fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

東京、ミラノ(「パリ、テキサス」ならぬ)

ミラノ、フオリサローネ2015 その8 (最終回)

最後は、新しいビルに会場を構えたサムスンです。




ミラノ中央駅と、レプッブリカ広場の間にある一角。
わたしがミラノに住みだしたころは、既に廃墟となった遊園地があり、道はぼこぼこしているし、人通りは少ないし、いわゆる街娼がたくさん立っている、なんともやばい雰囲気だった場所でした。その当時から、再開発がうたわれていたものの、なかなかプロジェクトは前進せず、という状況が何年も続きましたが、万博が引き金になったと思うのですが、数年前から本格的な再開発が始まり、今では、最新の高層建築が立ち並ぶようになったと言うわけです。

サムスンの展示は、二つ。




サムスンは、つい先ごろまで、ミラノ郊外の工業団地に会社を構えていましたが、最近、この最新ビルのひとつに入所。展示について、以前は、フオリサローネのメッカであるトルトーナ地区で、プレステージの高いスーパースタジオなどを使用していましたが、今回は、自社ビルでの展示です。
でも、なんせ他の展示会場とはまったく離れた場所なので、来る人も少なく、寂しいものでした。




場所が場所なら、かっこいいかもしれない展示。でも、なんか哀しい。
しかし、大型のテレビモニターには、さすがにびっくりしました。




この写真では、およそわかってもらえないと思いますが、このテレビ、半端ない大きさで、
真ん中がへっこんだ形です。100インチとかあるのかなぁ。緑の中、走る列車を追う映像では、あまりの美しさと迫力に呆然としました。と言っても、サムスンだから、というよりは、どのメーカーのものでも、同じように呆然とすると思うんですけどね、それだけのものだったら。我が家の20インチに慣れているわたしですから…。

お隣では、実験的サムソン家電が並んだ、スマートホーム。




これは、ちょっと近未来SF的な発想が、馬鹿みたいで面白かった。
ぱっと見、最新ミニマル・キッチン・システム。いじると、まるでおもちゃです。作業台の上に、スマートフォンを大きくしたようなタッチ・スクリーンがあって、そこで、レシピをチェックしたりできるんです。




で、冷蔵庫の方に行くと、同じようなタッチ・パネルがあって、冷蔵庫を開けなくても、そのレシピに必要な材料があるかどうかを調べてくれる。




こういうのって、どうなんでしょうね。わたしが子供の頃、携帯電話は、どこでもドア並に、現実にはありえないようなものでしたが、今の子供には、携帯電話のない時代が考えられないような、そういう世界の変化というのは確かにあるわけで、こういうシステムの何かが、いつか、あって当たり前になる日が来るのかもしれない。そう思うと、ちょっと面白かったのです。
4/50年前の近未来SFに描かれたどれだけのものが、今現実になっているか、ということを、改めて調べて見たいような気がします。




食卓にも、スクリーン。
そういえば、一時期爆発的にはやった電子額縁と言うのも、もはや無用の長物になっています、よね?タブレットやスマホで、もういいですよね。そう思うと、発想に技術が追いついて、追い越してしまうという現実もあるわけで、デザイナーも技術者もSF作家も大変ですね。

いろいろ考えさせられて、それなりに面白かったのですが、ちょっと地味。わざわざ来たのに、こんなもんか、と思いつつ帰り道。同じ地域にあるアパート・ビルでも、展示がありました。人がほとんどいないので、戸惑いましたが、どうぞどうぞと非常な歓迎振り。サムソンとインテリア業者と実際の不動産屋のコラボで、本当に売り出し中の、最新ビル内の家が会場です。




単身者向けの機能的なマンション。なんか、狭いのに、すごいお値段だったですよ。寝室の壁が、全面ガラス張りとか、高所恐怖の人には、絶対に住めない物件。ただ、新しいミラノの眺めは、すべてが完成すれば、なかなかのものかもしれないし、お天気のよい日には、アルプスが一望でしょう。この日は、お天気が悪くて、残念でした。




ここまで来たら、ガリバルディの駅まではすぐなので、お散歩することにしました。駅前の再開発広場、こちらからアクセスするのは初めてです。




この地域で最初に出来たウニクレディトのビル。
とんがった天辺がかっこいいんです。でもこのビルも、完成したものの、なかなか入居者が集まらず、結局投資主体であるウニクレディトが入居せざるを得なかった、とか、不景気な話がありました。最近、再開発ではそういうことも多いようです。




なかなかかっこいいビルですよね。この地域が出来た頃、初めて来たときは、ミラノじゃないみたい、と思いました。実際、東京にいるように感じます。無印良品MUJIのお店もあるし。

広場の真ん中は、吹き抜けになっていて、小さな噴水のある池。なんだか、池のデザインや場所も変わっていてびっくり。ますますミラノじゃない。




とはいっても、まだ入居していない店舗もあるし、ちょっと寂しいんです。でも、コルソ・コモやイータリーにも近いし、ガリバルディの駅にも近いし、まだ発展する余地のありそうな場所ではあります。ギャラリーとか、本屋とか、もうちょっと文化の香りのする店舗を誘致するべきだと思うけれど、それが出来ないのが、やっぱりミラノの限界かも。




というわけで、今年のフオリサローネめぐりもおしまいです。
全体に地味で、展示にも会場にも発見がないどころか、縮小ぶりにびっくりというところ。次回は、トルトーナまで遠征必至ですかね。
では、また来年。

いやいや、ブログは続きますよ。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
スポンサーサイト



  1. 2015/04/30(木) 05:35:08|
  2. ミラノ・フオリサローネ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

まさか産直目当てとは。

ミラノ、フオリサローネ2015 その7

今度は、近場で、ファッブリカ・デル・ヴァポーレFabbrica del Vaporeを訪ねました。




地味だけど、ゆったりしたスペースで、のんびり出来て好きな場所。
今回もまた、いつにまして地味だけど、それなりに訪問者もいて、地味ながら(しつこいですが)バラエティに富んだ展示は、それなりに面白かったです。
メイン会場の展示。シェアリング・デザイン。




ほとんど素人に近いようなデザイナーさんたちの作品が一杯。でも商品化を狙っている人もたくさん。猫額のベランダしかない我が家だと言うのに、お庭用の椅子などを、売り込まれちゃいました。





小物は販売している場合もあり、陶器または磁器で、ちょっと面白いものがあったのですが、それなりのお値段だし、かなりしげしげと眺めた挙句、購入はやめました。途中から、側でうろうろしている人がいて、もしやこの人は作者ではなかろうか、と思ったのですが、しゃべりだすと、買いたくなってしまう危険があるので、わたしはだんまり。その方もだんまり。商業的にも素人状態なのかな。

奥の方にもいくつかスペースがあります。以前は、こんなに分割したスペースはなかったと思います。もともと工場跡地ですから、スペースはたくさんあるので、少しずつ整備していると言うことなのでしょう。
この一角では、セネガルのものが並べられていました。




すべての家具やオブジェは、廃材とかでこしらえたものなのですが、わたしのつぼにぴったりはまり、こちらはアレもこれも欲しいと思いました。こちらでは販売していなかったので、よかったです。危ない、危ない。

小さな椅子、というか、物置、というか。




このほかにもたくさん置いてあって、すべて木製で、肌触りもよいのです。ご両親と来ていた3歳くらいの女の子が、気に入ったらしく、座り倒していました。一応展示なのだから、どうよ、と思いましたが、こういうとき、イタリアの親は、わが子のかわいらしい姿に目を細めるだけで、座ってもいいものかどうか、なんて、考えもしていません。ちょっとむかつく…。

こっちのメタルの椅子も、好き~!




派手なモチーフのファブリックもいい感じ。椅子も、派手気味な彩色が、しっくりしてます。





こういう廃材利用オブジェ、たまりません。結構サイズ大きめで、我が家には置く場所もないけれど、いや、壁につければいいのかな。欲しいなぁ。作ればいいんだ、と思ったりしますが、こういうものは、発想が貧困なわたしには、とても作り出せませんね。

お向かいにも、かなり広いスペースがあり、ここは誰の何なのか、何も書いてなくて、その上、思いっきり準備中で、職人さんが二人、一所懸命組立をしている有様。会期も終わりに近いのに、どういうこっちゃ?





巣箱中心(?)。全体に色合いが自然なエコな感じで、日本人ならたいてい、好き~!となると思います。ちょっとガーリーでもあります。
これらの巣箱は、全体で何かの形に作りこまれるはず。あと1時間もしたら…。




さらに奥の方には、二階への階段でアクセスするスペースまで。びっくりです。
こちらでは、デザイン学校と、ダンボール製造会社のコラボで、強化ダンボール(という言葉があるのかどうか知りませんが)を材料とした、家具や建物が並べられていました。




展示のコンセプトを説明してくれたおにいちゃん、ダンボールの机と椅子で受付していました。椅子に座らせてくれたけれど、びっくりするくらいしっかりしていました。でも、軽いので、安定がいまひとつでしたけれどね。
折りたたみ式のようなので、多分、解体すると一枚のダンボールになるのでしょう。災害時のベッドとか、利用方法がいろいろある素材だと思います。こういうダンボール、日本でも開発している会社、大いにありそうですよね。

そのほかにも小粒展示がいくつか。適当に見て、中庭へ。
ここでも、全体にエコとかグリーンとか再利用形の素材が使われているので、ここら辺で、あ、そういうテーマなんだ、と気付いた次第。

竹。







無理やり曲げて、葉を這わせて、それもシンメトリーな形にするって言うのは、ちょっと西洋風で、生きてる木には切ないです。

やけに買い物籠やカートを盛っているおじさんおばさんが多いな、と思っていたら、実は、庭の一角で、産直マーケットのようなものをやっていました。




感じとしては、毎週のようにあるような。野菜からパン、ソーセージやワインまで、生産者さんが盛ってきたいろんな食品を、比較的安いお値段で買えるようでした。
わたしは、とても近所の中華街でお豆腐を買うつもりでいたので、何も買いませんでしたけど、なるほど、週末にこういうマーケットがあったのか、とひとつ勉強になりました。

というわけで、ファッブリカ、地味だけど、美術館としてのスペースが広がっているのは喜ばしいことです。この秋に、メトロ5の新しい駅が出来たら、我が家から直通で15分くらいで来ることができるようになるので、今後も、巨大系インスタレーション・アートの会場として、がんばってほしいものだと思います。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
  1. 2015/04/28(火) 03:12:13|
  2. ミラノ・フオリサローネ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

昨年を懐かしむだけ。トリエンナーレ。

ミラノ、フオリサローネ2015 その6

昨年のフオリサローネで、シチズンが、素晴らしい展示を行ったトリエンナーレ美術館にも行ってみました。




カドルナの駅から、ちょっと歩く不便な場所なので、結局フオリサローネの時位しか来ないのですが、実はオサレーなレストランがあったり、それなりにミラノっぽい場所ではあるんです。しばらく来ないうちに、レストランがさらにグレードアップしていたようでした。




展示がどうなっているのかよくわからないなりに、まず二階に上がり、階段の上を吊橋状になっている通路を渡って、大きな展示場へ。




ちょっとそれらしい雰囲気。





ただ冷蔵庫を並べてるだけなのに、かっこいい。さぞや名のあるデザイナーさんがやった展示に違いない、などと感心していると、いきなり「チケットを見せてください」と声をかけられました。
びっくり。このスペースは、有料の展覧会になっていました。無料で入れるのは、脇のほうにある小さなスペースだけ。




これ、ちょっと面白かったんですけどね。無垢の木(さくら材らしい)が壁に張られているだけなんだけど、なんか教会の本堂のようなムードで、なんだろう、これ?っていう。
それにしても、有料ってなになに?なんで?と戸惑いながら、吊橋を引き返しました。同様に、つまみ出される人、多数。

仕方なく、向かいにあった韓国のお部屋へ。





普通に、インテリアとか、食器とかが並べられていて、なんだかとっても伝統的なテイストで、韓国って、有名著名アーティストもたくさん出て来ているけど、インダストリアル的には、まだなんとなく抜け切れてないっていう雰囲気。
この、布は、しかし美しかったです。




薄い布を、縫い合わせているようなもので、伝統的な手工芸のアレンジでもあるのかな。同じ作家さんの作品が何点か置かれていて、どれも素敵。こういうカーテン欲しいな。

他の広いスペースでは、お部屋のインテリアの提案、みたいな感じで、テーブルと椅子、壁紙セットが、いくつも並べられていました。




さりげなく置かれているアレッシの食器などが、妙にかわいらしく。




そして、映像なので、次々と変化する壁紙が楽しく。




壁中に海の映像とか流れたら、素敵だろうなぁ、と思ったけれど、それって壁紙以上になっちゃうから、インテリアではありえないのかと思ったり。

2階は、なんとこれでおしまい。残りは、すべて有料の展覧会です。まさかの展開だなぁ。
1階に戻り、レストランの横の小部屋の、シンガポールのデザインを鑑賞。小物ばかりで、インパクト、ほとんどなし。




建物裏側の庭スペースへ。

おお、こういうのはいいな、と思いましたが、これは多分、フオリサローネに関係ない作品でしょう。




この、コンクリートで出来ているらしい、巨大ズッキーネも、多分いつも置かれているのでは。




もう一度中に戻り、地下にあった展示に気付きました。




イリーは、イタリアの有名なコーヒー・ブランド。トリエステにある会社で、深煎りコーヒーのエスプレッソ、お気に入りです。




Gabriele Galimbertiという写真家さんとイリーのコラボ企画らしく、世界中で、コーヒーを飲みながら、自分の夢や幸せを語る人を撮影する、というような。
そして、この場所でも、希望者は撮影してもらえるということになっていたようです。

それにしても、有料展覧会スペースありすぎで、まったく充実感なし。そりゃ、金を払って、素直に展覧会を見る、という選択肢もありますが、この時期にそれはないでしょう。だって、お金を払うなら、何も一番混んでいるときに見る必要もないわけで。
昨年を思い出すと、本当にがっかりでした。
あーあ、わざわざ行ったのになぁ。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
  1. 2015/04/27(月) 05:33:55|
  2. ミラノ・フオリサローネ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

手間賃を惜しむと…。

ミラノ、フオリサローネ2015 その5

久しぶりに訪ねた、ペルマネンテ美術館Museo Permanente。




以前は、職場が近かったし、美術館の活動自体がもっと盛んだったので、よく展覧会を見に来たものですが、いまや、職場は郊外に移転、そして美術館は、ほとんどイベントにしか使用されなくなったので、本当に久しぶりです。

実はこの日、ドゥオモの屋上展示に行く予定にしていました。
かなり注目度高いんじゃないか?と目をつけたイベントFabbrica del Duomo di Milanoが、この日だけ、一般公開、となっていたのです。現代美術が、ドゥオモの屋上で展示というイベントとしては、10月末までの開催らしいのですが、フオリサローネの基本は、「入場無料」なので、わざわざ行こうと思った次第。
行列を予想して、徒歩での上り口にアクセスしたところ、数人が入場を待っているだけ、その上、入り口付近は、柵が立てられて入れないようにされています。柵を並べている人に尋ねると、「今日はもうクローズ。」とただ一言、取り付くしまもなし。
なんなんだ?
いずれにしても、無料ではなかったので、それなら、もっと人のいない時期に来ればいいだけの話です。納得できないけど。
というわけで、プランBとして、地下鉄で二駅の、この美術館に移動したというわけです。

とは言え、ここの展示も興味はありました。
NENDOという、日本人のデザイナー集団の展示で、彼らは、数年前から、フオリサローネのあちこちの展示で活躍しているんです。たとえば、隈研吾さんや吉岡徳仁さん、その世界では有名でも、わたし程度の、一般的なミーハー・アート・ラバーにはなかなか近づくことのない活動をされている方々。今「いけてる」デザイナーが露出するフオリサローネだからこそ、その作品に触れることができ、大好きになって、という経験をしてきましたから、そういう点で、気になっていた人たちなのです。

前置き、長すぎ。




展示内容は、とても堅実。基本的には、実際にやった仕事、つまり実績を並べています。企業名が出ているのもあり、ないのもあり。
ガラスとか、鏡とか、強化プラスティックとか、すける素材、反射する素材、そういうものがテーマだったみたいです。

この部屋に展示されていたのは、多分強化プラスティック素材の、テーブルや椅子、棚など。




ミニマリズムが好きな人には、とても受けそうな。わたしのようなクラシック好きには、まったく食指の動かない家具です。椅子は座り心地悪そうだし、棚はほこりの汚れが目立ちそうだし、テーブルは、しょっちゅう、角にすねをぶつけそうだし。




色目の異なる素材を組み合わせた棚。照明で、床に映る色がまた素敵なんですが、これ、正しい位置に、正しい高度の照明がないとこうならないわけで、庶民の家には無理。
まぁ、端から庶民は想定してないでしょうけど。

こちらは、言ってみたら几帳みたいな、役割の家具。




几帳って、言わないか。ついたて?現代語だとなんていうんですかね。
鏡が面白いモザイク効果を出していて、映りこむ人の姿も面白ければ、床に反射する模様も素敵。庶民のウサギ小屋には、まったくそぐわないけど…。

2階の入り口にあったこちらは、とってもきれいでした。




インテリア。ガラス瓶に、レシンのような素材が入っていて、いろいろな雨を表現しているんです。
左は五月雨。右は樹雨(きさめ)。
樹雨とは、木の葉や枝からたれる雨粒のことらしいですが、本当にある言葉なんでしょうかね。日本語は、雨を表す単語がとても豊富だと聞いたことはありますが、ここに並んだ雨の表現の半分くらいは知らない単語だったかも。





それにしても、とってもきれいなのに、照明もスタディしてると思うんだけど、目線からだと、なんか半端な絵になってしまって、それなら、台をもっと高くすればいいのに、とか、なんとなく納得できない感じ。

あ、デザイナーっていろいろやるんだね、という感じで、割と普通に食器などもありました。




よく見るとかわいい、桜または梅のお箸。実用としてどうなのかは不明。先端が見えなかったので。でも、これはちょっと欲しいと思いました。

こちらは、みな企業名が付されている作品群。皮革、木、プラスティック、様々な素材の様々な品。




ハーゲンダッツの展示品とか。




本当にいろんなことを請け負うんですね、インダストリアル・デザイナーって。

マテリアルで面白いと思ったのが、タイル並べ。









同じような素材が、並べ方ひとつで、まったく違うイメージになってしまうんです。当たり前のことなんですけれど、こうやって眺めると、びっくりします。
低予算だと、どうしても、職人さんの手間賃を節約するために、同じタイルをただ並べるだけ、となってしまうんですが、そういえば、手間賃を惜しまなければ、同じ素材でもすごく個性的になったりするんですよね。
自宅の内装をしたとき、インテリア・デザイナーさんに頼めるくらい予算に余裕があれば、と思ったんです。やっぱり、お金をかける、手間隙をかけるって、意味があるんですね。
なんかな~。せめてバスルームだけでも、改装したいなぁ。まだ、ローンの繰上げ返済の方が、プライオリティ高いのが残念。
NENDOの人たちも、こういうリアクションは予想外かも。あ、でもインテリアの見本市であるサローネの、王道的なリアクションではあるのか。笑。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
  1. 2015/04/26(日) 00:37:18|
  2. ミラノ・フオリサローネ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ミラノ、秘密の花園

ミラノ、フオリサローネ2015 その4

ブレラの植物園Orto Botanico di Brera。
フオリサローネのイベントで行ったのですが、イベント以上に楽しかったのは、様々なお花。先の記事にも書いたのですが、二年前にも、同じような時期に、やはりフオリサローネのイベントで、この植物園を訪ねていますが、これほど花にあふれていた記憶はないのです。




建物の壁を覆う藤の花、まさに満開で、眼福でした。
しかし、藤って、においがありませんでしたっけ?
我が家のゴミ捨て場を覆う場所にも、藤棚があって、今、一番美しいところなんですが、手に取ってかいでみたところ、やはり無臭。そうでしたっけ?

藤のお隣では、やさしい黄色のつるバラが、こちらも満開。




ちょっと前に、「青いバラ」というとても面白いノンフィクションを読んだばかりだったので、名前まで確かめてしまいました。この、いかにも生命力のありそうな蔓バラ、オリジンは中国や日本にあるのかもしれない、と思ったら、まさに、中国産でした。いつも、何でもすぐに忘れてしまうわたしですが、バラの起源の話なんて初めて読んだので、印象が強かったんですね。
つるバラ系は、プラント・ハンターと呼ばれる人々が、東洋から持ち帰ったらしいですよ。

菖蒲とかアヤメとかの類のヤツ。




花びらの縁がぴらぴらしているし、色のつき方がとても凝っているので、これも品種改良で生まれた花に決まっていますが、でも、群生がすごいし、花は小さいので、原種の雰囲気をとどめているって言うか。
ほら、遠目でみると、かなり雑草的な勢いで茂っています。




すぐそばで、やはりわさわさと茂っていたお花たち。




全体で見ると、大振りのシロツメクサみたいですが、小さな花がたくさん固まっていて、塊は握りこぶしくらいあります。一つ一つの花やつぼみが、なんとも可憐。




山道をお散歩していたら、そこらへんにありそうなお花。





リンドウの小さいみたいな。
花の名前が分かったら、どんなに楽しいだろう、と思います。
これはスミレ系。




スカスカだけど、色が派手なので、寂しさがない花。花火みたい。




こちらの白も、野道にありそうな普通のお花。でも白さがまぶしいほどで、美しいです。





バルベナ系っぽい小さな花、白やピンクはよくみますが、こういう色もいいですねぇ。








小さい花がまとまって、というタイプが多いです。そして、白や紫系が多いな、と思っていたら、いきなり全然違う鮮やかなタイプが。





そして、植物園らしく、派手なお花も。




すっかり堪能しました。これだけたくさんの種類のお花を一堂に見たのは、いつ以来かしら。野の花のような地味な花でも、一緒になっていると力を発揮しますねぇ。いいなぁ、お庭のある家。

そういえば、我が家の猫額のベランダでも、シクラメンが冬を乗り切って、復活して咲き誇っているし、ジャスミンのつぼみも膨らんできました。思い切って枝を切り込んだラベンダーからも、新しい葉が出て来ています。
花の季節は、立派な植物園でも、小さなベランダでも、同じように楽しめるってこと、かな。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
  1. 2015/04/25(土) 06:15:09|
  2. 植物、花
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ブレラの、香り高いワンダーランド

ミラノ、フオリサローネ2015 その3

今回は、パンフレットを眺めても、あまりそそられるイベントがなかったのです。そういう中で、ここだけは行っとこうかな、と思ったのが、ブレラの植物園。




去年のことかと思い込んでいたら、前回、ここに来たのは、もう2年前のことでした。
この小さな猫額の植物園、出来たのはすっごく昔で、存在を知ったのもずいぶんと昔なんですが、普段はオープンしていなかったので、そのときは興味深々で出かけたものでした。

実際、ミラノの美術大学であるブレラの建物から、裏道を辿って入るような、ひどく隠れ家的な雰囲気に満ち溢れていたのです。
しかし、もしかすると、その後、普通にオープンするようになったのか、入り口は行き止まりの道の奥で、相変わらず分かりにくいとは言え、でも、ちゃんと入り口になっていたし、なんせ、来ている人の数も半端なかったです。

イベントのタイトルは、The Garden of Wonders. A Journey through Scentsというもので、今回のフオリサローネでも、大イベントのひとつでした。

ちなみにここは、サローネ期間後、5月24日までオープンしているようなので、この時期ミラノにいらっしゃる方にはお勧めです。

さて、タイトルからも分かるように、不思議一杯の庭で、テーマは香水。
入り口すぐに、パビリオンがあります。




いろいろな香水が並んでいて、ひゅっとひと吹き、香りを楽しむことが出来ます。




自然の香りから抽出した、淡いやさしいにおいばかりで、香水が苦手なわたしでも、どれも楽しめるものばかりでした。こういうのでいいんだよね。石鹸の香りの延長みたいな、って言うか、日常生活でも漂う、自然の花の匂いみたいな。

でも、建物は小さくて、あっという間に終わってしまいます。まさか、これだけでは?と失望しかけたのですが、もちろんそんなことはなく、この建物と反対側の奥の方に、小さな建物がいくつも並んでいます。




建物の一つ一つがギャラリーになっていて、会社やデザイナー・グループが、閉ざされた空間に、香りをテーマにしているらしい展示を行っているのです。緑の中に渋い金色の小屋。最先端のファッションがあり、美術大学があるブレラだけあって、すべてオサレ~!

それぞれは、普通のお店のショーウィンドウみたいのとか。




香水屋さんみたいのとか、なんだかいろいろ。




スペースも狭いし、ひとつひとつはたいしたことないんだけど、次々と違う世界が展開するのを、歩きながら辿っていくのが、宝探しみたいで楽しいんです。まさに、ガーデン・オブ・ワンダー、コンセプトばっちりです。

一番人気、というか、暗幕で暗くした空間で、二人ずつ位しかのぞけないために、いつも行列だった小屋。




暗闇の中で光を当てられた水滴が輝く、みたいな展示で、とてもきれいでした。でも、暗すぎて撮影失敗。また、並んでいる人たちがうるさいのと、せかされる感じで、ゆっくりみられないのが、ちょっと残念でした。

これもワンダーのひとつかしら、というような物体もあり。








ちょうど、緑の濃い、まさにここだろう!という場所に置いてあって、インパクトもあるし、妙になじんでいるのが、面白かったです。

もしかしたら、一番目が楽しんだのは、しかし、イベントよりも、植物園本来の姿かも。2年前に来たときよりも、花が多くて、実際、植物園を楽しんだ感じ。それは次回。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
  1. 2015/04/23(木) 05:10:54|
  2. ミラノ・フオリサローネ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

帳尻合わせのイタリア流、ここにも。

ミラノ、フオリサローネ2015 その2

大学編、続きです。
エキスポ関連(多分)。




隈研吾さんの、「キッチンハウス」という展示。
思いっきり日本で、畳に炉が切ってあって、とっても日本的な食器が並べられています。建物も、かまくらみたいなイメージ?
エキスポ関連かも、なのは、食がテーマだから、そうなのかな、と思ったんですけれど。
それなりに人気があったけど、でも隈さんの作品としては、地味だし、ちょいと期待はずれかな~、わたし的には。

大き目の展示が置かれる、奥の方の回廊中庭。




左の方は、小さなシアターになっていて、中でビデオを上映中。階段席、座布団並べ、という感じで、思いっきり、昔の芝居小屋みたいな雰囲気。




レバノンの民家を再現する(デザイナーがレバノンの人なんでしょう)、みたいのがコンセプトのようでしたが、なんか普通の庶民の家の雰囲気って、どこでもなにか共通するものがあるような気がしました。要は、生活ってことなのかな。芝居小屋の向かいの方は、お家インテリア。

もうひとつある回廊中庭は、ずっと派手なことになっていました。




きれいな赤。朽ちた回廊の中に、とても人工的な赤がくっきり。
Future Flowersというタイトルになっていましたが、いただいてきたパンフレットには、とても簡単なフリーハンドのデッサンが出ているだけ。相当ぎりぎりまで作品の姿が分からなかったと言うことですね。他の展示品でも、パンフレット上ではデッサン段階というものが結構あって、ずいぶん前から出展が決まっているだろうに、意外と突貫工事的なんだな、と感心します。
それにしても、未来の花、と言われてもね、何を主張しているんだか、主張したいんだか。回廊をぐるりと歩きながら、あちこちから眺め、ふーん、とかいいながら眺め…。とっても大掛かりで派手なのに、でも、あまり面白くないのが、不思議。

反対側をみると、もしかして間に合わなかった?と思ってしまうような有様だし。




もちろん、そんなことはないと思いますけど。イタリアの作品じゃないし。

建物の一階部分で、ピロティのようになっている細長い場所の途中に、もうひとつ回廊があります。どんだけ広い修道院だったんだろう、この場所。




中庭の一角だけなんだけど、ちょっとかっこいい。でも、これなんか、そもそもパンフレットに何の記載もない。どうしちゃったんだ~、最後の最後に出てきたコンセプトなのか~。真鍮っぽいパイプのぐねぐね、場の雰囲気にぴったり。でも、ベース・コンセプトが、エネルギーとかクリエーティヴィティとかいわれると、うーむ。ですねぇ。

建物の細長い部分は、全面的にブラジルが使っているらしく、物産展状態。かばんとかテーブルとか洋服とか、雑然と並んでます。




思いっきり準備中だし。




全体に、多くの会場で、こういうアバウトな状況が展開されていて、考えたらこれも、いかにもイタリアらしいオーガナイズなのかも。会期が短いんだから、みんな必死だと思うんだけど、でも、間に合わない状態がそこかしこ。必死だけど、必死な形相なしで、のんびり設営してる。

メインの回廊中庭を見下ろす二階部分は、中国が占有。




スカスカで、展示してあるけど、何か足りない。エネルギー、ほとんどなし。白くて、薄くて、あっさりしていて、中国、という空気もない。ふむ。

見下ろす中庭には、化粧品会社出展の巨大口紅。




紅の部分が出たり入ったりしながら、回転してます。グロテスク。なんだかもうよくわからないです。周囲に腰掛けている人たちも、くたびれるし、分けわかんないし、とか思ってるんだろうな。
二階部分に上る階段の入り口。





いつも凝った装飾で楽しませてくれますが、今回は食器を並べていました。ちょっとダサいかも。
なんとなく低調な今回の展示。
結局和むのは、とっても分かりやすいこいつら。




小鳥は、昨年もあったけど、サイズが小さくてかわいい!犬も、小さめサイズ。だけど、大人もちゃんと座れるんだね。
それにしても、スーツで歩いているオヤジ(お兄ちゃんだったかも、だけど、でも間違いなくオトナ)が、躊躇なく、こうやってまたいで座るのがまた、イタリアだよ。




それにしても、これは間違いなくかわいい。あってもどうしようもないけど、そして、置く場所もないけど、欲しいと思います。それも、色違いで。ドリアデとかそういう会社が実際に売っているような気もするけど、実際には店舗で見たことはないですね~。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
  1. 2015/04/21(火) 06:08:47|
  2. ミラノ・フオリサローネ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

今年もまた、フオリサローネ

ミラノ、フオリサローネ2015 その1

今週ご無沙汰していたのは、サローネ週間だったためです。
14日から、会社帰りに、おなじみフオリサローネめぐり、していました。

それにしても、例年に増して、訪問者が多いようです。景気が回復しているということなのかしら?だとしたら、喜ばしいことです。
商売の人も、観光客も、外人がすごく多いし、これまでは余り人が来なかった展示会場でも、訪問者が増えているような。
わたしが、積極的にフオリサローネめぐりをし始めて、5年ほどに過ぎませんが、5年前と比べても、確実に訪問数が増えていると思います。

サローネは、商業都市ミラノの見本市でも最も重要度の高いインテリアの展示会ですが、わたしがミラノに住み始めたころは、見本市としては、一般に膾炙しやすいファッションの方が有名で(特に、わたしを含む日本人には)、わたしなど、サローネの存在すら知りませんでした。
暮らすうちに、ミラノがインダストリアル・デザインで非常に重要な町であることを知り、デザイン・コンクールであるコンパッソ・ドーロの展覧会を訪問などしていく過程で、ファッションより何より、ミラノはサローネなんだ、と認識した次第。

何でもそうでしょうけれど、しかし、実際に触れないことには、存在しないも同然。サローネが、展示会場だけで閉ざされた展示会であったとしたら、そういう意味では、一般的には、「自分的には存在しない」イベントであり続けたはず。
見本市を飛び出した展示を、フオリサローネという形で纏め上げた主催者のアイディア、そして、それを訪問しやすいように冊子にまとめたインテルニという雑誌社の功績は多大だと思います。




とまぁ、初心に戻りながら、今回は、フオリサローネの中心地であるトルトーナ地域にも行こうと思っていたのですが、結局マイナーな地域をさらりと歩くだけでおしまいにしてしまいました。どこに行っても、人出がすごいこと。それに、パンフレットを見ても、あまりそそられるものがなかったこと。そんなわけで、地味な回遊です。

まずは、いつもどおり、インテルニ本拠地の大学へ。テーマは、Energy for Creativity。




メイン・エントランスですが、普段とあまり変わらないたたずまいです。でも、中庭に入ると、全体がハレというか、ひどく盛り上がったテンションの高い空気に変わります。




最初に目に入るのは、回廊の真ん中に置かれた銀色のオブジェ。全面が鏡張りとなった銀色部分が、リングになって、周囲の風景を映しこむようになっています。




置かれた場所からいって、バランス的には、全体にもうちょっと大きければ、かなりインパクトが違ったように思いました。オブジェが、プロポーション的に芝生部分に負けていて、そそらないんですよね。だから、人々も、遠くから見て終わっちゃう。本当は、近くに行かないと、面白さが分からないんです。




鏡の間には、背景の建物が入り込み、間から、子供が姿を現し、撮影するわたしの姿とともに、複数映し出され、鏡の生み出す増幅の面白さ。
そして、空と建物を写しこんで、何か違うものとなっていく形。




わたしが訪ねた夕方の時間帯、最もにぎわっていたのは、こちらかも。




黄色がシンボル・カラーのシャンペン・ボトル。ヴーヴ・クリコです。
この黄色、というだけで分かるんですから、さすがおフランス、マーケティングに優れていますよね~。
この、檻のようになっているボトルの中は、バー・カウンターとなっています。そして、この時間、黄色のシャンパン・グラスが並べられ、カクテルの準備中。




というわけで、この周囲の訪問者はみな、「もしかして、ヴーヴ・クリコ、飲ませてくれるの?」という期待感でわくわくして、なんとなく離れがたく、そこに集まっていた、というわけです。でももちろん、こういうカクテルは、招待客に限るわけで、その後テープが張られ、招待客だけが中に入って優雅にカクテルを楽しみ、一般人は、テープのこちら側で物欲しげに眺める、という格差社会的な風景が出現した次第。
こういうカクテルは、建物内で行っていたことはあったけれど、すべての人が行きかう場所で、というのは初めてでした。ヴーヴ・クリコのほかにももう一ヶ所、同じような時間に、やはり招待客限定カクテルをやっていました。ちょっと寂しい。

何の招待状も持たない人々には、こちらのかわいらしい屋台で、ザクロとブルーベリーのジュースが、ちょっぴり(二口くらい)、提供されていました。




もちろんわたしもいただきました。多分自然のままのジュースなのでしょうけれど、ひどくぼんやりした味で、ちょっぴりでよかった、と思うような代物でした。
ちなみに、この屋台もジュースも、みな展示品です。

シャンパン・ボトルの手前にあった、土管状のオブジェ。




タイトルが、「Vitruvius in Quarantine隔離されたウィトルウィウス」。かたっぽの端に、ウィトルウィウス的人体図、もう片方には、亡命者の生活を映したビデオが流されているというもの。





なんてこともないのだけど、中に入れる作品って、なぜかわくわくしてしまいます。

入れる、と言えば、これもそういうカテゴリーかな。




これも鏡張り。あれ、クリエーティブというには、鏡って、ちょっと古いっていうか、レトロ感を狙っているのかしら。




とか何とかいいながら、入ってみると、ただ一本の柱が迷宮を作る面白さ。
反対側の、もっと小さなスペースでも、ちょっとした色彩が増幅して、あら不思議、な万華鏡的楽しさ。やっぱり、実際にアイディアを形にする人たちって偉いね。




それにしても、見るのは一瞬だけど、こうしてまとめるのは結構大変。誰のためでもなく、記憶力に優れない自分自身のためとは言え、なんだかご苦労。
ということで、休憩。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
  1. 2015/04/19(日) 20:57:53|
  2. ミラノ・フオリサローネ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

色っぽい東方の三博士

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その24

ヴィックVIC、司教の博物館Museo Episcopale続きです。

祭壇板絵や木彫りの像の他に、もちろん、得意のフレスコ引っ剥がしも、いくつか展示されています。




Sant Sadurni d'Osormortという教会の後陣。
色の後退ぶりが、いかにもオリジナルって感じではありますが、それにしても、張りぼてのように形を作って博物館展示される後陣フレスコは、本当にいただけないです。こうやって正面から周囲を切り落として見れば、それなりの雰囲気も出ますけれど、でも実際は、かまくらを半分にぶった切ったような形をさらしているわけで。どうせなら、全体を教会の雰囲気にしてくれれば、まだいいんですけれども。




12世紀のものということですが、表現力は、プリミティブで、すごく力強いです。ビザンチンの風がなくて、色合いもあいまって、なんとなくカロリング風味が感じられてしまいます。




それにしても、足が立派…。

足つながりで、これも是非載せておきたいもの。





いや~ん、めちゃくちゃかわいい上に、色っぽい?ガーターの人たち。
EspinelvesのSant Vicenc教会の祭壇板絵で、もちろんまじめなテーマですよ。このお二人、誰だと思います?




じゃーん、左上の三人のうちの二人。どうやらマギの三博士。
こんなぽちぽちつきのタイツにガーター、それも、まさかの太もも生足で、ちらリズムですか~!
それにしても、この祭壇画の絵は、本当にかわいらしいです。

引っぺがし系に戻り、これもまた重要そうな一枚。




セウデウルヘルSeu d'Urgellのカテドラルから来たもの。いつか行きましたが、こんなものがあったなんて、記憶にないのですが、複製も置かれていないんでしょうか。
それにしてもこの最後の晩餐。相当、無礼講的な…。




そして、先に紹介した、今はずっと後代の形になってしまっている、この博物館のお隣にあるカテドラルにあった彫り物なども、並べられています。







窓外には、ロマネスク時代のままの、壮大な鐘楼が見えて、そうだった、ヴィックにいるんだった、としみじみ。だって、博物館とかにいると、展示は古くても新しい建物で、ここはどこ?って感じにもなるじゃないですか。




最初の記事に(確か)書いたように、ロマネスク時代については、意外と展示品少ないのですが、そのためにじっくりと見られたし、こうやって改めて振り返ると、すごいものを持っていることに感心しています。オリジナルを持ってきてしまうことについて、個人的には、賛否の否の方ではあるんですが、それでも、二度楽しめたことは確かです。

やっぱり、またスペインに行きたくなって来てます。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
  1. 2015/04/15(水) 06:33:36|
  2. カタルーニャ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

ひっそりと、ミラノでお花見

今更ですが、お花見。それも週末の午前中に、酒も団子もなし、カメラもスマホのみ、という、まったく予期せぬお花見。

車で郵便局に行った帰り、丘になっている公園の脇を通り過ぎました。目の端に捉えたのは、花の色。とりあえず通り過ぎたものの、やはり気になるので引き返し、散歩することにしたのです。

この公園は、ミラノ市のはずれにある再開発地域ビコッカの一角にあります。確か、工事で出た瓦礫や土を盛って作った公園。結構小高い丘になっており、時間をかけて、徐々に整備されたものです。
階段を登ると、遊歩道になるのですが、遊歩道以外は、すべてとんでもない傾斜です。そこで、最初に出会った野の花たち。




タンポポの大輪ぶりにびっくりしました。斜面で陽はふんだんだし、地味もいいのでしょうね。そして、走行中、目に留まったピンク色。




手前の木も、よく見たら、まだ花が咲いていたのですが、葉も出ていたので、すぐには気付きませんでした。いわゆる葉桜状態です。




斜面を階段で登ります。花のそばに行きたくても、転がり落ちそうな傾斜なので、骨折が完全に癒えていない身体では無理。




桜系の花は、最近ミラノでも多種みられるようになったと思うのですが、なんとなく、日本とは違う形っていうか。たとえばこれ。




全体に高さもないのに、相当低い部分から、花がびっしりです。




八重だけど、色が薄くて、もったり感が少ない。本当に美しいのですが、全体としてみると、咲きすぎっていうか。





見たことはないのですが、京都に御室桜ってありますね。背が低くて、咲く時期も遅いとか。系統としては、その辺りから発した花なのかなぁ。
ちょっと触ってみたら、はらはらと散るので、この日は、まさに見頃だったようです。

ピンクの濃い方は、いわゆる八重桜。青空とのコントラスト。




一番高い場所は、展望台のようになっています。最近の、変わりつつあるミラノのスカイラインが見えます。いわゆる高層ビルがずいぶんと増えました。東京の、多摩川辺りから見えた武蔵小杉に似てる…。




もっと空気が澄んでいれば、反対側にはアルプスが見えるはずですが、この日は、だめでした。今度は、山を見に来ようと思います。
その、反対側の方は、古い住宅の並ぶ一角があります。




ミラノ市内には、一軒家風の並ぶ地域がいくつかあります。ここが建てられたころは、おそらく周囲には何もない、のどかな田園地域だったのではないでしょうか。奥の方の高層アパートなど、もちろん影も形もなかったはず。そして、この丘すら、ありませんでした。
急な階段を降りてみます。




表の道は、北に向かう幹線道路。先は高速につながる道ですが、この住宅の並ぶ場所は、関係者以外の車は入れない私道になっていました。確か、この一角に、11世紀起源の古い礼拝堂があるはず、と思い、ちょっと歩いてみました。




古いお家。廃屋かと思ったか、ちゃんとお住まいのようでした。外観は相当傷んでいますが、おそらく中身はびっくりするくらいお手入れして、素敵なお住まいになっている、というパターンかもしれません。藤の花も、満開が近いようです。

結局、礼拝堂は、どこにあるのか分かりませんでした。
それにしても、なんかミラノとは思えない地域です。小さな田舎町みたい。

さっきの階段を上り、遊歩道に戻りました。




ぐるっと回ったこととなり、下の方に、自分の車が見えます。




一部、林のようになっている一角もあり、学生さんが、ベンチで勉強していました。ここは、大学の庭のような位置づけでもあるんです。平日は、もっと学生さんがいるかも。




再開発は、大学から始まり、劇場、住宅、そして大企業向けの巨大ビル。実際に、多くの国際的大企業が、この地域に会社を置いています。




最後に、二種の木がほぼ合体してしまって、二種類の花が混在して満開だったものに遭遇。




こうなると、やはり一重の花が好みだと思います。




堪能しました。これまで気付かなかったのが残念だけど、これからは、毎年お花見に来ようと思います。
ちなみに、イタリアにはそんな風流な習慣はないので、犬の散歩の人か、ジョギングの人か、お散歩の老人が、わずかいるだけでした。斜面がきついので、花の下にござを敷いて、というのは無理だけど、おにぎりでも食べたいっていうか。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
  1. 2015/04/12(日) 19:50:34|
  2. 植物、花
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
次のページ