やっとこさ、怒涛の2月が終わりに近づいてきて、今日で仕事のごたごたが一段落。ほっとしています。この際、たまっているブログ記事も、一気にどんどんアップしていきたいものです。
ということで、まずはロンドン・アート散歩です。
短時間に、駆け足での美術館めぐり、最初に行ったのは、金曜の夜に遅くまで開いていて、その上街中なので夕飯にもありつきやすい、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催中の、マネの展覧会です。
Manet
Portraying Life
Royal Academy of Arts
26 Jan 2013 – 14 Apr 2013
ロンドンでの、マネの大規模な展覧会というのは、今回初めてなんだそうです。そしてまた、この展覧会のコンセプトであるポートレート作家としてのマネをフューチャーする、というのも初めての試み。
といっても、同時代に多くの有名画家が輩出しているし、時代としての著名さはあっても、特にマネが好き、という人は比較的少ないような気がします。
わたしは天邪鬼なので、もともと印象派系はすごく好き、ではないのですけれど、時々はっとさせられることがあるのも確かなんです。やはり、技術やマテリアルが進歩したこの時代というのは、現代につながる美術のスタート地点でもあるような気がするし、わけのわからない現代が好きでも、デッサン力のない画家は嫌いですから、この時代の、本当に絵がうまい人たちに対する敬意みたいな気持ちはあるんです。
そういった中で、マネは、まさに時々はっとさせられる絵を描く人ではないかと思うのです。
二年ほど前にパリで美術館めぐりをしたときに、オルセーで見たマネの何枚かの絵が、印象的で。それも特に有名じゃない風景画とか、そんなものに目を惹かれました。それで、今回この展覧会は、訪ねたいもののひとつだったんです。
この美術館、場所はいいけど、古い邸宅を使っているため、全体にどよんとした空気があり、天井が高いのに圧迫感を感じさせられるスペースなんです。その雰囲気が、もしかするとマネには合っていたかも。
ポートレートがどっさり、次から次へ。
実際、この人、その生涯にわたって、どっさりポートレートをやっつけたそうですが、もしかしたら、売れない時代も長かったようだから、そのせいかもしれないですよね。やっと賞を取ったと思ったら、モネとの間違いだった、なんていうエピソードもあるらしいです。
そうは言っても、その年表を見て思ったのは、こういう時代に、パリに生まれ合わせちゃった幸運、そこそこ早い時代に絵の勉強ができた幸運、そういっためぐり合わせ。画家も作家も音楽家も、パリに集まった時代に、自分から行かなくてもそこにいた、ってすごいことではないでしょうか。もちろん才能あってのものだね、どこに生まれても、どこに暮らしても、出てくる人は出てくるんでしょうけれど、今ほど世界は狭くなかったし。
実際に、エミール・ゾラとか、将来有名になる多くの才能ある人々と、若いときからお友達だったりという現実があるんですから、なるほどな~、時代ってあるよな~、と思いました。
美術を勉強したわけでもなく、ただぼんやりと見るのが好きなだけなので、アカデミックなことを書いても仕方ありませんし、感覚的なことを勝手気ままに書くのですけれど、面白いなぁ、と思ったのが、多くの絵に、半端に未完成感があることです。
顔は一生懸命描いても、足の方がいい加減だったり。
すごく構図や図像を考えて描いても、全体にちぐはぐだったり。
なんか、言いたい放題ですけれども、一度そう思ってみると、本当に展示作品の多くがそういう感じで、勝手に受けてしまいました。
それでも、印象深かったのは、黒。
ポートレートの人物の多くが黒を着ていて、その黒の衣装が、どれもこれも異常に美しいのです。男性のスーツだったらともかく、女性に黒を着せて描く、というのはどうなんでしょう。決してスタンダードではないような。その質感とか光沢とか、なんだかもう女性でも子供でも男性でも、素晴らしくて。
本来、本当にうまいんですよね。いい加減なだけで…。
でもな~、やっぱりどっかずれてる感じ…。
そういうところ、嫌いじゃないなぁ、と思いました。
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- 2013/02/27(水) 06:28:13|
- アートの旅
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毎年恒例のロンドン詣で。といっても、仕事で行くので、プライベートな時間はあったりなかったり。たとえば昨年は、仕事で一杯一杯で、早朝散歩以外は、何もできないスケジュールだったんですが、今回は仕事が木曜午後から金曜日だったし、せめてと思って一泊だけして、金曜日の夜から土曜日にかけて、ロンドン散歩を楽しんできました。
とはいえ、実は体調のことなどいろいろあり、かなり厳しい状態だったのですが、既にキャンセルできないスケジュールを組んでしまったので、ちょっとどきどきの出発。その上、出発の火のミラノは雪で、飛行機は飛ぶんだろうか、帰ってくるときは大丈夫だろうか、というお天気の心配まで。
実際、ロンドンは、小雪が時折ちらつく寒い陽気でしたが、なんせミラノが雪だったので、特に寒いと感じる暇もなく、仕事終了。金曜日の夜から、プライベートに突入です。
仕事の後は、キングス・クロスの近くの安宿街にあるB&Bに荷物をほうり込んで、すぐに街に出発です。
白っぽいビルが多い中、この真っ赤なダブルデッカーは、やはり絵になりますねぇ。ああ、ロンドンだなぁ、と思いつつ、実は特に感慨もなく、歩くわたしでありました。
もともとロンドンって、出身地東京に空気が近くて、違和感がないのですよね。街を歩いていても、よく日本人とすれ違うし、中国人その他の東洋人も多いし、白人には普段なれているし、そういう意味でも、ますます違和感が少なくて、すっぽりと普通に入り込んでしまいます(そういえば、イタリア語もよく聞こえてくるので-なんせ、イタリア人は声がでかいので、すぐに耳に入ってきます-それも普通感を助長しているかも)。
今回は、久しぶりに、ロンドンの美術館めぐりを目的としました。
しかしながら、最近の忙しさ、事前にゆっくりと調べる暇もなく、細切れで情報収集をしたために、実際に何を見たいのか、何を見るべきなのか、考える暇なしに現地INしてしまいました。なんせたったの1日ですから、現地で情報収集の暇はなし。とにかく、調べた最低限の情報に従うしかありません。
歩いていて、こんな派手派手に看板を出している劇場に出くわして、そういえばかつてシアターにはまっている頃、ロンドン、といえば、まずミュージカルであり、バレエ、オペラのマチネを探していたなぁ、と懐かしく思いました。
シアター系は、今でも嫌いじゃないけど、ちょっと卒業しちゃった感があり、何が何でも、とは思わなくなってしまいました。ただ、ロンドンでは、地下鉄のエスカレーターの脇に延々と、ミュージカルや芝居や映画のお知らせが並んでいて、今回も、この「雨にうたえば」とか「トップ・ハット」等、往年の名作がかかっていることをそれで知り、ちょっと、調べるべきだったかなぁ、と思ったりしていました。
実は、ダンス全般大好きで、ジンジャー&フレッドの映画は一通り見ているんですよね。トップ・ハットは、かなり舞台で見てみたい作品です。
そういえば、映画版「レ・ミゼラブル」が大当たりしたんですよね。考えたら、あれも昔々ロンドンで、初演から間もないときに見ています。結構よい席で見ることができたので感動したんだよな~。当時一番好きで、何回も見たのは、月並みながらキャッツですけれど。
次回、って来年ですが、事前にちゃんと調べて、ミュージカル・ナイトもいいですね。
シアターではなくて、最近はどうしても、近現代中心の美術館めぐりになってしまうわけです。今回も、木曜日の夜から始まって、金曜日は一日中、美術館めぐりしてきました。幸いにも、見たかったもの、最低限見ることができて大満足。
しかし、美術館めぐりって、実は体力勝負なところがあって、結局かなり修行状態になってしまいました。今日は、足腰、筋肉痛が来ています。
ロンドンは、街歩き、って言う意味では、やっぱり楽しい。いろいろな風景が、わたしにとっては非日常的なのも楽しい。そして、これまで、冷たいとばかり思っていたロンドンの人々も、フランスの経験の後では、いやいや、フランスより全然いいではないか、という事実に気付いたのも、発見です。
そのフランスの旅、しばらくお待ちいただいて、ちょっとロンドンのアート報告とします。ので、ロンドン・アートに興味ある方、お楽しみに。
- 2013/02/25(月) 07:37:53|
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おまけ、ニース
最後に、半端な時間ができたので、カンヌからイタリアに向かう途中のニースに寄りました。数時間あったので、駅に荷物を預けて、ブラブラするつもりでした。
ニースは、これまで何度も行っていますし、駅に荷物預けがあったのもよく覚えています。さすがに大観光地だし、まさかヴェンティミリアのように、なくなっていることはなかろう、と思い込んでいました。
確かに、ちゃんとありました。
でも、思いっきり閉まっています!
なんと、お昼休み…。イタリアかよ…!全くないより、逆にむかつく感じ…。
ニースは、坂の街でもあります。どこに行くにも、必ず坂があります。駅から海辺の方に行くには下り坂。マティス美術館などがある方へは上り坂。下がったら登らなければいけないのが道理。どうしようかな~、としばし悩みましたが、お昼休みが終わるまでのんびりと待っているのは、もったいなくて我慢できない。
ということで、結局また修行旅状態。荷物を引きずりながら、シャガール美術館を目指すことにしました。
駅にある観光局で地図をもらい、行き方を訪ねると、「近いので十分歩けますよ。こう行って、こう行って…」と、クールながら一応対応はしてくれたので、その通りに歩きました。そして途中で、対応はしてくれたけれど、やはり親切心も何もないのだわ~、とまたフランス人に対するやるせなさがこみ上げてきました。
だって、そりゃわたしは方向音痴ではあるけれど、それにしても表示はないし、曲がりくねっていて、地図を見てさえ方向を間違えるような道の連続だし、その上、最後の方は、本気で誰かを呪いたくなるくらいのすごい急坂だし。
あああ。辛かったです。
が、何とか到着。真冬なのに汗だく。
入り口は地味だけれど、とても雰囲気のある建物。そして建物の周りには、素敵な緑の庭園が広がります。
先述したとおり、ニースは、南仏の中では、エクス・アン・プロヴァンスとともに、やけに訪ねている町のひとつなんです。なのに、このシャガール美術館は初めてだったんです。シャガールって、日本ではすごく人気者だけど、わたしは実は余り好きじゃなかったんですよね。あんまりイラスト的だし、きれいだけど、絵が下手だし(すごい発言ですが)。
でも、今回美術館を訪ねて、見る目が変わりました。すっごくよかったんです。
これって、2年ほど前に、パリのオランジュリーでモネを見て、睡蓮のすごさが初めてわかったのと同じような感じ。やっぱり本物を素晴らしいロケーションで見るって、それだけで何か違うものが見えるのかもしれないです。
ゆったりとしたスペースに、自然光が入るような設計で、全体にやさしさが漂っています。大作が、押し付けがましくなく目に入る。
小品もかわいらしいですが、やはり大きいキャンバスの絵は、引き込まれるものがあります。ちょっと感動しちゃったのが、この一連の、美しい赤の絵。
六角形か八角形の部屋になっているスペースの壁にぐるりとかけられていて、圧倒的でした。この人の色使いは、すごい。これまでわかってなくてごめんなさい。
美術館の一角は劇場空間になっていて、シャガールのインタビューのビデオが流されていました。途中から見たのですが、これがまたとても面白かった。
劇場の壁を飾るステンドグラスも、シャガールの作品のようです。こういう個人の美術館がたくさんあるのが、フランスの楽しいところかも。というか、それだけ多くの著名アーティストが生きた土地であるということですよね。
パリのオペラ座の天井画も、ちょっと見たくなりました。
うっとりしながら、気を取り直して、改めてかばんを引き引き、今度はおなじみのマティス美術館に向かいます。ここは、美術館の人に尋ね、さすがにバスで行くことにしました。
おお、久しぶりです。
以前は、もっと絵がたくさんあったように記憶しているのですが、ちょっと寂しい展示だったように感じました。でも、無料でしたか、ここ?無料って覚えてないんですけども。別に訪ねた日がたまたま無料、というわけではなく、通年無料のようでした。ふーむ。
美術館前のオリーブ畑、というより公園。老若男女がくつろいでいて、ゆったりとよい感じでした。一人荷物を引いて、場を乱す異質なわたし。
そうこうしているうちに、列車の時間が近づいてきて、慌ててバス停に向かいました。時刻表を見てびっくり!1時間に1本くらいしかないんです。どきどきして待つこと10分ほど。無事にバス到着で、無事駅に到着。危なかったです。
というわけで、クリスマス休暇、おしまい。盛りだくさんで、とてもよい旅ができました。とにかく暖かいのが気に入って、毎年の恒例にしてもいいな、と思います。とりあえず次回は、ニースに停まって、中世ではなく、美術館めぐりの休日をもくろんでいます。今から。早いし。
お付き合い、ありがとうございました。
いよいよ、昨夏のポワトー・シャランテに戻りますので、お楽しみに。
- 2013/02/21(木) 05:44:41|
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おいしいお魚中心の南仏めし、一気に行きます。
まずは素敵なデセール。
さすがフランスですよねぇ。小さな町村でも、お菓子屋さんのショウ・ウィンドウというのは、本当にもう、普段、甘いものにはほとんど興味のないわたくしですら、思わず足を止める美しさ。
イタリアでは、ここまで洗練された外観のスウィートというのは、めったに見ることができません。うっとり。
しかし、お値段に目が留まると、これまたイタリアではありえないお値段で、今度はげっそりって感じです。この値段で買う方がいるんだ~!
ちなみに、ちょっと奥にある、ピンクの木苺風のノエル状態のケーキが76ユーロ、その右となりのノエルは、メレンゲ・ノエルでしょうか、60ユーロ…。なんか、日本でもここまで高くないって言うか、そこまで高かったら売れないのではないか、というお値段設定(いや、知らないだけで、そのくらいするのか?)。デセールの価値が、やっぱり高いんでしょうかねぇ。
今回、短い旅でもあるし、久しぶりの南仏、お魚、ということもあり、ご飯はおろそかにしないぞ!と事前に誓ったものでした。
初日のランチはヴェンティミリアの市場近くの食堂でしたが、見た目のダサさと反して、とってもおいしいパスタのランチで、よい幸先をきりました。
そして、夕食。
カンヌは観光地ですから、とにかくレストランの数がすごくて、もうどうやって選んだものやら。ただ、お値段との兼ね合いもあるし、初日は、ちょっと遠慮して、裏通りを物色して、お店の人に誘われたところにあっさりと入りました。
ここが、おいしさより、面白さで記憶に残ります。
通りに置いた外にテーブルに腰掛けて、ゆったりと酒を飲み、タバコを吸いながら、通り過ぎる観光客を呼び込んでいた、あたかもおかまのママかしら、風なおばさんのたたずまいが印象的で、そして、店頭に書かれていたメニューに納得して入った店内は、これまた超小さくて、厨房はまるで個人の家の台所並み、というのも印象的で。
おばさん、いきなりやる気になって、コートを脱いだら、これまたなんだか超ファッショナブルなスタイルで、かなりのお年と見えるのに、ナイスバディ!こりゃ、見せたくなるわ~、と派手にコートを脱いだのも納得。
早速、突き出しに甘いお酒が出されました。
イタリアと違って、フランスは、どこに行ってもメニュがあるんですよね、昼も夜も。だから、夜は特にお得感が強いです。お勘定の心配なく、決まった値段でちゃんとコースがいただけるのはありがたいことです。その分ワインがちょっとだけ高めですが、このコート・ダジュールはさすが観光地だけあって、ハーフ・ボトルのチョイスもたくさんあるし、この点でもお勘定の心配がないのがよいです。
このお店も、本当に安かった。ワインは、ハウス・ワインで1本ドンと出されて、飲んだだけ計上されるシステム。まさに大衆食堂ですね。
前菜には、魚のスープ。まずくはなかったけど、まぁまぁ、というところ。そしてメインが、いわし。
超立派ないわし!ミラノではめったに出合うことのない大きさです。
それがどんと四匹、揚げてあるみたいで、余りのボリュームに、すんなりと撮影しました。店が余りに狭いし、写真を撮るほどの料理じゃないし、遠慮していたんですけどね。
お魚は、手をかけないのが一番。これもただ揚げて塩がふってあるだけですから、おいしかったです。
ここに骨を片付けてね、と持ってきたのが、プラスティックの、おそらくアイスクリームとかの空き箱だったのもほほえましく…。いい意味での大衆食堂でした。
わたしは口開けのお客さんでしたが、その後は続々と入ってきて、中も外も、それなりに席が埋まっていました。おばさん、大活躍。最後まで、おかまのままか、本当に女性のままか、一所懸命観察しましたが、わかりませんでした。
翌日の昼。
フレジュスとかサン・ラファエルを急ぎ足で回って、結局遅いランチの時間にカンヌに戻ってきました。
実は、心の中で、前日うろうろしながら見つけたいくつかのおすし屋さんが気になっていました。いずれも中国人がやっているお店らしいことはわかりましたが、なんせお魚のおいしい土地なんですから、おすしはおいしいのではないか、でも、ここまで来て中国人のお店でおすしを食べるのもどうよ、と思っていたんですよね。
でも、時間がなくて手早いランチに、おすしはぴったり。
ということで、ちょっと目をつけていたお店に直行。
残念ながらクローズ。次に直行。
回転寿司の店。お客は少ないけど、入りました。そして、びっくり。がっかり。
メニューはたくさんあって、悩んでいると、これがお勧め、とフランス人のボーイさんが薦めたのが、おすしとお刺身の盛り合わせ。素直にそれを頼んだところ、なんと。
まずサラダ。ありがちだよな~、と思いつつ、グラスの白ワインと味わっていると、次に来たのがおすしのプレート。そこにお刺身も載っていますが、え~、マグロとサーモンだけ。え~、それはないでしょ。
そして、味噌汁と、なんと何と、塗りの(といっても、もちろんプラスティック)のおわんに、白ご飯、てんこ盛り…。
いやはや。ミラノも、いまや日本食といえば、中国人または韓国人のやっている店ばかりになりましたが、これはない。白ご飯と思ったら、チャーハンがお茶碗に盛られて出てきたり、うどんを頼んだら、いきなり焼きうどんだったり、ということはありましたが、おすしに白ご飯は、ないよ~。
そりゃカンヌは、結局田舎だけども、それにしてもねぇ。
その上、このてんこ盛りの白ご飯、中国風のぱさぱさ飯で、チャーハンにはぴったりだけどねぇ、という状態で。
それでいてお値段は、ミラノのこういう店でのランチ定食の、軽く二倍はしたので、むかつくというか、あきれるというか。
ああ、お魚食い倒れはどこに…。
夜に向けてめらめらと、おいしいものを求める気持ちが盛り上がるのでした。
というわけで、その夜は、表通りに場所を移して、ずらりと並ぶレストランから、好みのお皿のあるメニューを探して、お値段的にもお手ごろなお店に入りました。
まず、ニース風サラダ。
サラダは、おいしいです。ニース風サラダのボリュームは大好き。でもちょっとソースが盛られすぎではありましたね。
そしてメインはえび。
各種スパイスが効いていて、おいしかったですね~。
このレストラン、お一人様も得意としていたようで、席もよかったんです。目の前にあるテーブルがやっぱりお一人様で、わたしの後に入ってそのテーブルに着いたのが、なんだか、映画人?業界人?みたいなタイプの白髪初老のおじ様。絶対に普通の会社員ではありえない空気の方だったんです。
頼んだのも、お魚盛り合わせって、普通一人では頼まないようなお皿で、貝やえびなど生もの中心の盛り合わせです。ワインも、赤いのをドンと1本。
他にもお一人様が結構いたんですが、どちらも、わたし同様メニューをつつましく頼んでいる中で、かなり異質。それにお店の人もおなじみさん対応をしています。
おじさまなのに、麻のようなふわふわしたスカーフ、サングラス、金の指輪やネックレス。いやはや。そして極めつけは、早々にお食事を終えた、男性初老、女性中年、どっちも派手派手の衣装のカップルが、帰りがけに彼に気付いて、いかにも表面的な挨拶をしていったそのシーン。
なんだかニュース映画を見るような、そういう光景が、目の前に次々に展開されたって分けです。面白かったな~。
まるでテレビでも見るようにそういう空気を楽しみつつ、のんびりワインをいただきながら、デセール。ババ。
これは本来南イタリアのお菓子じゃないですかねぇ。スポンジケーキのブランデー漬け。お酒の苦さと生クリームの甘さが絶妙でおいしかったです。かなりの大きさなのにぺろりといただいてしまいました。
翌日のランチ。移動のため、時間がかなり押せ押せだったのですが、やはりちゃんと食べたいな~、と今回も表通りのお店へ。ランチのメニュ。
お野菜たっぷりのサーモン。
見た目もきれいだし、お野菜のたっぷり感とそのしゃきしゃき感がなかなかでした。こういうお皿って、テレビでやっているヘルズ・キッチンとかでよく出てくるタイプですよね。こういう堂々としたサーモンの切り身は、意外と普段おうちで食べることはできません。といって、海辺でサーモン食べるのも、どうよって言うのも一方でありますね。笑
ただ、厚みのある切り身で、芯の部分がちょっと生っぽくて、これはヘルズ・キッチンだったらゴードン・ラムゼイが怒鳴りまくるな、なんて思いながら、そこだけはひっそりと残しました。
このお店のメニュは、前菜とメイン、またはメインとデセール、のどちらかで同料金だったと思います。わたしは後者を選んだので、次はデセール。
クレマ・カタランとそえもののマドレーヌ。お味は普通でしたが、見せ方がイタリアにはありえないお洒落振りで、気に入りました。時間もないし食べきれないマドレーヌはお持ち帰りして、移動の列車の中でいただきました。
そういえばこの店、お店の内装は普通でしたが、トイレがまた、異常にかっこよかったんですよねぇ。ミラノのサローネに展示されるような超スタイリッシュな洗面台で、どっから水が出てくるかわからなかった…。
意気込んだ割にはたいしたことのない食い倒れですけれど、フランスで毎度思うのは、お値段と内容のバランスがいいなぁ、ということです。特にこのメニュ制度はお得感が本当に強い。お魚、と考えると、お得感はさらに高まるかも。
カンヌは所詮田舎ですから、海沿いのそこそこのお店でも、たいしたお値段ではなく、わたしのような貧乏人貧乏旅行でも、十分においしさを堪能できます。
そして、今回の業界人ぽいおじ様のような、見ていて楽しい、言葉がわからない分さらに楽しめる風景にも出会えたりして、これはこれで、わからない楽しみがあります。
おいしかった(ランチのおすしはのぞいて)。
今年のフランスはプロヴァンス、と思っていますので、また気合を入れたレストラン選びが楽しみです。
- 2013/02/19(火) 06:54:20|
- イタリアめし
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レランス諸島、サントノラ島3
修道院本体のすぐ近くにあるのが、海に突き出して建てられている要塞教会。
素晴らしいロケーションです。曇天がちょっと残念ですが、逆に、怪しい中世の雰囲気が出ている感じもします。
海辺の小道をたどって、入り口にアクセス。まさか中には入れないだろうな、と思っていたら、なんと何と、思いっきり開いているのでした。
「16時45分に門は閉ざされるので、訪問者はそれまでにちゃんと出てね」という但し書きがあるので、普通に開けているのですね。
いきなりこんな感じで、嬉しくなりました。
かなり朽ちてはいるのですが、見学ができるように、床面も階段も、それなりにきちんと整備されていて、上っていける螺旋階段があります。明かりも、ちゃんと点灯できるようになっていました。
迷路のような各階に立ち寄り、見られるところは余さず見て、やっと到着した天辺。
修道院本体の全景はもちろん、遠くカンヌの町まで見晴らすことのできる絶景。そして、見下ろす海は、見事に澄んでいて、実に美しい南仏の風景が広がります。これだけでもここに来る価値は大。
お天気がよければ、置いてあるデッキチェアに腰を下ろして、のんびりとお休みさせてもらったことでしょう。
それにしても、この感じって、何か思い出しませんか?
リグリアのサン・フルットゥオーゾ修道院。あそこも、こういう感じでしたよ、確か。
ただ、あそこにはとっても愛らしい柱頭装飾がありましたが、こちらは、かなり地味。
でも、シンボリックな植物模様や組紐模様、どういう起源か、サン・フルットゥオーゾとの関係とか、調べたくなります。
要塞教会を後にして、この島で最も訪ねたいと思っていた教会に向かいます。海沿いの道を歩き、小さいながらも、表示もないので迷いながら、たどり着いた林の中に、その教会はありました。トリニタ礼拝堂Chap.de la Trinite'。
石積みの素朴さといい、全体のたたずまいといい、とても心引かれる姿です。
ファサード側は、ただ石積みの素朴な平面的なものなのですが、この後陣。まるでビザンチンの影響でもあるかのようなたたずまいではないですか。
修道士の人たちが、石をひとつずつ積み上げて作ったのでしょうか。祈りがにじみ出ているような、素朴なだけに強い心を感じる建物です。
残念ながら、扉は閉ざされています。かなりいい加減な立て付けで、石の壁と、分厚い木の扉の間はすきまだらけでしたが、中は見ることできず。もちろん、内部もただ石積みのままで、装飾といって何もないのでしょうが、こういう祈りの念が強く感じられる建物の中に、入ってみたい気持ちになりました。
今でも、特別な祈りの機会には、使われているようです。
ロマネスクの教会で現役の場所は、もちろんたくさんあるわけですが、作られた当時そのままの姿で、そのままずっと使われてきた場所というのは、ほとんどないと思われます。そういう意味で、とても貴重な場所なのではないでしょうか。
立ち去りがたいような気持ちに捉われつつも、次の船に乗って、カンヌに向かいました。サントノラ島、いつまでもこのままの姿で保たれますように。
- 2013/02/18(月) 06:30:40|
- プロヴァンス・ロマネスク
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レランス諸島、サントノラ島2
前回は、ついつい島と周囲の海の美しさに終始してしまいましたが、いよいよ中世世界に足を踏み入れます。
島には、時代の異なる礼拝堂が、あちこちに点在しています。最初に出会ったのはここ。
サン・ピエール礼拝堂。
中は入れませんが、結構新しそうな礼拝堂。手前に緑のトンネルがあり、美しい海辺に下りることができます。
そしてその先に、修道院の本堂があります。
森だったり、やしの木だったり、土の道だったり、そして教会の雰囲気も南っぽくて、カンヌは確かに南なんですが、もっともっと南っぽくて、一体どこにいるのか、わからなくなってくるような風景です。
教会は、実はすっかり新しくなっています。
オリジナルは、それこそロマネスク時代のものだったようなのですが。今、その面影を残す回廊があるはずで、そこが目当てだったのですが、回廊に通じそうな扉は堅く閉ざされています。
おかしいなぁ、と上の写真部分ですれ違った関係者、というか、何かの工事に来ているらしい作業着の若者に、きっと冷たく対応されるのだろうな、と思いながら、回廊のことを尋ねてみました。
最初は余り英語が通じなかったのですが、途中からぼんやりと会話となり、「あ、回廊ね、あれは、クローズ。一般人は入れませんよ。あそこはモンキー専用だから。」
「…モンキー?」
「!モンク、モンクだよ、あっはっは、モンキーなんて言っちゃ(猿に)悪いよな~。」
と、大笑い。なんとなく、猿に悪いって皮肉っぽく聞こえたんですけどね、まぁ修道院関係者だから、そんなこともないのかな。
それにしても明るい若者で、フランス人も明るい人がいるんだ、と久しぶりにほっとしました。
モンキー、くくくっ。でも、こういう風景が広がっていると、猿とか実際にいても不思議がないような気もするから、ね~。
修道院全体。
塔のあるのが教会で、周囲の建物は、宿泊場所や食堂や作業場があるのでしょう。修道院のサイトを見ると、ワインを始めとして、いろいろなものを造っているようです。お土産物屋もあって、修道院で作っているワインやリキュール、石鹸やお菓子類が販売されています。
びっくりしたのはワインが、すっごく高いこと。一番安いのでも10ユーロ以上で、平均価格が30ユーロくらいだったかな。フランス・ワインはもともと高い上に、やはり希少価値ってやつかしら。
実は、この島にはレストラン、それも結構高級なレストランがあり、この修道院のワインも、供されているようです。
ワインは、高いし重いので、小さいリキュールを1本、求めました。
レランスの黄色酒ってなんだかよくわからないけれど、植物で作っているリキュールのようです。アルコール度43%とあるので、グラッパ系かな。まだ味見してないのです。
さて、島に点在する教会めぐりに出発。その前に、ちょっと面白いなと思った風景。
もはやほとんど懐かしい公衆電話。
土の道、緑、背後遠くに教会が見えるものの、なんだか田舎のはずれにポツン、という場所なんです。修道士は携帯を持たないのかしら。修道院内に電話は置かないのかしら。試してはみなかったのですが、現役っぽかったです。不思議ですよね。
- 2013/02/16(土) 06:23:16|
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カンヌ
さて、知る人ぞ知る、のカンヌで出会える中世の世界にご案内します。
レランス諸島はサントノラ島。
今ではちょっと町外れになってしまっているカンヌの旧港から、そのレランス諸島行きの小さな船が出ています。
レランス諸島は、カンヌの港からも目視できるくらいの近くにある、サント・マルグリット島とサントノラ島という二つの小さな島。私が興味を持ったのは、島全体が、今でも修道院となっているサントノラ島です。
カンヌの港からだと、サント・マルグリットの後ろに隠れているような横長の細長い島の方です。
これは帰りに撮影したものですが、こんなに横長で、平べったくて、こんな形態で、中世の昔からずっと同じ姿をして存在しているなんて、なんかすごい。
朝一番に港に行った所、まだチケット売り場も開いていないし、客らしい人も誰一人いないし、本当に船が出るのか不安になったくらいでしたが、その日最初の便が出る10分くらい前にチケット売り場がオープンして、お客さんも数人。しかしすべて関係者っぽく、観光客は明らかにわたし一人でした。
いざ出発。
余りお天気がよくなかったので、実は船酔いが心配でした。
というのも、以前、リグリアのカモリから、世界遺産となっているサン・フルットゥオーゾに船で行った際、たった30分程度なのに、すごい船酔いをして、到着時には顔色真っ青で死にそうにふらふらになった経験があったからなんです。まぁそのときは、1時間後の帰り便を最後に船が運休するくらいの嵐状態だったので、海の状態が普通ではなかったんですけれども。
ところが今回、海は超穏やかで揺れもなく、酔う暇もないくらいにあっという間に到着してしまいました。20分くらいだったと思います。よかった~!
事前に、カンヌの観光局で地図をもらったりしていたものの、実際にどの程度の広さなのか検討もつきませんでした。島のあちこちに、小さな教会が点在しているらしかったので、全部回れるのだろうか?
実際に島を目にすると、さほど大きくはないものの、横に広がっている分、一周するのは意外と時間がかかるのではないかという印象です。
上の地図の下がカンヌ側で、そこに小さな船着場があります。
島の中を突っ切った反対側に、現在も機能している修道院施設と、島で最も大きな要塞教会があり、島のあちらこちらに、時代の異なる礼拝堂が点在しているようです。
まずは、修道院に向かいます。
船着場で降りたのは、わたしを入れても4人ほどで、みな何らかの目的を持っているようで、あっという間に散っていきました。
目の前に広がるのは、こんな風景。
さっさと歩いていく同じ船のお客さんが、既に遠く見えます。
こういう風景、想像していなかったので、すごくびっくりしました。自然そのまんま。
わたしは急ぐ旅でもないので、この土の道を、のんびりと歩きました。森が途切れたら、
木の扉があり、中は畑らしい。朝も早いのに、畑仕事をしている人の気配も感じられます。扉は、トラクターなどが入るためか、全開でしたが、丸いマークの中には修道士をシンボル化した図と、「修道士以外進入禁止」の文字が書かれています。
シンボルがかわいいなぁ、とちょっと覗き込んで、一瞬、足が止まりました。
樹齢が何百年にもなろうかという大きなオリーブの木の根元近く。何だと思いますか。
きじ。ですよね。
鮮やかな色が、緑に映えて、とても美しかったです。
きじは、イタリアの田舎でも目にしたことがありますが、普通はやっぱり逃げます。このきじは、悠々と地面をついばんでいました。放し飼いで飼われているのか、または、修道士は、追っかけたりしないから、安心して生活しているのか。豊かで幸せな風景でした。
そして、島を横切ると、反対側の海辺に出ます。基本的に島の隅々まで緑で覆われていて、海が見えないようになっているのですが、ところどころ、人工的に緑に切れ目を入れた、緑のトンネルみたいな場所があり、好奇心満載で潜り抜けたら、水辺に出ることができました。
とてもきれいな岩場で、水も透き通っていて美しい入り江。まるで童話の中の一枚、というような風景です。
歩いていくと同じような秘密のトンネルがいくつもあるので、ついついくぐっては海辺に出ることを繰り返していると、おっと。見てはいけないものを見てしまった。
実はこの島、修道院の持ち物となっていて、島内での喫煙が禁止されています(夏でも、ノースリーブとか、教会に入るにそぐわない服装も禁止らしいです)。火災防止もあるのでしょうが、島のあちこちに、見逃しようのない「禁煙」マークが掲げられています。
ところが、ある入り江にアクセスしようとしたら、ぷん、とタバコのにおいがして、行こうとした先の方に、岩に腰掛けて喫煙しているおばさん風の姿が目に入ってしまいました。
修道院関係者かもしれないし、どうやら修道院内に宿泊施設もあるようなので、その宿泊者かもしれないし、真相は不明ですが、いずれにしても、禁煙をわかっていて隠れて吸っていたのでしょうから、なんとなく、みっけた~!という状態も居心地悪い気がして、すぐにきびすを返して、他の海辺に行きました。
なんだかおかしかったですけれど。やっぱり「みっけた~!」とやった方がよかったかしらと思ったり。くすくす。
こういう緑のトンネルをくぐって。
やっぱり美しい海に出会えます。
本当に透き通っていて、嘘みたいに美しい水。寄せる波が泡立って、空気も風邪もにおいも、なんとも言えず気持ちがいい。
かもめもやっぱりのんびりしている感じ。
ああ、テーマは中世でした。
次回…。
- 2013/02/13(水) 06:31:39|
- プロヴァンス・ロマネスク
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いや~、待ち遠しかったこの日がとうとう来ました。ミラノの地下鉄5番線の開通!
ミラノには、既に一番線(赤)、二番線(緑)、三番線(黄)の三ラインの地下鉄があります。そこに、四番線を追い抜いて、その名もゆかしい藤色の路線、五番線がいきなり登場です。
どういう事情かはよく知りませんが、四番線より先に予算がついたために、四番線がないのにいきなり五番線ができるという、なんだかわけのわからない、いかにもイタリアっぽい状況になっています。
実はわたし、この五番線沿線在住なもので、引っ越してくる以前から工事が始まっていたこのメトロ、いつできるのかとわくわくしていました。
昨年春、法皇のミラノ訪問にあわせてオープンする、という話がありまして、そうに違いない!と、私のみならず多くの人が期待していたのに、まったくなしのつぶて。その後も、トライアル運転とかいろいろあったのに、結局最終的な予算がつかずに、2013年まではオープンしない、ということとなり、もうこれは永遠に開通しないのではないか、と薄々疑問に思っていたところ、なんと、年明け早々、実現可能性が再浮上したのでした。
しかしながら、開通のセレモニーがあった割には、相変わらず、駅は閉ざされている。あらら、やっぱりだめかしら、と思っていたら、先週、いきなりメトロ各駅のホームに、大々的に、メトロ5開通のポスターが張り出されました。
ほんとに本当に開通するんだ!
この際、記念すべき初日に乗るぞ!とわくわく。
で、本日。
初日アクセスのために、日曜日だけど、起きる時間にも注意して、開通の11時に注意しつつ、ついいろいろ家でやるべき仕事に夢中になり、うっかり11時に間に合わなくなりそうな時間、慌てて家を飛び出しました。
ミラノで新しいメトロが開通するのは、黄色の三番線が開通した1990年以来(イタリアでワールドカップが主催された年)なのですから、結構なイベントと思うのですが、なんとなく静か。それでも、最寄の駅にアクセスすると、藤色の風船を配っている人などがいたりするし、日曜だというのに、駅は大賑わい。
しかしながら、複数ある自動改札のうち二つしか稼動していないための混雑で、意外と人が少ない。東京だったら大変なことになっているのになぁ、と思いながら、開通記念の無料乗車券をゲット(といっても、たかが1.5ユーロで、本来、年間定期券を持っている私には、無用の長物なんですけれどね)。
おお!本来は白の右端に、Tutti pazzi per la lilla M5なんていう書き込みがあって、一応記念乗車券状ではないですか、びっくり!(もらってよかった!)
ぴかぴかの改札、ぴかぴかの階段やエスカレーター、そしてぴかぴかのホーム。この新しいメトロ、実はすべてオートマチックで、運転手のいない無人路線なんです。ホームも、線路との間にガラスの壁があって、扉が開かない限りアクセスできない仕組み。
基本的に6分毎に電車が到着することになっていて、次の電車を知らせる掲示板も、最新式です。30秒単位で、掲示されるのにびっくり。でも、バグっているのか、1分が30秒になったり、また1分に戻ったり、余り信頼できない様子もありましたけど。ま、初日ということで。
ちょっと心配していたのが、メトロの車両の大きさ。
この自動運転メトロ、イタリアで最初に実用化したのは、おそらくトリノ。冬季オリンピックにあわせて建設したメトロ二線がこのタイプなんです。トリノは仕事で頻繁に行く街なので、メトロもよく使うのです。かなり快適なのですが、いかんせん狭い!
ロンドンのチューブより若干広いくらいの幅と言ったらよいでしょうか、幅が狭いのです。ミラノでは、通勤時のメトロはかなり混むので、あのスペースだったら、ちょっときついのではないかなぁ、と思うところがあったんです。
ところが。
おお~!全然広い!これなら、大丈夫なんじゃないか?
それにしても、藤色がテーマなのに、なぜ内部は黄色がテーマなのか?大きな疑問でした。
私は最寄のマイナーな駅から乗って、現在の始発であるザーラ駅に到着。そこはもう大きなカオスでした。
通勤ラッシュも真っ青の人々の数。マイナーな駅は、こんな盛り下がっていて大丈夫なのか、と思わされる程度ののりでしたが、ザーラは、びっくりするほどの人の数で、乗車制限をするほどでした。自動運転、どうやって制御していたんだろ。大丈夫だったのかな。
カメラで撮影する人多数。および、テレビカメラがあちこちにいて、あちこちでいろんな人々がインタビューを受けていますので、ますます混雑度合いが、激しくなります。
さすが始発駅、お祭りめいたイベントもいろいろあったようで、藤色をテーマにしたお花(チューリップ)とマフラーを配っていました。お花はゲットできましたけれど、マフラーは、もうなくなっていたようでした。とても美しい色だったので、ちょっと残念!
ザーラの駅は、とにかく下も上も超満員の人々で、折り返しの列車もすごいことになっています。
ミーハーなのは、私だけじゃなかった、と安心。お天気にも恵まれましたね。しかし気温は低くて、ブラブラと歩いていたら、冷え切りました。
明日から、このメトロ5を使って通勤の予定。何事もなく、普通に運転してくれるとよいですけれど。普通に行けば、これまで路面電車を使っていた部分にかかる時間が、半減されるはずなので、ずいぶんと楽になりそうです。
今年中には、ザーラからガリバルディまでの二駅もオープンすることになっているようなので、そうなると、本当に便利になります。我が家の不動産価値も、若干上がるかも!
地下鉄ができる利点は、自分自身の足が便利になるのが最も重要なことですが、同時に、自分の家を他人に説明しやすい、というのもあります。バスやトラムの駅で言っても、なかなかわかってもらえないことが多いですが、地下鉄のあの駅、といえば、かなりわかりやすいし、同時に、人をお招きする際にも本当に説明しやすいのですよ。
ということで、我が家を訪ねる皆さん、これからはアクセスがとっても簡単になりましたので、是非お気軽にお越しくださいね~!
- 2013/02/11(月) 06:52:31|
- ミラノ徒然
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何度も来ている南仏ですが、実はカンヌという町は、ほとんど立ち寄っていません。ずいぶん昔、初めて車で来たときに、ちょっとだけかすったこと、それから、仕事の関係で、ちょっと立ち寄ったこと、そのくらいで、実際に自分の足で歩いたことは、ほとんどないも同然。
だから今回も、列車移動だったし、おそらくニースを拠点にする方が便利だったと思うのですが、滞在したことのない土地に興味があり、あえてカンヌに滞在しました。
鉄道駅前の安ホテルに居を構えて、あちこちと列車やバスで移動する合間に、カンヌの町も楽しむことができました。小さいながら、さすが映画祭で国際的な舞台となる街だけあって、一流のブランドのお店がたくさんあるし、雰囲気は、とってもお洒落です。
多くの人が、映画祭の舞台となる劇場の前で記念写真を撮っていましたが、そこが意外と地味な場所だったりするのが、ある意味新鮮。っていうか、テレビで見ていても、実際の雰囲気は、絶対にわからないなぁってことですね。
このあたりの町同様に、ここも地中海に面したリゾート地ですから、メインは海。
海沿いのプロムナードが、町一番の観光スポットです。それが、さすがカンヌ、って言うか、フランス、なんですかね。こういうのは、イタリアでは見たことがないですよ。プロムナード足元に照明。
刻々と色が変わります。ピンクから緑に、そして青に、といったように。最初はびっくりして、そして美しいと感動して、だんだんとうるさいなぁ、というようにテンションが下がりました。きれいなんですけどね、やっぱり人工的で、最終的にはいらないものだな、と。
天然自然の照明がある街なんだし、何もわざわざ人工的な色を作らなくても。
というのも、連日、最高の夕焼けを見ることができたから、思ったことかも。
ちょうど、この入り江をバックに夕焼けなんですね。初日は、本当に素晴らしい色で、夕焼けの色が始まってから、夜の濃い青が支配するまでの時間、プロムナードに置かれた椅子に腰掛けて、ずっと見入ってしまいました。
驚くのは、クリスマス直前の寒い時期にもかかわらず、そういう行動をしていても、全然寒くないってことです。緯度はともかくとして、気候的に、やはり南なんですね。夕焼けをぼーっとして見ている時間、本当に幸せでした。ほとんど何も考えずに、ボーっと。でもそういえば、星の王子様のことがよぎったかな。彼は、フランのお札にも出てくるくらいメジャーな存在だし、わたしは、星の王子様以外の著作も含めて、サンテグジュペリが大好きなんですよ。
カンヌの旧市街は、陸の上にある、猫の額のように小さな地域。今、映画祭などで取り上げられる部分は、考えたら、すべて新しい街なんですね。
旧市街は、急坂の続く厳しい土地ですが、ほんのちょっと中世の雰囲気も残した風景があり、また、高台となるので、新市街や港のパノラマを楽しめる土地でもあります。
こんな土地に、まさかがっつりと中世が残っているとは。いやはや。
次回お楽しみに。
- 2013/02/10(日) 07:18:56|
- プロヴァンス・ロマネスク
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サン・ラファエルSt Raphael
サン・ラファエルは、フレジュスの隣町。フレジュスのカテドラルのブックショップで教えてもらったバス停に向かいましたが、日曜日だったかで、どうも何も来そうにもないなぁ、という雰囲気満載。待っていても無駄そうだなぁ、とフレジュスの町の方に戻ろうとした途端に、バスが。
慌てて乗り込むと、サン・ラファエルに行くというので、よっしゃ~!という気分でした。
イタリアから、国境を越えた感もなく来ていますけれど、しかしここはフランス。サン・ラファエルに行くよね、と運転手さんに尋ねて乗り込んでいるものの、教えてくれない可能性もあるので、忘れられないように運転席のすぐ近くに座るとともに、車窓にも気をつけて、緊張の移動です。
そうこうするうちに、海がきれいに見えてきて、結構大きな海辺の町に入りました。運転手さんは特に何か言ってくれるわけでもなく。ただ多くの人が、港のような場所で降りましたので、「サン・ラファエル?」と尋ねるとそうだといいます。
教えてくれろよ~!このままじゃどこまで行ってしまったことか、と心の中でフランス人に悪態をつきながら下車。
でも後からわかったのですが、サン・ラファエルにはバス・ターミナルがあり、乗っていたバスはターミナルに停まることになっていたので、別に運転手さんが特に不親切というわけではなかったんですけどね。どうも過敏にフランス人アレルギー…。
で、ついたのが、海に面した町。どこもかしこも新しい。
教会らしい建物が見えたので、行ってみると、あらら。
様式もゴシック、建設はほとんど現代、という感じの教会で、古いものが一切見えません。おかしいなぁ、12世紀の教会があるはずなのに、と道行く人複数に聞いても、「教会はそれ」、「古い教会?知らないなぁ」ということで、困りました。
最後は、一応確認と思い、この新しくてなじめない教会にアクセスしたところ、意外にも、この地域の教会地図が展示されていたのでした。
それを見たら、旧市街の方に中世の教会があると、しっかり記されています。そういえば、急いで事前学習したとき、考古学地域とあったじゃないか~!メモにも書いてるじゃないか~!しっかりしろ、自分!
結局、そもそも乗ったバスがつくはずだったバス・ターミナルのある旧市街側(内陸側)に行くことになりました。
つまり、海に近い側は、新しい町だったのです。なるほどね。
旧市街。
いきなりそれらしい姿が目に入ります。全体が、とても古い親しみやすい感じの町並みで、まさに中世の町。港側にある新市街が、いかに新しく人工的に作られたかが、旧市街に来ると一目瞭然です。
こんな名前のレストランが。
ちゃんと読めないですけれど、「テンプル騎士団」的な名称ですよね。十字軍とかに関係のある土地だったんじゃないかと思います。ここは、例によって後付で一所懸命調べますので、お待ちくださるようお願いします。
で、問題の教会ですが。
あった~!
思いっきり町並みに埋もれています。でも、あの後陣は紛れもなく中世のものですね。塔もおそらく同じ時代っぽいです。
Eglise San Rafeuとあります。サン・ラフェウって、サン・ラファエルの古い名前でしょうかね。
嬉しくなって、足並みも軽く近づきましたが、あらら、すごい高台にあって近づけません。
どういうことかとファサード側に回ると、ここ、今は考古学博物館になっていて、博物館に入場しないとアクセスできないんですね。
で、この日は、月曜日かなんかで、クローズでした。
右側が、教会のファサードになります。多分中は何もないとは思いますが、まったく近寄れないと、悔しさが増しますね。ここまでマイナーな場所は、次回がないと思うだけに…。
- 2013/02/09(土) 07:42:07|
- プロヴァンス・ロマネスク
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