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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

こんな素朴なアダムとイブ。

アストゥリアス・ロマネスク26

ヴァルデバルセナValdebarcenaの、サン・アンドレス教会Iglesia de San Andres続きです。
前回紹介した、ファサード扉上にある彫り物。




全体に傷みが激しいのは残念ですが、いくつかは、かなりいい状態です。このカップル、うわ~。かわいくて、いきなり興奮。
なんだろう?二人、男性だし、カインとアベルとか、他にもそういうのあったかな~、と考えましたが、どう見ても、聖書っぽい様子もなく。何か寓話的な意図的なものは感じますけれど、当時は、意味が分かったものが今は謎、という典型的なロマネスク的モチーフなのかな。並びに、すごく苔むして痛みの激しい同じモチーフの彫り物がありました。




並びにある馬も、程よく苔っぽい感じが、またいい味で。木馬的な表現が、愛らしい。

こういうものに出会うために、怖い山道もがんばって走り回っているわたしとしては、ここでは、まさに報われた、という気持ちに満たされました。

南側に回りこむと、もうひとつ扉があり、ここでは、扉装飾そのものは、市松模様のアーキボルトくらいで地味なのですが、周辺に、あちこちから拝借した彫り物の石版が、いろいろとはめ込まれていました。




もう、なんだかかわいくて、自然と笑いがこぼれてしまいます。
一人ニマニマしながら、うわ~、とか、すげぇ、とか、マンマミアとかつぶやきつつ、ひたすら上を見上げる東洋人…。怖い絵かもね。





さらに、後陣側に回り込むと、今度は、おなじみの軒送り。




ズームイン、したくなりますよね。





何だろう、これ…。かわいすぎる~。間抜けな顔した坊主頭は、書物を持った聖職者ですかね。右側は、アダムとイブのようなんです。それも、似たようなモチーフの彫り物が、ここでも並んで置かれています。こんなの見たことない。

そして、こういう浮き彫りの間には、植物や幾何学モチーフの浅浮き彫りがびっしり。とっても装飾的なんです。





すごい。

さらにさらに、平面的でプレ・ロマネスク的な後陣の、小さな窓の周辺と上部にも、深い彫り物と浅浮き彫り。





建物構造は、プロ・ロマネスクですが、装飾は総じてロマネスクです。数々の植物モチーフも、幾何学モチーフも。
窓には現代的な幾何学模様のステンド・グラスが張られているのが見えましたので、外観は古いのに、内部はもしかすると、かなり漆喰ぴかぴかになっている可能性も高く、クローズでよかったのかな、と思いました(得意の、すっぱい葡萄理論ですが)。

というわけで、このヴァルデバルセナ、期待以上の素晴らしさで、すっかり満足。帰りは山道すらウキウキと楽しく運転してしまいました。その高揚のまま、来るときに発見できなかった教会を執拗に探す気力が湧いてきて、さらに充実します。

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  1. 2014/11/14(金) 05:10:40|
  2. アストゥリアス中世
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辛い山道の先に、素敵なご褒美。

アストゥリアス・ロマネスク25

夕方が迫ってきて、そろそろ、宿泊場所のオヴィエド方面に帰り始めないと、という時間。スペインのことですから、昼休みが長い分、若干遅くまで開いている可能性は有りますが、田舎の教会は、とにかく開いているかどうかがわからない。
その危険を考慮して、方向に無駄なく、外観だけでも楽しめそうな場所を選ぶことにして、向かったのが、ヴァルデバルセナValdebarcenaの、サン・アンドレス教会Iglesia de San Andresです。

ここはすごかった~!登ったり降りたりの山道の上、対向車が来たらどうするんだ、という狭い道の連続。かろうじてアスファルトはされているものの、というような怖さで、途中で引き返したかったけれど、もちろんユーターンなどできる余裕もなく、ただ、何かに追われるように仕方なく、先に向かった次第。幸い、対向車にはほとんど会わずにすみました。
と言っても、後から写真の撮影記録を見たら、ほんの15分程度の道のりだったので、改めてびっくりしましたけれど。




オヴィエドの方から来る道の途中に、こんな傾いたような村の表示が出ていて、土手状に、ちょっと高くなっている道路から、降りて村に入ります。変に入り込んでも、出にくくなると困ると思い、車は、村の入り口の路肩に放置。
村に入ったところ。




すごく緑が美しく、道はきれいに整備された土。緑の茂る中にせせらぎが流れて、夢のような、うっとりしてしまう田舎の風景が広がります。
でも、待てよ。正面の家の壁が、激しく派手なブルー。そういえば、プリエスカでも、とんでもない田舎なのに、なんか家の外壁が妙に派手な色彩でした。最近の流行なのかしら。

この家の前で、犬に咆えられて一瞬びくっとしましたが、家の人が出てきて、なだめてくれました。ついでに、教会のことを聞いたら、その先、すぐですよ、と。
左手に、牛や馬が放し飼いになっている草原。




右手には、既におなじみの高床式倉庫。




そして、目的の教会がありました。




後陣です。ここも、古い構造なんです。オリジナルは古いのでしょう。そして、ファサード側。




やっぱりファサード側はいじられてました。もしかすると、農家の物置とかに使われていた時代があるとか、そういう雰囲気満載です。こういう姿を見ると、あまり期待できないかも、って思ってしまいます。が…。
彫り物が、素晴らしいんです!

つけたし建築の影になってしまった、ファサード側の扉。




スペースが狭すぎて、正面から全体を撮影できません。
ちなみに、オープンは、月曜と木曜の、17/19とありました。うーん、半端な時間。とても目指して訪ねるのは、ほぼ不可能ですねぇ。

側柱に載っている柱頭は、植物や動物ペアの彫り物で、なかなか素敵ですが、まぁまぁよく見るタイプです。アーキボルトそのほかの彫り物も、なかなか深彫りで印象深いのですが、ま、よくあるよね、という域を出なかったりします。





本当に楽しかったのは、アーチの上の方に横に並んでいる彫り物です。
あ、でもこうやって改めて見ると、アーチの装飾も、やっぱり素敵ですねぇ。




その楽しい彫り物は、次回、お楽しみに。

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  1. 2014/11/12(水) 05:15:59|
  2. アストゥリアス中世
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地味な中にも、時々は。

グラッパ合宿、フリウリ+ベネト、その4

この辺りの生産者さん、基本的に地味~。ワインやトリュフなどの食と合わせて、一般観光客が押し寄せるピエモンテとは若干違って、プロ相手、地元相手、という色合いが濃厚な感じです。直販所も、だから、なんかもう、とってもとっても飾り気がなくて、売る気もあまりないって言うか…。

次に訪ねた場所も、まさにそういう蒸留所。




Distilleria Dal Toso
Via Pila 8, Ponte di Barbarano (VI)

ほとんど事務所状態の建物を訪ねると、おじいさんが出てきて、外人のわれわれを見て、一瞬、何しに来たの?っていう感じでした。感じよかったけどね。
内部、棚もスチール製だし、ほとんど事務所です。




ここも、リカーとかシロップみたいな蒸留酒多種。そして、陳列が地味な割には、お洒落なボトルとか、高そうなリゼルバもしっかりあり、幅広い。長年の地元のご愛顧にお応えして的な伝統的な製品なのかなと思います。
数種類飲んで、普通のビアンコ(樽詰めしていないタイプ)、カベルネとシラー種の1本だけ購入しました。15ユーロ程度だったと思います。お値段が妥当なので、それで買った感じ。




ラベルが、ちょっとうるさい。どっちか一枚でいいよね。なんか垢抜けない昔のまま風で、何でもかんでも書いた方がいい、とかそういう感じなのか。よく見ると蒸留器械の図案なんかかわいいのに、生かされてなくてもったいないわ~。

すぐ近所の道沿いに、他の蒸留所を見つけたのですが、こちらはかわいかった。




Distilleria LI.DI.A

門扉は開いているし、車も置いてあったから、無人だったとは思えないのですが、呼び鈴を鳴らしても反応なし。残念でした。
ガラス越しに見えたショールーム、並んだ酒瓶が、まるで化粧品のような色鮮やかなパッケージになっていて、センスがいい。次回合宿で、試せるといいけどな~。
やっぱり、ボトルやラベルのセンスも、最初に目にするものだから、重要だと思います。

さくさくと進みます。
次は、スキアーヴォ。




すごくかわいい販売所でした。全体がスタイリッシュかつフェミニン、相反するようですが、本当にそういう感じで、なんかとっても洗練されているのです。対応に出てきたのも、上品な女性オーナーさんでした。

Distilleria Schiavo
Costabissara (VI)
www.schiavograppa.com





いくつか試した中で、アクアヴィーテを購入。




アルコール度が高いタイプとかも試したけれど、これは、味、特にレトログスト、アフターって言うのかな、残るものがさわやかで、アクアヴィーテなので、ほんのりと甘さもあって、気に入ったんです。つい最近開栓して、ちびちびやっていますが、飲みやすいので、ちょっと危険。

ベネト・グラッパの最後を締めるのは、こちら。




地図を頼りに訪ねると、どうも町の中心なので、おかしい、これは蒸留所のはずがない、と思いつつ、たどり着いたのが、このカルロット。

Carlotto
Via Garibaldi 30, Valdagno (VI)
www.carlotto.it

友人が、蒸留所と思い込んでいたのですが、実は町のお酒屋さん。というか、リキュール専門バール、ですかね。なんか、すごく古い製法で作るリキュールを、樽で量り売りとかしている、とても古いお店で、雰囲気、とってもよかった。





右側の赤いお酒ですが、アルコール度は低めで、適当に甘くて、なんかごくごく飲めちゃうみたいな。サングリア系というか。それもかなりお安かった上に、他のものも味見させてくれちゃうという、とっても鷹揚な店主さんで、感動的でした。地元の人が、ひっきりなしに入ってきて、空気がとっても暖かい。

この日は、あいにく雨となってしまいましたが、もともとお天気がいまひとつだった割には、最後までほとんど降られることもなく、晴れ女の意地を見せた、という日でした。

カルロットのあるヴァルダーニョの町を最後に、今回のベネト・ツアー、終了です。




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  1. 2014/11/11(火) 03:47:14|
  2. グラッパ
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オレンジの花のグラッパ

グラッパ合宿、フリウリ+ベネト、その3

フリウリ最後の蒸留所は、ローマと初期キリスト教の遺跡で有名なアクイレイアAquileia。




2013年夏にフリウリに遊んだ際、ゆっくりと過ごし、観光名所は完璧に押さえたものですが、グラッパ作っているとは、気付かなかった…。





ローマ遺跡観光に来た人々が通過する道ですから、看板が妙に充実しています。

Distilleria Aquileia di Flavio Comar Srl
Aquileia (UD)




店内は、蒸留所、というよりは、限りなくお土産屋に近い感じで、各種多様なリカーが勢ぞろい。グラッパのほかに、甘いリキュール類などが充実していました。また、野菜などの瓶詰めもたくさんあったので、友人へのお土産用に、いくつか瓶詰めを購入。結局、グラッパは購入せず。
一応試飲はさせてくれたのですが、あまりほしいと思わなかったのは、味もそうですが、ラベルにピンと来るものがなかったという、マージナルな、でも結構重要な理由もあったかも。
お値段は、普通だったと記憶しています。

そこから一気に、ベネチア、パドヴァを通り過ぎて、ヴィチェンツァ近くまで大移動。以下、ベネト・グラッパめぐりとなります。

最初に訪ねたのが、こちら、フラテッリ・ブルネッロ蒸留所。




Fratelli Brunello
Distillatori dal 1840
Via G.Roi 51, Montegalda (VI)
www.brunello.it

ブルネッロ兄弟社という名前ですから、ブルネッロ家の兄弟でやっているんでしょうが、ここは、発見でした。
ひとつには、よくお世話になるパドヴァの友人宅から、かなり近いこと。そして、情熱的なブルネッロさん。
幹線道路沿いなのですが、建物の裏側に回ると、緑の庭に蒸留所で、いきなり世界が変わるロケーションも、印象的でした。

お忙しそうだったのに、とても丁寧に対応して下さったのも、好感度高いです。




ここも、種類豊富。瓶詰めの類がたくさんあるのは、ここら辺の特徴でしょうか。そういえば、パドヴァの友人も、近くの蒸留所には、グラッパではなく食品の瓶詰めを、お土産用などによく買いに行くと言っていました。

こんな感じでどうだ?と試飲させてくれたグラッパ各種。




最終的に、上の写真の真ん中の、Fior d'aranciaと、グラッパよりフルーティなアクアヴィテ1本を購入しました。フィオール・ダランチャは、「オレンジの花」という意味ですが、葡萄の名前なんだそうです(モスカート)。さわやかな香りで、とってもおいしい。ここのはどれも、後味がさわやかだった印象です。

試飲、購入のあと、親切にも、工場を見学させてくれました。
この時期、通常は製造する時期ではないのだけど(5月ですから、グラッパの原料である葡萄粕はない時期)、ここではフルーツの蒸留もよく行い、たまたま果物生産者さんから、トライアル蒸留してほしいという依頼があり、製造中でした。実際に製造中の工場は初めてで、その香りにわくわくでした。





説明もとっても丁寧でしたが、なんせ、初めてちゃんと聞いた機会だったので、半分も分からなかった…。その後、あちこちで何度か説明をしていただく機会を得て、何度も聞いていると、断片的にはなるほど、と分かってくることもあるのですが、いまだに全体像がきっちりとわかってない。最近、これではまずい、と製法を改めて読んだりしています。




続きます。

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  1. 2014/11/10(月) 03:26:08|
  2. グラッパ
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超不細工、いけてないダニエル

アストゥリアス・ロマネスク24

プリエスカから、もう一度ヴィラヴィシオーザに戻り、そこから南東部へと向かう違う道を辿って、向かったのは、ルガスのサンタ・マリア教会Iglesia de Santa Maria de Lugas。

ゆったりとうねる、なだらかな坂道の丘の道を快調に走っていくと、左手が小高い丘になっているその先に、教会の案内板がたっており、急角度で左に切れ込む坂道になっています。




車でも通れるちゃんとした道ですが、わたしはその坂道の入り口に車を置いて、徒歩でアクセスしました。振り返ると、素敵な丘の眺めが広がります。




歩き出してから、とても徒歩では無理な距離だとわかって引き返すこともありますが、基本的には、歩いてアクセスするのが好みです。理想は、ちょっと離れた場所(できれば、坂道でなく平地…)に駐車して、歩きで場の雰囲気も楽しみながらアクセスできる状況です。ここは幸い、ほんのわずか、登り道の部分だけですが、そういう理想的な場所でした。

木立の向こうに、後陣が見えてきました。




雰囲気は、プレ・ロマネスク風です。
ここ、常に現役状態の教会らしく、そのために、相当後代の手が入っています。教会にとっては、それは喜ばしいことなのだと思いますが、オリジナル・ラヴァーなわたしにとっては、ちょっと残念。
ファサードは、こんな感じ。




ごたごたといろいろなものが追加されてしまっています。右手に、関連建物(人が住んでいる気配はなし)、その手前の方が墓地となっていて、今は墓地の教会。全体に手入れが行き届いているので、日常的に地域の教会として活用されているのが分かります。
でも訪ねた日は、どの扉も固く閉ざされていました。それでも、ここで見るべきは扉装飾なので、問題なしです。




こういうぎざぎざのアーキボルトの感じとか、スペインと言うとついアラブ系の印象を持ってしまいますが、おそらくそんなことはないんですね。分からないですけど、西ゴート系と想像します。
上部にある軒送り状の装飾は、この辺りの特徴ですね。

柱頭、楽しいですよ。特に左側のこの人たち!





なんてー顔!ただ面白いー、と思って見てしまいましたが、これ、ライオンの穴のダニエルさんなんです。ライオンが思いっきり慕っている感じがめちゃくちゃかわいい。その上、ダニエルさんもライオンも、異常にいけてない顔っていうのが、またたまりません。

このダニエル柱頭以外は、植物モチーフですが、すべてが異なるデザインで、再建も入っているのかもですが、美しいものでした。




ぎざぎざはこういう感じ。アーチも、外輪に従って、緩やかになっているのですね。ぎざぎざにチェッカー模様、好みです。




軒送り状の場所の彫り物にも、面白いものが見られます。





これらは、西側正面扉装飾となりますが、ここには南側扉もあり、そちらも装飾があります。




この、俵が縦並べされたようなアーチ装飾、面白いです。これも古い様式なのかもしれません。
ここでもうひとつ面白いと思ったのが、これ。




教会脇に、噴水のようなオブジェがあり、岩山を模した天辺にこの、洗礼盤のようなものが載っていました。これは絶対に古いものではないはずですが、彫られている聖人たちの雰囲気が、とってもよかったです。肉眼ではあまり細部は見えてないのですが、写真で改めて見直しても、やっぱりいいです。手の感じとか、新しいものの嫌らしさがなくって。キリストと十二使徒と思いますけれども、こういうオリジナルの洗礼盤が、あるのか、あったのかもしれません。

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  1. 2014/11/08(土) 20:37:56|
  2. アストゥリアス中世
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執着から解放された一瞬。

アストゥリアス・ロマネスク23

ヴィラヴィシオーザVillaviciosa周辺には、いくつか訪ねたい場所があって、どれも、同じような距離に放射状に点在している感じで、どうやって回るか、ちょっと悩みました。




親切な観光案内所の女性の説明だと、どこも距離はたいしたことがなく、結局、ひとつ訪ねて、町に戻り、今度は反対側に行く、みたいな行き方しかできないということだったので、プレ・ロマネスクとしてははずせないプリエスカPriescaに、まずは行ってみることにしました。




しかしこれが…。結構な山道だったんです。対向車が来たら結構やばい、みたいな、わたしにはかなり鬼門の細い登り道が続き、本当にここでいいんだろうか、と心配になるような道…。でも、引き返すのも大変…。幸い、確かに距離は近く、おそらく半時間とかからずに、村にはたどり着けました。

村、本当に小さな小さな村でした。入り口に教会があって、その周辺に、家が数軒。ちょうどお昼の時間でもあり、しーんとしています。




これが、目的の教会、サン・サルバドール・デ・プリエスカIglesia de San Salvador de Priesca。921年奉納された、れっきとしたプレ・ロマネスクの遺構です。
ファサードも、何もかも、超地味です。全体に、表面を漆喰で覆ってしまっているのは、後代の仕業と思いますが、それが、悲しい風情をかもしているように思います。なんというのか、カビの生えてしまったお風呂場の雰囲気とでも言ったらいいのか、そういう感じ。
側面。




後陣側。プレ、なので、円形なしの、平面的な壁のみ。窓のところの、石の飾りは、プレ特有で、すべての開口部に施されています。側廊の部分は、おそらく再建と見ましたが。




装飾は、まさにミニマム。





それでも、装飾がある、という事実が興味深いような気もします。

扉はしっかりと閉ざされており、何一つ掲示もありませんでした。おそらく、週または月に一回のミサのときだけオープンするといったようなことなのでしょう。ヴィラヴィシオーザの町から距離は近いといっても山道だし、何かのときのために、村の誰かが鍵を持っているだろうとは思いましたが、余りにも静まり返っているし、人の気配がなくて、訪ねるのを躊躇させる空気満載でした。




それでも、どうしようかと、この村に1本の、教会の横の道をうろうろしながら、しばらく考えていました。そのとき、わたしが来たのとは反対側の道から、一人の巡礼らしい女性が歩いてきて、教会の後陣を眺めてちょっと佇みました。目が合ったのでにっこりと挨拶したのですが、特に言葉を交わすこともなく、彼女はそのままヴィラヴィシーザ方面へと歩いていきました。




ちょっと憑き物が落ちた感じ?
こういうのも、ある意味一期一会だなぁ、と思い、教会に入れずに帰るのも、それはそれ、そういうめぐり合わせなんだなぁ、と、なにかさわやかな気持ちになってしまって、結局、鍵を求めてじたばたすることなく、そのままヴィラヴィシオーザに戻りました。
あとから思うと、なぜあれほど素直にあきらめたんだろう、と不思議になりましたけれど、そういうときもあるんですね。ま、行きの山道で、なんとなく達成感を得てしまった、とかそれだけのことかもしれません。

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  1. 2014/11/06(木) 06:36:44|
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シャコバ、今年も咲いてます。




今年は、葉の育ちがいまひとつで、暑さが足りないのもよくないのかしら、などと思っていましたが、10月の声を聞いた頃から、しっかりとつぼみが育ちだして、去年よりはちょっと早くに、花が開きだしました。




10月末に、最初の一厘。そのあとは、もう次々と開いて、今、ちょうど満開というところです。シャコバについて、昨年のブログ記事は、11月半ばに書いたようなので、2週間くらいも早い満開って感じ、意外です。




ずいぶん前に株分けした鉢の方も、かなり育ってきています。葉っぱから育てた小さいのは、全部人にあげちゃったので、我が家には、二鉢。冬以外はベランダですが、つぼみが育ってきた10月半ば、朝晩の冷え込みが強くなってきた辺りから、屋内に入れています。
ひとつは居間、ひとつはバスルーム。

一人暮らしで、平日の日中は不在。基本的にブラインドも閉めて、日中の我が家は日が差さないのですが、唯一ブラインドがなく、透かしガラス越しの間接ではあっても、日が差すのがバスルーム。だけど、バスルームは本当に小さく、スペースもないので、小さい方の鉢を置けるだけ。大きい鉢は、居間に置き、ブラインドを完全には閉めずに出かけるようにしています。せめて、花の間だけでも、お日様に当ててあげたいから。




でも、咲き出したら、そんなことお構いなしに、次々咲き誇るのが、シャコバのいいところですね~。
バスルームでは、夜に、あ、この子はそろそろ全開しそうだな~、と思っていると、翌朝、しっかりと開いて、鳥が胸を突っ張って羽ばたきするような姿になっているのは(わたし的には、かわせみがホバリングしているようなイメージ)、嬉しいもんです。
上の写真の右手前の感じが、開き始めで、こういう状態になると、翌朝、左の方の突っ張った姿勢になっているんです。




毎度感心して、同じことを書いてしまうようですが、これだけの数の花びらを、ひとつも間違えることなく用意して、くるくると巻き付いていたのを、一枚ずつ広げて…。自然って、すごいですよね。

あんまり美しいので、どアップ。




今年こそ、土を入れ替えよう、と思って、土を用意したのに、とうとうやってあげられないうちにこういう季節になってしまいました。花のあとは、お休みしないとだめだから、来年の春まで、入れ替えできず、ちょっと心配。でも、いつものように、当たり前に咲いているので、きっとまだ大丈夫でしょう。来春こそ、ちゃんと入れ替えて、久しぶりに株分けに挑戦するぞ~!

たいしたケアもしてないのに、毎年きっちり訪ねてきて、目を楽しませてくれる、本当に稀有な鉢植え。そして、この子が開花すると、いよいよ本格的に冬になるな、暮れも近づいているんだな、というカレンダーの役割も担って。我が家の歳時記ってとこですかね。
ああ、本当にきれいだな。
もうしばらく楽しめそうです。

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  1. 2014/11/04(火) 06:36:13|
  2. 植物、花
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人形焼の軒送り

アストゥリアス・ロマネスク22

ヴィラヴィシオサVillaviciosaのサンタ・マリア・デ・オリーヴァ教会Iglesia de Santa Maria de Oliva続きです。
地味な教会なのに、長くなってしまいました。それも細切れのアップですみません。
最後に、後陣外側。




こんな四角で、これって、プレ・ロマネスク時代の名残ですよね。正面にはゴチック風があるから、そんなに古い教会とは思わなかったのですが、どうやら起源は古いのですね。今は周囲に建物が迫っていますけれど、昔は、何もない場所だったような雰囲気もあるんです、そういえば。

構造的には古いけれど、それぞれの時代ごとに、大切にされてきたからこそ、時代時代の装飾があるんです、きっと。
軒送りに、当地特有の面白い彫り物が張り付いています。




ここでは、人の顔と、人形焼きみたいなフィギュアが主でした。







なんか、上下を押しつづめたようなスタイルで、無理やり狭いスペースに置かれたおじさんたちの姿が、七福神人形焼、的な雰囲気…。

外壁を見て、ふと気付いたのが、いくつかの印。





再利用のものかな、と思ったのですが。





同じ印が複数散らばっています。何かの印なのかしら。この上のは、変形十字架?二つの切石に渡って彫られているということは、意図があって彫られたということ?大いに謎です。

この教会の後陣と向き合うような形で、観光案内所があり、半端な時間だったにもかかわらず、オープンしていました。スペイン語だけでしたが、とても親切なお姉さんがいて、こちらの求めに応じて、周辺教会の場所やオープン時間など、持っている限りの資料をくれました。次々と観光客が来るのに、きびきびと捌いて、とても小気味よい働きぶりに、感心しました。それにしても、この町に来る観光客の目的はなんだったのかな。

教会見学に満足して、この町で、ランチをいただきました。かなりダサい定食屋さんだったけれど、とってもきびきびとしたサービス。きびきびはこの町のスタイルなのか?と思うほどでした。
とりとめのない造りで、散策するに値する通りはひとつだけ、それも車が激しく行きかうので、散歩に適していないって言うような町ですが、人々は好感度高。




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  1. 2014/11/03(月) 00:33:41|
  2. アストゥリアス中世
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田舎の酒屋さん風もよし。

グラッパ合宿、フリウリ+ベネト、その2
次に訪ねたのは、チェスキア。




Distilleria Giacomo Ceschia Srl
Via Ugo Foscolo 4/8, Nimis (UD)
www.grappaceschia.it

ここは、フリウリでも最も早くに蒸留を始めたグラッパ屋さんという触れ込みですけどね~、そして、結構販路も幅広いみたいですけどね~。そして、工場兼店舗は、とっても立派なんですけどね~。
なんで、「~」を多用するかといえば、なんか、すべて立派な”釣り書き”のわりに、対応が、「~」だったんです。

到着したときは、夕方で、確実にお店が開いているはずの時間。実際、敷地の鉄柵は思いっきり開いているし、どう見ても、イタリアでよくある「すぐ戻ります」的な雰囲気。でも人気はない、呼び鈴を鳴らしても誰も出てこない状態でした。
鉄扉が開いているということは、でも、絶対に、完全クローズではないはず、ということで、ショーウィンドウを眺めながら待つことしばし。
10分ほどたったころ、一人のおっさんが、かなり車を飛ばして、敷地内に入ってきて、当たり前のようにお店の鍵を開けて、中に入っていきました。われわれ3人には、挨拶どころか、一瞥もくれることなく…。

これには呆然でした。自分ちに他人がいれば、どういう状況であっても、一瞥くらいくれますよね。それが工場や販売所だったら、ほぼ明らかにお客さん。それに一瞥もくれず挨拶もしないというのは…。
なんだかよくわからないながら、とりあえず、お店に入ることができました。

その前に、さんざんガラス張りのウィンドウを外から見ていましたけれども、それにしても、美しいお店、工場の販売所というよりは、本物の酒屋さんです。それだからこそ、誰も出てこなくてもなんだか去りがたく、しつこく粘っていたんですけどね。




同行者は、ここのグラッパを、以前飲んでおいしかったということで、買う気満々。わたしも、お店の雰囲気がいいし、何かは買う気になっていました。そこで、試飲させてもらえるか尋ねたところ、はっきりしない様子で、「えっと~、将来的にはそういうこともしたいんだけど~、今は設備もないし~」。
えっと~、グラッパは、プラスチックのカップがあれば、すぐに試飲できるもんで~、そのお手元の1本を開栓すればいいだけで~、と言いたいところでしたが、ああそうですか、と軽く引き下がりました。仕方ないもんね。それにしても、何だろう、この生産者?




本当は、こちらのこも被りのが主力商品で、同行者は以前呑んだことがあり、おいしかったと言うことで求めていましたが、なんせわたしは飲んだことないので、ラインナップの中で、お値段的には最低ラインの、お徳用瓶を1本ゲット。




こういう1リットルとか3リットルとかのお徳用瓶は、主に地元の人向けに売っているタイプで、地域以外では絶対に買うことができないものです。グラッパを日常的に飲むのは、やはり産地の人で、産地だと、何でもかんでもグラッパで割る、みたいなところがあるので、お徳用が必要なんですね。エスプレッソ(コーヒー)を割ったり、デザートにたらしてみたり、料理にも結構使うんじゃないでしょうか。こういう大瓶は、要はそういう用途向けのお徳用。味も分からない中、これはお値段が格安だし、お試し、と思って買ってみたんですけどね。
これが!つい最近飲んだのですが、意外にも、飲み口すっきりでおいしかったんです。
安っぽいわたしの舌に合う安っぽいグラッパ、ということなのかもしれないですが、いや、びっくり。こうなると、次回は是非、主力商品こも被りを買おうという気になります。

しかし、このときは、なんとなくすっきりしないまま、チェスキアを後にして、次に向かいました。

これまた地味な絵!




ブイエーゼ蒸留所
Distilleria Buiese
Via Spilimbergo 182, Martignacco UD
www.buiese.it

なんだろう?田舎の酒屋さん?
チェスキアが、かなり洗練されたディスプレイの店舗を構えていただけに、全体にグレーな感じのこの蒸留所には、正直ちょっと引ける気持ちがありました。
しかし、対応は、チェスキアの100倍は暖かくて、田舎っぽいよさが満載。




古くからやっている蒸留所ではありがちですが、蒸留所としてできるすべての種類のお酒を生産販売しています。リキュールからパンチから何から何まで。だからびっくりするくらい、たくさんの異なる瓶が並んでいます。一見したら、生産者の直営販売所というよりは、田舎の酒屋さん風景そのもの。

でも、ちゃんと試飲用のカウンターがあって、いくつか試飲させてくれました。




わたしは1本だけ購入。確かかなりお安めなお値段だったと思います。味、というよりも、全体に洗練されていないラベルの多い酒瓶の中で、比較的、いいな、と思えたから買った感じ。いわゆるジャケ買いならぬ、ラベル買い…。まだ開栓しておりません。




ちなみに、ここでは、かなり多種の飾り瓶を扱っていて、犬好きの同行者は、ダックスフント型の飾り瓶をゲット。




手前から二番目にある横長のやつ。尻尾もしっかりグラッパ充満。
グラッパは、お土産用の飾り瓶がたくさんあります。10ミリリットルから50ミリリットルくらいの容量で、ガラスの細工物とか、こういった犬の形など瓶そのものの形状に凝っているものとか。特にここら辺はベネチアも近いから、ガラス細工的には、形状に凝ったものが多いのかも。
そういうグラッパをお土産でもらって、一生グラッパを飲むことなく、棚に飾っている人も数多くいるんじゃないのかな~。
余談ですが、このダックスフントは、後日、ふとネット検索したら、日本でかなり高値で取引されていたのでびっくりしました。

まだまだ続きます。

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  1. 2014/11/01(土) 07:30:39|
  2. グラッパ
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