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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

2015年4月に読んだ本、備忘録

今月は、ほとんど読めなかったです。

「青いバラ」最相葉月(小学館)=今月の一押し。この人のノンフィクションは、若干散漫な気もするけれど、とてもプリミティブに知りたい気持ちをうまく網羅してくれる感じがあります。青いバラがテーマではあるのだけれども、青いバラを作る方法としての遺伝子組み換えについても、素人に分かりやすく書かれていて、いろいろ勉強になりました。すぐ忘れちゃうけれど、でも、つるバラとか一部のバラが、日本や中国起源で、それがプラント・ハンターによってバラ栽培の最先端地である欧米に持ち込まれて、現代のバラにつながる大きな要素になっているとかそういうこと、面白かったな~。バラを見る目が変わりました。

「風渡る」葉室麟(講談社文庫)=これも、以前書評かなんかで見て、気になっていた作家の一人ではあります。黒田官兵衛が主人公で、キリシタンの話が面白いんだけど、一気に読みたい、やめられない面白さとは違う。

「冬の派閥」城山三郎(新潮文庫)=歴史もの。山本周五郎とか意識して書いたのかな。

「眠りについた骨」デヴィッド・ウィルツ(扶桑ミステリー文庫)=ミステリー・ファンが、ミステリーだから、読むために読む、みたいなタイプ。つまり、あまり…。

「谷中、首ふり坂」池波正太郎(新潮文庫)

「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー(ハヤカワ文庫)=懐かしい一冊。割と最近村上春樹が新訳をしていますが、これは清水さん訳。実は、村上春樹訳は、今月読むつもり。両訳の本を、友人がくれたので、今さら再読したと言うところ。清水訳は、ある時代の懐かしい翻訳小説って言うテイストがあります。翻訳小説の文って、似たような傾向が歩きがしますね。イタリア語で読むにあたって、イタリア人が母国語で書いた小説よりも、外国語の小説をイタリア語に訳したものがずっと楽に読めるという現実と通じる何かがあるんでしょうね。多分。

「風の市兵衛、帰り舟」辻堂魁(祥伝社文庫)=あっという間に読めちゃう時代小説。大衆小説の王道かな。あっという間。そして、わたしの場合、すぐ忘れます。

「歪んだ果実」ジョナサン・ケラーマン(サンケイ文庫)=ケラーマンは、ファンが結構いるらしいけど、わたしはどうもこういうのって、ハーレクインっぽいテイストが苦手。

今月も、なんとなく忙しく、あまり読書量は上がっていません。その上、週末にまた、ごっそりと日本語本購入の機会があるので、本棚の整理をどうしようかと悩んでいます。

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  1. 2015/05/08(金) 04:52:32|
  2. 読書、備忘録
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サムソン・ラブ!

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その29

旅の終着駅、バルセロナに行く前、最後に訪ねたのは、サン・クガット・デ・ヴァリェスSan Cugat de Vallesのサンタ・マリア修道院Monaestir de Santa Mariaです。

結構大きな町だったのに、意外と簡単に駐車場を発見。日曜日で無料だったので、ちょっと嬉しく、歩いて5分ほどで目的地に到着。




びっくりしました。全然ロマネスクじゃないじゃん。ということで。いかに事前に、きちんと学習していないかが分かる展開です。
教会では、ちょうどミサの真っ最中だったので、この写真の左側に入った場所にある、ガラス張りのインフォメーション・センターへ。
とてもしっかりとしたインフォで、でもその割りに紙もの資料はほとんどなく、町の地図だけもらって、博物館となっている修道院の一部に向かいます。

そう、修道院の最も重要な遺構は、現在とっても整備された博物館になっているんです。

これが、修道院全貌。




教会の左側、つまり北側にある回廊部分が、博物館になっています。有料だったと思うのですが、記録がないから、もしかして日曜日の恩恵で、無料だったのかな。記憶無し。

では早速。




広い~。もう、ロマネスクの遺構的ひなびたような空気はゼロですね。二階部分は、もちろん後代の増設でしょう。目的は、一階部分に並ぶ、円柱の柱頭です。
さすが博物館にしただけあって、きちんと整理されているのは、感心しました。
柱頭の内容が、一部ですが、ちゃんと記載されているのは、初めてだったような。




柱の下の方に、小さいプレートが掲げられているんです。
小さなひなびた田舎の回廊で、こんなことされちゃうと、ちょっと興ざめかもしれないけれど、これだけの大きな、それも博物館化している回廊なら、全然オウケイ、というより、実際、有意義な気がしました。

しかし、こんなにちゃんとした場所なのに、適当な紙もの資料が、全然なかったのは驚き。いや、すごく大判の立派な写真集とかはあったんですけれど、そして実際購入しようかどうしようか迷ったんですが、カタラン語だけしかない、と言われて、すっぱり諦めが付きました。でも、小さいガイド本があれば、絶対買ったのにな。

旅が終わってから、ネットで、検索したら、この修道院のサイトがあり、柱頭についても、詳しく掲載されていました。でもわたしはアナログ人間なので、紙の本が好きなんですよね。大体、自宅にはプリンターもないし。

柱頭を、一部、紹介します。

例によって、どこから見学すればよいか、まったくわからないままに、一番最初に撮影した柱頭は、これ。




サムソンですよねぇ。ハンサムさんに表現されることが多いので、大好きなモチーフ。やっぱり呼ばれちゃうのかしら?
それにしても、時代もちょっと下るのでしょうし、かなり繊細な彫り物です。ちょっとルシヨン地方との共通性などを感じたりしたのですが、考えたら、ピレネーをはさんで、ルシヨンはすぐそこなのですから、石工さんも行ったり来たりしていたかもしれないし、共通性があるのも当たり前ですね。

デザイン化された植物モチーフに、人や動物のフィギュアが彫りこまれるタイプが多数。




こんな感じ。




「ジムで、重いもの持ち上げのマシン(なんというマシンか知りません)に座っている人」状態ですよね。

正統派植物シリーズ、葡萄蔓に葡萄房。




この時代に表される葡萄房は、松ぼっくりかパイナップルの方が近いと思うことが多いのですけれど、なぜでしょうか。今、葡萄房を描くとすると、上の方が広い逆三角形だと思うのですが、この当時は、たいてい縦長の楕円。葡萄の形が違っていたとしか思えません。

ライオン君たちも、植物の陰で仲良し。




それにしても、このライオンの不細工なことったら。カベスタニーの鋭いライオンたちとはえらい違い。人のフィギュアは、顔も含めて均整が取れているのに、なんだか不思議です。動物苦手な石工さんがいたようですね。なら、ライオンなんて彫るなよ、と思いますが。

動物と言えば、ふと目に付いた円柱の根元。




このお尻はかわいいです。

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  1. 2015/05/07(木) 05:54:01|
  2. カタルーニャ・ロマネスク
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最速の宝探し

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その27

降り出した雨にもめげず、残されたわずかな時間を惜しんで、駆けずり回るのは、毎度のパターン。目指したのは、前回のバルベラから半時間位の距離にあるルビRubi'という町にあるサント・ペレ教会Eglesia de Sant Pereです。




幸いにも、町の入り口に大変大きくて無料の、立派な駐車場があったので、迷わず車を停めて、旧市街に入りました。
すぐに、素晴らしく開けた広場があり、そこに目的の教会があります。迷いよう無し、という、ロケーション的にはありがたい教会ではありましたが、でも、これは、かなり新しい…。というか、激しく修復を受けてしまっていて、まるで、ゼロから作ったネオ・ロマネスク様式の教会のようにぴかぴかです。

入り口が開いているので、取り急ぎ中をのぞきました。




見事にぴかぴかの近代建築。これはだめです~!わざわざ、苦労して来たわけじゃないので、これはこれ、と冷静に思えるのですが、それでも、少ない時間をやりくりして来ているので、やはりがっくりします。
こういう時は、細心の宝探しが必要。

というわけで、外に出て、目を皿にした宝探し。
横っちょ、南側の壁。




全然だめ!
でも、この教会、後陣側と、北側壁は、他の建物とくっついていて、フリーなのは、正面ファサードと、この南壁部分だけ。でも、どちらも、建物構造は、新しくなってしまっていて、特にこの南側は、全とっかえ状態ですね。

めげずに、正面に戻り、ディテールを観察。
残念なことに、というか、鬱陶しいことに、入り口に、乞食の女性が座っていて、わたしを見据えて、金をくれ!というようなことをぶつぶつと言っているんです。ちょっとでも近寄ると、手を出しそうな勢いなので、近くに寄ることが出来ない。
だから、十分距離を取って観察です。

入り口扉上の二連窓。




超地味ですが、二連の間にある小さな円柱と柱頭には、何か見えます。ズーム。




縄目が彫りこまれた柱は、もしかして新しいものかもしれませんが、小さな柱頭は、どうやらオリジナル。もはや浮き彫りともいえない線描で、人の顔のようなフィギュアが見えます。とってもプリミティブなグリーンマン的モチーフのようにも見えます。
手前に、やはり縄目のものが見えるので、装飾的オリジナルは結構古そう。教会も、11世紀ですから、確かに古いし。

ズームしたおかげで、屋根に沿った傾斜部分のアーチ垂れ下がり部分に、顔風フィギュアが並んでいるのも確認。




だからどうってんでもないんですが、少しでも何か見つかると、ちょっとだけ嬉しくなるってことです。




どうやら、この垂れ下がり部分の石は、古いままのような感じです。要は11世紀。と思うと、貴重な感じも。
この部分だけ見ると、ちょっと面白い感じになります。




アーチの感じが、相当プリミティブですよね。それも、建物に比べると、この垂れ下がり部分のフィギュアは、かなり小さい。やはり、建物全体を改変してしまって、なんとなくプロポーションがおかしくなってしまったのかしら。

乞食のオバサンに気をつけながら、入り口脇の柱頭にもズームイン。




これも、プリミティブなアーカンサス・モチーフで、古そうではありますが、なんせ、近くから肉眼で観察できなかったので、残念です。

ちなみに、鐘楼に大きくかけられた人は、列福町の聖職者のようでした。

教会に到着してから、そこを離れるまで、デジカメの記録によれば、約5分。多分、今回の旅で最速の見学だったと思います。ま、こういう物件もあります。

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  1. 2015/05/05(火) 05:43:40|
  2. カタルーニャ・ロマネスク
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都会のライオン

今日は、ベランダで、自然の生業に戦慄してしまいました。

そのお話は、我が家の猫額ベランダの春から。
嬉しいことに、今年もまた、ジャスミンが花をつけてくれました。




きちんと刈り込みなどのケアをしなかったせいか、根元の方はずいぶんと枯れてきて、花の数は少ないのですが、ジャスミンって、ほんの数輪でも、びっくりするくらい豊かな香り。嬉しくなります。
もうひとつ嬉しかったのは、あまりに成長しすぎたので、断腸の思いだったけれど、先日、上の方をちょん切ったびわに、新芽が出て来ていたこと。




かわいらしい芽が、三つも。
このびわ、おいしくいただいた後の種を、そこらにあった植木鉢にほうり込んどいたら、どんどん育ってしまったんです。今ではこんなで、さらに成長間違いなしの元気さ。




50センチは軽くあります。そしてびっくりすることに、こんな背が小さくても、葉っぱの大きさは、大木並みなんです。びわの葉は、煎じ詰めたり、アルコール付けにすると、アトピーとかいろいろな皮膚病に効くということで、試そうと思って、密閉瓶など買ったこともあるのですが、つい面倒で、まだちゃんとやったことがありません。この立派な葉を見る度に、申し訳ないような気がするんですけれどね。
でも、ほおっておけば、上に伸びる一方。そして、どんどん樹木化して、切るのも容易じゃなくなるので、ぱちんとしたわけです。

それで新芽を見ていたら、雪や霜で、一度全滅したマーガレットも、奥の方で復活していました。




なんと、つぼみが付いています。
昨年は、茎と葉がやたら成長して、手のつけられない茂みとなった挙句に花が付きましたが、今年はちょうどよい按配。決まった季節に決まった子が帰ってきてくれるって、嬉しいもんですね。

この多肉ちゃんも、一度ほとんど葉が落ちましたが、見事復活。




冬中、戸外に出しっぱだったのに、良くぞ元気に冬を越してくれて。
いい気分になって、バジリコの種を植えました。




去年は、植木になっているのを買ったのですが、どうも成長が悪くて、種も小粒で元気のないものしか収穫できませんでした。だから、気温がある程度上がってから、と思って、今日まで待ったのですが、さて、どうでしょうか。水を与えたら、きれいな紫色になったので、種としては生きているようですが…。

と、ベランダ仕事が終わったとき、頭上で、激しい鳥の鳴き声や羽ばたきの音がしたのです。びっくりして見上げたら、我が家の建物の屋根に沿った雨どいの辺りで、カラスと小型の鳥が大騒ぎしているんです。

また、話が前後しますが、3週間ほど前の週末。
窓際に座って読書していたら、不審な音がしました。最初、どこから聞こえる何の音か、まったく分からず、きょろきょろした挙句、ベランダだと気付きました。

じっとしたまま見ていると、すずめより大きく、鳩よりは小さい灰茶色の鳥(ムクドリとか?)が、我が家の植木をいたずらしているような。にらのプランターに座り込んだり、びわの鉢植えに載っているホタテ貝の殻をつまんでみたり、落としてみたりしているんです。
ええ~?とびっくりしましたが、面白くてじっと見ていると、去っては戻ってきて、同じようなことを繰り返しました。
そして、翌日。
今度はすずめが、ラベンダーのプランターにやって来ては、枯れた茎をつまんで去っていくのを目にして、やっと理由が分かりました。巣作りらしい、と。

春は繁殖の季節なんですね。でも、今まで、我が家のベランダが、建材倉庫になったことはないように思います。それも、灰茶色の鳥は、初めて目にしました。
楽しい気持ちになりましたね~。

で、話はやっと本日の大騒ぎに戻ります。
大騒ぎしている一方の鳥は、どうも、その灰茶の鳥で、雨どいに巣を作っていたようなのです。それをカラスが発見して、襲い掛かってきた、その大騒ぎと言うか、戦いの場面を目にしてしまったというわけです。

最初二羽のカラスが来て、灰茶の親鳥が周りでばたばたするのですが、カラスは我関せず。一羽は引き上げましたが、もう一羽は、ずっと巣に張り付いているようで、わたしからは下半身しか見えなかったんですが、本当に辛かったです。灰茶たちは、何も出来ず、周りを飛び回るか、離れたところに留まるだけ。カラスの姿は、BBCの動物ドキュメンタリーとかで見る、サバンナの肉食獣が、草食動物の子供を襲っている姿を彷彿とさせて。

羽根をばたつかせて、いい加減大騒ぎしたカラスは、大きな獲物を咥えて、悠々と去っていきました。かなり大きな身体でしたから、もしかして卵を食べられちゃった上に抵抗した親鳥?または、既に大きく成長した雛だった?
カラス、本気で憎かったし、怖かったです。

飛び去るカラスを見つめるように、親鳥が、しばし巣の辺りに留まっていました。




こんな身近で、過酷な自然の姿を目にするなんて、びっくりしたし、恐ろしかった。東京だと漁れる残飯が豊富だし、そっちの方が簡単だから、賢いカラスは、残飯漁りに精を出すのかもしれないけれど、多分、ミラノの我が家の辺りだと、生ゴミはいつも蓋のあるゴミ箱に入れられているから残飯もそう見当たらないし、まだこういう食物連鎖が成り立っているのでしょうかね。
考えたら、野良犬も野良猫もいない都会では、カラスって最強じゃないでしょうか。
なんか、周期なのか、食物連鎖の関係なのか、最近、カラスが多くて、そういえば鳩が少ない。鳩たちも、どこか隠れるようにして、繁殖に励んでいるのかもしれませんが。でも、燕も例年に比べると少ないような。
とは言え、カラスが増えすぎれば、食物に困って、カラス自体も減っていくのでしょうから、確かに食物連鎖が成り立っています。

ああ、でもカラスのあの恐ろしい急襲と、そしてしつこい攻撃は…。悪夢を見そうです。
灰茶、めげないで、もう一回がんばれ!

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  1. 2015/05/04(月) 01:21:10|
  2. 植物、花
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修行の醍醐味?

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その26

若干落胆しつつ、次に向かったのは、バルベラ・デ・ヴァッリェスBarbera de Vallesという町。これがまた、相当迷いました。
町までは、比較的すいすいとたどり着いたのですが、これが大都市(バルセロナ)郊外の、結構大きな都市で、旧市街があるのかどうか分かりませんが(多分ない)、住宅地が延々と続くといった場所で、もうまったく、探しようがありません。

事前に調べておいた住所を、ナビに入力したところ、巨大スーパーの敷地に入り込み、もう一生抜け出ることが出来ないのでは、と危惧するほどに、何度も同じ場所をぐるぐるしたりしたので、ここはだめだな、とほぼあきらめつつ、通りすがりの初老カップルに尋ねたところ、「あ、ロマネスクの教会ね」と、驚くほどスムーズな反応で、すごく丁寧に、道を教えてくれたのでした。
「ここを行ったらロータリーがあるから、そこを左に行って、交差点を二つ通り過ぎて、次に右側に行けば、道なりに見えるから」という説明を、おそらくスペイン語で聞いたんだと思うんですが、よく、理解できたものですよね、われながら。そして、聞いたとおりに行ったところ、本当に見えたんだから、びっくりです。

というわけでこちら、サンタ・マリア教会Eglesia de Santa Maria。




遠目に、教会の姿に感動したのも確かですが、同じ敷地内にあった高校の名称にも、感動してしまいました。




ロマネスク高校。専門学校とかそういうものかもしれないけれど、ロマネスクという名称がついていると言うのは、このサンタ・マリアにちなんでいるに違いなく、この教会が、いかに地域で大切にされているか、ということですよね。

さて、教会。




これは、予想外の素晴らしいたたずまいでした。
前回の教会の石積みと同じような感じで、比較的小さいサイズの、色彩の異なる石を積んだ外観。




ロンバルディア風の総称とあいまって、なんとも好みの外観です。
大きさも、かなりこじんまり系で、これもまた好みですね。
それにしても、かなり発展してしまった町の中で、良くぞ、この姿を保って、残ったものだ、と思わざるを得ないほど、オリジナルの姿をよく残しています。




しかし、今現在、かなり激しい修復の元にあることを考えると、おそらく長い間、放置されていたのではないかと考えられます。新興都市にはそぐわない小ささ、古さのために、かえって現在では利用されにくく、また農業地でもないために、納屋や家畜小屋にされることもなく、ただ放置されて、荒れるに任せて、という状態が長く続いた可能性が大。そのために、オリジナルの姿が残された、と。




石積みも含めての修復がされたと思いますが、それにしても、美しい。

内部はどうかと言うと、実はここを訪ねた目的は、内部にあるはずのフレスコ画でした。




後陣部分が、フレスコで覆われています。でも、アーチには、痛々しい補強がされていました。今修復中だからの措置かと思い、尋ねたところ、もはやこの補強を取り外すことは出来ないだろう、というこたえでした。実際、後陣に走る大きな亀裂は、この補強だけで大丈夫なのだろうか?と思わせるようなものでした。




ちょうど、ガイド役のボランティアさんがいたので、他の人への説明を、端っこだけ盗み聞きしたのです。

それにしても、ここのフレスコは、相当古いと見受けました。ちゃんと調べていないのですが、カロリングっぽい感じもあり。もしかしたら、古そうなだけ、という可能性もあるんですけれど。




わたしは、色合いとか、絵がかれ方の感じで、いい加減に言っていますけれど、いずれにしても、時代の異なるフレスコ画が見られるように思います。




もう少し早くに修復がされていたら、色彩がかなりよく残されたでしょうけれどね。




こういうのを見ると、ボイ谷のフレスコをはがして、バルセロナに持っていった気持ちもわからんでもないような気がしたり…。とは言え、やはり千年もたっているオリジナルだから、この色彩でいいんじゃ、と思ったり。うん、まさに、現代目にするロマネスク的色彩だよね。要は退色激しいミレニアム・カラー…。




なんだかんだ言っても、やっぱりオリジナルだから、納得できるし、いいなって思います。
わざわざ苦労して探し当てた甲斐がある。うん。

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  1. 2015/05/03(日) 06:46:44|
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石積み大会、入賞候補

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その25

寄り道が続きましたが、やっとロマネスク修行に戻ります。

ヴィックに泊まり、翌朝目指したのは、ラ・ガリーガLa garrigaという町の教会サンタ・マリア・デル・カミEglesia de Santa Maria de Cami。
この日は、夕方にはバルセロナに戻る必要があったため、その途上にある町を目指したのです。
町までは順調にたどり着いたものの、教会の場所はまったく分かりません。
とりあえず、車を止めて、そこにあった町の地図でチェック。




こういう地図って、ほんっと、腹立たしいです。
一見、ちゃんとしてて情報として役立ちそうなのに、実は、道の名前は記されていないわ、教会のマークはあっても名前は記されていないわ、もうまったく、町として、自分たちの大切にすべきものを大切にしてないって言うか、自信もってないって言うか、何のための地図なのか分からないって言うか。そのくせ、「古代コース」「中世から近代コース」とかの観光コースを、ざわざわ色分けして記しているという訳の分からなさで、脱力です。

通行人数人に聞いても、古い教会なんて知らない、と言う人ばかり。やっと、かなり地域に詳しい人に出会い、多分ローマ遺跡のある場所のアレじゃないか、と地図を見ながら、行き方を教えてくれました。
その通りに辿ったつもりですが、まったく視界に入るそれらしい建物はないし、どうしても訪ねたい理由もないので、結構苦労したのに、収穫なしで町にお別れすることになってしまいました。




何の変哲もない、ラ・ガッリーガの中心地。特徴のない町並み、そして何の収穫もなかったのに、おろおろうろうろしたので、そのたたずまいは、結構しっかり記憶にあります。

次に目指したのは、カノヴェラスCanovellas。これも、途上にあるから、というに過ぎません。
しかし、ここもまた、迷いに迷いました。
この辺り、元は何もなかった丘の続く土地だったのが、どうやら比較的最近、開発されたようなんです。新興住宅地。教会のあるはずの道の名前をナビに入力したのですが、わたしのアップデートしていないナビには、開発後の姿など分かるはずもなく、変な道に入り込んでは固まる、ということの繰り返し。

それも、丘を切り開いているので、かなりアップダウンも激しく、変な道に入り込んだら、坂道の苦手なわたしには、相当リスクが高い。用心しつつ、やっとの思いで、この先にありそうだ、とかなり確信できる道にたどり着きました。
最後は、車は行き止まりでしたが、徒歩で進めそうです。




古い建物があるので、新興住宅地になる前にも、もちろん村があったのだと思いますが、それは、農家が数軒とか、家が数軒とか、多分そういった村だったのでしょう。もしかすると、修道院とかがあったのかもしれません。今の村の中心に、この閉鎖的な建物がそびえていましたので、修道院の名残かもしれないと思いました。

やっと探し当てた、目的の教会サン・フェリクス・デ・カノヴェラスEglesia de Sant Felix de Canovellas。




しかし、残念ながら、入り口には鉄柵があり、これ以上近づくことも出来ませんでした。




こんな、遠いんです。
でも、目的は、正面入り口周りの装飾なので、遠くとも、現代の優れたデジタル機器のおかげで、レンズを通してになりますが、とりあえず観察と記録はすることが出来ました。

全体に摩滅が激しいようですが、わたしの好むチェッカー模様がたくさん。




ぎざぎざの模様も、好み~!鳥がたくさんいますね。




鳥が中心モチーフ。鍵爪が妙に鋭い猛禽類的なのに、身体は鶉にしか見えなかったり。石工さん、地元系かな。表現力はいまひとつなんだけど、チェッカーやぎざぎざ模様の使い方は、モダンで、不思議。モダンっていうのも変ですが、でも、こういう風に幾何学モチーフを縁取りに使おうっていうのを、どこから思いついたかな、っていうところに、興味あります。




ハーピー?顔怖いけど、小さくて丸っこい身体と全然合っていません。翼がまた繊細に、彫りこまれていますねぇ。

扉上部にある、この二連窓の素朴さも好きでした。




おざなりな装飾。でも飾ろうっていう気概が感じられます。
それに、この微妙に色合いの異なる石積みが、大変好ましいです。




すごくきれいです。レンガも混じっているのか、それとも天然石で、こういうオレンジとかピンク系があるのか。これは、後陣の方も、是非見てみたかったです。こんなに異なる色でサイズも小さめの石積みっていうのは、なかなか見ないですよ。「最も美しい石積み」大会があれば、かなり上位に食い込みそうな、そういう石積みだと思います。

というわけで、見学はあっという間に終わったものの、何とか、遠くからでも後陣側が見えないか、と周囲をめぐり、ベンチに立ってみたりしたのですが、これが精一杯。




ファサード側の天辺と、後陣側の天辺が、手前の建物に隠れて、ほんのちょっと見えています。教会前にあった簡単な説明版に拠れば、後陣は三つあり、ロンバルディア・スタイルの装飾、という事なので、ブラインド・アーチ、もしかしたら、わたしの大好きな付け柱すらあったのかも!
ミサのときは入れるのでしょうけれど、平日17時に、この辺にいることは、相当難しいので、まず無理。本当に残念。

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  1. 2015/05/02(土) 01:51:43|
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