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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

スイスの旅 ロマンモティエ5

せっかくなので、村の紹介をして、最終回としましょう。


これが村のメイン・ストリート。列車の駅からの路線バスも、この細い路地に入ってきます。
本当に小さい、猫額状態の村で、住宅地を含めても、10分くらいで一周できちゃいます。町外れに、こんな小川が流れていて、とにかく美しい。うっとり。


小川もあるし、スイスだし、あちこちに噴水とか水場があります。


お花の色の組み合わせが妙に派手じゃないですか?こういう激しい色同士を組み合わせるのって、しかしスイスのあちこちで見た気がします。デザインとかかっこいいのに、一般的レベルのセンスは、ちょっとイタリアと違うかも…(小声で、ダサい、とか言いたいかも)。

水場なんですけど、この感じって、完全に噴水じゃないですか?飲める水、と自動的に思いませんか?
暑いときだし、常にペットボトルを持ち歩いていたわれわれ、ラッキー、とばかりに、持っていた水を思いっきり捨てて、ほとばしる冷たい水を入れていたら、手を洗いに来た地元の少年が、何か言いながら去っていきました。?と思いながら、蛇口の上を見ると、「飲み水じゃありません」と明記されていました…。注意してみると、どの水場にも、この注意が。なんなんだ、スイス!イタリアでも、こういう水場の水は、どこでも飲み水なのに!水を捨てちゃった上に、飲み水じゃない水、飲んじゃったよ、すでに!

修道院の中庭にある、森の中のお菓子の家みたいなカフェ。


とっても素敵なマダムが切り盛りしている、実に雰囲気のある店でした。修道院を訪ねた人は、きっとみんな立ち寄るんだろうな。

ほうきカバー?


とある家の入り口に立てかけてありましたけど、まぁ、なんてかわいらしいんでしょ。ほうきに、ねずみちゃんだかなんだかのお人形が。こんなのって、その手のお店で見てかわいい、とか思っても、使う人って見たことないよね、っていうタイプのものじゃないでしょうか。作ったにしては、ちょっとできすぎな感もあるんだけど、やっぱり作ったもんなんでしょうかねぇ。こういうものが、実にしっくり来る村です。

こんな写真まで撮っちゃうほど、実は暇だったんですよねぇ。
というのは、ここ、鉄道の駅まで、歩くと結構あるんですよ。一人だったらなんでもないんですが、今回は老母が一緒だったので、バスに乗るしかありません。
で、着くなり、バス停に張ってあった時刻表を見て、「1時間に1本あるな」と確認はしていたんです。で、そろそろ行こうか、とバス停に行ってちゃんと見たら、確かにほとんど1時間に1本なのに、その時間だけ、抜けてるじゃないですか。
仕方ないので、(多分)村唯一のレストランで食事をして、スケッチをして、散歩をして、教会を何度も出たり入ったりして、時間をつぶしたんです。
その上!
やっとバスが着た、と思ったら、スクール・バス化していて、小学生がわんさか乗っているんです。で、来たときとは違う道を走る…。子供たちを送り届けるために、近隣の村にわざわざ入っていくんです。お迎えが着てなかったり、降りてはいけない子供が降りたり、時間が…。そもそも、バスと列車の時間はリンクしていて、ロマンモティエのバス停出発から10分弱くらい後に列車の時間なんです。
そして、列車も一本逃すと、また1時間待ち!
でも、気持ちが焦っても、仕方ないですよね。心の中で、子供たちに悪態をつきながらいらいらと乗っていましたよ。
駅に着いたら、地下通路で反対側のホームに行かねばならず、試練が次々と!よろよろしながら駆け上ったホームには、出発寸前の列車。最後の5段くらい死にそうでしたね、ママ。

というわけで、体力のない方は、バスの時間を十分にチェックなさることをお勧めします。それにしても、列車に間に合って、バスの運転手さんは、全身で安堵していましたね~。よかったよかった。

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ロマネスクのおと
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  1. 2011/10/21(金) 04:41:58|
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スイスの旅 ロマンモティエ4



スイス・ロマネスクは、知名度は低いながら、数は相当あるようです。今回、わずかながらでも、その一端に触れることができてよかったです。

イタリア国鉄の、スイス方面電車賃のプロモーション(一日で直通で行かれる場所は、一律片道19ユーロ。たとえばローザンヌだと普通の運賃は70ユーロ近くしますので、異常なお得感です)は、依然として続いているようなので、何とか年内にもう一回か二回、遠足で日帰りできるところくらい行ってみたいとは思っています。
でも、今月末で、夏時間は終わるし、寒くなってきたし、ちょっと厳しいかも。なんせ日が暮れてしまうと、何も見えなかったりしますしね。
行けるとすれば、パイエルヌのリベンジと、グランソンでしょうか。

修道院、緑の中の全体像も、スイスっぽくて美しいですが、あまりロマネスクっぽい外観じゃないですよね。
でも、よぉく見れば、やっぱりちゃんと。


盲アーチに、私の愛する付け柱。柱頭部分には、クリスモンのようなかわいらしい浮き彫りが見えます。レンガの色合いも、やさしくて暖かいですね。
肉眼じゃよく見えないような高くて隠れた場所に、こんな浮き彫りもありました。


かつては、全体的にもうちょっと装飾的だったのかもしれませんね。
側壁。


上の方が円柱で、下は角柱。多分どちらも同時代のものと思いますが、付け柱としては珍しいスタイルですね。
かつて回廊=キオストロのあった場所。


今は、中庭を取り囲む柱やアーチの基部が残っているだけ。きれいさっぱり。教会の側壁に、ちょっとだけ構造物の一部が残っているだけです。
このキオストロが残っていたら、相当インパクトがあったでしょうにねぇ。残念。
修道院、これでおしまい。

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ロマネスクのおと
  1. 2011/10/20(木) 06:13:55|
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スイスの旅 ロマンモティエ3

正面からぐるりと周ると、後ろ側には木がこんもり。プラムの実などもたわわに実って、昔もこんなだったかな~と、田舎気分満喫。
正面から見ると、右側壁の奥のほうに、とっても小さい扉があり、力をこめて押すと、やっと開きます。最初は鍵がかかっていると思って、すごすごあきらめてしまったくらいです。


ここ、ずいぶんと長い時間をかけて、作られた建物なんです。今でも建物としてはかなり大きいですが、全体が完成した当時の姿は相当のもの。
この入り口から入る部分にも、もともとロマネスク時代の後陣があったようなのですが、ゴシック時代に改築されてしまったみたいです。
つまり、外観はゴシックだけど、内部にはロマネスクの様子が残っているのは、そういうことだったんですね。
いろいろと図版がおいてあったのを見て、いまさら、なるほど、と思っているところです。
中はこんな感じです。


後陣にはステンドグラスなんかが立派にはめ込まれちゃって、ゴシックなんですが、この中央身廊見る限りでは、立派なロマネスク。背の低いどっしりとした円柱が、とてもかわいらしくてよい感じでしょう。ガルダ湖畔のバルドリーノとか、こんなじゃなかったですかね。
石がすごい迫力で迫って来るタイプのつくりですが、ひっそりとした装飾も残っています。


そして、これ、いいですよねぇ。


多分、もとはもっとちゃんとした説教壇の装飾じゃないでしょうか。今は、この一枚板だけで、説教の場所になっていますけれど。それにしても、美しいです。私の大好きなビスケット文様中心の十字架。組紐。ああ、大好き。ほしい。

後陣と反対側に扉があり、今は閉ざされていますが、建物正面入り口から入るロマネスク側の入り口のスペースとつながっています。こちらの教会の床は、残念ながら、ほとんどが新しくされていたと思いますが、その扉の前にある階段、これは古いですねぇ。


こういう、大きな石の階段や床の、古びてつやつやした感じって、ビスケット文様の浅浮き彫り同様に、すりすりなでなでしたくなるほど、好きなんです。
時々、装飾に夢中になって、床を忘れることがあるんですけれども、床の質感って、建物全体の評価には欠かせないと思います。上の方に、ごてごてのルネッサンスやバロック装飾があったとしても、床が古びていると、かなり得点アップ。わたしの場合はね。

ロマンモティエ、いいですねぇ。人が少ないのもいいです。夏のバカンス・シーズンですから、三々五々と観光客は来るのですが、ちょっと村をぶらついて、教会を急ぎ足で見て、さっさと帰っていくというケースがほとんど。このゴシック側や、ロマネスク側の二階にはほとんど来ないし、来てもすぐ帰っちゃうので、独占。いやはや、幸せでした。

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ロマネスクのおと
  1. 2011/10/19(水) 04:58:36|
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ロマネスクのおと更新 ローマ第四弾



予定では一ヶ月前に更新しているはずだったんですけど…、やっとこさ。
今回はローマの市壁外の教会特集。ローマに中世探訪しにいくなら、絶対に欠かせない場所ばかりですよ。


どこも歴史が古くて、長い時間信仰の場所だっただけに、様々な痕跡が集積しています。ローマはどこもそうだけど、ここもまた、時間を視覚的に感じられる場所のひとつ。


ただ多くは、その姿を変えられたりしていて、全体として中世というものは少ないのも現実です。ディテールに走らないと、中世が見えなかったりもします。


ローマ観光に行っても、中世を目指さない限りは、わざわざ行かない場所ばかりだと思います。郊外ではあるものの、どこも地下鉄やバスで簡単にアクセスできますので、是非訪ねてみてほしいです。
わたし自身も、事前に勉強していなかった分、取りこぼしが多く、またこれはいつものことですが、資料を読んでいると、あらためて見たくなることがたくさんあります。今回の場所は特にそういう思いが強いので、次回ローマを訪ねるチャンスがあれば、必ずやリベンジするつもりです。


では、また感想などいただければありがたいです。

これまでのローマ中世は、こちらでどうぞ。
ロマネスクのおと
  1. 2011/10/17(月) 04:57:07|
  2. ローマの中世
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スイスの旅 ロマンモティエ2

修道院、続きます。
入り口も面白いし、中に入ってもいい感じ。外観に一瞬がっかりしたのも忘れ、これはうわさにたがわず、なかなかじゃ~ん、と興奮高まるばかり。
で、その上にこれ。


入り口のすぐ右隣に、小さな入り口があり、のぞくと、こんな怪しい階段があります。石の磨り減り具合にも思わずなでなでしちゃうような、そういう歴史を感じる空間。
照明がありましたので幸いこれだけの明るさですが、小さな開口部からの採光だけでは、ほぼ真っ暗という階段です。
わくわくしながら登ります。
え~…。


びっくりしました。
下に負けず劣らず、いや、ロマネスク度から言ったら圧倒的に、よりインパクトの強い空間が広がっていたんです。いやはや、これには本当にびっくり。
事前にほとんど勉強していかないメリットは、この邂逅の喜びにありますね。って、ちょっと言い訳めいていますけれど。


地上階部分は、ゴシック時代にちょっと手が入った感がありますけれど、この2階部分は、ほとんどロマネスク時代の創建当時のままじゃないでしょうか。もしかすると、その時代以降、放置されていた可能性もありますね。
柱頭装飾も、かなりプリミティブな感じ。かわいいです。


実は、帰りのバスを待つために、相当長い間、ぶらぶらしていなくちゃいけなかったんですけれど、そして、この村、あまりに小さくて、ぶらぶらする場所もほとんどなくて、それで、この教会、出たり入ったり、何度も訪ねてしまいました。訪ねる度に、私しかいないので、一人で照明をつけて、上に登って、淡い光の中でじーん、と中世を感じて、そして一人で下に降りて、ボーっと柱に触り、ということを繰り返しておりました。


この教会、年中無休、そして朝から晩までオープン。すごいです。パイエルヌで定休日を知ってしまった後では、ますますすごさを感じます。っていうか、教会なんだし、本来定休日はあっちゃいかんだろう、と思いますけどね。

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ロマネスクのおと
  1. 2011/10/16(日) 04:27:53|
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スイスの旅 ロマンモティエ

ローザンヌから列車で30分強、そしてバスに乗って5分。緑の谷に、中世の村、ロマンモティエはあります。
街道沿いにある村で、住宅はそこそこありますけれども、村の姿は昔からあまり変わっていないような、そういうたたずまいで、その小ささには、本当にびっくりしました。
村の中心は、修道院。6世紀ごろに建てられた教会が元になっていて、今でも村の中心にどっしり。修道院はもうなくなっていますが、教会は現役でもあり、観光地でもあり、とても美しくケアされていました。


外観は、ふーん、という程度で、興奮も感じさせられないたたずまい。入り口部分にはゴシックも入っていますしね。
全体をぐるりと周ったのですが、時代が混ざっていて、不思議な構造になっていました。この、村のメインストリート側から入った入り口はロマネスクで、反対側はゴシック時代。
ロマネスク側の扉周りは、やはり時代が混ざってはいますが、ロマネスクの装飾も残っています。じっくりと見ると、お、かわいいフィギュアが!


側柱やアーキトレーブ、あちこちに点々といかにもわたし好みのフィギュアが見られます。じわじわとうれしくなってきて、期待が高まります。
あ~、入り口扉のノブも、いい感じ!


古いもののレプリカかも知れませんが、こういう鋳鉄が古くなったような感じ、大好きなんです。
ドキドキ感、アップ!


そして、期待を裏切らない姿に出会えました。石がすばらしいし、程よく修復されていて、実になんと言うか、よいのです。ヴォルトにフレスコ画がありましたが、これは13世紀以降と思われました。ただほとんどかすれ状態に古びているので、ロマネスクを壊してなくて、ナイス。

入り口正面の反対側には、もうひとつ扉があります。


開けようとしたらクローズ。なんだろうと思いましたが、後で、反対側の入り口から入って謎が解けました。この向こう側は、ゴシック様式の教会になっています。ゴシックといっても、構造はロマネスクで、柱頭などもロマネスク装飾があったので、もとは全体がほとんど同じ時代に作られて、後付で構造が変えられたのでしょうか。

ここの残念なことは、教会の脇に売店があったのに、適当な本がなかったことです。基本的にフランス語オンリーだし、簡単に読めそうで図版入り、そして買いやすいお値段、というのはなくて。時間ができたら、ゆっくりとネットで資料を探そうと思っています。

ここは、じっくり続きます。面白いんですから。

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ロマネスクのおと
  1. 2011/10/14(金) 04:35:56|
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スイスの旅 ローザンヌ カテドラル

ローザンヌの町は、思っていたよりもずっと大きくて都会で、ごみごみしていて猥雑でした。中世があるとは思えないような町。でもひとつだけ、名残があるんですよ。


カテドラル。
外観は、思いっきりバロックおよびそれ以降なので、わたしの好きなものがあるとは、知ってはいても、ちょっとしり込みするような空気です。
ただ、町の一番高いところにあるので、いずれにしても、観光地としては行ってもいい場所ですけれど。眺めいいし。

ここ、起源は結構古いのですが(12世紀初頭)、その後延々と改築や拡張が続けられたので、時代が思いっきり混じってしまっています。
中はこんな感じ。


実際はもうちょっと暗めなので、厳かな雰囲気はあるものの、そして、構造的にはロマネスク時代のものを残しているのが若干見て取れるものの、いや、やっぱりしり込み系ですよね。
でも、後陣の方に、探しているロマネスクがあるはずなんです。
あ、これは?


祭壇。修復か再建か分かりませんけれど、モチーフ的には古い~。十字架のビスケット文様(今、命名)がかわいいですよ~。このビスケット文様の、盛り上がっているつやつやの線が、私は大好きなので、これだけでも、よし!と宝探しのモチベーション上がりまくり。
内陣の奥が周回廊になっているのですが、その部分に、怪しい柱頭が次々と!


このあたりは、12世紀でしょぉ。わくわく。
こんな窓枠下の装飾も、12世紀後半くらいの感じ。


なぜ、1世紀、いや半世紀くらいの違いで、こんなに好き嫌いが分別れるのか、よく分からないんですけれど、いかにも好きな時代のものを見つけると、それだけで、達成感や満足感でいっぱいになれるのが不思議。
ここは、ステンドグラスもきれいだったんですが、ほとんど見ちゃいません。どっちかというと、一部に残っていた、古い時代の磨耗していい感じにつやつやと光っている床の方に注目してしまいました。

観光客は多くて、全体にざわざわした教会ですが、でも私の好みの宝物のある内陣奥は、ほとんど人が来なくて、それもよい感じでした。
たまにはこういう宝探しも、楽しいもんです。でもやっぱり、ちゃんといかにも、のロマネスクに出会いたいぞ!それは次回。

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ロマネスクのおと
  1. 2011/10/12(水) 04:34:22|
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ベネチア ビエンナーレ

エピローグ


長々だらだらと、あちこちをレポートしてきましたけど、今年のビエンナーレ特集、終了です。
全体の印象として、いまひとつだったような気がしますが、もしかしたら私の方が慣れてきちゃって、ちょっとだれているのかも。
ただ、毎回行く度に、本会場以外のスペースでの催しが増えている感じがするし、面白いし、そういう意味では充実度は増しているかもしれませんし、まだまだ今後に期待できるものがあります。



なんと言っても、やっぱりベネチアという会場が絶対的前提にある、というのが、このビエンナーレの最もすごいポイントなんでしょうね。

今回、予約したホテルでトラブルがあったり、すっごくまずいレストランに当たっちゃったり、ベネチア通い暦二十数年だというのに、いまさら「ベネチアならでは」のネガティブ体験を、たくさんしました。でもこの町のずるさは、そういうものひっくるめても、やはりまた行きたくなってしまう魅力を持っているということなんです。


街頭が灯りだした夕暮れ。
こんな風景が広がると、なんだか意味もなく涙が出そうになったりする、そういう何かがあります。勿論それは、私が持っているベネチアでの様々な経験が、プラスマイナスで言えば確実にプラスで、そして思い出は現実よりもはるかに美しくなっているからだと思いますけれども。


でもって、結局そういう何かを持っているから、ビエンナーレだカルネヴァーレだ、と出かけてしまうんですけれどもね、きっと。
次回は、来年の建築ビエンナーレか、その前にカルネヴァーレか。ふふ、お楽しみに。



ビエンナーレは、あと一ヶ月弱開催中ですので、ご興味のある方は是非駆け込みで!
長らく、お付き合いありがとうございました。
  1. 2011/10/11(火) 04:36:00|
  2. アートの旅
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ベネチア ビエンナーレ

協賛展2
こちらは、ちょっと気になっていた展覧会。アンセルム・キーファーは、もうずいぶん前になりますが、ミラノ郊外の、もとは倉庫かなんかの巨大な展示会場で見たインスタレーションがめちゃくちゃかっこよくて、すぐに名前を記憶したしまったアーチストです。


会場も気になっていました。古い建物を修復したスペースで、この一帯はもはやそういうスペースの連続。サン・マルコの対岸の外海側、先端がプンタ・デッラ・ドガーナのザッテレ地区。そこにあるマガッツッイーノ・デル・サーレ、つまり塩倉庫。
周囲は、サン・マルコから一駅水上バスに乗っただけなのに、思いっきり住宅地で、イベントがなければ、人もほとんど歩いてない道が続きます。かなり異次元っぽくて、本来のベネチアのよさが味わえる場所のひとつと思います。

さて、キーファーですが、天井が高いものの地面スペースはさほど広くない会場を使い倒した大型の作品が2点。


これは、Salt of the Earthと題された作品で、風景写真に様々な素材をくっつけて、全然元の姿がわからなくなっているような板が、ずらりと並べられているもの。でかいんですよ。そして、会場全体はかなり暗めだし、まさか写真が元になっているものとは、思いもよらなかったです。金属板に見えるんですけどね。
いろんな薀蓄はともかくとして、この人の作品は、なんというのか、そのスケール感とか、それでいて同時に感じられる繊細さとか、好きなんです、やっぱり。


もうひとつの作品。これもでかい。縦2メートル横4メートルくらい?キャンバスになんかくっついてて、分けわかんないんですけどね。かっこいい。
撮影禁止だったのに、無理やり撮ってるんで、半端な姿で、残念ながら、よく分からないですけどね。

さて、この企画展、エミリオ・ヴェドヴァというイタリアのアーチストの財団のものです。実は全然知らない人…。
まさにこのザッテレに、財団のスペースを持っているんです。で、そちらの方ではヴェドヴァの展覧会でした。


同じタイプの作品が、大量に無造作に並べられていて、全体のインパクトはなかなかのもの。これが一枚ずつ壁にかけられていたら、やっぱり面白くないんですよ。
この人、1930年代には活動を始めていて、戦後すでに巨匠となっていたということなので、現代というよりは近代。そういう意味では、かなり新しいことをやっていた人なんでしょうね。ルーチョ・フォンターナなどとともに、イタリア・アート・シーンを引っ張り、ポロックとかクラインとか米国のアーチストと同時代に活躍していたということです。イタリアの近代も、実は結構面白いんですよね、私が知らないだけで。
奥の方に、色のついたキャンバスも置かれていて、これが白黒の中でとても効果的で、また面白かったです。



Fondazione Emilio e Annabianca Vedova
Dorsoduro 42 Venezia
Emilio Vedova - ...In Continuum
Anselm Kiefer - Salt of the Earth
  1. 2011/10/10(月) 04:45:08|
  2. アートの旅
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スイスの旅 サン・シュルピース教会

ローザンヌに移りまして、まず出かけたのが、レマン湖畔にある、この教会です。ローザンヌの市内交通乗り継ぎであっという間にアクセスできるほど近いのに、かなり都会でちょっとごみごみした感じのローザンヌに比べると別天地のリゾート。びっくりしました。


おお!スイスのイメージ写真みたいですね。遠くから、このやたらと巨大な塔の三角屋根が見えてきて、期待させるのですが、近付いてもそれが裏切られることのない姿です。
後陣に比べると、塔の大きさは異常だし、そもそも、構造が変なんですが、でも違和感がないのですよ。青空、緑、石の優しい色、すべてが完璧なバランス。


装飾は最小限、石積みの組み合わせとか、盲アーチの活用、軒送りの幾何学的な石の帯。ロンバルディアの山の中にある教会のようです。後陣の様子だけ見ていると、コモ湖畔かと思っちゃいますね。でも、やっぱり塔が異質。
内部も、超シンプルでした。


塔の真下がメインのスペースになっていて、その周りに半円状の室があるような変わった構造で、柱がないんです。壁はほとんど漆喰の白ですが、ところどころにフレスコ画の名残が見られますので、かつては全体がフレスコ画だったような感じもしました。時代は正確に分かりませんが。
本来、柱で分割された身廊スタイルが好みですが、この教会の雰囲気は、大変よかったです。とてもいい場所なのに、人がほとんどいないし(訪ねたときは我々だけ)、だから開いてそうもない様子だったのに、ちゃんと開いているし。
ローザンヌの人混みに疲れたら、訪ねる価値大です。
バス通りから教会に行く道。


サンチャゴへの巡礼路。フリブールの方から山を下って、レマン湖沿いにフランスに入るのかと思ったら、矢印がその逆なんですね。レマン湖の方からローザンヌ方面。どういう順路なのか、調べてみたくなりました。


湖に張り出した桟橋まで出てパチリ。絵になりますね。対岸にはローザンヌの市街がきれいに見えました。

ローザンヌの市内交通は大変分かりやすく、その上宿泊すると、その滞在日数分の無料乗り放題チケットをもらえます(二泊すると丸3日分)。素晴らしいサービス、太っ腹でびっくりですよ。交通費の高いスイスだけに、さらにありがたい。
おつりも出てこない自販機を使って、旅行者から小銭を掠め取る(?)ドイツ語圏の町にも普及してほしいもんだな~。
サン・シュルピースへは、途中まで地下鉄で行って、バスに乗り換えたのですが、帰りはバスを二つ乗り継ぎました。だって、地下鉄にはクーラーが入ってなくて、暑いの何の!夏の暑い盛りに行かれる方は、是非最初からバスで行かれることをお勧めします。

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ロマネスクのおと
  1. 2011/10/09(日) 05:14:41|
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