グラッパ合宿、アルト・アディジェ、その3
アルトアディジェは、いろんな意味で、イタリアというよりドイツですから、お店の営業時間なども、ドイツ的。要は早仕舞い。 ということで、こちらの蒸留所を訪ねたとき、既に、閉店まで5分、17時55分という時間で、もう受け入れてくれないのではないか、と危惧しながらでした。
Distilleria Privata Unterthurner Srl Via Anselm Pattis 14 Marlengo (Merano)
直販所に入ったときは、ドイツ人らしき団体で満員で、ドイツ語圏以外は、相手にしてもらえないのではないか、という雰囲気だったのですが、意外にもそんなことはなくて、既に店じまいの雰囲気満載の中、とても気さくに接客をしていただくことが出来ました。それも、イタリア語で!(特筆するのも変ですが、特筆したくなるような、そういう土地なんですよ、本当に)。
団体を相手にしている割には、お値段も良心的な感じで、安心して試飲できる雰囲気がありました。売り上げを守るための警備会社の社員も既に待機している状態なのに、お店の人は、時間を気にする風もなく、数種類の試飲をさせてくださり、結果、わたしは1本。
この辺りの葡萄種ラグラインのグラッパ。試飲でおいしかったし、せっかく土地の葡萄なのに、まだ買っていなかったから。 そしたら、おまけに、極小ボトルを2本もつけてくれるんです。このサービスにはびっくりしました。 極小ボトルって、ピエモンテでは、あまりないような。おまけは、絶対ないです。 これ、味見にちょうどよいんですよね。または、お土産。多分、お店では、実際に販売もしているはずですが、他の直販店でも、ちゃんとボトルを買った場合、極小はおまけしてくれたりしました。 日本で、いつも日本酒のお世話になっている実家近所の酒屋さんに、この数年、グラッパを売り込んでいるわたしとしては、お土産に最適なボトルで、なんだかとっても嬉しくなりました。これこそまさに、商人の王道、損して得取れ、ですよねぇ。
ここで、日付が変わります。 翌日、天気予報大はずれの快晴に恵まれました。さすが、晴れ女の面目躍如です。 晴れていると、青空をバックにしたブドウ畑の美しさが、目にしみるほどです。 しっかりと朝ごはんをいただいて、朝っぱらから、向かうのは、もちろん蒸留所。 朝一の突撃は、こちらでした。
Roner S.p.A. Via J.V.Zallinger 44, Termeno
かなり商業的な感じのたたずまい。でも、朝も早から開いているのは嬉しいことで、突撃!
整然とした店。開店直後だけに、他に誰もいませんが、お店の人は開店準備状態で、こちらには無頓着ですから、勝手に店を歩き回ります。 奥の方には、グラッパ博物館的なスペースもあり、いかに観光客を意識しているかがわかります。
それも、グラッパではなく、アクアヴィテという言葉を使うのは、やはりドイツ語圏相手って感じですねぇ。 この向こう側には、一室に、グラッパの説明などが多角的にビジュアル・嗅覚的になされていて、結構面白かったです。
一通り見学した後、カウンターで、試飲。
このくらい飲んでくると、地域の葡萄種も大体分かってくるし、自分が今回求めたい方向性もわかってきます。また、各蒸留所の傾向というのも、なんとなく。 これは、何もここで買わなくても、結構流通していそうだな、とか、そういう商業的なことも、ちょっとにおってきます。ここは、まさに、そういう感じが強かったんですよね。お店の人、感じはよいですが、情熱みたいなものはなくて、「会社」。
それでも、試飲したのはどれもおいしかったので、空手では出れませんから、1本、葡萄のアクアヴィテを購入しました。
実は、これまで購入した中で、自分的には、結構好きかも、と思ったのがアクアヴィテ。それって、これまで回ったピエモンテやヴェネトでは、グラッパではなくて、葡萄の蒸留酒という位置づけだったんですけれど、このアルトアディジェでは、果物の蒸留酒が多くて、葡萄のアクアヴィテが、意外にもないんですね。 で、ある意味新鮮だったのが、これ。 なんて、書いていても、多分これ、読んでいる人、分からない、と思いつつ…。
ま、要は、合宿ですからね、朝ごはん直後から、40度超の蒸留酒を飲んでいる、ということです。
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2015/05/30(土) 06:53:13 |
グラッパ
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グラッパ合宿、アルト・アディジェ、その2
ランチの後で向かったのは、こちら。
Hofbrennerei Fischerhof Fam.Martin Mauracher Schreckbichl 12, Cornaiano, Appiano
友人のナビも、わたしのトムトム同様、たった数分を節約するために、とんでもない山道を指示したりするので、結構すごい道を行きましたが、無事、到着。 いずれにしても、あまり便のよくない、そして何でもない田舎の住宅地に、唐突にありますが、お客さんは結構次々と来るようでした。
だからかな、看板や印が、しっかりと立てられています。
外から見ると、結構普通の農家なので、こういう印がないと、分かりにくい。きっちり看板を立てるのは合理的です。さすがドイツ語圏。きっちりしています。
ここのグラッパの種類には、圧倒されました。
フルーツの蒸留酒の種類が、半端ないのです。それも、果物も、ほとんど自分で栽培しているもの、というので、二度びっくり。どんだけ働きモンなんだ。
味見するにも、どれがいいのか、迷ってしまいます。
そういえば、今回は、味見の際、あては、時々、地域のパン、パンというよりはクラッカーのような固いものですが、そういうものがおかれているところと、何もないところっていう感じで、大体チョコレート系が用意されているピエモンテとは、ずいぶん違います。やはりフルーツの蒸留酒が多いから、甘いものよりは塩系が合うのでしょうか。そして、口直しのお水を出してくださるところも結構あり、これは助かりました。
フルーツ中心に、いろいろと試させていただいて、最後にわたしが購入したのは、この2本です。
フルーツ・グラッパの王道、ウィリアムズと、この辺りでは王道の最もスタンダードなグラッパTreber。お値段は、地域で平均的な、17、8ユーロだったと思います。 ウィリアムズは、日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、最もポピュラーな洋ナシの種類で、グラッパに適するようです。洋ナシ丸ごと一個がボトルに入っているタイプもよく見かけます。 ちなみに、果物だからといって、甘みがあるわけではありません。リキュールじゃないからね。たいていは、口に含んだときとアフターに、その果物の香りが広がる感じです。甘みも感じられるのですが、香りに引きずられた甘み感覚っていう感じで、本当に甘いというのとは違います。
アルト・アディジェ名産は、何と言ってもりんご。まず目に付いたのは、わたしが大好きなフジで、もちろん、いの一番で試したのですが、意外とぼけたテイストで、がっかりでした。りんごのお酒は、シードルでも、なぜか、ぼけた感じになりますね。フランスのカルヴァドスとか、熟成させた方がおいしい、というより、熟成させないと、本来のおいしさが発揮できない果物なのかも。 あ、でもこちらでは、フジのバリックもいただきましたが、正直、いまひとつでした。実は、他の場所で、素晴らしいのを味わうことが出来ましたけれど。
さて、この後は、宿に向かおうとしたのですが、途中に立派なワイン屋さんがありましたので、ちょっと立ち寄ってみることにしました。
考えたら、この地域は、「ワイン街道」が知名になっているくらい、ワインの生産地なので、醸造所があることは不思議ではないのですが、それにしても、大規模なワイン屋さんが多く、そしてどこでもドイツ、オーストリア、スイスなど、ドイツ語圏外国ナンバーの車がずらり。一様に、大量に箱買いされているのが目に付きます。
ここも、実に立派なショー・ルームを持つ醸造所。お客さんも、わんさかです。 しかし、やはり高い!最低が7ユーロとか? とりあえず、白を試飲させてもらいました。白は、それなりにおいしいと思うのですが、お値段とのバランスを考えると、やはり高い。その値段だったら、ここじゃなくても、あるだろうし、もっとコスパのよいワインはたくさんあるよね、と思ってしまうんです。赤については、言うまでもありません。 ということで、1杯のみ逃げしました。
まぁ皆さんが、びっくりするくらい大量に買われているから、問題ないでしょう。地元の人々のメンタルは、ドイツ語圏のドイツ人なので、そもそも、イタリア語で接客する気は、あまりなさそうですしね。
降りそうで、なかなか降らず、涼しくてドライブにはいいよね(ちょっと負け惜しみ)、というような空模様の中、長い一日は、まだまだ終わりそうもありません。
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2015/05/29(金) 05:39:36 |
グラッパ
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お城のほうに移動したのは、ピアノ・トラムに興味があったからです。
これ、路面電車の中にピアノが置かれていて、1時間ごとに、お城と、カテドラル裏の広場との間を、演奏しながら走るって言う企画。トラムには、つめるだけの観客を積み込みます。 でも、もう夕方も遅い時間で、チャンスはあと1本か2本という状況で、トラム発着所に付いたときは、既に長蛇の列。まぁ、予想はしていましたけれど、首から係員らしいパスを下げたお姉さんに、残念ながら、もう無理だよ、と、言われてしまいました。 ちょうど、これからカテドラル方向に向かうトラムに、幸運な観客が乗り込むところ。 トラムごとに音楽のテーマがあって、この回は、今年早々に急逝したピーノ・ダニエレ・トリビュートでしたから、さらに残念感が強かったですが、仕方ないです。こっちも無計画だからね。
ちなみに、イタリアの音楽シーンについては、ほとんど無知なんですが、ナポリ出身でナポリ方言で歌うシンガーソングライター、ピーノ・ダニエレは、数少ない、好きな歌手でした。日本で言えば、ジャパン・ポップは興味ないオサレな選曲をするDJなんかが(たとえばピーター・バラカンさんあたり)、この人は日本人だけど、でも、いいのよ、というような、そういう位置にいるミュージシャンでした。
このピアノ・トラム、去年も興味あったのに、乗れなかったので、来年こそは、是非、と思っています。
お城前の広場は、異常ににぎわっていました。普段でも、お天気のよい週末には人が集まる場所ですが、今は万博もあり、いつも以上に外国人観光客も多いので、そういうことになっているのでしょうけれど、久しぶりだったので、びっくりでした。
お城周辺の道が、歩行者天国になっているのもびっくり。これも万博効果で、整備されたおかげ。その中で、これも気になっていたピアノ・ビチ(ピアノ自転車)が、置かれていました。
出動を待っているところで、係員のお姉さんが、薀蓄を説明していました。 ここでまた、パンフレットを確認して、近い時間のイベントを探して移動したところ、なんと、そのピアノ・ビチの路上演奏でした。
こんな構造になっています。 ピアノを積んだ三輪車。エディソンという、多分電力とかの会社が、今回このピアノ・ビチのスポンサーなので、そこの会社ビル前。
これは、ピアノ・ミュージシャンとしては、結構憧れというか、絶対出来ないことが実現した、みたいなとこもあるんじゃないでしょうかね。というのも、多くの楽器の中で、ピアノというのは、路上演奏が一番気軽に出来ない楽器。だって重くて、簡単に持ち運べないモンね。それを実現したのが、今ピアノ・シティであり、そして、ひいては、このピアノ・ビチ。 演奏が始まります。
意外にも、すごくまじめなクラシック。運転手は、ストッパー状態で、サドルに座っているだけ。 でも、2、3曲引いた後、いよいよ動き出しました。 ちょっと不思議な、ピアノの信号待ち。
停まって弾いているときの観客が、ビチの跡を、パレードのようについていきます。演奏者も大変と思うけれど、トロイメライとか、意外と乗れない曲をゆったり弾く演奏者。
演奏者も、ビチの運転も、周りでサポートする人たちも、大変そうでした。でも、牧歌的な風景というか、異質な風景というか、なんだか自然に笑みがこぼれてしまう。楽しかったです。 すっかり満足して、帰路に付いたところ、カテドラル近くのメルカンティ広場で、演奏会が繰り広げられているのに遭遇。
素敵な男の子が演奏しています。やはり自由な感じで勝手気ままに聞いている観客たち。メルカンティ広場は、中世の面影を残す、かつて市場だった広場。時代を超えた風景が広がります。
ここでの演奏会は、学生さんたちが、まじめにクラシックに取り組むものらしく、一人30分の持ち時間で、それぞれ3、4曲を披露するというものでした。 上の写真の子の前から聞き出して、だんだん近くに寄って、のめりこむように、聞いてしまいました。
超絶技巧のリストとか、そういう曲を弾いていた子。イタリア人らしかったですが、見た目はドイツ人のかわいい高校生、または大学生。途中からジャケットを取って、やるぜ!という感じで、全身全霊をこめた演奏。それを、ほんの2メートルくらいの場所から立ちんぼで鑑賞。なんかピアノを聴く状況でもないけれど、変に熱い空気が、イベントならでは、です。
ピアニストの手は、やはりきれいだなぁ、とふと撮影したものの、なんという早い動き。
びっくりしましたね。 そして、次に出てきたのは、まるで中学生くらいの男の子。神童?
直前のドイツ人風が、リストやシューマンの超絶系を弾いた直後で、最初は若干緊張感があったけれど、どんどんほぐれてきて、最後に弾いたガーシュインなんか、ちょっと中学生とは思えない奔放な感じで、なかなかでした。照れながらも、全方向にお辞儀をする姿もよかったです。
結局、立ちんぼで、1時間半ほど聴いてしまいました。とってもよかった。名声のあるピアニストの演奏が素晴らしいのはもちろんですが、こうやって、生活の延長でさり気に聞く演奏もなかなかです。演奏者が、発表の場、として演奏している真剣さでは、おそらくコンサート・ホールで弾く人と差がないと思うし。聞いている方も、批評するという態度でなく、純粋に楽しむ、というのが、よいですねぇ。
たった一日だったのが残念。来年は、もうちょっと身を入れて楽しんでみたいと思います。
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2015/05/27(水) 06:35:47 |
ミラノ徒然
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もう一年たっちゃったんですね。先週末、ピアノシティでしたので、今年もまた、ちょっとだけ参加してきました。 ピアノシティ、どの町が最初に始めたのか知りませんが、週末の二日間、町中いたるところにピアノが置かれて、野外で生ピアノの演奏を楽しむことが出来るイベントです。
まずは、メイン会場であるパレストラの公園へ。
今回は、ランチに手間取ってしまって、会場入りが遅れてしまったこともあり、既にすごい人出です。 公園内には、三ヶ所にちゃんとしたピアノが置かれていて、30分から1時間おきに、違う演奏者による異なるコンサートが繰り広げられます。
聴衆は、地べたに座り込んで、勝手気ままに自由に、音楽を楽しみます。風の音、池の水のせせらぎ、子供の泣き声、遊ぶ声。そういう普通の生活音を背景に、クラシックからジャズ、古典から自作曲まで、本当に自由なコンサートです。
演奏者は、もちろん真剣。でも聴衆の方は、寝転がっていたり、子供と遊んでいたり、タバコをすったり、ビールを飲んだり、ちょっとおしゃべりしたり、やり放題の気まま放題。
そんなのって、普通のコンサートではありえないし、許されないけれど、こんな木立の中にさりげなく置かれたピアノ・コンサートでは、何でもオウケイじゃん、という気持ちになりますし、実際オウケイなんです。
気が向いたら、勝手に近寄って、誰に気兼ねすることもなく撮影なんかもあり。
関係者の撮影や録画もありますが、友人知人や、まったく関係ない人たちが、かなり演奏者の邪魔する可能性ありの至近距離まで近づいて、撮影したり、ビデオを録画したりも、許されています。
なんか、自由でいいなぁ。
途中から聞くのもよし、飽きたら場所を変えるもよし。 しばらく公園で演奏を楽しんだ後、パンフレットの内容を検討して、お城の方に移動しました。
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2015/05/26(火) 05:40:14 |
ミラノ徒然
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トレントのポリPoli グラッパ合宿、アルト・アディジェ、その1
今回の合宿も、メンバーはいつも同様、ボローニャ在住の友人ご夫婦とわたし、という少数精鋭(?)チーム。ボローニャから北上してくる彼らとの合流地点は、ヴェローナからミラノよりにあるソンマカンパーニャという町の、はずれにある駐車場としました。 合流地点からは、わたしが彼らの車に同乗、つまり、自分の車は、3日間放置しなければならないので、場所の選定は慎重に…。 今は、グーグルのストリートビューで、知らない土地の様子を見ることが出来るので、こういうときは本当に助かります。今回も、まったく土地勘のない場所にもかかわらず、求めている条件にぴったりな駐車場を発見することが出来ました。
この週末、金曜日は曇り時々雨。午後からは悪化し、土曜日は一日大雨、という予報でしたが、晴れ女のわたしは、まったく心配していませんでした。金曜日は、確かに途中雨がぱらつきましたが、結局傘を開くこともなく一日が終わりました。晴れ女、こうなると伊達じゃないです。
さて、向かうのはボルツァーノ方面。ヴェローナから高速に乗りなおして、北上です。 ヴェローナから北に向かう高速は、二車線のこじんまりしたものですが、周囲を緑に囲まれて、とても美しい土地を進むので、大好きな道。今回は運転しないでいいので、思いっきり景色を堪能できて、快適なこと、この上ありません。
まずは、トレントに程近く、友人たちが、既に何度か訪ねたことのある村に向かいました。
トレントから、西に15キロほどの市でしょうか。小さな湖サンタ・マッセンツァのほとりにあるサンタ・マッセンツァ・ディ・ヴェッツァーノというとても小さな村です。上写真が、村の広場。山が迫っていて、いかにも、はるばる山奥に来たな、というような雰囲気です。
本当に小さな村だというのに、なんと、蒸留所が5軒もあるというのだから、まったく驚きです。それも、かつては13軒あったのが、淘汰されてそうなったというのです。土地が土地だけに、他の産業が育たなかったのかもしれませんが、それにしても、淘汰されてもなお5軒残っているというのは、すごいことだと思います。
まず、訪ねたのは、こちら。
Distilleria Mauro di Mauro Poli (Mauro e Giulio) Via del Lago, Santa Massenza, Vezzano (TN)
グラッパをたしなまれる方だったら、あれ?と思うかもしれません。看板にPoliポリとありますからね。グラッパで、ポリといえば、誰もが、バッサーノ・デル・グラッパBassano del Grappaで、大々的に営業しているグラッパ屋さんを思い浮かべるはず。 しかし、ここのポリは、そのポリとは全然関係ありません。というか、この村のグラッパ屋さんは、皆さんポリという苗字の方ばかりらしいのです。だから、もちろん、歴史を遡れば、みんな同じ先祖にたどり着く可能性は有るのかもしれませんが、少なくとも今は、まったく関係ないようです。
で、ここのポリさんは、マウロさんとジュリオさん。父子でやっている小さな蒸留所です。きっとお父さんがマウロさん。
かつては、農作業などの小屋として使っていたようなスペースが、今は直売所となっています。近所の農民仲間みたいなオヤジが来て、白ワインを一杯やったり、そういう集いのスペースにもなっているようでした。 友人によれば、これまでは息子さんが対応してくれたので、お父さんは初めて、ということでしたが、このお父さんが、もう!なんて言ったらいいのか、一番ぴったり来るのが、「天使のような」?なんか陳腐なんですけどね。それも、じいさんと呼んでもよさそうなお年の方にどうよ、という形容ではあるんですけどね。でも、本当に、真っ白で純朴で、翼がはえている人みたいな、ミラノでは絶対に出会えなそうな、絶滅危惧種的な、そういう空気をまとった方でした。
奥の方に、しっかりと試飲スペースが用意されていて、こんなにたくさんグラスも置いてあるんです。 って言うことは、結構客が来るということで、それなのにこのマウロさんの真っ白ぶりは、本当に只者ではないなぁ。
早速、試飲。
この辺りの葡萄種ノジオラNosiolaの、ビアンコとリゼルバ。天使のようなお父さんの、ゆったりとした説明を聞きながら、今回合宿最初の一杯を、楽しみました。
アルト・アディジェまで来ると、葡萄種についても、未知のものが多いようです。このノジオラというのは、初体験でした。すっきりとおいしいです。何よりお値段がお手ごろ。 ただし、今回は、自宅のスペースの問題もあるので、あまり買わないことを誓っていましたし、最初から飛ばすわけにも行かないので、ここでは、ビアンコを1本、いただくことにしました。14ユーロ。それも70mlですから、お得感ありですねぇ。帰りに寄っていたら、確実に2本は購入したことでしょう。
すぐお隣に、フランチェスコ・ポリさんの蒸留所がありますが、ここは、すっ飛ばし。
さらに、そのお隣にある、こちらジョバンニ・ポリさんにお邪魔しました。
Giovanni Poli - Azienda Agricola e Distilleria Artigiana Via del Lago 3, Santa Massenza di Vezzano (TN) www.giovannipoli.it
こちらでは、女性が出てこられて、とても気さくにおしゃべりをしました。ここで、かつてはこの狭い村に13軒も蒸留所があったというような話をうかがったのです。この家の前に、トレントの司教の別荘のような家があり、トレンティーノ公会議の頃、つまりこの地の教会が強大な力を持っていた頃に、そういうところから蒸留酒作りが始まって、定着したのでは、というようなお話もあり、面白かったです。 そして、彼女は、そういうお話に行く前に、こちらの興味を確かめつつ、カウンターに瓶を並べ、「どんどんやって頂戴」と。
これは嬉しかったですね。まず一通り試した後に、もう一杯これを、とか、好き勝手に手酌で試飲させていただきました。おおらかですよ、アルト・アディジェ。手酌で試飲、というのは初めてでした。
こちらでも、やはり土地の葡萄種中心。おかげで、わたしにはなじみがないものの、二軒目にして、傾向が分かってきました。 こちらでは、ワインも製造しています。品揃えは幅広いです。
そして、お値段は、やっぱり手ごろ。
二軒目にして、既に、今回は買わない、という誓いがぐらぐらして来ています。結局、2本購入。
どちらも土地の葡萄種で、TraminerとMarzeminoの二種。どちらもビアンコで、飲み口がよかったのですが、今では思い出せないので、早く開栓して味わってみたいところ。
というわけで、しょっぱなから、それも猫額の小さな村にて、既に3本。ううん。先が思いやられる合宿です。
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2015/05/22(金) 05:47:41 |
グラッパ
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カタルーニャ・ロマネスクめぐり、番外(最終回)
ずいぶんと時間がかかってしまいましたが、昨年の春先のカタルーニャ、超特急修行旅編、やっと完結。お付き合い、有難うございました。
今回最終地バルセロナでは、空き時間を使って、サグラダ・ファミリアの様子もしっかり見に行ってきました。
通りかかったペドレラPedreraでは、あまりの観光地化ぶりにびっくり仰天。
このときは、仕事関係の同行者がいて、彼女はバルセロナが初めてだったので、せめてひとつくらい観光地を拝みたい、ということで、サグラダ・ファミリアに向かう途中だったのですが、すごい行列に驚き、そして、入場料の高さに呆然としました。 ここ、すごく昔は入れなかったはずだし、その後は、住人に迷惑をかけないように、直接屋上にだけはいけるようになったような記憶があります。お金を払ったような記憶はあまりないんだけど、払ったにしても、たいした金額ではなかったはず。常に貧乏なわたしが、躊躇せずに行ったわけですから。
そして、ライト・アップが美しいカーサ・バトリョCasa Batllo。
ガウディは、本当にいいですね。いつ見ても好きです。
そして、旧市街は旧市街、新市街は新市街、それぞれがそれぞれの様式を持って美しいバルセロナの町並みは、何度訪ねても、飽きることがありません。
いつものように、ちょっとだけ、旅の情報を。
バルセロナ外で、今回宿泊地としたのは、ヴィック。たったの二泊だったので、動きやすさだけを考えて決めました。当然、駐車場も必要。 というわけで、ヴィックの旧市街を出た場所にある、元修道院を使ったホテル。
Seminari Allotjaments Ronda Francesc, Camprodon 2 Vic
修道院ったって、かなり近代的な時代の建物が基礎になっており、ホテルとしては、超モダンです。 まるで病院の受付のような殺風景でがらんとした入り口からお部屋のある棟までは、大きな中庭を二つも奥に進む必要があり、その途中も、まるで学校とか公共の施設のような愛想のなさ。
でもお部屋のある場所は、完全に現代ホテルで、もちろんカードキー。内部は、イビスとか比較的低料金のチェーンホテル仕様って感じで、面白味はないけれど、必要なものはすべてそろっていて、清潔。
なんといっても安かったんですよね。 古い話になってしまいますが、宿泊初日、ソチ・オリンピックの、フィギュア・スケート男子フリーの日だったんです。スペインでのオリンピック放映がどうなっているかは不明ながら、スペインからは、ハビエル・フェルナンデス(今は、安藤美姫さんのパートナーとして有名な方)というヨーロッパではトップ・クラスの選手が出場しているので、普通の地上波で放映しているに違いない、と期待して、18時過ぎ、ホテルに到着するなり、テレビをつけました。 ザッピングしたところ、案の定中継しています。 お腹がすいているけれど、外に夕食に行くと見逃しそうだし、中継を見た後に出かけるのは鬱陶しい。ということで、ホテル受付で勧められた、ホテル内食堂を利用することにしました。 このホテル、部屋数は多いし、安いしで、学校とか各種団体の利用が多いようで、そのために食堂が併設。レストランではなく、食堂です。夕食8.50ユーロ。レセプションで事前にチケットを購入するシステムです。
早い時間から開いているので、さっさと行ったところ、まさに食堂。セルフ・サービスで料理を取り、テーブルに置いてある水やワインは飲み放題。いかにも合宿とかの子供たちが団体で食事中でしたが、とても広いので、まったく問題なし。 味は、もちろん食堂ですから、多くは望めませんが、このご時勢に、8.50ユーロでワインも飲み放題、時間も節約できるなんて、まさにこの日にぴったりの夕食でした。 で、すばやく食事を終えて、部屋でフィギュア・スケートを堪能したと言うわけです。
翌日もホテルの人には食堂を勧められましたが、さすがに二日続けていただくのは…、と辞退し、レストラン情報をもらって、旧市街に出かけました。 ヴィック、さほど大きくない町だけど、レストランひしめいています。いくつか歩いて、最後はこの右側のお店にしました。
がっつりといただきました。前菜にカルパッチョ、メインに、豚肉のグリルと野菜たっぷり。ワインは飲み放題1本。それで20ユーロくらいでしたから、やはりスペインは安いですよねぇ。
今回、途中の田舎で、カタルーニャ名物のねぎグリルをいただいた話は書きましたけれど、もうひとつ、カタルーニャ名物、コカもいただくことが出来ました。 これは、多分サン・クガのランチだったと思います。
コカって、ご存知でしょうか。麻薬じゃないですよ。要は、カタラン風ピザ、ですね。イタリアだとピザ、フランスのお昼にはそば粉の塩系クレープ、ガレットが、手軽なように、カタルーニャのお昼には、このコカ、お勧めです。 ピザやガレット同様、生地の上に、様々な具が載せられてきます。わたしは、お店のお勧めだった中華風を頼んだのですが、具はまさに中華の炒め物で、白いご飯が欲しくなってしまいました。
やっぱり、ご飯がおいしい土地は、楽しいですね。その上安いとなると、これはもう嬉しさ一杯。昼間はともかく、夜はワインもがぶがぶで、スペインの旅は、文句がありません。
ということで、既に次回のスペイン旅行が楽しみです。実は、今年も7月に、スペイン方面を訪ねる予定です。 長々とお付き合い、有難うございました。
2015/05/20(水) 05:39:15 |
カタルーニャ・ロマネスク
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ちょっとお休みが続きました。 というのも、またぞろ、ネット接続に問題が発生して、先週後半から接続できない状態が続いていたため。また、週末は、恒例のグラッパ合宿で、留守にしていたためです。
ネット接続業者からは、木曜夜に連絡が来るはずだったのにすっぽかされ、いやな気持ちで旅に出て、旅の最中に電話がありました。携帯電話が普及したおかげで、よいことも悪いこともありますが、こういう風に、日常が休暇中にも追っかけてくるのは、あまりよいことではありません。 同時に、休暇中でも連絡が取れるので、便利な部分もあり、難しいところですね。
それにしても、とても素敵な緑の只中にいたわたしには、ネット接続云々と言うのは、遠い話でした。 ま、何はともあれ、今夜、やっと接続問題が解決しました。
ということで、週末に、恒例のグラッパ合宿に行ってきました。半年ごとなので、今回は東方面です。 戦利品の数々。
アルト・アディジェは、いつも同行する友人の選択ですが、大変よかったです! というのも、このところ、過去に購入したアクアヴィテをいくつか味わっていて、そのおいしさに打たれていたところだったので、今回は是非アクアヴィテ中心に、と思っていたからです。アクアヴィテは、西、つまりピエモンテにはありません。
アルト・アディジェは、まさにアクアヴィテの本場。それも、果物中心。 今回、りんごや梨、アプリコットや木苺など、果物系の蒸留酒をたくさん味わい、そして、たくさん購入することが出来ました。
果物を蒸留して作ったお酒ですが、アルコール度は、グラッパ並みに、40度前後あります。
でも、甘みや果物の酸味が感じられたりして、飲み口は、グラッパよりもかなりさわやかで、するすると入ってしまう感じ。
ほとんどの方には興味がないでしょうけれど、自分の記憶としても、じっくりとレポートしていきますので、お楽しみに。
それにしても、南チロル。 2012年にロマネスクを求めて旅して以来ですが、やはりドイツですね。イタリアにしてイタリアでない土地。 イタリア語が通じないし、人々のメンタリティも、自分たちの国籍には興味なく、南チロル人としてのアイデンティティが先に立っています。
そしてまた、美しい土地です。
まるで、モザイクのように、整然と並ぶ果物畑、ブドウ畑。3年前にもその美しさには愕然とする感じでしたけれども、今回はまた、新緑の季節だけあって、格別でした。 天気予報では、一日中大雨のはずが、朝からピーカン。晴れ女の面目躍如というところです。
本来は、続き物にしっかりと切りをつけて、休み明けからグラッパ合宿特集、と思っていましたが、接続問題のおかげで、ちょっと情けないずれが生じますが、どうぞお許しくださいね。 カタルーニャを〆てから、ミラノ万博早足、そして、グラッパ合宿と続く予定です。 スペイン・カンタブリアは、もうちょっと先。ロマネスクをお待ちの皆様、しばらく寄り道が中心となります。
2015/05/19(火) 05:41:48 |
グラッパ
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カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その32
サント・パウ・デル・カンプ修道院Monastir de Sant Pau del Camp続きです。 ファサードを堪能した後、今度は後陣外側です。
地味ながら、ロンバルディアの香り満載で、素敵な後陣。ブラインド・アーチに、そして大好きな付け柱。我が家に帰ったような安堵感すら覚えます。
若干、修復が激しすぎるようなきらいが無きにしも非ず、ではありますが、でも、美しいのでオウケイ。許す。 アーチの根元には、素朴な彫り物が見られます。
そして、回廊へ。 今、教会正面の扉は閉ざされていて、脇にある入り口から入るようになっています。そうすると、最初にアクセスするのが、この回廊となるのです。
とっても小さい、本当に愛らしい回廊です。 ほっそりと優美な小円柱間は、なんと普通のアーチではなくて、クローバー型というか、花形というか、まるでアラブの装飾のような意匠が施されているのが、印象的。
全体は、かなり修復されているのですが、柱頭は、相当朽ちています。
動物フィギュアも、なんだか素朴を通り越して、違うものになっている気もします。
磨耗したところを、無理やり形をつけるような彫りなおしをしてしまったような感じもありますね。右側のなんて、川を上ってくる鮭を捕まえようとしている北海道のヒグマ、と言った風情じゃないですか。 左側の、馬らしき姿と鹿らしき姿も、ちょっとねぇ。あ、馬鹿になっちゃうし。
もしかして、アダムとイブ?と思った柱頭。
なぜかというと、単純に、真ん中に蛇らしきものがいるからですけど。これだけ朽ちちゃってると、もう想像力の世界だけ。 これなんか、どうです?
らくだの皮のパンツをはいたヨハネ。わたしの想像。
それにしても、今回のカタルーニャ、最初から最後まで、回廊、キオストロ攻めでした。こんなに短期間に固めて、大から小まで回廊を見たことはなかった気がします。かなり狭い地域を回っているので、ということは、この時期、この辺りには、修道院がひしめいていたと言うこと。修道士が一気に増えた時期とかあるって言うことなんでしょうかね。 それとも、最初は小さなコミュニティーが、どんどん淘汰されて、修道院が大きく立派になって言った、その過渡期のものが、この地域にはたくさん残っているということか。 他で、これほど回廊が密集している地域に出会ったことがないと思うので、興味深いです。確か修道院を特集した本を持っていたと思うので、紐解く必要がありそうです。
この修道院の敷地を出たら、地元の人や観光客であふれかえるバルセロナの町なのに、ここにはほとんど誰一人訪ねてきません。わたし自身、先に書いたように、何度も何度も訪ねていながら、初めてここに来ているわけですから、不思議でもなんでもないんですけれど、なんだか不思議な空間になっています。
最後に、教会へ。
修復がされているといっても、構造の古さがわかる後陣。 こういう素朴な石積みの、ただ石だけが感じられる本堂というのは、ゾクゾクしてしまいます。こういう場所ほど、実際に訪ねたときの感じって、実際行かないと分からないんですよねぇ。装飾にひかれて訪ねる場所とは、全然違う感覚を覚えます。
うっとりしながら、改めて回廊を回って出口に向かう途中、遭遇してしまった柱頭。
サムソンっぽい。全然ハンサムじゃないけど…。そして、ライオンじゃなくて、道産子の馬にしか見えないけど。ひづめだし、やっぱり馬ですかね。とすると、誰かしら。 聖書、もっと勉強しないと~。
というわけで、修行、終了です。 おまけ編が続きます。
2015/05/13(水) 05:45:08 |
カタルーニャ・ロマネスク
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カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その31
久しぶりのバルセロナ、旧市街。
これまで、イタリアのどの町よりも多く訪ねているかもしれないくらい、本当に何度訪ねたか分からないくらい、来ている町です。でも、実はこの寺院を訪ねるのは、初めて。
サント・パウ・デル・カンプ修道院Monastir de Sant Pau del Camp。 ランブラ通りの途中から西側に向かって、細い道を、結構奥に入り込むし、途中からアラブ人とか外国人比率が高まるし、ちょっとドキドキ。 20年くらい前だったら、きっと足を踏み入れたらいけない、と言われるような場所かもしれません。ランブラすら、危ないのなんのと言われていたんですよね、昔は。今では、治安もずいぶんとよくなりました。 治安がよくなると、町全体がきれいに明るくなります。どっちも相乗効果があるんでしょうけどね。 この辺りも、全体に再開発されたようで、こぎれいな近代的博物館とか図書館が建てられていて、かつてはスークのようではなかったか、とイメージできる小道なのに、怖さが払拭された感じがあります。そして、元修道院の場所は、全体が公園となっていて、開けた明るい雰囲気です。
一応入場料を徴収する博物館となっているし、訪ねた時点で既に19時で、若干薄暗くなりつつある状態だったので、入るなり受付のオバサンに、「帰り道とかどうでしょう、怖くないですかね」みたいなことを聞いたのですが、何言ってんの、という感じで、「まったく問題ない!」と断言されたので、大いに安心しました。
それにしても、こんな素敵なロマネスクがあったんですねぇ。バルセロナに来ると、ついガウディとか現代美術ばっかりに目がくらんじゃって、本当に今更、です。
ファサードから既に釘付けです。
だって、ディテールが、とってもかわいいんです。
正面扉。
タンパン、そして、アーキボルト、その上部の彫り物。すべてがいい感じです。 タンパンは、キリストと、両脇は、サント・パウってんだから、パオロと、ピエトロだったりするんですかね。 アーキボルトの、超浅浮き彫りのクリスモンとか碑文が、朽ちて褪せている感じが、すっごく好きです(判読は難しいのですが、やっぱりピエトロとパオロの名前が書かれているような気がします)。
アーキボルトの一番外側の付け根にある、お干菓子モチーフの浅浮き彫り。そして、多分ルカの牛が~、超かわいい!
福音書家は、他三名も、ちゃんといらっしゃいます。ルカほどかわいくないけどね。
アーキボルトの素朴系彫り物も、すっごくかわいいんです。
ざざむし系、パイナップル状の葡萄房、キリストの図像化のお魚とか、お団子二つ並べは、もしかすると、ふっくら乳房かなぁ。もう、すべてが、たまらない愛らしさです。
ロンバルディア・スタイルで、屋根に沿ったアーチの垂れ下がり部分にも、しっかりと変なフィギュアが彫りこまれています。
アレは、たこではないの?たこ?
いや、蛸ではなさそうですが、それにしてもなんだろう? もお、とにかくかわいいのには、変わりなし! 本当の目的、回廊は、次回。
2015/05/12(火) 05:34:45 |
カタルーニャ・ロマネスク
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カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その30
サン・クガット・デ・ヴァリェスSan Cugat de Vallesのサンタ・マリア修道院Monaestir de Santa Maria続きです。
回廊の柱頭。 聖書シリーズ。 受胎告知。多分。
ガブリエル、近っ!鬱陶しいくらいの受胎告知。近すぎだろうって感じ。柱頭という限られたスペースで語ろうと言うには、こうするしかないかもしれないのですが、それにしても、マリアじゃなくても、思わず身体が引けてしまうような近さ。行き場のない翼が上にある?
いきなり旧約にジャンプしますが、イブの誕生、かな。
復活?分かりにくいけど、マリアズ(マリア、複数形)?
説明プレートが付いていても、磨耗とか結構激しく、俄かには判断できないモチーフ連続。はっと思ったのは、ここ。
これも、内容は分からないながら、色がついています。 やっぱりオリジナルは、彩色だったんですかね。ここに残っているのは、赤色。今では、それすら退色して、地味な自然な色合いになっていますけれども、もし彩色だったとすると、おそらく結構派手な色が全体にあったのではないかと想像します。
出エジプト記、っぽい。
結局、現場では、細かいことは分からず、ただ、撮影にいそしむ感じ。 回廊の上部は、博物館になっています。 展示が、結構かっこよかった。
柱頭のテーマやマテリアルなど、いろいろが説明されています。 そして、やっぱり!
彩色されていたようですね。左が、今ある姿。そして右側が、創建当時、こうだったと想像される彩色の柱頭。 そして下が、実際の現在の柱頭。テーマは、アクロバットの人々で、聖書などとは関係なく、当時の柱頭のモチーフとしては、割と見られるものですね。
しかし、これだけの柱頭が、すべて彩色されていたとすると、なんだかもう、想像を絶する、現在とのイメージの違い。フランスの一部、今でも忠実に彩色を模倣する教会を想像すると、ぼんやりとしたイメージは湧くものの、修道士たちの瞑想の場所でもあった回廊の柱頭が、極彩色で、今時だとチベットとか中国の寺院のイメージだったのかも、と想像するのは、容易ではありません。
2015/05/11(月) 05:36:47 |
カタルーニャ・ロマネスク
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