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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ブルゴーニュ その28

ブリオネ18
しばらくお休みしてしまいましたが、ブルゴーニュ・ロマネスク再開です。
唐突ですが、イゲランドIguerandeの聖アンドレ教会Eglise de St Andreからです。



町の郊外の緑の高台、田舎のにおい(つまり、干草とか、牛とか羊とか、それらの排泄物とか、そういうにおい)がぷーんと漂うロケーションにあります。後陣側からアクセス、これまでの教会にも共通する、このあたりに典型的なたたずまいですね。



地味なファサード。注目するとすれば、側柱の柱頭かな。



いずれにしても地味ですよね。どっちかというと、後陣軒下の、変なフィギュアに注目した方が楽しいかも。



変な動物フィギュアとかは、割と当たり前なんですが、まぁ、そうは言ってもやっぱりかわいいんですが、ダントツに気になるのは、アクロバットの人型フィギュアですね(左側)。もう思いっきりそってます、背中。アクロバット型って、人型フィギュアの様式として確立しているようですが、イタリアでは見たことがないような気がします。どうでしょうか。



内部はこういう感じ。かなりきれいに修復されていますが、それでも往時の姿をきっちりととどめる修復ですから、雰囲気はあります。それにここには、とってもかわいい柱頭装飾があるんですよねぇ。



これもいい加減かわいいですけどね、比較的普通。やっぱりこれでしょう。



かわいいって言うか、憎憎しいというか、独特のフィギュアですよね。私は、ムーミンのミーを思い浮かべてしまったのですが、どうですか。似てないですか?
もっとかわいいのは、これ。



この!右側の一つ目の、鬼太郎のお父さんのようなフィギュア、これは、すごいですよ。なんて独創的で芸術的で、かつ、かわいいんでしょ。この柱頭自体のあり方に、本当に感心してしまいました。意味はわからないんですけれど(これから勉強します)。
やっぱり私は、聖書のエピソードが、いかにどのように描かれているか、よりも、こういう変なフィギュアに、激しく反応してしまうようです。

それにしても、やばい!
間が開いてしまったせいで、記憶がかなりやばい状態になっています。全体のたたずまいとか、ディテール、写真を見ているとなんとなく旅をしている気分で思い出すものですが、どうも立て続けにいろいろ見すぎたのか、今混乱中。

ということで、イゲランドは外観、内部を一気に紹介してみました。どうも本調子になるには時間がかかりそう。ちょっとお時間くださいね~。

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  1. 2012/07/31(火) 06:20:22|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
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チロルのロマネスク、プロローグ

チロルを堪能してきました。


スイスのミュスタイアに続くヴェノスタ谷を中心に、エッパン周辺のロマネスクも含め、南チロルの主だったサイトは、全部訪ねることができたと思います。さすがアルト・アディジェ、情報がたくさんあり、現地で、多くの新しい発見がありました。多くの人が訪ねる有名なサイト以外にも、本当にたくさんのロマネスクがあり、「ロマネスクを訪ねる道」が、ちゃんと作られているのですね。



それにしても驚いたのが、チロルの「外国ぶり」。
イタリア語が通じると驚いたり、ピッツェリアがあると、「イタリア料理は外国にも多いよね」なんて考えたり、もうそのくらいドイツ語圏なんですね。
考えたら、ボルツァーノの東側のドロミティ方面は何度も滞在したことがありますが、ボルツァーノの西、この南チロルという地域は、メラノを通過したことがあるくらいで、ほとんど初めて訪ねた状態なのです。
アルト・アディジェという地域そのものが、もともとイタリアではなかったという歴史があるとはいえ、ボルツァーノ東部は、普通にバイリンガル地域のイメージがあります。それに比べてこの南チロルという地域は、イタリアではなくて、あくまでチロル。ホテルやレストランでは、一応イタリア語を話しますが、そのイタリア語は外国人、ドイツ人の話すイタリア語です。住人も、おそらくほとんどの人が、自分はチロル人だと思っているようです。
そして、観光客もほとんどがドイツ語圏の人々で、イタリア語がほとんど聞こえない…。



アッピアーノ城では、ガイド・ツアーでしたが、「イタリア語でお願いしたいのですが」と申し出たら、ガイドさんがびっくりして、「イタリア語?」と怪訝な顔をされる始末。ここ、イタリアだよね?びっくりする?っていうか、何でイタリアなのに、イタリア語で、とお願いしないといけないんだよぉ。
いやはや、参りました。



まいったのは、また、自分の車で、自分の運転で回る羽目になったこと。
今回、友人と一緒だったのですが、彼女の車で行くことになっていたし、おそらく彼女がほとんど運転してくれるはず!しめしめ!とひそかに思っていたところ、なんということか、「大変、免許の書き換えを忘れていたのに今日気付いて、実は今無免許!」という電話が前日に入り…。
結局、100%私の運転となってしまったのです。

実は、ちょっと前に、教習所で坂道発進のレッスンを1時間受けました。このブログをよく見ている方はご存知と思いますが、わたし、坂道発進がだめで、二年ほど前に、一歩間違えば大惨事、という経験をして以来、何とかしなければ、とずっと考えていました。で、レッスンを受けていたわけですが、いきなりチロルで実践という羽目になるとは、予想外でした。本格的な山じゃん!ひえ~。
でも根が楽天的だし、友人は私より運転がうまいので、いざというときは無免許状態でも何でも頼めばいいし!とお気楽に出かけたものの、やはり、かなり「やばい!」という状況にも陥りました。
幸い、逆境を何とか切り抜け、3泊4日、全走行距離は1020キロに達しました。愛車も、ちょっぴりぜえぜえ言いながらも、よく走ってくれました。ありがたい~。



久しぶりに山歩きをすることも目標にしていましたが、教会やお城を訪ねながら歩く道がいくつもあり、結構激しい山道だったりしたので、この点でも満足のいく旅でした。雷雨の翌日歩いた道では、裂け口も生々しい倒木を越えるというハードな状況も発生しました。
でもそうやって歩いた先には、必ず素晴らしい教会があり、素敵に魅力的なランチにもありつき、嬉しいことばかりでした。
今回の旅で、多くの情報を得たので、また来年にでも行ってみたい、と今から思ってしまうくらいです。まずは、ミラノ近郊で、坂道発進の精進を積みたいと思います。

残っているブルゴーニュの旅の紹介に戻りますが、チロルの旅もお楽しみに。

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  1. 2012/07/30(月) 05:03:47|
  2. チロル・ロマネスク
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ロマーニャ・ロマネスクおまけ

しばらくお付き合いいただいたロマーニャの旅、とりあえずおしまいです。とてもマイナーですが、訪ねたい場所は、まだいくつかあるので、また機会を見て、のんびりと回ってみたいと思います。ラベンナも、あえてモザイクでなく、今回クラッセで発見したような石棺やチボリオを探す旅をしてみたいものです。

実は今週は夏休み。週末は、遠方から友人が遊びに来ていたので、日曜日のランチは、パヴィア郊外の田舎レストランに出かけました。久しぶりに、典型的な田舎のレストランのランチ。メニューが決まっていて、オーダーもなく、席に着いたとたんに、前菜が配られ、プリモが二種類、セコンドも二種類、デザートまで、で、3時間くらいかかりました。
地元の人々で満員で、年よりも子供もたくさんで、お皿の間に相当時間がかかるのに、誰もいらいらすることもなく、ひたすらおしゃべりを楽しんでいて、イタリアだなぁ、と思いました。その上、お会計も、かつてのイタリア田舎値段。飲み放題で、一人20ユーロ。
こういうのは嬉しいですね~。
カメラを忘れちゃったのが、残念ですが、また行くと思うので、そのときは是非撮影してご紹介しましょう。

というわけで、ロマーニャでいただいた、おいしいランチのことも思い出しました。
サン・レオの近くのレストランでしたけれど、ボローニャの友人お勧めのトリュフづくしランチでした。
前菜、麦のサラダに、各種ペーストの乗ったパン。



お供は、地元のサン・ジョベーゼ。どれも興味深い味で、自分のレパートリーを広げるためにも、やはりたまには外食は必要だな~、と思うのでした。
前菜もうひとつは、カルパッチョのトリュフがけ。



トリュフ、季節はずれなので、冷凍ものでしょうが、やっぱりよい香りがします。私は特に好き、というのでもないのですが、嫌いではないし、こういう香りにうっとりする人がいるというのは、わかる気がします。

プリモ、私は、詰め物系のトリュフがけ。平日だと、トリュフ尽くしのメニューがあるということですが、週末はアラカルトでしたが、それでも、前菜からメインまで、ちゃんとトリュフ料理を楽しめます。


かなりどっさり盛りでしたが、ぺろりといただいてしまいました。トリュフの香りを殺さないあっさり味で、本当においしい。
友人の一人は、ポルチーニの手打ちパスタ。



こういうロングパスタの手打ち系は、おいしいし、田舎でしかいただけないもので、大好き。あ、これもよかったな~、と気持ちがずるずるよだれ状態でした。
デザートは、クレマ・カタラン。これ、甘いけど、好きなんですよねぇ。


アルコールをしましたお砂糖をフランベ、ちょっとおしゃれ。やっぱり甘かったけど、やっぱりおいしかったです。本来甘いものは得意じゃないのですが、このクレマ・カタランとか、プロフィッティロロとか、変に好きで、パクパク食べてしまいます。

外観は、こんなに地味なレストラン。


自転車旅行の人々が、食べに来ていました。ぜいぜいしてたどり着いた場所で、こんなおいしいランチがいただけるなら、がんばる甲斐もあるってもんですね。

明日から、チロルです。中世のロマネスクの宝庫。でも同時に、坂道の宝庫でもあります…。がんばって運転してきます。

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  1. 2012/07/25(水) 05:13:35|
  2. イタリアめし
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ロマーニャ・ロマネスク13

ラベンナ周辺のマイナー・ロマネスクめぐり、最後に訪ねたのは、サン・ピエトロ・イン・トレントにある、サンティ・ピエトロ・エ・パオロ教会Pieve di Santi Pietro e Paoloです。



典型的な田舎の村。教会のそばにはサッカー場があり、子供たちが楽しそうにサッカーに興じていました。教会が、今も変わらず、村の中心にあるんだなぁ、というのが、暖かい空気を醸し出すような、そういう感じでした。
ただ肝心の教会は、かなり修復も激しく、外観は、あまり中世っぽくないというのか、全体に新しいです。スタイルは、かろうじてロマネスクとは言え。



子供たちの歓声を後ろに、南側側面の扉から入りますと、しかし、いきなりタイム・スリップです。薄暗い中に、高くされた内陣、石の質感。古臭いにおいが充満しています。



この高く上がっている内陣、当然クリプタですよね。入れるのかな、と脇に回ったら、ちゃんと扉は開いていました。ただちょっと暗い。散々うろうろした後で、電灯のスイッチに気付きました。



明かりをつけると、結構視界がはっきりするのですが、往時の雰囲気を味わおうと思うと、やはり自然光の感じなので、こういうのがよいですね。
かなり朽ちた感じの装飾柱頭がいくつかあります。どれも、技術的にはたいしたものではないのですけれど、でもきっと、ずっとずっとあったんだなぁ、地元の石工ががんばったんだなぁ、みたいに歴史を感じさせる作品で、存在感がすごくあって、なんだかとてもよかったです。



帰りがけに、ふと目に留まった膝置き用の座布団。それぞれ決まった持ち主がいるのでしょう。きっとあまり布で作った手作り品。現役で生きている場所というのは、やっぱりよいものです。

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  1. 2012/07/24(火) 05:36:03|
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ミラノ、今夜は涼しい!

毎年、異常気象といわれるようになって久しい気がします。予想外に暑かったり寒かったり、ということが、時期を問わずに起こることが多くて、結局「異常気象」で、済まされるという感じ。
今年もそんな日が続いています。まだ夏ともいえない5月頃にやけに暑くなったと思ったら、6月、学校が夏休みに入るとともに(ほとんどの人はこんなこと知らないでしょうが、イタリアでは、6月早々から8月いっぱい、夏休みは3ヶ月もあります)、ぐっと涼しくなり、どうなっているんだろう、と思っていると、やはり半ばからぐんぐんと暑くなり、場所によっては40度に達する有様。
ミラノも、同様に暑くなり、湿度もひどく高く、クーラーのない我が家の気温は、夜でも30度を超え、まさに熱帯夜。とにかく、そこにいるだけで汗がだらだら全身をぬらす状態でした。
でも、そんな陽気が2週間も続くと、幸いミラノでは湿度が下がり、日中は暑くても、朝晩はさわやか、日陰はさわやか、時々は、就寝中に寒くて目が覚める、などという状態になり、そして、この夕べ。
いきなり空が曇り、雷雨、一気に雹となりました。



すぐに、ほんのわずかの隙間を残して、ブラインドも閉めました。カンカン、と雹があちこちに当たっている音が激しくなりますので、窓からベランダを見ると、大きいのは直径1センチ以上の雹が、がんがんと降ってきます。



雹って、ひどくなると、農作物を荒らしたり、車の屋根をへこましたり、とんでもない損害をもたらすんですけれど、こういうとき、そのすさまじさが想像できます。



この、小さな多肉の鉢の左の方と右の方にある白いのが氷の塊。親指の頭くらいの大きさがありますよ。今回はほんの短時間だったので、我が家の被害はありませんでしたが、ひどいときは、草木がなぎ倒される状態になりますから、農作物の被害、というのも実感できるんです。こんなのって、東京では経験したことなかったなぁ。

雹を伴う激しい雨は、でも、ほんの半時、というところだったでしょうか。虹を楽しみにしていたのですが、今日は虹はなし。その代わり、その後もまだ半分ばかり曇り空だったためか、妙に美しくやさしい空を見ることができました。



ほんのりピンク、とってもかわいらしい色合い。
こっちは、入道雲っぽい雲にあたる光が美しい。



全体が、まだ曇り空の灰色の中に、一部暖色が入るだけで、なんと美しくなるのでしょう。うっとりと眺めてしまいました。
この後、ぐっと気温が下がりましたので、普段よりは相当早い時間でしたが、ジョギングに出て、大変快適に走ることができたのも、とても嬉しい夕べでした。
今夜はぐっすり眠れそうです。

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  1. 2012/07/22(日) 05:29:13|
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ロマーニャ・ロマネスク12

さて、クラッセで、かなり一般的にもいけそうなロマネスクを堪能した後は、また地味なロマネスクに戻ります。



こんな緑の美しい平原をたどって、訪ねる先は、カンピアーノCampianoのサン・カッシアーノ・イン・デチモ教会Pieve di S.Cassiano in decimo。
デチモって10番目という意味なので、どこかから10マイルとかそういう意味の命名と思います。ラベンナからかな、近いし。



道端に並んだ家々が村、というカンピアーノ。教会も道沿いに立っていました。脇はサッカー場で緑が美しく、ロマネスクの典型的な鐘楼が、遠めにも間違えようのないたたずまいです。
この鐘楼、このたたずまいだけで十分美しいですが、さらに、宝物を秘めているんです。四段目。目を凝らすと見えますが、女性のトルソが…。



おそらく、どこかにあったものを装飾としてはめ込んだのでしょう。
このトルソを観察するために、ズームアップしたおかげで、二連窓を飾るアーチのあいだに、どうやら陶器のお皿がはめ込まれていたらしいとか、そういうことも観察できました。その名残だけで、お皿が残ってないのが残念。ここにも、ピサからの影響があったのですね。または、海に近いですから、ピサとは違う経路で、アフリカ起源の陶器が渡ってきた可能性もあります。
確かに、当時を考えれば、巡礼やら様々な人の陸路での行きかいに寄る情報よりも、もしかすると、聖地での様々な情報交換が直接もたらされる可能性の方が、より簡単にありえたのかもしれませんね。うわ~、こういうのって面白い~。当時も「世間は狭いねぇ」なんてことがあったのかもしれないですねぇ。



内部は、当時のスタイルは残されているものの、漆喰で覆われて、イメージとしてはかなり新しくなってしまっています。それでも、構造がそのままなので、往時をしのぶことは可能。古いものが、若干残されているのも、その手立てとなります。
古い洗礼盤とか。



今あるより以前にあったはずの古い時代の教会の、おそらく説教壇の装飾とか。



やはり不死の孔雀モチーフだったりします。これなんかも、組紐モチーフといい、植物モチーフといい、クラッセのチボリオのように、全体が残っていたら、さぞや素晴らしい作品だったのだろうなぁ、と思わせられますよね。破片だけでも嬉しいけれど、やっぱり残念ですね。

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  1. 2012/07/21(土) 05:40:57|
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ロマーニャ・ロマネスク11

クラッセClasseサンタポリナーレ・イン・クラッセ教会S.Apollinare in Classe、続きです。
地味な画像が続きましたが、ここに来たからには、やはりモザイクを見とかないと。



これこれ、この緑ですよね、クラッセは。初めて見たときの驚きや感動は今でもかすかに覚えているくらいです。
本堂はびっくりするくらい大きくて、正面から入ると、この後陣を飾るモザイクは、とっても遠くに小さく見えるにもかかわらず、いきなり迫ってくるような独特の迫力があるのですよね。
ラベンナ市内の教会で見られるモザイクは、どちらかというと青系のものが多いので、ここで初めて、このように鮮やかな緑だから、目が驚くのかしら。
中央部にいるのは、教会が捧げられているサンタポリナーレ。



周囲には、様々な花や草が繊細に表され、植物の間には、小鳥も多種います。



下部には、十二使徒の羊。やけにほっそりとした羊ですよね。



宝石がうちにも外にもちりばめられた十字架が真ん中に置かれ、両脇にいるのは、左がモーゼ、右がエリア、となっているようです。上部には神の手が見えます。



十字架の周りの青、実に美しいです。とてもやさしい青。宝石の表現も、ぎらぎらしていなくて、色調もすべて計算されつくしているって言う感じがします。緑も、背景と、木や植物、様々な緑が使われているのですが、すべてがやさしくて、暖かい色調なのです。



勝利の門には、中央にキリスト、両脇は、福音書家のシンボルとなっています。みな本を手に持っていますね。周囲には鮮やかな雲状の背景となっていて、これは、ローマの古いモザイクでもいくつか見られたように思いますので、伝統的な背景なのでしょう。
ただ、夕暮れ時とか朝焼け時、ちょっと明るさのある青を背景にして、沈み行く、または上ってくる太陽に照らされて、オレンジや桃色に輝く雲の姿というのは、実際に見られますので、ある意味、とっても写実的なものなのかもしれないと、思ったりもします。
アーチの下部には、植物モチーフなどを、若干抽象的にしたような連続装飾が施されているのですが、実に美しいです。幾何学模様にしても、色彩が斬新で、素晴らしいです。
といっても、今回は石ものに集中したせいで、モザイクの写真は、あまり撮っていませんでした。で、いまさらちょっと後悔しています。
やっぱり、ラベンナは、近い将来にじっくりと再訪しようと思います。

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  1. 2012/07/20(金) 05:19:50|
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ロマーニャ・ロマネスク10

クラッセClasseサンタポリナーレ・イン・クラッセ教会S.Apollinare in Classe、続きです。
チボリオの下に、祭壇があります。



これも、ロンゴバルド風でいいですね~。
三角屋根の縁を覆うモチーフ、これって、ベネチアでよく目にした模様で、波なのかな、と思っていましたけれど、トップを見ると、若芽みたいにも見えますね。いろいろなモチーフが、どういうところから来て、どういう風に発展して、どういう場所で使用されたかとか考えると、楽しくなります。




チボリオの下の壁には、どこか他の場所にあったらしい浮き彫りがあります。



受胎告知。
同じ大きさの石版に、それぞれの人物フィギュアを収めていて、スペースに限りがある分、天使の羽がひん曲がっていたりするのですが、そういうのが中世っぽいです。

このチボリオの置かれた左側廊突き当たりの後陣は、全体が新しくされている上に、扉で閉ざされているのですが、硝子越しに中をのぞくと、素敵な祭壇がありました。



素敵にシンプルな十字架浮き彫り。こんなのを、テーブルとして使いたいものだよなぁ、とつくづく思いますけれど、全部石だし、持ち運べないほど重いんでしょうねぇ。
もう一度、チボリオの美しい浮き彫り。



こちらはちょっと暗いけれど、ちゃんとした孔雀と、尻尾の切れた孔雀。めちゃくちゃ、かわゆい。



見ても見ても飽きなくて、離れがたいチボリオです。それもすぐ近くから見られるというのが、本当に嬉しい。

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  1. 2012/07/19(木) 05:52:23|
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ロマーニャ・ロマネスク9

クラッセClasseサンタポリナーレ・イン・クラッセ教会S.Apollinare in Classe、続きです。
石棺、もうきりがありませんので、この辺にしておきます。
石棺の他にもうひとつ、これまで完全に見逃していたもの。これまた石棺同様、存在すら気付いていなかったんですから、お恥ずかしい。
これ、左側廊の突き当たりにある、チボリオ。


これ、昔からあったんでしょうかね。あったんでしょうね、間違いなく。
以前来たときは、まだ隅々までチェックを入れる、という習慣もなかったし、ロマネスクめぐりを始めてすぐは、正直何をどう見たらよいのかわからなかったし、また自分の好きなものというのもきっちり把握していなかったので、わからなかったのは無理もないかな。
今回、特に予定していなかったクラッセですが、本当に立ち寄ってよかったです。空腹に感謝(ランチのために立ち寄ったようなものですから)。

さて、チボリオ。
これまた、素晴らしくわたし好みなんですよ。
四本の渦巻き装飾のある優雅な円柱に支えられた天蓋。円柱の下部はモチーフの異なる垂直形の装飾で、実にしゃれています。床は、かなり傷んでいますが、モザイク。往時は、さぞや美しいものだったのではないでしょうか。でもこれだけのものですから、本当は主祭壇に置かれていたものなのかな。本来、こんな隅っこにあったわけはないですね。
S.Eleucadioのチボリオというそうです。
千年ごろに壊されてしまったこの地域にあった教会にもともと属していたものだそうです。チボリオの製作は9世紀。まさにわたし向き!



9世紀に作られたことなんかが、この天蓋の下の軒送り部分に彫られているようですよ。
こういうのって、石版の一部が残されていることは多々ありますけれど、全部が形として残っているものってとても少ないと思うので、見ることができて(というより、気付いて)、本当に嬉しかったです。
アーチの組紐模様も、柱頭のお干菓子ぶりも、角っこのとてもシンプルな葡萄蔓も、すべてが愛らしい~!



こちら側の角っこは、不死の象徴孔雀が二羽、ちょうどスペースをうまく使って彫られています。



外側だけでなく、内側も、びっしりと浮き彫りです。



様々な十字架文様が、どれもとても素敵。うっとりします。
この頃の装飾は、空間を埋める、建築と結びついたものですけれど、とにかく執拗に埋めようとしたアラブ様式とは違って、適度なスペースがある、ゆったりとした感じが、私には好ましいのですねぇ。
これなんか、そういうものの典型。



ある意味、現代のイラスト風って言うのか、この葉っぱは、おそらくアーカンサスと思いますが、ローマのアーカンサスから、どうしてこういうものができたのかと、ロンゴバルド起源の人たちの感覚のすごさを感じてしまいます。
細かくしつこくてすみませんが、まだ続きます。

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  1. 2012/07/18(水) 05:43:19|
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ロマーニャ・ロマネスク8

クラッセClasseサンタポリナーレ・イン・クラッセ教会S.Apollinare in Classe、石棺装飾の続きです。
ある石棺の全景。


こういう字を書く人は、現代イタリア人にもいますが、現代で書かれると、「へっただな~」、としか思えない字が、こういう場所で見ると、妙に親しみがありかわいいいなぁ~と思うのだから不思議。特に、碑文の方はともかく、石棺の側面に彫りこまれている方は、なんだかスペースの配分も間違っているし、とんでもなくセンスがないようにも思うようなはずなのに、なぜか彫り物というだけで好きなんですよねぇ。
十字架も、シンプルだけど、とてもかわいらしい。


下部にある並々の組紐模様も、とても単純なのに、このつやつや感がたまりません。
こちらの十字架もとってもシンプルですが、その分、周囲の装飾が盛り立てています。


鳩が、写実的なのに、とても下手、というのがよいですね。
でも実は、これの下にある彫り物はかなりうまい。


人のフィギュアの方がうまいという写実系の石工さんだったんですね、きっと。まぁ、手は異様にでかいけれど。
こちらは十字架オン・パレード、とでも言ったタイプの石棺。


孔雀は写実度が高いですが、全体のイメージがプリミティブで、やっぱりかわいい。
十字架オン・パレードでは、これも素敵。


上も下も、すべてが愛らしくって、もうたまりません。間に挟まれた、変に怖い顔のライオンが、馬鹿みたいです。これ、同じ石棺の上下ですが、多分石工は違うと思うんですよ。でも、こういう風に、無造作に組み合わされちゃって、これってオリジナルからこうだったのか、たまたま後代にサイズが合ったからこうなったのかわかりませんが、いずれにしても実際の石工さんたちは、こういう形になるとは思ってなかったんじゃないかと思うんですよねぇ。だって、こういう風になるとわかっていたら、もうちょっと違うモチーフにしますよねぇ。いやはや。

続きます。

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  1. 2012/07/17(火) 05:09:53|
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