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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

とめどなく試飲、ドメニス

グラッパ合宿、フリウリ+ベネト、その1

この春に出かけたフリウリ、グラッパ合宿の記録、今頃開始です。

グラッパ合宿は、2013年秋から、ボローニャ在の友人たちと始めたもの。
友人たちとワイン・ツアーはしていたのですが、彼らがグラッパにはまった影響から、わたしも、長らく口にすることがなかったグラッパに回帰して、それなら、次回はグラッパに特化してみよう、という思いつきで、まずは、ワインでなじみもあったピエモンテで、第一回の合宿を実施しました。
第二回をフリウリにしたのは、2013年夏に、わたしがフリウリの中世を訪ねた際、有名なグラッパ生産者を訪ねたことがきっかけとなり、彼らも同地を訪ね、では、次回はフリウリに行ってみよう、という次第。

待ち合わせは、パドヴァ郊外。その地に暮らす友人宅近くに、わたしの車は売っちゃって、友人たちの車に同乗して、フリウリとベネトを二泊で回りました。
最初に目指したのは、今回の旅のきっかけともなったチヴィダーレ・ディ・フリウリです。




まずは腹ごしらえ。





2013年夏に訪ねたときは、お休みで、お食事する機会がなかったロカンダ・アル・ポモ・ドーロLocanda al Pomo D'oro。ここは、宿にもなっていますが、エアコンがなさそうだったので、宿泊は避けたのでした。
伝統的な内装ながら、お皿はなかなかお洒落な感じ。どっさりがっつり、ではなくて、きれいな盛り付けで、お味も上品なものでした。





プリモ(クレスペッレ)とデザートで軽く。

そして、いよいよグラッパの旅、開始。
まずは、チヴィダーレの町の郊外にある、お気に入りの蒸留所ドメニスDomenisへ。

Distilleria Domenis Srl
Via Darnazzacco 30
Cividale di Friuli (UD)
www.domenis.it




町から、車で5分強という近さですが、周辺には、ブドウ畑が広がり、ワイン醸造所もひしめいています。アメリカ発の料理リアルティ「マスターシェフ」で有名なジョー・バスティアニチのワイナリーも、ドメニスのすぐ近くにあって、にぎわっています。
でも、われわれは、わき目も振らず、地味なドメニスに直行です。

ここは、地域では、最も愛されている蒸留所です。比較的近くに、全国区で有名なノニーノがありますが、少なくともチヴィダーレでは、誰もがドメニス・ファン、という感じ。ドメニスも、それなりの生産量があるはずですが、ノニーノほど全国展開に重きを置いておらず、あくまで地域で生きるって言うカルチャーが出ているのが、地域での好感度を高めているのかも。
よそ者に取っても、ここの気取らない対応が、とっても居心地がよいのです。

初めて訪ねた2013年夏は、一人でしたが、対応してくださる女性は、きびきびしている上、何も知らなかったわたしに、押し付けがましいことなく、上から目線になることなく、次々と多種のグラッパを、惜しげもなく、試飲させてくださいました。立派なテイスティング・ルームがあるわけでなく、倉庫の片隅にあるカウンターのみ、というのも、気張らない雰囲気で、かえって気楽です。




そして、車で5分なのに、チヴィダーレの街中の酒屋さんに比べると、お値段がかなり安く設定しているし、何より、これは在庫が半端だから、とか、ラベルが新しくなったから、と、半額程度の値段で売ってくれるので、ますます、わざわざ来てよかった!と思わされます。
その時は、まだあまり飲んでない時期だったけれど、思わず4本プラス小瓶を数本も買ってしまい、向こうも驚いたのではないでしょうか。

今回は、友人とあわせて三人ですから、さらに気楽に、勧められるままに試飲。
またバーゲンもあったので、それも含めて、4本購入。




両端の瓶が、確かかなりお安くなっていたもの。Futuraは、今月ずっと飲んでいて、そろそろおしまい。50度のを、今夜ちょっと開けてみようかと思っているところ。ここのは、基本的にアルコール度が高くて、それでもすっきりと飲みやすいのです。
去年購入したStorica Dieci(定番ブランド、ストーリカの10年熟成モノ)は、まだ未開栓。普通のストーリカは、すべて終わってしまったので、次回は、ストーリカを買ってこようかな。って、春の合宿に、既に思いを馳せています。



(夏の写真です。)

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  1. 2014/10/31(金) 06:29:25|
  2. グラッパ
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(多分)サムソン、やっぱり好き。

アストゥリアス・ロマネスク21

ヴィラヴィシオサVillaviciosaのサンタ・マリア・デ・オリーヴァ教会Iglesia de Santa Maria de Oliva続きです。

ファサード側の正面扉の装飾。




扉上部の、アーチ下部分にある縁取り装飾とか、ファサード上部にあるバラ窓の感じが、ほぼゴシックだったので、これは見なくてもいいものかも、と思い込みそうになりましたが、よく見たら、側柱装飾も、アーキボルトの装飾も、しっかり古い時代のものです。




扉前にアーチが飛び出す構造になっていますが、その上に並んでいる軒送り状の突き出た石部分にも、おそらくオリジナルでは、ちゃんと彫刻があったものでしょう。全体に、おそらくプレ・ロマネスク起源の雰囲気と、その後のロマネスクの構造が、きちんと残っている教会です。

両側の側柱上部に、結構大きい人物像が、並んでいます。




女性男性が混ざっていると思うのですが、どの像も、顔の部分が壊れているのが、痛々しい。そして、残念です。こういう風に全部の柱に人物って珍しいような気がします。それも、どうもプロポーションが、微妙に違うって言うか。




柱の表面に、それぞれ異なる浅浮き彫り、上部には、凝った彫り物の柱頭および副柱頭、そしてアーキボルトにも、植物や幾何学モチーフの浅浮き彫り、と、一見地味ながら、なかなか石工の力量、惜しげなく大奮発、という装飾になっています。





その場では、よくわかりませんでしたが、最も彫りこみの多いこれなど、よく見ると、サムソンかしら?あまりイケメンではないけど、髪が長いし、右の方にライオン状の獣が見えますね。右手にいる人の顔がまん丸で、南側扉装飾と同じ石工さんと分かります。

これまた不思議な物語的柱頭。





正面側では、イノシシ狩りらしい様子で、扉向きの面には、不思議な姿勢の人がいるんです。これらは左側にある柱頭で、右側の方は、摩滅具合が激しく、また、モチーフは、割と普通な感じ。





おっと、さくさくと、外観全部まとめるつもりが、つい長くなってしまいました。もう一回、続きます。

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  1. 2014/10/29(水) 04:23:36|
  2. アストゥリアス中世
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大失態!

グラッパ合宿、プロローグ

この週末は、半年振り、都合3回目のグラッパ合宿でした。
この春のフリウリに続き、ピエモンテは昨年秋以来、2回目のツアー。二泊三日の短い旅ですが、グラッパ的には、とてつもなく濃い内容です。

次の週末まで、片付ける気力なしの、戦利品。




都合、グラッパを14本、プラス、小瓶を2本、友人からのお土産小瓶2本。ワイン2本、プラス、宿泊したアグリツーリズモのお土産1本、友人からのお土産1本。狭い我が家のどこに、これだけのものを保管するというのだ?という量です。グラッパ棚、すでにして小さすぎです。とは言え、どうせ日々消費するものだから、なんとかなるでしょう。

春のフリウリの旅もまだ、アップしていないので、これから少しずつ、合わせて記事にしていくつもりです。グラッパ好きな方、そして田舎のイタリア飯好きな方、お楽しみに。

プロローグとして、今回わたしが犯した大失敗をひとつ…。

いつもの合宿同様、同行はボローニャにお住まいの友人たち。
昨年は、わたしが列車で途中駅まで出かけ、ボローニャから北上してくる彼らに鉄道駅前でピックアップしてもらい、そこから一緒にピエモンテへ移動しました。しかしそれだと、帰りに戦利品を全部持って買えることができず、そのときは、購入した大半を、友人宅に預けることとなり、約半年後に、やっと引き取ることができました。
それがちょっと寂しかったので、今回は、わたしも車で出かけ途中の町で合流、安全そうな場所にわたしの車は置いといて、一緒に移動する、という計画を立てました。合流に都合のよい辺りに暮らす友人から情報をもらって、駐車に適切な場所も見つけ、ほぼ約束の時間に合流、滑り出しは順調でした。

久しぶりだったので、会うなり、お互い機関銃のようにおしゃべりしながら、荷物を積み替え、いざ出発。
お天気はいいし、ドライブは順調。
おしゃべりが一息したところで、ふと、あれ?車の鍵をどこに入れたかな?と思いました。バッグの中、ない。ジャケットのポケット、ない。お尻の下、ない。どうして?と真っ青に。考えられるのは、自分の車に刺しっぱなしで忘れてきたということ。

私の車、トランクを開けるのに、キーを差し込む必要があります。荷物を取り出して、トランクを締めたあと、よく覚えていない…。
とりあえず、車を停めた町に住む友人に電話。しかし、彼女も、今旅行中だと。結局、同行の友人には申し訳なかったけれども、出発地点に引き返すことに…。既に、4,50分は走っていたので、恐縮の至りでした…。

しかし鍵が刺さったままということは、悪意のある人が気付いたら、トランクの中のものを持っていくとか、最悪は、車ごと持っていかれることになるし、鍵が刺さったままであったとすれば、保険も下りないよなぁ、と気持ちは暗くなる一方。
10時半ごろ出発した地点に、戻れたのは12時。
どきどきしながら車の在りかに近づくと、ありがたいことに車はあり、トランクには、しっかりと鍵が刺さっていました!田舎は安全だとは聞いていたけれど、いやはや、ありがたかった!
それにしても、車も鍵かけておらず、自分にあきれました。鍵するのを忘れることは、これまでも何度かあるのですが、ここまでひどい失態は初めて…。ぼけてるのか?われながら恐ろしい事件でした。

でも、実はつい1ヶ月ほど前にも、ある意味、もっと恐ろしい失態を犯したんですよねぇ。だから、今回もひどいことながら、ちょっと耐性できていたところもあります。

その顛末。
その日は、久しぶりのロンドン出張でした。7時ごろ家を出て、近所からタクシーに乗って、空港に向かいました。タクシーに乗った途端に、パスポートの所在を確かめ、いつもだったら、あるべき場所にあれば安心するのに、なぜかそのときは、わざわざ取り出して、中身を見てみたのです。
え?生年月日が違う?
パニック。既に4年使用しているのに、普通に日本で暮らしている人に比べると、ずいぶん多く使用しているのに、誕生日間違えたまま?もらったとき、確かめなかった?
この辺の思考、かなり一瞬で、走馬灯状態。
そのあと、顔写真に目が行き、名前に目が行き、あああ、これ、友人のじゃん~!と分かりました。でもなぜ、友人のパスポートが手元に?で、また一瞬パニック。

はっとわれに返り、タクシーの運転手さんに、車を停めてもらい、慌てて、パスポートの持ち主である友人に電話。電話を受けた友人は、わたしのただならぬ声音に、事故でもあったと思ったそうです。
すぐにパスポートを確かめてもらったところ、無事、彼女の手元に、わたしのパスポートがあることが分かりました。

何でこんな「取替えばや物語」になったかといえば、夏休み中に彼女と一緒だったフランクフルトのホテルで、パスポートを返してもらった際に、二人が二人とも、中身を確かめないで受け取ったということなんです。旅慣れしている二人が二人とも、確かめないって、ありえない~!あまつさえ、その友人は、そのあとスイスに出かけたのに、なんと、パスポートを忘れていったという…。その上、パスポートなして、出入国したというつわもの…。って言うか、気づけよって事ですよ~!

ともかくすぐに出発し、家近くの通りで待っていてくれた彼女とパスポートを交換し、大慌てで空港に向かい、事なきを得ました。タクシーの運転手さんは大笑いするし、自分でもあきれるわ笑えるわ…。
それにしても、ここで気付いたからよかったものの、もし空港で気付いていたら、万が一、ロンドンに行ってから気付いていたら、また、もし友人が不在だったら、彼女が空港に向かう通り道近くに住んでいなかったら、など考えると、すべてがうまくいった、あまりの幸運に、めまいがしました。ああ、ずいぶんと幸運の無駄遣いをしたもんです。

しかし驚くのは、超鈍感なわたしにして、何か虫の知らせ的な感覚があったこと。
どちらの事件も、何か居心地の悪い、何かを忘れているような感覚に襲われて、結果として、吉だったんですよね。これが一番びっくりしたことかな。

何かざわつくような感覚がしたときは、じっくりと点検とか、確認とかすることを強力にお勧めします。って、何の話か分からなくなりましたが、では、グラッパ合宿、お楽しみに。

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  1. 2014/10/28(火) 06:56:51|
  2. グラッパ
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こういう石工さんの仕事を、眺めたい。

アストゥリアス・ロマネスク20

アマンディで、お祭りの雰囲気に触れてつい長居をしてしまい、次の目的地への到着時間は、予定より遅れ気味。目的の教会の、午前中のオープン時間は13時まで、ということでかなり急ぎ足となりました。
教会は比較的すぐに見つかったのですが、その周辺に駐車できそうもなく、虚しく前を通り過ぎ、ちょっと街中をぐるぐるする羽目になり、やっと駐車した時点で、既に13時を過ぎてしまいました。
あきらめて、早めのランチにしてしまおうか、とも思いつつ、確認だけでも、と教会に戻ったところ、なんと開いていました~!
ヴィラヴィシオサVillaviciosaのサンタ・マリア・デ・オリーヴァ教会Iglesia de la Santa Maria de Olivaです。




入り口に、この教会は、毎日、朝9時から夜9時まで開いています、とありました。夏の期間だけのはずですが、それにしてもありがたかった~!
それでも、あちこちでだまされてきているわたしとしては、信用できないので、まずは、現在の入り口となっている南側の扉から、そそくさと内部拝観です。




おお、地味。っていうか、修復も激しくて、これは見るものなさそう…、という印象。でもディテールを探っていくと。




不自然な唇と、合わせた前足の先っちょが愛らしいライオンの柱頭があったり。




何でこんなことになっちゃったんだろう、という不思議な配置の柱が並んでいたり。




新しそうなんだけど、妙に味わいのある祭壇があったり。というわけで、意外に楽しめる教会でした。全体の雰囲気は、やっぱりないですけど。
落ち着いた気持ちで、南側の入り口に戻り、その周囲の装飾を見学しました。




すっきりとした半円アーチ。石の色も明るくて、清潔感がある、シンプルで美しい入り口ですねぇ。装飾は、柱頭の彫り物。
右側。




下膨れのお顔がかわいいです。狩?右側の動物は獅子がいのししを襲っているんです。漁夫の利、的な?




左側。




単純な植物モチーフかと思うと、こちらにもまあるい顔が見えます。





なんか、とても不思議で面白い絵になっています。なんだろう?葉っぱの陰に二人の顔があって、葉っぱの下には手が見えているようで。顔の感じは、アマンディとも共通しますよね。全体のバランスとか、植物を複雑に意味深に描いていることから、なんか特別な石工さんがいたのかしら、思えます。
上下にあしらわれている幾何学的な、植物的なモチーフの帯も、気に入りました。わずかな装飾だけど、すごい。気の合う石工さんです。

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  1. 2014/10/22(水) 04:27:44|
  2. アストゥリアス中世
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9月に読んだ本、備忘録

わたしの読書時間は、通勤の地下鉄と、寝る前のベッドが中心なのですが、そういう状態だと、とても細切れになってしまったり、集中力に欠けて、読んだ部分が全然頭に入らないことも多くて、元に戻ることばかり。嫌になります。やはり読書は、まとまった時間に一気に読んだ方が、楽しめますね。

「天地明察 上・下」沖方丁(角川文庫)=いまどきの小説って感じ?テーマは面白いし、読ませるんだけど、なんかすべてが浅くて、上滑りする感じで、普段本を読まない人向けって言うか。大体、たいした枚数じゃないのに上下にしているところが、とっても気に入らない。この辺、角川臭?

「夜のフロスト」R D ウィングフィールド(創元推理文庫)=「夜のフロスト」を読んでからずいぶんと間が開いてしまいましたが、やっと、入手できました。やっぱりフロストは面白い~!面白いお話は、長くても、細切れで読んでも、後戻りすることもなく、ずっと楽しめますねぇ、やっぱり。素敵。ディテールが楽しめるこういうタイプの小説は、性に合うみたい。エド・マクベイン的な。

「西ゴート王国の遺産」鈴木康久(中公新書)
「ヨーロッパの中世美術」浅野和生(中公新書)
「大聖堂」パトリック・ドウムイ(白水社、文庫クセジュ)
この3冊は、ずいぶん長い間積読で、時折手に取ってぱらぱらしていたのを、今回ざっくりと斜め読み。だから、あまり頭に入っていません。西ゴートは、夏休みの旅行記のために、年代とか王様の名前を調べるために、一部抜粋読みなので、ますます頭に入らず。だめですねぇ。でも、どの本も、楽しめる部分があるので、これからも手元に置いて、なんとなくぱらぱらしていくんだと思います。要は、いつまでも積読のカテゴリーにある本。

「近代日本の異色建築家」近江栄、藤森照信(朝日選書、朝日新聞社)=面白いです。ベネチアの建築ビエンナーレのあとに、やはり積読だったこの本に手が出ました。夢見る十代の頃愛読していた詩人、立原道造が、建築をやっていたとは露知らず。いろんな分野に手を出すもんですね。

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  1. 2014/10/21(火) 01:46:57|
  2. 読書、備忘録
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18禁軒送り、最初の遭遇

アストゥリアス・ロマネスク19

アマンディAmandiのサン・フアン教会Iglesia de San Juan、続きです。




外は、こういう感じで、ファサード前に大きなテラス状のスペースがくっついています。ファサードも新しいし、当然この部分も、後付の建築なのでしょう。
お祭りの行列の到着を、村人がわくわくとしながら待っています。このスペースは結構広いので、狭い村の中で、人々が集まる場所として、今でも役立っているものと思います。

そのポルティコの下に、正面の入り口があります。




アーチが、重厚に幾重も重なっていて、開口部がとても小さいです。周辺部の装飾、シンプルですが、石っぽくて素敵。
柱頭は、かなり凝った植物モチーフですが、右側のひとつだけは、フィギュアが彫りこまれています。




角っこに置かれたフィギュアは子供サイズ。よく見ると、右手でピース・サインのような祝福のしぐさをしているので、おそらくジェズ・バンビーノ。でも、全体の場面はなんでしょうか。いつまでたっても聖書のストーリーが頭に入らず、すぐにお話と結び付けられません。

両脇にも小さな扉がありますが、装飾はとってもシンプル。
後陣に回り込みます。




古び感が、なかなかいい味を出しています。とても赤い石。撮影の場所によっては、いわゆるレンガ色に近い赤さで写りました。設定を変えたわけではないのですが。




ここで初めて、今回、事前学習で気になっていた、軒送りの変なもの達に遭遇しました。





このあと、もっとすごい軒送り特集が続々と出てきますけれど、これが最初。あ、こういうのか~、と楽しみました。相当摩滅も激しくて、きちんと残っているフィギュア系が少ないのですが、それでも、最初だったし、興奮。結構、18禁的な性的表現も多いのが、ここらの軒送り彫り物の特色。左のなんか、そういう世界ですよね。

後陣、窓周辺の装飾も楽しかったです。




チェッカー模様や植物モチーフによる帯装飾もいいし、小円柱に乗っかる小さな柱頭も、どれも楽しいんです。特に右側の、獣が口をあけて、柱を加えているタイプは、かなりあちこちで目にしたモチーフ。でも、ここ以外で、あまり見たことがないような気がします。どうでしょうか。

なんとなくおどおどした風の人々の表情に、親しみを覚えてしまう柱頭。





Villaviciosaという、結構大きな町の、郊外といえるほど近くにありながら、とても素晴らしい教会を持つアマンディ。歴史などはこれから調べるのですが、相当お金持ちの領主がいたとか、そういうことなのかな。このあとに訪ねる、その近所のヴィラヴィシオーザにも、ロマネスクの教会があり、なかなかかわいらしい彫り物がたくさんあります。距離を考えれば、同じ石工集団がかかわっていると考えるのが当然ですが、雰囲気が違うのが面白いですよ。

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  1. 2014/10/20(月) 01:46:43|
  2. アストゥリアス中世
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ご神体はパン…

アストゥリアス・ロマネスク18

急ぎ足で訪ねた次の場所は、アマンディAmandiのサン・フアン教会Iglesia de San Juanです。
ここは、びっくりするくらい簡単にたどり着いたのですが、これまたびっくりするような坂道の天辺に、教会がありました。




これ、写真で見ると、たいしたことないと思うかもしれませんが、実際に坂道の麓で見たら、相当傾斜しているんです。

ナビに従ってこの辺りにたどり着いて、あれが教会とわかったものの、この坂道には、ちょっと躊躇しました。普段だったら、麓に車を停めるところですが、レンタカーの性能がよかったので、つい本来はできない坂道発進もできるような気になって、坂道を登り、いきなり大後悔。だって、本当にすごい坂道だったんです。坂道発進が苦手な場合、坂道を登り始めたら、絶対に途中で止まるという選択はないですからね。それで大後悔。

その上、村のお祭りらしく、教会の周囲は大混雑。
やっとの思いで、教会脇の道でユーターンして、下り向きに停車。こうしとけば、少なくとも発進の心配はなし。
それにしても、人がどんどんとやってきます。外観は後からでもチェックできるので、慌てて教会に入りました。

で、いきなりすごいインパクトの内陣に呆然としました。




実は入ったときは、薄暗かったんです。でもすぐに、有料の明かりに気付いて、1ユーロを投入した途端、この有様。写真だと、なかなかわかりにくいかもしれませんし、その上、上部が、後代の修復で漆喰の真っ白になっている分、中世的なインパクトが薄いかもしれないんですけれど、実際には、ただ呆然のインパクトだったんです。
だって、それぞれのアーチの元にある、すべての柱頭が、ちゃんと彫り物があって、すごいんです。




細部は、その場で、肉眼では見えないんですが、でもどの柱頭も、本来なら近づいて触りたいくらいの素晴らしさであることはすぐ分かりますから、ズームで写真とりまくり。




どれも、プリミティブな植物モチーフを伴って、素敵に古い時代らしい愛らしさ、全開です。





夢中になって、祭壇部分に入り込みそうな勢いで撮影していたら、かすかに、「ちっ」という舌打ちのような気配を感じて、ふと振り返ると、内陣ぎりぎり、つまりかぶりつきの席には、既にかなり熱心そうな信者さんたち(主に、白髪の女性)が座っていて、わたしの行為を、苦々しく観察しているようだったんです。
おそらく、お祭りに連動したミサが始まる直前だったので、信者さんが三々五々集まりつつある中、特に熱心な方が既に着席されていた中で、それをまったく無視するように、得体の知れない東洋人が、写真に夢中になっている、と、そういう図だったわけです。

というわけで、その雰囲気に気付いてしまった以上、それ以上は続行できず、すみませんねぇ、という顔を作りながら、フェードアウトに努めた、小心者のわたくし。

外に出たら、かなりの村人が押し寄せてきている状態。近くには、民族衣装の子供たちもいました。




坂の下の方から、行列が登ってきます。





なんだろうと思ったら、ご神体(?)は、パンとか地域特産そうなチーズやハムでした。ようは収穫祭的なものなんでしょうね。坂の上の教会周辺に集まっている村人からは、拍手が起こっていました。

お昼休みの前に教会に入りたいと思って、ヴァルデディオスの最後をはしょる形で、車を飛ばしてきたわけですが、その甲斐がありました。もうちょっとで、このお祭りのおかげで、本堂に入れなかったところ。よかった~。

この教会、外観もそれなりにかわいいし、見る価値があるのですが、それでも、中に入って後陣を見ないと、どうしようもないですから。
というわけで、外観は次回。

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  1. 2014/10/18(土) 06:52:39|
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浮世絵トリップ

ベネチア、建築ビエンナーレ2014、その11=最終回

ジャルディーニの見学を終えて、そのまま帰宅、というのもありだったのですが、時間に余裕があったので、ビエンナーレ協賛企画のひとつを見学していくことにしました。事前に、友人からフライヤーをもらっていて、ちょっと気になっていた展示です。
会場は、サン・マルコ広場から、運河を隔てた対岸にあるサン・ジョルジョ・マッジョーレ島。




ここは、とても思い出深い島です。
今を去ること、二十数年前、初めてベネチアを訪ねたとき、この島に渡って、この写真に見える教会の鐘楼に登りました。
サン・マルコ広場の鐘楼に登らず、なぜかこちらの鐘楼に登ったのです。

そのときのイタリア旅行は、すべてが思いつきで、ガイドブックもなければ、何の計画もなく、ただ気の向くままに歩いた旅でした。ベネチアについても、ほとんど知識がなく、どこで何を見たらいいのかも分からないまま、ただ、ベネチアは見たい、と思ってたどり着いたのです。
サン・マルコの対岸から、ベネチア全体を見ようと思ったのかもしれません。

真冬で、二泊ほどの滞在中は雪で、それ以来お目にかかったことのない、雪景色のベネチアでした。人も少なく、骨が凍りつくような寒さのなか、島に渡り、盲目的に鐘楼に向かいました。多分そのときに、声をかけられたのです。今ではそれが、教会守の方だったのか、聖職者の方だったのかよく覚えていないのですが、記憶の中では、法服をめされた方だったような気もします。
当時は、イタリア語はまったくできませんでした。でもおそらくその方が、この寒さの中、よくこんなところまで来てくれた、というようなことをおっしゃって、わたしの冷え切った手を握って、一緒に鐘楼に登って、いろいろと説明をしてくれたのです。

今思えば、やばいんじゃないか、というような状況でもあるのですが、そのときは、ただイタリア人らしいホスピタリティを感じ、暖かい気持ちになっただけ。当時のわたしは、イタリア人の年配の方から見れば、きっと高校生くらいにしか見えなかった可能性がありますから、純粋に「東洋人の子供が一人で、こんなところで何してるんだろう?」位に思って、心配されたのではないかと想像します。

その旅行中は、レストランに入れば、店の人が常連さんを相席にあてがってくれたり、ひとつ質問すれば10も20も答えが返ってきて、挙句、求めていもいない場所に連れて行かれたり、ということの連続でしたから、多分、あちこちでそういう風に皆さんが考えて、心配してくれたのかもしれません。おそらく、そういうことの結果として、これだけ長く住んじゃったような気もします。

実際、わたしの中でも、そのときの旅は、忘れがたい思い出が満載。その旅で最後の地となったベネチアは、雪景色も含めて、余りにも特別。そういうこともあって、それ以降サン・ジョルジョに渡ることがなかったのかもしれません。
あるいは、単に水上バスが高いから…。

さて、今回サン・ジョルジョで展示されていたのは、モンドリアン風ガラスの茶室。杉本博さんの作品です。
が、船が島に近づくと、いきなり見えてきたのが、こちら。




黄金の角柱が、ドシンドシンというボリューム感で、教会前の広場に屹立しているのです。
遠くにサン・マルコ広場を望んだ、こういうロケーション。




これは、かっこよかったです。

THE SKY OVER NINE COLUMNS
Fondazione Giorgio Cini
by Heinz Mack Curated by Robert Fleck

ドイツ人アーチストの作品。
7.5メートルもの高さの、黄金のモザイクで覆われた角柱が、シンメトリーに9本。昼間は太陽の光に輝き、夜は月の光を反射するという効果を狙った黄金のモザイク。もちろん、サン・マルコ寺院の黄金のモザイクへのオマージュでもあるのでしょう。なんと、85万個のテッセラ(黄金の切片)で覆われているのだそうです。地元の職人さんを動員して製作した、本物のモザイク細工。驚異的です。

あいにくの曇り空でしたが、それでも黄金は神々しかったです。わずかな光でも、水の反射もあるベネチアだからこそ、ですかね。運河やサン・マルコを借景に、まさに、その場でそのときだけになされるインスタレーション・アート。




ちょっと気もそぞろになりながら、当初の目的である茶室に向かいます。
メイン会場の見学者も少なかったこの日は、島に来る人はもっと少なくて、そのせいで、展示場所を探すのも、戸惑いました。普通は、人の流れに乗っていくと、なんとなくたどり着いてしまいますけれど。




曲がり角ごとに、ちゃんと案内板が出ていましたけれど、でもこれだけ人がいないと、なんとなく不安になります。

そして、ちょっとだけ内陸に入った緑の茂みの中に、展示がありました。




わー、何だろう、これ。全体に日本的な雰囲気があるけど、池は、青いモザイクがしかれていて、まるでプール。
ありました。

THE GLASS TEA HOUSE MONDRIAN
By Hiroshi Sugimoto




確かに茶室。小さい入り口もしっかり。
プールには飛び石というか、通路が設けてあったので、近くまで行ってもいいのかと思って石に乗ったら、いきなり怒られました。
隅っこの方でスマホに夢中になっている様子だったおにいちゃんが、実は展示の係員だったのです。
なんだ~、残念。
後ろのほうにも通路があったので、もしかしてそちらの方からは近づけるのかと、懲りないわたし。

通路には、生垣ではなく、なぜか竹箒がずらりと組まれています。




何だろう、このアイディアって。ちょっと似非日本って感じもして、好きになれないアイテム。
裏側にも扉があって、飛び石があるので、そちらを狙ったのですが、柵で閉ざされて、やはり近寄れませんでした。もしかしたら、日によっては、中でパフォーマンスとかもしていたのかもしれませんね。




この頃には、雨脚が強くなって来ました。でも、私以外には、二人ほど見学者が来ていただけで、とても静かな会場。雨が落ちる音すら聞こえそうな静寂で、不思議な気持ちになりました。明らかに西洋の入った和の風景なのに、浮世絵の中に入り込んだようなトリップ感。

というわけで、締めとしては、なかなかよい展示に出会うことができて、大変満足でした。
これで、今年のビエンナーレ詣で、完了です。また、来年のアートを楽しみに待ちましょう。




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  1. 2014/10/16(木) 06:23:11|
  2. ヴェネチア・ビエンナーレ
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正統派!

ベネチア、建築ビエンナーレ2014、その10

ジャルディーニの、中央パヴィリオンに到着。ジャルディーニの見学も佳境です。




今回の中央パヴィリオンの展示は、とっても正統的な建築展、基本に忠実な内容になっていました。
でも、入ってすぐは、それが分かりませんでした。最初の大きなスペースには、大スクリーンがあり、映画の場面が、細切れに延々と流されています。




なんとなく引き込まれて、開いている椅子に座って、しばらくゆっくりと鑑賞。
どうやら、建築がクローズアップされる場面を、テーマごとに流しているのでした。廊下とか、窓とか、部屋とか。すべて細切れなのですが、面白かった。同じ窓が、撮られ方ひとつで、喜劇にも悲劇にもホラーにも効果的な事実。
ひいては、建築がいかに現実生活にかかわっているものか、というようなことを感じさせられました(実際のスペースは、もっと暗くて、倉庫の中にガラーンとした映画館がある感じ。そこを、見学者がひっきりなしに行きかっているので、なんとも不思議な異空間になっていました)。

で、このスペースを囲むようになっている場所に、建築資材とか、内装素材とかが、いろいろ展示されているのです。
壁材って言うか、仕切り材のコーナー。





レンガや木材やガラスや、そして障子の類まで。障子の種類など、あまり考えたことなかったので、日本人の癖に、説明書きに、しっかりと食いついてしまいました。

便器のコーナー。





紀元前のものから、ウォシュレット(イナックス)まで、展示されていました。それにしても、ロココっぽい陶器のハデハデ装飾の便器は、ちょっとすごいですね。19世紀後半のチェコのもので、注文制作されたとか。




窓のコーナー。
ほしいなぁ、と思わずうっとりする窓もありました。どの部位も、歴史的なスタイルなしには、今のスタイルはないってことなのかな。
楽しい床材。




ぴゃんぴょんすると、そこの床の色が変わって、発電する仕組みになっているようでした。かなり飛び跳ねても、できる発電は、ほんのちょっとでしたけれど。
バルコニーのコーナー。




手堅い展示。ところどころ遊び心があるとは言え。

このパヴィリオンから出口に向かって、スペイン館などいくつか並んでいるのですが、わたし的には特筆するべき展示はなし。ということで、ジャルディーニも終了です。

本当はこのまま帰ってもいいくらい、相当疲れていたのですが、実は、今回、何十年ぶりに訪ねたい場所がありました。
というわけで、ビエンナーレ、もうちょっと、続きます。




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  1. 2014/10/14(火) 05:47:11|
  2. アートの旅
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絵馬?ビエンナーレに…。

ベネチア、建築ビエンナーレ2014、その9

ジャルディーノ会場の、川向こうの部分を散策しています。
ベネチア館。




展覧会というものは、容れ物とのコラボがとても重要ですね。
たとえば大規模な作品の多い現代美術だと、天井の高い巨大スペースが適している、というか、そういう場所じゃないと展示できないとか。遺跡やお城など、歴史的建造物が展示会場に使われる場合、その特別な効果をどうやって最適化するのか、とか。

ジャルディーノ会場の歴史はかなり古くて、もちろん、美術ビエンナーレの歴史が100年以上あるからと言って、100年前の建物を使っているわけではないですが、それでも、各国パヴィリオンは、かなり古い時代に建てられたものが多いのだと思います。正直、どれもが現代的な展示をするに最適かと言うと、まったくそうではない建物が多いと思います。

このベネチア館も、細い通路が、半円状になっているという特殊な形ですが、いつもそれをうまく利用した展示をしているように思います。
今回の展示は、ダニエル・リベスキンド(で、よいのでしょうか)による、バビロンのソネットSonnets in Babylon by Daniel Libeskind。
何でも当人が、1985年のビエンナーレで金獅子賞を獲得した作品Three Lessons in Architectureの、バリエーションなんだそうです。
マテリアルは、コーヒーと墨を混ぜた背景色に、ペンと水彩で描いた101枚の絵。それをガラス板にプリントして、このカーブした通路壁にずらりと並べ、光を効果的に当てている作品です。
展示は、入り口側からは、絵が見えるような配置になっていますが、引き返すときは、光の配置が見えるようになっています。




実は、わたしはこっちの方が面白かったです。

展示の最後の部分に、「展示品のレシピ」というお茶目なタイトルの掲示がありましたが、それによると、なんと216個もの手吹きガラスが使われていると。こういうところに、ベネチアらしさもしっかりと持ち込まれていたのですね。
ちなみに、レシピの一番最後に、「Passion ∞(無限大)」とありました。ちょいとダサいけれど、なんか妙に大衆受けっぽいレシピ、意外と好感でした。




次は、その近所にあるオーストリア館。




壁に、大小の建物の立体モデルが上から見える形で並べられています。なんだろうと思ったら、各国の国会議事堂。これは、結構面白い。小国なのに、やけにでかかったりとか、何か見えてくるものがあるというか。




ポーランド館。




一瞬、印象的。
ポーランド建国の父とでもいえる方の、実際のお墓にあるもののレプリカらしいですけれど、国の多くのシンボルが散見されるものの、結局完璧な統一は無理よね、みたいなことを言ってるんじゃないかとか、そういうことらしい(ちゃんと説明を読んでないので、よ
くわからない。すみません)。タイトルが、Impossible Unityなので、類推してます。

あ、これはちょっと見、なんかかわいいって言うか、シュールだった。ルーマニア館の外側に並んでいました。




タイトルは、8h Shiftとなっていて、工場労働の正確性と規則性を表すものとありました。遅刻は許されない時間厳守のために、おそらく、多くの労働者の家で、毎朝同時刻に目覚まし時計がなっていたのでは、という話は、なんか妙に面白く想像してしまいました。そんな普通のことが、結構映画になりそうな、そういう感じって言うのか。

再び小運河を渡って、本会場の方に引き返し、派手な入り口が目印のハンガリー館へ。




ここは、かなり気に入りました。
日本の神社やお寺で着想を得たのではないかと思うのですが、木製の洗濯ばさみに、願いを書いて、そこに挟んでいこう、って言うもので、おみくじと絵馬がくっついたような企画。洗濯ばさみとサインペンが用意されていて、おみくじ用に作られたようなはさんでいく場所がちゃんとあって、既にびっしり。カラフルでとても楽しかったです。







わたしももちろん、参加してきました。世界の平和と、個人的なお願いをひとつの洗濯ばさみの両側に。

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  1. 2014/10/12(日) 19:19:40|
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