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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

秘するべき宝物、多分。

ルシヨン・ロマネスクその13

いよいよルシヨン・ロマネスクの真髄、カニグーのサン・マルタン修道院Abbaye Saint Martin du Canigou訪問。
この修道院については、ロマネスクなんてまったく関係なく生活していた二十数年前に耳にして、「そんなところにそんなものがあるの」という感じだったので、まさか自分が恋焦がれた挙句に訪ねる日が来るとは、というそもそもの経緯がある上に、この、初めての訪問の記憶、本当に素晴らしかったものですから、自分のロマネスクの歴史の中では、最高の宝物のひとつで、これは語るべきものではないのでは、みたいな、なんというのか、よそ様にはどうでもいい葛藤がありました。
記事にしたくない、でも、こんなに素晴らしかったんだよ~!と、叫びたい、という二律背反(日本語、正しいのか?)。
でも、どんなに素晴らしい記憶でも、忘れちゃうんですよね、いろんなことを。それは過去の経験からよくわかっているので、やっぱり自分本位で、記事にしようと思います。




カニグーを目指すためだけに、前泊は地味なプラドにしたというお話を、前回の記事で語りました。朝食もないホテル。それもある意味、ちょうどよかったのです。というのも、目論見としては、早めにカニグーの麓について、誰よりも早く訪ねる、というのが目的だったから。
とは言え、残念ながら、フランスの朝は遅く、カニグーの修道院はガイド・ツアーのみで、事前情報では、ツアー初回は10時となっていましたから、早くつけばいいというものでもない。
とは言え、登らなければいけない山道系は、下ってくる対向車がいない時間に目的地に着くのが鉄則(わたしの、ですが…)。
というわけで、いろんな無駄を承知の上、プラドのホテルを出たのは、7時45分。安宿ですから、宿代の精算は到着時に済んでいるし、早朝出発も問題なしです。ただ、空腹…。どこかでカフェがあろう、と思いながら、カニグーの麓、山登りの始まるカステイユの村に着いたのが、8時15分。そして、カステイユの村は、びっくりするくらいひなびた村で、カフェどころか、パン屋さんすらないような…。




村までは緩やかな登り道で、山道というほどでもなく、ただ、登り道。そろそろカステイユか、と思ったあたりで駐車場の印に出会ったものの、登山口も分からないような道なりだったので、村に入りこみ、通りすがりの人に、改めて駐車場を尋ねました。「通り過ぎてきた駐車場でも、この先の駐車場でも、同じようなもんだけど」という指示でしたが、結局道なりに、その先にある駐車場まで行きました。駐車場と言っても、狭い土地を、ぎりぎり平地にしたような空き地で、たいしたものではありません。ただ、坂道発進が苦手なわたしとしては、山道しかないような土地で、平地があるだけで大いにありがたいということです。

それにしても、フランスでは、朝が遅いとか、バール文化がないとか、これまでの旅で結構分かっていたはずなのに、でも、カニグーは結構な観光地だし、という気持ちがあったので、まさか朝ごはんをいただけるカフェに出会えないとは、想定外でした。カステイユの朝8時15分は、まるで6時と言ってもいいくらい、村中が寝ている感じでした。

朝飯前で、山登りかよ!とつぶやきながら、登山口へ。




登山口には修道院の案内があり、確かに、ガイド・ツアーのみで、初回は10時とあります。それにしても、まだ8時25分だぜ!歩きでの登りは、25分から50分とあります。わたしは、(修行で鍛えているせいか)意外と健脚なので、早すぎますが、仕方なし、上に何か(朝ごはん)あるかも、と期待もしながら出発しました。




かなり激しく、山の風景が広がります。前日は雨だったし、この日も決して快晴は期待できない天候。ひどい雨にならないことだけを祈っていましたが、幸い曇天。そんなお天気でも、とりあえず早朝だし、わたし以外には、人も車も通らない道を歩いているので、静けさの中に聞こえるのは、空気のそよぎや水音で、実はかなり気持ちのいいものでした。
こんな、殺風景な岩から生えている高山系の多肉植物を観察しながら、のんびり。





このタイプの多肉は、地中海性のこのあたりの気候に適しているらしく、あちこちの岩場で多く目にしたので、ちょっと気になっていたので、このカニグーの山歩きでは、かなり楽しめました。




この山道、おそらく昔は、ミラノからも近いチヴァーテのように、本当に徒歩でしか行けない道だったのでしょう。今は、ある程度舗装がしてあり、ジープで往復できるサービスがあるようです。本音を言えば、やっぱり車道にはしないでほしかった、というところです(この車道になっている道のほかにも、徒歩でしかアクセスできない山の道もあるようですが、それは相当厳しい道のようです)。
わたしは早朝登山だったので、下ってくる車はいませんでしたが、登っていくジープは2台ほどいました。車道になっている分、歩くのも楽ではあるのですが、風情はずいぶん損なわれますよね。




途中にあった教会サン・マルタン・ル・ヴュSaint-Martin-le-Vieux。




目指しているサン・マルタンと同じ名前の古い教会。ここで、道程の半分ぐらい、後20分とあります。
最後はちょっときつかったですが、それでも、結局出発から約半時間、8時55分に到着。




初回ツアーまで1時間ちょっと。いくらなんでも早すぎるだろう?観光客は、誰もいません。さて、どうしたもんか。




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  1. 2014/05/31(土) 07:04:51|
  2. ラングドック・ルシヨン
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冒険を前にして。

ルシヨン・ロマネスクその12

ラングドックから、スペイン国境にも近いルシヨンに移動して、一日中駆けずりまわって、いよいよ、今回最も訪問を楽しみにしている教会群のある地域へと移動します。




スペイン国境の、フランス・カタラン地域。前回までは、ペルピニャン南部のあたりの狭い地域を、チョコチョコしていたのですが、一気に西側、ペルピニャンからの街道を通って、プラドPradesへ向かいます。




最も楽しみな訪問は、同時に、最も気が重い訪問でもあります。というのも、もう何度も書いているように、坂道発進が苦手、というよりほとんど技術がない=山道が怖い、というわたしにとって、カニグーの山に向かわねばならないことは、かなりのストレスでした。事前にグーグルのストリート・ビューで、通るべき道をずっと観察したり、これまでにカニグーに行かれた方の記事を読んだりして、とにかくなるべく無理のないルートや行き方、というのを真剣に探しました。
また、前後の移動の関係も考え、結局、カニグーのかなり手前のプラドに泊まることにしたのです。カニグーの麓のCasteilや、ちょっと手前のVernet-les-Bains等の選択肢もあったとは言え、その地点で既に山だと、さらにストレス倍増と思い、確実に平地であるプラドを選んだのです。慎重も過ぎるかもしれませんが、過去の坂道との嫌な思い出を考えると、情けないけれども仕方のない措置…。

プラドはほとんど何もない、街道沿いの町。歴史だけは感じさせられますが、ホテルの選択肢も少なく、結局、この地で停まったホテルの中では最も経済的で、いかにも安宿(といっても、わたしにとってはおなじみのレベルで、妙に落ち着く雰囲気です)、朝食もないという宿となりました。
でも、実は、宿のおじさんはとても感じがよくて、初めてわたしのつたないフランス語を聞こうとしてくださり、また親切にレストランをアドバイスしてくれたりしました。お部屋も、安っぽいけれど、清潔感にあふれ、クーラーなしでも十分快適で、大満足でした。

Hotel Les Glycines
129 Avenue du General de Gaulle
Prades

まぁ、紹介するほどのホテルでもないですが、見た目がダサいけれど、結構よいですよ、特に車で移動される方には、街中なのにきちんと駐車場もあるので、便利ですよ、ということで。

プラドの町は、街道の後にちょろりと旧市街があり、中世の町がベースになっているとは言え、特に変哲のない造り。夕刻にはかなり激しい雨となってしまい、ゆっくりと散歩もできませんでしたが、町の中心の広場には、起源の古そうな教会が建っていました。サン・ピエール教会Eglise Saint Pierre。




本体は一新されてしまっていますが、塔だけは、ロマネスクの典型的なスタイルです。




二連窓の様子、窓の大きさ、窓の周囲のアーチや石積み装飾、とってもいい感じ。
広場の中央、というロケーションは素晴らしいので、中世の教会がそのままだったら、さぞや素敵な町だったろうな、と思いました。

この広場にはいくつかレストランが並んでいて、そのひとつに入ったのですが、もうほとんどすべてがスペイン風。定食の前菜は、ガスパチョでした。つくづく、スペインが近いのだな、と感心しました。このあたり、田舎に行けば行くほど、フランス語よりもスペイン語よりも、カタラン語です。

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  1. 2014/05/29(木) 05:46:18|
  2. ラングドック・ルシヨン
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まさかの再訪でした。

ルシヨン・ロマネスクその11

サン・ジェニ・ド・フォントネ修道院Abbaye de St-Genis-des-Fontaines続きです。
ここの教会で最も有名なのは、前回紹介した、今は開かずとなっている主扉口上に置かれた浅浮き彫りですが、そちらは道に面していて、鑑賞は無料。一方、修道院の建物の方は、博物館扱いとなっていて、有料です。




教会は、もはや見るべきものは特にない、という状態ですが、博物館に入場する理由は、修道院時代の回廊です。




建物が、全体に新しくなっていて、この回廊の壁部分も、風情のないのっぺらぼうになっています。アクセスしたときの印象は、あーあ、っていうがっかり感に占められるのですが、実は柱頭に楽しみがあるのです。特にわたしのように、素朴系ヘタウマ系のかわいらしい彫り物大好きタイプには、たまらないものがたくさん並んでいますよ。













いきなりアダムとイブがあったりするんですよね。それも妙に素朴でかわいい~!





ピンクや黒や白や、石の色が多様。彫り物も、違う手を感じます。おそらく時代も。もともと彩色してあったのかしら。でもピンクや黒の石では、さすがに彩色はなさそう。
楽しい柱頭の森。教会本体の建物の新しさが、とっても残念です。修復するにしても、何かもうちょっとやりようがなかったのかな、と思ってしまいます。

ところで、このところ探し物をしていて、あちこちひっくり返すついでに、古い資料などを思い切って捨てたりしているんですが、そういう古いものの中に、十年位前にマイカーでカタルーニャまでドライブしたときの、いろいろな記録を見つけました。
このあたり、通過したのは覚えていたんですが、まさにこのサン・ジェニ、訪ねていました。地図があり、そういえばかすかに記憶が。いや、そのときは、とてもかすかに「教会建築の中ではロマネスクは好きかもしれない」と気付きだした頃なので、特に教会を目指したわけでもなく、多分、この修道院の存在そのものを知らなかったように思います。でも、この前、通ったんだ、きっと、と思い、とても不思議な気がしました。
まさか、いつか、わざわざ、この場所を訪ねることになるなんて、夢にも思っていなかったんですから。面白いものです。

それにしても、探し物が見つからず、途方にくれています。旅のノートで、教会を訪ねたときの記録の宝庫で、これがないと、写真もまとめられないし、自分がどこに行ったかも覚えてないし…。困りました。
とにかく、写真も資料もたまるばかりで、整理が追いついていないため、こういうことになるんだと思い、大いに反省していますが、整理するために必要なノートだけに、気持ちは堂々巡り。あーあ。

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  1. 2014/05/28(水) 04:28:26|
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落花生の使徒

ルシヨン・ロマネスクその10

前回のサンタンドレから、次に目指したのは、サン・ジェニ・ド・フォントネSt-Genis-des-Fontainesですが、サンタンドレの町に入って以来不調となったナビ。途中でとうとう固まってしまい、結局道路標識などを頼りに自力で到着しました。
単純に電波(?)の具合とかそういうことなんでしょうが、ナビに慣れてしまって以来、ナビが正常に稼動しないと、とりあえずパニックになりますね。考えたら、ナビのない時代の方が長かったんだし、当時は紙の地図と道路標識等を頼りに、迷いながらも運転していたんだから、パニックになることもないのに。
というわけで、今でも紙の地図は必ず携行しますが、このときは大いに役に立ちました。

やっとたどり着いたサン・ジェニ、車を停めた場所から教会がすぐだったので、本来方向音痴のわたしとしては、びっくりです。超地味なファサード。




思わず通り過ぎてしまいそうなたたずまいですが、あの扉口の装飾が、紛れもなく、アレ。




この浮き彫り、サンタンドレのものと非常に似通っていますが、おそらく、こちらの方がより有名なのではないでしょうか。
モチーフは似ていますが、浮き彫りの彫りが、非常に浅くて、これに比べたら、サンタンドレはほとんど彫刻と思えるほどの感じなんです。写真で見ているときは、そういうところの違いというのは認識していないのですが、おそらくはその浅さが、何か違うものを醸し出しているように思えます。

ここも、中心にいるのは、アーモンドの中で祝福するキリスト。まじめな顔をしたおっさんが、ピース・サインをしている風情で、くすりとしてしまいます。




浅い分、二次元的って言うか、漫画的な感じっていうか、そういうもんがあるのかも。
キリストの脇は、天使がいますけれど、セラフィムはおらずに、両脇三人ずつ使徒がいます。
左側。




そして右側。




サンタンドレと同じように、使徒たちは、アーチの下に一人ずつ並んでいるんですが、ここの表現だと、なんか、人型に浮き彫りされているって言うんでしょうか。殻付き落花生の中に人が掘り出されているように見えるんですよねぇ。サンタンドレは、アーチの下に人がいる、って認識できるんですけど。

それぞれの人物の表情が、やっぱり漫画的。でも手の豊かな表情は、同じですね。きっと意味があるんだなぁと思います。

この地味なファサード、この浮き彫りの他にも、いくつか中世の名残がはめ込まれています。




扉の左右に、お墓のような人物像。左。




右。




なんでしょう。子供の大きさの体が横たわっているので、なんか怖い。墓碑なんでしょうかねえ。

上部には、顔がいくつか。





それにしても、建物全体に当時の面影がない中で、よくこういう浮き彫りが、こうやって美しいままに保存されたものだ、と驚きます。それも、オリジナルを、やはりオリジナルの場所に置いているのも、驚きます。
内部は、続きで。

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  1. 2014/05/26(月) 01:14:17|
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開かずの扉に隠れたお宝

ルシヨン・ロマネスクその9

サンタンドレ・ド・ソレドSaint-Andre'-de-Soredeの教会、続きです。
前回は、美しく愛らしいアーキトレーブを細かく紹介しましたが、地味なファサードの割りに、それ以外にも、小さいながら魅力的な装飾がちりばめられています。




たとえば、扉上部、ファサードの真ん中くらいの高さのところに、左右つけられている獣の彫刻。左と右。







遠目ではかわいい感じなんですが、アップにすると結構怖い。鋭い歯が妙に写実的なライオン。これは、扉口脇によく置かれる図像ですし、もともとは、ここではない場所にあったものを、後付でつけたという感じかな。入場する信者へたいして意図的に置かれるわけだから、こんな高い場所では、あまり意味がなさそうです。こういう置き方、ベサルーのファサードを思い出します。

そして、上部に開けられた窓周りの装飾。




本来は上部にも、何かはめ込まれていたと想像します。
両脇のトップと、下側のメダリオンみたいになっている円形の中には、四福音書家のシンボル有翼の動物の姿があり、間には、植物モチーフと幾何学モチーフの装飾、狭い場所にはめ込むように人の顔が掘り込まれていて、大変細かい浮き彫りです。そして、とてもかわいい~。唐草をつかんでいる両手なんか、愛らしくてたまりません。って言っても、現場では、とてもそこまで観察はできなくて、今改めて写真で詳細を見て、改めて愛らしさに打たれています。

窓が、木製の装飾的なブラインドのようなもので覆われているのも、気になります。石でこういう装飾があった方が自然なので、木製のブラインドは、後付のものかもしれません。上部のアーチも、シンプルですが、とっても好き。

さて、いよいよ入場!と思ったものの、扉が開きません。実際、わたしの前に入ろうとした旅行者たちも、開かないので首をひねったまま、去っていったのです。簡単にあきらめるので、びっくり。
わたしはもちろん、お隣にあるインフォメーションに行って、相談してみました。なんせ、扉前にはオープン時間が記されていて、そのときはちゃんとオープンしているはずの時間でしたから。
何のことはない。押したり弾いたりしてもだめで、輪っか状で重い取っ手を強く回して押すんですよ、ということで、試したら、無事、開きました。




シンプルそのものの石どっかり、という本堂です。土台は10世紀ですもんね。それにしても幅が狭い!
側廊があってもよさそうなつくりですが、本堂脇、柱の左右は、こんな感じ。




側廊とはいえない隙間構造になっていました。高さを保つためには、外壁に加えて、この柱が必要だったのかな。そういえば、ファサードの説明で、12世紀に上に高くされたファサードは、ヴォルト構造のため、とありました。とすると、天井のトンネル・ヴォルトは、12世紀に作られたということで、それ以前は、もっと低い位置の木製屋根だったかも、です。

さて、内部も、ファサード同様に、地味ながら、ちょっとした宝探しができます。





小ぶりな洗礼盤、または聖水盤。どちらも古くてよい感じ。もし我が家にお庭があったら、是非ひとつ置きたいようなものです。

何の変哲もなさそうな祭壇。




実はとっても素敵な浮き彫りの板でした。石棺の蓋でしょうか。




もともとどこにあったものなんでしょう、と不思議な小さい円柱と、立派な柱頭。




扉が開きにくかったせいか、誰も入ってこなくて、独り占めで宝探し。想像以上に楽しい教会でした。

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  1. 2014/05/23(金) 05:15:09|
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隙間にぴっちり翼

ルシヨン・ロマネスクその8

ずいぶんと間が開いてしまいましたが、ルシヨン・ロマネスク、再開です。

再開第一弾は、サンタンドレ・ド・ソレドSaint-Andre'-de-Sorede。ここは、9世紀に創設された修道院の周りにできた寺町。もしかしたら、その当時の方が人も多くて、活気もあったかも、と思えるほど、町の規模は今もほとんど変わらないようなミクロな町で、当時の姿を想像しやすいたたずまい。




車で、修道院のすぐ脇まで入り込んでしまい、車を降りたら、もうそこは中世の村、という地味な雰囲気が、すぐに好きになってしまいました。




右側にあるのが、修道院教会の後陣です。全体像はこちら。




シンプルだけど、こじんまりとしていて、とても美しい後陣と思いました。小ささがいいですよね。
こういう時、つまり一目見ていいなって感じたときは、気がはやって、早く全部を見たくて小走りになる感じ。気持ち的には全速力で、早速ファサード側に回ります。




おお、意外と地味ですね。後ろ側は典型的なロマネスクなのに、ファサードは、一見、典型的とも思えない雰囲気。装飾部分だけがオリジナルで、全体としては後代のものなのかと一瞬思いましたが、そんなことはなかったんです。
下三分の一くらいが10世紀、真ん中辺が11世紀、上部が12世紀のものなんだそうです。教会内部についても、時間をかけて作られたり改修されたりしているようで、ファサードもそれと連動して、こういう縦長の背の高いものになったようです。地層、ですね。人の手による中世の地層。

ここを訪ねた目的は、中央扉口のアーキトレーブの浮き彫りです。




ネットで写真は見ていた作品ですが、そういうものを実際に目にするのは格別ですねぇ。
特にこのように完璧に美しいものだと、感動が大きいです。




さらにアップにして見ましょう。




手が大きい~、ひだひだが細かい~。そしてスペースにあわせた天使の、余りにも無理な姿勢~。これはロマネスクならではって感じですよねぇ。翼も身体も、無理無理スペース優先で、こういうのがある種の様式美とかスタイリッシュなモチーフを生み出す元になっているのかもですよねぇ。




左側の三人。




そして右側の三人。
アーモンドを支える天使、そしてその両側には、やはり天使が囲んでいるようです。これは、セラフィムのようですね。六つの翼を持つ、天使の中でも最上級の天使、だったかな。六つの翼をたたむのが、大変そうな様子が微笑ましい…。
両脇の人々は、使徒とありますが、誰なのかな。誰もが、手の表情が豊かで、何か意味があるんだろうと想像します。

久しぶりのロマネスクなので、ちょっと息切れしてます。
続きます。

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  1. 2014/05/22(木) 05:45:43|
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ローマ、やっぱり永遠に王道。

日本からの友人と、イタリア王道(?)旅の巻、最終回

ずいぶんと長々記録してしまった王道旅。最後は、ローマのご飯など。

昨年の夏、姉と旅した際は、いわゆるお盆のような時期だし、レストランもろくな店は開いてないだろう、と事前に調べることもなく行き当たりばったりで食べた結果、ひどい店にも出会ってしまったし、全体のレベルが低くて反省。
そういう話をしたら、ローマの友人に怒られてしまったので、今回は、事前に彼女に連絡をしたところ、それなら是非ご一緒しましょう!ということで、連れて行かれたのが、トラステヴェレ。

ローマっ子がご飯、といえば、やはりトラステヴェレなのですね。昨年は、わざわざバスなどに乗って移動するのも面倒、と思っていたのですが、実はテルミニからはバス一本で行けてしまうし、そんなに遠くないんですね。
早めに着いて、サンタ・マリア・イン・トラステヴェレで、素敵なコンサートに出会ったのは以前の記事の通りですが、とにかくすごい人ごみにびっくり。どの通りにもテーブルが並べられ、気の早い観光客は、既に夕食中。
友人が選んだのは、普段もよく行くピッツェリア。何でも生地が特別に軽くて、おいしいんだといいます。そして、人気店なのに予約を取らないので、遅くとも7時半には行かないと、入るのに時間がかかるのだ、と。だから、絶対にアポには遅れないように!と何度も言われました。
しかし…。ほぼ時間通りに会ったのですが、なんとローマっ子の二人が道に迷うという、喜劇な展開…。やっとたどり着いたものの、店内は既に満員。




かなり冷え込む夕べだったので、外はちょっと、ということで、結局30分以上は待ったのではないでしょうか。おしゃべりが楽しく、全然気になりませんでしたけれど。
やっと入れたのは、オーブンの隣の席で、暑いのではないかと心配しましたが、何とか大丈夫でした。ピッツァは、満足の大きさで、確かに生地が軽い。そして、具が、みんな手作りのナチュラルな味付けで、これも軽くて、おいしかったです。




グラスも食器も、とっても庶民的で、お値段も超庶民的。
ピッツァ一枚でおなかいっぱい以上のボリュームでしたが、皆さん、ぺろりと食べてしまうのがすごい。わたしは、どうしても途中で、切るのも食べるのも飽きてしまって、どんなにおいしくても一枚はいただけないんです。
なんとなく、〆に、何か食べようか、ということになり、頼んだのがこれ。




ピッツァのデザートにまたピッツァ、こういうの、ミラノでもあるのかしら。少なくともわたしは気付いたこともなく。
イタリア人が大好きなヌテッラがぎっしりつまっているカルツォーネ(ピッツァ生地の包み焼き)。ヌテッラは、ヘーゼルナッツのチョコレートクリームで、多くのイタリア人は、子供の頃からこのチョコレートペーストとともに育っているので、ある種ソウルフード。それにしても甘くて、わたしは一口二口でギブアップ。友人の一人は、わたしの残した分まで食べたそうにしていました。よかったら、と勧めたら、「いやいや、だめだから、これ以上は…」といいながら、やっぱり視線が…。本当に好きなんだな~。

翌晩もトラステヴェレ、友人が勧めてくれた他の店に。
そして、やっぱり思いっきり迷って、店にたどり着くのに半時間ほどうろうろしたような。




イル・チャークIl Ciak(映画の”カチンコ”)という店。場所柄、もちろん観光客もたくさん来る庶民的なお店ですが、店員さんは感じよく、お安いし、なんといってもおいしかったです。

中でも、ブカティーニのアマトリチャーナには感心しました。





ブカティーニって、穴の開いているスパゲッティというか、マカロニの長いやつっていうか、そういうパスタなんですが、どうやって料理したらいいのか分かったこともなく、大体スパゲッティかマカロニでいいのに、何でこんな形態のパスタがあるんだろう、と思っていたんですよねぇ。ここのブカティーニは、実においしくて、ああ、こうやって食べるとおいしいんだ、と生まれて初めて、ブカティーニの意味が分かった…。別にブカティーニなくても、生活に困らないんですけど、でも、なんか感動的でした。

ついでに、ホテルも記録しておこう。
わたしの水準では、かなりいいホテル。レプッブリカ広場近くのホテル・クイリナーレHotel Quirinale。




ファサードも、中庭も、ロビーも、かなりゴージャス感の漂うホテル。友人がここを選んだのは、実はこのホテル、裏側でオペラ座とつながっているんです。




確かに便利なので、劇場関係者の多くは、ここに宿泊するのかもしれません。
でも、お値段とお部屋とのバランスは、かなり悪い。誰にでも目に留まる場所は豪華ですが、お部屋はかなり古い状態で、その古さがアンティークのよさとなっておらず、ただ、「古い」。清潔にはしているものの、お値段を考えるとがっかりします。
それに、サービスもいまひとつ。レセプションは、ただ機械的に働く人たちばかり。日本語が堪能な男性がいましたが、仕事だから仕方なくしゃべってるんだよ、と言わんばかり。ベネチアで素晴らしいホテルに泊まった後だけに、情熱のないホテルマンたちに、正直うんざりしました。
場所的に、そして大きさ的に、黙っていても団体客がどんどん入るんでしょうし、ここはオペラ関係者もいそうだし、がんばらなくてもいいんでしょうけれど、ビジネスとしては、これではいつかだめになると思いましたね~。
昨年、斜向かいのホテルに泊まり、お値段はかなり安かったものの、内装はずっとよかったし、レセプションもこんなにやる気のない人たちじゃなくて、ホテルは昨年の勝ち。

ま、それはともかく。
海外旅行初めての友人が、楽しく過ごせて、そして何事も大事が起こらずにつつがなく旅が終わったことが一番。わたしも、ところどころで、見たいものを見れたので、楽しかったし。

最後に、美しいローマをちょっとだけ。










ローマもまた、フォトジェニックな町です。何度見ていても、やはり撮影したくなってしまう場所がたくさん。
一方で、こういうのも、ちょっとローマっぽいかな。




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  1. 2014/05/20(火) 04:07:47|
  2. 旅歩き
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小学生もスウィング、ピアノシティ

この週末、ミラノは、「ピアノシティPianocity」というイベントで盛り上がっています。いや、盛り上がっているというと、ちょっと違うか。「我思う故に我あり」の世界で、知らなければ知らない世界っていうんですかね。町のイベントって、そういう感じ、ありませんか。




この催し、昨年、街角でポスターを見て気付いたものの、昨年は「何だろう?」と思っただけで、終わっていました。今年は、つい先日、ピアノを生業にしている友人が遊びに来たばかりだったというのもあり、せめて、これがなんだかは確かめたいと思っておりました。で、ネット検索したら、これがまた面白そうなイベント。

週末、街角や自宅やコンサート会場や、とにかくあらゆる場所で、ピアノのコンサートが開催されるんです。事前予約すれば、ハウス・コンサートにもいけちゃう。有名無名、あらゆるピアニストが、クラシックからジャズ、ポップ、現代音楽、自作音楽、何でもありのコンサートをできてしまうという、やる側にとっては夢のような、聴く側に取っても、無料でいろんな音楽にアクセスできてしまうという、なかなか面白いイベント、らしいのです。

というわけで、夕方、軽い気持ちで、イベントの総本山であるピアノ・センターに、出かけてみました。
ピアノ・センターは、このイベントの総本山ですが、通常は近現代美術館のある場所。




これは、近代美術館の裏側の広場。ここがメイン会場となっていて、多分今頃、夜のコンサートで盛り上がっているはず。
この、美術館の部屋と、付属の公園がメインの会場となっていて、そのほか町の各地でいろんなピアノが聴けることになっています。
わたしは、この週末は時間も体力もかなり限りがあるので、この会場に直行。
で、いきなり、野外コンサート。




もうおしまいの頃にたどり着いたのですが、とてもよい雰囲気で、すぐにはまり込んでしまいました。緑の中で、風のそよぐ中で、こういうのって、とっても印象的。そしてピアニストの人が、思い入れを説明したりするのも、なんだか普通のコンサートにはないことで、面白いと思いました。

プログラムを見て、次は、屋内の場所へ行ってみました。




通常は、近代美術館として使われている場所ですが、もちろんもともとは豪華な金持ちのお屋敷です。この豪華なシャンデリアや天井の雰囲気から、かつて実際にお屋敷のサロンで催されていたコンサートを髣髴とさせる雰囲気。
ただし、今日は、超満員の有様で、かなり暑苦しく呼吸困難になりそうな感じもありましたけどね。
ここも、自作曲を披露するセミプロの方のコンサート。口上があって、くすりとさせたりなんかするのが、やっぱりピアノ・コンサートというよりは大道芸系。素敵な音楽でした。

でも、あまりの人の数に呼吸困難気分を感じて、曲の切れ目に次の場所へ移動。
池のほとりにある小さな丘。




ここでも、自作曲を弾く方が。とても素敵なメロディアスな曲でした。とにかく場所が素晴らしくて。
緑。行きかう人々。はしゃいで通り過ぎる子供たち。赤ちゃんを囲む家族。タバコの煙。虫や葉のささやき。
そういうとっても日常的な音や空気の中に、ライブのピアノが響いているので、一方でとっても穏やかな緊張感が漂っている不思議。ある意味夢のように、幸せなひと時。

いいなぁと思って、近くに行ってみたんです。




そしたら、野外は、スピーカーをつけているせいか、近くだと、本物の音とスピーカーの音の変な共鳴みたいな感じで、気持ち悪くて。で、次の場所に移りました。




この公園、そういえば、ミラノに来た当初は結構来たなぁ、と懐かしく思いました。緑が多いし、英国式庭園みたいに、自然な作りこみがしてあって、街中なのに、自然ぽい雰囲気の楽しめる素敵な公園なんです。
次のコンサートもまた、自作曲を弾く方でした。袖なし燕尾服の髭おじさん。彼は語ることなく、淡々と、曲もかなり淡々としたリピートの多い長い曲ばかりでした。

気持ちのよい木陰で、うっとりしながら楽しんだ後は、イベント的なものを見ました。




会場の中庭に、10台のアップライトピアノが並んでいます。それぞれが違ったアーティストの作品のようになっているピアノたち。そのハデハデなピアノで行われていた演奏は、鍵盤をひじでたたいたり、のし棒で押したり、ピアノを太鼓のようにたたいたり、演奏者が立ったり座ったり、という演奏会でした。




それはそれで、ピアノが10台も同時になっていると、それだけで迫力があるので、面白かったですねぇ。何より、子供たちが真剣に見ているのが、面白さを語っていると思います。




そして、演奏の間中、端っこの方で、もう我慢ならん!という足踏みをしていた男の子。演奏会が終わった途端に、ピアノを弾き始めました。




この黒いシャツの子ですが、10歳くらい。もう本当に体が動いちゃうんだから!という勢いでした。それがまたうまいんで、びっくりです。ジャズ系のスイングする曲を弾きまくって、みんなに拍手されて、テレながらも何曲も披露していました。
気付くと、他のピアノも、子供たちに占領されて、思い思いの曲が響き渡っていました。
こういう風景って、まさにこのイベントが求めているものだと思います。

この週末はなんだか忙しかったけど、やっぱり行ってみてよかった~!せっかく町に住んでいるんだから、町のイベントは活用しないと、ってつくづく思いました。

とは言え、今週はミニ日本映画祭があり、インテルの長友選手が来るというので駆けつけ、一方でテニスのローマ・オープンが始まったのでテレビ観戦も必至(スポーツ観戦好き)。もう大忙し。何がって言えば、なんでもないんですけれどもね。
でも、そういう忙しさの合間を縫っても、このピアノシティは、なかなか催しだと思いました。明日も、何とかちょっとでも行けるといいんですが。

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  1. 2014/05/18(日) 06:25:39|
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ヴェラブロにリベンジできました

日本からの友人と、イタリア王道(?)旅の巻、その14

すきま時間利用の中世探訪、次は、大好きなサンタ・マリア・イン・コスメディン教会Chiesa di Santa Maria in Cosmedinです。名前だけでは分からないかもしれませんが、実はここは王道も王道。




ね。超有名観光地。
日曜日の朝っぱらなのに、相も変わらず、すごい行列ができていて、一人一枚を守ってくださ~い!なんて叫ぶ人もいて、なんちゅーか。ここ、とてもいい教会なんですが、本堂に入る人はほとんどいないし、そもそも真実の口で一人一枚の写真を取っている人たちは、教会にきている意識もないので、たまに入る人がいても、「あ、間違えた」と心中でつぶやいているのがわかって、ある意味おかしい。




こういう観光地ですから、教会も寛容、というかそうせざるを得ないんでしょう。中ではミサが行われていましたが、出入り自由。古い形の教会で、内陣前は障壁で区切られていますので、その中だけの小さいスペースに信者が集まり、外部の喧騒も、そのほかのスペースを行きかう観光客も完全無視で、皆さんミサに集中していました。ここ、どうやらギリシャ正教の教会なんですね。




大好きな浅浮き彫りの動物たちにも再会。この子達に会うためには、真実の口の行列に割って入る必要があるので、観光客に怪訝な目に見られます。でも、目的的な観光客の人たちには、わたしが何を必至に見ているかなんて、まったく興味がないんですね。ま、わたし自身も、自分の目的以外は目に入らないことが多いので、お互い様なんですけれども。

動物たちを接写していたら、こんなプレートを発見しました。





前回は気付かなかった気がします。
これ、洪水の水位を表したプレート。川のある土地では、時々見かけますね。フィレンツェでも、どこかで見た気がします。
この教会のある場所は、テヴェレのすぐ側。もともと低地の湿地だったような土地、つまり、川辺からつながっているような土地だったんだと思われます。中世時期に、テヴェレ河岸がどのように整備されていたのか分かりませんが、今ほど、川底が深くて土手も高いような状態ではなかったはず。ということは、度々洪水が会ったのかもしれません。
このプレートは、1900年の洪水のものですが、そのとき、教会も、相当やられてしまったということですね。

さて、ここまで来たからには、前回は結婚式で中に入れなかった、サン・ジョルジョ・イン・ヴェラブロ教会Chiesa di San Giorgio in Velabroにリベンジに行かねば。ここは、友人にお願いして、付き合ってもらいました。




ただ、内部には何があったのか、すっかり忘れていました。




外部の古典的な様子から一転して、なんと新しい!
なんだったっけ?と後陣に近づき、フレスコ画に気付きました。




そうそう、そうでした。好きな人も多いピエトロ・カヴァッリーニPietro Cavalliniでした。1300年の作品。個人的には、このあたりの時代の絵は、かなり苦手部類に入ります。でも、これ修復の賜物でもあるのでしょうか、色がとってもきれい。背景の青緑色、大好きな色です。
わたしの興味は、どっちかというと、壁にはめ込まれている多くの碑文とか、古い時代の浅浮き彫り。





浮き彫りで不思議だったのが、このサークル。




左後陣の壁にはめ込まれていたんですけれど、古い時代の浮き彫りが施されて、見事に円形。




破片をつなぎ合わせて円形にして、絵でもはめ込んでいたのか知らん。とっても不思議でした。
ここは、サイトを作った際には情報も写真もなかったので、今回撮影したものと、入手した情報で、サイトをアップデートすることにします。いつか…。

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  1. 2014/05/16(金) 05:39:30|
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王道といいながら…やっぱり修行…

日本からの友人と、イタリア王道(?)旅の巻、その13

王道旅だから、基本的には封印、と思っていたのですが、どうしても中世を求めてしまいますねぇ。友人の希望優先の旅だったので、積極的に求めることはしなかったのですが、近所を通りかかれば、やはり、ちょっと確かめたくなってしまいます。確かめるというのも変なんですが、そういう気分になるんです。
友人も、わたしがはまっていることに興味はあるので、本当にすきま時間だけを利用して、いくつかわたしがはまっているものの実物を紹介する機会を得ました。

二晩とも夕食をとったトラステヴェレで、ローマの友人たちとの約束時間より、ちょっと前に到着した時間を使って、サンタ・マリア・イン・トレステヴェレへ。




夕暮れが近づいている時間でしたから、教会の中は薄暗いのに、なぜか後陣だけ、明かりが灯されています。これからミサが始まるのかと思いきや、いきなりパイプ・オルガンとソプラノが響きだしました。なんとコンサート・イベントの最中だったのです。




幸いにも、後陣に近づくことを止められることもなく、美しい音楽を聴きながら、夢見心地で、黄金のモザイクの側へ。
この教会の薀蓄については、以下、本業のサイトの方で、語っていますが、あまり写真を掲載していないので、今回撮影した美しい写真を追加すべきかどうか、考えています。





前回訪ねたときは、コインを入れて何分か明かりをつけるという状態で、実際に目でも楽しみたいために、写真はかなりおざなりな内容になってしまいました。今回はコンサート中、びっくりするくらいに明るく煌々としていましたので、細かいところまでよく見ることができたし、撮影も落ち着いてできたんです。ラッキーでした。
テッセラ(モザイクの一片)の粒々まで、撮れています。




中世当時はどうだったんでしょうか。
後陣は東に向いていますから、朝日の当たる時間は、逆光のようになり、おそらく真っ暗。夕日が差し込む開口部があれば、そこに当たる部分だけはきらきらしたと思いますが、今の建物はともかくとして、当時の開口部では、そこまでの日差しを取り込むことはできなかったはず。
大規模なミサがあるなどの際は、ありったけの蝋燭などを灯すことで、きらきらを目にすることができたのでしょうか。天井に近いこの神の手のある場所などは、おそらくほとんどの人が目にすることができなかったのでは。




それなのに、この細かいモチーフのびっしりぶりには、ただ呆然としてしまいますね。煌々とした中で、黄金がますます光り輝き、天上もかくや、と思うような。大げさでしょうか。

この教会は、マリアに捧げられていますので、マリアの生涯が、パネルで描かれています。それも今回はじっくりと拝見。以下、各パネルのマリアをアップで。








受胎告知のマリアと、そしてご昇天のマリア。





はっ…。
つい中世にのめりこんでしまいましたね。
ともかく、友人は音楽にうっとりとして、わたしは改めてモザイクにうっとりとして。本当は疲れた身体を休めるべく、お茶でもしようと思っていたすきま時間が、どちらにとっても、至福の時間にはやがわり。っていうか、お茶もせず歩き続け、結局修行旅状態…。
ということで、他の中世は次回。

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  1. 2014/05/15(木) 05:54:32|
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