ブリオネ8
アンジー・ル・デュックAnzy le duc、旧クロワ・エ・マリー修道院 Ancien Prieure Sainte Croix et Sainte Marie続きです。
中に入ります。ここも実は、扉は堅く閉ざされている感じで、開いているとは思えなかったのですよ。でも、どうしても中が見たいなぁ、と思って、一応試しに押してみたら、開くんです!ここで初めて、モンソー・レトワールでも、試したら開いていたのではないか、
と言うことに気付いたわけです。
さて、内部はどんなもんでしょうか。
中に入れた、と言うだけで、なんだか感激ひとしお。そしてまた、第一印象は、石。素朴な石積みで、とっても高感度高くて、興奮しまくりのわたし。こんな素晴らしい教会に、イースター休暇なのに、誰も人が来ないことに呆然、と言う気分でした。
内部の彫り物装飾もすごくよいですよ。
これは、ライオンと、誰?ライオンの目隠しをしているのが、不思議な構図ですねぇ。ライオンの足の様子がグリフィンみたいで、長いつめが怖いですね~。
こちらは、再びミカエルさんでしょうか。
戦いに必死、と言う様子がすごく臨場感あります。向かってくるライオンの形相もすごくて、なんかもう危うい感じで。
一方で、これはどうでしょう。
こういうアクロバティックな人のフィギュアって、割とありますけれど、どういう意図があるんでしょうね。この人の場合、ただでさえも辛そうな体勢なのに、その上、胸の辺り、怪物にかじられちゃってますからね。痛いなぁ。
その上、なんと!足の方もカジカジされちゃってますよ!
意図はわからないんだけど、面白い~。
興奮高まるばかり。ここは、ブリオネ最初のハイライト、でしたね。
続きます。
- 2012/06/17(日) 06:01:32|
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ブリオネ7
アンジー・ル・デュックAnzy le duc、ここも、ブリオネでは重要度の高い教会、旧クロワ・エ・マリー修道院 Ancien Prieure Sainte Croix et Sainte Marie付属だった教会があります。
このアプローチだけで、既に、これは、と気持ちがはやります。
それにしても、すべてが美しくて、ブリオネ、すごいぞ!とどきどきが高まるばかりです。
とりあえず、ファサードに近寄ります。やっぱりここも、タンパンにアーモンドのキリストが見えます。
おっと、ここのは、モンソー・レトワール以上に傷みが激しいかも。石は同じタイプですけれども、自然な磨耗と言うよりも、かなり壊されちゃっています。キリストの顔がなくなっているのは、なんだか辛いですよね。
いずれにしても、表現的には、かなりスタンダード。キリストはどっかりと腰掛けているし、アーモンドを支える天使たちも、普通にアーモンド方向に身体を向けて、それを支えるのを仕事としている感じ。イエーイ、とか言わないで、静かにね。
このタンパンの下のアーキボルトも、やはり十二使徒なんですが、全体に静か。ざわざわしてないんで、モンソーとはかなり異なります。実際に見ているときはここまで感じなかったですが、これだけ距離が近いけれど、明らかに違う石工さんの作品で、表現の方向が違っていて、ってとても面白いですねぇ。
ディテールまで見ると、かなり繊細な彫り物をしているので、ここの仕事をした石工の技術ってかなり高かったと思われるんですよ。でも、より様式美を求める方向にあったのかもしれません。
アーキヴォルトには、音楽をする人々のフィギュアが彫られているようなのですが、本当に残念な傷みぶりで、残っている部分がわずか。
全体が残っていたら、かなり面白いアーキヴォルトなんでしょうけれど。だって、楽器を奏でる人々のフィギュアがずらずらって、あまりないですよね?それも、天使っぽくないひげ面。何でしょう、これ。
モンソー・レトワールが、表現力で勝っていたとすると、ここは、モチーフの面白さに見るべきものがあるって感じでしょうか。
続きます。
- 2012/06/16(土) 05:42:05|
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ブリオネ6
モンソー・レトワールMontceaux-l'Etoileの聖ピエール・エ・パウル教会Eglise Saint Pierre et Saint Paul、続きです。
昨日紹介したタンパンの下、アーキトレーブにあるのは、十二使徒の勢ぞろい、と思います。ちょっと傷んでいるのが残念ですね。ここの人たちも、とても動きがあって、生き生きざわざわしている感じなんです。
図像学弱くて、鍵を持っているのがピエトロよね、くらいしかわからなくて情けないのですが、傷んでいるとはいっても、それぞれの人物はかなり繊細な表現で表されていますから、ちゃんとシンボルとか知っていれば、これが誰、と言うのはすべてわかりそうな感じです。
側柱の柱頭もなかなかの作品が並んでいます。
立派な盾をもって戦士っぽいんですけれど、誰でしょうか。
これも、鎖帷子を着込んでいるので戦士かと思ったら、翼がありますね。サン・ミケーレでしょうか?でも懲らしめているのは悪魔っぽいフィギュアで、ドラゴンじゃないですから違うかな。
ね、楽しいでしょぉ。
さらに、建物をぐるりとしてください。軒送りを忘れてはいけません。
いや~ん、ぼけら~、とした不思議なフィギュア。かわいいって言うか、怖いって言うか。でも好きです~!
こんなのがずらりと並んでいて、思わずにんまりしてしまいます。
一発目から、楽しませてくれます。いきなり入り込みました。
でも、ここではまだ知らなかったこと。
扉がしっかり閉ざされていても、フランスでは多くの場合、ちゃんと開いていると言うことを。
これほどしっかり閉まっているから、あけようと試そうともしなかったんですよね、ここでは。そもそも、中は特に興味がなかったと言うこともあったとはいえ、試す前からあきらめてしまって。
この後、他の教会で試しに押してみたら開いている、と言う例がほとんどだったので、おそらくここでも開いていたんだと思います。残念。
と言うことで、フランスでは、普通の時間なら、まず扉は開いているので、絶対に試しましょう。
- 2012/06/15(金) 04:53:31|
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ブリオネ5
お待たせしました。いよいよブリオネ地方の心臓部に分け入ります。とっても気持ちのよい、だけど行けども行けども終わりのないドライブの始まりです。
ブリオネ、とても狭い地域なのですが、ぎっしりと、どの町村にもロマネスクの教会がある状態で、行く前に調べた段階でも、ありすぎてお手上げ状態でした。全部回るのは無理なので、初回としては、やはり誰もが行かれている有名どころ、行きやすい場所を中心に回ることにしたのですが、実際に訪ねると、どこでも上のような地図が掲げられていて、近くにこれもあれもある、と気が散ること。地図上でほんの傍にあると言うのを知ると、無視して通り過ぎるのは気分が悪い。と言って、全部見ていたら、予定している場所を回りきれない。辛かったです~。
まずは、モンソー・レトワールMontceaux-l'Etoileの聖ピエール・エ・パウル教会Eglise Saint Pierre et Saint Paulを訪ねます。
町と言うより村と言う規模のモンソー・レトワール。町は道沿いにある感じなので、中心地と言うのがあるのかどうかもわからないまま、教会を求めてゆるゆると走っていると、道沿いに鐘楼が見えました。
教会の手前が、町の広場(日本だったら、必ず盆踊りとか夏祭りが行われそうな、そういう人工的な広場です)兼駐車場になっています。
そこにゆったりと車を停めて、いよいよ!
全体に黄色と不思議なピンクの石。
ファサードのタンパン彫刻と、側柱の装飾に注目、と事前調査で確認しています。
これ。どきどきふわふわの気持ちで近づきました。
ここに来て初めて、あ、フランスに来たな、ブルゴーニュなんだな、ってすごく実感しました。
サイズの小さなこじんまりとした教会で、全体のたたずまいがロマネスクという、ある意味、普段イタリアで慣れているイメージであるだけに、それでいてディテールが明らかにフランス、という状態だったからかな。
でもあまりに気持ちが夢見心地でふわふわしていて、現場での注意力はかなり散漫だったと思います。その分、とにかく写真をとりまくりました。
キリスト拡大。
この後、ほとんど基本は同じモチーフのタンパンにどこでも出会うのですが、今改めて写真で鑑賞すると、ここの浮き彫りは、かなり好みです。傷みもありますが、多分この石工の表現力が好き。
キリストが、くねっと左足を出して動的な印象になっているところや、アーモンドを支えている両脇の天使が、外側を向いて、支えていない方の腕を大きく上に開いていると言うのも、ちょっと独特な感じじゃないでしょうか。膝も思いっきり曲がっていて、右側の人なんて、ちょっとヒップポップ踊っているような。かわいい。
どうですか?イエーイ!って言ってますよね。
続きます。
- 2012/06/14(木) 05:24:37|
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ブリオネ4
パレ・ル・モニアルParay le Monial、バジリカ・デュ・サクレ・クールBasilique du Sacre Coeur、続きです。
ここ、内部はかなりつるつるに新しくなってしまって、雰囲気がありません。ディテールを見ると、後陣部分に開けられて、後代にステンドグラスがはめ込まれた窓の上のチェッカー装飾のアーチなど、再建でもオリジナルのモチーフがうまく使われている面白さやかわいさはあるのですが、どう見てもつるつるの再建だと、心に響かないんですよねぇ。
かなり高いところにある柱頭には、古いものもあるのですが、なんせ高くて遠くて暗くて、よく見えない。昼間の光のあるとき、かろうじて撮影できたもの。やっぱり一眼レフ、必要ですねぇ。または光学20倍くらいのズーム。
何とか見える感じでは、幻獣モチーフとか、ちょいと面白い感じなんですけれどね、でも全部が見えないし細部が見えないし、統一感とかよくわからないのでした。
ここで、よく見るべきは、やはりファサード側の扉のあるナルテックスと言うのかアトリウムと言うのか、屋根のある部分。
立派な二本の塔のあるでかいファサードの割には、とてもこじんまりとした扉ですが、その周囲の装飾彫り物は、なかなかに繊細で凝ったものです。
タンパンにも、かつては何かあったのでしょうね。土地柄、おそらくアーモンド・キリストと天使じゃなかったかと思いますよ。つるつるになっているので、完全に壊れたのか、または、半壊状態とかで美術館ピースになっているのか。そういえば、この町には博物館があり、ブリオネ地域の教会のタンパンなどもあると読んだ気がしますが、当然、時間がないので、訪ねてないのです。ちょっと失敗だったかな。
アトリウムにある面白い柱頭。
体育座りの人物フィギュアと、口から舌ならぬ、植物を吐き出している様子の猫科の動物フィギュアがたくさん並んでいます。グリーン・マンの動物タイプ、ですかね。体育座りの人たちは、みんな肋骨がしっかりと掘り込まれていて妙に写実的です。足の指なんかもきちんと細かく彫られていますね。かわいいような不気味なような、印象的な柱頭です。
北側面にある扉も、ちょっと見てほしいです。
これ、なんでしょう。どう見てもアラブ。アルハンブラ、って言われたら、そうかも、と思ってしまうような感じなんですよ。
側柱は、柱部分も柱頭部分も幾何学系モチーフがびっしり彫られていて、拡大すると、そのあまりの粘着ぶりに、ちょっと鳥肌もの。これ、基本スタイルはロマネスクだけど、全体にかなり後代のものと見ましたが、どうでしょうか。
うわ~、見れば見るほど、気持ち悪い~。って言うのも、とっても失礼ですけれど。アルハンブラとか、好きなんですけれど、イスラム装飾の、あの空間が怖い的なこれでもか装飾って言うのは、どうも…。
- 2012/06/13(水) 05:03:10|
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ブリオネ3
ブリオネのロマネスクめぐりの拠点となるパレ・ル・モニアルParay le Monial。地図上では、それなりの大きさの町に見えるのですが、実際は、教会以外は住宅地と、ちょっとした商店街があるだけ、駐車し放題の気楽な小さな町で、これなら何も郊外に宿をとることもなかったなぁ、という感じでした。
観光の拠点ではありますが、一応ここにも、見るべき教会があります。
バジリカ・デュ・サクレ・クールBasilique du Sacre Coeur、あ、フランス語の発音がよくわからないので、イタリア語交じりになっちゃいます、ごめんなさい。
美しい、いかにもフランスのたたずまいですね。やっぱり時代が下るって言うか、正直わたしが本当に好きな風景ではないのですが、でもフォトジェニックで美しいのは間違いないです。
教会は、奥の方の塔のある建物。
ここは、到着したときと、ブリオネをめぐり倒した一日の終わりの二回訪ねました。最初に訪ねた時は、首尾よく教会そばの路上駐車上に車を停めたところ、周辺があっという間に車で埋まったので何事かと思ったら、ちょうどミサが始まるところでした。というわけで、外観を拝んだのみで、出発。
夕方、拝観できるかも、と思い、訪ねたところ出会ったのが、この美しいライトアップされた姿です。
4月早々で、夏時間ながら日暮れが早かったので、教会のオープン時間でも、既にこういう黄昏で、ヨーロッパの初夏の宵の色とでも言うのですかね。わたしの最も好きな、青と水色と藍と、いろいろなブルーが混じった空の色。
この教会、全体にはインパクトが強いわけではないし、内部もずいぶんと修復されてしまっているので、往時のイメージを抱きにくいのですが、たたずまいが町の風景として一体化しているのが、とてもよい感じでした。ミサも超満員で、そういう現役である現実も、建物を活性化しています。
こういう感じ。ファサード側は川に面していて、脇の方は商店街からの眺めが緑で美しくて、そして、後陣側。
これは、かなりごつくて、ロマネスクというにはちょっと、という感じもあるのですが、それでも美しい後陣です。大きな教会なのに、意外とよそよそしさがないって言うのかなぁ。なぜかといえば、よくわかりませんが、後陣の周囲に取られたちょっとした空間のせいもあるのかな。
なんか、イメージとしてちょっとビザンチン風な感じも、距離感を縮めているような。ビザンチンだと何でそうなるの、と言われるとぜんぜんわからないんですが、大きいのにこじんまりしている雰囲気なんです。
まぁ、それは後陣側にかぎって、ですけれどね。
なんか、石の積み具合とか、大好きなチェッカー模様の入った窓の上部飾りアーチとか、そういうのが、いいんですよ。
あ、もしかすると、今回訪ねた教会では、うっとりする後陣が少なかったから、後付で、よさがじわじわ来たのかもしれませんけども。
柱頭等のディテールは次回。
- 2012/06/12(火) 05:32:53|
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また、ちょっと寄り道。
最近すっかりご無沙汰している展覧会めぐり。
ずっと気になっていたのですが、一度習慣的に行かなくなると、手元に情報が集まらず、知らないことはないこと同様ですから、何もない生活に慣れてしまう。
その上、最近、会社のインターネット厳しくて、これまで展覧会情報をお世話になっていたサイトも、とうとうアクセス・ブロックがかかるようになってしまったんです。「今日は元気があるから、会社帰りにちょっと寄ろう」、と思い立ったときに、展覧会情報はとっても便利だったんですけどね。おいおい…。この辺、すっかりイタリア人。こういう人がいるから、会社は厳しくするんですよねぇ。
というわけで、本当に長い間どこにも行っていなかったのですが、久しぶりに探すと、もう夏休みも近いというのに、いろんな展覧会があることあること。それも例によって、無料の展覧会に事欠きません。そういうのを一度知ると、あれもこれも見に行きたくなります。
というわけで、まずはおなじみレアーレ宮の無料展覧会、二つ。
Gli Artisti Italiani della Collezione ACACIA
Palazzo Reale
until 24/06/2012
ACACIA(Associazione Amici Arte Contemporanea)というアソシエーション(現代美術協会)が、将来、ミラノに作られる現代美術館を想定して買い集めているという、イタリア人現代美術家の作品コレクションということです。
イタリアは、現代美術で有名なベネチアのビエンナーレが、びっくりするくらい長い歴史を誇るほどの国ですから、古いものばかりというイメージと裏腹に、実は結構現代美術が好きなのですよ。多くの町で現代美術館がありますし、ロベレートのMARTとか、トリノ郊外のリボリとか、最近開館したローマのMacba、いや、名称を忘れましたけれど、どれもかなり立派です。そんな中、実はミラノには、「現代美術館」がないんですよねぇ。
サローネなどで積極的に使われるトリエンナーレなど、デザイン方面は既にかなり充実しているのですが、いわゆるアートについては、他の大都市にかなり遅れを取っています。
現代美術館、ローマよりミラノだろう、と思っているのですが、なかなかできません。が、構想はあるということらしいので、将来が楽しみです。
この展覧会では、18人の作家の作品が、部屋ごとに並べられていて、なかなか面白かったです。現代、久しぶりだったし。
たとえば、いつも妙なインパクトのあるこの人、Cattelan。
Love saves lifeという1995年の作品。不気味ですよ。ロバ、犬、猫、鶏、とブレーメンの音楽家状態ですけれど、本物の剥製ですかねえ。怖いので近寄りがたかったです。こういう宮殿のお部屋に置かれたミスマッチが不思議です。何よりびっくりするのは、個人蔵らしいんですよねぇ。こういうアートを買う人がいて、まぁ買う人がいないと成り立たないでしょうけれど、これ、飾るんですかねぇ。
一方でこれは、宮殿の雰囲気に妙にマッチしていました。
本物の花が仲良く身を寄せていて、バックには美しいクラシック音楽が流れていて、異空間でした。
地味ながら、なかなか面白いじゃん、と思いながら、今度はお隣の展覧会に突撃。
Addio anni 70
Arte a Milano 1969-1980
Palazzo Reale
until 02/09/2012
こちらはまた、無料とは思えない力の入った展覧会で、行けども行けども展示が終わらないので、びっくりしました。
写真や絵画、インスタレーション、等々あらゆるタイプの当時の美術が並べられ、そして当時世界中で、そしてイタリアでも起こった、ヒッピーとかそういうムーヴメントのビデオが流されて、70年代ってなんてカオスだったんだろう、とある意味目を見張るというのか、怠惰でエネルギーのない自分が、この時代にいわゆる若者じゃなくてよかった、と思ったりとか、何かいろいろと考えさせられるような、展覧会でした。多分、美術というより、カルチャー的な。
一番驚いたのは、これかな。若き日のクリスト。
なんと、ミラノのドゥオモ前にある騎馬像を包んでいたんですね。見たことも聞いたこともなかったです。すっごく若いので、まだ駆け出しですね。奥さんもいない時代かしら?いやはや、たまげました。
もうひとつは、そういえば見たことはあるかもしれないけれど、特別気にしたことがなかったような気がする、イタリア人芸術家Fausto Melotti。
とても素敵な、カルダー風の金属の作品があって、もう本当にほしい!としばらく離れられませんでした。たまたま監視員がすぐそこにいるので、写真も撮れなくて残念でしたけれど、小さな作品で、素人でも作れそうに見えるのは、カルダー同様です。この人、本来どういう人なのか、調べないと。
その他にも、イタリア近現代に詳しくない私でも名前を知っている作家の作品が、いろいろとありました。Emilio Tadiniとか、写真家のBasilicoとか、既に70年代に活躍していたんですね。
大好きなPomodoroさんもありました。
左側の方できらきら輝いているオブジェ。そういえばこれも個人蔵。こんなものを置けるスペースを持つ家に住めるなんて、憧れですねぇ。あ、まずは買えるのがすごいですけどね。
このレアーレ宮、天井も高くて大きなスペースも多いので、現代美術にはなかなか適していますよね。
これは、ちょっと面白かったんで。
どれもものでぎっしりのいろんなテーブルが縦にずらりと並んでいて、こういうのって、「ウィリーを探せ」(ページごとに群集が描かれて、その中からウィリーを探す絵本)的な興味を感じて、何を探すわけでもないのに、ディテールにはまり込むというのか。そのはまり込むディテールを本当に掘り下げているのがすごい。偏執狂的で、きっと性格粘着質だろうなぁ、と思いますが。
荒川修作とか、何人か日本人のアーチストの作品もありました。ふーん。
こちらは夏休みもずっとやっているので、お時間のある方は是非訪ねてください。
- 2012/06/10(日) 05:48:29|
- アートの旅
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ブリオネ2
ペルシー・レ・フォルジュPerrecy les forges、サン・ピエール・エ・サン・ブノワ教会Eglise de St.Pierre et St.Benoic続き。
この教会で見るべきは、ファサードにある扉周りの装飾と、その扉のあるナルテックスにある柱頭です。
工事中のためと思いますが、本当にびっくりするくらいの汚れようで、実は、ナルテックスに足を踏み入れるのもためらわれる有様でした。鳥の糞がびっしりで、臭い…。
でも、タンパンや柱頭装飾を目にしたら、地面の鳥の糞もその臭さも消えうせて、うっとりして歩き回った自分に、後からびっくりです。
タンパンは、このあたりの教会すべてに共通する、アーモンドの中に鎮座しているキリスト、それを支える天使。
このキリストが中央に置かれた図は、どの教会でもかなり画一的で、ちょっと時代も下る雰囲気で、実はあまり面白いと思えなかったのですが、この周辺、アーキトレーブだったり、側柱の柱頭だったり、アーキボルトだったりの彫り物が、割と千差万別で面白かったように思います。
ここも、側柱の柱頭とかが、面白かったですね。アーキトレーブ部分も結構。でもいたみも激しかったです。
右側の側柱柱頭。
左側。
なんか物語チックで、動きがあるんですよ、全体に。手足が妙にダイナミックで、劇画的って感じ。
全体に、なんていうか、身体くねらせ状態で、すべて「動画」っぽいんです。
北部では、あまりの大作揃いで、それぞれのディテールを鑑賞し損ねていた気がするんですが、このあたりから、細部に注目状態となります。
で、実はこの教会で最もお会いしたいと思っていたのが、これ。
象さんの柱頭です~!
象のフィギュアがあるということで、とても気になってきて。寒さに震えながら、さっさと切り上げそうになって、あれ?象さんはどこに?と改めて見直したのでした。そう、本当に寒くて、ぶるぶるしていたので、写真も手振れが激しいのですが、この象に関してはばっちりでしたね。
象といえば、プーリア・ロマネスク。プーリアなら、アフリカから来たのかな、とか思うのですが、ブルゴーニュの象は、普通に考えるとちょっと変なので、やはり聖地経由の情報で、プーリアあたりの象のフィギュアがもたらされたのかな、とか考えます。
そういうのを考えるとき、初めて、様式としてこれだけ広範囲に広がった最初がロマネスクであったことに思い至るわけです。すべて歴史なんですよねぇ。
ま、この象の出所がどこなのかは、今のところ何も調べてないですし、謎ですけれどね。
- 2012/06/09(土) 05:39:33|
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ブリオネ1
さて、またブルゴーニュに戻ることにします。
ブリオネ、というよりは、ブリオネとその周辺域、とした方が正確。ブルゴーニュ北部のアヴァロンから、一気に南端近くまで降りてきました。
このあたりのロマネスクは、全体に小ぶりで地味なタイプのものが多く、本来のわたしの好みに近いと感じられたため、今回の旅も、実はこのブリオネ集中型も考えたのです。でも、初めてのブルゴーニュで、その代表選手とも言えるヴェズレイやオータンを見ないのもちょっと違うだろうと思い、こういう順路となりました。
で、いよいよ、期待に胸を膨らませて、南下です。
休日のホテルの朝は遅くて、早朝出発だと朝ごはんが間に合いません。フランスのホテルの多くは、朝食代を別に取るので、そういう意味では惜しくないのですが、普段しっかり朝ごはんをいただく習慣のあるわたしには、なんとも物足りないし、気持ち的にも余裕がなくていやだし、どうせまた、ゆっくり朝ごはんをする時間も取れなくなるのだろうから、とちょっとげっそりしながら車を見たら、なんと!全体霜がびっしり!
考えたら、前の晩雨が降って冷え込んだので、それが全部凍ってしまったのですね。
自分の車なら、霜取り用の小さなパレットなど常備していますが、レンタカーには何もない!こんなことなら、ぬくぬくと寝坊して、ゆっくり朝ごはんを戴いて、そして、太陽が昇ってすっかり霜の溶けたところで出発したらよかった~、と半べそ状態で、エンジンをかけ暖房を最強にして、ティッシュやら何やらでぐずぐずと霜取りしました。もう一人、早朝出発で霜取りをしている人がいたので、わたしだけじゃないし!と何とか弱気にならずにすみましたが、それにしても朝から予期せぬ重労働でした。
そういえば、やはり、イースターがすごく早く来た年に、バイエルンに旅して、毎朝降雪を恐れながら目覚めたことがあったのを思い出しました。早いイースターは要注意です。
おっと、前置き長いです。
さて、最初に訪ねたのは、ブリオネへの途上にあるペルシー・レ・フォルジュPerrecy les forgesです。
実は、まずは朝ごはん、と思い、いったん駐車場に車を停めてから、教会に行く前にカフェなどないものかと物色したのですが、あったのはパン屋さんだけ。イースターの早朝ですから、たとえカフェがあったとしても、開いてなかったかもしれないけれど、小さいとは言っても、イタリアだったら少なくとも確実に2軒はバールがある程度の村なので、びっくりしました。イタリアのバールは偉大だよ~。
というわけで、寒風吹きすさぶ中、すきっ腹で、薄着なもので寒さにぶるぶると震えながら、仕方なく教会を目指しました。
表示に従うと、村はずれになり、いきなり、お城が!
まさか、これのわけないよな、といぶかりながら近づくと、思いっきり工事中で、一部金網で囲まれているし、全体が工事現場という様相です。
近くに掲げてあった全景写真。
やっぱりこれです。サン・ピエール・エ・サン・ブノワ教会Eglise de St.Pierre et St.Benoic。
どうやら、南側面の補強工事のようでした。もうほとんど完成している様子から、おそらく工事はずいぶんと長い間行われていて、教会も長く閉ざされているようで、そのせいか、お城の塔の下にあるメインの扉のある場所などは、ひどい汚れようでした。
本来はとても美しい建築のはず。城塞化した教会ということなんでしょうかね。
あの完成度から言って、今頃はもう後片付けも終わり、普通にオープンしているのではないかと思います。
内部は入れなかったわけですが、おそらく新しくなっているタイプの教会と思われます。ただ、入り口アトリウムの柱頭に素晴らしいものがたくさんあるので、内部にもやはり何か残されているのかどうか気になるところです。
後陣側は、こんなに美しい緑になっていて、大変美しい姿を見ることができます。
確かに村全体が、ちょっとした小さな高台の上にあるので、教会はその縁に建っているのでしょう。
では、注目の柱頭は次回。
- 2012/06/08(金) 05:12:07|
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もうひとつ訪ねた町は、このドッツァ。
ここには、エミリア・ロマーニャ全域のワインを集めた、公営(多分)のエノテカがあるのです。
町、というより村の方がしっくりする規模かな。その入り口にある中世のお城の名残、その地下にあります。入り口はとっても地味ですが、観光客的には、エノテカを目指してというよりは、とりあえずお城だし、と入るようなロケーションです。
しかしお城の地下って、とっても雰囲気です。
ミラノの街中に、教会の地下、元は修道院の食堂だった場所を再利用したエノテカがありますけれど、湿度とか温度とか考えると、きっと理想的なんでしょうね。空調がなくても、本来は夏涼しくて、冬暖かい、地下洞窟のような効果がありそうだし。
もちろん、当時そのままではないのでしょうが、壁はオリジナルも混じる石積み。そして、かなり広大で、奥へ奥へと続くさまはさすがにお城の地下です。エミリア・ロマーニャ全域のワインだ~、とまずはその数に感動してしまいます。
そして、地域的には比較的デイリー向きのワインが多い地域なので、こんな立派な棚に美しく並べられているのに、このお値段ですか!?というようなプライスも多くて、これまた嬉しい驚き。日本から行ったら、どれもこれもほしくなってしまうかもね。
とりあえず、このあたりの白と、サン・ジョベーゼ(赤)だけゲットしました。実は、たぶんこの時間ではもうクローズしていると思うけれど、という時間で、幸いクローズ直前に滑り込んだはいいけれど、クローズまで、もうほとんど時間もなかったんですよ。
Enoteca Regionale Emilia Romagna
Piazza Rocca Sforzesca, Dozza (BO)
せっかくここまで来たのだし、一応村を散策。
実はここ、壁画が有名。村の多くの家の外壁に、壁画が施されているのです。毎年なのか何年おきなのかは知りませんが、コンクールが催され、優勝者が、実際に壁画を描くんだそうですよ。
これはエノテカの向かいにあるカラビニエーリ(軍警察)の建物外壁。イタリア建国記念共催だったのかな。国旗のトリコロールが、地味なコンクリの壁に鮮やかで、なかなかよい感じでした。
郵便局前。
切手モチーフ。
こういう作品が優勝したから描かれたのか、または郵便局前の壁、さびしいよなぁ、ということで、そこに似合う作品が選ばれたのか?
日本人の作品もありました。
奴凧に、初日の出、ですかね。明らかにモチーフは正月。東京在住の、MISAO ONOというアーチストの方の作品です。どういう経緯で、はるばるとこんなところに来たんでしょうね。
- 2012/06/06(水) 05:07:46|
- 旅歩き
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