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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ベネチア、建築ビエンナーレ2012 その1

また、ベネチアですか!?って言われちゃいそうですが、そうなんです。アートのビエンナーレは、このところ毎回行っていますが、建築は、今回二度目。日本館がグランプリ受賞したことだし、その内容が震災後の建築ということだし、どうしても行ってみたかったんですよね。
もうちょっと早く行きたかったのですが、予定が合わず、何とかこの週末に、日帰り強行軍。久しぶりに、ロマネスク以外の修行旅となりました。

もともと、お天気がちょっと崩れてきていたのですが、寒くはない今日この頃。早朝出発なので心配していましたが、やはり寒くないし、少なくとも出発地のミラノは、雨も降っていませんでした。
今回、予約した列車は本土のメストレ止まりでしたので、メストレからサンタ・ルチアまで一駅、ローカル線に乗換えとなりました。
早朝のローカル線、土曜日とはいえ、結構な混みようです。

サンタ・ルチア目前になり、目の前の若者が、やおら、手持ちの買い物袋から、ゴム長を出し、淡々と運動靴からゴム長に履き替えました。それをみて、お隣の席の初老のご夫婦も、同じような買い物袋からゴム長を出し、履き替えます。近くにいたそのお友達らしいオヤジが、「おや、もう履き替えるのかい?」。「そりゃそうよ、今日は、アクア・アルタ、1.2メートルまで行くらしいから、駅前からやばいんじゃない」と、既に長靴装着済みの奥様が答えます。
「?」と思っていた周囲の旅行者(含、わたくし)の間に、その時点で、あ~!アクア・アルタ!知ってるけどさ、今日そうなの!?と、しーんとしながらも、かなり愕然とした空気が漂います。ご夫婦とお友達は、いろいろとおしゃべりに花が咲いていますが、素人連中はみな、どうしたもんか、と思っていたと思います。
雨が降るかもしれないから、傘は持ってきたし、やんで不要な際、ぬれた傘をしまうためのビニール袋もしっかり持ってきたけど、アクア・アルタは、まったく想定外。
アクア・アルタって?
これです。



これ、サンタ・ルチアの駅前なんですが、既に水路と陸地の境がなくなっている状態です。
アクア・アルタって、運河の水位が上がって、通常の陸地部分が浸水しちゃう現象で、冬に多く発生して、サン・マルコ広場を中心に、浸水が激しく起こるために、そうなると、すぐに、渡し板がはりめぐされて、長靴の準備がなかったり、乳母車を押している人は、その上を歩く羽目になります。または、浸水した道を長靴やはだしで、ジャブジャブ。

とりあえず、私がサンタ・ルチア駅に着いたときは、浸水すれすれでしたが、歩行可能状態。水上バスの切符売りの人に尋ねると、ビエンナーレの会場は大丈夫のはずだけど、町中かなりの部分が浸水してるよ、ということでした。



いやはや、ほんとにすごい。ベネチア何十回となく来ていますが、本当にはじめての経験です。水がひたひたと…。

駅前から、ちょうど来た6番線をつかまえて、サン・マルコよりも先にあるビエンナーレ会場に直行することとなりました。夏に比べるとかなりすいています。まぁ、観光客のほとんどはサン・マルコを目指すためでしょうけれどね。
ちょっと寒かったのですが、アクア・アルタのベネチアを観察するために、デッキでカメラを構えました。
おお。



ホテルだかの入り口。手前の高くなっているところが、タクシーやゴンドラの降り口で、建物入り口への通路はちょっと低いのですが、そこが浸水しちゃってます。どうやって濡れずに建物内に入れるか、難しいところ。



美しいゴチックの建物の下部は、本来、ポーチのようになっているはずなのですが、そこが全部浸水。まぁ、これは織り込み済みなんでしょうけれどもね。
それにしても、これだけ浸水していて、よくもこれだけの年月、町としてだめにならなかったもんだ、と改めて軌跡のようなこの町に感心しました。



大運河沿いは、こういう感じ。渡し板があるから、何とか通行できますが、それにしても、道と運河の境目がないって言うのが、なんとも。

うわー、旅行かばんのおばさん、大変。



確かに、移動中にこれがあったら、かなりきつい。
旅人はどうしているかというと、これです。



底がゴム底になっていて、靴のまま包み込むようになっているこのビニール靴。いくらするのかチェックできませんでしたが、ゴム長が10ユーロくらいからありましたので、5ユーロ前後ではないかと想像します。
昔は、スーパーの買い物袋をはいている人が多数いましたが、少しは進歩したということですね。

ベネチアの人たちは、ちゃんとゴム長。



この日、ベネチアの人々のゴム長比率は異常な高さだったと思います。ビエンナーレ会場でも、半数以上はゴム長。地元の人はもちろん、観光客も、購入した人多数なんでしょうね。確かに、水の中をジャブジャブしたい!という、子供のような気持ちになるのも確かで、ダサくとも10ユーロなら、ゴム長買って、ジャブジャブしたいし。
わたしも、実はそう思って、ビエンナーレ見学の後は、とにかくサン・マルコを目指し、浸水した風景を見たい、行けるところまで行って、いけなくなるようならゴム長を買うか、または水上バスで鉄道的に直行、とかいろいろ計画を立てていたのですが、いざサン・マルコに到着した夕方には、既に水が引いて、渡し板が残っているだけでした。



もちろんすごく助かったのですが、一抹、残念だったのは確か。

というわけで、またまた思いっきり寄り道ですが、ビエンナーレの紹介をしていきます。
ロマネスクを待っている方には、本当に申し訳ないですが、食い倒れに比べれば、一応美術カテゴリーって言うことで、お許しください。

ところで、今夜、どうもぎっくり腰になってしまったらしいのです。ちょっと高い部分のほこりをふき取ろうと背伸びしただけなんですが、ぎっくり腰って、背伸びでもなるんですかね。昨日、歩きすぎたせいもあるんでしょうか。困りました。こんなことしている場合じゃないです。

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  1. 2012/10/29(月) 05:41:08|
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ピエモンテ、食い倒れツアー その8

今回の短い旅、最後のお食事は、Cossano Belboの小さなレストランTrattoria della Posta da Camulioでした。
感じのよい内装、親切で愛想のよい店員さんたち。本当に落ち着ける、よいお店でした。



ここも、ほとんどお任せで、書いたメニューはなし。前菜をいくつかどうですか、とかそういうアバウトな感じで始まります。
そうそう、ここらのレストランではお決まりらしく、パンとグリッシーニは、必ずテーブルに置かれていますが、グリッシーニは、この店のが一番おいしかったです。カリカリしていて。



パンの無造作に置かれている感じがまたお洒落って言うか、ピエモンテよねぇ~って言うか。
ワインは、このあたりのもの。もしかして感じの悪かったカネッリの町のものだったかも。でもこれが、ちょっと軽めのネッビオーロかドルチェットか、とにかくおいしい上にお安くて、コスパは最高でした。

さて、例によってのわんこそば状態の前菜、行きます。
まずは、生肉のサラダ。そして、ピーマンとフレッシュきのこの盛り合わせ。




この、愛想のない盛り方をされた生肉ですが、これはもう絶品。サラダ、ということで、味付けがさっぱりと柑橘系で、お肉というよりサラダなんですよ。びっくり。こんなのは、本当に他ではいただけない気がしました。ピーマンも、一緒のきのこも、これもさっぱりでおいしい~。



またまた子牛肉のツナソースVitello Tonnato。これは、今回三食とも出てきた前菜で、これが好物の同行者は感涙…。どの店も微妙に味付けと肉の調理が異なっていて、それでいてどこでもおいしかったです。それに、前菜に出てくるので、量が少ないのがおそらくおいしく感じるコツでもあるかな。
そして、フリッタータ(イタリア風卵焼き)と、パスタはフンギ・ポルチーニ(ポルチーニ茸)のタヤリン。




卵焼きは、野菜とかたっぷり入っていて、さっぱりした味付けで、ついお代わりしてしまう私でした。フリッタータなんて、別に特に好きなわけではないんですけれども。
タヤリンは、やっぱり不思議な食感で、ここだからいただくけど、他で食べたくなることはなさそう。でも、日常的に食べていたら、病み付きになる食感だったりするのかもしれません。

前の晩の晩餐も残っている状態で、もうここら辺で満腹。でも最後に、やはりピエモンテ名物らしいフリッタータ・ミストを一人分だけ頼んで、三人でシェアしました。



この名物料理は、長年ピエモンテに通っていましたが、まったく知らなかったのです。おかず系と甘いもの系が同じお皿に載っているという変わったもので、おかず系は、ソーセージとか、薄切り肉、脳みそ、お野菜数種類で、甘いもの系は、りんごとセモリーナのクリームと、アマレットだったかな。
なんとなく、残り物を何でも揚げてお腹を膨らますという、昔の貧乏料理なのかな、という感じですね。それでも、ちょっと食べるには目先が変わって面白いです。脳みそなんて、実は初めて食べましたけれど、白子のようでぷりぷりクリーミーで、結構いけました。量が少ないのもよいです。
それにしても、この一皿を一人で食べるのは、絶対無理。

いやはや、満足。ここもお会計は、三人で100ユーロくらいでした。大体相場ってことですね。
その価格でこれだけのレベルのものをいただけてワインもおいしいのだから、嬉しくなります。こういうのがミラノにあれば、毎週でも行ってしまうんですけどね~。

もうちょっと、旅は続きます。

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  1. 2012/10/26(金) 05:12:56|
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ピエモンテ、食い倒れツアー その7

次に向かったのは、ピエモンテのほとんど西の端っこに近いアックイ・テルメです。
ここは、実はロマネスク的に、一度訪ねなければいけない町なのですが、ちょっと山が入るし、まだ未訪の町でした。
でも、町そのものは、かなり平地だったので、そのうち、季節がよくなったら行ってみようかな。

さて、エノテカ・レジョナーレは、観光局のお隣の地下にありました。



お、なんだかいい感じです。
小さなカウンターがあり、やはり試飲ができるようになっています。ここは人も少なくて、のんびりとできます。お店のお兄さんも、とてもフレンドリーで感じがよかった。やはり観光地化の度合いにもよるんでしょうね。
とはいえ、アックイ・テルメは、その町名からもわかるように温泉(テルメ)が有名なので、実は結構観光地ですが、でもワイン・ツーリズムという意味では地味だからかな。
Enoteca Regionale Acqui “Terme e Vino”
Piazza Abramo Levi 7
Acqui Terme (AL)

ネッビオーロとドルチェットを試したんだったかな。



あとで、お兄さんがただでガヴィも味見させてくれたかも。
とても感じがよいし、お値段もお手ごろ価格のものが多かったので、ここでは赤を3本購入しました。ジャケ買い、っていうかエティエッタ(ラベル)買い。お値段は、8ユーロから15ユーロくらいのもので、3本でちょっきり30ユーロ。
私が家で飲む晩酌ワインは、近所のスーパーで安くなっているものを買うのですが、大体1本3/4ユーロですから、10ユーロなんて、お客様が来るときにしか開けないレベルです。そういうレベルのワインは、お客様用、それから自分がお呼ばれしたときのお土産用として、常備しとくと便利なんですよね。

それにしても、販売員って重要ですよね。やっぱり、感じのいい人だと、つい買ってあげたくなるもんです。

そうこうするうちに、ランチの時間も迫ってきましたから、アスティ方向に戻る道なりにある町のレストランを目指すことにしました。
La Casa nel Bosco
Regione Galvagno 23
Cassinasco (AT)



情報では、通常夜だけ営業だけど、週末はランチもオープンとあったので、勇んでいきました。
かなりの山道。細い道を延々、緑の中でとてもきれいでしたけれど、自分で運転していたら、途中でやめたかも、というくらいの山道でした。
やっとたどり着いたら、かなり深い谷を下りたところにレストランの姿が。まさに、「森の中のお家(カーサ・ネル・ボスコ)」そのものです。
谷に下りる入り口に、レストランの案内が建っていて、営業時間が記されていたのをふと確認すると、「!」。
なんと、ランチやっているのは、日曜日だけじゃないですか~!
これだけ山道を走らせて、それはないだろ~。
運転手だったら、泣いてた~。

なんて言っていても、時間はすぎるし、気を取り直して、次の町に向かいます。
あれ?ここは、行きに通り過ぎた町でした。



Trattoria della Posta da Camulio
Corso Fratelli Negro3
Cossano Belbo

町の目抜き通りに面していて、かつては郵便局だったらしい建物。外壁は妙に派手な色ですが、意外と町になじんでいます。
バイク・ツーリングのオヤジ数人と、ちょうど一緒になりました。結構高齢者のバイク愛好家って多いですね~。

内装も、感じがよいです。



こじんまりしていて、個人のお家のような雰囲気もあり、清潔感あふれていて、家族経営のよさがにじみ出ているようなレストランでした。
これは期待できそうです!
お楽しみのお食事は、次回じっくりと…。

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  1. 2012/10/25(木) 04:35:04|
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ピエモンテ、食い倒れツアー その6

エノテカ・レジョナーレめぐりに戻ります。
バルバレスコの次に訪ねたのは、西の方に向かったカネッリCanelli。



おお!いきなりガンチャの巨大なボトルが!
そうか、ガンチャの町だったんですね。本当に街中、鉄道駅のすぐそばにあります。かなり巨大な建物で、建物内部の駐車場に、大型バスが見えました。観光客もてんこ盛りの,
かなり観光地化した地域です。
鉄道駅にも、ボトルがありました。



大きさがわかりにくいですが、人の背よりかなり高いものですよ。ワインで町おこしなんですねぇ。そういえば、この町の郊外は、バローロやバルバレスコやアルバの地域とは違って、巨大なワイン工場がたくさん並んでいました。大量生産の庶民向けワインの生産地なのかもね。ガンチャはブランドとして知っていましたが、それも、つまりは、どこの店にも置いてある、つまり生産量が多いワインということなんですよね。

その辺は、それなりに、街の産業のあり方としてよいと思うのですが、しかし、ここのエノテカは、最低でした。

持っていた情報によれば、9時からオープン、とエノテカにしては早い開店だったので、時間の無駄を避けるために、一日の最初に訪ねたのですよね。
ところが、目的の住所にたどり着いたら、扉は思いっきり閉ざされています。

おかしいなぁ、と扉を開けようとしたりしたり、近くをうろうろすることしばし。そしたら、扉が開けられて、オヤジが出てきたのです。
慌てて戻り、ここ、エノテカですよね?と尋ねたところ、オヤジ、こっちを思いっきり見下す様子で、鼻をフフン、と鳴らして、「何いってるの?オープン時間はここに書いてあるでしょ。こんな時間に開いてるわけないでしょ。」と、取り付く島もないというか、なぜいきなり、こんなに見下されなければならないのだ?とこちらが呆然とするような態度でした。
いやはや、びっくりしました。
確かにこっちの持っている情報が古いんだから、閉まっているのは仕方ないにしても、無理に開けてよ、と頼んでいるわけでもないのに。

一応住所は書いときますが、こんなお店は、絶対にお勧めできません。
Enoteca Regionale di Canelli e dell'Astesana
Corso Liberta' 65/a Canelli
10:30-15:00, 18:00-20:00
レストラン併設ということで、レストラン中心って感じなのかな。
いずれにしても、あまりむかついたので、写真は一枚も撮りませんでした。

それでもせっかくここまで来たので、一応観光局に行きました。

町おこしワインですから、あちこちに素敵な歴史的カーブの写真ポスターなどが飾られていて、ちょっと惹かれますが、どうも気分が悪い。
でも町は、ちょいとかわいらしいんです。



観光局のすぐそばにあった、歴史のありそうなワイン生産者、コントラット。今は、この建物の並びに、新しく美しい入り口がありましたが、この古い建物の方が、私には魅力的。

三つ四つある、歴史的な生産者は、どこも有料ガイドツアーを催しているということで、1時間から2時間も拘束されると。通常は事前予約が必要だけど、この季節は観光客が多いので、直接行っても、多分参加できると思う、と観光局で言われましたが、そんな長い時間、拘束される気もないので、この町はどうも縁がないらしいね、ということになりました。
先のコントラットの新しい店舗の入り口が目に付いたのでのぞいたら。



きれいなんですが、酒屋さんになっているわけではなくて、社屋の入り口。ガイド・ツアーのことが、黒板に書かれていたんですけれど、最後にワイン6本付きで、20ユーロ超の参加費でした。は?そんなの聞いたことないよ~。そりゃ6本で20数ユーロだったら、高くないけど、でもおいしいかどうかもわからないのにねぇ。
やっぱり、この町は合わない!

まぁ、行ってみない事にはわからないから、こういうこともありますね。
美しいブドウ畑をたくさん車窓に見ることもできたし、それでよし、かな。




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  1. 2012/10/24(水) 05:00:03|
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ピエモンテ、食い倒れツアー その5

お楽しみ、夕食です。
今回は、この時期のこの地域がここまで混雑しているという認識がなかったため、あまりに直前に探したため、バローロやバルバレスコ近くは全滅で、ちょいと離れた村に泊まることとなりました。
みんな呑むんで、やっぱり、夜はゆっくり、帰りを心配しないで呑みたいよね、ということで、朝晩の付いたアグリツーリズムのハーフペンションです。



Agriturismo Balcone sulle Langhe
Cissone

チッソーネという村のはずれにあり、内装はかなり新しくて、お部屋もバスルームもとてもピカピカ。新しいから、清潔で機能的で、でも風情はあまりなかったかも。
でも、別棟にあるレストランは、それなりに田舎風で、雰囲気がちゃんとありました。



実は、一日を有効に使いすぎて、宿に着いたときは、もう夕食の開始時間をすぎておりましたので、部屋にもよらずに直接レストランへ。そうしたらびっくりするほどの喧騒。
なんだかどこぞの国際交流団体が…。大人80人、子供も20人近くで、なんということか、われわれの席は、子供席のお隣で、いやはや、参ったなぁ。

ま、仕方ないし。
では、夕食!
まずは前菜。その一、生肉。その二、vitello tonnato(子牛肉のツナソース)。
参加者の一名が、この子牛に目がなくて、今回毎食出てきたので、本当に嬉しそうでした。確かにどこで食べてもおいしいからびっくり。これは、どこでもおいしいというお皿ではないのですけどね。




その三、セロリとチーズのサラダ。その四、フレッシュきのこのサラダ。
この野菜系のふた皿は、口もさっぱりして、おいしかったです。





このあたりで、そろそろ前菜はおしまいではないか、と思ったのですが、とんでもなかったです。
その五、(出たっ!)白トリュフとクリームチーズ。その六、ジャガイモのプレとコテキーノ(このあたりで、もうやばいと思ったので、コテキーノ(豚の足料理)は辞退して、プレだけです)。トリュフはね、やっぱり高いので、今回いただいたのは、このわずかな前菜だけです。でも、香りはあるし、雰囲気は堪能しました。お隣のテーブルでは、小指ほどの塊を二つ頼んで、どのお皿にもかけまくりでした。リッチ~!




ここまで、他の人たちに追いつくために、かなりハイ・ペースでした。ワインを飲む暇もないような感じで。
ワインは、地元のテーブル・ワインで、どっかりと飲み放題。飲み口のよい赤でしたよ。いずれネッビオーロとかでしょうけど。

で、やっとプリモ。
パスタはピエモンテ名産、アニョロッティと、かぼちゃのリゾット。
同じ詰め物系でも、エミリア・ロマーニャの詰め物に比べると、サイズが小さくて、なんだかつるつると食べてしまいます。





セコンド(主菜)は、確かひとつだったように思います。もうわけがわからないくらいおなか一杯。肉のロースト。いや、煮込みだった?




そして、デザートは三種盛り。
洋ナシのコンポート、ジャンドゥイオットのクリームと何かのタルト。これは完食できなかったけれど、素朴ながら、おいしかったですね~。
こうなると、やっぱり、必要なのは食後酒。グラッパをちびちびといただきました。



今回の同行者二人は、グラッパ愛好家で、私もすっかり、長年ご無沙汰していたグラッパにはまりそうな予感。

その頃、同席の団体さんたちは、スピーチしたり、各人かくし芸したり、とほとんど宴会状態で盛り上がっております。やおら、スペイン人会員たちによるフラメンコが始まり、思わず拍手…。なぜピエモンテでフラメンコ・ナイト…?ま、いいけど。

それにしても、このままお部屋に行くのは、ちょっと無理。ということで、食後に村をお散歩しました。



5分もかからずに一周できてしまう小さな村ですが、それでもちゃんとライトアップしているのがすごいですね。まだそれほど遅い時間ではなかったのですが、もう真夜中の、なんか田舎の大晦日、みたいな静まり方でした。気持ちよかったです。

あ、ちなみに夕食は、ワインも何もかも混みこみで、一人30ユーロ。すごいですよねぇ。

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  1. 2012/10/23(火) 04:16:47|
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ピエモンテ、食い倒れツアー その4

昨夜は友人を招いて、夕食をしたのですが、ピエモンテの影響か、つい気合が入って、前菜四種、作ってしまいました(プリモとセコンドは一種ずつですけど)。ピエモンテのご飯の特徴は、わんこそば状態の前菜ですからね。

さて、エノテカ・レジョナーレ、バローロの次に訪ねたのは、バルバレスコ。



ここのエノテカは、お城ではなくて、既に本来の機能を失った教会でした。
Enotaca Regionale del Barbaresco
Piazza del Municipio 7
Barbaresco (Cuneo)



内部は、既に教会でなくなっていますが、美しく修復されていて、かつての祭壇があった場所に、試飲のブースがどっかりと置かれているという、罰当たり的なっていうか、なんというか、すごいですよね。
収蔵品は結構少ないのですが、並んでいるボトルのお値段表記がやけにわかりやすい大きな文字で、明朗会計的な感じ。びっくりするくらいお安いボトルもたくさんあります。まぁ、バルバレスコは、本来比較的リーズナブルなんですよね。一部を除き。



それにしても、訪れる人の数は半端じゃありません。
こんな、小さい町なんですけれど、行きかう車はひっきりなしだし、おそらく大型バスでツアーしているような団体多数。



エノテカ前にあるバールも、なんだか満員でした。風情ないなぁ。もうちょっと静かな季節に訪れたいものです。

これが、バルバレスコを一躍有名にしたガヤ。



何の愛想もない、堅く閉ざされた入り口。それにしても、村の中心にどっかりあるというそのロケーションにびっくりしました。まさに村の有力者として君臨している感じ。確かにここを訪れる人々で持っている部分も大いにあるでしょうからね~。でも他に比べてぬきんでたお値段で、庶民には手が出ないワイン。お客さんのメインも、おそらく外国人でしょうねぇ。
個人的には、やはりワインは毎日の食卓で飲むものと思っているので、ワイン評論の世界はかなり苦手で、そういう世界に支えられたこのような生産者は、私の興味の外です。

村の一角に、中世の塔がありました。



このあたり、わたし好みの中世はあまりないのですが、こういうものに突然出会うと、なんだか嬉しいし、ほっとして、いきなり居心地がよくなったり、同時に、どういうものか追求したいような修行者気分も巻き起こって、あわあわしたりします。
11世紀の終わりに、当時あった城塞の一部として建てられたもののようですが、創建の詳細は不明。

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  1. 2012/10/22(月) 05:29:18|
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ピエモンテ、食い倒れツアー その3

今回一泊二日の旅ですから、食事は、初日の昼と夜、そして翌日の昼、3回と限られています。せっかくなら、おいしいものをいただきたい、できればお安めに、というところでは思いっきり気の合う仲間での旅なので、同じ目線で気合が入ります。
最初のお食事は、こちら。



Osteria dell'Unione
Via Alba 1 Treiso (CN)

アルバ近くの小さな村の中心部にあるオステリアですが、そのたたずまいが、既にして、「おいしそう~」って感じなんですよ。



内装も、地味ですが、とっても雰囲気があって、居心地のいい空間です。
さて、何を食べたかというと、素直にメニューを選択。
メニューは、量によって三段階でした。コンプリート(35ユーロ)とちょっと軽め(27ユーロ)と、かなり軽め(お値段、忘れました)と。
夕食もありますから、とはいえ、やっぱりちゃんと味わいたいから、三人とも真ん中のメニューを選択。
そのメニューは、前菜二種+プリモ(パスタ類)またはセコンド(主菜)+デザート、というものです。

前菜は、三種類の中から二種類選ぶというものでした。



まずは三人とも選んだハム類の盛り合わせ+野菜の卵焼き(奥の方の緑のもの)。これ、三人分で、その上前菜の一種類め。それにしてはかなり盛りよし!
もう一種、一人はツナ・ソースの子牛肉(Vitello tonnato)、二人は生肉(Carne crudo)。




生肉は、ミラノで食べることはありませんが、産地では結構喜んでいただくメニュー。さすがにおいしいです。それにしても量が、半端じゃありません。子牛肉の方も、本当においしい。この料理は、好きな人は好きっていうタイプの料理で、私は特に好きでも嫌いでもなく、機会があればいただくのですが、ここのは実においしく、確かに、ピエモンテの料理なんだと実感しました。

メイン、二人がタヤリン、私はウサギ肉のバルバレスコ煮込みを選びました。



タヤリンは、タリオリーニをさらに細くした手打ちパスタで、やはりピエモンテ名産。でもなんだか歯ごたえがなく、味わい方がわからない感じ。一方でウサギの煮込みは、絶品。ウサギって自分では絶対料理したくないので、たまに機会があると外食で試すのですが、いやはや、ここの煮込みは本当においしかったです。

そうそう、ワインは、このレストランのすぐ裏に農場のある近所の農家Ada Nadaの赤Dolcetto d'Alba。軽めの飲み口のよい赤で、お値段も超リーズナブル。ワインが、レストランでも安く飲めるのが、イタリアのいいところです。フランスは、料理は、内容とお値段のバランスがとてもよいと思うのですが、ワインが高すぎ。



デザートも、久しぶりに食した名産のブネ(チョコレート・ケーキ)がおいしくて、嬉しかったです。ただしこれは、あまりフォトジェニックなデザートではないので、写真は割愛。

夜が心配になるくらいおなか一杯。これで三人で100ユーロ。こういうお食事に出会うと、ミラノでの外食がますますばかばかしくなります。イタリアの食事は田舎に限る~!

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  1. 2012/10/20(土) 05:59:38|
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ピエモンテ、食い倒れツアー その2

今回ピエモンテに行った目的は、ワイン。10年ぐらい前、よく農家まで直接買いに行っていましたが、最近はすっかりご無沙汰でした。
同行の友人たちは、ボローニャ在住の方なので、ピエモンテはちょっと遠いため、今回二度目。でも、エミリアやベネトには、よくワインを求めて出かけていらっしゃるグルメさんたちです。
私がよく訪ねていたのは、アスティの南部、ランゲ地区のはずれの方で、ピエモンテのワインといって、まず誰もが思い浮かべるバローロやバルバレスコを産する地域からは、ちょっと外れた、比較的リーズナブルな地味なワインの産地でしたが、今回は、ピエモンテ直球勝負で、まさにバローロやバルバレスコという有名どころにある町の地域ワイン展示場というか直売場であるEnoteca Regionaleを回りました。
地図だと、こういう場所。



最初に訪ねたエノテカは、アルバの町の近くにあるCastello di Grinzane Cavourにあるエノテカ、ピエモンテーゼ・カヴールです。

Enoteca Regionale Piemontese Cavour
Castello di Grinzane Cavour
Via Castello 5 Grinzane Cavour



幹線からちょっと入った場所にある小さな町の高台に、お城が建っていて、その中が、博物館とエノテカになっています。ピエモンテでは最初にできたエノテカ・レジョナーレということで、由緒正しいエノテカのようです。



高台にあるだけあって、眺めが素晴らしいです。特にこの日はお天気もよかったので、実に美しい風景でした。まだ葉を残したブドウ畑、まるまるっちい木は、やはりこのあたり一帯の名産であるヘーゼルナッツのようでした。トリノ名産のヘーゼルナッツのチョコレート、ジャンドゥイオットが、これから作られるんですね。

さて、肝心のエノテカは、意外と小さいスペースで、こじんまり。



置かれているワインは、もちろんピエモンテ産ばかりで、特にこのあたりのもの中心。さすがに産地だけあって、お値段もバラエティーに富んでいて、ミラノでは決して見つけられない低価格のバルバレスコなどもみられました。
とはいえ、やっぱり高い。
エノテカでは、有料で(といってもお安い)数種類の利き酒ができますので、ちょっとお試しにとどめて、ここでは名産のチョコレート菓子などをお土産に購入するにとどめました。そう、ワインの他に、お菓子や各種瓶詰め類なども、結構様々なものが売られているのです。

次に向かったのは、バローロです。
Enoteca Regionale del Barolo
Castello Comunale, Barolo



ここもまたお城にあるんです。お城は10世紀建造ですから相当古い建物ですが、きれいに修復されています。とても小さな村なのに、アンバランスに立派な駐車場があり、われわれが訪ねたときにも大型バスが一台停まっていました。



このエノテカは、ちょっとゆったりした空間で、バローロの年代ものワインがずらりと並べられていて、プレゼンスはかなりお洒落。販売用ワインよりも、展示用ワインの方が幅を利かせていて、いかにもワインの王様バローロの本拠地だぜ!というプライドのようなものが紛々と漂っていました。



3種類のバローロを味見。せこいことに、三人で一人分だけ頼んで、かわるがわる試してみました。軽いのから重いのまで、うまい具合に組み合わせてありましたが、さっきのアルバのエノテカでいただいたものが、大変おいしかったので、ここのは、いまひとつでした。やっぱり高いので、わざわざ買う気にはならず、空手でおいとま。このエノテカは、そういえばワイン以外の品物は置いてなかったです。さすがバローロ。もう自信満々。

続きます。

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  1. 2012/10/19(金) 05:06:37|
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チロルのロマネスク その9

チロル城Castello Tirolo、続きです。

ロマネスク美術部分は前回でおしまいですが、このお城、中世の香りを随所に残しながら、観光地としてのケアもかなりしっかりしていて、さすが、イタリアの中のドイツ、というか、オーガナイズがよいというのか。
礼拝堂のあるスペースから、このような木製の渡り廊下を通って、お城の探索が続きます。



途中に、かつてはお城のどこかの壁を飾っていたフレスコ画の断片が、あちこちにかけられています。ほとんどは13/4世紀以降のものであることが明らかですが、モチーフにはちょっとロマネスクの入った不思議なものが多く、面白いのです。



ところどころ、開口部からは、周囲の素晴らしい風景が広がります。
アルト・アディジェは、りんごが有名で、イタリアで流通するりんごのほとんどが、このあたりで産出しているものです。日本の信州と技術提携とかしているようで、おそらく今イタリアで多くの人に愛されているフジも、ここから始まったのだと思います。
そういうわけで、りんごだけと思ったいたところが、実はワイン用葡萄の作付けも相当すごいものがありました。日本で言えば棚田のような土地に、りんごとワインが交互にうねうねと植えられていて、特にこの緑の美しい夏、うっとりするような緑のグラデーションで、本当に素晴らしい景色です。



通路の先に、巨大な塔があります。いかにも中世初期の無骨な建造物。



これが、要はお城のメインの建物なんですね。12世紀初頭の建造。この内部は、現在地域の博物館になっていて、5/6階分のスペースが作られていて、チロルの現代史が語られています。一日の終わりで疲れていて、上まで登る元気がないよ、と思っていましたが、ちょっと見だすと面白く、結局天辺まで登ってしまったのでした。

ぐるぐると壁に沿って回って登る階段になっていて、真ん中は吹き抜け。こういう構造です。



見学終了。ちょうどお城が閉まる時間だったのですが、このあたりがまた、とてもアルト・アディジェ、という感じで、ブック・ショップも容赦なくクローズで、一分足りと遅くまであけてませんよ!と実力行使のクローズぶりには、びっくりでした。



それにしても、見ごたえのあるお城。是非たっぷりと時間をとって、訪ねてほしい


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  1. 2012/10/18(木) 04:30:00|
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チロルのロマネスク その8

チロル城Castello Tirolo、続きです。

素晴らしい石の絵本状の扉をくぐると、礼拝堂になります。



もともとの礼拝堂が11世紀終り頃に壊されて、新たに今ある礼拝堂が作られたのは、1138年ごろとされています。その礼拝堂も、オリジナル同様、一階建てでしたが、1270年に、二階部分が作られます。



これが、二階部分から礼拝堂を見下ろしたもの。
下は、一般人が入ることのできるスペースで、上は、チロル伯爵一家の専用スペースだったようです。礼拝堂の信者席を取り囲むように、バルコニー状のスペースになっています。

まず目に付くのは、後陣部分にびっしりと描かれたフレスコ画。



14世紀のもののようですが、もっと古い時代のようなテイストがあります。やはり遅くまでロマネスク様式が残ったように、フレスコ画の様式も、なかなか新しくならなかったのかもしれませんね。個人的には好ましいことです。動物の絵など、ゴシック期以降のいやらしさがなくて、かなり愛らしいです。

私が好きだったのは、やはり浅浮き彫り。勝利のアーチ部分にさりげなく並ぶ、福音書家のシンボル。と思いきや、一人足りませんでした。



左側に、ルカの牛とヨハネの鷲がいるので、当然右側(上の写真)のは、マルコのライオンと、思うところが、実はこのライオン、翼もないし、本も持ってないし、舌をビローンと出して、歯をむき出しにして、悪のシンボルとして描かれたものらしいのですよ。
オリジナルで、福音書家がそろい踏みをしていたかどうかは、わからないようです。でも、こういう構図にも、必ず何らかの意味があったはずだと。
中世の人たちって、意味のないものは決して表さなかったのですね。それも多くは、隠された意味、二重の意味なんかが含まれていたとか。その辺って、石工さんなのか、石工を指導する技術者なのか、誰がどのように決めて図像を彫り込んだのか、というのが、個人的にはとても興味のある部分です。
それにしても、西洋絵画は、かなりいつまでも図像学に捉えられていますけれど、このあたりがルーツですかね~。



ちょっとよろよろした神の子羊。普通はもうちょっとはつらつとして真っ白なふわふわなイメージですけれど、ここのは、本当にびっくりするくらいよろよろした情けない子羊。何なんでしょうね。

続きます。

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