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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ポワトー/シャランテ、28

シヴレーCivray、サン・ニコラス教会 Eglise di Saint Nicolas その1
前回のルフェックから30分足らずで到着したのが、この町、シヴレイ。川を越えた場所に、がらがらのプールの駐車場があったので、とりあえずそこに駐車して、町に入りました。すぐに広場があり、その一角を占めていたのが、このサン・ニコラス教会。




サントンジュからちょいと離れて、ポワトー様式に近づきます。でも、サントンジュと共通するものが確かにありますよね。装飾的で、彫刻的。教会の前の広場は、思いっきり駐車場になっていて、ちょっと残念な状況でした。
イタリアでは、こういう状況で広場を駐車場に使う、ということをもう30年前とかに止めているのに、フランスは意外とこのあたり無頓着というか、今でも、本来美しいはずの広場を普通に駐車場としても使ってしまっている例が、結構有るような気がします。

せっかくあいているので、まずは内部を鑑賞します。
おお!




この彩色振りはすごいですね。まさにポワトーへのプロローグです。こういうのは、余りないので、目がびっくりしてしまいました。
こんなですから。




彫刻での装飾に代わる彩色なんですね、多分。および、彫刻をより強調するため。ある意味安直というか、表面的な装飾なんですが、色彩が若干地味な色目というのか、マットなんだけど抑えた色調が、妙に嫌いじゃないんです。歌舞伎っぽい色彩というのか。
色があることで、上の方にある柱頭のモチーフもわかりやすかったりします。




おお、脳天をのこぎりでギコギコ。なかなか血なまぐさい場面ですが、戯れているように見えて妙にかわいかったりするのは、なんでしょうねぇ。

この教会内部で必見なのが、聖ジルが描かれたフレスコ画です。翼廊の壁にあります。




13/14世紀のフレスコ画ですが、その後漆喰壁に覆われたか何かで、再発見されたのが19世紀ということで、そのためにかえって美しく残っているようです。
オリジナルの時代は、そんなに古くないのですが、他の色彩の鮮やかさに比べて、ずいぶんと地味な感じが、ちょっとカロリング時代のフレスコ画を髣髴とさせて、かなり古い時代のもののようにも見えたりします。




なんせ教会全体が色彩の渦。こういう状態に慣れていないこっちとしては、本来の調子を失ってしまいます。ディテールも面白いんですが、どう解釈していいんだか、という感じになってしまいます。




これは、イタリアには絶対にないスタイル。まぁ、フランスでも、どこにでもあるわけじゃないでしょうけれども。この後、ポワトーでは、この彩色装飾がどこでも、これでもか状態で迫ってきて、面白いんだけど、本当に面白いんだけど、呆然としてしまって、ただ圧倒されました。

続きます。

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  1. 2013/05/18(土) 05:57:55|
  2. ポワトー・シャランテ・ロマネスク
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ポワトー/シャランテ、27

ルフェックRuffec
田舎道をのんびりと走っていたら、いきなり街中に飛び込んでしまってびっくり、という状態でした。どういう風に町に入ったのかわからないうちに入っていて、あれよという間に人がごった返す広場に突入。
どうしよう、とおろおろすると、あっという間に町を通り抜けて郊外に向かう道に出たので、とりあえず路肩に車を停めました。




工事中の部分をふさぐ柵も、フランス風でかわいらしいですねぇ。
駐車した場所から街中に戻ると、どうやら市場に人が集まっていたようです。午前中の半ばで、一番活気付いていた頃かもしれません。
買い物帰りのお嬢さん。




フランスでは、こういう風にかごで買い物に来ている人が多いな、とどの町でも思っていました。昭和の東京はこうだったですが、今では日本ではありえないですよね、たとえどんな田舎に行っても。イタリアでも、少なくともミラノではまずないです。田舎に行ったらあるかなぁ。市場には、車輪のついたバッグを引いてくる人が多くて、こういうかご下げ系の人はきのこ取りとかのイメージしかないのですが、どうでしょうね。

さて、教会は、幸い広場から坂を下った辺りにあり、看板が出ていたので、すぐに探し当てることができました。サンタンドレ教会Eglise de St.Andre。




ちょっと背が低くて横幅がやけにあるずんぐり系ですが、装飾の多いサントンジュのファサードです。浮き彫りは全体に磨耗が激しいのですが、オリジナルはさぞや繊細な彫り物だっただろうとしのばれます。




正面左側にある扉上のタンパンには、なんだかわけのわからない不思議な浮き彫りが施されています。




教会内部に、結構丁寧な解説が並んでいたのですが、残念ながらすべてフランス語。この彫り物、ベッドに横たわっている人のフィギュアと、その近くにいるフィギュアなんですが、5つくらい仮説があるようで、この教会が捧げられたサンタンドレ(聖アンドレ)の奇跡とかエピソード、創設者のエピソードとか、死を示唆したものとか、いろいろ。要は、はっきりした意味は、誰にもわかってないということらしいです。

上の方には、おなじみのアーモンドの中のキリストと、天使たち。




このキリストはすっくと立ち姿。足がやけにまるまっちくて、おでぶのお赤ちゃんのようでかわいいんです。そして、両脇の天使たちは、まるでスケートボードに乗って走っているかのようなスピード感があって、面白い!
天使の足元を切り取ってみました。こういうの、ちょっと冒涜かしらん。





アーモンドの下の段には、各アーチの下に十二使徒の像が並べられているようですが、残念なことに、完全な姿で残っているものはなく、どれも頭がないのが、痛々しいです。




内部は完全にゴシック以降の装飾になっていて、見るべきものはありませんでした。

教会のそばには川が流れ、なかなか美しい町でしたが、休み暇もなく、次へ向かいます。撮影記録から見ると、見学していたのは20分足らず。またいつもの悪い癖が…。とにかく次へ次へと追い立てられるように走り回る修行旅。行くたびにすごいので、もう停まることができなくなっています。

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  1. 2013/05/16(木) 05:54:30|
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ポワトー/シャランテ、26

天使たちに出会った後、さらに北上します。何の変哲もない、田舎の街道沿いに広がる小さな町、クールコムCourcom。住宅の密集した間に、ひっそりと建つのがノートル・ダム教会です。




昔はきっと、街道だけがあって、ちょっと奥まった場所にぽつんと建っていた、というロケーションだったと想像しますが、今は、街道沿いにびっしりと家が建ち並び、教会の周囲もびっしりと住宅。教会周囲に迫れるだけ迫ってしまって、建物の全体を捉えるのが難しいくらいです。
正面に立ち並ぶ家にくっつくようにして、やっとファサードを撮影。




サントンジュともいえないシンプルなファサードです。一応軒送りのようになっている部分に彫刻装飾があり、また扉周辺、柱頭装飾もありますけれど、なんだか寂しい。
そして、明らかに閉まっていそうなのに実はあいていることの多いフランスの教会ですが、ここは、押してもひいても、扉は開きませんでした。すぐ脇にある家から青年が出てきましたので、「教会の鍵を預かっている方を知らないか」と尋ねたところ、フランス語が返ってきましたので正確にはわからなかったものの、「いつも閉まっているもんね。鍵なんかなかろうよ。」というニュアンスの投げやりな答えでした。
なんか、それなりに修復をされてはいますけれど、余り大事にされてないっていうか。そういうのが全体のたたずまいに出ているって言うか。

扉脇の柱頭彫刻。




いかにも雨風さらされ続けた結果、という風情です。そりゃ千年からさらされていたままだったら、こうなりますわな、というよい見本。こういう場所の装飾がきれいに残っているというのは、一定期間ごとに修復が施されてきているから、ということがよくわかりますよね。本当に全体に物悲しい。

ワイン樽を抱えた人のフィギュア。




こういうのって、どこかにもあったような気がします。お茶目でかわいいフィギュアなのに、物悲しさが増すばかり。
この教会で唯一面白いなぁ、意外ときれいだなぁ、と思ったのが、鐘楼です。




背が低いのに横に広いって言うのか、ずんぐりしているのですが、この一部開口部にもなっているアーチの連なりが、以上に背高さんなんですよね、横幅とプロポーション取れていないって言うのかな。
でも、背高のアーチが、幅狭く並んでいるのが、妙にすっきり感を醸し出していて面白かったんですよ。こんなスタイルの鐘楼は、見たことがなかったし。
で、ふと見ると、後陣側、きれいだったんです。




あれ~、もしかしていい教会じゃん~!と思ったんですけれども、ファサード側に戻ると、やっぱり何かしら寂しい…。
それなのに、その寂しい印象が強かったのか、結構細かく記憶しているのだから、面白いものです。

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  1. 2013/05/14(火) 05:23:32|
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ポワトー/シャランテ、25

ちょいと寄り道をしてしまいましたが、またフランスに戻ります。
シャランテ地域を北上して、ポワトー地域へと移ります。その途上に、いくつか大変興味深い教会があるのですが、そのひとつがここ、リシェールLicheresです。




早朝、例によって丘を登ったり下ったりして、ぽかっと林を抜けたとたんにひろがる青空。畑の向こうにぽつねんとあるのが、あれに違いない、と思わせるたたずまい。
本当に間違いなく、かつてはただ農道だったであろう田舎の道をたどり近づきます。花の盛りが終わり、うつむいているひまわり畑の向こうにある教会。ああ、これが。




こういうたたずまいであることは、事前に知っていたのですけれども、余りに美しくて、呆然、という感じでした。

ファサード。




地味です。早朝ですから、西向きのファサードは日陰となり、暗い感じ。残念ながら、扉も固く閉ざされておりました。そこで、わたしは天使に出会いましたよ。
天使って?早朝でおかしくなっていたわけではなく、コスプレの天使、少女三人が、このあたりをうろついておりました。それも、携帯電話を操り英語を話す天使。背中には小さな羽根もありました。

教会はあかないのかしら、と話しかけたわたしに、あそこの家が鍵を持っているはずだけど、まだ起きてないからだと思う、と。確かに教会の近所には、数件の農家らしいお家がありました。しかし農家、9時近くになって起きないのかなぁ。実際、近くまで行ったのですが、活動の気配もなく、鶏と犬が騒ぐだけなので、呼び鈴を押す勇気が出ないまま引き返しました。

天使は、学校のイベントで、オリエンテーリング(とかいうんでしたかね?)みたいなゲームをやっているんだということで、天使のコスプレも、どうやらその一環だったらしいのです。中学生高学年、または高校生になったばかり位のりんごほっぺの乙女たちで、実にさわやかで愛らしかったです。リシェールといえば天使、わたしのイメージは固定してしまいました。

あいてないし、開きそうもないならしょうがないし、早朝の美しい空気、美しい風景、楽しい天使たちとの会話で、もう十分満足したわたしとしては、もう既に幸せ一杯。せめても外観をしっかり見られるお日様だけで大満足だ~!




全体に傷みが激しく、ぱっと見て何かわからない柱頭彫刻も多いのですが、全体に、バランスのよい装飾感。ここでも、軒送りの彫刻がすっごくかわいらしかったです。




うんしょっと。みたいな。

大口開けている獣だけでもかわいいのに、本来ぬるぬるしていてかわいげのない蛇までが、妙にフレンドリーな感じでとぐろを巻いています。




天使も、え、わたしなんかがここにいていいんですか?本当に本当に?見たいな遠慮深さを感じるかわいらしい姿です。




こんなのがずっと、周囲を取り囲んでいて、面白かったです。観察の感に、鍵を持った人が来たら完璧だよなぁ、とちらりと思ったりもしつつ、残念ながら、天使に出会う以上の奇跡(?)は起こりませんでした。それでも十分満足して、旅を続けることができました。早朝の、実に気持ちのよい旅のスタート。
ポワトー方面に向かって、北上を続けます。




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  1. 2013/05/13(月) 05:58:55|
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ミラノ、春の週末

我が家の近所には、かなり活発に活動している教会があります。そこで、年二回、春と秋にバザーが開催されます。基本、基金集めのバザーなんですが、蚤の市、というと、よりイメージが近いかという、そういうイベントです。
今の家に来てからというもの、ほぼ欠かさずに行っているイベントです。基本はまさに蚤の市で、家にあるけどいらないもの、とか、手作りのランチョンマットや鍋つかみとか、古本とかがほとんどなんですが、いわゆるアンティーク系のちょっとした家具や小物が、おそらく市価に比べるとかなり安く出るので、実益もあるイベントなんですよね。

この週末はミラノで、市場に行ったり郵便局に行ったり、と朝から活動していた甲斐あって、その初日に遭遇しましたので、取り急ぎ行ってみました。
で、ゲットしたもの。




これは、もともと直火で調理するための鍋ということですが、植木を置くのによさそうと思い購入。
どうでしょうか。早速、植木を入れて、バスルームの装飾となっています。




そしてこちらは、手作りの小さな椅子。




これも、植木を置くにもちょうどよいし、実際に玄関先で靴を履くときの椅子としても活躍できそうな感じです。
そしてもうひとつ嬉しかったのがこちら。




ツーリング・クラブ出版の図版豊富な本で、エトルリア特集。ざっと見ても写真豊富な上に解説文も結構あるので、先日訪ねたラツィオ北部エトルリア研究にぴったり。なんと2ユーロという嬉しいお値段で、ホクホクです~!

この蚤の市では、これまでも、食器とかアクセサリーとか、そういえば今パソコンを使っている、元ミシン台の机もここ出身だし、かなりいろいろお世話になっています。
ロマネスクをやっていても決してキリスト教信者ではなく、また信者になる気もないわたしではありますが、活発に活動するこういう教会は、イタリアで暮らす上で、確かに地域に貢献しているなぁ、と実感します。これについては、キリスト教の生活への浸透ぶり、ということ、本当に感心します。
そういや、我が家にもよく来るんですよね、宗教の勧誘。週末にのんびりしていて、いきなりインターフォンが鳴りびっくりして対応すると、イタリア人なのに妙に日本語が堪能な新興宗教の勧誘員だったりします。

素敵なインテリアをゲットして、その上お日様サンサンで、ベランダのお花も咲き出して、なんだか嬉しい週末だなぁ、となって、本当はお掃除の予定でしたが、それはやめて、ジャム作り。
多分、今年最初で最後のマーマレード。マーマレードは大好きなんですが、作るのが他の果物に比べると格段に面倒なので、今年はやっていませんでした。




結構大きな瓶に三つできました。
ジャム作りは、数年前からの習慣。面倒ではありますが、一度作り出すと、もう市販のものには戻れなくなります。今は、杏が出るのが待ち遠しい季節。杏は、果物として好きではないのに、ジャムには最高の素材と思っています。でも、出回るのが少なくて、うっかりすると買いそびれたりします。確かそれで、去年は一度も作れなかったはず。今年こそ!

ベランダでは、今年最初のジャスミンが咲き出しています。とってもいいにおい。




そして、バジリコがびっくりするくらいの発芽率。昨年収穫した種をまいたら、ほとんど全部から発芽したようです。




これじゃどうしようもないので、一気に間引きしました。間引きの小さなバジリコ君たちは、今夜のサラダに投入。まだバジリコ臭も淡い、おいしいスプラウトでした。

のんびりと家で過ごす春の一日というのも、実は結構忙しく、でも気持ちはゆったり。いいなぁ。

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  1. 2013/05/12(日) 06:53:33|
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ポワトー/シャランテ、24-2

ホテルのついでに、お食事の話もしておきましょう~。




今回、ロジ・グループのホテルに泊まった理由は夕食。ブルゴーニュの旅で、やはりお食事つきのホテルに泊まったにもかかわらず、シーズン・オフということで、レストランがクローズでがっかりした記憶があったので、夕食をいただけるところ、というのを目的に予約したのでした。
というのも、一日中走り回る修行旅では、下手するとランチをいただく時間がなかったり、日中のお食事が疎かになる上に、一日の終りにはぐったりとしてしまい、とても夕食を求めて、改めて町をうろうろするとか、車で出かけるとか、そういう元気のないケースが多いのです。実際ブルゴーニュでは、そういう状態で車で出かけるしかなくて、とても疲れてしまったんですよね。夕食後に車でホテルに戻らなければいけないと思うと、お酒も飲めないし、ゆっくりくつろげないわけで。
ま、そういう意味では、ロジのホテルは正解だったんですが、でも、残念ながら、お食事はいまひとつで。




ロジ・グループのホテルは、ホテルとはいえ、レストランがメインだったりして、そのあたりはイタリアで言えばアグリツーリズモに近い感じって言うんでしょうか。だから、おそらく、レストランとして自由なメニューをオーダーすればそれなりのものがいただけるんだとは思いますが、ハーフ・ペンションにすると、もちろん普通にレストランでいただくよりはお安くなるんでしょうけれど、いきなり質が落ちる感じなんですよねえ。少なくとも今回宿泊した二つのホテルは、そういう感じだったんです。




だから、運不運も結構あって、一泊目はおいしかったけれど、二泊目はいまひとつ、とかも起こります。ただ、そういうことを差し引いても、がっかりだったかなぁ。特に、同じような条件で、イタリアで味わえるお食事やサービスと比較すると、やっぱりちょっと。




このあたりについては、最近旅したラツィオ北部のアグリツーリズモとか、マルケの田舎のレストラン・ホテルとか、そういうところの報告を見ていただける(といっても、報告はかなり先になりそうですが)と、きっとわかっていただけると思いますが、やはりイタリアは、あまねく食の国なのだと思います。フランスは、ワインもそうですが、お金を出せばもちろん極上のものにありつけますが、結構そういうところで段階があるという感じかな。
何ですかね、特にこういう田舎のホテルのお食事が、意外と割高感があるというのが、なんか不思議。そういえば、カンヌのご飯も、結構リーズナブルでおいしかったのにね。




そういえば、朝ごはんもいまひとつだったし~。
実は、7月にまたフランスに戻るのです。今回は、ロジにこだわらず、そうじゃなくてもレストランのあるところ、でホテルを選びました。すべてのホテルが、自分の予算よりは大幅に高め。どうなることやらですね。

寄り道しましたが、また本道ロマネスクに戻ります。

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  1. 2013/05/11(土) 05:10:14|
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ポワトー/シャランテ、24

閑話休題、シャランテで泊まったホテルを紹介しておきます。
Vibracという村にあるロジ・グループのホテル、レ・オンブラジュles Ombrages、木陰とでも言う意味でしょうか。




村のはずれにあり、道からの見た目は、かなりがっかり度が高いのですが、でも、お部屋はとても清潔感が高くモダン。緑滴る裏庭側に、プールやレストランのテラスがあって、秘密の花園状態でした。ロジ・グループのホテルは、必ずレストランが併設で便利なので、今回は、シャランテで二泊、ポワトーで二泊、比較的安めのホテルでハーフ・ペンションのプランを利用しました。
このホテルでは、女将が英語を操るので、本当に助かりました。




裏庭のレストランのテラス。
真夏なのに、インターネットで見たとき、クーラーがなさそうだったので、かなり心配をしていたのですが、この辺、日中はぎらぎらと暑くても湿度が低いのですね。日が暮れるとぐっと気温が落ちて、テラスでは羽織るものがないと寒いくらいだし、ベッドには布団が用意されていました。

そしてこの村、中世的には注目すべきものはないのですが、実に素敵な土地なんです。ぶらぶらと散策して、びっくりしました。

村はずれ、つまりホテルのすぐそばに川が流れています。水が澄んでいて、小さなお魚がたくさん泳いでいる川でした。釣りをしている人たちもいました。




水のある田舎の風景を想像したらこんな感じ、というイメージそのものの風景なんです。空気も気持ちのいい冷たさで、一日中走り回った後シャワーを浴びてすっきりした身体に、よいお散歩ができました。




こんな起源の古そうな石橋が架かっています。




ご飯の後、村の中心部にも行ってみました。中心は、とっても小さい教会でした。




街灯が少ないので、全体が暗闇に近い状態で、その中で教会だけが美しくライトアップされている姿には、たまげました。なんでもない教会前の広場まで含めて、びっくりするくらい美しい光のコントラストです。
遅い時間でも入り口が開いていたので、ちょっとのぞきましたが、中は真っ暗。教会の起源は中世まで遡るようですが、内部には特に何もなく、礼拝用の椅子が、お行儀よく並んでいるだけでしたが、こんな時間まで開いているということは、夜のミサがあったということなのかな。まさに生きている教会で、村の人々のよりどころなのでしょうね。




宿の女将が、お散歩していらっしゃいというくらいなので、怖いこともなかろう、とこんなマグリットの絵のような暗闇の小道も歩いてみました。幻想的で、なんだか昼間の修行旅が夢のように思えてきました。

明るいうちに、中心部を見ておけばよかったと後悔したのは、川が村の中に続いていて、船だまりのようになっている小さな桟橋がある場所が、とても素敵だったこと。




暗闇に沈んでしまって、写真ではほとんど見えないのですが、小さなダムになっていたり、川沿いの建物が時代がかっていたりして、とても雰囲気がありました。
いやはや、想像以上にいい村でした。

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  1. 2013/05/10(金) 03:00:13|
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ポワトー/シャランテ、23

Linarsリナール
前回同様、ほとんどマイナーな教会。街道沿いにあるので、ここもまた見逃すのが難しいようなロケーションです。




町外れの一角にあり、教会のある場所が、公園のようなスペースになっています。夕方で、高校生くらいの若者たちがたむろしていて、一瞬嫌な気持ちもしたのですが、別に何もなく、ただ田舎の若者が日課として集っておしゃべりをしている、という感じでした。
名前も見当たらない教会でしたが、ちゃんとサントンジュの様式に則ったファサードで、美しく保たれています。




残念ながら内部は漆喰塗りたくりののっぺらぼうになっていて、こんななら返ってクローズで、「入れなくてちょっと残念」と心残りを覚える方がいいような状態でした。
でも、外観の装飾は、かわいらしいですよ。といっても、ファサードだけですけれど。
正面扉のタンパン。




朽ちてしまっていて傷みも激しいのですが、アーモンドの中のキリストとそれを支える天使という図でしょうね。技術的には稚拙な感じもするのですが、でも顔も残っていたら、わたし好みのかわいらしい作品ではなかったか、と想定される雰囲気があります。

全体を彩るのは、アーチを縁取る幾何学モチーフや、飛び出す彫刻、軒送りの顔たち。もはやおなじみ。




軒送りの動物顔のフィギュアは、きっと当時は側壁の方にもあったのだと思われます。今は支え壁などもつけられて、後代に手が入っているので、きっと修復等の際取られちゃったんではないでしょうか。残念。

こういうアーチ、とても好きです。




さり気に真ん中のアーチが高くなっているんですが、視覚的な効果を狙っているんだろうな、と思ったり。
こんなに遠くて、実際その場にたたずんでも詳細は見えない動物たちですが、アップにすると、ちゃんと細かいところまで彫り込まれていて、間抜け顔がかはいい。




同時に、アーチの縁取り装飾も、実際すごく細かく繊細に施されているのに驚きます。見えなくてもここまでやるから美しい、って言うのはあるんだろうなぁ。
マイナーな教会でも、隅々まで装飾はサントンジュで、見ていて飽きないってすごいことです。

本来サントンジュと呼ばれるシャランテ地域にある教会は、かなり広い地域に散らばっているので、短期間にすべてを見ることは難しいです。またポワトーの方まで欲張るつもりで出かけているので、シャランテでも海に近い方の地域はあえて捨てて、アンギュレーム近辺、という回り方をしましたので、オルネーなどの有名教会は行けませんでした。いつか、シャランテ・マリティム、海の方の地域は、またゆっくりと訪ねてみるつもりです。

この後は、ポワトーに向かって北上となります。

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  1. 2013/05/08(水) 02:34:21|
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ポワトー/シャランテ、22

Fleacフレアック(と読むのでしょうか。いまだにフランス語の読み方が習得できないでいます…)、ノートル・ダム教会Eglise de Notre-Dome de Fleac。

一日も終わりに近づいたため、アンギュレーム南部に続く、サンチャゴの道をたどるのもおしまい。シャランテ内奥部に戻る道すがらに、いくつか並ぶとてもマイナーな教会を訪ねながら、ホテルを目指すことにしました。




街道沿いに家が立ち並ぶ小さな町ですが、この教会の前はかなりの広さの広場になっていて、おそらく昔は、草原にこの教会だけが建っていたのだろうなぁ、と髣髴とさせるようなロケーションです。

とても起源が古く、ケルトの神殿があった場所に、ロマネスク時代に建てられたものが、今の教会の元なのだそうです。このあたりは大西洋岸にも近いから、ケルトの影響が結構あるのですね。最近ケルトを目にしていないので、すっかり忘れておりましたが、イタリアのロマネスクにロンゴバルドの遺構が色濃く残されているように、フランスでは、ケルトの遺構も注目しないといけないかもですね。多分結構好きだと思うし。

内部はこんな感じ。一室の小さな本堂です。




外観は、側廊つきの三身廊のように見えますが、実はもともとはこの一室だけのところに、かなり後代になって、両脇がつけられたようなんです。今は住居とか倉庫に使われているようです。

全体に地味ですが、ロマネスクらしい装飾が、実はあちこちにちゃんとあり、宝探しができる教会です。
ちょっと損傷していますが、いくつか面白い柱頭があります。




四隅に、どすこ~い!という感じの男性像。

正面扉周辺の装飾は、シンプルながらすっきりきれいにまとめられています。柱頭も、典型的なモチーフが、きっちりと刻まれています。




すっかりおなじみになった、モダン・モチーフのステンドグラス窓。両脇の小円柱も、しっかりと柱頭がつけられて、とてもきれい。




そして、ファサードや側壁の軒送りが、また楽しい。




動物の頭フィギュアがたくさん並んでいて、どれも間抜けな様子がかわいらしいのです。これは、ケルトの名残みたいなものがあるんでしょうかね。

内部には、時代が下りますが、フレスコ画も見られました。




かなり下手そうな絵なんですけれど(ヘタウマじゃなくて、本気で下手、みたいな)、でも色が程よくあせていて、全体にやさしい風合いになっていたので、ロマネスクの雰囲気になじんでおりました。ギンガム・チェックが珍しいです。そんなに新しいものではないと思うのですけれどね。

本当に通り道にさりげなく建っているので、迷うこともなく、車もその辺に停められるし、さくさくと見学できて、こういうのもお口直しに悪くないなぁ、と言う感じ。そういった、小さなさりげない教会が、たくさんたくさんひしめいているのが、このシャランテ地方で、この街道は、ぶらぶらとシャランテを楽しむには、最適の道かも知れません。

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  1. 2013/05/07(火) 05:23:03|
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ポワトー/シャランテ、21

ブランザックBlanzac、その2
ブランザックの町のインフォメーションのお姉さん、わたしの意気込みを理解してくれたようで、車なら10分足らずで、こう行ってこう行って、と事細かに道まで説明してくれたのですが、道の説明って、イタリア語でも英語でも、もしかしたら日本語でも、元来方向音痴のわたしには、ほとんど役に立たないんですよねぇ。当然のことながら、迷いまして、途中で、道端にいた人に尋ね、何とか方向を修正しつつ、それでも10分強でたどり着いたので、本当に確かに近かったんですね。
さぁ、期待していた礼拝堂です。Chapelle des Tampliers de Cressac




こんな、下を向いちゃってるけれども、ひまわり畑とか緑の美しい丘をいくつか登って降りた先の小さな村にありました。




外観は、ほとんど新しくなっちゃっているし、見るべきものもなく、ここは開いてなくては話にならないんです。だって、内部に、12世紀の貴重なフレスコ画が保存されているはずなんですから。
まず後陣側に車を停めた際に、他にも車が二台ほどあったので、あいているんだな、と嬉しくなり、正面に回って扉が開いているのをみて、本当に来た甲斐があった!と小躍りする気分でした。

そして。




とにかく絵を残すことを最優先で、全体の雰囲気はなくて、ほとんど博物館状態になっているんですけれど、絵の迫力がすごいので、そのあたりはまったく気にならず、すすっと、中世の絵の中にのめりこめました。すごいです。絵のある位置が、低くてすぐそこ、という距離感も嬉しいです。




騎士の絵が多いのですよ。ヘタウマ系の馬がたくさんで、思わず微笑がもれます。かはいい~!




そもそも、礼拝堂は、十字軍のために建てられたもので、そのために、それにちなんだ十字軍の絵がたくさん描かれたようです。残念なことに、礼拝堂としての機能が失われた後は、土地柄、農民に家畜小屋などとして利用された時代が長く、本来は礼拝堂の内部全面に描かれたいたフレスコ画のほとんどが失われてしまったと言うことです。




フレスコ画は、「これはいい!」と思うものに出会う確立が、わたし的には非常に少ないのですが、ここのは本当によかったです。このりんごのほっぺがたまりません。イタリア北部のオルタ湖近郊にある、小さな礼拝堂のフレスコ画を思い出してしまいました。
これは、後陣(といっても、今は何もありませんが)側にある絵なんですが、側壁にある騎士や騎馬の絵とは若干違う感じもあり、作者が異なるのかもしれません。




十字軍が快進撃を遂げた頃に描かれたようですから、これなんかまさに、ドーダ、といわんばかりの騎士振りが微笑ましく。
とにかく開館時間に間に合うように、ブラザックのカテドラルをすっ飛ばしてきた気持ちがわかっていただけるかと思いますが、いかがでしょうか。

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  1. 2013/05/04(土) 05:51:48|
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