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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ハイレベルな石工さんの手に、脱帽(ロアーレ城)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その2

日本だと、時差が激しいので、あきらめる向きも多いと思いますが、こちらでは今、ヨーロッパ・カップが絶賛開催中です。地上波で見られるため、ついつい見てしまって、いつもに増して時間がなくなる、という夜が続いております。

テレビだけで夜が終わるのも寂しい話なんですが、根がミーハーなもので、どうしようもないですね。
とはいえ、そんなこと言っていると、一生先に進めないので、今夜は、イタリアの勝利を糧に、記事も一発…。

前回の記事で、過去の記録を添付したつもりなのですが、リンクできてなかったようです。今回は、紙ベースの記録を。




昔は、夏休みの旅をA4の紙にイラスト入りでまとめて、友人知人に近況方向代わりに送っていました。手間はかかったのですが、結果としては、記録として、面白いものとなりました。
10年前は、やはりガードレールもない山道だったようですね~。木1本生えていない山道は、走っていても見晴らしがよくて、本当に怖かったことを思い出しました。今は、緑も随分と茂っています。

さて、年輪を経て、素晴らしい味わいとなっている階段をのぼり、早速教会へ。




階段の中ほど右側に、まず最初の見学ポイント。




クリプタ・デ・サンタ・キテリアCripta de Santa Quiteriaです。聞いたことのない聖人です。クリプタだけが一人の聖人に捧げられているのも珍しいような。ロケーション的にクリプタと呼ばれていますが、もともと礼拝堂的な位置づけだったのかも。

再びメイン・エントランスから伸びる階段に戻り、突き当りまでのぼると、左右に分かれています。その左側の方に、教会入り口があります。




壁が複雑な形、角度で迫ってきます。岩山の岩をも利用した、自然の形に忠実な建築なんですね。教会も、城の中にうまく組み込まれています。




サン・ペドロ教会Iglesia de San Pedro。
こんなにせまぜましい場所であるにも関わらず、きちんとアーチで、側柱にしっかり素敵な柱頭がおかれています。植物モチーフの柱頭は、とても手が細かくて、腕もセンスもある石工さんの作品ですねぇ。




入場!




あ~!
この雰囲気は、記憶にあります。すっきりしつつ、全体に薄暗さが神聖な雰囲気を高めている感じ…。当時はスペイン語のガイドツアーだったので、団体で回ったのですが、それでも、神々しいような雰囲気が感じられました。
今回は、ほとんどの時間、独り占めすることができたので、受ける印象が、また違ったかもしれません。
現役の教会ではないこと、外観からは想像できないような、縦も横も広々としたがらんとしたスペースであることから、なんというか、歴史や時間、「兵どもが夢のあと」的な、諸行無常的な?なんだか、そういう感覚を強く思いました。

それにしても、素敵な…。




教会には、84もの柱頭があり、どれもが一つ一つ異なるモチーフで飾られているのだそうです。それも、すべてオリジナル。




柱頭を結ぶアーチの縁取りは、大好きなチェッカー市松モチーフ。これも、大好物なので、ゾクゾクします。
柱頭は、入り口のもののみならず、どれも相当細かい彫りが施されていますよ。




ダニエルかなぁ?でも、頭はライオンだけど、身体は蛇っぽい動物だから、別かな。
この、植物とライオン頭組み合わせも、斬新だし、細かさが、すごいです。




この後陣部分の柱頭は、背も低くて、かなり間近に見ることができるため、迫力があります。




何度も何度もなめるように、見返してしまい、また、バカみたいにたくさんの写真を撮影してしまいました。




西側は、岩山の岩が、一部露出していて、山の上に建てられた要塞の中にあることを思い出させられます。




壁の高い場所にも、柱頭があるのですが、かなり遠いうえに、自然光があまり当たらないため、撮影は難しかったです。
これは、肉眼ではほとんど判別不可能でしたが、写真で見ると、アダムとイブのようです。




いつも思うのですが、当時の人は、こういう手段もなく、地面から見上げることだけを想定していればよかったのに、それでも、見えないところの作品でも、近くから見ても大丈夫なような完成度のものをちゃんと置くって言うのは、すごいですよね。コストを考えたら、絶対にできないことだと思うんです。教会建築所以ですかね。

見えないところもきっちりしっかりしているから、全体に美しくなるのだろうし、細部が見えなくても、やはり美しさは伝わるものなんだとは思いますが。




そして、忘れてはならないのが、これ。




人の手による美しさをさらに引き立てる、自然の美。
このパノラマは、息をのむ美しさです。この見晴らしのよさだからこそ、ここに城が建てられて理由がわかりますが、敵が迫ってきたら、丸見え。どっちも怖いですねぇ。

続きます。

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  1. 2016/06/28(火) 06:22:47|
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10年ぶりに会う君に、ドキドキ(ロアーレ城)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その1

いやはや~!時のすぎる速さに茫然、というか、自分の怠惰一直線に茫然としております。
実は、先週末、来る7月の夏休み第一弾のため、やっとレンタカーの予約などをしたところなんですけれど、そのタイミングで開始するシリーズが、2015年7月のスペイン修行旅、とは…。
もちろん、この一年、いろんな場所へ出かけていましたけれど、一年前の旅のレポートもアップできないほど出かけているわけもなく…。

誰のためでもなく、自分の記憶流出を食い止めるよすがとしてのブログですが、もはや、その役にも立たない状態になり下がりつつあります。とはいえ、最近は、自分の過去ブログで、各情報を得ることも多く、やはり記録というのは、何らかの役に立つものよ、と覆っているので、せいぜい記憶が残っているうちに、やっぱりまとめていきたいものよ、ということで、一年前の旅を、振り返ります。ちょっと情けないな。一年前に、ブログの書庫にも、アラゴンとか作ったのに、ずっとカラのままでね。

この旅では、ミラノからサラゴザZaragoza空港に入ったので、必然的に、アラゴンから開始です。というのも、到着は夕方で、初日は、さほど遠くへは移動できないスケジュールだったので、とにかく時間逆算状態で、行程を決めざるを得なかったのです。

どうしても訪ねたい場所を翌日にすると、選択肢は、ウエスカまたはロアーレ泊まり。ここは結構悩んだのですが、以前はちょっと端折り気味のガイド・ツアーでしか訪ねていないロアーレ城に惹かれるものがあり、そちらを優先しました。

しかし!
飛行機を一番に出たのに、レンタカー会社がどこにあるかわからない。バウチャーに指示された駐車場に行っても、何もないのです。また空港ロビーに戻ったりなんだりしたものの、やはりそこで待つしかない、つまり、空港にオフィスのないレンタカー会社らしい、ということがやっとわかり、仕方なく駐車場に戻り、しばらくすると、他の人たちもやってきました。
待つ人が10人近くになったところで、やっとレンタカー会社のミニバスがピックアップにやってきました。
飛行機の到着が15時50分。ロアーレ城までは、順調に行って1時間40分。城のオープン時間は20時まで。という制約があったので、本当に焦っていました。見学に1時間はほしいから、遅くとも19時にはたどり着きたい。そのためには、自分の運転を考えると、どんなに遅くても、16時半過ぎには出たいと思っていたのに、端から躓き。
それでも、幸い一番に受付ができたので、何とか17時ピッタリに、レンタカーオフィスを出発することができました。

おそらく、10年ぶり。最初に訪ねた時は、無計画行き当たりばったりだったし、今ほどきちんとロマネスクを追っているわけではなかったのですが、圧倒された記憶があります。それはお城と、場内にあるロマネスクの教会もそうなんですが、特に、ロケーションが印象的でした。




そんなことを考えながら、順調にドライブをしていたら、目の前の丘の中腹に、お城が見えました。感慨深いです。
10年前は、ふもとにあるAyerの町経由で、アクセスしたのですが、今回はウエスカ寄り、手前の道から起伏のある土地に入り込んでいるので、若干違う道となりました。
それにしても、10年、やはり変わるものです。
当時も道はきれいだったのですが、結構な坂道なのに、ガードレールも何もないぐるぐる道で、相当怖かったのをよく覚えています。そして、お城周辺には、海の家のようなバールが立っているだけで、駐車場なども整備されていなかったように記憶しています。
今では、立派な駐車場が完備。




今回のレンタカー、フィアット500。かわいいし、運転はしやすいし、一人旅にはピッタリのコンパクトさで、気に入りの車種です。

かつて、掘立小屋状態だったバールは、立派なビジターセンターになっており、ここでチケットを購入するシステムでした。




ドキドキしながら、お城に向かいます。




ロアーレ城Castillo de Loarre

こういうときのドキドキって、建物を訪ねるというより、人と会うような、そういうドキドキと同じ。そして、再訪というのは、初回とはまた違うドキドキです。がっかりして、来ちゃいけなかったんだ、と思うことも多いですからね。
幸いなことに、そういう心配、ここでは全くの杞憂でした。




一歩一歩お城に近づきつつ、そういえば、パノラマすごかったよな、今もすごいな、なんて、立ち止まったり。




なんか一気に近づくのがもったいないような気もして、どうしても、踏みしめるようになっちゃうんですよね。
とはいえ、見学にどのくらいかかるかわからないし、時間的にすごく余裕があるわけではないのですから、そうそうゆっくりもしてられない。意を決して、近づきます。




この後陣、すごい迫力。ただでさえも背高なのに、岩山の上ですから、見上げるのも大変な高さとなっています。つい、細部を観察したくなる気持ちを抑え、入り口へと向かいます。




すべて、壮大な縮尺なのですが、離れて全体を眺めることのできるスペースがないんですよね。特にこの入り口前は、言ってみたら、岩山に張り出すテラスのような作りで、扉口の前2メートルくらいから先は崖。
こういうロケーションって、トリノの西にあるサン・ミケーレに似ているかもしれません。

早く中へ、と思うのですが、すべてを看過することは無理。だって、地味ながら、かわいい装飾がたくさんあるんです。




大好きなチェッカー模様も、大小組み合わせが面白い。




上の方にある窓の装飾も、結構細かくて、凝っているんです。




きりがないです。




このあたりは、万が一お城がクローズしても、ちゃんと見ることができるんだから、と言い聞かせるようにして、入場です。




扉をくぐると、いきなり、ワクワク感が押し寄せる階段です。
以前訪ねた時は、ガイドツアーで、端折った急ぎ足の見学だったように記憶しているのですが、記録しておくもんですね。
古い記事を、貼ってみます。


続きます。

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  1. 2016/06/24(金) 06:16:36|
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夢の一日を彩る、イタリア的不具合の数々(クリスト、イセオ湖)

このイベントを知った時、まず考えたのは、どうアクセスするか、ということでした。というのも、会場となる村はとても小さくて、世界中から集まる訪問客の車を収容するに十分な駐車場がないのは明らかだったからです。
そんな中、ロンバルディア州のローカル列車会社であるトレノルドが、イベントに向けた一日チケットを売り出したので、それを活用することとしました。なんせ、一日乗り放題で、13ユーロという安さ。

というわけで、日曜日の朝っぱら、7時25分ミラノ中央駅発のローカル線に乗り込みました。乗り込んだ時はガラガラの車内が、出発時には、目的を同じくする人々で、ほぼ満員。検札に来た車掌さんが、すごい人出で、当局はもう来るなって言ってるんだけどね、とお客にか、自分にか、言い聞かせるようにつぶやいた言葉に、乗客一同、どよめきました。

定刻にわずか遅れて、8時40分ごろ、ブレーシャBrescia到着。ここからイセオ湖沿いを北上する、超ローカル線に乗り換える必要があります。ホームに降りて、いきなり驚愕。




すでに、すごい行列です。わけのわからないまま、とにかく最後尾につきました。
電光掲示板では、乗る予定にしていた、9時07分発のローカル線が、すでに10分の遅れとなっていました。会場の村を通るローカル線は、増便をうたっていましたが、通常通り、半時間に1本というスケジュールに変わりがないようです。結局、ほとんど単線のローカル線をいきなり増便するなんて、無理な話で、思うに、通常は2両で走っているところを3両とか4両にする、という程度の話なのではないか、と。
そして、増便などの対策よりなにより、普段ローカルの仕事しかしていない人たちが、こんな世界レベルのイベントに対応できないのは、火を見るよりも明らか、ということだったんですね。

ローカル線は運行していなくても、ミラノやヴェローナから、訪問者を満載した列車はどんどん到着するし、他の手段でここまでたどり着く人も多数で、行列は長くなる一方です。が、遅れはいつの間にか30分まで膨れ上がり、並ぶ人々のイライラも募る一方です。




1時間以上たって、やっとアナウンス。「現在、浮橋は閉鎖されており、再開の可否を当局が協議中。閉鎖中は、列車の運行も停止する」というものでした。
その後、「10時半までは、運行はない」。このあたりから、脱落者が続出。人によっては、タクシーで直接乗り込むなどしていたようです。実際、後ろに並んでいた3人組に、5人まで乗れるからどうか、と誘われましたが、余計なお金がかかるうえに、現地がどうなっているかもわからないわけですから断ったり。でも、後悔したり。今日は、ブレーシャ観光でもして帰ろうか、と相談したり。

10時半も回った頃でしたか、やっと列車への乗り込みが開始されました。
その時には、ずいぶんと前の方にいたので、最初の列車に乗り込むことがかないました。そういう状況であるにも関わらず、みな、比較的お行儀よくて、押し合いへし合いになることもなく、整然と乗り込むことができたのは、意外でした。




小走りで、入り口から遠い車両に走り、乗り込んでからも小走りで、運よく二人分開いている席をゲット。二人ずつ向かい合った、四人掛けの席でしたが、驚くことに、すでに腰かけていたうちの一人が、日本人の方でした。
もう一人は、やはり一人で来ていたイタリア人の女性で、結局この日は、ほとんどの時間を、偶然出会ったこの方々と、ご一緒することになりました。
日本人の方は、なんとニューヨークから来られたということでしたが、イタリアにはしょっちゅういらしているので、このひどいオーガナイズにも、さほど驚かないということでした。すばらしい!

出発したのは、もう11時も回っていたころと思います。立ち見も含め、満員の乗客から、おもわず拍手が起こりました。乗客間にも、妙な連帯感があり、あちこちで、他人同士が、自然におしゃべりを始めるような感じ。トレノルドに文句を言いつつ、和やかっていうか。

本来の予定からは、2時間以上の遅れ。でも、ちゃんと出発できただけで、もううれしい気持ちで、本来の目的をうっかり忘れそうになるような状況でした。

出発してからも、スムーズには進まず、各駅で信じられないくらい長く停車したりの繰り返しで、30分程度でつくはずの道を、倍はかかったはずです。それでも、緑が増えてきて、イセオ湖が見えた時には、歓声が上がりました。

そして、車窓から、遠く黄色が見えた時には、ある種の達成感に襲われてしまいました。




しかし、試練はまだ続くのです。
というのも、この列車は、会場であるスルツァーノには停車しないということだったからです。慌てて調べたところ、先の駅からは3キロちょっとの道のりですから、そこから歩くしかありません。というわけで、やっと列車を後にしたら、今度は3キロ超のウォーキングです。トライアスロン状態。




幸い、曇りで涼しく、時々雨がぱらつくものの、ひどい降りになることもなく、ある意味、快晴よりも、快適なお天気でした。また、車を通行止めしているので、歩きやすいし、湖沿いの道なので、浮橋がどんどん近づいてくるという高揚感もありました。
半時間長のウォーキングで、いよいよ、スルツァーノへ、イン!




村にも、イエロー・ブリック・ロード!感激です。
しかし、試練は、まだ終わってません。
湖への道は、またもや行列に占領されていました。




すごい人なんですが、ここは、ワクワク感が強まったせいもあるのか、さほど待たされた感がありません。1時間はかからずに、どんどんと進みました。と言っても、ジグザグの行列ですから、移動距離は限りなく少ないんですけれど。

いくつもの関門を超えて、ふっと行列がほどけ、いよいよ、核心に迫った感があった瞬間。




細かい状況よくわかってなかったわけですが、実は、この先を右に曲がったら、いきなり入り口だったんです。




え、まじ?という感じで、さりげなく、浮橋に立っていました。
この後は、昨日の記事に続きます。

浮橋でも、さんざんウォーキングを楽しみまして、帰りは、大混雑で、一時島の道で渋滞にも巻き込まれつつ、何とかまた、スルツァーノまで帰還。
またもや、村に作られたイエロー・ブリック・ロードをたどって、駅へ。




村でもまた、布の美しさと、普段の後継とのミスマッチが、実に面白い味を出していました。浮橋とは異なる楽しみですね。




帰りは、スルツァーノの駅から、乗車できるはず。せめても、よかったね、と言いながら、駅に向かったのですが…。
知ってた、知ってたよ、と脱力するような、激しい行列が、展開されていました。




写真では取り切れていませんが、とにかくすごい人です。
その時点で並んだとしても、来た列車に乗れそうもない行列です。これはだめだ、と一駅先まで、また徒歩で戻ることを即決しました。
というわけで、また3キロ強、半時間強のウォーキング開始です。
誰もが、カジュアルな格好をしていましたが、これほどのウォーキングは想定していません。私も、運動靴ではありましたが、あくまで町用の、かかとのある運動靴もどき。同行者たちも、同様で、すでに相当疲れているところに、この最後の3キロは、実に辛かったです。
もうおしゃべりも言葉少なで、でも、少しでも早く駅に着きたくて、道端で休んでいる人、のろのろ歩いている人たちをどんどん追い抜いて、無事、目的の駅、サレ・マラジーノSale Maradinoへ、たどり着きました。

やった!数人が待っているだけです!

疲れ果てて、ベンチに座り込みました。そうしたら、なんと5分もしないうちに、ブレーシャ方面行の列車がやってきたのです!
ええ~、こんな幸運があるだろうか、と小躍りして、乗り込みましたが、停車したまま、動こうとしません。何人かが降りていきます。当初は、疲れに動きたくない気持ちでしたが、さすがに埒が明かないため、降りて、そこにいた車掌さんに尋ねると、なんと、個の列車は、イセオ止まりだというのです。イセオは、ブレーシャの手前なので、そこで乗り換えて、ブレーシャに向かう必要があります。
イセオの状況については、「わからない」。

ホームで思案しました。
イセオで、すぐに乗り換えの列車が複数あればいいけれど、さっきスルツァーノで見た人たちが乗り込んでくるとすると、すごい数の乗客になるはずで、いずれにしても、乗り換えた後は、座れないことは確実。それなら、やはりここで次の列車を待って、座ってブレーシャに行った方がいいのでは。いや、でも、次の列車が、車掌が言ったように、1時間後に来るとは限らないのでは。云々カンヌン。
でも結局、座っていく、という考えにとらわれて、次の列車を待つことにしました。

相当たってから、出発した列車の後、おそらく半時間も待たないうちに、次の列車がやってきたのは、うれしい驚きでした。
計画通り、しっかりと座って、スルツァーノで席を求めて走りこんでくる人たちを、憐れむように眺めていました。疲れたけど、その甲斐はありました。
行き同様、長時間停車を繰り返しながらの運行。

途中、イセオの駅で、かなりの時間停車。ホームには、トレノルドの職員が、鳩首会議?っていうか、とにかくどこでも、こういう感じなんですよね。警察官も、イベントのボランティアも、関係者も、数だけはたくさん動員されているのが認められるのですが、実際に必要な場所、やるべきことがある場所には、誰もいない、という状況。
駅でも、一体何をしているんだろう、というほどの駅職員がうろうろしていて、苦笑いするしかありません。




車中で、ブレーシャからミラノへの列車の時刻を調べていましたが、なんということか、ちょうど、出発時刻ごろに、ブレーシャに到着らしい…。実際、まさに、これに乗れればいいな、という19時25分ブレーシャ初の列車が、お隣のホームに停まっている時間に、こちらの列車もホームに滑り込みました。
最後の頑張り。
走りました!到着したホームを、ずっと走って、階段を下りて、上って、すでに扉を閉じて出発待機している列車の、開いている扉を求めて、気が狂ったように走りました。他にも同様の人が多数いたため、気が利く駅員さんが、カギを使って扉を無理やり開けてくれて、一団がなだれ込むことができました。
なだれ込んだとたんに、出発したので、まさに間一髪でした。

次の列車は、30分後だったんで、助かりました。
この状況で、また30分待つのは、かなりの苦行でしたから。

そして、たちんぼで、1時間半超の列車の旅。これは、幸いにも、この日最後の苦行でした。列車は、またもや遅れましたが、最後の半時間ほどは、席に着くことができ、車窓から、美しい虹を拝むというおまけまでありました。

ミラノ到着は、すでに21時も近い時間でしたか。
それでも、日のあるうちに、帰宅できたのは、奇跡のような気持ちでした。

家の前の公園で、美しい夕焼けに気付きました。




激しい疲れがあったにも関わらず、この時、感じていたのは、満足感だけでした。夕焼けの美しさに、湖の、あの稀有な風景を喚起され、この一日を、心の底から楽しく反芻することができました。

しかし、筋肉痛、まだ続いています。トータルで、14キロ近く、歩きました。げろげろ~!それも、飲まず食わずです。これを、苦行と呼ばず、何を苦行を呼ぶか、ってとこですね。

それでも、ぜひ多くの人に、体験してほしいと思います。本音を言えば、実は夜間に、もう一度行きたいのです。でも、あの行列を繰り返す元気は、ほとんどない…。

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  1. 2016/06/22(水) 06:21:35|
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クリスト~!夢のような一日!イン・イセオ湖

まさか、こんな日が来るとは!
というのも、ちょっと大げさ?いや、でも実際、そういう気持ちなんですよねぇ。

今まで、一度たりともライブ参加のできなかったクリストとジャンヌ・クロードのインスタレーションが、イタリアに来るっていうだけでも、信じられない喜びなのに、それが、自宅から日帰りで行ける場所だなんて、こんな素敵なことが起こるとは、正直、夢にも思っていなかったことです。




知ったのは、ほんの数か月前。それなりに、アート的な話題にはアンテナを張っているし、展覧会情報についても、フォローしている私にしてその程度ですから、当初、相当地味な取り扱いだったのだと思うんです。
それが、会期が近づくにつれて、徐々にメディアへの露出が増え、会期直前には、全開状態で、毎日、設営の進捗状態がニュースで流されるというありさま。
いや、これにはびっくりしました。
さすが、いつだってぎりぎりで帳尻を合わせるイタリア、面目躍如というところでしょうか。

おそらく、クリストを知らない人もいっぱいいたと思うんです。現代アートは、好きな人はめちゃくちゃ好きだけど、結構その数が限られるところがありますし、ビエンナーレにしても、リピーター中心っていう感じが強いんで。でも、この、ほんの数週間で、今のイタリア、特に北部イタリアで、クリストの名前を知らない人は激減したのでは、と思われるほどの普及ぶり。恐るべし、です。




Christo and Jenne-Claude
The Floating Piers
Sulzano - Monte Isola, Lago di Iseo
18/06/2016-03/07/2016 24/24

この、非常に限られた期間、イセオ湖に浮橋がかけられて、歩いて、島の中にある小島にわたることができるイベントです。
トップの写真の、手前左側にあるのが、アクセスのあるスルツァーノという村。そこから、中の島であるモンテ・イソラへかけられた浮橋は、島の道を経由して、さらに小さな島、サン・パオロ(写真、左上部)へと、続いています。
全長3キロほどの浮橋。みかん色と黄色の混じった美しい色の布で、全体が包まれています。




わたしは、いつ頃なのかよく覚えていませんが、パリのポンヌフをくるんだ作品で、クリストを知ったように思います。もちろん、後付けで写真を見たものだと思うのですが。
気になってはいても、作品を求めて移動するというアイディアがなかったのですが、いま思えば、ベルリンなどは、行くべきだった、と、まさに、この浮橋を体験した今だからこそ、今更ながら感じております。

想像はしていたのですが、彼らの作品は、姿を見るだけでは、絶対に伝わらないものです。もちろん、本物を実際に見る、ということの重要性は、どのような作品であっても、間違いなく大切な、そして、作品の理解には欠かせないことであろうと思いますが、普通に、個として存在する作品に比べると、このクリストとジャンヌ・クロードの作品は、現場に身を置く、感じる、触れる、ということが、さらなる重要性を持っているように思うのです。
というのは、彼らの作品は、それがおかれる土地と一体化しており、設置された土地なくしては、作品自体が成り立たないという性質のものだからです。その土地の凸凹や、風の通り方や、日のさし方、漂う香り、そういったすべてが作品の一部になっているから。

写真や映像で、作品そのものの姿はわかっても、そういうマージナルな要素は、やはりその場に身を置かなければ、決してわかりえないものです。




そういう風に考えると、なんという壮大なぜいたくな作品であることでしょう。だからこそ、そこに立つことができたということで、本当に幸せな気持ちになることができました。




浮橋なんて、大丈夫なんだろうか、これだけの人が押し寄せて、安全性は?と一瞬思ったりしたのですが、実際は、杞憂に過ぎず、構造物は相当しっかりとしています。幅も、16メートルもあり、端っこによるのは禁止されていますが、これだけの人出でも、かなりゆったりとしたスペースがありました。
ただ、揺れるんです。湖ですから、かなり穏やかな湖面なのですが、ちょっとしたさざ波でも、浮橋はすぐに反応しますから、船に乗っているような感覚になります。船酔いしやすい人は、結構やばいかも、というくらい。

そのために、風が強くなると、すぐにアクセス禁止となります。




私が訪ねた19日も、お天気が悪いこともあり、絶えず風があり、結局サン・パオロ周辺部は、アクセスが禁止されていました。
そのおかげで、このように素敵なバージン・サン・パオロを撮影できたので、よし、です。




クリストが推奨していたように、はだしで歩いていました。
橋そのものは、発泡スチロールのような素材のキューブを組み合わせてあるため、組み合わせた部分が凸凹しています。布も、あえて、よりが出るようにかぶせてあるのではないかと思うのですが、だから、ちょっと注意して歩く必要があり、はだし、または、運動靴が推奨されています。




布は、吸水性に優れていて、雨でぬれても、あっという間に乾くのは、驚異的でした。尼にぬれると、オレンジが強くなり、乾くと黄色が強くなる。そして、乾きにくい重なり部分にオレンジが残り、他は黄色になるという面白さ。




そしてまた、単純に、本来あるはずのない道があるはずのない場所にあり、当たり前のように歩いている人がいるというその姿のミスマッチが、自然の中で、意外にも自然に見えてしまうこと。
曇り空であっても、わずかにある日を、美しく反射する水の美しさ。




すべてが計算されて、その通りに実現された作品。驚異的です。
本当に満足しました。

しかし!
オーガナイズがひどすぎました。
電車は動かない。インフォメーションはない。
ちゃんと見学できて、日のある時間に帰宅できたことが奇跡的に思えるような、そういうひどいありさまで、ここは、腹立たしいというよりも、あきれるレベルでした。
それでも、帰り道、友人との話は、作品の素晴らしさにつき、愚痴や文句が出てこなかったことは、自分でも驚きでしたが。

その、ひどかった話、また予期せぬ面白い出会いなど、続きで。
ニュースなどで、週末を避けろ、お天気に注意せよ、など、いろいろと行く気を押しとどめるような発言が多くなっていますが、会期も短く、今しかないのですから、とにかく、行くべし!です。クリストの次の作品が、いつどこであるか、またあるかどうかも、わからないのですから。

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お食事と、サウンド・オブ・ミュージックごっこ

アルト・アディジェ、春のグラッパ合宿番外その1 食事編

この頃仕事が妙に忙しくて、帰宅するとぐったり。そのまま、サッカーのヨーロッパ・カップのテレビ観戦になだれ込んでしまって、再びブログ更新が滞っております。

とは言いつつ、すでに懐かしい状態(つまり忘却の開始)になりつつあるグラッパ合宿。次回のためには、やっぱり番外もまとめておきたい。
ということで、恒例の食事編です。

最初のお昼は、快晴のカッチャトーラ。たまたま同じようなスケジュールで、同じような土地にいたもので、昨年、たまたま発見したレストランの再訪となりました。




La Cacciatora
Via Cane' 133 Mezzacorona (TN)
www.lacacciatora.net

ここって、高級な、それなりのお店だったんですね。お値段は、田舎のわりには安くないのですが、お味はいいし、サービスが素敵なんです。べたべたせず、程よく、必要なサービスがしっかりあるっていう。

オーダーしてから気づきましたが、各人、去年とほぼ同じような内容になっちゃって。結局、好きなものは決まっているっていうやつですね。
私の好きなものは、これ。




カネデルリ。この地域に来たら、一度は食べたいお皿なんです。でも、必ずしもどこでもあるわけではないので、見つけたらいただく。というわけで、昨年は、チーズにまみれたタイプでしたが、今回は控えめにブロードで。
一見、軽そうで、これだけじゃ足りないでしょ、って感じなんですが、意外や、この一皿で、満腹になっちゃうんです。

友人の頼んだ、海の幸のパッケリ(巨大マカロニ)も、おいしそうでした。




アルト・アディジェの山の中で海の幸。でもこういうちゃんとしたレストランなら、今はそういうミスマッチも、十分ありとなりました。
それにしても、パッケリは海の幸が合うんですね。出汁がうまくしみるのかな。

去年は、このあたりの名物デザート、アップル・シュトゥルーデルでしめて大正解でしたが、今回は、デザートは今一つでした。メニューは増えていたので、もしかしてパティシエでも雇ったかと期待したのですが、かなり田舎デザート風で、見た目もいまいちなら、お味も、ちょっと残念でした。

一日目に宿泊したのは、ドロミティの山塊が目の前に迫るホテルでした。




ホテルは、かなりダサいし、その割にお値段は高いので、あえて紹介はしませんが、ロケーションは、よかったです。
夕食は、近所のチロルっぽいレストランで、肉山盛り。四種の肉の切り身グリル盛り合わせだったんですが、芋も含めて、すごいボリューム。ただグリルしただけのお肉ですが、おいしかったです。
こんなに肉を食べたのは、実に久しぶりでした。




Zum Woscht
Santnerstr. / Via Santner 8
Sei am Schlern / Siusi allo Sciliar (BZ)
www,zumwoscht.it




ほろ酔いの帰り道。月明かりに、遠くの山頂を覆う雪が輝いていました。ほんの数日前、下界では雨でしたが、あのあたり、おそらく千メートルを超える場所では、改めて雪が降ったのでしょう。

翌朝、朝ごはん前に、裏山を散歩しました。
ホテルの窓からの眺めがこんな感じで、一人でサウンド・オブ・ミュージックごっこをやってみたくなったんです。




牧草地の広がっている斜面の先に、玉ねぎ頭の小さな教会がありましたので、それを目標に、牧草地を横切る小道を発見して、たどることにしましたが、びっくりするほどの野生の道。




犬のお散歩をしている人も致し、一応ハイキングコースともなっている道なのですが、今朝、ちょとだけ草を踏んづけて、道筋作りました、程度の状態なんですよ。
きっと、緑が一番元気な時で、毎日どんどん伸びちゃうんでしょうねぇ。
野生の花もたくさん咲いていて、とても気持ちがいいです。

時々、後ろを振り返ると、ドロミティが朝日を浴びて、美しさを増していきます。




Siusiの村の全貌がわかりました。
それにしても、思ったよりも距離があり、勾配もきつく、また朝露で、足元はびしょびしょ。帰りが怖くなったので、結局、教会にはたどり着けないまま、引き返すことにしました。




最後の小道は、さらに獣みちっぽかったです。

二日目のお昼は、時間がぎりぎり、という状況で、レストランを探してうろうろした挙句、なんだかいきなりクジャクに遭遇したり。




きれいなもんですよねぇ。それにしても、クジャクって、結構飼われていますね。こう見えて、意外と飼いやすいのかなぁ。繁殖とかもできちゃうんですかね。
迷った挙句、何とかたどり着いたレストラン。




なぜか、山の中のテニス・クラブの、クラブ・レストラン。

Steakhouse Restaurant
Tennis Gerhard - Pircher Manuel KG
Gampenstrasse 1/b, Tscherms

ここは、半端なくすごい盛りで、茫然のお皿でした。いきなり、こんなフライパンが出てくる。




家でも、こんな大きなフライパン、一人では使わないサイズです。蓋を開けたら、満杯。




普通の感覚だと、大もりで二人分はありました。それでも、少なめの盛りにしてくれたのですよ。ありえない。そのうえ、私はアスパラガスのタリオリーニを頼んだのに、なぜかエビでした。時間もぎりぎりだから、文句も言わず、いただいたのですが、友人のお皿が、うらやましかったかも。




ちょうど、アスパラの季節。この地域は白アスパラの産地ですから、アスパラと言えば、すべて白アスパラみたいでした。ミラノでは、アスパラと言えば緑で、白は、別格ですが、さすが産地。そして、なぜ、そこでエビを食べなければならないのか。涙。

完食はもちろん無理だったのですが、もったいない病で、結構詰め込んでしまって、夜になってもおなかが減らず。フォルストでの、軽いビール飯、ちょうどよい夕食となりました。







また、拡張しているようでした。生産量、増えているんだろうな。例によって、素敵なお店です。




出来立てのビールを、プレッツェルや、ドイツ風のサラダ、ソーセージで、楽しみました。




いろんな種類を楽しみたかったので、小さめのグラスで、順ぐりに違う種類を試しました。一番小さいのは、0.2lで、グラス2ユーロと、良心的ですね~。どれもおいしい。ビールを飲むのも久しぶりですが、フォルストの出来立ては、格別な感じがしてしまいます。




みんなが幸せそうなのも、いいですね、こういうお店は。
ということで、結構地味な食事編でしたが、それなりの満足感はありました。普段食べないお肉を満タン、なんていうのも、悪くないです。

次の番外は、アート寄り道編となります。

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2016年4月および5月に読んだ本、備忘録

5月に、ミラノ恒例の本の市があり、かなり大量に日本語本をゲットしたのですが、とにかく読むのが遅い。というわけで、この時期も、量は少ないです。
でも、少ない読書量ながら、予期せぬ出会いもあり、やっぱり、少しでも興味がある本は、購入しておくもんだ、といううれしい喜びもありました。

「よその子―見放された子供たちの物語」トリイ・ヘイデン(早川書房)
「日々平安」山本周五郎(新潮文庫)
「七人の証人」西村京太郎(実業之日本社)
「おろしや国粋夢譚」井上靖(文春文庫)
「夢見の旅人」ジェイン・アン・クレンツ(二見書房)
「夕やけ小やけでまだ日は暮れぬ」佐藤愛子(角川文庫)
「水の中のふたつの月」乃南アサ(角川文庫)
「ピリオド」乃南アサ(角川文庫)
「聖断」半藤一利(PHP文庫)
「白銀ジャック」東野圭吾(実業之日本社)
「花の鎖」湊かなえ(文春文庫)

買っといてよかった、という喜びは、「聖断」です(いつ買ったのかも覚えておらず、かなりの期間、積読になっていました)。

近代史にまったく弱い私にして、これは、第二次世界大戦にかかわる、昭和天皇と、首相、鈴木貫太郎を物語るノンフィクション。自分の世代の、左寄りの人間は、天皇とか日の丸とか君が代に対して、一歩引けてしまうところがあると思うのですが、それでいて、昨今、最も戦争反対や平和を、積極的に口にしているのが現行天皇であるという現実に、戸惑うものがあるわけで、そういう戸惑いを、多少なりとも、すっきりとしてくれたっていうか。
今の天皇は、昭和天皇の、戦争に対する忸怩たる思いを、しっかりと受け止めて、発言されているということなんですね、たぶん。

どんな組織であっても、トップが重要なのは同じ。それが、会社であれ、国家であれ。
今、個人的矮小レベルでいえば、自分の職場の、一部の使えないトップの人たちの、明らかに間違った政策の下にいても、結局下々のものは、トップの政策に従って、右往左往するほかない、という現実に生きていて、そういう視点からみると、国家的レベルであっても、結局そういうことで、下々がいくら何をどうしようと思っても、トップの決断に従う以外はない、という現実が、初めてわかるっていうか。戦争時でも、結局そういうことだったんだろうな、と。

一方で、トップにいたからといって、誰もがやりたいようにやりたいことをできるわけでもないわけで、そういう不自由な中で、国家というマクロな未来を、より良いものにしていきたいというだけを目的に戦った、そういう一人が、鈴木貫太郎であり、昭和天皇であった、という、まぁ、そういうノンフィクションだったわけです。

ノンフィクションくくりでは、大黒屋光大夫の人生を物語る「おろしあ」もまた、面白かったです。ロシアに漂着して、苦しい異国の生活の後、日本に帰国しながらも苦労する一生。異国に暮らすだけに、何か、身に迫るものがあるというのか。

ノンフィクションの凄みを感じた読書でありました。
とにかく、興味があるとかないじゃなくて、選挙には行ってほしいよね。
なんだかわからんけど。

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果物攻め~!Mela cotogna=マルメロって、初めて知ったよ~!

アルト・アディジェ、春のグラッパ合宿その3

ドロミティの懐に入り込んだのは、この蒸留所を訪ねるためでした。




Zu Plun
St.Valentin 9, Kastelruth
www.zuplun.it




ドロミティはシウジの、素晴らしい山が見晴らせる、実に絶好のロケーションに、自宅(たぶん)兼蒸留所がありました。




建物も、昔ながらの木造建築で、結構時代が入っています。
倉庫みたいな蒸留所は、妙にオサレ空間。




ご当主がお留守ということにも関わらず、門は快く開けてくださったのですが、驚くことに、接客に出てきてくれたのは、息子さん。




あろうことか、現役高校生、17歳!それも、かわいい!
しかし、しかしですよ、アルコールを摂取してはいけない年齢の子供に、グラッパの説明をされるとは~!許されるのか?

それはともかくとして、そういうサプライズも含めなんだかちぐはぐな蒸留所ではありました。

この蒸留所、蒸留所近くでホテルを経営しているということで、実はそれを知って、わざわざそのホテルを予約していた我々。喜ぶかと思い、早速、今夜はホテルに泊まられてもらいます、と言ったところ、「あれは、2年前に売却して、今は、もともと父親が趣味でやっていた蒸留一本です」と。ガーン。
そのホテル、高かったんですよ。でも、蒸留所のホテルなら、食事もよいだろうとか、いろいろ特典もあろう、とか、そういうことを考えたりして予約したのに、端から無意味に!
その上、なんだって?趣味でやってた蒸留所を、それだけで食べていこうと?
うーん、なんだか胡散臭いんじゃないか?

とにかく試飲だ、試飲。




ということで、他の蒸留所同様に、地域のブドウ種によるビアンカから、バリックしたリゼルバまで、一通り、飲ませてもらいました。




しかし、どれをいただいても、アルコール度40度とか信じられないくらいにがつん!と来るのでびっくり。製法として、「砂糖を使わない、混ざりけなしで作る」、ということを自慢していたんですが、砂糖は、アルコール感を和らげて、飲みやすくする作用を担っているようなんですよね。この前に訪ねた蒸留所でも、砂糖はできる限り少量しか使用しないとおっしゃっていましたが、その少量が、味わいを、気が遠くなるくらい違うものにするらしいです。
ということが、わかりましたね。

グラッパは、ワインなどに比べると、製法の規制がゆるゆるですが、数少ない規制の一つとして、砂糖は、20グラムまで使うことができるというものがあるそうなんです。何リットルに対して20グラムだったのか、忘れちゃいましたけど、笑、この前に訪ねたPilzerでは、3グラム使うとおっしゃっていましたね。
使え、どんどん使ってくれたまえ、と思ってしまいました。
口に含んだ時、まずアルコールがつんでは、ブドウの味わいや香りを感じることもできないです。まぁ、これも好みということなんでしょうか。

ここの製品は、その上に、お値段も高めで、ちょっといただく気になれず、1本も購入できず。唯一いいと思ったのが、上の写真の左端に写っている黄色いやつ。
これ、ウィリアムズと、なんだったかなぁ、レモンか?柔らかくて飲みやすくて、これはいけましたが、まだ製品化していないということでした。製品化するとしたら、30ユーロくらい、と言っていたので、いずれにしても、購入は見送ったかも、だけど、アフターに残る香りが、とてもよかったです。

お父さんが趣味で始めたという割に、このぼくちゃんは、かなりやる気みたいで、将来は期待できるかもね。農業高校に通っていて、跡継ぎ意識、すごかったです。若いのに、すごいなぁ。

もひとつは、メラノ近郊となるマルレンゴにある、おなじみの蒸留所です。




住宅地にある蒸留所。
Distilleria Unterthurner Srl
Via Anselm Pattis / Anselm Pattis Strasse 14, Marlengo/Marling (Merano/Meran)
www.unterthurner.it info-dist@unterthurner.it

おなじみといっても、昨年初めて訪ねたんですけれど。
昨年は、クローズ直前に滑り込みだったんで、それでも親切なお店の人は、嫌がりもせず試飲はさせてくれたんだけど、やはり気がせくし、申し訳ないしで、結局落ち着かないままに1本だけ買って帰ったのです。
今回は、昼前の余裕の時間でしたから、まずはゆっくりと店内を見る時間もありました。




品ぞろえは豊富です。グラッパのほかに、瓶詰の食品も、結構いろいろ並んでいるお店です。
去年もお世話になった女性が、早速試飲を用意してくださいました。




ここでは、迷わず果実を所望しました。この店、果実のアクアヴィテの種類が、半端ないんです。おすすめ通りに試飲します。右から、野生のプルーン、Gewurtraminerのグラッパ、野生マルメロ、野生の梨。すべてビアンカです。そして、正直、すべておいしい…!

この方が、接客をしてくれる女性。お名前は、失念してしまいましたが、とにかくエネルギッシュで、自分たちの製品を愛していて、プレゼンテーションも客あしらいも、満点です。




バリックしたプルーンと、やはりバリックしたラズベリー。ラズベリーは、口中に香りが広がって、グラッパというより、果物そのものという感じ。
ラズベリーは、違いを味わうため、あえて、ビアンカも試飲させてくれたのですが、ビアンカの方が香りは強いけれど、味わいはボケる感じで、これは、圧倒的にバリックの勝ちでした。




結局、最初に試飲させてもらったビアンカの中から、マルメロ、梨、そしてGewurztraminerのグラッパ、と3本を購入しました。どれも20ユーロ前後で、お味から行くと、お買い得感が高いです。それに、うれしいことに、ミニマムボトルを、お土産に3本もつけてくださいました。
今回の合宿から戻ってすぐ、昨年購入した1本、それはラグラインのビアンカだったのですが、すぐに開栓してしまいましたが、やはりおいしかったです!

今回、グラッパ蒸留所は、これでおしまい。最初に書いたように、途中車のトラブルに見舞われたため、時間がなくなってしまったのです。
でも、6本の購入は、半年分としては、ちょうどよい分量なので、たまには、これでよいでしょう。

ただし、おまけがあります。




Puni Distillery
Via Muhlback 2, Glorenza, Val Venosta

イタリア唯一らしい、ウィスキー蒸留所です。
木とセメントを組み合わせた不思議な建物は、ちょっと日本の建築家の作品では?と思わせるたたずまいですね。
何もない田舎に忽然とあるので、ひどく目立っています。




見学ができないことはわかっていたのですが、試飲はさせてもらえるということで、わざわざ訪ねました。スイスとの国境にもかなり近い場所で、数年前南チロルのロマネスク巡りをしたときにも、通過した場所です。




ウィスキーについては、まったくわからないのですが、なかなかおいしかったです。ただ、高すぎで、とても手が出ません。っていうか、同じ値段なら、スコッチ買うかな、ってところです。

団体客を多く受け入れているせいもあるのか、接客のお姉さんは、とっても感じがよかったです。




ドイツ語圏の人なので、イタリア語は下手でごめんなさいね、ということでした。南チロルでは毎度のことですが、ここがイタリアであることを、簡単に忘れることができます。不思議な土地ですよね。

ということで、今回の蒸留所巡りはこれでおしまいです。
収穫が少ないのは、やっぱりちょっと寂しいけれど、これまでためにためているボトルを、少しは整理できるかもしれません。

合宿中の関連記事、続きます。

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  1. 2016/06/10(金) 06:23:45|
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例によって、昼飯前から、やります!

アルト・アディジェ、春のグラッパ合宿その2

ヴェローナ近郊で、友人と無事合流し、いざ出発です。最初の目的は、トレントから、ボルツァーノに向かう高速を、途中でわきに入った、ドロミティの玄関口のような場所となります。
前回の記事に貼った、手書きのノートではわかりにくいので、地図を貼ってみます。




位置関係をわかりやすくするために、トレントまで入れてみましたが、目的地は、写真の上の端っこ近くにある、ファエドFaedoという村です。
高速を外れてすぐ、かなりの坂道をぐんぐんと上り、あっという間に数百メートルの土地にたどり着きます。




Azienda Agricola Pojer e Sandri
Via Molini 4, 38010 Faedo (Trento)
tel 0461650342
www.pojeresandri.it
info@pojeresandri.it

地元では結構有名な醸造所兼蒸留所らしいです。
PojerさんとSandriさんという二人の友達が、よいワインを作ることを理想として、1975年に立ち上げた会社。
山の中らしく、木造の建屋ですが、入り口は自動ドアになっているなど、モダンな現代テイスト満載の、スタイリッシュな試飲所となっています。

最初に接客してくれたのは、とてもかわいいお嬢さん。説明も明確。




棚に並んでいるのは、ワインとグラッパ。カウンターには、プライス・リストも置いてあるので、困惑する必要もなしで、説明を聞くことができます。

せっかくだから、とワインの試飲もさせてもらったところ、とても重厚な白、おいしかったです。でもお値段は高めなので、気軽に買う気にはなれませんでした。
そこで、Pojerさん登場。




とても気さくなおじさん。
おすすめのグラッパを、適当な順番で、惜しげなく試飲させてくださいます。
このあたりで多く作られる、私好みの白ブドウ、Muller Thurgau、そして、やはりこのあたりの代表的ブドウ種Traminer、そして、自慢のZero Infinito(無農薬系)。




ここまでは、0.5lで26.40ユーロと、高いけれど、何とか買えるお値段ですが、最後に、飲ませてくれたこちらは、なんと46.10.ユーロ!




Acquavite Divino。
これは、グラッパではなく、ブランディという位置づけ。98年産を、樫の樽で10年寝かせた逸品です。
するするとのどを下っていく感触は、ベルベットのようなっていうか、さすがにおいしかったです。でも、このお値段は、ちょっと払えませんし、今回の第一の目的は果実なので、パスしましたけれども。
それにしても、こうなると、グラッパというよりは、ブランディ、コニャック、ウィスキーの世界に近いですから、ちょっと違うものになります。最初こそ、柔らかくて飲みやすい熟成系から入りましたが、最近の私は、「熟成していないものにこそグラッパのおいしさがある」派ですから、実は、熟成系は、あまり興味もないのです。
おいしいけどね。

一発目としては、感覚的にはちょっと高めだったので、Traminer1本で、引き上げることとしました。そうそう、今回は、あまり買いすぎないことも、誓っておりました(いつも誓いつつ、買ってしまっていますが)。

次に向かったのは、さらに山の方に、一山超えたあたりにあるFaverファヴェールという村です。




Distilleria Pilzer Srl
Via Portegnago 5, Faver (Trento)
tel 0461683326
www.pilzer.it info@pilzer.it

村から結構外れた道沿いにある地味な建物ですが、蒸留所のホールは、山を見晴らすガラス張りで、素敵な雰囲気でした。
出てきてくれた方は、最初、気の弱そうなイメージだったのですが、説明を始めると、とても生き生きと情熱的で、楽しい時間を過ごさせていただきました。
ご兄弟で経営しているということです。




生産者さん、どの方もそうですが、やはり自分の製品に自信があられるのでしょうね。惜しげなく、いろいろと試飲させてくださいます。時として、試飲ちょっぴりだったり、あまり積極的じゃなかったりするところ、特に大手の生産者さんに多いですが、こちらとしては、やはりそういう生産者さんの方が、印象がいいですね。

こちらでは、32種類ものグラッパ/アクアヴィーテがあるということで、次々と。




まずビアンコ(バリックしていない、本来のグラッパ)で、地元のブドウ種中心に、Schiava、Muller Thurgau、Traminer、Moscato Giallo。ん、どれもおいしい。

ここでも、最後はブランディ。




果物をどこでどうやって調達するか、というようなお話を、興味深く聞くことができました。この地域一帯は、リンゴを中心に、果物の産地でもありますが、必ずしも、この地域の果実を使っているわけではなく、いいものを求めて、あちこちから仕入れているということで、びっくりでした。
例えば、最もグラッパに使われる洋ナシのウィリアムズは、この地域さんは最高品質だけど、量が少ない=高い、ピエモンテ産のものは、いまひとつで、フェッラーラ産も多く流通しているけれど、甘みのわりに香りが少ないとか。

また、全体に柔らかく飲みやすくするために、砂糖を使うことが許されているけれど、自分たちは、最低限の3グラムのラインを超えないようにしているとか。
きっちり勉強してないし、話を聞いてもすぐ忘れちゃうんですが、今回、わかったことは、この砂糖への取り組み方が、最終製品の、大きな違いとなっているということ。砂糖が少なすぎると、アルコールが、ガツンとしてしまって、香りを味わう繊細な楽しみがなくなってしまうようです。

最後にお値段を聞いたところ、かなりリーズナブルだったので、SchiavaとMoscato Gialloの2本を購入(それぞれ、0.5リットルで13ユーロ)。Schiavaは前回もあちこちで試飲のチャンスがありましたが、Moscato Gialloは、あまり飲んでなかった気がします。今回は割と多く試飲できました。なんとなく、我々の側の好みが反映されるのか、それとも、との年ごとに、生産者さん側の都合で、売れ筋を変えるのか、年によって、試飲させてもらえる種類に、どの生産者さんでも同じ傾向があるようで、面白いです。

ここでは、100mlの小瓶が、3ユーロと非常にお買い得だったので、お土産用に購入。こういう良心的な値付けの生産者さんは、デイリーユースにありがたいです。




かなり満足して、辞去しました。

ちなみに、こちらでは果実のアクアヴィーテをたくさん作っていたので、実は最後に二種ほど試飲させてもらったのですが、いま一つでした。
昨年は、おいしい果実のアクアヴィーテに複数巡り合い、それで、今回は果実目的だったのですが、果実のお酒は、意外とどこでもおいしいわけじゃない、ということが、わかってきました。
どこのでもそこそこおいしい、くらいに思い込んでいたのですが、昨年が、たまたま運よく巡り合ったのだ、ということが分かりました。
毎年勉強です。どうでもいい勉強ですが。

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まさかのアクシデントで開幕、春のグラッパ合宿!

アルト・アディジェ、春のグラッパ合宿その1

今年もまた、春のグラッパ合宿、敢行しましたので、ちょっとだけ成果をまとめときたいと思います。

ロマネスク修行旅は、見たいものを追求するために、一人で計画を立て、一人で移動や宿の手配をして、実際の旅も求道者状態で、頼れるのは自分だけ、と、大げさに言えばそういう旅となるのですが、このグラッパ合宿は、その対極にあります。
というのも、具体的な計画も、宿の手配も、運転も、すべて同行者の方々が手配してくださるので、私は、ただのツアー参加者。
合流地まで自力でアクセスさえすれば、後は、ヒト様の車に乗り込んで、ゆったりと車窓を楽しみ、蒸留所に到着すれば、能天気に試飲を楽しむのみ、という、大変大名気分の旅となります。

あまりに人任せにしていて、いつも、具体的に、どこを回っているのかすら、正確にわからないまま、合宿が始まって終わってしまう、というありさまで、今回、それもどうよ、と思いまして、せめて、移動した土地くらいは把握しましょう、と、こんなものを製作。




紙面の都合で、実際の地図とは、縮尺や方向がめちゃくちゃとなっていますが、自分でも、初めてちゃんと、移動したルートを把握することができました。

春の合宿は、東方面で、昨年に引き続き、トレンティーノ・アルトアディジェ、それも、限りなくアルト・アディジェ寄りが目的地です。
昨年の旅で、自分にとって発見だった、果実のアクアヴィーテの購入が希望でした。




例によって晴れ女ぶり全開。
前日まで、数日にわたり大雨が続き、週末もだめだろう、と言われていたにも関わらず、朝から超快晴。
そして、合宿の金土日が終わった月曜日は、再び雨になるという状態でした。恐るべし、晴れ女、です。




しかし!
今回は思わぬアクシデントに見舞われてしまいました!
なんと、二日目の朝に、突然車から異音が…。
結果的には、最寄りの町まで何とか走り、その町の修理屋に車を預けて、そこからはレンタカーでの移動ということとなってしまったのです。




そのために、予定が狂い、いつもの合宿に比べると、訪ねることのできた蒸留所の数は、かなり限定的になってしまいました。
でも、もっと悲惨な事態は、いくらでもあり得る状況だったので、せめても、こういう形で合宿が続行できたことを感謝です。




とにかく、お天気に恵まれたおかげで、美しいドロミティの風景を堪能できただけでも、週末旅行としては、有り余るほどの気分転換ですから。




ゲットしたのは、6本プラス、お土産用の小瓶。




ということで、中世の箸休め的、グラッパ合宿レポート、開始します。

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サルデーニャごはん!平均すると、ちょっとしょぼめか?

サルデーニャ、ミニミニ修行旅、番外編。

毎度おなじみ、番外のごはん編です。

待望のサルデーニャ料理だというのに、このミニミニ修行では、ミニ、つまり超短期だけに、ごはんのチャンスがとっても少なかったんです。
到着が夜で、その夜も含めた3泊3日というスケジュール。
ちゃんとした食事のチャンスは、2日目の昼と夜、3日目の昼と夜、4日目の昼のみ。その少ないチャンスの中で、3日目のランチは抜かざるを得なかったわけですから、涙…。

最初のランチは、ポルト・トッレスの、素晴らしいカテドラル至近のレストランでいただき、それは、ポルト・トッレスの項で記事にしました。とても美味な海の幸のパスタ。

2泊目および3泊目は、オリスターノという島の西側の町に宿泊しましたので、夕食は、両日とも、その町のレストランでいただきました。

長い修行を終えた後、まずは、バールでアペリティフです。




サルデーニャのビール、イクヌーザIchnusaで、乾杯!

このビール、以前はサルデーニャでしか飲めませんでしたが、最近はすっかり全国区。経営者が変わったとか、息子が引き継いだとか、そういうことが裏にあるのではないでしょうかねぇ。だって、地ビールレベルだったのが、いきなり全国展開の大手スーパーすべてにおいてあるという状態なんですから、びっくりです。
ちなみに、ビール好きの友人に言わせると、「軽くて飲みやすいので、あまりアルコールに強くないけれど、水代わりに量を飲みたい向きにはピッタリ」、というタイプらしいです。強くないのに、がぶがぶ飲みたい、というのはなんじゃ?って感じですが。

ちなみに、何度も言いますが、このとき12月で、ストーブなど設置されてもいませんが、オープンエアのテーブルは満員です。12月にオープンエアでビールを飲む、なんてことは、ミラノではありえないんですが、ここでは当たり前です。

その後、うろうろして、裏道にあったレストランに入りました。
記録してなくて、名前がわからないのですが、調べていると、位置的には、Da Salvatoreという店ではないかと思われます。
お通し代わりに、サルデーニャのパンと、オリスターノの白ワインヴェルナッチャをサービスしてくれました。




ヴェルナッチャは、トスカーナはサン・ジミニャーノが有名ですが、サルデーニャでも、作っているのですね。
しかしこれは、サン・ジミニャーノの白とは似ても似つかない、限りなく自家製的な、濃くて野性味の強いワインでした。個人的には結構好み。

前菜盛り合わせを頼んだら、まるで中華のように、一皿ずつ別盛で、たくさん出てきたのでびっくり。




タコとジャガイモのサラダ、白身魚の蒸したもの、魚の南蛮漬け見たようなもの、ムール貝のトマト煮…。
そして、サルデーニャ名物のボッタルガ(からすみ)と生のアーティチョーク。




これだけで、かなりおなかがいっぱいになってしまったので、メインは、本来肉や魚の付け合わせである温野菜を頼んでおしまいにしましたが、その温野菜が、盛りだけはやたらよかったけど、苦くて今一つでした。
自分の選択にも問題がありましたが、ちょっと満足感に欠ける夕食でした…。

翌晩は、別の店へ。こちらは、トリップ・アドバイザーで、相当評判が良い店だったと思います。




Cocco e Dessi
Via Tirso 31, Oristano

外観は、なんだかカジュアルなトラットリアというイメージなのに、内部は、相当クラシックな装いに、ちょいとモダン・テイスト。どういう客層向けなのか、わかりにくかったですが、地元の人中心に、かなり人気のある店のようでした。




この日はランチを抜いていたので、空腹感がひどく、注文を取りに来た人に、とにかく早くできる前菜をお願いします、と勢い込んでお願いして、笑われました。
地元の白(ヴェルメンティーノ)が来るか来ないうちに、すでにパンをパクパク始めました。

そして、前菜。




スズキのカルパッチョ。盛りもよく、味付けもよかったです。
しかし、盛りが良すぎて、途中で飽きてしまいました。でも、空腹なので、もちろん完食!

そして、メインは、フリット・ミスト。




お魚がおいしい土地では、必ずいただきたくなる逸品がフリット・ミストです。立派な魚介類がからりとあげられていて、そして、盛りが、やたら上品!この店、やはりちょっと上品なお店だったんだ、とここでわかりました!

最後は、サルデーニャのぐらっぱでしめました。お値段は、お魚と思えば高くはないけれど、決して安くはなく、やはり、それなりの店だったようです。

最後の日のランチは、これも危うく取りっぱぐれるところでした。というのも、田舎町って、レストランすらなかったりするんですよねぇ。
ランチの取れる時間ぎりぎり、となったのが、オッターナの町。
地元の人に尋ねると、街はずれに一軒あるよ、ということだったので、迷わず向かいました。

住宅地に埋もれたようなレストラン発見。
飛び込むと、時間も遅いので、ほかには一テーブルにお客さんがいるだけで、もう見るからに地元の御用達レストラン。というより、食堂、の方がピッタリ来ます。
メニューも、食堂状態。
時間も限られているから、パスタだけでいいや、と選んだのが、ボッタルガのスパゲッティ。




いや~、食堂というより、これは限りなくおうちパスタでした!
普通に売ってるバリッラレベルの乾麺をアーリオ・オーリオ(ニンニクとオリーブ・オイルAglio Olio)であえて、粉状になっているボッタルガをふり掛けてあるだけで、これは、家でもたまに食べるパスタそのもの。
なんか、ここはどこ、みたいな感覚になりました。
こういう時、日本の超スピーディ安価なランチが恋しくなります。
このおうちパスタに、水とカフェで11ユーロですからね。

というわけで、サルデーニャごはん!と楽しみにしていた割には、しょぼい結果となりました。次回に期待したいと思います。

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