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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

皆様、よいお年をお迎えください。




あっという間ですねぇ。また一年が終わってしまうんですから、ただただびっくりするのみです。
今年こそ、と思ったことがたくさんありますが、そのほとんどを果たすことなく…。

特に残念なのは、2014年に歩いたスペインのレポートを終えられなかったことかも。




もう少しだったのですけれど、結局3年越しになっちゃいます。情けない!

そして、ロマネスクのおとの更新が、ほとんど進んでいないこと。
今年も、スペイン(アラゴン、ラ・リオハ、ナバッラ)や、イタリアを、回ったのに、それらについて、きちんとサイトにまとめるのは、一体いつになってしまうことやら。サイトにまとめることは、もはや、老後の楽しみ、という位置づけになっていますが。




そういうていたらくにもかかわらず、いつもブログを訪問くださる皆様には、本当に感謝しています。
自分のためだけにやっているようなブログではあるのですが、やはり訪問してくださる方がいて、たまにコメントなど発見すると、それは嬉しいもので、励みになります。

亀の歩みではありますが、どうぞ、これからも是非、あきれずに遊びに来てくださいね!

さて、わたしは、明日より一時帰国でミラノを留守にいたします。そのため、約2週間強、お休みいただきます。
皆様方におかれては、よいお年をお迎えくださるよう、お祈り申し上げております。また来年も、よろしくお願いします。

FELICE ANNO NUOVO !!! TANSISSIME BELLE COSE !!!

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  1. 2015/12/31(木) 06:05:54|
  2. ミラノ徒然
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田舎のしょぼいレストランにて、日本人が集ってしまった、の巻。

カンタブリア・ロマネスク、その24

カスタニェーダCastaneda、サンタ・クルス参事会教会Colegiata de Santa Cruz de Castaneda続きです。




時間が押し迫っていたので、アワアワと内部を見学したあと、ゆっくりと外観見学です。
中もよかったけれど、外もなかなかのもんなんです。後陣側、特にステキ。
昔は、何もない場所に、ぽつんと建っていたのでしょうけれど、今は周囲が整備されて、公園のようになっています。裏の方は、先に抜ける車道もなく、放牧場になっていました。




大きく突き出した後陣には、三つ開口部。それぞれ、シンプルな装飾が施されていて、内部と通じるものがあります。




アーチにぐるりとぎざぎざ三角帯。そして、下部には、チェッカー帯。素朴で、でも好き!




両脇の小さな後陣も含めて、軒送りの彫刻がありますが、ここは建物に比して、正しい、というか、本来の縮尺って感じ。




モチーフは、それぞれ面白いし独創的ですが、小さいせいか、インパクトも小さい。ここに至るまで、散々、「でかすぎるだろうよ?」というものを見すぎてしまいましたかね。
正面入り口部分。




改めて、こうやって見ると、すごい大アーチなんですね。それも幾重にも。




アーチ根元の柱頭装飾では、やはりここでも”ほっぺたスリスリ二頭スタイル”でしたよ。




ディテールはよく残っていますが、全体構造、この辺りを見ると、ずいぶんと後代の手が入っているようです。




よく見ると、一つ一つが、やっぱり愛らしいのです。




ゆっくり堪能しましたが、いくらスペイン時間でも、これ以上見ていると、ランチをくいっぱぐれるような時間になってきました。実は、オープン時間を超えて、中を見学させてくれた親切なオバサンに、近所のレストラン情報をもらっていましたので、そこに向かうことにしました。

一応、教えられたように行ってみたつもりなんですが、まったくわからない。
車の生活をしている人って、距離感が違うんですよね。ほんのすぐそこ、というのが、平気で10キロくらいの距離だったりする。わたしは普段の生活では車を使ってないから、どうも、そういう感覚がわからず、すぐって言ったよなぁ?と悩んでしまうことが多いのです。

このときも、かなり進んでも見当たらないので、ほとんどあきらめかけたところで、道端に、駐車も出来るしょぼいバールのようなレストラン発見。
とるものもとりあえず、入ってみました。っていうか、選択肢、他にないし。

予想通り、かなりしょぼい感じの店で、お客さんは、どこで働いているのか、いわゆる肉体労働者系の男性ばかり。なぜか、スペインの田舎の食堂に入ると、こういう状況に遭遇する確立がすごく高いような気がします。
だから、驚くこともなく、やっぱり~、という印象で、テーブルに腰掛け、定食を適当に注文し、ぼそぼそといただいていると、日本語が聞こえた!

顔を上げると、日本人がお二人、入ってきたところでした。こんなところで?なぜ?と呆然としたのも一瞬、もしかして、今夜お会いすることになっている方々では?と思いつき、声をおかけしたら、まさにその方たちだったのでした。
ドラマ~!すごくしょぼいですが、でもドラマ。

彼らとは、メールや電話でコンタクトしていましたが、お互い顔は知りませんでしたからね~。嬉しい驚きでした。
テーブルをご一緒し、おしゃべりを堪能しました。いきなり日本にいるみたいな錯覚。
彼らは、カスタニェーダを訪ねたものの、既にクローズしていたので、まずは腹ごしらえを、ということで、やっと見つけたのがこの食堂だったということでした。ということは、やはりこのあたりには、ここしかないということで、あのオバサンが教えてくださったレストランは、やはりここということらしい。

食事のあと、夕食をご一緒することを約し、彼らは、カスタニェーダに戻り、わたしは、今夜の宿のあるサンティリャーナ・デル・マルに向かいました。
旅先で、こういう出会いがあるというのも、楽しいことですね。

なんだか、もはや年内には終わりそうもないので、のんびりとアップすることにします。あと、もう少しなんですけどね。

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  1. 2015/12/29(火) 06:46:07|
  2. カンタブリア・ロマネスク
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頭部共有と、ほっぺたスリスリ系。

カンタブリア・ロマネスク、その23

小さくて、見るべきものにも出会えない教会が続いて、若干うんざりしたので、一気に北上し、向かったのは、カスタニェーダCastanedaです。




この日は、サンティリャーナ・デル・マルに宿を移動し、フランス在住のロマネスク仲間と合流することになっておりましたので、早仕舞いもありかな、という感じもありましたし、修行も終了が近づいてきていて、疲れもあったんですよね。それに、カスタニェーダは、オープン時間も事前に把握していたので、ちゃんと見学できるはず、という確信があったのです。

しかし、周囲が工事中だったりして、結果、たどり着いたのは、午前中クローズの13時過ぎでした。一応、まだ扉が開いていたので、のぞきこんだところ、13時半まで、ということで、見学させてもらうこととなりました。やはり、とりあえずは行ってみるもんです。午後のオープンは16時からなので、これは、大変ありがたいことでした。

サンタ・クルス参事会教会Colegiata de Santa Cruz de Castaneda。




雰囲気がよくて、ディテールも面白くて、見学する価値が大いにある教会です。
入ってすぐ、この後陣見ただけで、わくわくしますよね~。




柱頭は、結構傷んでいるものもあるのですが、とは言え、全体にはよく残っていると思います。
動物中心ですが、いろんなモチーフがあります。
これみたいに、意味不明なのも。




単純に戦いの場面でしょうか。
角っこなのに、頭が一個じゃないライオン君。




さらさらしてそうなたてがみ。シンプルだけど、表現力ありますね。




こういう風にたっている老人フィギュアって、アストゥリアスのプレロマネスクにありませんでしたっけ?得意の勘違いかな。




こっちのライオンも、二頭が一体化頭じゃなくて、ほっぺたスリスリ系。

角っこ頭共有系と、こういうほっぺたスリスリ系というのは、ちゃんと調べると、分布図とか出来ちゃうのかな。これまでは、共有系の方が、多いように思うんだけど、ここは、ほぼスリスリ系。
ほら、これも、動物の種類はわからないけど…。なんでしょうね、これ。チータとかそういうもん?




これは、痛みが激しいけれど、アダムとイブに見えます。




他の装飾に移ります。
洗礼盤、というよりは、聖水なのかな。
縁の三角模様帯が好き。




こういう単純だけど、好き~!という帯装飾は、窓のところにも。




ゴチック以降、どんどんゴテゴテがひどくなっていく前の、この単純な線と形、技術的にもたいしたことがなくてもできちゃう装飾。そういうのが好きだし、かえって、今に通じるモダンを感じます。
そういう系統では、こちらもね。




チェッカー帯は、このあたりでは、実に流行ったんですねぇ。どこでも見られます。かわいい!

そして、シンプル極まりない、クーポラ。




こういう石がむき出しの建築、うっとりします。白っぽい石は、とてもきれいだし。
漆喰塗り塗りして、きらきらのフレスコで覆ってみたり、角っこを金箔で飾ってみたり、まぁ飾り立てたくなる気持ちっていうのも、わからないわけじゃないけれど、でも、こういうほうが清々しくて、本来の聖所という気がします。

受付の方は、大変親切で、結果的には、クローズ時間延長してまで、色々と説明してくださいました。嬉しかった~!

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  1. 2015/12/27(日) 21:57:35|
  2. カンタブリア・ロマネスク
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野生的な牛には、かないません~、子牛でも!

カンタブリア・ロマネスク、その22

レトリリョRetrillo、サンタ・マリア教会Iglesia de Santa Maria続きです。

前回記事では、本堂内部見学で、切れてしまいました。
本来の入り口である扉口の装飾から、再開です。




ここも、苔でかなりやられています。でも、あえて苔そのままって感が、なんとも不思議な…。
上が左、下が、右側の、本来の扉口側柱の柱頭装飾となります。




かなりよい彫り物があったのでは、と思わせるものですよね、どちらも。でも、かなり磨耗してしまっていて、残念。

この本来の入り口から見える本堂を邪魔しているマトロネオ部分も、登れるので、とりあえず登ってみました




それなりに、期待される眺めが見られました。

開いていると思うと、まずは内部を見ないと、と焦ったような気持ちで中に入りますので、その後、ゆっくりと外部見学となります。

まずは、今の入り口。と言っても、扉自体は、かなり昔からあったようで、彫り物装飾がありました。




清々しいアーチですよね。上に、騎士っぽい彫り物。石の色も含めて、なんともいい感じ。彫り物アップ。




十字軍っぽいんですが、彫りは古いっていうか、素朴です。

後陣。




この地域の他の教会と類似していますけれど、いいですねぇ。軒送りも、やはりちゃんと装飾されていますねぇ。




ここのは、磨耗が激しくて、モチーフなどよくわからなくなっちゃっているんですけどね。でも、風景としては、本当にきれいで。




古い時代の遺跡が、残っていたりするしね。
そして、本来のファサード側にある簡易鐘楼にアクセスする階段、登れちゃったりするしね。




高いところに登って喜ぶのは、馬鹿の典型かもしれないんですが、でも、こういう千年からの古い建造物を辿って登るっていうのは、なんか興奮しちゃいますよ。だって、こんな風におおらかに解放しているところは、そうないですから。
いいの?本当にいいの?登っちゃいますよ?みたいな、アワアワした気分で、登っちゃいます。

そういう気分的に、ふと思い出したりするのは、イタリアの各所で、たとえば、ピサの斜塔。
わたしが、初めて夏のバカンスした頃、ピサの斜塔は普通に登れたんですよねぇ。だから、その夏も、翌年の夏も、登ってました。普通に。いつか、普通にアクセスできなくなるなんて、思いもしなかった。
そして、たとえば、フィレンツェのウフィッツィ美術館。昔は、並んだことなんかなくて、普通に入っていました。
フィレンツェのドゥオモも、ベネチアのサン・マルコも、どこでも昔は、行けば普通に入れたのに、今は、すごい行列をしたり、事前予約をしないと入れない場所が一杯。
そういう経験をしているせいか、なんか、とりあえず、「今できることはしとこう」気分が強くて、危なそうな場所でも、とにかく行っておこうって思い勝ちかも。

高いところに上るというのは、それだけでも気持ちよいし、ここは、周囲の緑、湖なんかも見えて、本当に気持ちよかったです。




コウノトリも、飛んでた!

大変満足して、次に向かいます。
北上する感じで、アルドゥエソAldueso。

上述のレトリリョから、距離的にはさして離れていないのですが、かなり山奥って言うか、谷底って言うか、なんかそういうロケーション。

完全に村で、人と家畜が超同居、って言うんですか?




都会育ちなもんで、どうも、そういうのって慣れてないわけです。

村に入り込んで、こんな山奥で、マジ、教会あるの?とか思いながら、車を停めて、歩き出した途端に、何か、耳慣れない音がするわけです。
元来が臆病者なので、耳慣れない音には敏感で、びくびくしながら、音の出所を探します。そしたら、まさかのこいつ…!




子牛~!
こいつが走り回っていて、なんか、突進してくる~!
ひづめがかつかつ音を立ててたんですよ。
子牛って、意外な大きさですよ。突進されると、動転します!それが、座敷犬状態で、その辺走っていたり、挙句は、こっちに突進ですよ~!
びっくりした~!




野良牛ってことはなさそうだけど、村人、誰一人いないし、自由に楽しく駆け回っているし。いやぁ、どうしようかと思いました。

でも、勝手に、どこぞに消えてくれてほっ。いや、子牛がこんなにでかくて、怖いなんて、びっくりしたなぁ。攻撃性的には、野犬よりはいいと思うんだけど、威圧感は野犬以上にあるかも、ですよ。

目的の教会は、多分、これ。サンタ・フリアーナ教会Iglesia de Santa Juliana。




見るからに地味。かなりの山道きたんだけど~、これか~。

これのために来た、入り口。




地味~!
柱頭も磨耗が激しくて、何がなんだか~!勿論、閉まっているし。それも、昨日今日閉まったわけじゃなくて、相当長い間、閉まっている状態なのが、明らかだし。
そして、周囲一帯、馬糞、いや、牛糞かな、田舎のにおいも激しくて、子牛うろうろしているから怖いし。でも、何を尋ねる人もいないし。
なんていうか、ある意味、田舎の奥深さというのか、すごさを感じつつ、すごすご、「敗退」気分で、車を発進しました。




で、次に訪ねた場所がまた、なんていうか、すっかり町のコンテクストに埋もれちゃった教会。




街道に沿ってある町、アレナス・デ・イグニャArenasu de Iguna。ちょっと中に入ると、結構立派な市庁舎がありますが、教会は、完全に住宅地に埋没。
サンタ・ルチア教会Iglesia de Santa Lucia。




いろんな角度から、何とか往時の姿を探ろうとアクセスを試みたのですが、ほとんど無理。
唯一面白い発見は、これですかね。




角っこに、あるのが見えますか?アップすると、これ。




すっごくプリミティブな彫り物。かわいい~!

不定期にあるミサのときだけ、教会は開くらしいのですが、とにかく、教会の姿すら、よく把握できないロケーションで、歯がゆかったです。

ところで、こんな、千年前の色々を伝えるブログでいうのもなんですが、年内に終わりたいという目標をもって、意外にも、時間と戦っています。
戦っているとかいいながら、ついお休みしちゃったりねぇ。本当にあきれることしきり。
とは言え、まぁ、欧州ではクリスマスたけなわで、わたしも昨日からクリスマス・ホリディ満喫、という現実の前では、それも仕方ないかっていう状況ではあります。
さて、どこまで目標に近づくことが出来るでしょうか。

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  1. 2015/12/26(土) 07:26:29|
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珍しくすいすいと迷いなく、その上、結果上々でびっくり。

カンタブリア・ロマネスク、その22

たまには、地図を張って見ます。
レイノサReinosaの町は、縮尺があまり細かくない地図でも見られると思うので、指標にはなるかな。




誰でも、グーグルから取ってきて、印付きのわかりやすい地図を簡単にアップできるようですが、どうもそういう技術に疎くて、こういうところ、いつまでたってもアナログ。
実際、旅のお供には、紙の地図は欠かせず、最近は毎回旅の計画段階で、ミシュランの20万または25万分の1の地方ごとになっている地図を、わざわざ購入しています。紙の地図のよいところは、全体がつかめるということ。ざっとした距離感も把握しやすいし、ルートも考えやすいんですよね。デジタルには、決してかなわない優れた点があると思います。
デジタルは、何らかの事情でGPSが機能しないと終わってしまいますが、紙にはそういうリスクがない点も、いざというとき本当に役立つものです。

というわけで、前回紹介したビリャカンティドVillacantidの次に向かったのは、ボルミールBolmirのシプリアーノ教会Iglesia de San Ciprianoです。




田舎の町中の、いたって普通の住宅街にあり、撮影泣かせなのが、周囲をぐるりと取り巻く、結構背の高い塀。なかなかにかわいらしい外観なのに、どんなにがんばっても、外観全体を捉えることは、これ以上出来ませんでした。

この、塀が閉ざされている危険も一瞬感じましたが、とりあえず、塀の中に入ることは出来ました。




このあたりによくあるスタイルの教会で、鐘楼も簡易型。全体の雰囲気、とってもよいのです。事前調査では、中もよいとなっていましたが、残念ながら、ここは基本的にしまっている教会のようでした。
でも、軒送りの面白そうな様子は既に目にしていますから、ここまでアクセスできれば、とりあえず、ラッキーな気持ちになります。
だって、これ!




鈴なりというか、たわわというか、もうそういう表現しか出てこないです。びっしりと実ってますわ~!
この、建物のサイズに比して、彫刻がでかい、というのが、たまりません。




既におなじみ化しているモチーフやフィギュアが続々。
唐突に、変なフィギュアがぺたんと貼られていたり。




正面扉の右上に開けられた小さな窓の装飾も、なんとも愛らしいです。




後陣。




扉上部に比べて、感覚に余裕があるので、すっきり。
見ての通り、この教会のある一帯は、きれいに整備されて、公園のようになっています。憩いの場。だから、塀で閉ざすということはなかったのですね。よかったよ~。
こちらの方は、ちょっとセルバトス系、つまり、セクシャルなモチーフがあります。




反対側の壁上部にも、ちゃんと軒送り台が全部ついていますが、彫刻はほとんどなくなっています。もしかすると、こちらの側は、手抜きで、全部はなかったのかもしれませんが。
ぐるりと回って、また正面に戻り、上の方の一連の彫刻。




ケロヨンがいたり、このクルリンは意味不明だし。見ても見ても面白いですよねぇ。堪能だ~!

そして、先の地図で、ここからちょっと南下したレトリリョRetrilloへ、移動しました。車でほんの5分ほどの距離です。




サンタ・マリア教会Iglesia de Santa Maria。
ここは、ちゃんとオープン時間も明記され、係員がいて入場料も取っていますが、この看板の、どれだけ胡散臭いことか。下の方に、手書き(それも汚い)で、「月曜はクローズ、一人1ユーロ」とあります。
確かに若い娘がいて、入場料を聴取しているのですが、本当にそういう人なの?自分の財布に入れてないよね?と、考えちゃうくらい、友達とのおしゃべりに余念がなく、悪いけど、迷惑でした。
でも、教会は面白いです。入れるっていうのは、やはり嬉しいですしね。




午前中なので、複数ある開口部から日が差して、美しさが際立つ時間に訪ねたのは大正解です。アーチが二重になっていて、手前側には、壁に埋め込みアーチ。




柱頭も、アーチも、アーチの上も、繊細な感じの彫り装飾で、優美です。
左側の方は、苔むしていました。苔は美しいですが、ほうっておいていいものなのか、ちょっと気になりました。
その苔部分にある柱頭。




かわいい…!ライオンが胸を押さえていますが、これはどういう意味だったですかね。




ペアの鳥が、背中向きってのも、珍しいような。苔ですよね?装飾化してしまっているのかしら?

向かいにある柱頭。




面白い~!邪悪にも見えるし、理知的にも見える顔をした獣が、抱き合っているんですよねぇ。角っこに顔を置いて、顔共通の身体二つっていうモチーフは、普通、対照に同じように彫りますよね。アシンメトリーに抱き合っているって、珍しい気がします、これも。

背中向きの鳥の向かいには、ライオンのペアが、やはり背中向きって言うか、お尻合わせって言うか、面白い構図です。




いきなり彫りも細かくて、時代が下る感じの、柱頭。十字軍風。




いきなり後陣装飾に引き寄せられてしまって、ディテールにはまってしまいましたが、この教会、全体構造は、かなり変えられてしまっていて、だから、新しめの柱頭などもあるのだと思います。
後陣側から、本来の入り口を見た様子。




左側にあるのが、今の入り口ですが、本来は、木製のバルコニーの下に見える明かりのある場所が、入り口でした。
その部分、今は閉ざされたナルテックスみたいなスペースになっています。
その、本来の入り口側から、教会本堂を見た様子。




入ってすぐのところに、素朴な洗礼槽が見えます。上部の視界を閉ざしているのは、間違いなく後代に付け足された合唱席かマトロネオ。

写真多すぎなので、続きにします。

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  1. 2015/12/24(木) 07:48:30|
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コウノトリが飛び交うロマネスクの里。たまにはお勉強もね。

カンタブリア・ロマネスク、その21




同じような田舎道が続く土地で、またもや迷いながらも、たどり着いたのが、オヨスHoyosです。
幹線から、わき道に下って、ちょっと登った丘に小さな集落がありました。教会が目に付かないので、かわいい犬が見えた家で尋ねると、そこを登ったところよ、と。

ちょっとした坂道を登ると、確かに。
サンタ・マリア教会Iglesia de Santa Mariaです。




でも、どう見ても新しいような。
ここは、事前メモでは、「ディテールがいい。中もいい」となっていますが、さて。

近づくと、それなりに古い構造を残している建物が、修復されている様子がわかります。




でも、当たらし目の漆喰を見ると、がっかり感はありますよね。一回りして、後陣側へ。
おお~!




手付かずでした~!やれ、嬉や!
軒送り、傷んでいるけれど、かわいいですよ。




四つんばいになっている尻尾のある獣なのに、なぜ、頭に口が~!?ここもまた、水木先生びっくり系かなあ。

こういう風に座っている人のフィギュアが何人か。端っこの獣は、やはり四つんばい風なのに、顔がリーガン(エクソシスト、古い…)状態にこっちにぐるりと…。




これは、ちょっと珍しかったフィギュア。




サギ系の首の長い鳥の首に、蛇が巻き付いているんでしょうか。
それも、鳥が蛇を捕まえていますよね。二重の意味での永遠を意味しているのかなぁ。

地味でも、こういうのがあると、楽しめて嬉しいです。スペイン・ロマネスクは、いいですねぇ。

実は、この長い一日は、このあと、前日にクローズしていたセルヴァトスに立ち寄っておしまいとなります(セルヴァトスは、既に紹介済み)。

余談ですが、夜は、レイノザという町にある、レストラン付きの小さなホテルでした。到着時間も遅かったので、ホテルのレストランで夕食をいただいたのですが、そこで、なぜこんなところに!と驚きの東洋人発見。
挨拶したら、同じホテルにお泊りの日本人だったので、テーブルをご一緒したのですが、驚きましたねぇ。
多分、先方もご同様で、この町に取引先があるので、定期的にご出張で滞在されるけれど、日本人に会うのは初めてとおっしゃっていました。一夕、久しぶりの日本語会話を楽しみました。
田舎のロマネスクめぐりでは、日本人のみならず、旅行者や同好の士にすら出会わないことが多いので(つまり誰もいない…)、たまにおしゃべりするのはただでさえ楽しいところに、日本語でのおしゃべりは、嬉しいものです。

翌日向かったのは、ビッリャカンティドVillacantidです。




いいお天気の朝まだき、スペイン的にはかなり早朝です。美しい丘の上にぽつんと建っていて、ロケーションは最高に美しかったです。
到着したのは、ちょうど9時半。丘の麓に車を停めて、ぐるりと回って教会に近づきます。
サンタ・マリア・デ・マジョール教会Iglesia de Santa Maria de Mayor。




後陣側に入り口があるという変則な構造。
特に驚くこともありませんが、扉は固く閉ざされています。でも、近づくと、オープン時間が掲げられていて、ちょうどこの時間、9時半からオープンしていることになっています。うーん。
他の季節についてもきちんと時間が記されているのは、ここが、ロマネスク博物館になっているかららしいのです。
でも、開いていない以上、どうしようもありません。

もともと開いていることを期待しているわけではないので、とりあえず、外観の見学。
実は、ディテールを見ることに、既にわくわくしています。だって、例によって、軒送りがたわわに(?)見えるじゃないですか。

後陣付け柱上の柱頭。




なんと、いきなりサムソンじゃないか~!とってもプリミティブな感じが好ましいですねぇ。オレアで見たヘタウマ形に、ちょっと通じるフィギュアです。




ここでも、たくさん座っていますね~!




閉ざされてしまっている窓装飾も、とてもスペイン的な素朴さで、大変好みです。




特にこの右側にいる双子のドラゴン。昔大好きだった「エルマーと竜」というお話を思い出すフィギュアです。ハート型の翼、びっくりするくらいにかわいいし、オリジナリティが高いっていうか、見たことのないフィギュアと思うんですが、いかがでしょうか。

扉の装飾も、とってもスペイン的。やっぱりこれは帆立貝のデザイン化でしょうか。




舐めるように見て、既に20分以上経過。いったん丘を離れて、車の方に戻り、どうしようか、と思案していたら、きき~!っと車が走りこんできて急停車。もしや?と期待してみていると、女性が出てきて、急ぎ足で近づいてきました。
やった~!鍵が開きました。

教会、というよりも、ロマネスク解説センターCentro de Interpretacion del Romanicoとでも言ったら良いでしょうか、入ります。要は、ロマネスクの学習が出来る博物館です。既に10時を過ぎていましたが、結果として入場できたので、嬉しかったです。




教会構造が美しく残る建物に、各地のロマネスクの説明があり、なかなかに楽しい博物館です。

撮影禁止なのが、いまいましかったです。だって、こんなステキな洗礼盤が置いてあったりするんですから、我慢できません。




柱頭も素晴らしいものがいくつもあるし、他の教会にあった彫り物が置かれていたり、ビデオが流されたり。展示も、地域のロマネスクが、写真付きで紹介されていて、本当によく出来ていて面白いんです。




ただ、中に入るために30分も待ってしまって、予定外に時間を食っていますから、あまり余裕がなくて残念。また、これだけ立派な展示をしている余力で、本も作ってほしかったです。買える資料が何もなかったのが、実にもったいない。

ビデオも一部を見ただけですが、扉が後陣の隣になったのは、時代とともに教会の構造が換えられて、身廊が動かされたりした結果だということを、図解でわかりやすく説明してくれるところが興味深かったです。DVD売ってたら買ったんだけどなぁ。もうちょっと商売っ気ほしいですね。

最後は、鍵の女性がちょっと説明をしてくれました。誰も来ないので、一緒に外に出て、外観の説明なども。
その他、土地の一般的な観光案内(ローマ遺跡や古代メンヒルなど)を立ち話でしていたら、「あ、ほら!」と。遠かったですが、コウノトリが飛んでいくのを見ることが出来ました。

何でも、この近郊に、コウノトリの定住地があり、すごい数のコウノトリがいるから、是非見に行くといい、と勧めてくれました。時間も限られているので、あきらめましたが、いつか、メンヒルやコウノトリをも訪ねる時間のある、そういう旅をしたいものです。

ところで、コウノトリって結構な大きさなので、飛んでいる姿は雄大で美しくて、大好きです。都会っ子のわたしは、普段からす以上に大きな鳥を見ることがないので、それだけで感動しちゃうんですよね。スペインは、多くの町でコウノトリを見られるのが、結構楽しみだったりします。

そういえば、彫り物には熊もあって、それは、かつてこの地域に熊がいたからと言われています、というような話もうかがいました。でも、今写真を確認しても、どれが熊だか、わかりません。

ここは、強力にお勧め。時間的余裕を持って訪ねるべき場所です。地域の教会情報も、入手できます。
ただ、朝の時間は、宛にならない…笑。

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パステル・カラーのヘタウマ系。「知られざる」レベルもすごい。

カンタブリア・ロマネスク、その20

一日の終わりに近くなったところで、またやる気は出たものの、このあとも迷いまくりです。ロマネスクの教会は、町中にある場合はともかく、郊外にあるケースは、住所もないことが多いので、時として、探し当てるのは大変難しかったりします。
そういう場合は、結局口語的な道順の説明がベストだし、町に、表示が出ているだけでもずいぶん助かります。しかし、表示って、助かった!と喜んで従っていくと、いきなり途中でなくなっちゃったりして、これまた運転勘の鈍いわたしには、かえって迷惑なことも結構あります。どうせ表示を出してくれるなら、けちけちせずに、もう少しだけ、数を増やしてくれるとありがたいんですけどねぇ。




このときは、そういう感じで、どうやっても目的地がわからない。なだらかな丘が続くので、見通しも聞かないし、人も歩いていない田舎だし。
既に名前もわからない(ナビをつけていて、紙の地図も手元にあるのに、既に自分の居場所がわからなくなっていました)村で、やっと道を歩いている人に出会い、「古い教会なら先にあるよ」と言われて、なんとなく道を辿ってみたんですけどね、そしたら、確かにちょっと古そうな教会が、丘の上に建っていました。




確かに、新しい教会ではなさそうだけど、でも若干想像と違う感じもするんです。
車を降りて、周囲を見ていると、車で乗り付けてきたオヤジがいました。なんと、先ほど道を尋ねたオヤジでした。
「用事があるから、今鍵を開けるよ。よかったら中を見て行きなさいよ。」と親切に言ってくださるので、同行しました。

目指していたのは、オヨスHoyosのサンタ・マリア教会Iglesia de Santa Mariaなんですが、これは、サンタ・マリア・ラ・レアル教会Iglesia de Santa Maria la Realで、今更ネットで調べたところ、ラス・エネストロサス・デ・ラス・キンタニージャスLas Henestrosas de las Quintanillasというとんでもなく長い名前の村の外れだったらしいことが判明。
これね、25万分の1の地図では、でていない規模の村でした。それじゃわかるわけないですね。ほとんど、カンタブリアとパレンシアの州境です。
目指しても、なかなかいける場所じゃないかもね。

近づいたら、なかなか立派にロマネスクじゃないですか。




本堂の割には、重厚な数層重ねのアーキボルトの迫力はなかなかのものです。シンプルな装飾だけど、重厚感があるし、石の色合いと装飾の感じが、とてもマッチしていて、好みです。背の低さも、なんかいい感じ。

後陣の方も、ちょっと余計な付け足しに囲まれちゃってますが、ちゃんと装飾も残っていて、素敵でした。




軒送りや、窓の側柱の柱頭彫刻は、かなり磨耗していました。軒送りの上の帯は、チェッカー市松じゃなくて、蜂の巣状。




彫り物のテイスト的には、若干時代が下るかなという印象です。




さて、めったに入れそうにもない本堂に入る幸運を得たのは、ちょっと嬉しく、わくわくしながら中に入ります。
しかし!




スペインに多くみられる黄金の祭壇。勿論ロマネスクのずっと後のものですね。これが、本来の装飾を隠しちゃうことも覆いのですが、たいていの場合、地元の誇りだったりするわけで、ちょっと複雑な気持ちになります。

壁の多くを覆うフレスコは、やはり時代の下ったもので、かなり修復できれいになっていました。わたしには、同じく興味の薄いものですが、修復したことについては、感心しましたし、やはり地元のほこりなのだろうなぁ、と思います。だって、とても小さな村なんですから。




わたしにとって嬉しかったのは、いくつかの柱頭です。再建や行き過ぎた修復感も若干あったけど、でも、想定外の教会で出会う想定外の柱頭ですからね~!




それで、大好きなサムソンなんかあったりすると、そりゃ嬉しいです。
べろーんとした舌が、情けなさを醸し出すライオン。いいなぁ。
サムソンは、ちょっとオヤジ入ってますが、たなびくふさふさの髪の毛が、ステキ!

こっちはまた、モダンな感じの彫り物。




ヨーダ的な顔もあり。




全体にもうゴシックがかなり入っているのですが、でも長い時代が閉じ込められている教会ですね。よかったです。

オヤジにお礼を言って、またこのような田舎道に戻るわたし。次はどこにたどり着けるかな。




ちょっとドキドキしながら走り出したのですが、半時間ほどで、次の場所に到着できました。結構飛ばしている幹線沿いの奥まったところにある小さな小さな教会というか、礼拝所ですが、道に看板が出ていたので、助かりました。

オレアOleaサン・ミゲル隠遁所Ermitado de San Miguel。




Ermitadaというので、もともとは孤高の中で隠遁生活を送った聖職者が、一人で祈りながら暮らした場所が、礼拝所になったというようなものなんだと思います。いかにもそういう感じ。
農家が2軒か3軒固まっている真ん中にぽつんとあります。

農家のわき道を、ちょいとごめんなさいよ~、と入り込む感じ。




話し声がしたので、声をかけさしてもらい、鍵をお願いしたら、面倒くさそうだったけれども、開けてくださいました。
辛い思いが、次々報われる感じですよねぇ。この礼拝所、実によかったのです。外観見るだけでも、何かほっとするかわいらしい場所ですが、中に入るか入れないかで、記憶もずいぶんと変わった気がします。

だって!
これ!




信じられない~!かわいすぎ~!

そして、これ!




ありえない、かわいさぁ!興奮でしたわ~!
モチーフも信じられないくらいかわいい上に、なんでしょうね、このパステルの彩色は?こんなの見たことないし!
馬に乗っている人たちのフィギュアは、トスカーナの田舎の柱頭をちょっと髣髴とさせますが、それにしても、ヤギっぽい行列の上に、アヒルっぽい帯。これはないですよ~。ズギューン、やられた!っていうか。




小さな後陣を仕切るアーチを支える柱頭です。
装飾はこのくらいで、あとは何もないし、西側は、ほとんど後代に変えられちゃっているし、多分、納屋とか家畜小屋に使われていた時代が絶対にあっただろうと思われるんですけどね。それにしても、この二つの柱頭、よく残ったもんです。

いや~、辛い時間があったけど、やる気が出てよかった、と本当に嬉しい教会が二つ続きました。人間、あきらめちゃいけないってことですね。
って、別にまとめることもないんだけどね。

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  1. 2015/12/22(火) 06:31:41|
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修行モードの恐ろしさって、際限なし~!

カンタブリア・ロマネスク、その19

信じられないくらい、マイナーで小さな教会が続きます。
カンポ・デ・エブロCampo de Ebroにある、教区教会サン・ミジャンIglesia Parroquial de San Millan。




幹線沿いに住宅があり、斜面になった岩の上に建っている小さな教会です。上の写真で、教会の後ろ側に見える住宅が道沿いという状態なので、道から本当にわずか入っただけの立ち位置。

小さな鐘楼にアクセスする階段構造は、ちょっと前の記事に載せた、やはり同じエブロ川地域の教会(アレニリャスArenillas)とそっくりですね。

ちなみに、これだけの村です。




それなのに、教会としては、それなりに立派。そして、建っているのは、こんなすごい岩の上。




土地全般が岩盤、ということなんでしょうかね。なんか、すごいですよ。




こんな風になっています。岩の合間の土地に家を建ててるって感じなんですが、何もそんなところに、ってつい思っちゃいますねぇ。

昨日の記事同様に、とにかく小さいところが続きます。地図で見てもらえるとわかると思うのですが、実に狭い地域にひしめいていますから、ちょっと走っては、駐車して降りて見学して、また運転して、という繰り返し。運転と駐車と再発進まで合わせて15分くらいで同じ行動を繰り返していると、なんだかどんどん訳がわからなくなってくる感じ。

次もそんな感じで、モンテシッリョMontecilloサン・マルコス教会Iglesia de San Marcos。




同じような立ち位置にある教会で、村を登っていったどん詰まり。
ここでは、ちょっとだけ、装飾に見るべきものがあります。




とてもシンプルな扉。アーチがなんだかいい感じ。
その上には、教会の大きさに比すと、若干大きめな感じもする軒送りの彫り物が並んでいます。
一番端っこにあったこいつは、おっぱいでしょうか。




手足など、身体の一部の彫り物は、結構あるモチーフですが、おっぱいひとつはないか?
シンプルなお顔。




顔の下にあるものが、翼のように見えて、セラフィム?と思わないでもないのですが、でも、顔は頭巾を被った聖職者にも、巡礼にも見えます。
こちらは、どちらも動物に見えます。




それにしても稚拙というか、土台が結構大きいのに、モチーフはちんまりで、その辺もちょっとプロっぽくない作品ですねぇ。




でも、なんか、たたずまいのかわいらしい教会です。
そういえば、ここは、鐘楼アクセスの外外段はありませんが、中に、螺旋階段があるようでした。




勿論、登れないようになっていましたが、こういうのが垣間見えると、わくわくしますね。




村はずれに、こんなかわいらしい、風見鶏ならぬ風見牛のついた道標がありました。これに従って、Sobrepenaという村を目指してもよかったのですが、そろそろ、宿泊場所の方に移動しようと考え、ナビゲーターをセットして走り出しました。
このモンテシッリョで、長いエブロ川沿いのロマネスクめぐり終了して、レイノーザ方面への幹線道路に戻る感じです。

しかし、これがえらいことになりました。多分ナビがおかしくなったんです。かなりの山道を登ったり下ったり、なぜ、こんな道を?と途中から泣きそうになりました。
その上、トイレにも行きたくなるし、自分がどこに向かっているのかもわからない始末です。
やっと、ナビが「到着しました」と告げた場所は、丘というよりは山間の、小さな村でした。
とりあえず目に付いたバールに飛び込み、トイレをお借りして、まずはほっとしましたが、ここは、どこ?
お店の人は、男性二人で、仲良くご飯を食べていました。もうすぐ17時という夕方なんですが、スペインですから、いわゆるおやつの時間になるんでしょうか。二人とも大変親切で、もう水もカフェも何もほしくないので、注文もなくトイレを借りたわたしを疎んじることなく、親切に道を教えてくれました。
50分ほども、訳わからず山道を走ってきて、人に出会っただけで安堵する状況で、親切は身に沁みます。

さて、目指したはずの教会は、まさにそのバールのお隣に建つ、どうやらこれ。




オルミゲラHormigueraサン・フリアン教会Iglesia de San Julian。
絶対、これじゃないだろう、と思ったんですが、現地で求めていたカンタブリア・ロマネスクの本を見ると、確かにこれ。
正面の門が、後に閉ざされてしまったのですが、「今でも建設当時のアーキボルトの跡が見られる」。
ええ~!それだけのために、オレ、こんなに走ってきたのか~!

事前の調査で記したメモには「ポルタイユ、柱頭」と書き込んでいたんだけど、それがこういうレベルだったとは~!
よくあることですが、それにしてもここの衝撃はすごかったわ。疲れてたし。
でも、同時に、これでは終われない!というやる気が湧いてきました。
この日、朝から駆けずり回って、ここで14箇所目。かなり疲れているところに活が入った、というところ。修行モード、われながら恐ろしい~!

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  1. 2015/12/21(月) 02:52:50|
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こんな地味な場所に行く人はいないだろうなってくらい、地味なロマネスク連続。

カンタブリア・ロマネスク、その18

サン・マルティンで、かなりの満足を得て、普通の土地であれば、ちょうどランチの時間、ナイス、てなことになるのですが、ここはスペイン、見学終わって13時。ランチには、ちょっと早い。
ということで、どうしようかと道を戻りながら、考えました。
途中の村に、レストラン発見。特にそそられるわけではないけれど、ロマネスク修行の旅では、とにかく何もない田舎、という状況が多く、ヘタすると喰いっぱぐれることになるので、レストランを押さえとくのは、大変重要なんですよね。

で、事前調査的には、「よほど余裕があるときだけ行く」というカテゴリーに分類していた場所に、恐る恐る足を踏み入れることとしました。

恐る恐る、というのは、ミシュラン25万分の1地図で見る限り、かなり山道、それも景勝道の印。ということは、結構な山道である確率が高く、山道=坂道=坂道発進=だめじゃん!ということになるわけです。
でも、時間もあるんだし、勇気を振り絞って、行ってみました。これが修行の由縁です~。

対抗二車線で美しい道でしたが、予想通りの山道。若干の後悔を覚えながらも、20分超ドライブで、たどり着いたのが、こちら、セヤンカスCejancasという小さな村にあるサン・ミゲル教会Iglesia de San Miguel。




実に小さな村ですが、教会が街道から見えるので、見逃すことはありません。
なんとも素朴な教会です。




かつては、山奥の礼拝堂みたいな、そういうものだったのかなぁ、と思います。今でも家が数軒あるだけの村で、教会が必要な、そういう規模ではないんですよね。
すぐお隣の家で、庭仕事をしていた方に、ちょっとお話をうかがったのですが、鍵のありかはわからないながら、いずれにしても教会そのものはクローズしているから、鍵があったとしても入れないと思う、ということでした。

この村での滞在時間は、ほんの15分程度のものでしたが、それでも、ほぼ確実に二度と来ない場所であろう、などと思いながら教会外観をぐるりと見学していると、それなりに、思うところがあるっていうか、印象は深かったりするんです。




ここの、軒送りの彫り物なんか、結構面白いですよね。小さな窓にも、ちゃんと装飾つきの側柱があったりするのも、なかなかのもんです。
ただ、この風景を、改めて見ながら思い出すのは、そういえば、この教会を見学している間中、どっかで犬が咆えていたなぁ、ということだったりします。
記憶って不思議。
まぁこれは、わたしが犬が苦手である、という事実にもよるわけですけれどね。つまり、どこから犬が出てくるかもしれない、とびくびくしながら、ぐるりと教会を回っていたのです。

さらに山道を進んでいきます。坂道はたいしたことなかったのですが、細かいカーブが続いて、結構厄介な道。

次に目指したのは、キンタニーリャ・デ・ルカンディオQuintanilla de Rucandioのサンタ・マリア教会Iglesia de Santa Maria。




こういう道端のそっけない看板。これは、時として大変ありがたいです。
ここなど、道からは見えない場所に教会があるので、こういうのがないと、さらに先に進んだりして、結局わからなかったりするし、こういう場所では、そもそも正確な住所がないのでナビゲーターなど役に立ちませんから、視覚に訴える看板が何よりありがたいのです。




ちょっとした丘上の先端に、どうやら教会があるようです。




後代にいろいろ手が入ってしまった様子が、いきなり伺われますが、しかし、いいロケーションに建っています。小ささも、感じいい!




しかし、こうなると、オリジナルがどういう姿であったのか、皆目見当もつきません。




確実に、ロマネスク時代のオリジナルの保たれている後陣。これは美しいです。




そして、この高台からの眺めは、決してたいしたことはないのですが、でも、見晴るかす余裕というのか、そういう美しさがありました。




教会は、当然のことながらクローズしていましたが、ナルテックスのようになっている入り口に、石彫りが。




フォルム的には、タンパンの彫刻装飾と思われます。
マリア像のアップ。

保存状態はかなり悪いのです。多くの部分が剥落してしまっていますし。
13世紀頃のものでしょうか。それなりの石工さんの作品ではないかと思われるだけに、残念ですね。そもそも、タンパンがどこにあったかもわからなくなっているような状態ですから。

この後、先ほどチェックしておいたレストランで、気軽なランチを取り、先に進みます。定食しかない、すっごい田舎の村のレストランですが、東洋人にひるむこともなく、とても親切で、定食についている水が、なんと2リットル。全部など飲めるわけもありませんから、ほとんど余ったのですが、こちらから、もっていってもいいですかと聞く前に、もって行きなさいよ、暑いんだから!と持たせてくれました。
こういうちょっとした気遣いって、心に響きます。そのせいか、このレストランのたたずまいは、今でも記憶に結構残っています。開いててよかった、という気持ちも強かったしね。

この辺は、ひたすら地味な教会が続きます。




ルイヤスRuijasのサン・ペドロ教会Iglesia de San Pedro。




みるべきものは、南側側壁にある扉口の装飾だけでした。




アーキボルトと、側柱の柱頭と、そして、扉上部の、壁の軒送り。
と言っても、全体に地味ですね。




だけど、こういうアーキボルトの扉装飾って、スペインぽい感じがあって好きだし、意外と、ぐっと来るんです、わたし。
蜂の巣上の柱頭彫刻も、嫌味がなくて好き。




軒送りは、この直前に見ているサン・マルティンに比べたら激地味なんですが、それぞれ、意味のありそうな感じが、好感度高。自分でも、なぜそういう風に感じるのかは不明で、なぜ?と自問自答ですけどね。

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  1. 2015/12/19(土) 08:24:14|
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興奮の軒送り、水木先生もびっくり的な?

カンタブリア・ロマネスク、その17

サン・マルティン・デ・エリネスSan Martin de Elinesの参事会教会Colegiata、続きです。
無事、内部の見学を終え、外観をじっくり。




まずは、南壁の軒送り。




この感じ、既にわくわくしますよ~!
びっしり、いかにも変な形が並んでいます。




やっば~い!




きてますよね~!
まじめな天使がいたりするのが、また印象深い。




これ見て、面白い~!と思わない人がいるでしょうか!?
今の時代では、ゆるキャラ的で、逆に驚きがないのかもしれないけれど、あの当時に、何で、こういうゆるキャラ的な、ヘタウマを三次元に表しちゃうような、そういう流れが出来たんでしょう。こういうすごい創造物を見ると、そういうロマネスクの造詣の不思議を、どうしても考えちゃいます。

フランスの多くの教会装飾で見られるような、聖書のエピソードを忠実に彫りこむ人がいた一方で、こういう得体の知れないものを形にしてしまう石工さんたちがいて、それらが、ロマネスクとして括られた同時期に両立していたんです。なんか、すごくないですか。

わたしは、具象よりも抽象が好きなのですが、基本的には、抽象も、ちゃんとデッサンが描ける人じゃないと許せん!と思うタイプなんですけれど、こういうの見ていると、さて、ゆるキャラ的彫り物を彫っていた石工さんは、まじめな表現も出来る人だったのかどうか、などと考えたりしてしまいます。こういうのを彫る一方で、まじめ一方のキリスト像やマリア像を彫っていたとしたら…。聖書のエピソードをどうやってひとつの柱頭に表そうかと考えていたら…。
それって、面白くないですか。




この間抜けな表情、たまりません。
フォルムが美しい後陣側にきても、軒送りの面白さは止まりません。




ちょっと妖怪的なこいつ。




水木先生も好きだったかもしれないですね~。
動物らしきフィギュアも、独特の表現です。




びっしり~!
すべて、近くから見てみたい!




上の方にあるもの。
わたしのデジカメは、20倍ズームですが、最大の望遠にして、やっとこの大きさ。肉眼では、ほとんどちゃんと見ることが出来ない場所です。




そんな場所にまで、それぞれ意味があるような彫り物を施しているんですから、お金をかけたということでしょうし、それぞれが違うモチーフであることから、石工たちも、腕の見せ所、的にがんばったんでしょうか。
ここには、セルヴァトスのような、セクシャルなモチーフが見られますね。




北側は、ちょっと雰囲気が違うかも。




あまりに面白くて、このときは、興奮してしまいました。一人で、すごいすごいと、多分自覚なく独り言をもらしていたと思います。

さらりと流した後陣の窓の側柱も、楽しいですよ。

二段重ねライオン。




チェッカー市松モチーフも、この地域にはよく見られます。これもまた、わたしが好む幾何学装飾のひとつなので、嬉しい。




それぞれがあんまり面白いくて、一つ一つ意味など考える余裕もなく、ただ、楽しく見て、撮影して、時間が過ぎていきました。
今、改めて見ても、やはりこれは面白い、というだけで、意味を考えようとも思えないボリュームですよね。

ロマネスク初心者も、ベテランも、興味のない人にも、ここは強烈にお勧め。中も外も面白いです。そして、村もかわいらしいです。

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