないけれども、でもこういうお宝を小出しにされると、我慢できない感じもあり、オープンされているという夏の日曜日に、一度再訪してみてもいいかも、とすでに考えていますよ。
長くなりましたが、ヴェローナ・バッサの項、終了です。次回は、ピエモンテはノヴァラ近辺周遊となります。いずれにしても、いくだけで、なかなか勉強がついていかないのが、ちょっと痛い気持ちですけれど、是非気長にサイトアップをお待ちくださいね。
- 2011/06/02(木) 06:19:32|
- ヴェネト・ロマネスク
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