日本からの友人と、イタリア王道(?)旅の巻、その12
ティヴォリのヴィッラ・デステ(エステ荘)Villa d'Este a Tivoli、続きです。
もうちょっとだけ、数々の個性的な噴水を。
100の噴水。
本当に百個並んでいるのかどうか、数えていませんけれど、三段仕立てなので、水の出てくるすべてを数えたら、軽く百以上ありそうです。
細い通路に横長に並んでいて、圧巻。
一番上の段は、レース扇のように広がるタイプと、水のみ場のように上に一直線に噴出するタイプが交互に並び、次の段は、その水が流れ落ちる口になっていて、一番下は、それぞれ個性的なユーモラスな動物たちの口から、水が流れ出ています。
レース扇の噴出ぶりは、そのレース状が実に素晴らしくて、噴出口がどうなっているのか見たいものだと、かなり身体を乗り出してみたんですが、そういうところはちゃんと見えないように、うまい具合に木が植わっていたりするんです。舞台裏はしっかりと隠しています。
もしかして、と思ったのが、他の場所に並ぶ、機能していない噴水で、見つけたこういう装置。
お花の剣山のようなものがあり、シャワーの口のようにぶつぶつと穴が開いているんです。ここは、階段の手すりになっている場所に、段々に同じ噴水が並んでいたのですが、機能していたら、百の噴水のように美しいものに違いありません。
それにしても、どこでも見られるコケとシダ類の緑の美しいこと。造られた直後は、一体どういうものだったのかと考えてしまいます。そして、コケに美しさを覚えてしまう日本人の感覚と、コケはカビくらいにしか思っていない人が多いに違いない欧州の人たちの価値観が、ここでどういう風に出てくるのか、興味が湧きます。
庭園の、一番下の方は、高低差を使った大掛かりな細工ができないからか、噴水としては地味なものが多いのですが、見た目のインパクトがある、アルテミスの像。
たくさんのおっぱいがぶら下がっていて、そのそれぞれから水が滴り落ちています。アルテミスって異教の神様ですね。トルコで同じような像を見た記憶があります。ちょっと怖いですが、確か豊穣のシンボルです。確かに。しかし豊穣すぎ、でしょう。
若干グロテスク気味、ということでは、こちらも。
ギーガーも真っ青の、ドラゴンたち。今にもエイリアンとなって襲い掛かってきそうなほどのぬるぬる感です。周囲に置かれたイルカが、妙にイラスト的な中世的フォルムをしているので、その落差がおかしいです。
さて、今回一番好きだと思ったのが、ロメッタの噴水。
どうやら、ローマに想を得た噴水らしいのですよ。スペイン階段の下にあるバルケッタ(小船)の噴水、オベリスク、古代の像や建物。全体が、小ローマというイメージで、とってもかわいらしいんです。
ローマにある船が本家ですが、それにしても船に水を入れて池にする、という発想、まさに逆転で、すごいオリジナリティ、と今更感心してしまいました(ちなみにローマの本家の方は、今工事中で、思いっきり囲いがされていました)。
とても狭い場所なのに、配置とデザインの妙で、ダイナミズムまで感じさせる噴水です。
そういえば、全体でも、庭としての広さは、実はたいしたことがないんです。高低差があるのと、木立等で先が見えないような順路がうまくできているので、広大な印象を持ってしまいます。特に今は、造園当時よりも、多く木が育って、視界が聞かなくなっている分、場所によっては、うっそうとした林のような雰囲気もあります。
木立が突然切れて、遠くに見えるようになっている噴水とか。
斜面を利用して、らせん状に流れ落ちていく水路とか。
いたるところに造園技師の遊び心と、発注者のお洒落心がのぞく感じ。
庭園というものに、特別の興味がないわたしですが、庭園好きな人々の気持ちが、少し分かった気がしました。
長くなってしまいましたが、思ったよりも楽しかったので、ついついじっくりと紹介してしまいました。ローマは、見るものがあんまりたくさんあるので、なかなか郊外まで足が伸ばせないかもしれませんが、ちょっとでも余裕があれば、わざわざ行く価値があるかもしれません。
- 2014/05/13(火) 02:56:33|
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日本からの友人と、イタリア王道(?)旅の巻、その11
ティヴォリのヴィッラ・デステ(エステ荘)Villa d'Este a Tivoli、続きです。いよいよ、噴水の庭を訪ねます。
ああ、いきなり、懐かしい池が見えました。
卵形の噴水、という名で、池を取り囲むように回廊が設けられ、回廊の前に、レースのような水が、あちこちから噴出しています。昔訪ねたときは、回廊を歩くことができましたが、残念ながら、今は進入禁止。
回廊から、レースの水をすかしてみる池が、風情があったのをよく覚えています。岩のあらゆるところにあらゆるタイプのコケが張り付いていて、緑がびっくりするくらいにさわやかで美しい。きっと、コケ好きにも、たまらない場所でしょうね。
ここは、庭の中でも、最もティボリらしいとされる噴水のひとつで、16世紀の半ばに作られたもの。全体が一気に造られたのではなく、長い時間をかけて一つ一つの噴水が作られたようです。やはりこれだけの規模のお庭を造るには、何年もの歳月が必要ということなのでしょうね。
オルガンの噴水。
なんていうことのない池の真ん中に、小さな祠のような建物があり、実はその中に小さなパイプオルガンが収められているのです。水の圧力を使って、オルガンは演奏をします。演奏の時間があったので、しっかりと聴いてきました。まぁ普通にオルガンの音なので、だから?というイベントではあるのですが、水力で演奏する、というのが画期的だったらしいですね。
演奏前になると、祠の扉が厳かに開き、オルガンの音が流れてきます。
オルガンの噴水は、まだかなり高い位置にあり、庭の中央部を見下ろす、バルコニーのようになっています。そして、その斜面下は、びっくりするくらいの高さまで噴出す、大きな噴水になっています。
下に下りて、正面から見ると、こんな感じ。
これが、電気など使わずに機能しているって言うのは、すごいですね。水の迫力もすごいし、建物や緑など、庭として、細部まで考えつくされているのもすごい。当時の貴族の財力の半端なさを、思う存分、見せ付けてくれる庭園です。
この、大噴水前は、庭園の中で、唯一、平地となっていて、大きな池が三つも並んでいます。
さすが世界遺産。っていうのか、とにかくとても美しく整備されていて、お花も、きっと季節のものが、常に美しく咲かせられているのでしょう。訪ねたときはチューリップで、本当に美しく、そして山ほど、ドサドサという規模で咲いていました。
この池、一つ一つが、すごく大きいんです。イメージとして50メートル・プールくらいかな。で、ガイドを見ると、養魚池、と。今は金魚や小魚が悠々と泳いでいましたが、もしかして当時は、晩餐会のためのお魚の生簀だったのでしょうか。釣堀みたいにしたり、船を浮かべたり、もしかして、そういう宴会をやっていたかもしれませんねぇ。
水があってお花があって。夕暮れにキャンドルでもともされたら、なんともロマンティック。デート・コースとしては理想的。
しかし、邸宅からこの池の場所に来るまでは、相当の坂道または階段で、当時の貴族、特に女性の服装では、たどり着くのも大変。っていうより、徒歩では無理だったのでは、と思われます。馬とか、輿のようなものでも使ったんでしょうか。
続きます。
- 2014/05/12(月) 05:08:21|
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グラッパにはまっていることは、以前にも書いていますが、この度、二度目のグラッパ倶楽部合宿を敢行いたしました。ふふ、倶楽部と言っても会員は、よく「食べ」ツアーをご一緒させていただくボローニャ在住の友人とわたし、合計3人という、ミクロな仲良しグループで、昨年秋のピエモンテが、グラッパ倶楽部としてはじめての合宿で、その際に、次回はフリウリやベネト方面も、という企画が出ていたのが、早速実行に移されたというわけです。
今回もまた、多くのグラッパ蒸留所をめぐり、大変楽しい旅となりましたので、詳細レポートはおいおいやって行きたいますが、困ったのが、増えに増えている酒瓶。
前回は、わたしが列車で途中まで行き、車で来た彼らと合流するというスケジュールだったので、帰りに持ち帰れない分は、車移動の彼らの家にお預かりになっていました。
今回も、やはり途中で合流したのですが、今回はわたしも車で出向いたため、お預かり分のグラッパを、持ってきてくださったのです。
それがこちら。
結構、立派な瓶に入ったリゼルバもあるので、かさばって重いものばかり。でも、箱も素敵でしょ。
そして、今回購入した品々がこちら。
うひゃ~。家に運び込んで、われながらあきれました。半年で、こんなに飲むわけもないし、どうするんだろ(半年後には、またピエモンテ合宿…)。でも、とにかく嬉しい。なんだかニヤニヤしちゃいます。
とは言え、我が家にはお酒を置く棚がない。そして、グラッパは、一度開けても、すぐに劣化するものではないので、何種類も同時に開けて楽しみたい。目で眺めて、楽しみたい。ということは、ガラス棚とか、それらしいものが必要じゃん。イケアにはないじゃん。
とりあえず、手持ちの台に並べたものの、なんとなく寂しくて、早く何とかしたいと思っていたら、半年に一回開催される、近所の教会の蚤の市(バザー)が、折りよくこの週末から始まりました。
蚤の市なので、たいしたものが並ぶわけではないのですが、アンティーク小物や家具(アンティーク風も含む)を、お手ごろ価格で売っているおじさんがいるんです。今パソコンを置いている、足踏みミシン台改造机とか、小さな木の椅子とか、植木鉢を入れる古い鍋とか、そのおじさんからは、いろいろ購入済。
まずは、そこで見て、なかったらイケアでも、と思い、初日の今朝、早速訪ねてみました。
やっぱり同じようなことを考える人は結構いるようで、開始から3時間くらいしかたっていないのに、既に二つほどの家具は売約済みでした。でも!これはいいかも!という、なんということのない台が、すぐに目に付きました。
なんといっても、我が家にぴったりのニッチ・サイズ。作りも頑丈だし、使い込まれて古びた木がいいし、色もナイス。すぐに決定!
そして、いつも大量に出ているグラス売り場に行って、グラッパに向いた小さな足つきグラスを、都合5客、銀鍍金のトレイも合わせて購入!
シンプルな台なので、据付もあっという間!
全然自慢するようなもんじゃないけど、こんな感じです。
今ある酒瓶の量とぴったり。あわせると結構な重量と思いますが、びくともしません。
グラスも、イタリア人は、必ず同じものを6客揃えたい人たちですが、和食器派のわたしは、あえて違うタイプを購入。本来のグラッパ用のグラス二客と、カットの異なる小グラス三客。洗ってよく見ると、実際安いからいいんだけど、相当安物っぽい…。ま、よく見ないとわからないしね。
包みをはがしたグラッパ群。
リゼルバ、50度、アクアヴィーテ、と本当に多種多様で、瓶を眺めるだけで楽しくなっちゃう。毎晩、小さいグラスで一杯か二杯。ちょっとオヤジ入った楽しみですけれど、癖になります。
合宿の詳細は、おいおいレポートすることにしますが、とにかく今日は、棚の到来が嬉しく、部屋の隅を見ては、ニマニマしております。
- 2014/05/11(日) 02:48:21|
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日本からの友人と、イタリア王道(?)旅の巻、その10
ローマを訪ねた一番の目的は、やっぱりちょっと王道からは外れる場所でした。それは、噴水で有名な、ティヴォリのヴィッラ・デステ(エステ荘)Villa d'Este a Tivoli。
ここ、音楽関係なんです。
リストが、このエステ荘にインスピレーションを得て、ピアノ曲を作っているので、ピアノ弾きには、かなりマストな場所となっているんだそうです。でも、ローマからは、電車やバスを乗りついでいく必要があるので、意外とたどり着けない場所でもあるらしく、それならわたしが連れて行ってあげる!ということで、訪ねた場所。
実は、わたしが初めてローマを訪ねたのは、いわゆるパック旅行だったんです。今を去ること何年前になるんでしょうか。ヨーロッパの主要都市を回る旅で、ローマ滞在時に組み込まれていたのが、なぜかこのエステ荘。
今思えば、卒業旅行で、学生ばかりの旅だったので、元気いっぱいの若者を、ローマの町に放置するよりは、こういう田舎の地味な観光地に連れていった方が管理がらくちん、とかそういう理由だったのでは、とわかりますけれども、当時は、別に疑問もなく、それなりに楽しんだ記憶があります。
ま、そういうこともあり、自分なりに、過去を辿る旅でもあったので、喜んで訪ねた次第。
実際エステ荘の噴水庭は、確かに訪ねる価値のある楽しさで、ユネスコの世界遺産に認定されているだけのことはあります。
とは言え、公共の交通機関でたどり着くのは、確かに結構面倒でした。
ローマの町外れの地下鉄駅から、バスに乗っていきますが、それが生活路線のため、地元の人々で超満員。どこで降りたらいいかもよくわかりません。しかし、ティヴォリには、エステ荘のほかにもハドリアヌス邸という、今ではローマの温泉漫画で有名なローマ遺跡がありますから、その超満員でほとんどは地元の人たちのバスの乗客の中に、ちらほらと観光客がいて、そろそろティヴォリが近いのではないか、という頃、あちこちで、どこそこへ行くのだが、どこで降りたらいいのか、というような観光客の不安げな声が聞こえてきます。
そこはローマのことですから、そういう観光客に対して、親切な地元のオバサンなどから、大丈夫よ、降りる場所は教えてあげるから、というような声が上がります。
そういうオバサンにめぼしをつけて、観光客目線ですがってみると、案の定、一緒に降りた地元の人が、なんと、当たり前のように、エステ荘まで、案内してくれました。
右が、ティヴォリの住人で、左は、同じバスに乗り合わせた観光客のおじさん。
このおばさんは、どうやらいつも観光客の面倒を見ているようで、バスを降りたら、どんどん先導を始めて、「みんな、ついて来てる?」と、もうほとんどプロのガイドさん状態でした。ありがたいことですね。
おかげで、迷うこともなく到着。
数十年ぶりの訪問。
入り口などは、ほとんど覚えておりませんでした。おそらくずいぶんと変わっているとも思いますが。当時の写真を探して、見てみたいものです。
この場所の見所は、もちろん噴水の庭ですが、まずは別荘の建物を見学する経路となっています。
全体に、よく修復もされ、フレスコ画やなにやら、とっても美しい部屋が、延々と。そして、高台に建てられている建物ですから、窓からは、素晴らしいパノラマも楽しめます。
気に入ったのは、程よく磨り減った、テラコッタの床。
こういう床のあるおうちに住んでみたいものだ、と思うことしきりです。このすべすべ感はたまりません。
それにしても、なんという贅沢な別荘。
これが、庭に面した正面玄関。
これが、高台の天辺で、ここから、かなりの坂道状態で、それを利用した素晴らしい噴水が多数配置された庭が、一望となります。今は、木が茂ってしまって、一望というわけにも行かないのですが、作られた当時は、おそらく、本当に箱庭のように、全貌が見えるようになっていたのではないかと想像すると、こんな贅沢をしたエステ家とは、どういう人たちだったんだろう、と過去に思いを馳せないわけには行きません。
そうそう、そもそもリストが曲を作ったくらいなんだから、だから来たんだから、と思うと、ますます、いろいろ、当時どうだったんだろう、と考えちゃいますね。
噴水のいろいろは次回。
- 2014/05/10(土) 06:49:54|
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日本からの友人と、イタリア王道(?)旅の巻、その9
国立エトルリア博物館、ヴィラ・ジュリアMuseo Nazionale Estusco di Villa Giulia続きです。
エトルリアのことは、まったくの門外漢で、これまでほとんど勉強もしていないので、語る資格も知識もないのですが、折々に、エトルリアの遺跡や、残されたものに触れてきて、ほんの少しずつですが、わたしには身近になってきています。
特に、彼らが実際に使っていた鍋釜や装飾品を見ると、実に好みのものが多くて、実際、ロマネスクにも通じるようなテイストのものが多くて、それでさらに好きになってしまう、というような循環になっています。
日本では、エトルリアの存在そのものが、一般には知られていないかもしれませんが、ギリシャと同時代、ローマの前、エトルリアって、とっても栄えていたのです。
この地図で、右側の緑がギリシャ、左側の茶色はフェニキア、そしてイタリアの中心部分にある、オレンジっぽい茶色がエトルリアなんです。今のローマの北部、昨年訪ねたタルクイニアの名も記されていますが、あそこには、とっても大規模で保存状態のよい墓地遺跡があり、立派な博物館もあり、エトルリア好きは、必ず訪ねなければいけない土地のひとつです。今のナポリの方面にも少しありますね。
これだけの領域に広がっていた民族ですから、ギリシャやフェニキアとは、盛んな交易も行っており、文化交流もしていたようです。確かに、エトルリアの壷の文様には、ギリシャと同じような系統の絵図も多く見られます。
それほどの文明があったことが、なぜ世界史上ではあまり語られないかといえば、ローマに徹底的に叩き壊されてしまっていて、いまだに詳しいことが分からないからなんですね。イタリアに住んでいる以上、やはり一度はローマにははまりまして、塩野さんの「ローマ人の物語」も一通り読んでいるし、あちこちのローマ遺跡も訪ねましたが、まずは中世に開眼してからローマが遠くなり、そしてこのエトルリアに出会ってからは、ローマ、とんでもないやつら、と思うようになり、ますます遠くなりました。
エトルリア遺跡には、俄然興味がありますが、ローマ遺跡には、もはや食指が動きません。
でも、エトルリアの遺跡のほとんどは墳墓跡で、町などは、とにかく跡形もないに均しい状態の、礎石や水道管くらいしか残っていない場所がほとんどなのが、ますます、ローマ憎し、の気持ちに拍車をかけます。
まぁそういう気持ちのよすがとして、こういった博物館の展示も、じっくり見てしまう今日この頃というわけです。
とにかく楽しいのは、奔放なモチーフ。
すごくうまいかと思うと、いきなりすごい稚拙だったり、ヘタウマだったり、落差が激しいんですよね。
タルクイニアの博物館で、初めて目にした手鏡の装飾絵画は、昨年も記事にしましたけれど、やはりイラスト的で、びっくりするくらい現代的で、見入ってしまいます。こういう、省略的なセンスは、ローマにはなかったものです。ローマって、本当に写実が好きだったのね。考えたら、ギリシャは、もっと絵画的だったような気がします。
そして、さらにさらに、愛らしい~!と大好きなのが、鍋釜といった実用品に施された飾りなんです。
お鍋の手がライオン君だったり、壷の取っ手には必ず顔が付いていたり、蓋のぽっちも動物だったり、こういうのほしい~というようなものばかりです。
生活必需品だったせいか、数多く出土している蝋燭立てもまた、楽しい装飾が満載。
飛び込みの選手、または新体操で、オリンピック・バージョン、みたいな蝋燭たて。軸のところを人がよじ登っているモチーフもよく見かけますが、二千年以上昔にそういう装飾をしていたっていうのが、新しい…。
いまどきの、ヘタなアーティストには真似できない斬新さと独創性でしょ。
そして、この博物館の目玉はこれです。
エトルリアといえば、これ、っていうくらい有名な夫婦の石棺装飾。
これは、19世紀後半に発掘された、紀元前5世紀頃のもので、400もの断片的なものから復元されたそうなんです。男性は上半身裸で、女性は、素敵な衣装を身に着けているんです。帽子と靴好きなわたしとしては、どちらのアイテムもとっても個性的で面白くて、かわいらしいんです。
ほとんど実物大の大きさで、テラコッタ製というのもすごいです。エトルリア人は、テラコッタが大好きだったようで、巨大な作品をたくさん作って、屋根の上に乗っけたり、こうやって墳墓に使ったりしていたようなんですが、どれだけ大きい釜を持っていたんでしょうね。
というわけで、ちょっと駆け足ですが、エトルリアの紹介でした。
かわいいもの好きな方は、もしエトルリア博物館に出会うことがあれば、若干辛気臭いですが、是非ディテールを見ていただきたいと思います。
- 2014/05/08(木) 05:19:46|
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日本からの友人と、イタリア王道(?)旅の巻、その8
ヴェネチアでの盛りだくさんの週末の後、今度はローマの週末となりました。まさに王道ですよね。とは言え、こちらもちょっと王道とは外れたルートだったりします。
まずローマ到着後は、ぶらぶらと町歩きをしながら、バチカン方面へ。簡単ランチの後、友人をバチカン博物館に送り届け、わたしは別行動です。
ちなみに、このミケランジェロのデザインという派手な制服の衛兵は、通常、サン・ピエトロ寺院のすぐ左側の詰め所に、観光客がたかっています。わたしも昨年訪ねたときは、相当長い間、イケメン衛兵をうっとりと眺めておりました。しかし、同じように寺院の左側でも、広場を出たところには、もっと広い入り口があり、こちらにもちゃんと衛兵カップルがいるのです。でも、観光客はほとんどいないので、ねらい目です。っ手、何が狙い目なのか分からないけど、なんか独占的に撮影できちゃいます。
さて、王道を行く友人と離れて、わたしが向かった先は、こちら。
地下鉄をポポロ広場で降り、ちょうど歩いていたお巡りさんに道を聞いてみました。路面電車または徒歩によって道が違うといわれ、歩いても15分程度、というので、徒歩の道を尋ねました。そうしたら、なんだかいきなりすごい坂道で、いきなり緑むせ返るような道となりました。ポポロ広場から5分も歩いていないのに。
ボルゲーゼ公園Villa Borghese。
最初は、散歩を楽しんでいたのですが、しかし、お巡りさんの教えてくれたようになっておらず、行けども行けども、公園…。目的地が見つからないまま、どんどん公園の深奥部に迷い込んでしまう感じです。始末の悪いことに、地図すらない。
途中出会う人ごとに道を尋ねて、もう汗だくのぜえぜえで、やっとたどり着きました。それはこちら。
国立エトルリア博物館、ヴィラ・ジュリアMuseo Nazionale Estusco di Villa Giuliaです。
ここは、昨年、ラツィオ北部タルクイニアでの、エトルリア墓地訪問や、その後の博物館見学のあと、さる方に、エトルリアに関しては、やはりローマのヴィラ・ジュリアが一番でしょう、と言われて以来、いつか訪ねたいと切望していた博物館。まさか、これほど早く、チャンスが訪れるとは思ってもいませんでした。
しかし、たどり着いただけで、既にかなりの体力を消耗してしまっていて、どうなることやら、です。
このジュリア荘、建物はルネッサンス時代(16世紀半ば)のもので、中には、さらに古い紀元前のものが収められているという、いかにもイタリアらしい博物館です。ローマには何度も来ているのに、昔は、ローマ以前の文明や文化って、考えたこともなくて、ローマにきたらローマで手一杯状態で、エトルリアなんて、正直眼中にないというか、そもそも知識がなかったのです。
それが今では、ローマで一番見たいのが中世関係で、次がエトルリア、となっているんですから、変わるもんですね。
というわけで、この地味な博物館、隅から隅まで、かなり時間をかけてゆっくりと見学したので、ここでもじっくりレポートしたいと思います。でも、次回から。
実は、二週続けて食道楽の旅を敢行したせいか、どうも内臓が疲れている上に、風邪を引いてしまって、集中力がありません。食道楽の旅も、充実していたので、早く報告したいのですが。そして、ずっと停滞中のロマネスクも再開したいのですが。時間と集中力、取り戻さないとね。
寄り道ばかりですが、気長に、お付き合いくださるよう、お願いします。
- 2014/05/07(水) 03:20:02|
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日本からの友人と、イタリア王道(?)旅の巻、その7
ちょいと王道から外れた行き先の多いベネチアでしたが、もちろん、ベネチア観光ではずせないサン・マルコ寺院にも行きました。
ここは、もう嫌になるほどたくさん写真を撮っているので、今回は、入り口の天上、いや、天井モザイクだけ、ちょっぴり。
最近はいつでも長蛇の列で、入るのが大変なので、宿泊した翌朝、朝一番で行こうと思っていたら、この寺院って相変わらずラテン系…。日曜日は午後ほんのちょっとしか開いていないのです。
ムラノ島から戻って、サン・マルコ広場に到着したのは、15時45分。クローズは16時と聞いていたけれど、まだ入場の行列があります。並んでさえいれば、一応入れてくれるのか、それとも16時きっかりに入場は打ち切られてしまうのか、それを確かめないと、と行列の先頭に行きまして、係員のおじさんに、「もう15時50分だけど、並んでさえいれば入れてもらえるんでしょうか」と行列を区切る柵の外側から聞いてみると、クールな表情でわたしを見つめたおじさん、何も言わずに、柵をちょっとずらして、下の方に置いた手でこっそりと、入れ入れ、というジェスチャーをしています。
?いいの?
好意を無にするのも悪いので、慌てて、行列の柵の中に入らしていただきました。別に頼んだわけじゃないけれど、思いっきり、横入り~!
なんだったんでしょうねぇ。
よほど切羽詰った顔でもしていたのかな、オレ?大切なお客さんをしくじったら大変なんだよ、とでも言うような?いや~、予期せぬラッキーでした。というわけで、時間もなかったのに、結構ゆっくりと黄金のモザイクを堪能できてしまいました。
そんなわけで、最後まで盛りだくさんの一泊旅行。ご飯も、それなりに充実しました。
初日のランチは、お手軽なロスティッチェリア・サン・バルトロメオRosticceria San Bartolomeo。ここは、手軽で安めでそこそこおいしいので、重宝するお店。でも今回は、ちょっとがっかりでした。というのも、前菜とプリモ(パスタ)を頼んだのに、最初にパスタが来てしまったのです。ここのパスタは山盛りで、そのあとに前菜はいらないな、と思って断ったら、謝るでもなく「わたしじゃなく同僚が間違ったのよ…」、とぶつくさ文句をたれていました。こっちは、二皿食べるつもりで、ワインもたっぷり注文してしまって飲みきれないし、こっちこそぶつくさ言いたい状態なのにね。お値段も、ちょっと上がった気がしました。
夜は、しっかり予約をして、ちょいといい店に。マスカレータMascareta。
実際は、薄暗くて、レストランというより居酒屋風。居酒屋として楽しんでいるお客さんの方が多いくらい。店員さんたちがとっても感じのよい店でした。
ワインは、発泡白のプロセッコと思ったら、このお店で独自に作っているシャンペン風のワインがお勧めというので、いただきました。地酒っぽいワインで、好みによりますが、わたしはプロセッコの方が好きだったかな。ハウスワインの割りには、結構よいお値段でびっくりでした。この辺、ベネチアっぽい。
前菜は、鰯の酢漬け、お魚のカルパッチョ盛り合わせ。
酢漬けはサオールというベネチアの伝統前菜で、南蛮漬け風。大好きなお皿で、この店でもこれは売りというだけあって、とっても上品な味でしたが、カルパッチョは、カルパッチョではなく燻製魚のオンパレードで、ちょっとな~、でした。それも、盛もよすぎ。
メインは、バカラ(干ダラ)料理とイカ墨。
正直、注文しすぎ…。ついいい気になりました。
それにしても、ベネチアって、ちょっと塩きつめ傾向があるような気がします。わたしは、唐辛子の辛さはオウケイなんだけど、塩辛さがまったくだめ。なので、南の塩辛い料理も苦手です(塩辛は大好きですけれど)。やっぱり飲む文化だから、塩辛いのか、それとも海ものだから、傾向として塩辛くなるのか。
翌日のランチは、かなりいい加減な店だったのですが、観光客向けだったせいか、万人受けする無難な味で、かなり舌に合いました。
オステリア・アル・ドゥオモOsteria al Duomo、ムラノ島のサン・ドナートの正面にあるお店です。
立地から何から、いかにも観光客向きで、広い庭には確かに観光客がいっぱいなんですが、少ない人材で、いかにもうまくさばいていた上に(遅かったり、間違ったりはありましたが、感じがよいので納得できる)、お料理はそこそこの水準で、お値段も良心的。観光客としては、こういうものがいただきたいのよ、というまったく凝ってない王道料理、というのもよかったです。
でも、やはり人が足りなくて、レジで会計しようとしても、なかなか人が出てこない。食い逃げしたろうか、と思ったくらいでした。その気だったら、マジで、さりげなくできそう…。
ベネチアはやっぱりいいな。絶対に、いつかアパートでも借りて、ゆっくりと滞在してみたいと思います。
こんな小路を、時間の心配もなく、地図も見ずに、ふらふらと彷徨ってみたい。
- 2014/05/01(木) 05:21:56|
- イタリアめし
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