Arsenale 2 - アルセナーレ その2
すっかり間が開いちゃったけど、会期が終わる前に、一応紹介しとこうかと。
それにしてもすごいと思うのは、二年に一回開催で、その度に会期が半年もあるんですよね。展示によっては、会期がずれたり短かったりしますけれど、それにしても、すごい。それだけのメリットがあるから、スポンサーもつくんでしょうけれど。一般的には、イタリアと現代美術ってあまりぴんと来ない人が多いイメージだけに、本当に感心します。
さて、アルセナーレ、もうちょっとだけ。
今回は、全体に地味で、素直に、面白い!とか、ほしい!と感じられる作品が少なくて、写真を見ていたら、ますますがっかりしてしまいます。
入り口にある広いオープン・スペースは、割とインパクトのある作品が置かれることが多いのですが、今回は、中国のおうちの外側だけみたいな。正直、これは、建築ビエンナーレにどう?って感じかも。そういや、去年の建築ビエンナーレの方が、インパクトの強い展示が多かったような気も…。
あ、これは意外と写真の方が素敵。小屋の中にこういう不思議な突起の壁になっていて。でも実際はつまんなかったんですよね~。壁がポリウレタンかなんかで、ごろごろできたりしたら、ちょっと面白かったかも~。
これは、アルセナーレ会場の一番先っぽ、入り口から最も遠い場所にあるイタリア館だったかな。がんばれ日本!というタイトルがついていたので、目に付いたんですが、ガラス管の中に赤いバラ。きれいだったんです。そして、がんばれ日本、で、なんかもう、ありがとうって気持ちになっちゃうんですよねぇ。
何も見ちゃいないわたしですらそうなんだから、実際に被災した人々の気持ちってどうだろうとか、やっぱり考えちゃうし、気軽に「がんばれ」なんて言えないよな~、とか思っちゃうし。
イタリア館のキュレーターをやったのは、美術評論家のヴィットリオ・スガルビ。評論家としてというより、政治家だったり、お騒がせタレントとしての認知度の方が高い、実に変な男なんですけれど、一応美術評論もやっていて、それなりに評価は高いのか、今回キュレーターやったわけです。
正直、だからなに、という内容で、特に彼の手腕云々を感じる内容ではなかったんですが、この2,30年ほどのイタリアのマフィア案件を振り返るみたいなコーナーがあって、新聞や写真がアート的な展示をされていました。
何がアートなんだろうなぁ、と思いながら、急ぎ足で順路をたどったのですが、なんかわたし、ほとんどイタリアにいたじゃん、この新聞覚えてるじゃん、というところで、実はちょっとぐっと来ました。20年って長いです。20年って、ひとかどのことができる年数です。何してきたんでしょうねぇ。
まぁ、こんなところで来し方を振り返ってくよくよしても始まらないので、パンの礼拝堂とか変な作品ばっかりのイタリア館をさっさと後にして、お隣の公園に出て、青空の開放感に浸りながらお茶をしました。
この緑地の展示は、今回ずいぶんとたくさんありました。きんと雲(?)、かわいいです。
ではこの後、ベネチアのあちこちで開催されている共催展もちょっとめぐりますね。
Biennnale-Arsenale
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- 2011/09/29(木) 05:21:58|
- アートの旅
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フリブールの後向かうのはローザンヌですが、その前に、ちょっとパイエルヌに寄り道です。直通の列車もあるし、通り道だし、そして、この町には、ロマネスクの修道院があるのです。
ただ、事前情報によれば、月曜定休日とあったので、無駄かなぁ、と思いつつ、でも、教会の本堂は、いくらなんでも定休日はないだろう?!というかすかな期待を持って、行ってみました。
鉄道の駅から5分も行かないくらいのところに、堂々の姿。もうずいぶんとゴシックが入っていて、外観は、まったくわたし好みではないですね~。
それはさておき、やっぱり、どうやらクローズ。完全にクローズ。
教会に定休日があるって、どういうこと~?納得できません。付属の美術館がクローズとかならまだしも。思いっきり現役そうな教会なのにねぇ。
ま、仕方ないです。情報は正しかったんだし。
後陣。年季の入った汚れ方。
この教会と修道院、まさに町の中心にどっしり。もとは、この修道院があるだけの土地だったのでしょうねぇ。城下町ならぬ修道院町。今でも、教会を中心に家々が立ち並んでいる状態です。
この汚れは、排気ガス系と思われますが、この一帯は普通の車は入れない広場になっているんですけどね。昔からの汚れが掃除できてないのかな。
軒送りやアーチの根元に、ちょっと面白い彫り物が見えます。
中に入れないので悔しくて、外観をなめるようにして、見学してきました。
教会のお隣にある関連建物の入り口ノッカー。
これ、ミラノのサンタンブロージョの扉ノッカーとも似ているので、古いんじゃないかな~、と思ったら、やっぱり!11世紀のものでした。サンタンブロージョと同じ頃ですかね。
なぜ、時代が分かったかというと、教会はクローズだけど、その前にある観光局はあいていたので、薄っぺらい冊子を購入することができたからです。しかし、あの町、修道院目的以外の観光客が来るとは思えないんだけども、目の前に観光局があるなら、せめて教会だけでも開けろよ、と逆恨み…。その上、無料の資料は一切なしですからね~。
さらになめるようにして歩いていて、中庭のような場所で、出会った柱頭。
かわいいい。
その薄っぺらな冊子によれば、実に興味深い柱頭が、いくつもあるみたいなんですよ、中には!ショックだな~。
しまっていた入り口越しに撮ったキオストロの写真。クリュニーなんですね。
いやはや。
まぁ、仕方ないですね。
実はこんな非道な(?)目にあったパイエルヌですが、印象はとてもいいんです。
というのは、小さな鉄道駅なんですけれど、切符売り場のお兄ちゃんに荷物預けがないかきいたところ、「ちゃんとした荷物預かりはないんだけど、短時間なら事務所で預かってあげるよ」、とニコニコと。あ、スイス人がこんなにニコニコと!とすでに感激するわたくし。
教会はクローズだったので、駅からの往復と教会の周りをぐるりとしただけ、ものの30分で観光終了したので、まさに短時間で用事は済みました。
駅に戻ると、なぜか切符売り場に行列が。われわれが並んだ後にも行列ができて、荷物を引き取りにくいな~、と思っていたら、お兄ちゃん、すぐに気付いてくれて、荷物荷物!と行列をほったらかして荷物を取りにいってくれました。おおお、パイエルヌは、文化圏が違うのか!そういえば、すでに完璧にフランス語文化圏ですね。多分、ちょっと何かが違います。
そんなわけで、ここは、また訪ねないといけない町。宿題です。
- 2011/09/28(水) 05:00:33|
- イタリア以外のロマネスク
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ティンゲリーの奥さん、ニキ・ド・サンファルは、日本ではティンゲリーよりずっと有名ですよね。作品もあちこちにあるように思うし。
こういう作品。あ、見たことあるって思う人多いと思います。
彼女は、フランス・オリジナルの女性なんですが、いろいろ複雑な人生だったみたいですね~。既婚で子供もいたのに、ティンゲリーに出会って、結局家庭を捨てて、ティンゲリーに走ったんだそうです。でも、ティンゲリーの出身地スイスでは、あまり認められなかったらしいんですよ。
特に好きでもないけど、ティンゲリーとの競作は面白いし、色彩の鮮やかさは印象的。
こんな小品は、ちょっとほしい感じがします。
館内で、ビデオを流していて、どうやらそれが、彼女が美術監修した映画だったんですけど、衣装といい舞台といい、とても面白かったです。すっごくアヴァンギャルドで、センスのある人。と思いました。
彼女の人生っていうのを知って、後付で、そりゃ、フツーの結婚生活の枠には収まらなかっただろうな~、思わされました。ティンゲリーに出会ったのは、僥倖でしょうね。実際、一緒になってからは、まさにおしどり夫婦状態だったようですから。ティンゲリーっていうのが実際にどういう人かは知らないけれど、ああいう作品を作っちゃう人ですから、なんか分かるような。
絵画作品も、やはりヴィヴィッドな色彩で、とてもかわいらしかったです。なぜか日本語。日本って、多分びっくりするくらい印象的な何かがあるんですよね、いわゆる外人にとっては。それにしても、「犬、ヨーコ、ワンワン!」って、どこで出会ったんでしょうねぇ。日本人のお友達がいたのかな~。
この美術館、先述したようにとてもこじんまりとした入れ物なんですが、なんと言うか、すごく感じよいのです。ティンゲリーとニキの作品の配分も申し分なく、同じ比率で楽しめるのがすごい。そして、受付の人も素晴らしくて、ティンゲリーの噴水の場所を聞いたら、それに加えて、ニキの野外作品のある場所を教えてくれました。
それが、この、美術館の庭でした。
とても美しい庭。ニキの作品のほかにもいくつか現代美術がおかれておりました。美術館本体は、時間も気力もなくて、訪ねることができませんでしたけど。
ニキの作品は、とても美しく整備されている庭の奥のほうにありましたよ。
なんせ色が派手で人工的なので、遠目でも、なんかかわいらしくて目立つんですよね。近寄ると、もっと派手でかわいいです。ガウディのグエル公園を意識したような作品ですけれど、あらゆる意味で、嫌味がないのが不思議なくらい。きっとニキがそういう人だったのかもしれない~、とか思ったり。
フリブールの項、終了です。
Espace Jan Tinguely - Niki de Saint Phalle
Fribourg
- 2011/09/25(日) 04:53:22|
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フリブールに行った目的は、実は現代美術です。スイスのことを調べていて、あ、こんな人が!と思ったのが、ジャン・ティンゲリーというフリブール出身のアーチスト。
彼の作品で、最も知られているのが、おそらくパリのポンピドー美術館脇にある噴水のオブジェではないでしょうか。わたしも、それで、おお!と思った一人です。
ティンゲリーは、出身はフリブールながら、名を成した時代にいたのがバーゼルだったもので、最も大規模な美術館はバーゼルにあります。
フリブールにあるのは、おしどり夫婦で有名だったニキ・ド・サンファルと二人の美術館で、もしかしたら、よりパーソナルな雰囲気を持つ場所かもしれません。
実は、この前に訪ねているベルンのパウル・クレー・センター。なんと入場料が22フランもするんですよね。で、もしかするとスイスの標準価格?と危惧していたら、ここは、6フランと、とっても普通な入場料でした。この他でも、びっくりするような入場料の場所はなかったので、パウル・クレー・センターの価格は、ちょっと常軌を逸している気がします。パウル・クレーが墓の下で怒ってないですかねぇ。
さて、ティンゲリーです。
この人の作品は、ガラクタみたいないろいろを集めて、くっつけたりなんだりして変な形を作って、最後は、何らかの形で動く、というのがコンセプトです。そういうタイプのアートは、その後他のアーチストも追随したようですが、元祖はこの人。
で、たとえば、上の作品ですと、鎖ががっしゃんこがっしゃんこと動くと車輪が回って、馬の首が微妙に上下に動いたりするわけです。
美術館の規模はとっても小さいのですけれども、大小含めて、そういう作品が7,8個ありましたでしょうか。たったそれだけ?と、思われるかもしれないのですけれども、なんと、そのすべてが稼動可能状態、つまり好きなだけ動かせる状態だったんですよ!コーフン!片っ端から動かしましたとも!作品の手前に大きな赤い踏みボタンがありまして、それを足で踏むと、ガッシャンガッシャン、キリキリ、いろんな音をさせながら、作品が動き出します。
結局、車輪とか回るもの系が多いのですけれども、動くっていうのは実に魅力的。いろんなものの組み合わせも、本当に多岐にわたるので、詳細を観察するのも楽しいんです。
1メートル、2メートル程度の作品の中で、唯一の大物がこれ。
これは感動的な作品でした。高さは3メートル以上あるんじゃないのかな。なんか、大道芸人的な音と動きと雰囲気っていうのでしょうか。ノスタルジックで、楽しくて、見ているともうただ微笑が沸いてくるっていうのか。へへへ、3回くらい動かしちゃいました。見ても見ても楽しくて、小さい作品でいいから、ほしいなぁ、と本当に思いましたよ。こういう思いは、カルダー以来かも。そういえばカルダーも動く作品だな~。
そして、ちょっと遠いのですが、バーゼルの美術館にも、俄然行きたくなりました。現代アートも、わけの分からない方向性というのがありますが、こういうのはいいです。わけが分かるわけじゃないけど、対峙して、心底楽しい。
そして、フリブールの街角にも、楽しい作品がありますよ。
小さな噴水。得体の知れない、器械っぽいものが、ゆっくりと回転しながら水を噴出しております。いかにもティンゲリーで、これはよい作品です!
たまたま、宿泊したホテルの脇にあったので、何度もみてしまったんですが、朝日の中でも夕日でも、夜間照明の中でも、実に美しく、二律背反のような、機械的な存在感と、アート的な存在感が、無理なく同居していて、感心しました。
でも実は、置かれているのが、なんともダサいスペースなんで、ちょっとそれは残念な気がしました。フリブールって、町全体が中世なのかバロックなのか知りませんが、歴史的な雰囲気で統一しているんですけれど、こういう現代アートを、その中において、溶け込ませる努力はないっていうか。
この噴水、新市街のすごく変な場所なんですよ。もったいない。どうせなら、旧市街の、市庁舎前の広場(スペースはたっぷり)に置けばよいのになぁ、とか思っちゃいました。そういう英断のできる人がきっといなかったんでしょうなぁ。その辺が、スイスは絶対にフランスになれないっていうことなんだろうな~。
- 2011/09/24(土) 05:42:16|
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先日ご紹介したケーブルカーを下ると、下の町に簡単に行けちゃいます。でもわたしは、小銭がなかったので、ケーブルのお隣にある階段で降りました。
フリブールって旅行者には不親切ですよ~。
バスや、このケーブルカーは共通チケットで、乗り場に自動販売機があります。びっくりするくらいでっかいご大層な代物。高さ2メートルくらいで、横幅も1メートルくらいですよ。で、前面にいろいろ書いてあるんですが、それがドイツ語とフランス語。おいおい。
バスに乗ろうとお金を入れたら、わたしの後にいたおばさんが、「オー、ノー!」と悲鳴を上げました。は?と顔を見たら、つたない英語で、「これはおつりが出ないのよ、あなた今たくさん入れたでしょう?」絶句。確かに二人分の料金を入れましたとも。販売機は当たり前のように、一枚だけ、チケットを出しましたとさ。
え~、これってイタリアの機械よりさらにひどい~。そもそもイタリアの機械は、以前は、ルーレットのようなレベルだったので、今でも自動販売機があっても、人のいる窓口に並ぶ傾向があります。それでも、最近は食べられちゃったことなんてないし。それに、おつりも出るぜ、最近は。
その上、イタリアの場合は「イタリアだから仕方ないし」と思えるだけましで、スイスではそういう納得もできないじゃないですか!
そのときは、オーノー!のおばさんが、彼女のせいじゃ全然ないのに、申し訳ないからってチケットを買ってくれました。珍しく親切でニコニコとしたスイス人でした。
で、このケーブルカー。運転手さんのいる旧式ですから、勿論運転手さんがいたんですけど、チケットは販売してません。販売機がどでん!と鎮座しています。小銭、やっぱり持ち合わせがなくて、ないんだけど~、と恨めしげに言っても、ぼそりと「あ、そう。そっちに階段あるから。」あああ~、その上愛想もない、スイス人~。
という顛末で、階段で、下の町に下りましたとさ。
ここが、ベルンの下の町よりもさらに美しくって、もうびっくりしましたよ。
川が流れていて、朝露にぬれた緑がしっとりと。
どっかから、カウベルが聞こえます。音を頼りに行ってみると、羊がたくさんおりましたよ。のどかって言うのか、実にスイスですね。
上の町の姿がよく見えます。
昨日歩いた旧市街のメイン・ストリート。背の高いのは、カテドラルです。町並みもきれいなら、緑も美しく、どこを切り取っても、まさに絵葉書の風景。石の橋も古そう。木製の屋根のついたかわいらしい橋もありました。
雰囲気のある旅籠とか、早起きのパン屋さんの前を通り抜けてぶらぶらしていたら、こんな、ちょっと怖いようなお人形の窓が。
別にお店じゃないんですよ。おそらく住まわれている方の趣味と思うんですけれど。かなりお高そうなアンティークのフランス人形。目が怖かったです~。
気持ちいいけど、そろそろホテルに戻らないと、と上の町を目指して歩き出して、愕然。
これ、こう見るとそうでもないけど、かなりの坂です。この右に曲がった先は、もうそれこそ、雪でも降ったら絶対に転がり落ちるような傾斜。坂道発進のできないわたしには恐怖の町です~。
道は何本かあるので、もうちょっと緩やかで長い道もありますが、時間もなかったので、ここを登りました。ほんの50メートルくらいですかね、急坂部分。ぜえぜえでした。いや、びっくりしたなぁ。そういう坂の途中に暮らしている人もいるんですからね。さぞや鍛えられることでしょうね。
それにしても、このフリブールの町の美しさは、只者ではありません。もうちょっと観光する人が増えてもよいような気がします。観光客が増えれば、販売機もおつりが出せるようになるんじゃないでしょうかねぇ。せめて、英語の説明が入るかも。みんな、もっと愛想よくなるかも。はぁ~。
- 2011/09/23(金) 04:25:56|
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スイスという国は、大きく三つの文化圏に分かれているのは、多くの人がご存知の通り。ドイツ語圏、フランス語圏、そしてイタリア語圏。これまで、イタリアとの国境、つまりミラノから最も近いイタリア語圏であるティチーノ州には、何度も足を運んでいますが、それ以外の地域については、実はほとんど知らないのです。
このフリブールという町は、ベルンから列車で30分弱なのですが、フランス語圏との境にあります。フリブールというのはフランス語名で、ドイツ語だとフライブルクとなりますが、フライブルクという町はドイツにもあるので、おそらく混乱を避けるために、フリブールの方がよく使われているようです。
ベルンは、旧市街が世界遺産だけあって実に美しいのですが、ここフリブールも負けていません。ベルンに比べたら規模が小さいだけに、歩いて回れるよさがあるし、落ち着いた地方都市、とでも言うのでしょうか。ここのホテルで出会った日本人旅行者は、ベルンは物価も高いし、ざわざわと落ち着かないので、ここに泊まってベルンに電車で通って観光していると言っていましたが、確かに、電車賃がこれほど高くなければ、またはスイスパスのような格安周遊券を利用するなら、その方が、このあたりのスイスのよさを堪能できると思います。
鉄道駅は、面白くもなんともない新市街の真ん中。かなりダサくて、ちょっとがっかりするのですが、そこから10分弱歩いたら、もう旧市街のメイン・ストリートです。
背の高い古い町並みの間に、ふっと、水の湧き出る素敵な泉があったりして。
坂の町です。駅のある場所が高台で、旧市街はカテドラルに向かってどんどんと下りとなり、最後は谷底の川のほとりになります。その高低差は半端じゃありません。
こういう急な階段が、あちこちにありました。冬対策か、どこもちゃんと屋根が付いているんですよね。そして、階段の途中には、住宅の玄関が次々と。
うわ~、こんな家に住んでいたら、運動なんか何もしなくても鍛えられそうですが、年取ったら、もう家から出られないかも~。
あまりに高低差がすごいので、メイン・ストリートの中ほどに、ちんちん電車のようなかわいらしいケーブルカーがありました。まるで、観光電車のようにかわいらしいのですよ。人が来たらおじさんが運転するという、おそらく時刻表もなさそうな牧歌的なスタイルだし。
これ、早く目が覚めて、早朝散歩したときだったので、緑が露にぬれて、とっても美しい風景でした。
ある階段の途中にある、ボイラー室の扉みたいなところで、こんなシールを発見しました。
誰か、日本人が来たんだね、きっと。ボイラー室に向かって、思わず合掌してしまいました。うん、忘れてないし!
フリブール、続きます。
- 2011/09/20(火) 04:23:45|
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Arsenale 1 - アルセナーレ その1
ジャルディーニ、いまひとつだったのですが、どちらかというと、もうちょっとはじけた感のあるアルセナーレに期待して来てみました。
でも、結果的には、こちらもいまひとつ。入り口からして全然インパクトのない作品で、すでにがっかり状態です。
とはいえ、やっぱりいいものはあるんです。
ジャルディーニにパビリオンを持たない国のいくつかが、こちらで一部屋を使っていました。その中で、いきなり度肝を抜かれたのがアルゼンチン館。
これはよかった~。部屋いっぱいに、得体の知れないオブジェが立ち並んでいて、異国の、というよりも、他の星の風景っていう感じ?ありえない巨大さと、怪しい形や質感で、なんともいえぬ異世界が広がっていましたよ。
あ~、写真ではちょっとあの異様なイメージは伝わらないな~。
異様だけど、気持ち悪いわけじゃなくて、面白いんですよ。あ、面白い面白いって、その風景の中を歩き回りたくなるような。
もうひとつ、インパクトがあったのは、やっぱりこれかな~。
ロウでできた彫像が、会期中に燃やされて溶けていくという作品で、すごく話題になったんですよね。行った時期が、開催からずいぶんと日が経っていたので、すでにほとんどの彫像は破壊状態。でも、会期中に徐々に燃やしていくという計画なんでしょうね、一体、炎が燃えていました。
すでに頭部は燃え落ちていましたけれどね。なんか、こういうリアルなスタイルだと、シュールではあります。
後はどうだろうなぁ。これなんかも、一瞬、お!と思わされたんですけど。
で、この黒い物体の裏に回ると、ネオン・アート系でちょいときれいだったりするんだけど、「だからなに?」と思わず口をついて出てしまう程度の作品で~。
この前紹介した、ミラノで展覧会やっているアニッシュ・カプーアは、1990年ごろにすでに、英国館でビエンナーレ・デビューをしているそうなんですよね。その頃から成功した人で、それでいて今でも、面白いインパクトのある作品を作っているわけですから、やっぱり本物のアーティストのエネルギーってすごいです。ビエンナーレまで行っても、その後もずーっと第一線で活躍できるかどうかは分かりませんしね。
この黒い物体の人なんかは、どうですかね?個人的には、ちょっとだめじゃん~。
Biennnale-Arsenale
until 27/11/2011
10/18 closed monday
- 2011/09/19(月) 04:34:40|
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いやはや、すごいアーチストっているんですよねぇ。知らなくて、本当にごめんなさいって感じでした。
アニッシュ・カプーア、インド人ですが、ずいぶんと昔からイギリス在住で、もう大御所。でも、今回のミラノ展覧会まで、まったく知らなかったんですよねぇ。現代美術好きといいつつ、そんなもんです。
ミラノで、数ヶ月前から二つの展覧会同時開催しています。まず夏休み中に訪ねたのが、我が家からトラム1本で行ける会場のインスタレーション。これは、度肝を抜かれたな~。こういう現代は、まさに実際に見ないと分からないです。
ダーティ・コーナーと名づけられたインスタレーション。まず、その巨大さにびっくり。上が入り口なんですが、人との対比で大きさが分かると思います。管になっていて、それが57メートル続きます。背の高さは3メートル。で、ここから入るんですよ。
そうすると、もうすぐに、行く手は真の闇になります。え、困ったな、と後ろを振り向くと、ほんのすぐそこにある入り口が、もぉ、遠い~!ボッシュの描く天国の光のような…、または臨死体験状態の光ですよ。
わたしは、闇に対する恐怖というのが結構あるみたいで、昔戒厳令下のクロアチアで出会った闇とか、ミラノ北部の山の中のトンネルの闇とか、本当の暗闇にであると、もうオタオタしちゃうんですよ。生まれたときから東京で暮らしていて、真の闇に出会ったことがないからだろうな、とは思うんですけれども。
この、インスタレーションの人工的な闇でもかなりオタオタしちゃって、うわ~、戻る?でもたったの3メートルくらいしか着てないのに戻るってどうよ?とか、結構悩んだ挙句に、何とか先に進みましたよ。のろのろと。長かったな~。どこまで続くか分からないだけに。前に入った人の背中を目標に進んだのに、その人はさっさと歩いていくから、すぐに闇になっちゃうし。
で、やっと出口に。
すっごい開放感とともに、あ~、面白い~と心底感動しました。体験型インスタレーション。これはすごい!
会場では、アニッシュ・カプーアのインタビューを含む20分ほどのビデオも流していまして、彼の過去現在の作品がよく分かる内容で、ありがたいことにイタリア語字幕だったので、それも楽しめました。実に素晴らしい展覧会ですよ、これだけなんだけど。
で、もうひとつの展覧会にも足を運びました。こちらは比較的小さな作品が数個。
撮影は厳禁だったのだけど、こっそりと…。
こちらの会場の主作品は、鏡面を利用したもの。ビデオで、シカゴの野外に置かれた、鏡面の作品を見ていましたので、あ、あのバリエーションかと思ったわけですが、これがやっぱり、実際に見ないと分からないもんですね~。
鏡面の加工が、おそらくすごくいろいろ研究されているんでしょうねぇ。上のように、素直に対面の風景を写すものと思っていると、実は、そうじゃない加工のされた鏡面がほとんどで、距離感から上下、左右の感覚、すべてがあいまいになるような効果なんです。びっくりしました。アーチストもすごいけど、製作を請け負う職人さんもすごい!
それにしても、すごい…。
こちらの会場で最も大きな作品は、My Red Homelandという赤いロウを大量に使ったもので、本来は動く、というのが眼目だったらしいのですが、残念ながら動いてなくて(そのために入場料は割引だったのが、妙に良心的)。しかし動いてなくても、その存在感たるや、すごいものでした。
アニッシュ・カプーアで検索すると、ネットではきっといろいろ出てくると思いますので、あまり細かいことは書きません。でも、機会があったら、是非訪ねてください。面白いこと請合います。
特にミラノにアクセスできる方、ダーティ・コーナーは行っといて損ないです。これ、パリとかロンドンとか東京の展覧会だと、入場制限できちゃう作品ですけれど、ミラノのありがたさ、入り放題、往復し放題、やりたい放題の遊び方ができます。会期が長いので、わたしももう一度くらい行っちゃうかも知れません。
Anish Kapoor in Milano
Rotonda di Via Besana until 9 Oct 2011
Fabbrica del Vapore until 8 Jan 2012
- 2011/09/17(土) 04:40:48|
- アートの旅
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ロマネスクのおと、久しぶりの更新です。ローマの三番目。
今回は、サン・ジョバンニ・ラテラーノ以外は、一般観光的にはほとんど無名の教会ばかりながら、とても興味深い中世です。無名っていうのは、別につまらないからじゃないってことなんですよね。中世的には、素晴らしいお宝満載です。
この旅をするにあたって、限られた時間に、できる限り多くのサイトを訪問したかったので、オープン時間は可能な限り調べて、ロケーションと、効率のよい周り方は、相当真剣に検討しました。そのおかげもあって、短い滞在中に良くぞこれだけ!という数を周ることができたのですが、その調査に時間をとられて、教会の内容については、最低限、これだけは押さえること、という程度の調査しかできませんでした。
まぁ、大体いつもそうなんですけれど。
で、こうやって今写真の整理をしながら、多くの資料を読み込んで、あああ、そういうことだったのか、とか、そこは見てないじゃん、とか、写真なんで撮ってないんだろう、とか、後悔の山です。知らなかったために気付きもしないこともいっぱいあったし。
この勉強の成果を持って、いつかまた訪ねることができればいいなぁ、と思います。
その、いつか、には、きっと勉強したことも忘れちゃうでしょうから、自分のサイトをコピーして…。
ローマの中世も、これで峠を越した感があります。あと2回くらいの予定です。
では、古代ローマ帝国ともバロックとも違う、あまり目にできないローマの姿、よろしかったらご覧ください。
ロマネスクのおと
- 2011/09/16(金) 04:42:25|
- ロマネスク全般
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ほんの週末旅行だったけれど、それだからこそのよさがありました。ビッレリアとトスカーナ料理と中世の町と、いろいろと盛りだくさんだったというのもあるし、仲良しの友人たちと一緒だった楽しさもあるし。
本当は、去年見られなかった教会をいくつかピックアップして、近くを通るようだったら訪ねてみたいと思っていたのに、結局資料を入れた袋を忘れたために、もくろみは実現しなかったのですが、でも、それもかえってよかったんです。
私以外はロマネスクなんて興味もないので、一人で盛り上がって温度差できても仕方ないし。でも資料があったらきっと、行きたくなってしまってジレンマやストレスにさいなまれただろうし。
帰り道。
とても気持ちのよいドライブでした。
なんせ、運転は他人がやってくれて、わたしは美しい緑のトスカーナを車窓に見ながら、好き勝手におしゃべりしてればいいんですから!極楽!
ポッピからフィレンツェに向かう道は、峠越え。1025メートルのコンスーマ峠です。
標高があがるにつれ、気温が少しずつ下がって、峠では、日差しはきついのに、冷たい空気が気持ちよいのでした。
下の方に、キアニーナ牛がのんびりと草を食んでいるのが見えました。
フィオレンティーナはこの牛ですよね。本当に真っ白できれい。遠いからよく縮尺が分かりませんけれど、びっくりするくらいの巨体なんですよ。
峠で目立ったのが、バイク野郎です。ドイツ人比率がすごく高かったな。お手入れも行き届いた高そうなマシンばかり、
お、ドゥカーティ!デスモセイディチ?
あ、あっちにも、と思ったら、なんと。
ヤマハのロッシ・ドゥカーティ仕様でした!ヘルメットもちょっとロッシ入ってます。いやはや。写真を撮っていたら、ライダーは嬉しそうでした~。ロッシ・ファン~!同志!
というわけで、トスカーナ終了。長らくお付き合いいただきありがとうございました。また是非、ビッレリアには行きたいと思います。勿論ロマネスクも。勿論トスカーナ料理も。きりないし!
- 2011/09/15(木) 04:35:44|
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