Fondazione Bagatti Valeschi続きです。
もうひとつ、とっても面白い展示がありました。
これ。
人の背丈くらいあるライトなんですけれど、小学生の頃、図工の時間に、細い木材を使って、塔を作ったことを思い出すような、なんだか素人っぽいというのか、そしてまた、これがライトである必然性は何なんだろうとか、たくさんの「?」が浮かんでしまう作品ですけれど、実はこれ、アニメと連動しているんです。近くに置いてあるビデオで、5分弱の短い実写アニメが繰り返し流されています。
主人公がこいつ。
そういえばこいつ、ちょっとエイリアン的なスタイルをしています。アニメの中では自由勝手に手足(?)を伸ばして、跳躍するわ走るわしゃがむわ、サーチライトを照らしまくるわ、暗闇の中飛び回ります。いやはや、一体どっちがメインの作品なのだか。
そしてお隣にはやっぱりアニメ連動の展示。
1メートル四方くらいのワンルームの部屋の中に、不気味な顔をした男性フィギュアがいるのですが、これ、アニメの一場面。つまり、ここを舞台にアニメを撮影しているのです。こちらは音付きでストーリーがあって、とっても面白かった。
サローネの方向性って、余りに広すぎます。
このほかにも、いかにもサローネの展示です、という正統派インテリア風の作品もありましたけれど、もうきりがないので、この辺で。最後に、もう一度これ。
自動拍手器械。ショップで販売していて、しばし購入を真剣に考えたもの。ま、なかなかね。不景気ですしね。
この後は、メトロで一駅お隣にある、ペルマネンテ美術館で開催中の、レクサス・デザイン・アメージング2013へ。
レクサスというくらいだから、トヨタがスポンサーなんでしょうが、新しい世代のデザインを表彰する世界的なコンペティションなんだそうです。
今回の優勝作品が、多分これ。
Akihisa Hirataさんというかなり若手のデザイナーさんの作品です。この人、今回のフオリ・サローネでは、複数のメーカーとコラボしていたと思います。日本人デザイナーさん、この世界では実に多くの方が活躍していらっしゃって、まったく関係のないわたしでも、鼻が高くなります。
そして、昨年ベネチア建築ビエンナーレで発表された、東北震災の支援活動としてのみんなの家も手がけたToyo Itoさんが、おそらく審査員長。
すっごいでかいスペースに、ダンボールみたいな材質で張り巡らされた三次元迷路、とでも言ったらいいのでしょうかね。かなりの暗闇なので、あちこちに懐中電灯をもった係員がいて、誘導もしてくれますが、見た目よりは、全然面白くなかったです…。
スペース・デザイン、というものがなんだか、わかったようなわからないような。でもこういう感じだったら、前回の建築ビエンナーレにあった三次元迷路のような作品の方が百倍も面白かったし、特に若手が作っているという新鮮味も感じませんでした、正直。
こんなのよりは、ちょっとした小品ですけれど、ネーミングも面白いこのライトの方が、好きだったり。
その名も「稲穂」。まるで風に揺れているかのように、結構大きくゆらゆらとするんです。これは長い廊下でもあったら、是非ほしいライトだな~。
ま、全体として、たいしたことないな、レクサス、って感じ。えらそうですが。
今回は、余り広範囲を歩かなかったし、かなり限定的なアクセスですが、やっぱり面白いです。年々デザイナーの露出度が変わっていくのも面白い。すごく売れている時期とか、売り出しの時期とか、もうこんなことやらない時期とか、いろいろあるんだろうなぁ、と思います。忙しいといいながら、来年もまた歩いちゃうに違いない。
ご興味のある方には、また来年もお楽しみに。
ロマネスクの方には、またフランス再開します。
一方で、明日からの四連休は、マルケにドライブ旅行に行ってきます。お天気が心配だし、今回は修行旅ではないので、どれだけ回れるかわかりませんが、ここだけは、という場所だけは、是非押さえてきたいと思っています。そしてまた、おいしいマルケ料理にも期待しています。お楽しみに。
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- 2013/04/25(木) 04:18:39|
- ミラノ・フオリサローネ
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昨年、ひどく面白かったので、やっぱりここは見たいなぁ、と思って訪ねた美術館です。
その美術館とは、ミラノのファッション・ディストリクト、ブランドのお店がずらりと並ぶモンテナポレオーネ通りからちょっと入った小路にある、Fondazione Bagatti Valeschi。古いお屋敷を、お部屋の多くの調度を置いたままに美術館にしているスペースなので、ファブリックや、古いベッドや家具、作り付けの暖炉など、そういうものも楽しく、また、現代インテリアとのミスマッチがとても面白いのです。昨年は、ガラスのVeniniが展示会をやっていたはず。
今回は、美術館併設のデザイン・ショップのオープンを記念した企画ということで、デザイン・ショップ・オーナーの方によって選択されたデザイナーさんの新作展示会ということです。
まず目を引かれたのが、書斎のような小部屋に並べられた、現代アート的なインテリア群。
写真にうまく収めるのが実に難しくて、作品全体を収められなくて。
床置きで、背が1メートルくらいある大きなものですが、からくりで小鳥のさえずりが聞こえるようになっていたのです。部屋に入ったとき、数人見学者がいたので、作動させてくれていましたが、意外とみな無関心。わたしは器械っぽく動くものが結構好きなので、じっと見入ってしまいました。
そして、棚の上にも、動く作品がたくさん。え、これはみんな動く作品なのでは!とわくわくしますけれど、どうも勝手に触ってはいけないらしく、うずうず。そのときには、部屋にいる見学者がわたしだけになったので、監視のおじさんに、これって、動くんですよねぇ?とちょっと流し目で尋ねたところ、「そうね、動くんだろうけど、どこがどう動くのか…」といいながらも、動かしてくれました。
これは右側に下穴あきビーカーがあって、そこにお砂糖を入れると、砂時計のようにしたに落ちる砂糖が、ばねのようなものに当たって、連続して動きが伝わって、最後にどらがなります。くだらない…。アニメっぽい。でも金属の感じが好き~!
こっちはもっとくだらないです。
ボタンを押すと、小さな手が拍手するんです…。
写真が見えにくいですけれど、高さは30センチ今日、手のひらは5センチくらいかな。結構両脇に大きく開いて、ぱっちん、とたたきます。なんか家で遊んだら和みそうな。
実はこの作品は、件のショップで販売していて、価格は450ユーロで、意外と安いので、しばし考えてしまいました。分不相応だし、置く場所ないし、と止めましたが、ショップにはたまに足を運ぼうかと思いました。
これは、わかりやすいですが、それにありがちな感じですが、残念ながら、そのときは動きませんでした。
もうひとつ、ずいぶんと長い間見てしまった作品が、こちら。
これは、ますます持って撮影が難しく、わかりにくいと思うのですが、ライトなんです。天井から釣り下がっているんですが、ケーブルからはなんとシャボン玉が出てくるのです。それも大きいのが次々と出てきて、泡がポンッと出てくるときに、明かりが強まるのです。
そして、次々と団子状になったり、ひとりで離れてふわふわと落ちてしまったり。明かりが当たって輝くのが素晴らしく美しい。
下はシャボンの石鹸水でびちゃびちゃですから、およそ実用とは遠いところにいるんですが、ほしいですよ、これは。
面白かったのは、最初の小部屋でいくつかの作品を作動させてくれたおじさん。あんた、こういうもんが好きなら、この先にすごく面白いのがあるよ!と、一緒についてきたのがこのシャボンライトの部屋。おじさんも、これは何度見てもすごいよ、と、他の監視のおばさんと一緒にひとしきり鑑賞しては感心しているのでした。
フオリサローネでは多くの場所で、この日のために雇われているコンパニオン風英語べらべらの美しいお兄さんお姉さんがたくさんいるのですが、この美術館では、普段からここで監視の仕事をしている人たちがこの日もいたようなんですよね。死んだような過去のお屋敷の中での日常からすると、この現代インテリアの展示って、すごく面白かったんでしょう。面白いものは誰が見ても面白いし、それを素直に楽しむおじさんおばさんたち、とってもよかったです。
ああ、本当にここは楽しかったな。
ということで、もう少し続けちゃいます。
- 2013/04/24(水) 02:52:21|
- ミラノ・フオリサローネ
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ブレラ地区をぶらぶらとしました。
ブレラ美術館からすぐそばに、かつて貴族の立派な邸宅だったであろう建物があり、そこ全体が、イベント会場になっていて、にぎわっていました。
素敵な邸宅調度の中に、現代風インテリアが並べられているミスマッチ感はあるものの、なんていうこともない普通のインテリアだったり、上の写真の、最新技術かなんかを使って製作した地下足袋みたいな靴が展示されていたり、それでいきなり商売の話をしていたり、サローネって本来そういうものなんだとは思いながらも、アート的面白さを求めている目からは、余りに商業的…。
実際、中庭はお洒落なバールになっていて、無料でもないアペリティフに、なぜこんなに、というほどの人が押し寄せていて、それをみるだけでも疲れてしまう風景でした。
そういえば今回は、去年に比べると、無料の振る舞い酒が結構あって、もしかして、ほんのわずかでも景気回復?と期待させるものはありました。去年は、本当に振る舞い酒が少なかった!
ふふふ、フオリサローネの楽しさは、実は無料の振る舞い酒とか、各種ガジェットとか、そういうものにもあったりするんですよ。
なんかな~、と思いながらブレラの細道を歩いていたら、着物が目に付きました。
これは、打ちかけ?なぜ、パッチワーク状に?
と疑問を感じて近寄ると、ガラス張りのショウルームの中に着物姿の日本人の姿が見えたので、思わず立ち寄ってみました。
そして、その着物姿の方が、この作品の作者で、面白いお話をうかがう事ができました。
作者は、白石末子さんとおっしゃる富山は氷見の方でいらっしゃいます。
もともと着物のお仕立てをなさる会社をされていて、どうしても出てくる余り着物地を何かにできないか、と思って始めたのが、この着物地を使ったタペストリーなんだそうです。
もともとは、着物文化がやせ細ってきて、いまや着物の仕立てもほとんどがコストの安いアジア各国にいってしまって、日本国内では、縫製技術が失われそうな状態を危惧して、何とか日本で仕立てを継続できないか、という発想から、手仕事しかできなかった着物仕立ての技術を組み込んだミシンを作ったりするところから、彼女の仕事が始まったのだそうです。
そもそも論として、着物の仕立てが、洋服やその他のもの同様に日本以外のアジアの国に行っていた、という事実に、わたしはびっくりしました。着物って、大量生産する認識がなかったんですよね。でも考えたら、現代では、浴衣でも何でも、反物から仕立てるわけではなく、おそらくお安い着物は、仕立てあがったものをあがなうことが普通でしょうから、当然、洋服の既製服と同じことになっているのですね。
そういうことを背景に、お値段の張るものでも、国内で縫製できるルートがどんどん細っている、技術の継承が危うい、ということになっていると。そりゃそうですよねぇ。
聞けば当然のことですが、日々の生活に直結することではないと、考えもしないことです。そういうお話をうかがって、本当に面白かったです。
そして、今回もってきているタペストリー作品は、白石さんが、そういう現実も考慮して、着物の美しさを啓蒙する意味もこめて、作っているということなんでした。
でも、いくらきれいでも、インテリアとしてどうなのかなぁ、と現代物が好きなわたしとしては思わないでもないのですが、実はこの作品、置いてあるだけで空気清浄を行う、なんとかって技術が吹き込まれていて、このタペストリーをかけているだけで、十年くらい、お部屋の空気を清浄化できるんだそうですよ。技術の名前とかすっかり忘れてしまって申し訳ないんですが、さすが女性社長、見た目の美しさだけではだめ、という発想がお見事。
実際、オリエンタルで、豪華で、イタリアの、東洋趣味のあるような、ちょっとインテリでお金持ち、みたいな層には、結構受けるような気がしたし、その上、空気清浄機能付、なんていったら、かなりいいのではないかと思いました。内掛けの5分の1くらいの作品で2千ユーロくらいらしいですから、庶民には購入は難しいですけどね~。
それにしても、製作者の白石さんは、着物を見事に着こなす素晴らしい日本女性で、同じ日本人として応援したいと思いました。残念ながら金持ちの友人がいないもので、具体的には何もできないんですけれど、さて、何かよい結果を持って、日本に帰られていたらよいのですが。
こういうような、製作者さんとの交流があると、ますます楽しくなります。日本人を見かけると、どうしても声をかけたくなって、その後がどうなったかも気になります。皆さんが長く活躍してくださると、わがことのように嬉しくなるし。これもまた、素人でも製作者の世界にアクセスできるフオリサローネの楽しみ、と言えるのでしょうね。
- 2013/04/21(日) 05:47:37|
- ミラノ・フオリサローネ
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ちょいとうっかりしていましたが、フオリサローネは自分的には、覚えておきたいので、せめてみたものはしっかり記録しておきたいと思います。
今回は、商業主義にちょいと疲れたので、アート目線での見学中心。ということで、訪ねたのはブレラ地区。まずは、通常めったに行くことがないけれども、ミラノのアート・シーン的には常にそれなりに重要なブレラ美術館。
何でわざわざ行ったかと言えば、超有名写真家マッカリーが撮ったウンブリア、というコンセプトの展示があったからです。
ブレラの中庭に、これでもか、という巨大なスライドとなっているマッカリーの写真が、いくつも並べられていて、ファンだったら、それだけでうっとり、というところです。わたしはファン、までは行かないまでも、写真に対しては、それなりに納得できるものがあったと思います。やっぱり巨匠の切り取る一枚のすごさって言うのは感じます。
でも、何で今、ウンブリアなのかとか、そういうコンセプトはよくわからないまま。中庭を見下ろす二階に登ると、もっと写真があって、コンファレンスがいきなり始まったりして、戸惑いました。
もうひとつ気になっていたのが、ブレラ美術館併設の植物園。これ、起源がかなり古いらしいのですが、常にアクセスできるわけではないのですが、今回、コンサートが行われるということで、サローネ期間中はアクセス可能っていう感じだったのです。場所的には、ブレラ美術館の裏にあるという感じでしょうか。
こんな建物の裏道みたいなところを行くと。
びっくり。本当に植物園。
それも、薬草とか作っている修道院の植物園みたいなつくりで、さらにびっくりです。一体誰が管理しているんでしょう。この場所は、長年ミラノにいましたが、まさに初めてアクセスする場所で、こういうイベントのありがたさを感じました。っていうか、別に知らなければ知らないでいいんですけどね。でもなんか、嬉しいです。
この植物園にも、今回のフオリサローネのマスコット的な小鳥、いました。
ここでは、まさにぴったりという感じで。人もいないので、座ってみたところ、これがなんとも意外と座り心地がよいので、びっくり。プラスティック系の素材なんですが、結構弾力があったりして、いい感じなんですよ。
光る小鳥も見かけました。
若干怖い感ありですか。
ブレラ植物園の後は、周辺を散策。
続きます。
- 2013/04/20(土) 05:57:20|
- ミラノ・フオリサローネ
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プラサックPlassacその2
われながら地味なことをあきもせず、よく続けるよなぁ、と感心しますが、今日みたいに仕事でどっと疲れて帰宅する日などは、こういう逃げ場があってつくづくよかったと思います。旅の写真を見ると、一瞬にして疲れる日常から離れることができます。今日一日のことを忘れて、明日あるべき続きも考えず、先年の時を遡って石に遊ぶって、なんか優雅~。
さて、プラサックの教会の中に入りましょう。
うわうわ、ここもまた真っ白になっていて。本当にフランスは、白塗り、というか白い石が好きなんですね。漆喰べた塗りよりもちろん圧倒的によいのですけれど、もともとこういう白い石が多く産出するのでしょうか。イタリアにはないですよね、この感覚。
ここの場合は、お掃除修復から余り時間がたっていないための白さもあるかと思います。オリジナルはわからないけれども。
ただ、実際に訪ねると、どこでもそうですが、写真よりは薄暗い感じがあるので、ここまで白さを感じることはないのですけれども、最近のカメラの性能が余りによくて、撮影すると、やけに白が目立ちます。
全体に地味な感じがするのは、外観と同様ですが、要所要所の装飾は、きっちり。
たとえば、この地味さをさらに強調するような、地味な帯装飾。
チェッカー・モチーフというか、市松モチーフというか、これはかなり好きなモチーフのひとつ。後陣部分や窓周りに施されていました。
小さな教会だけに、そしておそらくそんなたいしたレリックもないはずだし、周歩廊はないですが、見た目に偽の周歩廊を作っているような、後陣の装飾。
小さな小円柱を二重にめぐらせて、とってもフランス的な装飾と思います。
外から見えた、若干位置が微妙な丸窓、やはり中から見てもずれています。しかし、感じとしては後から開けられたものではなく、もともとあったように見えますねぇ、不思議です。
動物や人の頭部のフィギュアが適度に配置された帯装飾。かなり修復されているのが明らかです。
各場所の柱頭も、どれも繊細に彫り物が施されています。これは、サムソンか、ダニエルさんか。
ダニエルさんかと思ったのですが、こちらを見ると、上はやはりサムソンなのか。
動物や人のフィギュアがつる草緑と一体化しているモチーフが多くて、ちょっと東洋的で、全体に統一感があって、同じ人が彫ったのだろうと思います。芸術的なレベルはさほど高くないけれど、当時流行のモチーフを勉強した地元の石工サンでしょうかねえ。同じ目線にいるというのか、モチーフ的にも、いたって普通の地元の信者さんたちにも、親しみやすい作品だったのではないか、という気がします。
地味なクリプタもあり、驚くことにちゃんと開いておりました。
クリプタの窓には、ここでも現代的な抽象モチーフのステンドグラスがはめ込まれていたのですが、これがまたかわいらしくて、とても好きでした。
イタリアは、基本的にステンド・グラスが少ないですが、フランス文化圏は、実にステンド・グラスが好きですね。モダンなステンド・グラスは本当に素敵で、今後も出会うことがあるだろうし、どんどん好きになりそうです。特に、こういう古い建物で出会う抽象モチーフのモダン・ステンド・グラスは、好みです。
全体に地味ながら、統一感のある実にかわいらしい教会でした。ほとんど無名、って言うか、教会の名前も村の教会だし。でもクリプタがあるということは、本来はレリックはあって、本来は聖人の誰かが眠る場所だったのではないかと思われるのですが、不思議です。そういえば、教会はとてもきれいに保たれているのに、ネーム・プレートも説明版も、何一つなかったです。
でも、こうやってちゃんとあいているし、訪ねる価値のある場所ですので、お勧め。
って、言っても、このあたりにわざわざ行かれる方は、ほとんどいないでしょうねぇ。残念。
- 2013/04/19(金) 05:09:47|
- ポワトー・シャランテ・ロマネスク
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プラサックPlassacその1
ここはとても小さな村で、ミシュラン緑本にも、教会のことは書かれていませんでした。おそらく、このあたりに詳しいサイトで事前に情報を得たものと思うのですが、もしかすると現地で得た情報かもしれません。
前回のサンテステフェから、程よい高低差とはいえ、時間にしたら20分強程度ですが(デジカメの便利さは、撮影時の時間を記録してくれることもありますね)、緑の丘をいくつも上がったり下がったりして、いい加減これは引き返した方がいいのじゃないか、と不安になりだした頃、ほんのわずかの家々が立ち並ぶ開けた道に出ました。
来た方をみるとこんな感じ。何の変哲もない郊外の住宅地という感じですが、ここに至るまでは、まったく何もない丘の道。
で、これはだめだ、と路肩に緊急停車したところ(左側の路肩に停まっているのが、今回借りていたレンタカーの車)、進んでいた方向の、道の先に見えたのが、この教会。
気持ちはもうあきらめかけていたところで、このドラマチックな出現で、とても嬉しかったのをよく覚えています。青空が見えるけれど、風が強くて、なんだか寒かったような印象があります。真夏だったので、そんなはずはないのですが。
さて、喜び勇んで、車をうっちゃって、徒歩でアクセスです。
教会は、高台の際に建っているので、景色が素晴らしいです。
後陣の裏側に広がる土地。何もないのが、よくわかっていただけると思います。
肝心の教会、まずはファサード。
典型的なサントンジュの教会です。傾斜屋根の天辺に石の十字架、これもおなじみなら、段々アーチの多様や、そのアーチ装飾なんかも典型的。サントンジュ様式、悪くないな~。
特にこういう風に、余り余計な装飾(アーチの中に彫刻がごたごた置かれたり、浮き彫りが目一杯施されていたり)がないタイプ、すっきりしていて好みです。
それでいて、よくみれば、要所にちゃんと彫り物とかあるんですよね。
アーチの帯装飾、柱頭の彫り物、軒送りの下の様々なフィギュア。奥ゆかしさがあります。
後陣側も、まったく同じような装飾で、全体の統一感がすごくあります。
後陣のアーチの上の方に、丸窓が開けられていますが、これがなぜかずれています。もしかすると、教会の縦線が若干ずれていて、丸窓の場所が真東とか、そういうことなのでしょうか。
それにしても、後陣側から見ると、とってもすっきり、背の高い縦長さんです。この、後陣の円形部分と、本堂の四角部分の横幅が同じ、こういうスタイルも、サントンジュ風と言えそうです。
教会外側の彫刻装飾は、全体にかなり風化が激しく痛んでいるのが、残念ではあります。内部はかなり修復されているので、ますます。風化が激しいのは、やはり雨風に強くさらされやすい丘の突端と言う立地のせいもあるのかもしれません。
- 2013/04/18(木) 05:27:54|
- ポワトー・シャランテ・ロマネスク
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サンテステフェ、サンテティエンヌ教会Saint-Estephe, Eglise Saint-Etienne
前回紹介したRoulletから、本当にすぐ近く、空の広がる田舎道を入ったところにある小さな村の教会です。
アクセスは後陣側から。この三角屋根を乗っけた巨大な鐘楼が目印で、余りに空が広いので、見逃しようがありません。
車を、後陣近くの路肩に置いて、早速見学です。
ファサード側に回ります。
本当に何もない平原なので、教会前もゆったりとスペースがあります。それにしても、地味な教会です。鐘楼は、かなり後代の手が入っているし、ファサードも、付け柱と言うよりもゴシックの支え壁のような感じで、ちょっと趣味じゃないかも、とひるみます。でも、鐘楼は12世紀のものだし、身廊部分は11世紀ということなので、オリジナルは相当古いもののはず。残念ながら、クローズで、古い身廊を見ることはかないませんでした。
でもオリジナルが古いのだから、何か面白いものがあるはず、といつもの癖で、全体をなめるように探します。
ほらほら。
ファサードの上の方、左右に、ちょっと面白い彫り物がありました。上写真は左側、そして下が右側。
そして、側面や後陣の上の方にある軒送りにも、かわいらしい彫り物が並んでいます。
お面のような、動物の顔が多かったのですが、どれも個性的で面白い。古い教会は、探すと、ちゃんと何か見つかるのが楽しいですね。やっぱり中も入ってみたかったな。
帰ろうと思った道端に、美しい花がたくさん咲いていました。
多くの教会のそばで、ポットに入ったり、こうして地面だったり、花が飾られていました。色が多様なのが、いかにもヨーロッパの感覚だなぁ、と思います。そして鮮やかなんですよ、どの色も。それでいて、派手な花ではなくて、ロマネスクの石にぴったり。このあたりのしゃれた感じが、おフランス~、と思わされます。イタリアの教会でこういう野の花風が自然に飾られているって、余りないような。
- 2013/04/16(火) 04:34:51|
- ポワトー・シャランテ・ロマネスク
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さすがに、待ったなし。って、何かというと掃除です。
新居に入って当初は、かなりまめに掃除をしていたわたしですが、このところ、生来の掃除嫌いが復活。特に面倒な床掃除は、「来週、来週」、と常に来週に先送りして、一体どれだけ長い間、掃除していなかったか。
夏時間になり日が長くなると、時として日差しにほこりが明らかとなり、さすがに無視しているわけにいかず、この週末は掃除集中。
といっても、床掃除と、そしてベランダ掃除にとどまるんですけれどね。それ以上は無理。掃除って言うのは、結構よい運動にもなって、汗なんかもかいちゃったりするけど、なんか掃除で汗かいたりすると、損した気持ちになります。どうせ汗かくんなら、運動とかそういう目的意識のある行動の結果として汗をかきたい。みたいな。
何はともあれ、床はきれいになりましたし、そして、猫額のベランダ、久しぶりに素足で踏み込める状態になりました。
掃除のきっかけは、やはりベランダの花々で、直接にはこの子。
白くて雪のような清楚さ。山の花です。週末のメルカートで、月桂樹かこれか迷って、春ですから花を取りました。どんどんとまだ咲きそうだし、その上この子は多年草で、冬の寒さにも強くて、大事に育てれば来年だって花がつく、ということなんですよ。まぁ、確かに、山の花、というオリジンを考えるとそうなんですけれど、多肉植物すら殺してしまうわたしにはどうでしょうか。いずれにしてもかわいい!ということで、早速、ちょっと大き目の鉢に植え替えました。
それをきっかけに、現在のベランダの再構築です。
まずはずっと気になっていたこの子。
びわだったと思うんですけれどね、そして、確か昨年、おいしくいただいた後の種を植えたものだと思うんですけれどね、すべてが余り定かじゃなくて。ただ、冬に寒さにもめげることなく、とにかく植えたらしい四つの種からすべて芽が出て、なんだかずっとすくすくと育っているんですよね。
今回、ちょっと大き目の鉢に植え替えました。今後どうなることやら。木になってくれるなら、それはそれで嬉しいですが、いずれにしても、ほとんどケアなしにここまで育っていることを考えると、かなりいけそう。わたしにはぴったりかも。新芽も出てきています。
この子も、超元気。
松葉ボタン的な植物で、昨年、花の終り頃に我が家にお越しいただいたものと思います。冬の寒さにも全然めげることなく、センプレ・ヴェルディ、常に緑でがんばって、春とともに緑の色も鮮やかさを増し、そろそろ花芽をつけている感じです。こういう子が見事に開花すると、達成感みたいな喜びがあるんですよねぇ,どうでしょうか。
ジェルソミーナ、ジャスミンです。
この子も、冬にめげずにすくすくと育ち、余りたくさんではないですが、つぼみをつけています。ジャスミンはにおいが大好き。少しでも咲いてくれれば嬉しいです。この子も本来は木で、強いはずなので、これからも幹が育ってくれれば、と思います。
この子も長い!
この子は、何年我が家にいることか。もともと鳥か虫が運んできたものが、どんどんと繁殖して、ケアしなくても決して枯れることもなく、毎年きちんと花を咲かせて、適度にだめになりながらも、きちんと継続的に一鉢の分を守って生きていてくれる子。もうすぐ開花。
そういう意味では、この子も超長生き。
種から育てたラベンダー。
春になると新芽が出てきて、きれいな緑の復活に毎度嬉しくなります。でも、古くなった銀さび色の葉っぱだって、指で触ると、ちゃんとラベンダーのいいにおいがします。ラベンダーって、結局花より何より葉っぱなんですよ、多分。
そして、この子も、ほって置かれた割には、ちゃんと冬を越していました。
ミニ・シクラメン。がんばって夏も越して、来年も可憐な花をつけてもらいたいものです。暑さ対策の方が、この子には重要かもね。
そして、ちょっと気になったのが、我が家で勝手に生きているこの子達。
こけ。
バルコニーの石の柵の根元に、ほんのわずかタイルで覆われていない場所があるのですが、そこに地味に育っているんです、いろんな種類のコケ。特に、雨の多い時期後は、緑が美しく、乾燥する夏にはすっかりしぼんでしまうのですけれども。それにしてもこんなきれいなコケ、育てようとしてもなかなか難しいと思います。といっても、イタリア人には、おそらくただの余計なごみ的な物体と思われるだけかもしれません。
わたしは、コケの緑は、美しい、と思ってしまうので、そぐこともなく、生きていてくれるだけは生きていたほしいと思っています。
- 2013/04/15(月) 05:37:35|
- 植物、花
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なんだかんだ言いながらも、やっぱりそれなりに楽しく、歩きます。
具体的に商品化できそうな作品を見るのは、それはそれで面白味があります。たとえば、この駐輪用のMicio。ミーチョってイタリア語で「猫」って、すごく単純な命名ですけれど、道端でかわいい野良猫を見かけたら、「ミーチョ、ミーチョミチョミチョ」みたいな感じで懐柔するみたいなことを思うと、道端に置かれる駐輪所としての命名としては、なんかとってもしっくりもするわけです。
これなんかも感銘を受けました。本気でほしい!
本当のところ、素材がどこまで全体に石なのかわからないんですが、少なくとも見た目は全部石で、そういう素材を使った水周り。
全体が硯みたいになっているのもありました。すっごくでかいし、絶対に実用とは相容れないスタイルなんだけども、もし自分が超お金持ちでスペース的にも費用的にも、なんらの問題もない人間であれば、こういう贅沢な水周り、ほしいです。
同じデザイナーの作品のお風呂。
大理石で、遠い天辺から水が滝のように降ってくるシステム。ああ、なんだかうっとりします。こういう世界こそ、スペースがないと絶対に無理で、すべてが猫額の我が家ではありえない贅沢で、それだけでうっとりしてしまいます。そして、大理石のこの質感とすべすべ感は、それだけで至福…!
フオリサローネの好きなところは、ベネチアのビエンナーレも同じなんですが、触り放題、写真撮り放題、そりゃ本来そうであるべきなんだけど、なかなかそうはできない、みたいなそういうところ。サローネは、ましてや最終的には一般に販売される作品に直結する世界ですから、使ってなんぼ、というのはすごくあって、現地に置かれている作品のほとんどは撮影は当たり前の上に、触り放題、使い放題、という状態です。
実際、椅子なんか、座ってみないとわからないもんね。
そういう意味で、この小鳥さんたち。
ここで、最も、かわいらしくて好きだなぁ、と思った作品だったんですが、ここではアクセスしにくい場所にあったこれも、他の場所では触り放題、座り放題の椅子だったんですよね(それも、意外と座り心地のよい家具だったりして、びっくり)。
ということで、別の場所に移動です。
- 2013/04/14(日) 05:34:50|
- ミラノ・フオリサローネ
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今週は、ミラノの家具展示会サローネです。
この数年、毎回、市内各地で行われるフオリサローネを歩いてきましたが、今年は、かなり限定的なレポートです。
というのも、疲れているのに加えて、最初に、ガイドブック欲しさに訪ねた大学の展示が、いまひとつ面白くなくて、どっとテンションが下がってしまったんです。
今日も、普段だったら、早めに仕事を終えて、トルトーナ方面に繰り出すはずですが、なんだか人ごみや喧騒や商業的なぎらぎらが面倒になって、手近なブレラの美術館を回っておしまいとしてしまいました。
でも考えたら、わたしはインダストリアル・デザインの人でもないし、アート的観点から面白いと思ってフオリサローネを回っているのだから、こういう風にピンポイントでアート的な展示だけを見れば十分だな、と思ったり。何年も見たから、ちょっと飽きたというのもあるにせよ、もともとインダストリアル・デザインは商業的な観点が出発点だから苦手だったりする、その原点に戻っただけのことかも。
それはともかく、やっぱり面白いものは面白いし、一生知ることのなかった世界を垣間見たり、出かける価値のあるのがこのサローネの世界でもあります。
では、ちょっとだけ。
大学から。
平日の夕方でも、人では結構あり、考えたら平日だから大学も営業中(?)なわけで、週末だったら固く扉が閉ざされている場所も、結構開いていたり、ここは入っていいのか、何かあるのか、よくわからず、かえってうろうろ鬱陶しかったり。
しかし、キオストロのひとつは完全に使われていなかったり、全体にとにかく地味でした。はっとびっくりするようなインパクトのある展示は一切なくて、あっという間に全部を見終わってしまってびっくり。
ちょっと目を引かれた黄金のオブジェ。
子供が喜んで、乗っかったりくぐったりして遊んでいました。触れたりすることに規制が少ないのは、とってもよいことです。
一番大きいキオストロでは、多分パソコンと連動した大きなスクリーンのある東屋風の建物が真ん中に作られ、回廊には、マイクとたくさんのスピーカーが設置されていて、片隅にあるマイクにしゃべると、それがいろんなエフェクト付(リピートしたりぼやけたり)でキオストロ中に響き渡るという仕掛けになっていて、場に入ったとき、その効果音にびっくりしました。子供が叫んだり、高校生くらいの子が四文字言葉をつぶやいたり、それないに面白かったけども、インパクトは、いまひとつ。
キオストロに続く扉部分は、いつも面白い作品になっています。
今回も、鏡面を使って色の氾濫。きらきらとして、一見すごくきれい。実はこの色の部分は、鏡面に突き刺さった口紅。なぜ口紅である必要があるのか、といえば、もちろんスポンサーが化粧品会社だからですね。
パナソニックの展示もありました。
多分、太陽光電池の基盤の小さいやつをこれでもか、と並べたもの。Akihisa Hirataさんって、多分新進売れっ子デザイナーだと思います。建築家かまたは技術者かわかりませんが、他の場所でもこの方の作品、見ました。でも、後から見た作品も含めて、なんだか「ふーん」って言うか、もっとすごい人っているよね?みたいな。
合間に、大学のすぐ横にあるロマネスク起源の教会後陣にほっとしながら、先に進みます。
一瞬、「弥生ちゃん?!」と思ってしまった、インテルニの事務所。
実は大学は、インテリア雑誌であり、このフオリサローネをここまでのイベントに仕立て上げたインテルニ主催の展示会開場なんです。その事務所は、今をときめくサムスンのグループ会社サムスン・ケミカル社の素材を使ったインテリアになっていたようです。
ここには、会場中の展示の資料が置かれていて、素敵な紙資料がいろいろもらえます。フオリサローネを一冊にまとめた雑誌の付録を、ここでは無料でいただけるので、それが目的でした。
この展示会のテーマは「ハイブリット-建築とデザイン」。若干使い古された印象のあるイメージですけれど、さて、どうでしょうかね。
続きます。
- 2013/04/13(土) 05:41:39|
- ミラノ・フオリサローネ
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