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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ロマネスクのおと、更新のお知らせ

2010年夏に回ったトスカーナのロマネスク、第二弾がやっと完成しました。




実は、既に昨年末から準備をしていて、新年早々アップの予定でいたのですが、気付いたら、もう3月も終わろうとしているのには、われながら驚きあきれております。




第一弾は、マイナーながらも、ロマネスク好きな方であれば、比較的訪ねる場所が中心でしたが、今回は、実際に訪ねた方は結構少ないのではないか、という場所が多く、そういう意味では、より興味をもたれる方が多いのでは、ということもあり、早めに紹介したかったのですけれども。




エトルリアの痕跡も多く残り、実に古くて長い歴史が集積した場所ばかりで、びっくりするくらい楽しい場所です。まとめて回るには、車しか手段がないと思うので、日本から訪ねるのは難しい場所も多いと思うのですが、苦労して訪ねる価値のある場所と思っています。




ただ、マイナーなせいで、資料が本当に少ないのです。
今回、現地で本を購入できたので、部分的には資料もあったのですが、インターネットを相当うろうろしても、場所によってはほとんど情報が検索できず、結果的には、時間をかけた割には、ちょっと寂しい勉強しかできませんでした。またいつか、同じ場所を訪ねる機会があれば、是非地元の本屋なども徘徊して、何か見つけたいと思います。
また、貧乏なのでなかなか手が出ないのですが、Jaca Bookのロマネスク・シリーズをゲットするなどの方法も考えてみたいと思います。
結局、本当に知りたい突っ込んだ資料を探すためには、インターネットでは無理な部分がまだたくさんあるということですね。




ご感想やコメントなどいただけたら、大変嬉しいです。

ところで、このところしばらくブログの更新がお休みがちでしたが、ひとつには、久しぶりに38度超という発熱をしてしまったためです。毎冬、のどが痛いとか鼻水やせきが出る程度の軽い風邪は1回か2回引くのですが、わたしにしては超高温の部類に入る38度の熱なんて、何年振りでしたでしょう。
大手を振って、病欠だ~!と普段だったらなるところなんですが、年度末で仕事がめちゃくちゃ忙しく、お休みどころではなかったので、解熱剤を飲みながら会社に行き残業をし、という毎日で、帰宅すると、ただ薬を飲むためにジャンク食をいただいてベッドに直行、という状態でした。さすがにダウンしそうで、今朝だけは午前中お休みをもらおう、とちょっと余計にベッドにいたのですが、結局午前中にどうしてもやらなければならないことを思い出して、泣きそうになりながら、1時間遅れで出社。イタリアなのに、何でこんな目にあわねばならないのだ~、ちょっとせきが出るくらいでイタリア人同僚の多くは3日くらい平気で休むのに~、と心の中で叫びながら。
でも、人間ってたいしたもんですね。解熱剤でごまかしているうちに熱は下がったし、オン・ザ・ジョブで病気治しちゃったぜ!
なんせ、イースター・フライディから、久しぶりのロマネスク旅に出るので、実際のところ仕事よりも旅に照準を合わせてはいたのですが、何とかなりそうで、とりあえずはほっとしています。
本格的な春になる前の不安定は時期は、危険です。皆さんも、ゆめゆめ油断なさらないよう。

では、トスカーナ・ロマネスク、以下からどうぞ。
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  1. 2013/03/28(木) 06:05:28|
  2. トスカーナ・ロマネスク
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久々、ブリアンツァ、その12

次に訪ねたのは、結構な山奥、ドルツァーゴDolzagoという村にあるサンタレッサンドロ教会Sant'Alessandro。

途中、かなりの山道で、それも対向車が来たらどうするんだろうという細さ。それも行きは登りですから、相当どきどきしながら、そろそろと進みました。このとき唯一自分にとってよかったのは、実はこのドライブの直前に、「このまま坂道発進が苦手のままではいけない!」と一大決心(というほどのこともないですが)して、近所の教習所で、坂道発進教習を1時間受けたばかりだったので、普段よりちょっとだけ自信があって、だから、普段だったら、相当手前であきらめるような道の連続だったのに、めげずに最奥まで進めたことです。
あのときの自信と技術がよみがえってほしい今日この頃。その後、坂道発進の練習をすることもなく、この後、チロルの交差点で立ち往生することになりますが、それは既に記事に書いたかも。

さて、ドルツァーゴ。ミラノから近いのに、ほとんどリゾート地で、あちこちにハイキング・コースのルート表示板があり、この教会の建つあたりは、いまやほとんど別荘地状態で、美しい水も湧いていました。




近所の人が汲みに来ていたし、こういう状態の水は、イタリアの場合は通常飲めることになっているので、迷わずいただきました。確か夏で暑かったんですよね。冷たいおいしい水でした。
この湧き水のすぐそばに、教会があります。




小さな小さな礼拝堂。ここもまた修復が激しくて、まるで新しい建物のようですが、確かに中世起源だった証拠が、後陣にあります。




外壁をすっかりきれいにしても、こういう建物の構造はそのままに、また軒送りのアーチをしっかりと残してくれるのは嬉しいです。残念ながら、扉は固く閉ざされていましたが、でも新しいきれいな扉だったし、建物全体もこぎれいだし、今でもちゃんと礼拝には使われている現役の礼拝堂と思われます。地域の住民はさほどいなそうだけど、それでもちゃんと、歴史的建造物として、大切にされているようです。

坂道問題なかったことで、大変満足して、道を引き返します。次に向かったのは、この地域ではなかなか著名な洗礼堂のあるオッジョーノです。
オッジョーノOggiono洗礼者ヨハネの洗礼堂Battistero di S Giovanni Battista。




この町はそこそこに大きくて、洗礼堂は、町の中心となっている教会サンテウフェミアの隣に、こじんまりとたたずんでいます。歴史的建造物として著名なのはガイドブック等でチェックしていましたが、これほどにしっかりと保存されているとは思わず、ちょっとびっくりしました。




外側は八角系で、内側は丸くなっているようです。残念ながらクローズしていたのですが、ここはまたの機会があるだろうと思い、特に鍵のありかを探しませんでした。
もともと6世紀にあった宗教的建造物の上に建てられたものだそうです。
上の図でわかるように、奥の方に後陣がついています。




後陣部分は典型的ロマネスクで、軒送りにはやはりアーチがあって、サイズが小さい分かわいらしいのです。また積み上げられた微妙に色の異なる石が美しいです。
色を利用して、途中にひし形模様が挿入されていたり、この感じ、とっても好きです。ボローニャのサント・ステファノでしたっけ、あそこのレンガ壁の遊びと、レベルは違うけれど、同じことですよね。こういう素朴な装飾は大好き。




それにやっぱり、付け柱ってきれいです。何でこんなものにそんなにうっとりしてしまうのか、正直自分でも不思議ですが、付け柱、好きですねぇ。
かつては、当然同時代の教会の脇にあったのでしょうけれど、今はこんな感じ。




うう、なんて不釣合いな。それにしてもこの状態で、よく、洗礼堂も思い切って新しくしてしまえ、とならなかったものだ、とそこに感心します。

ブリアンツァの楽しみ、ちょっとはわかっていただけるでしょうか。まだいくつかピックアップしていていけていない場所がありますので、また春先のお天気のよい日曜日にでも、少しずつ訪ねてみたいと思います。坂道発進の練習も兼ねて…。

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  1. 2013/03/23(土) 06:44:49|
  2. ロンバルディア・ロマネスク
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久々、ブリアンツァ、その1

フランス・ロマネスクをちょっとお休みして、イタリア北部に寄り道します。
なぜ突然の寄り道かというと、実は今週、仕事でブリアンツァに行くことがあったのですが、そこが、昨年ぶらぶらと回った中世の遺構のある町のひとつだったのです。そういえば、チロルやフランスにまぎれて、これはアップしていなかったのではないか、と唐突に思い出したので、忘れないうちに、反芻しておこうと思ったわけです。

ブリアンツァは、ミラノと、コモやレッコの湖水地方の間に広がる、起伏の激しい丘と谷の土地です。家具の産地として有名なので、古くからよい木材がある土地だったのだろうと想像されます。今でも、緑が一杯で川が流れて、美しい風景がそこここに広がります。
ミラノからは、距離は近いものの、そういう土地なので、実質的な走行距離の割りに、移動には時間がかかるのですが、高速に乗る必要もなく、半日程度のドライブには最適なので、特に計画してまで出かけたくないけれども、ちょっとどこか行きたいな、という週末の半日、時々ドライブに出かける土地です。
もともとロンゴバルドが多く定住していた土地だけに、キリスト教の遺構はたくさんあり、小物ばかりとはいえ、ディテールにちょっと面白いものがあったりします。日本から来てわざわざ足を伸ばす場所ではないので、実際訪ねる方もほとんどおられないだけに、あえてご紹介したいと思う地域でもあります。

今回訪ねたのは、その中でもさらにマイナーな土地ばかり。
まずは、ブルチアーゴBulciagoのサント・ステファノ教会Santo Stefano。




ここ、起源は古いのですが、今ある建物は、おそらく1700年代の再建。でも付け柱とアーチが美しく再建されていて、石積みも美しくて、本当に小さい小屋程度の建物なんですが(農家の納屋とか穀物倉とか、そういう雰囲気です)、住宅街の一角に、かわいらしくひっそりとたたずんでいました。
今でも、もちろん現役の礼拝堂です。




次に訪ねたのは、クレメッラCremellaのサン・ピエトロ教会San Pietro。
サン・ピエトロは以前あった修道院の名前で、現在は教区教会となっており、名称も、サンティ・シシニオ、マルティーノ・エ・アレッサンドロ教会Santi Sisinio, Martino ed Alessandroと、聖人をありったけ祭っているような名前になっています。

ここらしい、と迷いながらたどり着いたのが、こんな眺め。




このファサード、どう考えても違いそうだけど、でも奥の方に、思いっきり修復中の鐘楼が見えます。実はお目当てのひとつが、この12世紀の鐘楼だったんですが、これだとすれば、既に残念でした、状態。
工事中のたて看板を見ると、確かに中世の塔のようでした。残念!また来ることもあるだろう、と思い、実際今回仕事で近くまで行ったのですが、残念なことに立ち寄る時間はありませんでした。ちらりと鐘楼の姿が見えたように思うのですが、それには既に工事の覆いがなかったので、修復は無事終わったと思われます。

もうひとつ見たかったのがこれ。




中世時代の浮き彫りです!素朴ですっごくかわいいライオン君。庭に、無造作に転がっていますが、11世紀の、柱頭であったとされています。でかいな~。
お隣の面はこれ。




なんとも素朴で。こちらもライオンなのでしょうが、猫というか変なものにしか見えません。鼻先に置かれた花か葉っぱのモチーフから、ロンゴバルト入ってる感じです。地元の石工さんの作品なんでしょうねぇ。コモからこんなに近いのに、こんな素朴な浮き彫りって、このあたりが当時もきっと田舎だったということなのかな。確かに今でも道が曲がりくねって、山っぽいし。




わたし好みなのが、わかっていただけるでしょうか。

もう一回、続きます。

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  1. 2013/03/22(金) 05:51:12|
  2. ロンバルディア・ロマネスク
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ポワトー/シャランテ、11

シャランテその7、シャトーヌフ・シュル・シャランテChateauneuf-sur-Charente、サン・ピエール教会Eglise de Saint-Pierre続きです。

いよいよ中に入ります。




いきなり、こんな感じ。外観とはあまりに落差のある不自然な白さに、げっ!ここもだめか!と一瞬思ったのですが、いやいや、ここの柱頭、面白いんです。中央身廊にある柱頭は、どれも異なるモチーフで一杯です。




植物のぐるぐるした中に、いろいろな動物フィギュアが、それはもう様々なスタイルではめ込まれているパターンがたくさん。残念なのは、教会の背が高いので、かなり遠いのです。カメラのズームを最大にして見ないと、よく見えない。
だから撮影も、ほとんど失敗しています。こういうところは、一眼レフじゃないと難しいですね。




全体として、本来わたしが好きな時代よりも、ちょっと下がっていて、ゴシック・テイストがかなり入っている気もするのですが、どれも保存状態がとてもよいので、楽しめます。
植物モチーフも、オリジナリティが高くて面白いです。




イタリアだと、直物モチーフのほとんどがアーカンサスのバリエーションで、デザイン的に面白い場所もあるのですが、フランスの植物モチーフの多様さは、感動的に幅広いです。

物語モチーフもあります。
わたしの好きなダニエルさんが、いらっしゃいました。




かなり強く、動物使いのようなダニエルさんです。

なかなかの力作揃い。
それにしても、ちょっと白くしすぎですね。アンギュレームと同じ感じで、表面に化粧板を貼り付けちゃっているって言うんですか、この感覚はわからないですねぇ。壁の保護でもあるのでしょうけれど、なじめないです。

円柱のひとつに、古い碑文が残っています。




古い碑文の字体が好きです。どれも味があって、とってもデザイン的。これもその例に漏れず、お洒落です。意味がわからなくても。
この部分の色が、おそらくオリジナルの石の色なんだと思います。これだったらずいぶんとなじめるのに。

ただ、かなりいたんでいるのか、右側後陣だったか、こういう支柱がありました。




背が高いし、柱にかかってくる重量もすごいものなのだろうなぁ、と思わされます。構造自体は、オリジナルのままということなので、千年以上も、そういうとんでもない重量を支えているんですよね。ご苦労様です。

すっかり満足して外に出て、外観をぐるりと見学。




付け柱にアーチ、きれいなスタイルです。軒送りに、たくさん、かわいらしいものが並んでいます。




これまた遠いし、さすがに相当傷みが激しいのですが、この軒送りの飾りも、あちこちで見られるもので、楽しいです。
どのディテールにも、心引かれる装飾が満載で、実に訪れる価値のある教会です。去りがたいながらも、次も次も、と先に進みたい気持ちも盛り上がる一方。ルンルンしながら、車まで急ぎ足で戻りました。

そうそう、特筆すべきは、この街で始めてフランス語が通じたこと。
ここに来るまでに、既にわたしのフランス語は全然通じないことがわかったので、もうすっかり英語生活をしていました。カフェに入り、ここでも英語で、お客さんの一人が「オレ、英語わかるから!」というので、英語で水のボトルを頼んだものの通じないので、どうせだめだろうと思いながらも、テキストそのままに、遠慮がちに「un bouteille d'eau」と、ささやくように言ってみたら、「おお!フランス語できるんじゃん~!水だよ、水!」と、その英語ができるはずの人に大喜びされました。お前、英語できるんじゃなかんかよ!と心の中で突っ込みながらも、実はすっごく嬉しかったです。
でも、この数日の旅で、フランス語が通じたのは、ここだけだったな。それも「水のボトル」。なんだかな~。

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  1. 2013/03/20(水) 06:19:13|
  2. ポワトー・シャランテ・ロマネスク
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ポワトー/シャランテ、10

シャランテその6、シャトーヌフ・シュル・シャランテChateauneuf-sur-Charente、サン・ピエール教会Eglise de Saint-Pierre

田舎道を走っていたのに、あれよという間に、街中に入っていてびっくり。いきなり、これまでのど田舎からは想像もつかないびっくりするくらい街で、そこがシャトーヌフでした。といっても、実際は小さな田舎の町程度ですけれども、とにかく緑滴る田舎から突然だったので、それもいきなり街の中心地にアクセスしてしまったので、とってもびっくりしたんです。




教会の位置関係などはわかりませんから、とりあえず、あいた場所に車を停めて、中心部を通過したときに目に付いた観光局へ直行。ここでも当然のことながら、愛想は期待もできないまま、街の地図だけいただき、徒歩で教会を目指すことにしました。
ぱっと見、いまどきのいたって普通の街ですが、中心部を外れて教会に向かう道すがら、ほんのわずかながら、古い町の風景が垣間見えるようでした。といっても、中世までは遡らず、ルネサンス期くらいですけれど。




中心部から10分足らずでたどり着く、少し高台となっている墓地の脇に、ロマネスク的にはかなり重要度の高いサン・ピエール教会。やっと、普通にロマネスク探訪をする人も目指す、見所のあるはずの教会にやってきました。
墓地教会なので、ゆったりした駐車場も完備。せっかくなら、ここまで車で来てもよさそうですね。




傾斜の激しい屋根ですが、紛れもなくシャランテの教会のファサード。




天辺には、お約束の石の十字架がありますね。ここはケルト風の丸に十字です。
全体に地味ですが、中段に大きなアーチがあり、その中に浮き彫りではない彫刻があるのも、いかにもシャランテです。扉口の装飾、かなり繊細で細かいですが、風化の激しいのが残念です。




一番内側のアーキボルト中央部。




神の子羊ですよねぇ。かなりいたんでしまっています。この周囲には、変な動物たちがたくさん。天使もたくさん。つる草模様もとても美しいです。
外側アーキボルトも面白いフィギュアが一杯。これは、ライオンなんでしょうけれど、どう見ても猫にしか見えない。




落語の「ねずみ」を思い出しちゃいます。このライオンじゃ怖くないよな~。強そうでもないし。善悪どっちのシンボル化なんだろうか。
柱頭にもお仲間が。あ、よく見るとあちこちに…。






ライオンといえば、この方、多分サムソン。やっぱり男前。これは再建っぽいですけどね。




ここ、本当にずっと見ていても飽きない面白い彫り物満載です。気持ちがはやって、どうしていいのかわからない状態に陥りました。あれもこれも見たくて、次々と対象が目移り、ふらふらとさ迷い歩いてしまい、結局どれひとつじっくりと見ることができなくなっちゃいます。こういう興奮状態、困ったもんです。
今改めて写真を見ながら、でもやっぱり興奮しちゃうよな~、と思います。特に、ここに来るまで、地味な場所ばかりだったので。やっぱり、ガイドブックにも載っているし、インターネットでも情報が出てくるし、多くの方が訪れている場所というのは、それなりに見るべきものが確実にあるのだなぁ、と感心しました。

続きます。

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  1. 2013/03/18(月) 06:30:11|
  2. ポワトー・シャランテ・ロマネスク
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ポワトー/シャランテ、9

シャランテその5、Saint Surin

地味な教会ばかり、よくあきもせず次々回るよね~、と思われそうですが、そして実際そうなんですけれど、こういうロマネスク集積地のよさは、本当にすっごく狭い地域に教会がひしめいているので、余り面白くない場所があっても、すぐに気を取り直して次を目指せるし、それがまた10分から30分くらいで到着できたりしちゃうんですね。だから、つまらない場所があっても、飽きる暇がないんです。

このシャランテの旅では、最初地味な場所が続いた割には、次に進むほどに、面白いものがどんどん出てきたので、疲れても飽きるどころか止めどころが見つけられず、最後は嬉しい悲鳴状態でしたので、それはそれでお楽しみに。

まだちょっと続く地味な教会編ですが、次はこのSaint Surin。緑の道をたどり、小川を渡り、こんな道でいいのだろうか、という先に、小さな集落があり、傍らにひっそりとたたずむ教会です。




何の変哲もない小さな古い聖堂ですが、周囲の雰囲気に溶け込んで、千年前からずっとここにあったことが、本当に実感されるたたずまいです。
ファサードは装飾性も何もなくて、ずっと村の人々に必要とされた祈りの場であったことが、かえって強調される感じです。

それでも、全体にずいぶんと修復はされているのが、後陣側からだとよくわかります。




後陣側にはちょっとしたスペースがあるので、とても美しい姿が眺められます。
ここは、幸いにも正面扉が開いておりました。
とても地味な内部。




壁は白い漆喰が塗られていますが、ところどころにフレスコ画の跡が見えました。
ロマネスク当時のフレスコ画なのか、それより後の時代なのかは皆目わかりませんが、この程度の大きさでフレスコ画があったら、とても身近に見えるし、相当インパクトがあったかもしれません。




床。




そんなに古いものではないかと思いますけれど、こういう石の床のでこぼこ感って好きです。
びっくりしたのが、何の変哲もなく、まるで誰かのお家の一角のようにごちゃごちゃとものが置かれている祭壇。よく見ると、レリック?




透明ケース(それも、かなり安っぽい…)に入った骨らしきもの。まさか教会の捧げられているSurinさんのレリック?いやはや、このレリック文化は、まったく理解できないものです。無造作に骨を…。

でもこのごちゃごちゃ感は、なんかちょっとほっとするというか、生きているなぁ、と感じさせられますよね、教会が。装飾も地味で、見るべきものも余りないのですが、でも、そういうところが好ましい場所でした。




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  1. 2013/03/17(日) 06:20:37|
  2. ポワトー・シャランテ・ロマネスク
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ポワトー/シャランテ、8

シャランテその4、Segonzac、サン・ピエール教会 Eglise Saint Pierre

また、お得意の方向音痴。
町にたどり着いたのに、ナビの示す道は工事中で、思いっきり進むしかなくて、気付いたら町を大幅に通り過ぎて、シャランテの美しい丘を縫う道をひたすら走っていました。道が狭くて、後戻りも難しく、このまま永遠に走って、どこまでも遠くに行ってしまう感があり焦りました。何とか途中で引き返すと、目指す教会は、なんと町の中心部にあったのでした。先ほどは、教会の反対側を見ていたために、まったく気付かなかったんです。要は、ナビがまた、変な道を教えていたということですね。よくあることなので今更驚かないですが、それにしてもマイ・ナビ、しっかりしてくれ!




しかし一見したところ、ロマネスクという感じがなかったので、近所の青空市場に買出しに来ている地元のおじさんおばさん数人に訪ねたのですが、この辺りにある比較的古い教会は、やはりこれしかないので、これだろうと。
で、近寄ってみると、確かに名残があります。




この美しいアーチ三連荘は、やっぱりロマネスク。
それぞれが余りにせまりすぎているので、もともとも扉だったわけではなく、装飾的な三つのアーチだったのでしょうね。地味だけど、ちゃんと当時の装飾が残されています。




幾何学模様はそっけないけれど、ピサの例に漏れず、結構好みです。風化した市松装飾も、風化度合いが結構好き。この辺の感覚、紛れもなく病気ですね。
扉周囲は、それでも、若干よく残っています。




この当時の市松模様って、なんか好きです。ヘタウマ系の装飾に対ししたスタイリッシュさというのか、なんかあります。付け柱好きにも共通する何かかも。

正面は完全に閉ざされていて、いつもしまっている感じですから、横に回りましたが、やはりしまっています。
しばらくうろうろとしていたら、お買い物に来たらしい地元の女性が、「あら、開いていないの?多分あっちの扉が開いているはずよ」、と、多分そんなようなことをいいながら、扉の方にいざなってくれたのですが、結局クローズ。
「おかしいわね、開いているときは開いているんだけど」。そりゃそうだ。でも、せっかくここを見に来てくれたのに、残念ね、申し訳ないわね、と、まったくその人の責任でもないのに、とても申し訳なさそうに、お買い物に向かわれました。とっても嬉しかった。そして、まったく不自由なフランス語ですが、それでも、こういうとき、その人の言わんとしている気持ちって、確実に伝わりますよねぇ。
フランスでは、めったにこういうことがない分、大仰に感動してしまいます。

裏の方も確認したところ、思いっきりゴシックで。




だから、中に入れないことも全然惜しくなく、町を去ることができました。

裏を回った際、コニャックの製造所がありました。




実は、今回この地域を訪ねるまで、コニャックという町があることを知りませんでした。コニャックとは、お酒の種類であって、町の名前だなんて、想像したこともなかった。それだけでも大いに勉強になりました。本当にコニャックばかり作っているようですよ、このあたりは。今回時間もないし、醸造所を訪ねることもなく、今思えばもったいないことをしたもんです。
それにしても、このあたりのブドウ畑は本当に美しくて、その中をゆっくりとドライブするのは、至福でした。ブドウ畑、数あれど、これほど美しい場所は、それほど多くないのではないかと思うほどでした。




車もほとんど通りませんので、時々路肩に停めては、美しい風景にうっとりするドライブでした。シャランテの価値、こんな風景にもあるな~。教会は地味な場所が多いのですが、ここを走るために、また行きたいと思ったりします。

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  1. 2013/03/16(土) 07:49:28|
  2. ポワトー・シャランテ・ロマネスク
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ポワトー/シャランテ、7

シャランテその3、St Amant de Graves

道なりにどんどん進んで、次に探したのがGravesという村です。村には順調に到着。入ってすぐ、教会がありました。




墓地教会、という情報があったに過ぎないので、いかにも村はずれで墓地があった場所ではないか、というようなたたずまいに、よし!とすぐ停まったのですが、どう見てもロマネスクじゃないし。もしかして本当に一部の外壁だけ残して、すべて変わってしまったタイプ?と悩みながら一通り見ても、やっぱり違う…。

村には人っ子一人見当たらないし、仕方なく再び車上の人となり、次の町に移動、と思いながら、ゆっくりと運転していくと、村はずれに村の成り立ちや見所などが記された看板がありました(なぜか撮影していない)。
そこには、中世の教会の姿が、ちゃんと出ているのですが、地図はなし。なんて半端で不親切な情報なんだろう!と逆切れ状態のわたくし。
これでもわからないんだし、と改めてあきらめて車に戻り、カーナビに従って、次の村を目指そうとしたところ、道端に、「中世の教会」という看板が出てきました。

方向は違うけれど、せっかくだから立ち寄ってみよう、と右折。しかし田舎道が続くばかりで、まったく何もできません。いい加減進んだところで、St Amant de Gravesという村のはずれで、先ほど看板に出ていた塔が見えました。




道の両脇にいくつかの住宅が並んでいるだけの小さな村。そこで両隣を住宅に取り囲まれるようにして、たっているのが、ロマネスク時代のこの教会でした。ガイドでは、Gravesとありましたが、実際はGraves郊外のさらに小さな村の教会だったのです。

緑の向こうに、とってもシンプルで地味なファサードが垣間見えます。




最初に訪ねたサン・シモンと同じようなタイプ。
大きいとアンギュレームのようになって、小さいとこういう感じ、ってシャランテの様式は結構わかりやすいかも。そういえば、ファサードの傾斜屋根の天辺には、やっぱり石の十字架が載せられています。

閉ざされていて中は見ることができなかったのですが、窓にはステンドグラスがはめられている様子が見えたし、おそらく新しくきれいになってしまっていると想像に難くないので、特に残念でもなく。

とってもシンプルですが、ちょっとした装飾はちゃんと残っています。
教会唯一の、ファサードにある扉周り。




柱頭部分は、もしかすると古いモチーフを模して作った新しいもの。柱頭上の石と古さが違いますもんね。
かわいらしかったのは、軒送りに並べられていた浮き彫りの数々。




上の方に転々と並んでいるのがそれです。拡大すると、こんな感じ。








人の顔が多かったですが、動物や虫や得体の知れないものたちがひっそりと隠れていて、なんとも愛らしかったです。上の方なので、遠いですけど。

別に特筆するような教会でないのは確かなのですが、やっと探し当てた嬉しさと、この軒送りの愛らしさで、ちょっと印象に残る場所です。いくらロマネスク好きでも、誰でもが簡単にいける場所ではない、っていうか、わざわざ行こうと思わないでしょうから、まさにわたしの本領発揮です。一生見ることのない場所の資料として、ご笑覧ください。

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  1. 2013/03/15(金) 06:27:36|
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ポワトー/シャランテ、6

シャランテその2、バザックBassac(サンテティエンヌ修道院Abbaye Saint-Etienne)

フランス語の読み方は、いまだによくわからないので、日本語表記が間違っていたらすみません。
サン・シモンから、街道を進むと、自動的にバザックの街に入りますが、その手前、左側にある、すっぽりと高い塀に囲まれた場所に嫌でも気がつきます。




ベネディクト派の修道院で、創設は11世紀早々。長い間にわたって、様々な人々の手に渡り、また、修復や改築や再建など多々あった結果、今でもかなりオリジナルの雰囲気を残すたたずまいに出会うことができます。
ロケーション的には、おそらく建設された当初は、川の流れる丘を見晴らすような、何もない緑の中、という状態ではなかったかと考えられます。塀も、こんなにびっくりするほど高くはなかったんではないでしょうか。




修道院と街道を隔てて、大きな駐車場がありました。巡礼が集まるようなイベントがあるのかとびっくりしましたが、よく考えたら、町の入り口だし、単なる共同駐車場なんだと気付きました。
それにしても、余りに高い塀が続いているので、最初、入り口がどこなのかわからず、少々うんざりしました(結構広そうなので、間違った方向に行って、一周したくないな、と思って)。

しばし悩んだ挙句、方向音痴のわたしは、やっぱり間違えていて、裏側から入ってしまいました。居住区のような入り口で、いきなりかつて回廊があったのではないかという場所に出ました。




建物の外壁に、回廊がかつてあった跡があります。がらんとしていますが、芝生もとてもきれいに管理されていて、今でも生きている場所である空気があります。
構造がどうなっているのかわからず、ひょい、と開いているドアの中をのぞくと、おじいさんがお掃除をしていました。声をかけようと思うと、ちらりとこっちを眺めた途端に、逃げるように奥の扉の向こうに姿を消してしまいました。
早朝にいきなり表れた不審な東洋人が、怖かったのかな~。本気で逃げてったし。
少々傷ついた気持ちになりつつ、とがめられなかったからいいのかと思い、奥に進みました。この中庭を通り抜けて反対側に出たら、どうやらそちらが本来の入り口でした。
付属の教会がありました。




この教会、オリジナルは修道院創建と同時代のものですが、今残っている当時のものは、側廊や翼廊の外壁と、13世紀に建てられた鐘楼くらい。このファサードは再建ですが、一部装飾が、残ってはいました。




残念ながら、多くの彫り物はかなりいたんでいて、ほとんどオリジナルの姿がわからない状態でした。こちらは、ちょっと新しそうです。石も違いますね。




全体としては、アンギュレームのカテドラルに似ていて、既にして、シャランテのスタイルになじんできた気がしました。こういうスタイルは、イタリアにはないものだから、目に新しかったです。

扉は閉まっていたので、改めて側面の方など確認したら、先ほど通り過ぎたときはしまっていた扉が開いていました。逃げていったおじいさんが、気を利かせて開けてくれたのか、または単にあける時間だったから開けたのか、わかりませんでしたが、ちょっと嬉しい気持ちになりました。
でも、中は全部新しくなっていて、実は特に見なくてもよいようなものでした。




それでも、後陣から朝日が差し込み、朝の教会の清々しさを感じることができて、よい一日の始まりであった気がします。逃げたおじいさんに感謝。
何で逃げたのかなぁ。

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  1. 2013/03/14(木) 05:35:10|
  2. ポワトー・シャランテ・ロマネスク
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あの日から、二年。




早いです。もう二年。
でも、様々な被害にあわれた方にとっては、やっとたどり着いた二年目なのかとも思います。まだまだ、きっと、全然まだまだなんともなっていない、って思っている人も絶対にたくさんいるし、きっと多数だったりするし、実際、本当になんともなってないんだろうって思います。
わたしは、遠くにいるからではなくて、おそらく近くにいても、ほとんど何もできないでいると思います。だから、絶対に忘れないと思います。




何にもならないかもしれないけれど、忘れないこと、それしかできないから。忘れたら、なくなっちゃうんだよね。思うから、そこにある。いつも常には何もできないけれど、忘れないことで、いつまでもいつまでも、ほとんど役に立たないことでも、何かやろうと思って、何かやる。そのために、忘れてはいけない。




地震、津波ももちろん大変なことでしたが、時間がたてば立つほど辛いのが、原発のことです。今日のテレビ・ニュースでも、少なくとも夜のメイン・ニュースでは、二周年のことは、ニュースの最中に画面の下を流れる文字放送でしか流れませんでした。その文字は、「日本:福島の事故から二年」、というもので、地震でも津波でもなかったんです。ちょっと愕然としました。

そういえば最近、改めて、チェルノブイリ当時のイタリアがどうだったのかな、というようなことを考えていました。なんだかんだいっても、あのときの日本でのチェルノブイリは、対岸の火事だったよ。イタリアがどうだったかと思うときに、つくづくそう思います。
今日のニュースの、この文字放送を見て、やっぱりそうなんだな、と改めて思いました。




がんばって、とがんばっている人に言っちゃいけないんだろうけれど、でも考えたら、人は生きている限り、いろんな局面でみんながんばっているとも思うんです。これ以上がんばることはないけれど、やっぱり生きていくのってがんばることかとも思ったり。がんばるしかないんじゃないかと思う、生きていくということは。
仕事でちょっとしくじったくらいでも、がんばらないと、朝起きれない事だってある。そんな程度のがんばりって、誰だってやるしかないから、そんな程度は、がんばるしかないよね。

ほんの少しずつ、春が近づいて来ました。そんな気持ちを守り立てるよすがになるかと、緑の写真を並べてみました。

もう帰らない人に、いまだに帰れない人に、そういう人を失った人に、等しくやさしい春が訪れることを祈るのみです。
  1. 2013/03/12(火) 06:01:32|
  2. ミラノ徒然
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