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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

出来損ないクッキー文様

カンタブリア・ロマネスク、その3

例年になく長い夏休みとなってしまいました。そのお話は、別途することにして、例によって、何事もなかったかのように、続きやります。

サンティジャーナ・デル・マルSantillana del Mar、サンタ・フリアナ参事会教会la Colegiata de Santa Julianaの続きとなります。
前回は、後陣、特にその軒送りフィギュアを紹介しましたが、今回はまず、教会本来の入り口となっている南側の扉に回ります。




右側の方が後陣となる位置関係です。
今は、この扉は使われておらず、左方向、本来ファサードがあるべき位置辺りが入り口となっています。
でも、西側にファサードはなく、もともとここが入り口だったのですね。

そのような構造になっているのは、おそらく、ここが修道院であったことと関係があると思うのですが、今は、現地で購入した本(スペイン語)を読む時間もエネルギーもないので、いつかちゃんと…(いつも、こんな調子ですみませんが)。

ここで面白いのは、扉の何重もの無装飾のアーキボルトの上に、横に並んでいるフィギュアです。




残念ながら、全体に痛みが激しく、また人物フィギュアのほとんどは、頭部が破損していて、痛々しい状態になってしまっています。
中央部には、アーモンドの中のキリストが、四人の天使に支えられた図。




本には天使とありますが、翼がありませんねぇ。全体の姿も磨耗が激しくて、うまいのかヘタなのかも分からない。でも、ちゃんと残っている部分を望遠拡大写真でみると、ちゃんと彫りこまれているのが分かります。




なんか、あっさり顔の中性的な天使。翼はないけれど、袖口がゆったりひらひらの衣を着けているようです。
一方で、妙におじいさんめいたキリスト。




わたしには、今までみたどのキリストとも違って、普通に「怖いおじいさん」。意外と現代彫刻的なテイストも感じます。

現代彫刻的、全体にそういう感じはあります。なんというか、とてもミニマルって言うのかな。実際、本を拾い読みすると、アダムとイブが云々とあるのですが、わたしの目には、どこにも彼らの姿は見えない…、ミニマルすぎて…。




本来気になる側柱の柱頭は、ほぼ完全に溶けてる状態で、もう解読不能です。

というわけで、教会に入場します。
ここは、教会と修道院回廊がセットになって、有料の博物館となっています。
まずは教会。




ほとんどの部分、後代に変わってしまっているので、全体は面白味がないのですが、ただ、いくつか興味深い柱頭などが残っています。




錠前で舌をはさまれちゃった怪物系フィギュア。これは、舌を抜かれそうになっている動物フィギュアと同じなんでしょうかね。

こちらは、すごく小さい人がグルグルの間で、男根的な?




結構立派な解説本を購入したのですが、必要な説明が非常に少なくて、今更むっとしています。
また、自分で気付いた以上に面白いものがたくさん隠されていたようで、これは見ていない、という写真もあり、この教会での宝探しは、結構気合がいることに、今更気付いています。

こんなのとか。




こんなの。




これなんて、出来損ないのクッキーみたいなのに、よく度重なる改変の中残ったものだ、と感心してしまいます。




こちらも、なんか全体が異質なんですが、石棺なのかな。




実は、どこにあったのか、既に記憶なし。いずれにしても装飾が面白いですよね。

というわけで、地味な教会ですが、誰もが目的とする回廊とはまた別の楽しみがあります、ということで、長々と紹介してしまいました。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2015/08/18(火) 01:47:06|
  2. カンタブリア・ロマネスク
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