ミラノ・フオリサローネ2016その7
前回記事のバガッティ・ヴァルセッキ美術館は、ミラノのファッション・ディストリクトであるブレラ地区のど真ん中というロケーションでした。この地区も、いつの頃からか、フオリサローネに注力するようになり、狭い地域に多くの展示がひしめいています。 まずは、このところ毎回訪ねている、こちら、ブレラ植物園。
Interni Open Borders - Orto Botanico di Brera My Equilibria, The Wellness Park with Metalco Active design Vito Di Bari
ちょうど、緑が一番美しい季節であることも、この会場を使う意義がばっちりという感じで、毎度、展示と同時に、というか、多くの場合、展示以上に、都会の中のオアシスとなっている緑や、植物園ならでは花に感動してしまいます。
今回も、ブレラ美術学校の建物の裏手を覆うように育っている黄色の蔓バラや、ちょうど満開状態の藤の香りに嬉しくなりました。
展示はというと、上記タイトルにもあるように、運動系っていうか、事務系。すごく当たり前のジムが、植物園の中に設置されていて、時々パフォーマンス的にインストラクターが運動していました。
多分、こういう環境においても、周りを邪魔しない、それでいて機能的なデザインのマシン、みたいなことなんでしょうけれど、「健康のためならランチも抜きでジムに通う」(そういう人、ミラノにはたくさんいるんです。特に、高学歴な専門職系の人たちに多いような気がします)というミラネーゼには訴えても、わたしのように、とりあえず、何かやらないと、と家の前の公園をぐるぐるジョギングしているだけの人には、コンセプト的には、あまりぴんと来ませんでしたね~。
とはいいながら、確かにこんなに緑満載の場所でやる腹筋は、自宅で寝転がるのとは違う喜びがあるかもしれない、とは思いました。
今回は、緑の美しさが、完全に勝ちでした。 植物園から、そのまま、ブレラ美術館、というより、ブレラ美術学校の展示へ移動します。
こちらの大学は、古い建物を使いまわしていることが多く、このブレラもまた、いかにも古い構造の建物です。 こういう建物、企業が購入して事務所にするなどの経緯があると、構造のみ古い状態で維持して、建物内部はすっかり現代的な内装を施すので、現代風なのに歴史を感じさせる、過去と未来が融合した建造物となるのですが、学校や役所など公共建築の場合、どうしても予算に限りがありますから、必要に応じた改築や増築を、最低限レベルで繰り返していて、ちょっと見ただけでも、いかにも使い勝手の悪そうな、隙間風だらけそうな、そういう状態であることが多く、このブレラも、その例に漏れないのですが、この中庭の様子は、ぱっと見には、かっこいいですよねぇ。 こういう構造物の中で美術を勉強する、ということが、やはり感性を高めるのか、とか思っちゃいますよねぇ。 でも、使い勝手は悪いし、古いし、暗いんですよね。感性も半端に育っちゃいそうな。
XXI Triennale di Milano Internazional Exshibition Accademia di Belle Arti di Brera
若手中心に、建築家やデザイナーの作品をセレクトして展示しているものだったようです。
ペットボトルにかぶせて、花瓶のようにできるエコのゴム素材みたいな飾り。これはスポンサーがつけば、すぐにも商品化されそうな代物ですね。こういうかなり実用化されやすそうな小物がいくつか。 回廊上部には、おそらくその後有名になった建築家やデザイナさんの、過去に商品化された品が並んでいました。
びっくりしたのは、なんでもない台車。
だって、ガエ・アウレンティって、イタリアでは知らない人のないほどの建築家ですから、まさかこんな地味な台車をデザインしてたなんて、驚きました。何かが画期的だったんだろうか?どうみても、ただの台車…。いや、これ既にアートだった?どうだろう。
日本の方々の作品も、いくつか並んでいました。 数年前から、サローネ出ずっぱり状態のNendo。
Cappelliniというメーカーで商品化されたようです。こんな普通のなんでもない家具をやっているんですねぇ。こういうのみると、工業デザインの世界は、やはり基本、技術であり、実用であり、地味であるな、と実感できますね。
と、地味系展示の中、今回ブレラで最も楽しかったのは、こちらです!
Baccarat - Baccarat Lumieres Out of the Box, Thinking out of the box Design Hans van Bentem, Arik Levy, Marcel Wanders Sala Napoleonica- Accademia di Brera
あの、バカラですよ。 この地味な箱の裏側は、豪華絢爛のクリスタルの競演です!
箱状のスペースに、それぞれテーマを持ったクリスタルのシャンデリアがどかーん、どかーん、という感じで展示されているのですが、そのものの光に加えて、周囲への反射で、まさに燦然と輝いているのです。
ガラスという素材は、派手でも、何か抑えられた美、というものが備わっている感じがします。いやらしくならないっていうのかな。単にわたしが好きだから、なんでしょうか。
それにしても豪奢。バカラって、ベネチアン・グラスどころじゃないお値段ですよね。こんなどでかいシャンデリア、一帯おいくらくらいするものなのか、大体どういう人向けにこんなもん作っているんだか。まぁ、今でもお城に住むようなヤツラはいるわけだからな~、需要はあるんかな~。 あ、これはすごかった~!
手で持てるサイズのトロフィー系かと思うでしょ?どっこい! なんと2.5メートルの高さだよ!1909年に作られたもんだって。やっぱり、いまどきこんなものを発注する人はいないよなぁ。 それにしても、これって、さすがにどうすんの~?という品物ですよね。こんなでっかいバカラ持ってるんだぜ~、と言いたいだけのもののような気も…。
これらを見て、会場を出てから、はた、と気付きました。遅い! どうも、場にそぐわない、キラキラしたシャンデリアがあちこちさがっていると思ったら、全部バカラ製だったのです。 ひとつして同じものがないデザインで、色彩も微妙に違っていて、改めて回廊を一周して、全部見学しました。
赤はやはり美しいですねぇ。 黄色というか、オレンジ。
このあたり、既にかなり歩いていて、もうかなり疲れ果てているので、あの、垂れ下がっている一粒でも、千円万円単位なんだよなぁ、等と下世話なことを考えながら、眺めてしまいました。
さし色、という感じでピンクが控えめに使われていたもの。これ、一番好きだったかも。
エントランスに下げられていた、一番でっかくで豪華だったヤツ。
他のサイズの三倍くらい。黒が入ってピリッと。 いやはや、これ、デリケートだし、高いし、搬入も取り付けも、そして、展示中の警備も大変だったことでしょうねぇ。保険はどうしたのかな。 と、どうしても下世話なことばかり考えてしまう庶民です。やっぱり、ファッション・ディストリクトでは、ちょっと浮いちゃうな~。
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2016/04/29(金) 06:12:26 |
ミラノ・フオリサローネ
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ミラノ・フオリサローネ2016その6
フオリサローネでは、美術館や博物館のスペースを使った展示も多数あり、普段は非公開のスペースや、有料でしか入れないスペースを垣間見ることが出来るのも楽しみ。
最初に訪ねた美術館は、ちょうど訪ねた時間に、招待客限定のカクテル・パーティで入れませんでした。
Museo Diocesano
この美術館は、めったに来ないので、楽しみにしていただけに、残念でしたが、仕方ありません。 「ちなみに、フオリサローネはだめだけど、美術館は開いてるよ」と一人が言ってくれたところ、コンビのもう一人が、「お前アホか?フオリサローネを見に来た人が、美術館のオープン云々なんか、興味あるわけなかろう?」と、掛け合い漫才みたいだったのが、笑えました。 美術館に興味がないわけではないですが(というか、無料で入れるなら、ちょっと見たかったのも本音ですが、美術館だけではね)。
いずれにしても、めったに来ない、古いミラノの姿を見ることが出来る、素敵な場所でもあります。
時間の制限があるので、すぐにプランBへと予定を変え、ドゥオモ脇の王宮美術館へ向かいました。 それにしてもびっくりしたのは、ドゥオモに入場するのに、長い行列が出来ていたことです。
サローネ関連で、この時期はミラノ中のホテルが、ほぼ100%の稼働率となるほど人々が押し寄せるわけですから、観光要素も盛況になるということなのでしょうけれど、それにしても、こんな行列初めて見ました!
それはそれとして、王宮美術館へ。
Milan Pavilion Every work has its sound in collaboration with Kartell
いきなり、人工的な色彩にびっくりです。くすんだ建造物の中で、このように鮮やかな色彩が挿入される驚き。ビデオが流れ、音が流れ、という仕掛けはともかく(実はたいした効果を感じなかったのですが)、仕掛けとして、アートなんですよね~。 ちなみにこの展示は、9月12日まであるようなので、機会があれば、是非、訪ねてみてください。
さて、目的は、美術館の中にあります。
Hyper Planes of Simultaneity Fabio Giampietro, Alessio de Vecchi
ミラノ出身の二人のアーティストのコラボ作品。 上の、薄暗い中に展示された絵が、ファビオさんの作品ですが、びっくりする仕掛けがあるんです。 絵の前に、柵が置かれています。なんだろうと思いますよね。
都会の摩天楼を描いた鳥瞰図の絵だけでも、結構な迫力なんですが、この柵につかまって、さらに、ヘルメットをかぶります。
なんと!目の前に、絵に描かれた風景が、3Dで、360度展開されるんです! これは、残念ながら、体験する以外に、説明の使用もありませんが、もしかすると、こういうアートをやっている人は、他にもいるでしょうね。 絵の中の一点が、自分の視点となっていて、ぐるぐる回ると、その場所から見えるだろう風景が展開されるんです。摩天楼の屋上の一角が視点になっていたりするので、落ちそうになったりして、だから、柵。
最初は、訳がわからなかったのですが、見終わったあとに、ほら、視点はここでしたよ、と教えてくれるコンパニオンさん。
これは、面白かったです! 幸いにも人が少なかったので、二点ある絵を、両方とも存分に楽しめました。説明する人たちも、体験する人の驚きを確信して、「すごいぞ、すごいぞ、ほ~ら、すごいでしょう」といったようなウキウキ感が楽しそうで、それもよかったです。
目のところにスマホを使っているんですね。そういえば、こういうのって、去年のミラノ万博でもあったかもしれないなぁ。技術的にどうなっているのか、まったくわかりませんが、とにかく老若男女、楽しめること疑いなし。あ、高所恐怖症の人は、めまいがするかもしれませんが。
プランBだったにもかかわらず、興奮して、次に移動です。
向かう途中、ミラノのファッション・ディストリクトを通過しますが、どのウィンドウも、この時期に合わせて、いつも以上にアート的というか、サローネ的です。
こちらの、ス・ミズーラ(オーダーメード)を表すウィンドウ、好きでした。
デザイン画をバックにした、巨大ステーショナリー。
さて、向かったのは、バガッティ・ヴァルセッキ美術館Museo Bagatti Valsecchiです。
Museo Bagatti Valsecchi Curiosity - Mondo Parallele Installation of Gwenael Nicolas
二年前、この美術館での展示が、非常に面白かったので、今回も楽しみ行ったのですが、使用スペースは、ほんの一部分で、展示規模が小さくて、ちょいとがっかりでした。
相当暗いこともあり、いい写真が撮れませんでした。
このデザインなーさんは、長く日本に暮らして活動されている方で、日本の、布団文化みたいなものに触発された作品であるようなことを、コンパニオンさんが説明してくださいました。 部屋の真ん中に、ソファとテーブルなどが置かれている状態だったのを、では、同じ家具の形を変えて見ましょう、と下はその作業中です。
だから何、ということもないんですが、居間が寝室に変わっちゃうその省エネ発想に、本当にびっくりしたんでしょうかねぇ。ヨーロッパでは、寝室はあくまで寝室で、寝るための機能しかないわけで、せいぜいが、お客さん用にソファベッドを居間に置く、という発想がやっと。 押入れから布団を出すと、何もないところが寝室になる、ベッドという家具に捉われない寝室というのは、思いもつかない発想なんだと思います。
フランス出身のデザイナーさんですが、東京にその名もCuriosityというデザイン・スタジオを持っているそうです。おそらく、いろんなものを作っちゃってるみたいで、こんな小物も展示されていました。
なんだと思います?下のくぼんでいるところにお箸を入れときます。 そして、横に倒すと。
お寿司向きのお皿になります。 ってさ、握り寿司を想定しているらしいんだけど、握り寿司は、家庭では、あまりつくりませんよ~。そういう日常に根ざした現実は、なかなか伝わりませんよね。でも、この人住んでいるはずなのになぁ。やはりフランス人だし、日常は、フランス式どっぷりでやってるのかもしれないですよねぇ。
他の展示は、普段通りですが、めったに行くこともないので、一通り見学しました。
なんと今回、詳細な解説書に、日本語版が加わっていたのが、驚きでした。それも、さすがミラノで、ちゃんとした日本語! 部屋ごとにあるので、暇なときだったら、じっくり読んでしまいそうでした。いや、今回も、特に以前気になっていた浴室のことなどは、結構しっかりと読みましたが。
それにしても、おされ感度の高い人々が集まる場所なのに、美術館はすいています。中庭にあるカフェは超満員でしたが。
やはり、人が集中するのは、トルトーナ地区で、そのほかはこういう感じ。なので、素人俄か家具ファンも、こういう場所なら、のんびりと見学も出来て、大変よろしいですね。っていうか、せっかく素晴らしい展示があるのに、こんなに人が来ないのは、残念な気がしました。
美術館めぐり、もう少し続きますよ。
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2016/04/27(水) 06:28:03 |
ミラノ・フオリサローネ
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ミラノ・フオリサローネ2016その5
トリエンナーレ美術館、続きとなります。
細々とした展示を見た後、裏庭に出ました。裏庭は、普段、ちょっとした休憩所が設けられているくらいで、あまり積極的に使われてこなかったように思うのですが、今回は、たくさんの展示がありました。 例年通り、休憩所もありますから、夕方のアペリティフの時間ということもあり、大盛況です。
家状の建物が立ち並んでいます。
それぞれがコンセプトを持った建物となっています。一番気に入ったのは、自分にとっては馴染み深い、教会の形をしたこちら。
外観は、かなりいい加減な感じの建造物なんですけどね。入り口を覗き込んで、びっくりです。
技術ってすごい!と、素直に思いました。この奥行き感。荘厳ともいえる雰囲気。ちゃっちい外観からは、想像もできない光景なんです。外から見て、建物がすごく小さいとわかっているにもかかわらず、おそらくうまい具合に目の錯覚とかを計算して、奥行きを見せるようにしているのでしょうねぇ。 そして、突き当りの後陣に当たる部分の輝き。これにはたまげました。だって、これ、屋根が半分しかなくて、外の自然光が入っている効果なんです。
その部分に入ると、神々しいまでの太陽光で、つい数日前に作られただけの安っぽい漆喰壁が、光り輝いています。 そして、イコンなどが置かれる場所には、やはりイコンのようなアート作品が。
大好きなイタリアのアーティスト、ミンモ・パラディーノの作品でした~! Hans Kollhoffというドイツのアーティストとのコラボ。説明版を読むと、ハイデルベルグ郊外にある作品にインスピレーションを得たものだとありましたが、ル・コルビジェや、そのロンシャンの教会にも言及してあって、なるほどなぁ、という感じです。ロンシャンにあるル・コルビジェの教会は、いつか訪ねてみたい建築のひとつ。 こういう素敵なもののインスピレーションの元となっているのだとしたら、ますます行きたくなります。
その他、入ると、行き止まりのはしごが立てかけられている作品とか。
Eduardo Souto de Moura & Jennis Kounellis
メタルの煙突状の建物とか。
Michele di Lucchi & Enzo Cucchi
もう、ほとんどビエンナーレ状態です。建物には入れますから、体験型とも言えて、入り込みやすいし、意図を、具体的だったり抽象的だったり、いろんな内容の書かれた説明版も、それぞれ面白かったです。
端っこの方に、ひっそりと置かれたこれは、なんと、蜂蜜のための蜂のお家。
本当に使用可能なのか、アート的な冗談なのか、アイディア倒れなのか、よくわからないのが面白いですね。でも、サローネは工業デザインの見本市ですから、多分、まじめな製品の提案なんでしょうけれど。
実際、説明を読んでみると、特に街中におく場合の蜂のお家のようなことが書いてありました。縦長になっているのは、高い位置に蜂の出入り口を設けることで、子供に害を与える心配を減らすためとか、色々。なるほどねぇ。でも、街中にこんなに大きなお家を置ける場所があるのかなぁ。
お隣の公園、花盛りです。見学はうっちゃって、花見をのんびりしたい気持ちに駆られつつも、いやいや、と会場にユーターン。
再び建物に入り、細々したものを見学。 すべてが面白いわけではないのですが、時々、目を引く作品があります。 これなんかも、あたかも子供の作品みたいに、さりげなく、地味な場所の壁に貼り付けられていたのですけれど。
折り紙上の色紙を、組み合わせて折り込んで、ひたすら並べただけのものだけど、それがまとまると、こういう面白い効果を生むんだなぁ、と感心しました。
そして、2階に上がり、日本の紙屋さんの展示です。
TAKEO PAPER SHOW Kenya Hara and Hara Design Institute
トルトーナの会場のひとつで、白木など自然っぽい木を使った机に、紙を組み合わせて、ちょいとユニークな展示をしていた英国の会社がありました。声をかけられたので、ちょっとお話をすることが出来ました。向こうは、わたしが日本のバイヤーだと思ったようで、いきなり積極的に売り込まれてびっくりしましたが、わたしはただのデザイン・ファンであり、家具というよりも、紙に興味があって、とヘタな英語でヘドモド説明したところ、気を悪くするでもなく、紙に興味があるなら、是非、タケオの展示に行くべき、と場所を教えてくれたのでした。 本気で自社の製品を売り込みたかったら、やはり製品のことを知らないコンパニオンではなく、ちゃんと社員を使った方がいいですよねぇ、つくづく。
というわけで、ちょっと気になっていた展示ですが、まさか、こんなに広いスペースを使ったものとは知らず、驚きました。
それぞれのテーブルに、様々なデザイナーさんの、ユニークな作品が並べられていて、どれも興味深く、大変地味にもかかわらず、じっくりと見学してしまいました。 一部だけ、抜粋でご紹介します。
薄紙が、ずらりと並べられていますが、これは色見本を並べたもの。ピンクから薄いオレンジ状の色まで、並べられると、わずかな色の違いもわかりますが、本当にかすかな違い。ピンクやばら色、さくらんぼ色などの比率が微妙に違っていて、それでこれだけの種類の色を作っているのですね。これだけ必要なんですかね。必要なのかな。 116g/m2なので、結構しっかりした紙。 以前銅版画をやったときに、紙を重さで判断することを覚えてから、非常にアバウトですが、厚みなどのイメージが、重さでわかるようになりました。何でも、経験するもんです。
豆本。
日本語も、英語もありました。小さいって、それだけで感嘆するものがありますよね。それに、これは紙の質もすごいけれど、印刷技術のすごさでもありますね。
チョコレートの台紙。
影が美しいです。こんなものも、今ではパソコンで設計して、レーザーで作るんでしょうねぇ。 以前、ベネチアの建築ビエンナーレで金賞を受賞された(と思う)石上純也さんの作品もありましたが、ベネチアのときと同じ、とても繊細で、写真ではとてもわからない、肉眼で実際に見ても、よくわからない作品でしたので、割愛。繊細なデザインをする人であることだけは、よくわかりました。 建築家の方も、同じ工業デザインということで、インテリアも手がけている人は多いですね。
きりがないので、最後に、このカラフルな逸品。
多色の紙をうまく組み合わせて、一枚の布のようになっている作品。これは美しかったです。見る角度によって、メインの色が変わり、また、色の流れもいいんですよ。
自分でも、やってみたくなりました。何かに応用できないかと。 先日の飛び出すカードにしても、こういうものにしても、自分で何かやってみたくなる、というのも、このイベントを見学する、わたし的な意義があるかもしれません。
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2016/04/26(火) 04:27:21 |
ミラノ・フオリサローネ
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またまた寄り道で申し訳ないです!ロマネスクからは、現代美術より何より、とんでもない脱線ですが、フィギュア・スケート好きなもんで、というか、特定のスケーターのファンなもので~!
昨年の、アート・オン・アイスに続いて、なんと今年も、高橋大輔さんが参加するアイス・ショーが、またもやスイス(ジュネーブ)で開催されました。スイスの誇るランビエールさんが主催する、その名も、アイス・レジェンドIce Legends、氷の伝説と来たもんだ!
4月22日金曜日の夜、一回だけの開催。 公演は夜ですから、その日一泊して、翌日はジュネーブの町に遊び、昨夜遅くにミラノに戻って来たのですが、いまだにショーの余韻に浸っている感じです。
実に素晴らしい公演でした。 ランビエールの、振り付けの素晴らしさと、そしてプロデュース能力の高さには脱帽です。アイス・ショーって、こういうもんだろう!っていう感じ? アイス・ショーの世界では、世界最高峰と言われているらしい、昨年のアート・オン・アイスが、どうしても納得できなかったのが、やっと、理由がわかったというか、納得できなかったのが正しかったんだということがわかったというか、あらゆる意味で、わたしがイメージしていたアイスショー、やはり、あったんです。それが、このアイス・レジェンド!
チケットを購入した時点で、主催者のランビエール、そして、そのイベント・パートナーのカロリーナ・コストナー、メイン・ゲストの一人として高橋大輔、というラインナップで、既に、大いに「買い」だったのですが、その後、なんと浅田真央ちゃんの出演まで発表され、楽しみが募るばかりの日々を過ごせました。
公演中は、演技に集中してしまうことが多く、写真どころではなく、ほとんど撮影はしていないのですが、素晴らしい写真や録画が、すぐにインターネットでアップされますので、ご興味のある方は、是非そちらを楽しんでいただきたいと思います。既に、日本でも、テレビ放映もあったようですし。
記しておきたいと思うのは、カロリーナの美しい、あまりにも美しい姿です。
今回、録音の音楽とともに、生のピアノ演奏での滑りもありました。そのひとつとして、カロリーナが、ランビエールの振り付け「Le Poeme」の中で滑った「月の光」。この、美しさは、わたしのつたない筆力では、とても表現できない崇高なものでした。 こちらにまで震えがくるような緊張感。爪先まで緊張した動きの一つ一つからつむぎだされるドラマ感。 大ちゃんも、この振り付けには参加していましたが、まだまだ、ドラマの中に100%はまり込んでいない感がありました。カロリーナは、すごい…!
そして、公演後半で、大好きなボレロ! これは、おそらくカロリーナ以外では、絶対に出来ない踊りであり、すべりです。
ボレロは、ベジャールによってバレエの振り付けがなされ、ジョルジュ・ドンで有名になりましたが、ベジャールは、実は女性のダンサーを想定して振付けた、という話がありますよね? わたし、バレエは、すごくはまっていたことがあって、モーリス・ベジャールは、現代バレエの中でも非常に好きな振付家の一人でした。残念ながら、バレエにはまったのは、ジョルジュ・ドン亡き後だったのですが、運のよいことに、ベジャールのボレロを、シルヴィ・ギエムの踊りで見る幸運は得たのです。
話がそれましたね。 要は、ボレロには、なんとなくいろんな思い入れがあるっていうことなんですけどね、このカロリーナのボレロは、フィギュア・スケートにおけるボレロの伝説になろうという、そういう話です。
真央ちゃんは、やはりLe Poemeで、素晴らしい存在感でした。
後半には、今シーズンの「蝶々夫人」をやってくれたので、驚きました。まさか、ライブで蝶々夫人を見ることが出来るとは、夢にも思っていなかったので。ジャンプは、ほとんどダウングレードして、美しいすべりを優先していたようですが、競技ではないので、それで勿論オウケイ。 ただ、つい先日、世界選手権で、手に汗握る状態で、テレビ観戦(それもライブで見るために、3時起きして見た)したばかりだったので、若干生々しくて、できれば、過去のプログラムを、余裕を持ってやってほしかったような気もしました。
そして、大ちゃん。
最初はラクリモーザ、そして、ショーの締めにマンボ! 日本人観客を十分意識した、憎い演出です。それも当然で、一番高い、かぶりつきの席のほとんどを占めていたのは、日本人。結構なお値段のツアーに参加していた方、多数です。 そのほとんどは、勿論大ちゃん目的。 それを物語るのが、このプログラムということなのでしょう。 それはともかくとして、やはり大ちゃんの魅力は、独特だと思いました。比類ない存在感。登場するだけで、そのセクシーさに、魅了される。セクシーと言っても、いやらしいものではない、何というか、ピュアなセクシー感。何だそれって感じだけど、あれはもう、持って生まれた何か、なんでしょうねぇ。
ひたすらとうっとりしました。彼のステップは、リピート再生して、何十回見ても飽きないものがありますねぇ。マンボ、ライブ最高です。
実は、その大ちゃん。公演後に、なんと、予期せぬ場所で、すれ違いハプニングがありました! これが、今回一番のサプライズ。こんなことがあるんですね~!
こういう公演のあとは、現場で打ち上げ的なパーティが催されるので、出待ちをしても、出演者は当分出てくることはない=無駄、ということは、前回のアート・オン・アイスで、学習しました。 今回は、パーティ会場が、アリーナのホワイエの、招待されていない人たちも入り口がわかる場所に設定されており、無関係者であるわたしなどは、ちょっと寂しくなるような、区別が明確でした。日本からのツアー客らしい人たちが続々と入っていきますが、すごすごと帰途に着くしかありません。
しばらく、来年のために、よりよい席を確認する会場サーベイをした後、パーティ会場入り口を横目で見つつ、帰途に着いたのですが、アリーナ横の歩道(公道)を歩いていたところ、こちらに向かってくる、ほぼ黒尽くめの三人組がいました。 すれ違いざま、友人が、「大ちゃんだ!」。
わたしは、その友人の方に顔を向けていて気付かなかったのですが、友人は、同時にわたしの方に顔を向けていた訳で、わたしの左側を通過しようとする三人組がよく見えたというわけです。
彼らの歩調は緩むことがなかったのですが、3人の真ん中にいたのは、間違いなく大ちゃんで、すれ違った先で、顔だけこちらに向けて、「どうも…」とにっこりと頭を下げられました。 一瞬たってから、友人と二人、「え~~~っ」となった次第です。 おばさんは、反応が鈍い。特にこのような突発事項に備えていないミーハーレベルのファンだけに、非常に、鈍い。 当の昔に大ちゃんの姿が見えなくなってから、「大ちゃんだったよぉ!」「うわ~!」と騒ぎまくりでした。
それにしても、何という礼儀正しさ! 大ちゃん!と呼びかけるでもなく、大ちゃんだ!と叫んだだけのこちらに向かって、わざわざ会釈をするなんざ、ちょっと出来ないですぜ。それも、両脇を固めた二人の速度はまったく落ちず、相当の急ぎ足でしたからねぇ。 それなのに、きっちり、「どうも」って、聞こえたもんね~! 大ちゃん!すばらしすぎ!
そういう態度っていうのは、一朝一夕に身につくもんじゃないから、根っからそういう人なんだろうなぁ、と思います。だから、ますますオバサンにすかれるんだろうなぁ。 パーティでも、オバサンに取り囲まれて大変だったと思うけど、ありがたいと思いこそすれ、鬱陶しいなどとは、つゆほども思わなかったんだろうなぁ。大変だろうなぁ。 でも、そうやって、たった一人の存在でいながら、多くの人の感情を揺るがし、経済を活性化させる力を持つというのは、すごいことですよねぇ。才能って、すごい。そして、それに溺れない性格を併せ持つってすごいことです。
そういう素晴らしい選手を集めて、素晴らしいショーを主催したランビエールの手腕には、いくら感謝してもし足りない気持ち。 だって、これこそ、わたしが期待していたアイス・ショーなんだもん。去年のアート・オン・アイスは、音楽イベントに過ぎず、スケーターをショーの駒としてしかみなしてない感じで、とってもつまらなかったんだもん。
このアイス・レジェンドは、スケーターが主役で、それをサポートするピアノの生演奏もよかったし。最後まで盛り上がりまくりで、2時間が、文字通りあっという間でした。
経済的には楽ではないため、毎年開催とは行かないようですが、是非来年も開催してほしい!カロリーナや大ちゃんなど、もはや現役ではないけれど、現役に負けないどころか、それを凌駕する何かを持っている面々については、アイスショーでしか、それを目にすることは出来ないわけですから…。
でも、スイスのドイツ語圏は、もういいです。 ショーのあと、会場で立ち話した、スイスのドイツ語圏在住だという日本人女性の人が、あの地域は最悪だと解説してくださいました。田舎もんなのに、金は持ってるわ、スノッブだわ、で、コンサートなどがうまくいかないことが多いと。なんと、マドンナなどは、あまりののりの悪さに、途中で帰ってしまったこともあるくらいだと。どひゃ~!それじゃ、大ちゃんやカロリーナが無視されるのも、当然か~! ということで、次回も、スイスならば、フランス語圏、可能ならば、イタリア語圏での公演を期待したいものです!
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2016/04/25(月) 07:35:46 |
海外旅行
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ミラノ・フオリサローネ2016その4
次にご紹介するのは、トリエンナーレ美術館での展示です。
最近は、フオリサローネのときしか立ち寄らない場所も多く、ちょっと不便なこの美術館も、そういった場所のひとつ。去年も、一帯はずいぶん工事中でしたが、今年もまだ完了はしていないものの、ずいぶんきれいに整備されていました。 チケット売り場が、外に出来ていたのでびっくり。ちょっとわかりにくい。
美術館に入って、チケット売り場がわからずにうろうろしている人多数。変なシステム。 勿論、わたしの目的は、無料で見られるフオリサローネ関連展示のみですから、チケットは関係なし!
入場するとすぐ、こんなハデハデなシャンデリア。
これは、いつもあるものだと思うんですが、これまでもあったですかね? 会社帰りの時間ですから、到着は18時半頃。見学者、かなりの数です。
ここでも、アジア・パワー、すごかったです。 アジアをフューチャーした区画、全体に地味ですが、楽しかったです。 なんといっても、一番気に入ったのが、これ、アラマッ!
Singapore e Asia Alamak ! Made in Asia Yoichi Nakamuta & Tim Power - Alamak! Project
木素材で作った、木工系のデザイン家具やインテリアが並んでいるだけという地味な展示なのですが、どれもとってもかわいいんです。
インドネシアの人の作品。とってもアジアって感じですよね。藺草か何かで出来ている畳テイスト、ひとつほしい木馬です。
そして、ここの展示が気に入った最大の理由は、こちら。
何に見えますか。ただの白木のオブジェと思うでしょう? 実は、木琴なんです! 一番下に、小さな木のボールがあるのがわかるでしょうか。これを、このオブジェの一番高い場所に設置して、やさしく押し出すと、ボールは一人で、白木の階段を転がり降りていきながら、音楽を奏でるんです~!
KO-TONE Spiral Xylophone
ほら、ボールが走り降りていきます。 こういうとき、動画を撮る習慣がないもので、情けないですよねぇ。気が付かなかった。是非、森の木琴で検索して、ユーチューブなどにアップされている動画を楽しんでください。
とにかく楽しくて、何度でもやりたくなります。大人のおもちゃです、これは。それも壮大な企画と研究と時間の賜物。
近くに類似作品の実験ビデオが流されていました。
ぼけた写真ですみません。 今回展示されていたのは、スパイラル・バージョンですが、どうやらオリジナルは、まっすぐな巨大木琴らしいです。森の中で、ずっと長い距離、高低差をつけて並べられた白木の階段を、やはりボールがゆったりと走り下りながら、音楽を奏でていました。素敵~! これは、あまりに気に入ってしまったので、帰宅してからすぐ検索したところ、「森の木琴」というタイトルで、日本の作品だということがわかりました。 森の木琴。言葉通りの作品なんです。鳥のさえずりや川のせせらぎの中で、完全自然素材の楽器が、クラシック音楽の旋律を奏でるの。森で聞いてみたいものです。 ほしい!小さいバージョンがあったら、買う!
相当長い時間、張り付いて、人がボールを転がすのも、何度も見てしまいました。
そのお隣には、富山県の部屋がありました。 富山県って、鳴り物が有名なんですかね?
金属で出来た風鈴がたくさん吊り下げられていて、その下には、こんな大きなお鈴。
お座布団の立派さにも目を奪われますね。 そのうしろで流されていたビデオは、もしかすると、以前、日本映画際で見た短編だったような。富山県って、すごくプロモーションがんばっている県なんですね? 確か、その短編映画では、鋳物のことをやっていたような。違うか?
文具とか散っちゃいオブジェも多数展示されていたけど、どれも日本のかわいいテイスト満載で、琴線に触れます。こういう趣味や傾向は、いつまでたっても日本的だな~、オレ。
こちらの、ちょっと中国風の鐘もすごかった。勿論勝手に鳴らしていいんです。でも、みんな意外と遠慮して、触らない。こういうとき、コンパニオンさんが、もっと積極的に誘導すればいいのになって思うんですけどね~。
おお~!富山~!
まるで、旅行の見本市みたいですね。
お隣は、韓国スペース。
おそらく伝統工芸起源の作品ですよね。あみあみの繊細さが半端ないです。それだけで美しさを醸し出してます。 チマチョゴリ用の反物と思います。とっても韓国っぽいですよね。
こういう、伝統的な品物と並んで、ひたすらロープを編みこんで作った椅子、というか、オブジェがあったり。
なんだろう、韓国。はたまた、再び伝統工芸的な大鉢があったり。
でもこれ、伝統工芸かというと、意外にも現代工業製品みたいなんですよね。小さい同型のブロックを積み上げて作っているようなんです。
Design After Designというのが、このスペースの全体テーマのようですが、わかるような分からないような。まぁ、大型のインスタレーション系よりは、インテリアの見本市なんだって言うことを思い出させる場所ではありますね。
続きます。
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2016/04/22(金) 05:59:11 |
ミラノ・フオリサローネ
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ミラノ・フオリサローネ2016その3
パオの向かいにあったアイシンをのぞいてみました。
Aisin - Imagine new Days Aisin Design, Masaru Suzuki, Hideki Yosimoto, Setsu&Shinobu Ito, Hikaru Mori
伊藤さんという方たちは、多分ミラノ在住のデザイナーさんだったと思いますが、他はまったく知らない…。ごめんなさい。
展示については、チェックもしてなかったし、アイシンって、トヨタの部品とか作っている会社じゃなかったかな、と非常に漠然としたイメージしかありませんが、入って驚き。
メタルなのに、なんだかかわいい! 左方の光のタワーのようなところを、掌で押さえると、光がついて、エネルギー満杯になると、部屋の明かりが一回消えた後で、全体がパーッと明るくなるという仕掛け。 日本人コンパニオンさんがいたのですが、残念なことに、「うーん、仕組みは…、わかりません」、ということでした。 いや、別に細かくどうって言うのを知りたいわけじゃないけれど、たとえば、その上でジャンプするエネルギーで電気を溜めるシステムとかあるわけだから、そういうものがあるのかどうか、その程度を知りたかっただけなんんだけどね~。せっかく日本人コンパニオンなのにね~。あ、もしかして、イタリア語の方が堪能な人たちだったのか?
天井にあるメタルの歯車がぐるぐる回っているのは、いかにも部品会社らしいんだけど、次のスペースで、また驚き。
白を貴重とした清々しい、お洒落な空間になっていたんです。 カーテンのように垂れ下がっているリボン状のものは、カーテンの芯地みたいな素材で、そこに、ミシン刺繍がされています。
一個一個はすごくシンプル素朴で、なんてことのない初心者ミシン刺繍なんだけど、全体になると、結構おさっれ~! しかし何でミシン刺繍?と思いますよね。こたえは、これ!
スペースの一角が、いきなり、手芸教室になっていました! みんな興味深々で、ためし縫い真っ最中。わたしも誘われたけど、すっごくほしくなってしまいそうだったんで、あえて触りませんでした。 だって、ミシン、超かわいい!
手芸好きだから、ミシンあったら、楽しいのわかってるの~!でも、置く場所もないし、多分、そんな使わない。でもほしい!みたいな複雑な気持ち。だって、ミシンが、こんなかわいい家電になっているなんて、ほんと、知らなかったんで~。
これで、大物はお仕舞。 あとは、順路に従って、地下展示などもちょっと見つつ、出口へ。
なんか、これを世界一の家具の見本市に出して、引き合いがあるのだろうか、というような展示もたくさんあります。そういうのが、本会場じゃないフオリサローネの面白さでもあるけど。でも、基本は、みんな商売にしたくて、展示してるんだよね。不思議。
あ、触れておくべきは、日本以外のアジア・パワー。
中国、国を挙げて大々的なスペースを占めていました。 そして、今では、招待客にしか振舞われることのないアペリティフを、無差別に振舞っているので、集客半端なし!誰でも荘ですが、イタリア人は特にただ飯ただ飲み大好きですから、ワインのカウンターは、すごい人だかりでした。
でも、中国や韓国のものって、まだ民族的なテイストを引きずっているものが多いかもしれない。産業工業分野で一歩先んじた日本は、国としての一体感とか全体感はないけれど、多くの個別デザイナーが、国籍問わずにあらゆるメーカーのためにトップ・レベルで活躍していて、もはや、日本的なものを押し出すケースは少数派って状態になっているように思うんですけどね、中国の展示は、いまだにとっても中国、みたいな。
それで残念だったのが、サムソン電子の展示を見られなかったこと。
この日はちょうど招待客だけのカクテルでした。残念。 サムソン、去年は、中央駅近くの自社ビル内展示だったのですが、やはり集客がよくなかったせいか、また、例年通り、スーペルステュディオに戻ったようですね。イメージや宣伝には、場所って重要です。
かなり満足して、帰路につきます。といっても、トルトーナ地区のメインストリートを歩いていくのですから、疲れていて早く帰宅したくても、右に左に、誘惑が一杯。
普段だったらなんでもないロータリーが、南の島に変身していたり。
Tommy Hilfiger Hilfiger Denim - An Island State of Mind
なんでもないお店のウィンドウがアートしてたり。
すごい人混みに、いい加減うんざりしていても、ポルタ・ジェノバの目と鼻の先にある、この素敵な”古いミラノ風”建物には、つい足を踏み入れたくなってしまいます。
アクセサリーなど、個人作品の展示がちまちまある中で、思わず目を引かれたのが、飛び出すカードでした。
ちょっと前に、雑誌の記事で初歩的な飛び出すカードの作り方をみてから、自分でもやってみたいな、と思って、試しに作ったりしていたので、食いつきました。作家の方も、ちょうど暇だったのか、声をかけてくれたので、お話を始めたところ、背後から、「わたしも、自分でトライしているところなの!」と割り込みが…。 意外といるもんなんですね、何でも、とりあえず自分でやってみる派。まぁ、こういうイベントに来る人だから、そういう人の比率が高いとは思いますが。
それにしてもむっとしたのは、自分でやっている女性はともかく、結果的に話の主導権をとったのが、その連れの男。イタリア人って、男の方がおしゃべりだったりするし、カップルだと、大体男が主導権をとるんですよね。それにしても、せっかく楽しくおしゃべりしていたのに!作品も、一枚くらい買おうと思っていたのに!興味もないくせに、おしゃべりの主導権だけをとりたい男にむかついて、フェードアウトする羽目になりました。ああもう!こういうイタリア人、大嫌い!
時間とともに、続々と人が押し寄せます。うろうろしているだけでも、見るものがたくさんあって楽しいけれど、本当に楽しいけれど、長丁場なので、後ろ髪を引かれながら、線路を渡る歩道橋へ。
なんだろ。色とりどりのズボンが掲げられていました。変なの。誰かの作品なんでしょうけどね。
ということで、駆け足のトルトーナ・フオリサローネ見学、終了です。 次回は、まったく別の場所に出没です。
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2016/04/21(木) 06:29:38 |
ミラノ・フオリサローネ
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ミラノ・フオリサローネ2016その2
トルトーナ通り、スーペルステュディオSuperStudio続きです。 とりあえず、一番の目的を無事クリアできて安堵。次に進みます。ここだけでも、見たいものは山積みです。 まず目に付いたのが、パンフレットで、気になっていたこちら。
AGC Asahi Glass-Amorphous Instalation - Nosigner / Eisuke Tachikawa Lighting - Izumi Okayasu
旭硝子のインスタレーション。かなり大きなスペース一杯に、表面が鏡になっている台を置き、その上に、天井から無数の硝子板が垂れ下がっている、というものです。
様々な色を反射して怪しく光る硝子の美しさ。特殊加工がされているのだと思うのですが、一枚だけ見ると、薄っぺらなプラスチックの板にしか見えないんですから、まったく不思議です。 この効果の美しさに加えて、台となっている鏡の、吸い込み効果がすごい。
吸い込み効果、って今思いついた言葉ですけれど、覗き込むと、そのあまりの透明性に、どこが上でどこが下なのか、当たり前の空間把握が出来なくなり、吸い込まれそうになるって感じなんです。光るもの輝くもの透明なものの効果って、半端ない!
同じ建物内でも、こうやって区切られたスペースで、インスタレーションを発表する会社もあれば、オープンスペースにごたごたと並んでいる会社展示もあります。前者は金や手間を惜しまず、この機会に、製品とともにハイクラスなイメージを売ろうとするタイプが多く、後者は、製品紹介型って感じでしょうか。本来の見本市らしい展示ですね。
後者の例では、たとえば、こういうダイソンの、多分製品の特徴を全面に出している展示とか。
日本らしい技術や感性で作られた新しい製品の提案などがありますね。
でも、せっかくのスーペルステュディオですから、やっぱり大掛かりな展示が見たいもんです。 ゴアテックス。
Gore-Tex Meteomorphosis
ゴアテックスって、スキーウェアのイメージなんですが、確か、汗は出すけど、熱は逃がさない、みたいな繊維がメインだったような。 これは、からくりはわからないのですが、自分の身体が、スクリーンに映りこむんです。トロールのような形態に形を変えて。
これは、実はカメラを構えているオレ!
ビューン、と飛んできた彗星のような黄色のタマに、スクリーン上で触るように身体を動かすと、ちゃんとタマをぼよんぼよんと出来ました。体験型は、面白いよねぇ。 運がいいと、コンパニオンに説明を聞くことも出来るのですが、見学者の波もあって、なかなか。そもそも、業界人でもないから、あまりでしゃばるのも悪いと思ってしまうし。
場所を移動して、入ったところが、面白かった!
Barovier & Toso - Colors Design Paola Navone
パオっていうのかな。サバンナの移動テント?遊牧民の家みたいのが、薄暗い空間に並んでいます。
外側は地味なのに、どのパオの中も、目が覚めるような空間にしつらえられているんです。
いきなり真っ赤! それも真ん中の台に置かれた硝子の人形ランプは、ベネチアでもよくみる有名なモチーフ!硝子の会社だったんだ~!
こっちは、ピンク~!
そして、海の青!
若草色。
どの硝子も正統派ベネチアン・グラスで、すっごいの。それが、パオみたいな、こういうシャンデリアと一番似合わないような環境におかれている面白さ。 最後に入ったこのパオ、多分中央部にあって、一番凝った内装なんだけど、ここがまさにその感覚を体現してました。
民芸家具や道具と、硝子をあわせていて、まさにミスマッチという様相なんだけど、面白い!民芸品的なものも、すっごくかわいくて、どれもほしくなるようなものばかりです。 ほらほら、いかにもわたし好みのものたちが。
その上の方は、こんな感じになってたりしてね。
ここは、いつまでもいたいくらい、楽しかった! でも、意外と見学者が少なかったんです。
スーペルステュディオ、まだ続きます。
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2016/04/19(火) 04:28:35 |
ミラノ・フオリサローネ
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ミラノ・フオリサローネ2016その1
このところ、比較的さくさく毎日記事をアップできていたのですが、私事で忙しくなったと思った途端に、世界で一番重要なインテリアの見本市サローネが始まってしまい、毎年恒例のフオリサローネめぐりに突入。 で、生活リズムが完全に狂ってしまいました。
展示会初日から毎日、仕事のあと、フオリサローネめぐりをしていたため、夕食の時間はずれるわ、疲れちゃって何も出来ないわ、という1週間。おそらく、それまでの数日、ストレスフルな日々が続いたせいもあり、そういう生活に逃げ込んだ、というのもあるのかな、と思います。 歩き回るため、肉体的には疲れたものの、でも、他の事を考える暇もなく、毎日面白いものや美しいものを途切れることなく見て、そうこうするうちに、考えても仕方のないことを考えることもなくなり、ちょうどよかったと思います。
そんなわけで、例年になく広範囲に、フオリサローネ会場を徘徊しました。 普段中世中心のブログで、現代インテリアや建築やアートへの興味のある方がどれだけいるものか、いつも逡巡があるのですが、せっかくだから、記事にしておこうと思います。
まず初日は、いつもとは違って、こんな場所から。
無印良品の、イタリア上陸一号店となる、ミラノのブエノス・アイレス通り店。今回、増床して、なんとヨーロッパ一番の広さとなったということで、フオリサローネ協賛の、オープニング・パーティが催され、仕事の関係で、お邪魔することになったもの。
考えたら、この店舗には、ずいぶんと長いこと、お邪魔していませんでした。今回増床した3階部分はともかく、もともとあった2階部分も、ずいぶんと広くなっているような気がします。広さに伴って、販売商品の幅も、非常に広くなっており、文具、生活雑貨に加え、男女子供の服飾が充実していました。食器も、萩焼のよさそうなお茶碗など、今度改めて買いに来ようかと思ったり。
ミラノ領事の挨拶とか、デザイナーさんの挨拶などあって、いかにもレセプション。
デザイナーは、Naoto Fukazawaさん、そしてKenya Haraさん。お名前はうっすらと知っている~。 相当数が来店され、押すな押すな状態の盛況振りでした。供されたのは、日本酒だったので、びっくり。 今後の更なる発展をお祈りしたいと思います。
普段は、まず、確実にイベントのパンフレットが入手できるミラノ大学会場に行くことが多いのですが、今回は、この無印のお店で、それを手に入れたので、自宅で急いでチェックして、翌日は、メイン会場であるトルトーナ地区に、いきなり行くことにしました。 というのも、2年前に見て感銘を受けた企画が、再び行われる会場がトルトーナ地区だったからです。
近辺に到着後、メインストリートであるトルトーナ通りに入った途端、かなりの人並み。すぐにも様々な会場が目に付きます。
目的地は、先なのですが、時間的余裕もあることだし、せっかくなので、いくつか寄り道をしました。
こういうの、とってもインテリアな感じで、分かりやすいし、驚きもないんですが、でも灯り関係は、どうしても惹かれてしまいます。 ここは、電気会社関係だったかな。
大きな会場。多分お隣の、今は美術館に改装された、かつての工場跡と同様、工場とか倉庫の建物を、そのままイベント会場になっているってヤツですね。現代美術展示にもぴったりな、高い天井、オープンスペースを、いくつかに区切って、数社の展示が入り乱れています。そういえば、Asusのノートブックが並ぶテーブルがありました。
さっさと切り上げて、先に進みます。
こちらは、今Mudecという美術館になっている工場跡地。確か美術館がオープンしたのは、つい一年前くらいのこと。フオリサローネ関連展示もあるのはわかっていましたが、わたし的なプライオリティは高くないし、人が相当多かったので、残念な気持ちはありましたが、見学せずに通過。
そのすぐ斜向かいくらいにある会場は、チェックしていましたし、ちょうど、雨がぱらぱらと降ってきたので、雨宿り的にも、駆け込みました。目的はこちら。
トヨタは、このトヨタに加え、レクサス・ブランドでも展示を出していますが、今回レクサスの方は行く時間がありませんでした。毎回、しっかりと参加しているし、ただ車を並べるだけではない面白い展示をしています。 今回は、かなり正統派だけど、実験的な、こんな展示。
なんと、ボディから椅子から、すべてが木製の車!
薀蓄をおいといても、発想が面白いと思いました。木を扱う巧みの技がたくさん盛り込まれているんだろうと思ったし、同時に、原点回帰でもあるわけだし。展示としては、とても地味だけど、発想として、インテリアの見本市に出る意味がとてもあると。
そして、いよいよ目的地に到着です。 スーパーステュディオSuperStudioPiu'というトルトーナ地区のメイン会場。ちなみに、イタリア語風に発音すると、スーペルステュディオとなり、昔はそういうのが恥ずかしかったものですが、今では、英語風発音の方が、しょってるみたいな気恥ずかしさを感じるって、なんなんでしょうね。
このスーペルステュディオは、とても大きく、やはりいくつかの企業が大小色々なスペースを使って、比較的大掛かりなインスタレーションを行います。そのため、話題になることも多い場所です。
他の場所と違って、入り口が一箇所で、過去にも、氏名や住所などを登録するか、名詞を置くかというシステムで、一応のブロックを行っていましたが、今回はさらに厳しく、入り口で、招待状を持っているか、業界関係者以外は入れません、一般開放日の週末に来てください、と言われてしまいました。 このために来たのにそれはなかろう、という気持ちがあったので、招待客でもなく業界人でもないけれど、実はお客さんの展示があるから来た、と言ってみたら、案外あっさり、じゃ、どうぞ、と入れてくれましたとさ。仕事上のお客さんの展示があるのは、嘘じゃないんですけどね。それにしても、それで入れてくれるなら、ブロックするなよ、と若干腹立たしい。 実際、ブロックしているにもかかわらず、すごい人混みで、とても関係者だけとは思えない…。 まぁ、それはともかく、早速目的地へ。入ってすぐにありました。
シチズンの展示、time is TIMEです。 これは、二年前、2014年フオリサローネで、カドルナ近くのトリエンナーレ美術館で展示しており、その時は、たまたまその場で行われたイベント(ダンス)を見る機会を得たこともあるのか、大変印象的だったのです。
とにかく美しい。
この、きらきらの一つ一つが、時計の部品なんですよ。それが、ピアノ線でつながって、無数に張り巡らされています。そのきらきらで閉ざされたスペースが二つ。今回もピアノ演奏などのイベントがあったようですが、残念ながらそれを見る機会はありませんでした。
初めて見た前回のような驚きはありませんが、それでも同じように美しさに打たれました。冷静な分、構造などを観察したりしてね。
縦横無尽に張り巡らされ、ランダムに見える糸が、ある場所からは、すっと見通せるようになっているとか。突然、とてもすっきり幾何学的に配列されていることが見えるんです。 いや、面白い。
時計も多数展示してあったんだけど、こっちの部品ばっかり見て、そっちは全然見なかった。それもどうよ、と思いますが、シチズンとしては、高級イメージとか、デザイン性、洗練されたお洒落なイメージを売ろうとしているんだと思うので、それでよいのかと。
水曜日の夜だというのに、相当の人出だったので、やはり最初に来てよかったと思いました。週末など、きっと混雑で、身動き取れないことだったでしょう。
続きます。
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2016/04/18(月) 06:25:55 |
ミラノ・フオリサローネ
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サルデーニャ、ミニミニ修行旅、その19
カリアリを通過して、一気に東方面へ。 向かったのは、ドリアノーヴァDolianovaという町です。町には、あまり迷うことなく到達できたのですが、教会は、町の中心からはかなり離れた住宅街の、谷底のような場所で、二度ほど車を停めて、地元の人(主に暇そうな老人グループ)に尋ねて、何とかたどり着くことが出来ました。 そういえば、ここは、どこかのサイトで事前に所在住所まで確認していたというのに、ナビ、全然だめだったです。今後行かれる方、ご注意を。
町の方からアクセスすると、後陣側の細い道を回って、正面に出ることになります。サン・パンタレオ教会Chiesa di San Pantaleo。
教会前は大きな広場となっていますが、相当手前に鉄柵があります。開いててほっ…。 これだけのスペースをとって鉄柵、というのも変わっていますね。
ぱっと見、周りの風景と溶け合って、教会は埋もれちゃっている感じで、「せっかくがんばって探し当てたけど、あまり期待できないかも~」と思いました、正直。 でも、近づいて、細部が見えてくると、あれ?ちょっとちょっと、なんかすごいことになってない?的な感覚が襲ってきました。
あれもこれもしっかり見たいので、例によってアワアワと、気持ちは右往左往しちゃってますが、開いているはずの時間なので、まずは中に入らないと。ファサードをじっくり見たい気持ちを抑え、扉を求めて、鐘楼の後ろの北側に回りこみ、早速入場します。
実際は、かなり暗いです。扉が開けっ放しになっているので、その光で、かろうじてフラッシュなしでも撮影できる感じ。その薄明と石の質感がぴったりで、重厚で、とてもよい雰囲気。 いかにも、いろんなお宝がありそう。
見落としのないように、じっくりと回ります(修行前に余裕があるときは、絶対に見落としてはいけないものだけは確認するのですが、今回は時間がなくて~)。 まず、本来のファサードの裏側、外からだと右側の扉の裏側の部分に置かれた、チボリオ。
このあたりは、扉から遠いため、相当暗いですね。 ナルテックス風でもあるチボリオ、中央部に聖水盤がおかれています。本来は、こんな場所にあるわけもなく、祭壇に置かれていたものなのでしょうか。 柱頭部分の彫り物は、比較的新しいもののように見えましたし、このタイプであれば、浮き彫りの施される上部はのっぺらぼうです。もしかすると、小円柱とそれを支えるライオン君を再利用した後代作のチボリオかもしれません。
なんか、ちょっと疲れちゃったし~、という表情のライオン君。苦行的なポジションなのに、結構くつろいでますねぇ。
角柱と、こんな束ね柱が混ざっています。
そして、すっごく興味深い柱頭。
やたら人物がたくさんいて、妙に面白い感じで場面が彫りこまれているんですが、さっぱりわかりません。
束ね柱のお足元。
なんか危なっかしいというのか、よくもこんな風に乗っかってるっていうか。心もとない感じもします。そもそも、この束ね柱って、中心部はどうなっているのでしょうか。よくもみんな引っ付いて、ちゃんと建ってるもんですよね。
角柱にも柱頭がありますが、相当傷んでいます。
石の種類も、先ほどの人フィギュア満載柱頭とは違いますね。 四本束ねもあって、こっちの柱頭も面白い!
柱と柱の間の細い隙間部分に、ホラー的なモチーフ。見れば見るほど、かなりホラー!ガジガジかじってるしね。笑える! 隙間利用では、これもナイス。
ぱっと見ても、内容がまったくわからないんだけど、とってもストーリー性を感じるし、隙間とか使い方がうまいって思います。なんか効果的な配置。
いろんな名残ものを、組み合わせて貼り付けちゃった祭壇正面。
エコだよね。無駄がない。後から作ったんでしょうけれど。こういうのが、色々出てきちゃうんでしょうね。
今の教会が、きっと最も自慢にしている装飾は、多分、いくつか残されたフレスコ画。
でも、どう見ても13世紀以降の作品で、わたしの好みではなく、わたしとしては、どっちかといえば、上の方の半円の石積みの様子などの方が好物ですね。フレスコがはがれていてよかった、などと罰当たりなことを考えたりしつつ、見学。 でも、右側壁面にある、生命の樹Albero della vitaは、色が美しくて、結構よかった。
ずいぶんと剥落しちゃっていますが、地の緑、というか青の混じった緑青色というか、とっても美しい色で。 でも、やっぱり好みとしては、手前にある束ね柱の方かな。笑。
内陣部分に、金網で閉ざされた階段を発見しました。クリプタがあるんでしょうね。階段は新しいので、もしかしたら、再建とか、ただの物置とか、ちょっとわからなかったのですが、いずれにしても、開けられている様子は一切なかったです。残念。
それはともかく、充実の見学です。ランチ抜きは惜しかったけど、その甲斐は十分あり、報われた気分です。 続きます。
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2016/04/11(月) 00:15:28 |
サルデーニャ・ロマネスク
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このところ、通勤車内では、スペイン語の文法書などを眺めていることが多いので、読書量が、がくん、と落ちました。狭い家の中で、積読本が増えるばかりで、ほんとに困ったことです。
「一路 上下」浅田次郎(中公文庫) 「聖書の旅」山本七平(文春文庫) 「魔少年」森村誠一(角川ホラー文庫) 「町奉行日記」山本周五郎(新潮文庫) 「古代への情熱」シュリーマン(岩波文庫) 「夜鴉おぎん-御宿かわせみ12」平岩弓枝(文春文庫) 「猿丸幻視行」井沢元彦(講談社文庫) 「ロマネスク美術革命」金沢百枝(新潮選書) 「ユリゴコロ」沼田まほかる(双葉文庫) 「ミラノの風とシニョリーナ」坂東眞砂子(中公文庫) 「黄金の島 上下」真保裕一(講談社文庫) 「グランド・マンション」折原一(光文社文庫) 「魔王」伊坂幸太郎(講談社文庫)
相変わらず、めちゃくちゃなセレクションです。自分が購入したものや人から借りたもの、貸されたものなど混じっているので、ますます統一性がなくなりますが、色々なジャンルを読むのも、なかなかいいもんだと思っています。 久しぶりに、読むのがやめられない状態になったのは、「黄金の島」。真保さんって、冒険小説の人だったんだなぁ、と。そういえば、最初に読んだのは、ホワイトアウトで、あれもミステリーよりは冒険小説だったのに、なんか自分の中では、ミステリーの人、と分類されていたので、ちょっとびっくりでした。でも結末が、ちょっと~。
金沢さんのロマネスク本は、出版されたことは知っていたし興味もあったのだけど、一時帰国中、実はすっかり忘れておりました。時間つぶしに入った東京駅近くの大きな書店でたまたま見つけて、自分の忘れっぷりにびっくりしつつ、ありがたく購入した次第。本業(?)だというのに、ミーハーってこんなもん、っていう例ですね。 内容は、すっごくまじめで、取り扱っている美術も限定的なので、ちょっと残念な感じかな。でも、こういうテーマで図版も結構豊富な書籍を、このお値段(1400円=10ユーロ強)で出せる、というのは、すごいことです。
浅田次郎は、いつも面白く読むのですが、これはちょっと書き飛ばしてないか? 一方で、山本周五郎の人情時代物は、いつ読んでも安心できる暖かさがあって、好き。完全にオヤジ。笑。
ちなみに、一応文法書や問題集を眺め続けているスペイン語ですが、全然覚えられません。そういう中で、シュリーマンの自伝を読むと、語学は才能と圧倒的な努力だ(どちらにも自分にはない)、ということを思い知らされ、やる気が萎えます。すげえよ、シュリーマン。やる気と努力で成功した人って、一般人のやる気を削ぐよね。
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2016/04/10(日) 22:56:11 |
読書、備忘録
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