仕事が忙しい上に、日本から友人が来ており、あっちこっちと一緒に歩いたりしていたもので、ブログどころじゃない日々が続いておりましたが、やっと一段落しました。
そうこうするうちに、ミラノにも本格的に春がやってきました。
我が家の庭も、そろそろだよね、と思いつつ、帰宅すると慌てて水遣りだけをやる毎日でしたが、今日やっと、じっくりと春の様子を眺めたところ、おお!
ジャスミン。少しずつつぼみが増えてきて、濃いピンクから薄いピンクになるにつれてふくらみが出てきて、もう明日にも咲くかな、と思ってよく見たら、片隅に二輪だけ、開花しておりました。こんな小さくても、ちゃんとジャスミンの香り。つぼみはたくさん付いていますから、これから続々と開花してくれそうです。
つぼみといえば、長年の同居人であるこの子にも、ちょっとだけ付いていました。
地味ですけれど、やはり花が咲けば嬉しいものです。残念ながらつぼみが少ないので、今年は花が終わったら、思い切って剪定してみようかと思っています。葉っぱばかり伸びてもね。
そしてびっくり、嬉しいのがこちら。
これは本当にびっくりのつぼみです。
この子は、昨年の春に植えた、オランダ土産のマーガレット、種から育っています。ずっと葉っぱばかり出てきて、それがおよそマーガレットらしくなくて、どっちかというとタンポポみたいな感じだったし、冬の間も、妙に暖かかったせいもあるとは言え、枯れることもなく元気に育っていたので、これはきっと、もらった種はだめになって、たまたま同じ場所に飛んできた雑草の種が育っているのではないか、位に思っていました。
でも、このつぼみの感じは、どうやらマーガレットぽい。ほんとかな?とまだ一抹の疑問はあるのですけれど、もう少しで真実が分かります。楽しみ。
この冬は、本当に暖かかったので、この子も、昨年秋から咲き続け、まだ多くのつぼみをつけています。
ミニ・シクラメンだったはずなのに、何年かたつとミニじゃなくなるみたい。それに花色も、シーズン最初の咲き始めはもっと濃いピンクだったのに、すごく薄くなっています。
これが昨年の11月。
それにしても、寒い季節の中、よくもこれほど育ったものだ、と感心します。
おなじみのこの子は、相変わらず、ケアもしないのに、元気に開花。
公園の新緑を背景に、それでもきれいな色です。お隣さんのバルコニーの緑も元気。
朝晩はちょいと肌寒かったりしますが、日中は半そでもあり、という陽気で、来週末はもうイースターとなります。
今月のイタリアは連休続きで、遊びの予定がいっぱいですが、ちょうど狭間になってしまったイースターは、久しぶりにのんびりとミラノで過ごす予定。今日は疲れていて、眠気マックス、という感じですが、あと3日がんばれば四連休。のんびりと連休を過ごすのは、実に久しぶりな気がします。
次回からは、忙しい中で回ったフオリサローネや、いよいよミラノに開店した大型イータリーのこと、日本から来た友人と歩いた、普段わたしのやるのとは全然違う旅のことなどを、徒然してみたいと思います。中世はちょっとお休み。
- 2014/04/15(火) 03:32:06|
- 植物、花
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このところ忙しくて、ブログの記事のアップどころか、パソコン接続すらできないでいます。でも、わたしがどんなに忙しくても季節は回り、今年もまた、サローネの時期となりました。
今日も今日とて忙しく、カメラも持っていないしどうしようかな、と思いながら、忙しい合間を縫ってネットを見たりしていたら、やっぱり少しでもいいからのぞきたくなりました。時間もないので、面白そうな場所をピックアップするには、インテルニの無料ガイド(上の写真)を入手して、アーティスト名や会場をチェックするのが最適。
というわけで、確実にインテルニを入手するために、とりあえず、フオリサローネの一大展示会場でもあり、インテルニ社の本拠地ともなっているミラノ大学に寄り道することにしました。
残念ながら写真がないのですが、大学の中庭には、いつもどおりに巨大インスタレーションがたくさん置かれていて、なかなかインパクトがあるし、見学者も多く、大いに、にぎわっていました。ついさっきまでアペリティフが振舞われていた様子があったりして、ちょっと残念、と思いながらも、急ぎ足で見学。
初日に行く意義は、インテルニのオフィスにあるパンフレット類が充実していることかと思います。重いだけでわたしの役には立たないのでいただきませんでしたが、かなり分厚くて写真も豊富な、無料とは思えない電話帳のようなパンフレットも、いくつか置いてありました。ある意味紙の無駄遣い的な…。いやいや、見る人が見ればとても興味深いものなんでしょう。
これまでに比べて、ほぉぉ、と深く感心するものはなかったんですが、やっぱり面白いし、アートと紙一重的なインスタレーションはあります。隈研吾さんの作品が、今回も面白かった。パナソニックも、妙に力が入っていました。
もし開催中に時間が取れたら、撮影のために再訪するかも知れません。
結構よかったのが、YKK APの展示。展示そのもの(通り抜けできるインスタレーション)はたいしたことなかったんですが、世界各国で建物を取った写真の数々が、なんか素敵で。
ちょっとしたポスターの大きさで、紙は薄めなんですが、写真が美しいんです。切り取り方も印象的で。一枚ずつ切り離して、くるくる巻いて持って帰るように輪ゴムまで置いてありました。こういう薄さの紙、封筒に最適なんで、嬉しくなって全種類もらってきてしまいました。
実はこの数年、手紙書きに復活したわたしは、封筒を手作りするんで、この紙、まさにうってつけの重さだったんです。サローネでいろいろパンフレットをいただく際には、結構、封筒にできるかどうか、で、いただくかどうかを計ったりして、どうも、方向性が違うような気もしますが。
近場しか行けないような気がしますが、何か面白いものに出会えるといいな。疲れた身体に鞭打って、明日はブレラ・ディストリクトに足を伸ばしてみようかな、と思っています。報告は後になるかもしれませんが。
- 2014/04/09(水) 05:21:27|
- ミラノ・フオリサローネ
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ルシヨン・ロマネスクその7
次に向かったのは、ル・ブルから、ほんの目と鼻の先、サン・マルタン・ド・フェノラー教会Eglise Saint Martin de Fenollarです。ここは村でもなく、何もないところに教会だけがあるという場所。快適な道をいきなり外れて、信じられないくらい細い道に入るので、かなりどきどきしました。
林道みたいな極細道の果てにたどり着いたのは、こんな場所。どきどきして当然のロケーションでしょ。
午後のオープンは14時半で、ほぼぴったりに到着。それらしい建物に近寄ったものの、まだ開いていません。
これ。どう見ても教会には見えないんですが、入り口に教会の名前とオープン時間が書いてあるので、これのはず。どうやら相当古い時代の、田舎の小さな聖堂が元のようですね。
横に回ると、扉があり、ファサード側に、小さな鐘楼が見えますので、確かに教会。
なんだか土蔵のような建物です。
うろうろしているうちに、オバサンがやってきて、受付の建物が開きました。というわけで、一番乗りです。
いよいよ入場。
おお、これですか。
12世紀のフレスコ画。このくっきりとした色彩に、ピカソやブラックも影響を受けたということです。確かに、背景の水色とか緑が鮮やか。修復はされているにしても、オリジナルの色にはある程度忠実と思います。ということは、かなりよく保存されてきたということですね。ピレネーにもかなり近く、同時に海にも近いロケーションでもあるので、低めの安定した気温、低湿度、ということでしょうか。
とはいっても、やはり多くの場面が剥落してしまっています。場所柄、農家の家畜小屋などに使われた歴史などもありそうです。
わたしが惹かれたのは、ここでもマリアです。美しい水色を背景に、美しく気品があり、気高い姿で、それでいて普通の女性らしく描かれているように思いました。他のフィギュアは、目の強調がうるさいのですが、このマリアは、すっきり。
おそらくオリジナルは、全面にフレスコ画が施されていたと思います。今は、後陣側の、半分より少ない部分に、剥落部分含めて残っているだけで、反対側はのっぺらぼうの漆喰塗りとなっています。
ピレネーをはさんで、反対側、スペインはボイ谷の数々の教会を飾ったフレスコ画を描いたと同じ系統の人の作品とされているようです。確かにこの目の隈取状態は、それらしいかも。
ボイ谷のフレスコ画は、確か20世紀初頭に、はがされてバルセロナに運ばれたと思います。個人的には、その処置に対しては疑問が残るのですが、もしかして、こういう風になっていたのかもしれない可能性を考えると、やはり必要な処置だったのでしょうかねぇ。
一方で、イタリアの、トリノからフランスに向かう道の奥地、かなり山に近いスーザ地域にあるノヴァレーゼには、自然のままに放置されたにもかかわらず、気候のおかげで完璧に残されているフレスコ画もありますね。
現地で本物に出会える喜び、現地で本物であるからこその素晴らしさは、やはり変えがたいものがあるように思います。ボイ谷の教会群は、教会の建築そのものの素晴らしさもあるので訪ねる価値は高いですが、フレスコ画まがい物であることで、魅力がそがれている気が大いにしてしまいます。歴史もすべて背負った本物に対峙する心構えと、レプリカだからフラッシュもたき放題でいい加減に対応するのでは、受け取るものにも差が出て当たり前です。
実は、ノヴァレーゼの驚きがあるので、ここのフレスコ画の傷み方には、若干がっかりしました。もっとずっと美しく保存されているように思っていたので。仕方ないですけれども。
帰りに、絵葉書でも、と思い受付に戻りました。近所の教会の資料なども置いてあったので、情報を尋ねてみたのですが、英語は一切だめでした。「スペイン語は?」「ちょっとなら」というので、片言スペイン語を始めたら、ちょうど居合わせたのがスペイン人旅行者で、通訳を買って出てくれ、わたしの超つたないスペイン語をほめてくれ、すごく楽しいひと時を過ごすことができました。
そして、言葉がちょっと通じるようになったら、フランス人の受付さんも、ちょっと気楽になったようで、いろいろ教えてくれました。フレスコに興味があるなら、この先の村に行きなさい、とか。確かにその村はチェックしていたのですが、午前中しか開いていないとか、鍵は市庁舎で借りるとか、そういうことを聞いてなかったら、近かったので、この後訪ねて無駄足となるところでした。地元の情報は重要です。スペイン人のおかげ。
そして、言葉は重要ですね。
ということで、この時点では、再びフランス語やらないと!と思ったのですが、結局いまだに何もできるようになっていない事実が、情けないです…。
- 2014/04/03(木) 05:27:37|
- ラングドック・ルシヨン
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ルシヨン・ロマネスクその6
エルン見学を終えて、そろそろ昼休みの時間に入ってしまいます。この周辺は、見所満載ですが、昼休みで入れないと損した気になるので、入らなくてもよさそうな場所、と見当をつけて、ル・ブルLe Boulouに向かいました。
この町のサント・マリー教会Eglise Sainte Marieの見所は、ファサードにあるカベスタニーの装飾らしいので、ファサードが見られればよいと判断しました(ちなみにこの教会の名称ですが、わたしの持っているミシュラン緑ガイドでは、Eglise de Notre-Dame d'El Voloとあるのです。ノートル・ダムは、まぁそうなのかなと思いますが、ぱっと見全然違うので、戸惑いました。どういうことなのでしょう。ル・ブルのノートル・ダムということなのかしら)。
町に入った最初、教会の場所が分からず、何度もぐるぐると、一方通行の道を行ったり来たり。それらしいものが見えたので、駐車禁止の場所に一時停止して確認したり。
思いっきり、間違い。
慌てて車に戻ったら、ちょうど警官がいたので、訪ねてみたら、「そこ」と。
なんか、かなり灯台下暗し状態の場所でした。
アレらしい。
最初から観光局を目指していればよかったのですね。手前の角の建物が観光局。その前は広い通りで、市庁舎とか警察がまとまっている公共の建物で、だから警官がいたのです。道路上にはちゃんと公共の駐車スペースもあったので、改めて警官に確認して、停車。
それにしても、教会地味。そして、期待していたカベスタニー、彫り物も、すごく地味。
こののっぺらぼうのファサードの唯一の装飾が、扉周りのいくつかで、目指す彫り物は、ちょっと飛び出ているひさしの下に横長に置かれているものです。
これ。
扉との関係で、分かるかと思いますが、結構高い位置にあります。その割りにかなり小さい。その上傷みも激しい。だから、正直言って、肉眼で見た際のインパクトはかなり小さくて、え?これ?マジっすか?という感じでした。
でも、改めて写真で細部を見ると、これがなかなかよいのですね。カベスタニーの中でも、個人的には好きなものだと思います。この作品を楽しむためには、双眼鏡が必携です。サン・サヴァンの旅のときには、空港へ着くのが遅れるかもしれないリスクを犯してまで、オペラ・グラスを取りに家へ戻ったわたしですが、今回はすっかり携行を忘れたわたし。今更、かなり悔しい思いをしています。
分かりにくいかもしれませんが、右の方から、細切れにどうぞ。
12世紀後半頃のもので、右から左へと、キリスト生誕からの六場面が描かれています。あかんぼが布でぐるぐる巻きにされている図というのは、こちらではよく目にする姿ですが、なんだか昔よく読んだ、梅図カズオの怖い漫画に出てくる蛇女とかの絵を反射的に思い出してしまうのですが、これはジェズ…。
人物中心に無理やり狭い場所に押し込めていて、合間に動物の頭が唐突に飛び出したり、花模様が入ったり、どうにも面白いです。それでいて、カベスタニーって絶対ヘタウマ系じゃないから、人物の描写は写実性も高く、顔は、すごくマジ。
マリア様、きれいなんです。
それにしても、手が異常にでかくて、何を表しているんだろうかと考えてしまいます。
縦方向にひどく狭いので、立つスペースがなく、多くの人物が膝を曲げていたり、椅子に座ったり、マリアのように横置きに寝かされていたり、そういう無理やり感が面白いのかな、この彫り物は。本来、ここに置かれていたとも思えない感じですが、どこにあったのだろうか。
扉の脇にあった、碑文。
読めませんが、古いものと思います。全体に古いものがほとんどない中で、よくもこれらが残ったものだ、と感心する場所です。
ちなみに、昼休みだから、と行った教会ですが、意外にも扉は開いておりました。ぎりぎり昼休みの前だったようです。でも、内部は見るべきものはなし。
満足して見学を終え、ランチはこの町でいただきましたが、なんとなくのんびりとして、よい印象の町です。
- 2014/04/02(水) 05:36:25|
- ラングドック・ルシヨン
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なんと、去年の10月以来、一個もちゃんとアップできていなかったロマネスクのおと。毎年遅れがひどくなっていて、われながら情けないです。そして、楽しみにしてくださる方には、申し訳ない気持ちでいっぱい。時間の経過とともに、いろいろ忘却してしまうのも問題だし。とにかくスタートが遅すぎ。もう今年も4分の1が終わる間際です。
今回は、かなり地味な地域を特集しています。ミラノからも近い、ピエモンテの辺境ノヴァラと、その周辺に散らばるとても小さな村々を、数回にわたって歩いた記録です。
すごいものは何もないんですが、地味ながら、人々に大切にされて、今日まで生きながらえてきたロマネスクの小さな宝たち。そういう思いに満ちた場所が、これだけたくさん散らばっているというのは、素敵なことです。
美術的観点からはたいしたことのないものばかりかもしれませんが、味のある町が多くて、町のたたずまいも楽しめる旅でした。ただ、日本から来てわざわざ行ける場所ではないと思うので、紹介する価値があるかもしれないと思って、まとめてみました。ちょっとまとめすぎて、それでまた時間がかかってしまった次第。いいわけですが。
地味な分、その土地で資料が見当たらなかった場合、なかなかインターネットでも情報がなくて、それも時間がかかった理由、いや、いいわけです。結局、資料のあるものばかり、ずらずらと書き込んでしまいました。
- 2014/04/01(火) 05:47:28|
- ロマネスク全般
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