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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

トスカーナは果てしなくうまい~!

イタリア王道観光旅行16
ご飯シリーズ、その2です。フィレンツェのご飯。

まずは、宿泊ホテルに勧められたこの店。




Trattoria 13 Gobbi
Via del Porcellana 9R, Firenze

こんな時期だけど開いていて、おいしい店はないか聞いたところ、ホテル近所だしここは絶対だから、とその場で電話をしてくれました。フィレンツェの駅側で、外観はかなり地味な感じですが、中は、お皿も含めて雰囲気ありました。でも、わたし的には、ちょっと暗すぎる感じ?
暗いと料理が見えないし、何食べてるかわかんないって言うか、その辺は、食べるためだけのスタンダードなイタリア飯屋が最高で、お洒落系のお店は苦手です。そりゃ、カップルでしっぽり、だったら、ある程度の暗さが必要ですけど、食べるためにはね。

ここはフィレンツェですから、がっつり、肉!




ということで、最低限二人分から、というお肉グリルと、そして、いつものようなハウス・ワインではなく、ちゃんとワイン・リストから選んで、トスカーナ・ワインを注文しました。ところが、飲兵衛の姉が、意外と沈没していて…。
というのも、昼間にシエナで散々振舞われた甘い食後酒、慣れていないだけにやられたらしいんです。で、結局、わたしが、せっせと肉を食べ、せっかくのおいしいワインを無駄にしては、とせっせと飲み、ということになりました。ある意味、大変な夜でした。でも、お肉もワインもおいしくて、ほぼ完食。われながらびっくり。
しかし、せっかく肉のおいしい土地、レストランに来て、米国系観光客のお隣のテーブルでは、パスタで盛り上がっていて、ああ、こいつら、と思ったり。
肉は言わずもがなの量でしたが、パスタもすごい盛がよくてびっくり。このお店、観光的にも有名だし老舗だと思いますが、ウェイターさんもすごく感じよくて、フィレンツェってやっぱり食道楽、がまずあるんかな~と思いました。お値段も納得のレベルです。

もうひとつ、フィレンツェ。




Osteria Pizzeria dei Cento Poveri
Via Palazzuolo 31/R, Firenze

いくつか事前に調べていった店を当たったのですが、予約なしではだめだったり、クローズだったりで、確か地球の歩き方に載ってたかなんかで行ってみた店かと思いますが、意外とよかったんです。

混んでいたけれど、日本のレストランのように、リストに名前を書いてくれて順番待ち。待っている人には、食前酒を振舞ってくれました。イタリアで、行列作って待つ、ということは経験ないのですが、意外と早く入れました。しかし、名前を書くタイミングとかもいい加減で不公平この上なし。後から来た図々しい中国人カップルが、いきなりぐいぐいと先に入りそうになったので、ちょっと待った~!と慌てて割り込んだり。中国人って、やっぱり…。と思ったり、それにめげずに文句を言うわたしも、なかなか日本人じゃないよなと思ったり。

ここ、とっても庶民的な店でしたが、びっくりしたのは海鮮系のメニューが充実していたこと。時代の流れを感じました、ひしひし。トスカーナの内陸部は、昔はお魚食べない地域だったのが、今では、こういう店もあるんですねぇ。

前菜に蛸のマリネ。




わたしは、メインにえび、姉はお肉系、頼みましたが、どちらもボリュームがすごいし、おいしかったです。





ワインは、ハウスものの白をぐびぐびしました。お店の人、みんな感じよかったし、サービスも早くて、お勧め。

そしてもう一軒。
このお店は、もう十年くらい前になるのかな。やはり日本からお友達が来たときに、たまたま入った店。今回、そのときと同じような状況、場所でランチの時間となりましたので、では、あのお店に行ってみたいな、と思って、うろ覚えの道を辿ったところ、方向音痴のわたしにして、なんとたどり着いてしまったんです。




I Ghibellini
Piazza San Pier Maggiore, Firenze

内装も同じ、すべて同じ。なんだか嬉しくなってしまいました。

内臓好きの姉、前菜にトリッパのサラダ。




一皿を二人でシェアして、ちょうどいい量でした。
日本人のくせにいきなりトリッパ、ハウス・ワインを、「半リットル?」といわれたのに、「いや、1リットルお願いします」、というところで、こいつらやるな、って言うか大丈夫か?という感じをお店の人に与えたようですが、期待に沿うように、メインもどーんと頼みました。
わたしが、鶏肉のフライ、要はイタリア風フライド・チキン、姉がスペア・リブ。ついでにミックス・サラダ一皿。





これ、量が半端じゃなくて、お皿も大きいし、お肉もたっぷり。ランチでしたし、ちまちまパスタだけで手早く済ませている他の観光客の人たちみんな、びっくりするくらいのボリューム感。
わたしも「うへぇ」と思ったんですが、食べてみたら、軽く揚がっていて、とても食べやすいフライで、ほぼ完食でした!まさに家庭料理のおいしさ。
とはいえ、余りのボリュームに、食べ終わるのに時間がかかってしまったので、姉には、この後行く予定にしていたミケランジェロ広場は、ごめんなさいということになり、店内にあったフィレンツェ町並みの絶景の絵で、我慢してもらうことになりました。

それにしてもこの店、お皿もお値段も家庭的で、本当にお勧め。サンタ・クローチェ方面に行かれる方は是非お試しください。
こうやって、いつ行っても同じ店に出会える、というのはとっても嬉しいことです。結局よいお客さんをつかんでいるよい店が残るって言うことなんですけれども、それは世界のどこでもそうだと思うんですけれど、食道楽の土地には、そういう店が多いってことなんでしょうね。

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  1. 2013/09/14(土) 06:24:50|
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オウムとトリッパ?

イタリア王道観光旅行15
みんなの大好きな、ご飯シリーズその1。
いよいよローマのリベンジ、トスカーナのご飯です。
まずはシエナの昼ごはん。




前菜盛り合わせ。トスカーナの前菜の典型で、ブルスケッタとハム類。見た目も超素朴、味も素朴ですけれど、これがおいしいんですよね。生ハムは、スペインのハモン・セラーノのような厚切りでした。パルマの生ハムは絶対に超薄切りで、そのとろける舌触りがおいしいんですけれど、こういう、いかにもハムっていう味を前面に出す厚切りも、また味わい深い~!

そして、シエナで絶対に食べようと思っていたピチ。




ピチは、手打ちの太麺で、シエナ特産です。手前がトマトで奥がカチョカヴァッロ(熟成チーズ)のソース。住んでいた当時、このレストラン、ピチがおいしいっていうんで結構有名だったと記憶しているのですが、残念ながら、いまひとつでした。もっと腰がほしかった。

お店は、カンポ広場にあるプッブリコ宮の裏、市場の場所です。
Antica Trattoria Papei
Piazza Mercato 6, Siena

ウェイターさんの一人が、アメデオ君という若者で、片言の日本語を話します。




奥さんが日本人なんだそうです。レストランは超満員だったのですが、日本人客にはシンパシーを感じるのか、リピーターになってほしいからか、とってもよくケアしてくれました。

シエナでイタリア語を学んでいるとき、かなり最初の頃に覚えた言葉のひとつに「パッパガッロ」があります。オウムという意味なんですけれど、いっつも同じようなことを言ってはなんぱする男性のことをさす言葉です。シエナは大学町でもあるので、パッパガッロだらけだした。あとくされのないなんぱがほとんどですから、それはそれで面白かったですが。
アメデオ君と話していて、そういうパッパガッロを懐かしく思い出してしまいました。
パッパガッロの成果か(なんて言っちゃ悪いかもしれませんが)、彼は日本人妻をゲットして、お子さんもいて、幸せそうでしたけれど、なんとなく習慣的にパッパガッロしちゃう感じかも。
当時は、日本語をしゃべるパッパガッロなんて皆無だったけれど、今はアニメや漫画にはまるイタリア人も多いので、日本語でなんぱする人もいるんだろうな~、というところに時代を感じました。

大して食べないのに、食後酒をばんばん持ってきたのには驚き。まずヴィンサントとお供の固いクッキー。そしてリモンチェッロ。




好きなだけ飲んでよ~、と瓶ごと置いていくので、つい何杯も飲んじゃったです。サービスと言っときながら、これ、お会計でつけるんでしょ~?と言ったら、そんなことしませんよ~、と、本当にサービスでした。これじゃ次も機会があったら行こうと思っちゃいますよね。えらいウェイターさんだ~。でもピチ、もっとおいしくないとな。

今度はルッカのランチ。




Buca di San Antonio
Via della Cervia 1/3, Lucca

サン・ミケーレからちょっと裏に入った場所で、前回散々町を歩き倒したわたしには、簡単にたどり着けました。銅のなべ釜が天井から吊り下げられているとってもお洒落な内装で、テーブル・セッティングもちょっとした高級感が漂う、かなり由緒正しいお店のようですが、ウェイターさんたちもシェフもとっても気さくで、お値段もお財布にやさしいのです。




ルッカ地元の赤ワインは、「きつつき」という名前の一品。とっても飲みやすいおいしい赤でした。
たくさんは食べられないので、セコンドだけ。
姉はトリッパの煮込み。わたしは肉のきのこソース。





さすが飲兵衛の姉は、内臓系が大好きなそうで、トリッパを見つけて大喜び。このあたりでは、よく食べるそうです。わたしは、ほとんど食わず嫌いで、めったに食べませんが、ちょっといただいたら、とても上品で洗練された一皿で、言われなければトリッパとは気付きません。お肉もおいしかったし、ボリュームもたっぷり。
最後に、デザートを一皿だけ。




味は洗練されていますけれど、イタリア風にどっさり。一人じゃとても食べきれない量でした。こういう田舎っぽい感じ、大好きです。お値段も合わせて、ここは自信を持ってお勧めできるお店だと思います。

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  1. 2013/09/12(木) 05:43:01|
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ルッカのお風呂屋さん

イタリア王道観光旅行14
ルッカ続きです。

この町でわたしが好きなポイントは、広場がたくさんあること。イタリアの町は、城壁で囲まれていて、その内部は建物ばかりで緑が少なかったりするんですが、その代わりに要所要所に広場があって、バール(カフェ)はもちろんのこと、ベンチがあったり階段に座ったりして、くつろげる仕組みになっています。
そして、一見、緑が少ないけれど、実は大きな建物は、緑滴る中庭を隠し持っていたりもするんですよね。

たくさんあるルッカの広場の中で、最も有名で観光地にもなっているのが、この円形の広場です。




写真で円形感を出すのは、とっても難しいですね。見事に、まあるくぐるりと建物に囲まれた広場なんですよ。多くの建物は、地上階はお店屋さんが多いですが、上階はアパートと思われ増す。高さがまちまちだったり、窓の様子や窓辺のお花や、どのファサードにも味わいがあります。

これ、ローマの円形劇場跡が、そのまま広場に流用されたものなんですね。名称も、アンフィテアトロ広場。地方の町村には時々見られますが、こういう町並みの再利用って面白いです。ローマの名残は遺跡の中にしか見られない、つまり町としては終わってしまったケースが多いわけですから、こうしてローマ時代から、いろいろな時代を経て、今も現役で町として繁栄している例というのは、すごい歴史の集積を抱えているわけで、そういう集積の真ん中に立つと、何か感じるものがあります。
すっかりのびのび落ち着いちゃっているこの子の下にも、歴史どっさりなんですよねぇ。




広場で、とても楽しいお店に遭遇しました。
ウィンドウは、正直ダサかったのですが、子供向けの商品が並んでいて、何かお土産になりそうな小物がありそうな雰囲気もあったので入ってみたら。




絵付けがすごくかわいらしいシンプルな陶器が並んでいたのです。
パステル・カラーで、どの絵もヘタウマといったらよいのか、とにかくわたし好みだったんです。売る気もなさそうなオバサンが、「陶器だったら上にもあるからよかったら見たら」と勧めてくれたので見たところ、ああああ!あれもこれもほしい!状態で、困ってしまいました。
かわいい上に、お値段もとってもお安いんです。

迷いに迷った挙句、わたしが選んだのはこちら。




かわいいでしょ~!
エスプレッソのカップ&ソーサー、直径5センチほどの小さな小鉢、佃煮なんか入れるのによさそうな蓋付き小鉢、お惣菜入れによさそうな小鉢。お土産用と思いつつ小物を選びましたが、実は全部自分にほしいくらい。車の旅だったら、大物も含めて、どっさり買ったと思います。
オバサンとちょっとお話したんですが、実はここ、障がい者の方々が作っている商品を売る、非営利組織団体の主催するお店だったんです。陶器の絵付けも、主に知的障がい者の方々の作品ということでした。誰もが自分の好きなモチーフや色を持っていて、たとえばこの子はいつも青い猫を入れるのよ、とか、お菓子の絵が大好きなのよ、とか。
包む袋にも、それぞれサインペンで直筆の絵が描かれているという、贅沢なものでした。
ルッカを訪ねられ、ちょっとしたお土産を探すなら、是非立ち寄ってみてください。

Cose e Persone - Social Cooperative r.l.
Piazza Anfiteatro 25, Lucca
www.coseepersone.org

お土産もゲットして、既に大満足のルッカ。




丸い広場を後にして、町の散策に戻ります。

天辺に樹木が植わっている塔を目指します。その途中の道沿いに、ふと、気になる建物がありました。




次々と、びっくりするくらいひきもきらずにご老人が入っていくので、目に留まったのです。今は老人向けのソーシャル・サービス・センターみたいなものになっているようだったんですが、ちょっと古めでおしゃれな建物の正面には、BAGNI COMUNALIって記されていたんです。公衆トイレってこともないだろうし、公衆浴場?
このあたりって、あちこち温泉が湧いていたりする地域で、かつてはそういう施設だったと思われるんですけれど、でも、そういう建物、他で見たことがありません。
窓の格子なんかも妙にお洒落で、町中のリゾートみたいな時代があったんでしょうかねぇ。ちょっと中をのぞいてみたかったです。

そしてその先に、グイジーニの塔。




観光客の皆さんがこぞって撮影しているのが、ちょっと面白くて、後ろからパチリ。
細い小路の先の風景って、つい撮影したくなりますよね。特にルッカのような中世の町並みが続く町は、いい写真が取れそうな気がして。実際はなかなか、なんですけれどね。
結構こんもりしています。




登っている人もいますけれど、ここは下からで十分でしょう(わたし的には)。わたしが気に入ったのは、根元にある建物の下部。




ベンチみたいになっていて、実際多くの観光客がくつろいでいました。すべすべの石が、時代を感じさせて、とても好ましくて。これって、もともとベンチとして作られているんですかね?でも、この建物はもともと名士の住まいで、実際に名士が住まわれている頃、町人が座ったりって考えにいです。でも、建物がこういう付属物つけているのって結構あるような気がします。何のためだったんだろう?それとも後付?

そろそろ時間切れ。ちょうどよさそうな列車があるので、急ぎ足で駅に向かいました。途中、廃業してそうな教会ファサードを通り過ぎたら、あらら、また中世ものが。




教会の名前も書きとめませんでしたが、いかにもルッカ風の彫り物。やっぱり中世に呼ばれちゃうなぁ、と思いながら、フィレンツェに戻りました。

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  1. 2013/09/10(火) 05:27:35|
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住んでみたい町、ルッカ

イタリア王道観光旅行13

ルッカ。数年前に、電車とバスで旅したトスカーナ中世の旅、拠点をルッカに置きました。町としての完成度が高く、観光地としても素晴らしいものをたくさん持っているのですが、意外と地味っていうか、「ピサの斜塔」ほどインパクトのあるものを持っていないからというか、トスカーナを回る際に、「とにかくルッカには行きたい!」というほどの需要を引き出すほど強い何かはなくて、だからこそ、よい町なのになんとなく常に落ち着いた雰囲気を保っている、とでもいいますか。そのよさは説明が難しいけれど、そういう町ですねぇ、ここは。




鉄道駅は近いし、バスも多数走っているし、車以外のアクセスも超便利。そういう意味で、ピサと組み合わせるには最適なので、自分の好みで、今回もピサのあとに、主においしいランチをいただくためにやってきた次第。

ということで、今回の旅はたいていどこでもそうでしたが、町にたどり着いて最初にするのがレストラン直行。このルッカでも、ほぼそういう状態でした。幸いここは、数年前の旅で、土地勘がありますし、今回行きたいと思うレストランは、来る列車の中でめぼしをつけていたので、無駄なく直行です。

といいながら、通りすがりの観光地はしっかりチェック。




カテドラル。
ここで最も好きなのは、本堂手前にあるナルテックスの柱に彫られた迷路のレリーフ。先年からある古いものは、自分の生きているくらいの年月では絶対に変わることがないですから、いつ行っても再会できるのが楽しいですね。迷路も、ファサード中心の多くの愛らしいレリーフも、数年前の訪問時と変わらず、迎えてくださって、嬉しい気持ちでした。
カテドラル前の広場の広々感も好きな風景。
以前来たときは完全に修行旅でしたから、少ない時間により多くのものを見る、という急ぎ足で、こういうゆったりとした風景も、ああ、ちょっと腰掛けてゆっくりしたいな、と思いながら足早に撮影を繰り返して、ゆったりした視点が欠けておりました。
ただ、今回ゆったりできたかというと、実はランチを目指して、若干急ぎ足で、およそ本来望んでいるゆったりペーストは程遠いものでした…。だめですねぇ。

本来、ルッカのような町は、さりげない本来のたたずまいを楽しむことにその本来のよさが見えると思うんですけどね。




たとえば、こういう住宅地の百日紅満開図。

カテドラル、急ぎ足ながら入場して、足元のモザイクに注目。こういうディテールについては、多くをすぐに忘れちゃうんですが、床モザイク、きれいだったんですね。




時代はいろいろ混ざっていると思いますが、ファサードの象嵌みたいな装飾とおそろいの上部の床モザイクなんかは、おそらく13世紀頃のものじゃないんでしょうか。再建はどうかは別として。
シエナで、同じような時代のモザイクを隠されちゃった恨み(?)で、なんとなく床モザイクが気になっていたかもしれません。床モザイクは強いので、多少踏んづけたくらいじゃびくともしないんですよねぇ、本来。だから隠すなんてもってのほかだし、ベネチアで最近ある撮影禁止なんて、まったく笑止千万と思うんですけれど。ルッカはそんなのまったく関係なく、踏んづけまくり、撮影しまくり。好ましいですねぇ。

サン・ミケーレ。




やっぱりきれい。数年前の旅では、この近所のホテルに泊まって、とにかくこのファサードの前を嫌になるくらい通ったので、妙にシンパシーを感じてしまいます。
ここも、教会はともかく扉のアーキトレーブの桃太郎彫刻がかわいくて大好きな場所。




ミゼリコルディアの救急車が複数停まっています。ミゼリコルディアって、そもそもトスカーナ起源の慈善団体なんですね。要は救急病院の元祖みたいな組織。どうやらこの教会、サン・サルバトーレだったかな、本拠地だったようです。

ついつい中世に引きずられちゃいますけれど、ルッカはそういう町なんですよね。今ある繁華街だって、古いものをしっかりと継承。




本体のお店は新しいものになっているのに、昔の看板とか屋号をそのまま残しているような店舗が多数。上のお店も、今はカルピーサという安売りかばんのチェーン店なんですが、古い店舗当時の名称を、それが何やさんだったかもわかりませんが、そのまま残しています。メイン・ストリートはこんな店頭ばかり。

そういえば、前回はそういうお店のひとつで、大きな時計やらなにやら、買って帰った記憶が。なんか、すべてたたずまいがよくて、わたし好みなんですよねぇ。

続きます。

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  1. 2013/09/09(月) 06:31:36|
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奇跡のなかの奇跡

イタリア王道観光旅行12

王道って言うからには、やはりトスカーナではここでしょう、ピサ!




奇跡の広場。奇跡、って本当に大仰な言葉ですが、それが大仰じゃないかも、と思わせる凄みが、この広場には確かにあります。本来斜塔のその傾きのすごさが奇跡的って言うのがあるんでしょうけれど、たとえ鐘楼が傾いていなくても、やっぱり奇跡的な美しさがある広場ではあります。とはいえ、斜塔があったからこそ、千年から生き延びたのも確かと思いますので、斜塔の存在意義というのは、半端なくあるんですよねぇ。




でも、その千年からの歴史を感じている方が、実際に訪れている方のどれほどの人に認識されているでしょうか。いや、現実の斜塔を面白がるだけでも問題ないですけれど、ほんのちょっと、ここが、中世初期から何かある場所だったからこそ、「奇跡の広場」と呼ばれている事実に感じてほしいな、と思ったりはします。

それにしても、すごい人。いつ来てもすごい人の波ですが、わたしが好きな青銅の扉の前には、やっぱり誰もいません。現在、奇跡の広場の中で、奇跡があるとすれば、そういうことかも。




ありがたいですけれど、同時にちょっと寂しさを感じます。こんなにかわいらしくて素晴らしい美術品なのにね。ありがたいついでに、じっくりと撮影。




ロマネスクのおと、多分ピサ編も、またリニューアルの必要ありです。

そういえば、前回ピサを訪ねたときは、カテドラルに入りませんでした。システムがよくわからなくて、入ろうとしたらチケット・オフィスに行かないといけない云々で、もうどうでもよくなって。
今でもカテドラルの入場は無料なんですが、チケット・オフィスで入場券をもらわないといけないという、わけのわからないシステムになっています。

今回は姉がいたので、とりあえずチケット・オフィスに並んだため、カテドラルに入るチケットは入手。入場するのは、そういうシステムのない時代以来ですから、十数年ぶりということでしょう。

入場の行列に並んでいて、ファサードも、より細かく観察することができました。




柱頭にしても、象嵌細工にしても、やっぱり面白いんです。ピサ様式は、2009年に集中して訪ねたときに実に面白いと思いましたが、その際に注目したのはカテドラル以外のピサの教会で、逆にカテドラルの鑑賞が甘かったと思うのです。今回ファサード装飾をじっくりと見て、ああ、ピサ様式だな、楽しいな、と改めて思った次第。

内部も、時代が下ったりとかいろいろあるにしろ、ベースに中世がありますから、それなりに興味深く、やはり訪ねる価値は種々あります。




ピサ様式を中心として、この地域はロマネスクのバリエーションが多く、特に派手やかなスタイルが多いので、ロマネスクの中の異端的な感じで無視されたりもするのですが、個人的には、無視するなんてとんでもなくて、やっぱりロマネスクの時代を反映した、とても面白いスタイルと思っています。当時から考えると、かなりスタイリッシュで、時代の先端をいっていたかもしれません。それでも、伝統的な付け柱の多様だったり、建物に結びついた彫り物彫刻だったりというロマネスクの基本を崩していないのが、魅力というのか。




余りの観光客で、斜塔に登ることはかないませんでしたが(わたしがうろうろしていた時代は、行けば登れたんですよ、今では信じがたいことですが)、カテドラルに数十年ぶりに入場できたし、個人的には大満足。
では、ランチのために、さっさと次の目的地に、ということで、最寄の鉄道駅に向かいましたが、これがとんでもなくて。

ピサには、イタリア国鉄の幹線になるピサ中央駅と、もうひとつ、この奇跡の広場から徒歩10分足らずというマイナーな駅があります。ロッソーネというんだったか。それがもう超マイナーなんですね。




ルッカに向かうべく、この駅に行ったのですが、まず、線路と切符自動販売機が、果てしなく遠い。チケットを買うために行ったり来たり、駅構内で1キロ歩く覚悟が必要って感じです。階段の位置、または自動販売機の場所を少しずらすだけで、こんな面倒なことにはならないのに、考えうる限り最悪の位置関係で、駅舎とホームと切符の自販機が存在しているホームです。

それでもありがたいことに、列車はほぼ定刻に到着。




2両編成でしたか、車体が怖くなるくらいに傾いている上に、超古いローカル列車で、大丈夫か?と心配になるようなスタイタスです。苦労した買ったチケットをチェックしに来る車掌さんもおらず…(と思って無賃乗車したら、そういうときに限って必ずチェックが入るんですよね)。幸いにも予定通り、ルッカにたどり着きましたが、なんだか…。

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  1. 2013/09/08(日) 06:45:56|
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なつかしの、パリオのメロディー

イタリア王道観光旅行11

トスカーナに移って、拠点はフィレンツェですが、フィレンツェ到着と同時に、シエナ半日観光に出かけました。駅前からシエナを結ぶ懐かしいSITAの青いバス。




実はこのバス、途中で停まってしまったんです。
通りすがりの車が何か合図をしてくれて、そうしたら運転手さんが路肩にバスを停めて、後方のタイヤを点検に行きました。その後、運転席に戻り道具箱のようなものを抱えてまた戻り、の繰り返しで、何が起こったのかもわからないし、いったいどうなっちゃうんだろう、と不安になりましたが、10分くらいで何とか再発進。ほっとしました。
なんせ、シエナでランチをいただきたいという目論見で、取るものもとりあえずフィレンツェを後にしたのですが、定時についてもレストランに向かう道のりを考えると、ぎりぎりの時間でしたので、どきどきです。
幸い、5分くらいの遅れで、シエナ到着!




なつかしのモンテ・デイ・パスキ銀行本店。確かこの先にナンニーニのパスティッチェリアがあって、当時よく食べたジェラートは千リラ(0.50ユーロ!)だったよなぁ、と思ったのもつかの間、新たな問題勃発!
道がわからない…!

かつては、町の隅々まで、裏道や坂道や抜け道みたいのも、自分の掌のように知っていわけですが、そりゃこれだけ時間がたっちゃ、忘れますわ…。お店だってずいぶん変わっているし。
ひとつ行きたいレストランがあったのですが、住んでいたときから得意とする地域でもなかったこともあり、地図を見てもまったくお手上げ。その上、パリオを二日後に控えている町は、半端じゃない数の人々が往来しています。この時期は、観光客もすごいけれど、里帰り人口も含めてセネーゼ(シエナ人)の数も大いに膨らんでいますから、どの道も満遍なく人に埋もれていて、人並みをかき分けて歩かなければならなくて、ますますわけがわからなくなります。

そんな中、いきなり馬を先頭にパリオの歌を歌いながら練り歩くコントラーダに遭遇。狼さんチーム(ルーポ)だったと思います。




らーらーらーらららーらーらー…、懐かしいメロディー、ぞくぞくしました。

昔々、ミラノに来る前のさらに昔、シエナに一年ちょっと滞在しました。表向きは語学留学というやつでしたが、実際に学校に通ったのは、半年にも満たない期間で、後はアルバイトをしたりして、ぶらぶらと遊んでおりました。

シエナに住みだしたのは秋でしたから、パリオの盛り上がりは終わっていましたけれど、結局翌年の同じ時期まで過ごしたために、次のパリオに向けて徐々に町が盛り上がって、パリオの準備やお祭りや、各種の事前行事のほとんどを見ることができました。超早朝に起きて、馬の試走まで見に行った記憶があります。
当時は住んでいる外人の数が今よりはかなり少なかったこともあり、いろんな行事にたまたま遭遇して飛び入り、という牧歌的なこともありました。パリオが近づくと、参加するコントラーダは、地域の路上にテーブルを並べてにわか宴会場(下の写真は、今回遭遇した宴会の残骸)を作って騒ぐのですが、そういうのにも参加させてもらったことがありました。




シエナの人たちは、基本的にとっても閉鎖的ですが、それでもそういうところあったんですねぇ、今思えば。
シエナを去ってからもかなり長い間、パリオのある日は、必ず早く帰宅してテレビ観戦したものです(パリオは、必ずテレビ放映されるのです)が、すっかり忘れるようになったのは、いつ頃からか。きっとそうやって、町の地図も何も、忘却していったんですね。

パリオのことは、きっと多くの人が他でも書いていると思うので、ここでは触れませんが、裸馬の競馬、というだけでは絶対にわからない面白い祭りです。もしこれからシエナに滞在される方がいらしたら、是非現地で勉強してみてほしいと思います。中世から連綿と続く文化歴史的な面白さ、同時に余りにイタリア的なそのからくり、それを知らないことには、楽しめない競馬でもあるのです。

話を戻しますと、ランチを食いっぱぐれるのは嫌だったんで、結局、あそこなら絶対に間違えずにたどり着ける、というレストランに行き、無事、おいしくて楽しいランチにありつくことができました。レストラン編は、別記事にまとめることとします。

なつかしのカンポ広場。




住んでいる頃、ここを通らなかった日はないです。寂しくなると誰かいないか出かけたりすると、たいてい知った顔に出会って、おしゃべりして、そういう場所でした。
今回びっくりしたのは、ドゥオモに入るのが有料化していたこと。




イタリアはカトリック総本山があるせいもあるのか、教会で入場料を取る場所が、フランスやスペインに比べたら圧倒的に少ないんです、今でも。宝物館やクリプタだけは有料でも、本堂はたいてい無料。
そんな中、まさかシエナのドゥオモが有料とは、本当にびっくりしました。
本来、好みのスタイルではないですが、住んでいる頃は、クリスマスやらお正月やらイースターなどの行事がある度にきていたし、パリオの際、馬を連れ込んでのミサだってもちろん参加したし、当時の生活に結構密着した思い出の場所でもあるので、お金を払って入る、っていうのが、まったくぴんと来ません。
観光と思って、本堂だけ入りましたが、なんと、せっかくの床モザイクが、人が多すぎるからということで全部覆われていたのには呆然としました。有料なのに隠すなんてひどすぎる。




どこに行っても、いいときにあちこち行っておいてよかったな、と思うことが多いです。シエナも、わたしのあとに滞在した人の話では、ずいぶんといろいろ変わってしまったようで、最後のいい時代だったかもしれないと思ったり。やっぱり、この20年くらいで、観光地化は恐ろしく進んでいますね。




離れてすぐは、何を見てもいろんな思い出がよみがえって、何とはなしに泣きたい気持ちになったものですが、これだけ遠くなってしまって、道すらわからなくなると、過去から完全に離れたクールな気持ちでした。心の片隅に、ちょっとだけ何か引っかかっているような。

かつて長く住んでいたアパートを見に行ったら、その前に最近流行の北欧の100円ショップがオープンしていて、アパート見学もそこそこに、ショップに突撃。クールっていうか、ミラノにもあるのにさ~(まだ行ってないだけ)。われながらあきれました。

結局時間切れで、プッブリコ宮にも入れず、シモーネ・マルティニは、ウフィッツィ美術館を待つことにして、今度は夕飯の時間が気になって、早めにフィレンツェ行きのバスに乗り込んだ次第。食事に大いに左右されていますが、おいしいものをきっちり食べるのも、旅の醍醐味ですからね~。

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  1. 2013/09/05(木) 05:26:13|
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最後は中世で。

イタリア王道観光旅行10

博物館のあとは、ひたすら王道旅にいそしみました。
バチカン、サン・ピエトロ寺院。




やっぱり壮大。行列も壮大でびっくり。今は、飛行機に乗るときのように、荷物も身体もチェックされちゃうんですね。
過去に唯一行列して入ったことがあり、そのときは、何でこんなに厳しいんだろう、と不思議に思いながら入場したところ、なんとジョバンニ・パオロ御大がミサを執り行っていたんですよねぇ。つまり、そういう時以外は、サン・ピエトロに入るのに、行列なんてしたことがなかったので、すごくびっくりしてしまいました。とはいえ、これくらいの行列でジョバンニ・パオロのミサに与れたってとってもラッキーだったかも、とミーハーなわたしはちょっと感動しちゃいました。
今回の行列は炎天下で、そのときよりずっと時間がかかったし、中に入ってもフランチェスコさんがいるわけでもないし。

ミケのピエタ。




これを見ると、初めてヨーロッパに来た旅をかすかに思い出します。今を去ること、…、いったい何年前になるんだか、初々しいわたくしだった…。

ここに来たら、やっぱりこれ。




ミケのデザインしたという衣装に身を包むイケメン精鋭のスイス衛兵。
ルネサンスの時代から今に至るまで、このハデハデ衣装。「見せ衛兵」ですから、やはり美しさが選出の基準なんでしょうねぇ。美しい人たちだから、きっと見られることには慣れているんでしょうけれども、それにしてものべつ幕なしシャッターを切られ続ける職業というのは、その割りに芸能人っていうわけでもないわけだし、大変なことです。もしかしたら勘違いして、または当初からそのつもりで、そういう道に行く人もいるのかもしれない、なんて思ったりもしますが。
とは言いながら、交代の後は、すっごく地味なしょぼい扉から引き上げていく姿が、なんとなく華やかさの中の地道な生活ぶりを見せ付けるようで、ふーん、と思いました。

さて、日中最も暑い時間ですが、バチカンからぶらぶらと旧市街を散策しつつ、ローマの心臓部へ。




コロナート通り。ここは、久しぶりの再会、という道でした。そういえば昔、この界隈の骨董品店で、ガラス細工のはまった素敵に古いアンティークの指輪を買ってもらったことがあります。探せば、どっかにあるんだろうなぁ。買ってくれた人は、どこで何をしているのか、今も元気でいるのか。
簡単に変わらない町並みって、思い出を喚起する空気を持っていますね。

ナヴォーナ広場。




そういえば、ベルニーニに興味を持って、いろんな本を読んだことがあります。わたしも、ルネサンスやバロック時代、人並みにはアクセスしているんですよ。
そして、パンテオン。




ここはいつだって多くの人がおりますが、それにしても今回の混みようは半端なかった!
一度、大雨の降っている日に入ってみたいと思いますが、そういえば、パンテオンに来るときは、不思議なくらいいつも快晴で、丸天井の真ん中からは吸い込まれそうな青空しか見えたことがないです。
ラファエロの墓所にご挨拶。

で、そろそろ、と思っていませんか。
あたりです。やっぱり見つけちゃうんですよねぇ。




いきなり頭上に中世の鐘楼が!
びっくりしました。ここは前回の中世をめぐる旅でも、まったくノーチェックだったです。
サン・シルベストロ・イン・カピーテ教会Chiesa di San Silvestro in Capite。
761年に法皇パオロ1世が創建した教会。12世紀に、洗礼者ヨハネの頭部がレリックとして奉られて以来、イン・カピーテ(おそらくカピーテがラテン語で頭という意味)という部分が付け足されたようです。それにしても洗礼者ヨハネの頭部って、サロメが切ったやつ?絶対ガセですよねぇ。
ファサードは完全なバロック、内部も特に見るものはなかったのですが、小さな中庭の壁中に、古い碑文や彫刻の名残がたくさん飾られていて、雰囲気のあるスペースになっていました。




やっぱり〆は中世になってしまいました。
次回からトスカーナに移ります。

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  1. 2013/09/04(水) 05:14:41|
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金と力の見える化、バチカン

イタリア王道観光旅行9
バチカン博物館、続きです。
システィーナをとってもじっくりゆっくり見て、かなり疲れ果てて、もういいよね状態だけれども、せっかくだから順路は全部見たい!という貧乏根性で、なかなか出口にたどり着けません。
そうこうするうちに、近現代美術のコーナーへ。




おお!マティスがいたんですね。
これは、南仏にあるマティスの教会のモチーフです。懐かしい。あそこは本当に気持ちのよい空間でした。まさかバチカンにこういうコーナーがあったとは、まったく記憶になかったです。
実際、近代ものも、小品ばかりですが、かなりの数持っているんです。
この人、イタリアの作家さん。




結構好きで、たまに目にすると、あ、いいなぁ、この人の絵は、家にあっても邪魔にならなくて、ちょっとほしいなぁ、と思うんですが、名前を覚えていない人…。
ちょっと前にフォロ・ロマーノで見たばかりのパラディーノさんの作品もありました。




角の生えた人。いいなぁ、このパラディーノ。ひとつほしい~。

そうかと思うと、いきなりロンゴバルド・ビスケット文様に遭遇。




これなんて、ほぼ出口に近い場所に、石彫り系のスペースがあって、うんざりするくらいの数の碑文、石棺、彫刻がずらずらと並べられているんですねぇ。これは見なければ、と修行モードが入り、何とか一周、一通り見ましたけれど、真剣に辛くなるくらいの数でした。それも出口近くで、相当へたっているところですからねぇ。それでも見る!

ここで姉がたち止り、ガイドブックを見だしました。「なんか、有名な絵画を見てない気がする…。」
ガイドブックの写真を見ると、確かにまだ見ていない有名な絵が何点もあります。
おかしいね、と館内の表示を見直して、また逆流。
絵画館、発見!




おお~!頭そりそりのイケメン発見!(リッピですよん。)




そして、思いっきり好みのイケメン発見!(ラファエロですよん。)こんなかっけー洗礼者ヨハネはめったに見られませんよ。絵の主役はヨハネが右手でさしている上部の聖母子なんですけどね、見ちゃいない。

激しく反射しちゃってますが、これも有名なサン・ジロラモさん。地獄の死者みたいで気持ち悪い絵ですが、レオナルドですよん。




そして、こちらはカラヴァッジョですよねぇ。




カラヴァッジョの絵は、今でも教会に置かれているケースも多いのですが、教会だとたいてい暗くて、絵がもともと暗いからほとんど見えなかったりして、イライラします。かといって、美術館で適度な照明で見るように描かれた絵ではないかもね。

バチカンの財産って、本当にすごい。
考えたら、教会の権力と財力を「見える化」したのが、この博物館ですね。バチカンを舞台にした犯罪(マネーロンダリングとか怪しい投資とか)って定期的に表面化しますが、そりゃそういう事件も発生しますわな。財務管理がどうなっているのか知りませんが、宗教施設ってどこの国だって非課税とか優遇措置がある現実で、宗教施設イコール国なんだから、やりたい放題みたいなところありますよねぇ。昔から、清貧を叫ぶ坊さんが出てきては異端とされてきたのが、カトリックの歴史でもありますもんね。そう考えると恐ろしいどろどろの結果が、この博物館を形作っているともいえますねぇ。
いや、宗教のおかげで美術は発展してきていますから、決してそれを否定するものではありませんけれども。わたしの愛するロマネスクは、キリスト教なかりせばありえなかったものですから。

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  1. 2013/09/03(火) 04:53:38|
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トスカーナ第三弾、やっとできました。

ロマネスクのおと、更新のお知らせ

いやはや、前回更新(本年1月)から、なんと半年以上もたっていました。われながらびっくり、かつ深く反省。
実は、もうずいぶん前から、資料はこんなもんだし、後はまとめるだけだな、という状態だったのですが、この「まとめる」、という作業が実は結構厄介で。始めると、またいろいろ気になったりして、改めて本を見たり辞書を見たり、遅々として進まない。特に暑い時期は、パソコンに長時間向かうのは苦痛だったり…。言い訳はたくさんありますが、何とか。

今回は、サンタンティモなど有名どころを回っていますが、有名な割には、まとまった資料がなくて苦労したんです(これまた言い訳ですが、現地で関連本を購入できないと、資料が見つからないケースが本当に多いのです)。
それにしても、旅から3年すぎて、自分の記憶があいまいになっていて、写真をみても、ディテールなどどこだったかわからなかったり、資料に書いていあるものをちゃんと見たかどうかも覚えてなかったり、危機感を覚えましたので、たまっている分、ちゃっちゃかまとめて行きたいと切実に思いました。とはいえ、最近ブログですらどんどん同時性がなくなっている有様ですから、「そうは言っても」、状態なんですけれど。
とりあえず、トスカーナの旅はもうひとつ作りますが、それについては、既に着々と資料を集めて、写真のサイズを整えるなどの地味な作業は開始しているので、年内には、複数の更新をしたい、と思っております。その後、シリチアに進みつつ、北部マイナー・ロマネスクも、徐々にまとめたいと切実な思いだけはあるんですけれどね~。

では、トスカーナ・ロマネスク最新版、以下でどうぞ。感想、コメント、楽しみにしていますので、よろしくお願いします。
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  1. 2013/09/02(月) 04:34:52|
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黙れ、黙れ~!のシスティーナ

イタリア王道観光旅行8
バチカン博物館、訪ねるのは何年振りとなることでしょうか。
最近は大変混雑するということを聞いていましたので、もちろん事前に予約しておりました。予約の手数料が取られるとはいえ、炎天下、延々と並ぶのはごめんこうむりたいので、必要経費です。
予約は、午前10時でしたけれども、若干早め、9時半ごろ近づいたところで、なんと既にこれです。




いやはや、かなりびっくりです。こういうメジャーな観光地については、せいぜいが20年前の記憶がほとんどでして、その頃は混んでいるといっても高が知れていたもので、こういう光景というのは、本当になかったんで、純粋にびっくりいたしますよ。




先頭はかなり先。われわれは予約があるので先頭に向かっていき、予約者の行列に並んだところ、別に時間に関係なく、どんどん入れました。予約なしの人々の列は、まったく進まず状態だったので、いやはや、わたしだったら、到着時にこの行列だったら即決あきらめる、と思うのですけれど、皆さん忍耐強い。感心しました。

入場して、またびっくり。とにかく全然違うんですから。20年くらいご無沙汰なので、変わっているのは当然としても、それにしてもびっくりしちゃいますよぉ。そして、どこも人、人、人、で、人に酔ってしまう状態なのも、参りました。
人ごみを掻き分けてたどり着いた広場。




やっと人心地付いた感じ。広場の中央に輝くのは、大好きなポモドーロさんの現代アート。これは以前もあった気がします。でも以前は、ここにたどり着くまでに人に疲れちゃうような状況がなかったので、このアートに癒しを求めることもなかった分、多くを感じなかったのも事実。今回初めて、この球がじっくりとぐるぐる回ることを知りました!そこにあるだけでもかっこいいのに、回った日には、本当にかっこいい!ポモドーロ、すごいぞ!癒されました。しょっぱなから、癒し必要だったし。




そういう仕掛けつきの現代アートって、色物系でもあったりするけれど、インパクトはやっぱりすごいんですよね。これも、どういうタイミングで動くのかよくわからないんですけれど、あるだけでも存在感があって、それなりにみな興味を持つんだけど、動き出した日には、おおお~、という感じで、おそらくバチカン博物館を見学しに来た人々の多くは、現代美術とは違う世界に生きていると思うんですが、みんな、おおおお~、と同じように思って、同じようにインパクトを受けて。うち何人か、すごく少ない何人か、と思うけれども、現代アートに興味を持ったりするのかと思うと、こういうパブリック・アートの意味を感じたり。
ほんと、おおお~、ですよ、これに関しては。

感心ついでに、まさに王道、バチカン博物館見学開始。




人々がたかっているし、のぞいてみると、確かに教科書的にも有名よねぇ、という作品の数々。実際素晴らしいのですけれど、意外と、こういう方に目が向いたり。




美しいハス系の葉がしげしげと緑滴る泉。こんな建物の池にこういう自然物を美しく飼っているということが、まさにかつての(おそらく今でも)バチカンとか貴族の栄華をしのばせる光景ではないかとか思っちゃうわけです。

とにかく、持っちゃってますから、おしみがない。床モザイクなんかも、普通の通路のモザイクなんかは、普通に平気に今でも歩けちゃうわけですな。




バチカンは、さりげなくたくさん貴重なものを持ってたりするわけで、うかうかして歩いているといきなり、わたし的に気になる中世に関係するものがいたりするのです。たとえばこれ。




コスタンツァの石棺。これは、以前ローマ中世散歩をしたときに訪ねた、コスタンツァの霊廟にもともとあったものですよねぇ。バチカンにいらっしゃったのですね、それも博物館。こういうとき、もしかして中にあったものは、どうなるんでしょう。信心深かったコスタンツァさん、今はどこに眠っていらっしゃるのか。

バチカンは、やっぱりきりがありません。疲れたなぁ、もういい加減にしてほしいよなぁ、と思った頃、やっとラファエロの間。




これは、ミラノのサンタンブロージョ美術館に下絵がありますが、デッサン好きなわたしとしては、実はその下絵の方が好きだったり。本物は、余りに絵の具もべたで、美しく残りすぎな感じがあって、逆に現実味に乏しいって言うか。変な感想ですが。それにしてもラファエロの天才振りって、やはり誰が見ても天才としか形容しようのないのがすごいです。
この後、システィーナ礼拝堂。もちろん撮影禁止で、それも異常にぴりぴりした雰囲気で、疲れました。5分に一回くらい、監視員が、「静かに!ここは宗教施設です!」と叫ぶんですから、疲れますよ。
そこにいる人々の大多数はクリスチャンのはずで、宗教施設の何たるかをわかっているはずなのに、みんな自分だけはオウケイ、みたいな感じで小声でおしゃべりするんですよね。それがざわざわの原因なのに、誰も、自分が原因だとは思ってない。
こっちにすれば、監視員の声がうるさいし、自分だけは免れていると思って小声でおしゃべりする人々の声がたまらずうるさい。黙って見られないものは出て行け、と思うほど。静謐の中に生まれた美術を鑑賞するためには、静謐の中で鑑賞したいと思うので、本来の静けさがほしいんです、わたしなんかは。宗教云々でもなく。でも、本来宗教って、自分を見つめる場でしょうよ。おしゃべり必要ないでしょうよ。ねぇ。ミーハー美術鑑賞趣味のわたしでもそう思うのによ。っていう意味では、現実のクリスチャンって、全然宗教やってないんですよねぇ。

もうちょっとだけ、バチカン、続きます。

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  1. 2013/09/01(日) 05:53:20|
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