なんとなんと、あと二つ眠ったら、新年が来てしまうんですね。
明日、大晦日より約2週間一時帰国で東京生活です。だから私は今晩ひとつ寝ると、機上の人となり、気がつかないうちに、そしてどこだか分からない場所で、新年を迎えることとなります。
今週は、とにかく忙しくて、特に昨日と今日は、怒涛でした。昼ごろから五月雨式に帰ってしまうイタリア人の気配を感じながら、一人遅くまで事務所にいたら、レセプションの警備員の人が、心配して電話をくれました。あ~、いい人だったんだぁ、と思ったけど、単に、いつまでも人がいると無用心でいけないくらいの感覚だったかもな~。 最後はぶっちぎって帰ってきましたが、近所のスーパーも閉店、最後に滑り込みでもくろんでいたお土産買いもあえなく不可能になりました。ま、いいか。お土産は所詮自己満足みたいなもんだしね。
しかし、2011年も暮れてしまうのですね。 地震から始まった一年。人々の善意や、がんばりや、希望や絶望、知らなかったり気付かなかったりしていた多くのこと、私もそうだけど、すごくたくさんの人が気がついた一年だったと思います。そういうことは、ずっと大切にしていきたい。 実際に、細々とでも支援も続けていきたいと思うし、わたし自身の生活の場でも、何かボランティアをやりたいとも思っています。これは、思うばかりで、なかなか実行できないまま、何年もたっているのですけれど…。
今年はまた、秋にも日本に帰るという異例のスケジュールもあり、実際、荷造りをしていて、思いっきりデジャブというか、実際についこの間帰ったばかりなんだな~、と思うのでした。それでもやっぱり帰りたいし、わたしにとって時々日本に行くことって、生活基盤のひとつなんですね、やっぱり。 東京出身なので帰る場所がなくて、だから昔から、「帰省する」という行為になんとなくあこがれていたのですが、気がついたら、もう何年も、思いっきり帰省しているんですね、わたし。
眠いです。まだもうちょっと荷造りの続きがあります。明日はちょっと寝坊してゆっくりと出かけられるかと思っていたのに、今夜できなかったことがたくさんあるので、寝坊は無理みたい。早く寝ないと。
では、ごひいきにしてくださっている皆様、そうでない方、訪問していただいてありがとうございます。イタリアと思っていらして、あまりにもマイナーなロマネスクの話と写真にあきれられる方も多いのだと思い、申し訳なくも思うのですが、これからも地道に、そして激しく邁進の予定ですので、よろしくお願いします。 皆様にとって、素晴らしい年になりますよう、お祈りしております。
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2011/12/31(土) 06:50:48 |
ミラノ徒然
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本当はサン・ゼノをご紹介したいのですが、1回や2回では無理だし、かといって年末でしばらく間が空いてしまうのも間抜けなので、今回の旅の終りに起こった不思議な話を書いてみます。
今回、何かこの地域の書籍資料がほしいと思っていたのですが、どの教会もブック・ショップは見当たらずがっかりでした。最後に訪ねたサン・ゼノでも、以前小さなお土産屋があり、本もあったように記憶していたのですが、今回は何もありませんでした。そこで、切符売り場の人に、ロマネスク関連の本が手に入るような本屋さんを知らないか訪ねたのです。
学生さん風の彼女が、打てば響くように、それならここ!と教えてくれたのが、ブラ広場からも近い町の中心部にあるGheduzziという変わった名前の本屋さん。店頭に何も見当たらなかったらお店の人にきいてみて、すごく親切に教えてくれるから、と。
書店はすぐ見つかりましたが、ロマネスク関連は見当たりません。早速お店の人に尋ねました。まずは熱心に棚を探してくれたものの、彼も何も見つけることができません。 次は彼が、オーナー風のオヤジに聞いてくれます。 オヤジは、「ロマネスクね。このシリーズがあったけど、もう在庫もないなぁ。」と、美術叢書のような一冊を示しました。そして、ふと脇を見て、「あ、ちょっと待って、あいつがいるわ!」と、そのとき店の奥の方から来たお客さんらしいオヤジに声をかけます。 「あんた、このシリーズのロマネスク、まだ持ってる?」 声をかけられたオヤジ、「うちに二冊あるけど?」「この人が興味があるって言うんで、持ってこられるかい?」「え、今すぐ?20分くらいかかってもいいならいいけど…。」 こっちにはわけの分からない展開で、オヤジはめんどくさそうに渋っています。 でも、誰が興味があるって?といいながら私を見た途端、「すぐ持ってくる!5分待ってて」と店を出て行きました。 なんなんだ?
5分強、店内をうろうろ物色していると、件のオヤジ、息を切らして戻ってきました。はい、これ、と渡されたのは、確かに最初に見た美術叢書シリーズの一冊ですが、相当年季の入った、つまりは古本。
でも、手早く中を見ると、内容は面白そうです。写真も結構入っているし、ヴェローナ郊外の教会も紹介されています。
「中を見て、もし気に入ったら、喜んで譲ります」、というので、しばらく中身を見ていましたが、紙の資料は好きなので、やっぱりほしいというと、「じゃぁ、15ユーロでいいかな」。
一瞬ひるみました。
だって、せいぜい10ユーロと思っていたし。
明らかにもともとは非売品ぽい。こういうタイプって、町の観光庁で無料でもらったこともある。その上、古本で、ざっと見ただけでも鉛筆で線がひいてあったりして。
わたしの逡巡をオヤジも感じたようで、「ヴェローナに住んでるんだったら、当分貸してあげるのでもいいけど?ミラノ?また来る予定があるなら、借りてく?」とか、とっても愛想よく話し続けます。
なんだかな~、とも思ったけど、そこが東京人の悲しさで、当意即妙に値切るとかできないんですよねぇ。いいです、いただきます、と素直に15ユーロ出したのでした。
渋っていたオヤジが、日本人の私を見てすぐ、5分で取ってくる!に変わったのは、きっとお小遣い稼ぎがしたかったんじゃないのかな~。もしかしたら、この愛想のよさで、過去にも日本人に何かいい商売をしたのかも~。
僕のパートナーも一冊持っているから、いいんだよ、あ、ヴェローナのロマネスク好きだったら、誰それはしってる?素晴らしい本を書いているよ、もう絶版だけど、多分ネット・オークションに出てるよ、あ、〇〇(店のオヤジ)、ネットのあのサイトにアクセスしてよ!とか何とか、私との商売がうまく済んだあとは、うきうきといろいろと教えてくれました。中世については、確かに詳しそうなんですけれどもねぇ。
そんなわけで、なんだか狐につままれた気分でお店を後にしました。 でも考えたら、結構希少本だし、15ユーロは高くないし、だんだんうれしくなってくるとともに、あのオヤジの日常を勝手にいろいろ想像して、楽しい気分で、ミラノへの帰路についたのでしたよ。 ヴェローナ、面白い出会いが本当にたくさんありました。
では、年を越しちゃいますが、次回はサン・ゼノを訪ねますので、お楽しみに。
2011/12/30(金) 06:30:31 |
ヴェネト・ロマネスク
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サンティ・テウテリア・エ・トスカ礼拝堂。
Sacello di SS Teuteria e Tosca presso SS Apostoli
これは発見でした。全然知らなかったですから、これまで。
サン・ロレンツォのはす向かいあたりにある小さな広場の、さらに奥の方にちょこなんと、サンティ・アポストリ教会の後陣にくっついた形で建っています。
オリジナルは5/6世紀と古いものの、現在の建物は12世紀の再建で、内部は多くの部分が、例によってバロック時代にいろいろ手が入っちゃっています。
そういうことは全部おいといて、このレンガ積みの小さな小さな建物、これ見ただけで、なんだか、ヴェローナの失われてしまった中世がぐわ~っと迫ってくるような、そういうたたずまいなんです。
サンティ・アポストリ教会とつながっているので、そちらから入るようにと小さな扉に記されていますが、訪ねたときはちょうどお昼休みで、全部クローズ。他を見学して、ちょうど午後の再オープンの時間に訪ねました。
サンティ・アポストリ教会の扉が開くと同時に、待ってました!状態で飛び込んだので、教会守の人は、とても怪訝な顔をしています。あちこちの扉を開けたり、祭壇をチェックしたり忙しそうなので、しばし、中世的にはまったく見所のないサンティ・アポストリ教会の中をうろうろした後、おもむろに、「あのぉ、礼拝堂は、見学できるでしょうか」と声をかけたところ、忙しげに、「ちょっとちょっと、今忙しいし、ちょっと待っててね」といいながら、外に出て、忙しげにタバコをすっているのでした。
あくまで忙しげに。誰かを待っているのかしらん、とか好意的に解釈して、じっと待つ私。
戻ってきたオヤジ、「君、こっちだから」と先導してくれます。
本来なら、クリプタのような造り。教会右身廊から祭具室に入って、そこからちょっと階段を降りたところに、それはありました。
小さな小さなスペースです。地面から、ちょっと下に降りて、半地下状態です。確かに多くの部分がバロック装飾になっているとはいえ、建物の構造は昔のまま。そして、おそらく近代になって修復で、一部当時の姿が取り戻されたのではないでしょうか。後陣の、レンガ積みは多くの部分で新しそうですが、でも12世紀の空気を感じられます。
レンガは、ちょっと表面を削ると、もうまるで新しいもののようになりますが、実は古いものだったりするんですよね。だから、新しそうに見える後陣のレンガも、もしかすると、ちょいと削っただけのものかもしれません。外観は、相当古そうですもんね。
これは、外観では、クーポラのような感じで、上に持ち上げられている部分。トンネル・ヴォルトで、レンガが美しいですね。
これは、確実に近代に取り戻されたものですね。ありがたいことです!
この、建物中央にある四角い部分ですね。
礼拝堂に案内してくれたオヤジ、実は、ぶつぶつとつぶやくように、「本当は開かないんだよ、普段は、平日の19時にミサがあって、そのときにしか開かないんだからね。今日は土曜だからね、開くわけないんだから。だから、ささっと見てね」。
え~っ、そんなことどこにも書いてないし、知らないし!あ、でも礼拝堂の扉に書いてあったかも!
そりゃ申し訳ないし、ありがたいし。
そんなわけで、明かりもつけてもらっているし、申し訳ないので、ひたすら急ぎ足で、ぐるりと中を歩けただけです。滞在時間は、おそらく5分もなかったくらい。
それでも、ミサの前に来たところで、勿論ゆっくり見ることができるわけでもなく、また平日の19時にここに来ることは、基本的に不可能なので、本当にありがたかったです。午後の、オープンと同時に入ったおかげで、開けてくれる人がいたのが、ラッキーだったのです。
今回のヴェローナは、本当に最後まで、いろんなラッキーに恵まれました。
実際、事前に、平日の19時からと知っていたら、行かなかったかもしれないし。そういう意味では、ネットなんかでも、あまり分からない方が、帰っていいのかもしれませんね。わたしの場合は、次が気軽にあるしね。
2011/12/28(水) 05:41:56 |
ヴェネト・ロマネスク
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何とか年内にローマを終わらせなければ…!!!
とあせっていたわりには、なんか今日も今日とて、テレビっ子どっぷり。だって、フィギュア・スケートのグランプリ・ガラをやってんたんだよぉ(フィギュア好きです、実は)。
テレビは見るわ、読書はするわ、お出かけしちゃうわ、で、時間だけ過ぎて、そういうしているうちに、もうクリスマスも過ぎて、お正月もすぐそこ!
で、あわてて片付けた次第です。
っていうか、いつものごとく、ほとんどはもう調べていて、写真も整理していて、ただ、それをサイトにまとめるだけの話なのにねぇ、なんだってそれが2ヶ月もかかっちゃうんだか。
あとひとつだけ、入れ忘れていた教会を入れて、再編しないといけないページがあるんだけど、基本的には今回のローマ(といっても、旅をしたのは二年前…)はコンプリート。中世をキーワードに、これだけまとめて歩いた記録はあるいはあるまい、と勝手にいい気になっています(”あるいは”というところに、ちょっと謙虚さを感じていただければありがたいです)。
モザイクのこととか、多くの教会で地下に隠された古代の遺構とか、いろいろと考えさせられることの多いローマでした。文化的にはかなり重要度が高いのに、古代とルネッサンス、バロックに集中して、語られる機会が極端に少ない中世だけに、いろいろ解明したいものを見つけた感じしてます。
そういうことも含めて、やはりもう一度、今回の見残し+カタコンベめぐりを目標に、もう一度ゆっくり(は多分無理だけど)じっくり、ローマの中世めぐり、してみたいと、すでにして思っています。
2011/12/27(火) 06:50:49 |
ローマの中世
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サン・ロレンツォ教会。
ここは、これまで全然チェックしていない教会。甘かったんだな~、チェックが。って言うか、何でチェックしてないんだ、自分!?って感じ。
この、二つの塔が、特徴的な教会です。それも、ヴェローナ特有の縞々ですからね。印象かなり強烈。
とはいえ、ここの残念なところは、もう完全に埋もれちゃっているんですよ、周囲の建物に。だから、これだけ印象的な塔なのに、開けた場所にあれば、ランドマーク的な特徴的な塔なのに、もう、全然見えないんです。「小さなお家」が、郊外に引っ越す前の最悪の状態のときの状態です…。
中も、なんだか感じいいんですよ。
どこまでも縞々で、うるさい!と感じてしまいそうですが、実際にこの場にいると、しっくりと落ち着いていて、全然うるさい感じはないんですよ。この写真を見ると、え?ちょっとうるさいよね?と思ってしまう感じで、不思議な気がします。
こういう感じ。全体の照明は上の方の自然照明な感じで、だから、一見うるさそうな縞々も、うまい具合に沈み込んでいるんです。
この教会も、以前は、ヴェローナの教会観光共通券(現在は、四箇所で6ユーロという、アレです)の中に組み込まれていたそうなんですが、今は外れたそうなんです。多分、そういうのに入っていると、いろいろ制約ができたりするんですよね。今は、普通の教会としてやっていて、だから入場も自由だし、写真もとやかく言ったりしません。その代わり、普通の教会時間で、しっかりお昼休みはクローズ。でもなんだか、入り口に券買所があったりするよりは、自由に入って、志で献金できる方が本当ですよねぇ。そういう方がいい、って思ったんだとしたら、なんだか好感持てます。
それに、内陣の脇辺りで、司祭様風の人が机に向かって、一心に何か事務をしていて、そんな姿もすごく普通の教会って感じで、よい雰囲気だったんです。実は、献金の計算とかしてたのかもしれないですけれどもね~(笑)。
この教会の埋もれぶり。
前の通りは、結構大通りで、バスなんかも行きかっていますけれど、建物にはさまれたゴシック風の入り口が、教会。これって、もうどんどん見逃しちゃう風情でしょぉ。
そして、ほんとにここかな?と扉をくぐれば、これ。
教会の一部は完全に住居化してますんで、ますますもって、これ?ほんとに?と思ってしまいますよ。
最初に紹介した二本の塔にしても、近付くことはできず。この敷地内ですら、近づけないように鉄柵があります。本来ならファサードのはずなのにねぇ。
例によってしつこいわたくしは、疲れた身体に鞭打って、反対側の道もチェックしましたとも!すごく大回りをして、あ、ここかな、と思ったら、やっぱり単に鉄柵があるだけで近付くことはかなわず、全体も見えず、同じ状態でした。
川沿いで、旧市街の中心というわけでもないし、かつては、町のはずれ、周辺部みたいな立地で、周りには何もなかったのかもしれませんね。ファサードに二本の塔なんて、かなり派手な作りは、ある程度遠くから見ることを想定して作られたはずですしね。残念。小さなお家のように、よいタイミングで、もっとはずれに移れればよかったのにね。
2011/12/26(月) 05:39:28 |
ヴェネト・ロマネスク
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ドゥオモの脇にあるサンタ・エレナ。
たたずまいからして、起源が相当古そうなことが分かりますよね。前回書いたとおりに、残念ながら、内部へのアクセスは今回も果たせず。次回、是非夏季に来て、ドゥオモから入りたいと思います。
ファサード前のポルティコ。
とても小さな空間ですが、過去の歴史の集積を視覚化したようなたたずまいで、なんだかとても好きでした。
ドゥオモには観光客もそれなりに来ますけれど、そして、このサンタ・エレナは、ドゥオモの左のわき道をちょっと入ったところにある極近い場所なんですけれど、中世好きでもなければ来ない、っていうか多分知らないので、誰もいないよさもある空間です。
誰もいないって言っても、住んでいる人はいるわけで、自転車がそれを物語っているかも。
このサンタ・エレナの前に、素敵なキオストロがありますけれど、これも、結構無名っぽい。
これまた、これだけでヴェローナを物語るような繊細かつ優美な回廊ではありませんか。二段構えで、なおかつその細さ、繊細さって言ったら。
全部がこういう感じだったんだったら、さぞや素晴らしいものだったでしょうが、今二段構えが残っているのは、この面だけ。
この面だけといっても、美しいことに変わりはありませんね。
このキオストロのすごいところは、実は、今現在、取り囲む部分は一般住宅になっているということかも。様は、二階部分以上は一般家屋で、普通の人が暮らしているんです。
だからキロストロの入り口にも、「ここは一般の住宅なので生活を邪魔しないように」という但し書きがちゃんとあるくらいです。
中世のこれほど美しい回廊を、我が家の庭のように使う生活って、なんか想像ができるようなできないような。実際、私が写真を撮りまくっている間にも、帰宅される方がいたりして、「ボンジョルノ」なんて挨拶を交わしました。
こういう風にプライベートになってしまうと、入り口は閉ざされるケースが多いのですが、ここは太っ腹に開放されていますから、すごいことです。それだけ、人が来ないということかもしれません。
実際、かつては栄えていたのでしょうが、現在のドゥオモ周辺は、どちらかというと住居地域で、繁華街ではありませんし、旧市街とはいえ観光的にもはずれになりますからね。
なぜ、半端な場所にキロストロがあるかといえば、おそらくかつては、隣接して教会があったはずなんです。回廊の入り口部分に、現在より低かった昔の地面のレベルまで掘り下げた場所があり、そこにモザイクが見えます。
この柱がかつての教会の一部だったのだとすると、ここの土地には、何層にも歴史が集積しているはずなんです。キオストロの前の時代の古い教会があって、その後の教会や修道院の会った結果としてキロストロがあって、それも分からなくなって、残っているのが、現在のドゥオモやサンタ・エレナということになります。
考古学的発掘も、一体どこまで遡るべきなのか、掘り返して、どこまで残すのか、埋め戻すのか、開発するのか。こういう歴史の集積を目の当たりにすると、このイタリアという土地の難しさが分かるような気がします。そういう中で、よくここまで発展したな、と思う部分も強くあるのです。ま、現在の金融危機はおいといて、ですけれど。
ヴェローナは全体として、実にユニークな土地ですね。 今後、いろいろと資料を読み込んでいくのが、あらためて楽しくなってきました。
2011/12/24(土) 06:24:14 |
ヴェネト・ロマネスク
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ドゥオモ、ファサード。
右脇の扉周辺装飾は、とってもロマネスクですが、正面は、ファサード全体ゴシック以降の香りの方が強くて、ちょっと近寄りたくない気持ちになります。
とはいえ、扉周りの装飾には、ロマネスクの名残も見られるのでした。
側柱に、仲良く並んだ、多分預言者たち。
でも私が好きなのは、こういう変なものたち。
ちょいと磨耗が激しいですが、ドラゴンですよねぇ。結構写実的な感もあるので、この磨り減り状態がちょうどよろしいかも。
タンパン。
なんせ高い場所にあるので、肉眼ではあまりよく見えなかったんです。彩色もあるので、相当時代の下ったものかと思ったんですが、写真であらためて見た感じとしては、13世紀ごろ?もしくは12世紀終りとか?
中央に玉座に腰掛けた聖母子。右にマギの祝福、左は羊飼いへのお告げ(でしたっけ?)。今は水色だけですが、もしかしたら全体色つきだったような。そうなるとちょっとアジア・チックですよね。大体この水色が、後付と思うのですが、変にアジア・チックな水色…。
実は、右扉に加えて気に入ったのは、ファサードや側面の一部に帯状にはめ込まれている浅浮き彫り装飾です。
たとえばこんなの。
職人さんと、植物。表現は、後陣軒下同様に、つる草の中に、動物や人のフィギュアが描かれているというものです。ドラゴンなどの幻獣や、雄鶏、鹿、ウサギ、物語の一場面のようなシーンもあれば、狩の場面もあり、とても装飾的な葡萄の房、とてもバラエティーに富んでいます。後陣にある帯装飾は、あまり遠くて細部が見えませんでしたが、きっと同じ職人さんの手で、同じようなモチーフが見られるのではないでしょうか。
壁へのはめ込みは、ファサードの下部の方の横一列、そして右壁のほんの一部に一列あるだけですが、もしかすると、もっとたくさん並んでいたのかもしれません。かわいかったでしょうねぇ。
さて、ドゥオモを訪問したのは、右扉の装飾を撮影したかったのと、前回訪問できなかった古い教会のためです。ドゥオモ内部から、かつて洗礼堂として使われていたサン・ジョバンニ・イン・フォンテ教会にアクセスできることになっています。初期キリスト教時代のモザイクや、柱頭があるらしいんです。加えて、これまた古いサン・エレナ教会にも、ドゥオモからアクセス可能ということで、大変楽しみしていたんです。 今日は早仕舞いと言われたので、ランチを我慢して駆けつけたのも、そのためだったんですが、なんと!ドゥオモ本体以外は、公開は夏季だけ、ということであえなく敗退…。 ここも、共通チケットで、安いといいながら入場料を取るんですが、目的にアクセスできないのに冬季も夏季も入場料が同じって、なんとなく釈然としないし、受付のお姉さんに、つい恨みがましく、「でも冬季は非公開なんて、どこにも書いてなかった…」とぶつぶつしましたけど、勿論取り合ってくれませんでした。 共通チケットの場所ほど、本来の教会の機能を忘れちゃってる感じで、やっぱり良し悪しですよね。
大体ヴェローナは、ネット・サイトがたくさんあって、教会のオープン時間やミサの時間などの情報が結構集めやすいんですけれど、必ずしもアップデートされていないんですよね。最新じゃない情報って、実はあるだけ毒みたいなものです。
というわけで、ここは夏にまた行かないと行けません。この町は、いつも何かしらあって、何度行ってもコンプリートできそうもない気がしてきました。
2011/12/23(金) 06:09:27 |
ヴェネト・ロマネスク
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冬時間だと、起床する7時ごろは、まだほとんど夜です。しばらくすると東の方から明るくなって、やっと朝の気配が漂います。
そして、ほんのたまにですけれど、素晴らしい朝焼けに出会うのです。
今朝、そういう朝焼けでした。なんともいえぬ微妙なグラデーション。赤いけれど、知っている赤はひとつもありません。
そういう時って、東向きの居間で朝ごはんの最中に、わずかに開いているブラインドの隙間から、とても不思議な光が入ってきます。
上の方に、ぽんぽんと並んだ雲の切れ端も、まるで計算されつくした構図に思えてしまいます。やっぱり自然ってすごい。
赤との対比で、すでに見えてきた青空も、もうこれしかないって言う色になっています。
朝焼けや夕焼けって、結局雲なんですよね。雲ひとつない日は、お日様がすぽんと生まれたり沈んだりして、それで終わってしまうから。今朝の雲は、本当に見事でした。
ほんの10分くらいのアート。すっかり朝になったら、なんか憂鬱な一日を予感させるような、曇りがちの空が広がりました。
実際、午後から曇りになりました。そして、すごく忙しくて残業までして、やっぱり憂鬱な一日でした…。
でもこういう朝焼けは何度見てもいいな~。
2011/12/22(木) 05:35:26 |
ミラノ徒然
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ヴェローナのドゥオモ、続きです。
右扉から、後陣の方に回り込みます。
縞々の黄色の部分、多分、凝灰岩ですかね。後陣の円形部分は、ほとんどこれ一種類で、薄黄色。修復の結果でもあると思うのですけれど、オリジナルはもうちょっといろいろ混ざっていたのじゃないかな~、と思います。
というのも、脇の方は、一見凝灰岩だけに見えるけれど、実は、微妙に色の異なる石が混ざっているのです。
すべてを計算したわけじゃないと思うのですが、そして、ただの四角い切石積みなのに、びっくりするくらい美しいものです。
後陣は、その軒送りが特徴的。
すっごく繊細な浅浮き彫りが、びっしりと帯状に配されているんです。背が高くて遠い!肉眼では、つる草模様を認識できる程度です。6倍ズームでもやっとこんな感じ。
せっかくなので、ちょっとアップ。付け柱の上の柱頭装飾も、なんだか独特でかわいらしいんですよ。
帯部分は、つる草の中に、葡萄房や、動物がはめ込まれています。動物の感じは、ちょっとポンポーザも彷彿とするような。正確な時代は、調べないと分からないのですけれど、葡萄房の表現力とかから考えると、全体としては12世紀後半って感じ?
この軒下の帯状浅浮き彫り、実は、ヴェローナ・シリーズの最初に紹介した、サン・ジョバンニ・イン・バッレ教会にもあったんです。
これ。
タイプは同じなんですが、動物モチーフを比べると、明らかに違う手なんです。サン・ジョバンニの方が、時代が下る感じです。
いずれにしても、とても美しくて、後陣が一気に優美さを増すというか、洗練されるというか、あるとないじゃ全然違うっていう装飾です。こういう帯状浅浮き彫りって、他でありましたっけ?
軒下の装飾ということで、たとえばルッカのサン・ミケーレを思い出しますけれど、あれは象嵌みたいな技術なのでタイプは全然違いますけれども。
続きます。
2011/12/21(水) 05:41:24 |
ヴェネト・ロマネスク
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ヴェローナのドゥオモです。
このファサードを見ると、ちょっと違うんじゃないの~、という感もありますが、一応中世残っていて、一部ロマネスクも見られます。
外観で特に注目すべきは、右側廊側の扉ではないでしょうか。
縞々のほとんどは、後代にきれいにされたものと思われますが、でもおそらくオリジナルもこういう感じだったんではないでしょうかね。しつこいまでの縞々。なんかヴェローナ・ロマネスクってこういうものらしい。
で、中央にあるのが、その扉。
ここは、扉口前にある円柱と柱頭、その上の装飾浮き彫りが、実にロマネスクしているんですよ。
写真では、特にわたくし撮影の稚拙な写真では難しいと思うのですが、右側のライオン君、本物は、びっくりするくらいに間抜けでかわいらしいんです。もしかすると、あまりかわいらしさが感じられないこの写真に、石工が本来こめた気持ちが現れているのかなぁ。間抜けそうとはいえ一応ライオン。でもこの方、お尻を他の動物にかじられています。
一方でこれはどうですか。
柱頭の四隅に現されているフィギュアは、髪が長い男性で、サムソンに見えますけれど、どうでしょう。柱頭の上にある副柱頭おフィギュアもまた、変わっていますよね、わざわざとってつけたような乳房。でも女性なんでしょうか。
その上にあるのが、これ。
え~っ。下のフィギュアに比べると、いきなりかなり写実的って言うか、雰囲気違いますよね。ここだけ新しいのかな。
全体に、図像学的な意味も、分かるような分からないような感じで、面白いんです、確かに。当時のまま残っていたら、本当に面白かったのにね、ずいぶんといろいろ変えられちゃったんで、なんとも。
続きます。
2011/12/18(日) 06:12:36 |
ヴェネト・ロマネスク
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