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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

お休みだとなんでこんなにがんばれちゃうんだろう(メディナセリ)

カスティーリャ・エ・レオン、その1

今回の旅、例によって、格安エア、Easyjetを活用しました。
まずは安いこと、出発便が金曜夕方にあり、仕事をお休みする必要がなかったことなどが理由だったのですが、今回については、往復ともに遅れが出て、ちょっと大変でした。
格安エアって、同じ路線をピストン輸送していますから、一便に遅れが出ると、遅れが雪だるま式に膨らんで、最終便の遅れが激しくなってしまうんですよね。
行きは、30分程度の遅れで済んだのですが、その理論で、帰り便は、なんと2時間ほどの遅れとなってしまい、本当に参りました。

遅れが嫌だったのは、マドリッドに到着後、レンタカーで150キロほど離れた町に移動する必要があったからなんです。
幸い、レンタカーの手続きは素早く済み、用意されていた車も、申し込んでおいたFiat500だったし(まったく運転したことのない車だと、ライトの位置など確認するのに、時間がかかってしまいます)、希望的な予定では20時半出発のところ、21時には出発できたと思います。

ひたすらドライブ。
スペインは、日が長いので、21時だと、まだ日中そのもの。しかし、走っているうちに、徐々に夕暮れて来ます。夕飯もちゃんといただきたいし、少しでも早く、と思い、郊外に出次第、ついついスピードが出てしまいます。
スペインは、高速道路でも、時速120キロ。イタリアは130キロなので、気を付けないと、結構なスピード違反になりかねません。周囲の様子を見ながら、大丈夫そうな場所ではぐいぐい。

夕間暮れのドライブは、視界が悪くなり、あまり好きではないのですが、しかし、この時の夕暮れは、本当に美しかったです。
スペイン中部の田舎を走ったことのある方には想像がつくと思うのですが、道路の周囲は、限りなく開けていて、ひたすら空が広がります。それが、空色から、徐々に夕焼け色ににじんでいって、黄色や桃色、みかん色…。それぞれの色が、少しずつ濃くなって、本格的な夕焼け色から紺色…。
そうこうするうちに、前方遠くに、ピカッピカッと光るものが。

風力発電の風車が、都会の高層ビルのように、定期的に光を発しているのでした。
一方で夕暮れのごちそう。他方で光の歓迎。「祭りじゃ~!」と叫びながら、運転しておりました。

高速を降りたころは、真っ暗で、そのまますいすい宿のある街に行けるものと思い込んでいたのに、なんと、最後は山道でした。
そういえば、こっちの町の方が、かわいいな、と思って、高速近くにある同名の新市街を避けて、旧市街に宿を取ったんだった。でも、まさか山道とは。




これは、翌朝撮った写真ですが、真っ暗な中、よくぞ登ってきました!
ちょっと大変だったのですが、村の様子が、とてもいい感じなのは、すぐわかりました。
到着は、22時半、回っていたと思います。

Medinaceli
Hotel Baviaca - Calle Campo de San Nicolas 6

ホテルはレストラン併設だったので、気の利くマリオさんという、たぶんオーナーさんが、「もう、サラダくらいしかできないけれど、食べますか」と言ってくださいました。空腹のまま、ベッドに倒れこむと思っていたので、これはうれしかったです。
荷物を部屋に放り込んで、素敵なレストランで、お食事。




マリオさんが、夜の町は、ライトアップでとてもきれいなので、ちょっと散歩などするといいですよ、とわざわざ勧めてくれたので、お食事終わって、すでに23時半でしたが、出ないわけにはいかない気持ちに。




本当に美しい町でした。
中世のままの石積みの家々が残り、黄色のライトアップが、確かに美しくて。そして、私などは全く知りませんでしたが、かなりの観光地と見受けました。小さな町なのに、ホテルやレストランが、Baviaca以外にも数軒あるんです。そして、こんなに遅い時間なのに、お散歩している観光客風が結構いました。




この町にも、ロマネスクがあると思い込んでいたのですが、ここの教会はもっと後の時代のもので、私の興味の範疇外でした。それにしても、こんなところも、さすが観光地、という愛らしさです。




陶器のタイルです。名産品なのかもしれません。

考えたら、今回の旅の象徴のような初日でした。
わき目も降らずに空港からひたすら走り、駆け込んだホテルで駆け込み飯をして、夜中散歩の上、翌朝も、朝ごはん前に散歩。睡眠は、6時間程度。




その後1週間、スタイルは違えど、過酷な日々が続いたことを思うと…。ま、結局いつもそうで、だから修行旅と呼ばざるを得ないわけですが。

朝散歩してよかったのは、周囲の風景を見たくて町はずれまで行ったところ、思わぬものに出会えたことです。




ローマの門。小さいですが、立派なもので、保存状態も良好です。彫り物などは、ほとんど溶けちゃってますけどね。
考えたら、メディナセリっていう町の名前も、なんとなくローマ起源っぽい。町の中心、市庁舎のあるマジョール広場は、昔から中心だったようで、ローマ時代の床モザイクも発見されたと、説明版にありました。

立地がすごく印象的。




わたしも登ってきた幹線道路が目の前。まぁ、もともと町の門としての建造物ですから、入り口にあるのは当たり前なのかもしれませんが。
今の道路の位置とは高低差が付いてしまっていて、門としての用はなしてないのですが、当時は、全体に高かったところを、削り取って道路にしたんでしょうかね。
でも、反対側はすぐに崖なので、ちょっと不思議。門は、実用ではなく、象徴としての門だったのかな。

この場所からの眺め。




スペインは、風力発電、結構早くからやっていました。特にこのあたりは、平地で風が通り抜けるからでしょうか、多いですね。前夜、遠くでピカピカ光って、歓迎してくれたやつら。近くから見ると、巨大でびっくりするけど、遠くから見たら、やっぱり風車。かわいいです。

ホテルに戻って、ジャスト8時。




朝は、マリオのお母さん(たぶん…)の仕事でした。
何でもあるけど、何にする?と言われたと思うのですが、頼み方もわからず、トーストしたパンとカフェ・コン・レチェ。




卵やベーコンも、頼めば用意してくれたようなんで、「ちっ」と思いました。だって、朝ごはん込だったんですよね~、せこいけど!
それにしても、安くて、お部屋はきれいだし、サービスはいいし、実によいホテルです。機会があれば、また来たいし、次回は、ぜひちゃんとご飯を頂いてみたいです。

おっと、いきなりホテル紹介みたいになってしまいましたが、象徴的な、過酷な旅の始まりの一日ということで。

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  1. 2016/07/31(日) 19:10:02|
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またもや鍵穴撮影のはめに!(ソンマカンパーニャ他)

久しぶりのヴェローナ・バッサその4、最終回

ヴェローナ方向へ戻りながらの途中、以前立ち寄って、かわいらしかった記憶のある礼拝堂のような、小さな教会に立ち寄りました。
イソラ・デッラ・スカらIsola della Scalaという小さな村にある、バスティア教会Chiesa della Bastiaです。




あれ?ここでもまた、ちょっとした違和感を感じました。
絶対、あったよ、木が!撮影しようとしても、どうしても全体像、撮れなかったんだよ!
というわけで、ここも、昔の写真を確認。




やっぱり~!わさわさじゃないですか!側面も正面も!そうだったよ~!
それにしても、よく伐採したよねぇ、立派な木を何本も。おそらく同時期に、同じ発想で整備したんでしょう。見えるのはいいんだけど、樹木に囲まれている方が、神社的な聖域感があったようにも思います。

ここは、前回もクローズ、今回もクローズだったけど、たたずまいだけで、なんかうれしい教会なんで、別にいいかなって感じ。緑が実に美しくて、のんびりした気分になります。




一帯に、サイクリングで回るコースが整備されたようで、その地図が貼ってあったり、実際、見学中にも、自転車でやってきたカップルがいたり、どこまでものどかな日曜日でした。

どんどん北上して、ホテルに戻る前に、ヴァルポリチェッラへ。




相変わらず美しいブドウ畑の広がる風景。特にこの教会のある村は、遠くガルダ湖まで見晴らせる高台にあるので、絶景が楽しめます。
サン・ジョルジョ・イン・ヴァルポリチェッラSan Giorgio in Valpolicella。




ここは、比較的最近、2年ほど前に来たばかりなので、さすがに記憶も鮮明です。

教会前にたどり着くと、やたら人が多くて、はっとしました。結婚式!
すでに参列者が集まりつつあるところで、教会の中に、座っている人多数。幸い、当事者はまだいないようでしたので、素早く入り込みます。




そういえば、2年前に来た時も、結婚式で、その時は式の最中だったため、相当の時間を待たなければなりませんでした。それを思えば、ラッキーだったと思います。
それに、お葬式と違って、みなさん幸せいっぱいムードなので、無粋な観光客が入り込んで、写真撮りまくりでも、まったく気にしていませんしね。

それにしても、やはり美しい教会です。




結婚式が多いのも、うなずけますね。
同行のお師匠さんたちは、あちこち撮影に余念がありませんでしたが、私は、なんとなく参列者たちを眺めて過ごしました。




市役所結婚や事実婚が増えたとはいえ、いまだにいろいろ縛られるとはいえ、教会結婚にあこがれる人が多いのも、ちょっとわかる気がしますね~。

さて、こちらの教会は、見どころが、本堂のみならず、外にもあります。外から直接もアクセスできますが、教会内陣からも、アクセス可能。




実に小さな回廊ですが、雰囲気は大変良いです。




こういう美しい場所は、二度目でも、やはり楽しめます。
素朴な柱頭の彫り物も、好み。




相当修復されているのですが、やり方がスマートで、程よい具合です。




併設の博物館も開いていて、そこで、お気に入りの古い彫り物にも再開。




しょぼい博物館ではあるのですが、地域をまとめた本が充実していて、そういえば、2年前に、一冊購入していました。それっきり、ちゃんと読んでないなぁ、と思いながら、眺めると、なんと、また新しい本がありました。尋ねると、最近出版されたということでした。地域に、研究されている人がいて、きちんとそれを形にしているんですね。すばらしいことです。前買った本も読めていないので、さすがに購入は遠慮しましたが、ちょっとお尻をたたかれた気分になりました。

すっかり満足して、この後、ワイン農家さんでさらに満足して、庶民レストランで夕食して、という楽しい夕べを持って、師匠夫婦との遠足が終了しました。
たまには、同行の士と歩くというのも、楽しいものだとつくづく思いました。程よく同じレベルの同好の士と出会うのって、難しいんですよねぇ。
イタリア人って、やるかやらないか、っていうのか、オタク系の人か、まったくの素人か、みたいなところがあって、ほどほどのミーハー的なレベルの人って、出会いが難しいところがあるんです。
オタクの人のオタク度は結構激しいから、私もたまに講演会に行く、その主催の中世の会の人たちとは、ちょっと無理、みたいな感じで…。特に、歴史オタクが多いので、ロマネスク美術だけやっている人は、中世の会でも、いない感じだし、難しいものです。

ミラノへの帰り道に、以前クローズだった場所に立ち寄ってみることにしました。日曜日だけは開いているという情報を得ていたため。




ソンマカンパーニャSommacampagnaの墓地教会であるサンタンドレア教会Pieve di Sant'Andrea。
11世紀の教会で、当時のフレスコ画があるということなので、一度は入ってみたいと思っていたんです。

ところが、日曜日開くのは、午後だけでした!情報のチェック、甘かった!
仕方ないので、今回も、外観をゆっくり見学。




そして、前回に続いて、また鍵穴撮影に挑戦…。




これまた、前回とほとんど同じ。ちょっとは違うところが撮れないか?




また来い、ということですね。あまり残ってはいないようですが。

ということで、ヴェローナの週末、楽しく終わりました。

次回からは、直近のスペインとなりますので、お楽しみに。


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ロープ職人?手動鐘鳴らしの技に感動(ガッツォ)

久しぶりのヴェローナ・バッサその3

次に訪ねたのは、サン・ピエトロ・ディ・レニャーゴSan Pietro di Legnagoにあるサン・サルヴァロ教会Chiesa di San Salvaroです。




ここも、以前訪ねたことがありますが、すっかり道の様子を忘れていて、目の前にたどり着いて初めて、「あれか~!」と思い出しました。
前のときも完全にクローズだったのですが、お隣にある関係者のお宅のベルを鳴らしたところ、なんと神父さんが出てきてくれたのですが、「いや、今日は教会守がいないから、開けられないんだよ」、と消え入るような声で告げられて、なんだか拍子抜けというか、こんなことならお留守の方がましだったと、二重に裏切られたような気がしたものでした。

教会のたたずまいよりも、そういったどうでもいいようなことの方が、記憶に残ったりするもんで、我ながらあきれます。

今回もクローズだったもので、やはり念のためベルを鳴らしてみたのですが、今回は、うんでもすんでもありませんでした。一部窓が開いていたりしたし、若干、いる様子もあったんですけれどね~、まさか、東洋人が見えたから、わざと無視だったのでしょうか。いやいや、そんなことはないでしょうよ。

仕方ありませんので、以前同様、周囲を見学。




ここの残念なことは、ファサード部分以外は、塀で囲われていて、教会本体に近寄ることもできないのですよね。美しい建物だというのに。
上の写真は、一部鉄柵になっている場所の、柵の間から撮影しています。

後ろの方に回り込んで、あれ?と気づいたことが。




後陣近くの外壁に、白いプレート状のもの、見えるでしょうか。
拡大します。




カノッサのマチルダの碑文。
以前調べた時に、「北東角に、マチルダの碑文あり」とメモしてあったのですが、当時の写真に、これは見当たらなかったし、実際、訪問時に見た記憶がないんですよね。
なんでだろう?と、不思議な気持ちになりながら、さらに後ろに回り込みます。




ああ、美しい後陣です。
塀や生け垣がなければ、完璧なのにね。この場所が、空き地になっているのも、ありがたいことです。
しかし、ここでも、何か違和感がありました。

帰宅してから、以前の写真をひっくり返して、違和感の理由がわかりました。
2011年春、今から5年前は、こんな状態だったんです。




横からの写真でも、緑がわっさわさで、マチルダの碑文なんて、端っこすら見えない状態でした。裏側の空き地はおんなじだけど、どんなに頑張っても、全体は見えなかったんですね。だから、教会姿、記憶にとどめようがなかったんです(ちょっと言い訳)。
それにしても、結構立派な木を、よく思い切って、伐採したものです。

サクサクと進みまして、次は、今回初めてだった場所です。当時も行こうと思っていたけれど、いけなかった場所だったので、嬉しかったな。

ガッツォGazzoのサンタ・マリア・マッジョーレ教会Chiesa di Santa Maria Maggiore。




後陣からのアクセスとなりますが、これまた美しいたたずまいの教会です。二つ後陣のうち、オリジナルは真ん中の大きい後陣だけとのことですが、修復の様子も感じがいいですね。
白石と混じるほかの教会と比べると、ここは、レンガ割合がとても高いです。

真後ろからは、こういう感じになっています。




本来もう一つ小さな後陣があるべき場所に、鐘楼。これは、ちょっと新しそうですね。
教会そのものの起源は古いようで、内部に、その痕跡があります。

何かというと、これです。




床モザイク。今の床面より、1メートル弱下がった位置に、現在の教会が建つ以前にあったであろう教会の床が残っているんです。中世初期、初期キリスト教後期とかそういう時代でしょうか。グラードの教会を思い出しました。このモザイクのモチーフのせいかも、だけど。




床がこれだけ立派にあるということは、この床面を持っていた当時の教会は、後陣や壁が、美しいモザイクで覆われていた可能性もあるわけです。ロケーションも素敵なので、想像するだにうっとりトリップしてしまいそうです。

さて、現在の教会は、かなり後代の手が入ってしまっていますが、全体のたたずまいは、内部も美しいものです。




柱頭もシンプル、すべてシンプルですが、それがよい雰囲気をもたらしています。とはいえ、実は、ところどころにフレスコ画が残っていますので、本当は、シンプル装飾だったとも言えないはずなんです。




絵柄から言って、かなり後のものだと思うのですが、すごくかわいらしい絵だと思います。
このフレスコ画は、向かって左側の後陣部分となりますが、ここって、外からは鐘楼になっている場所です。やはり後陣構造だったのを、鐘楼にしているんですね。

実はこのとき、教会が開いていたのは、結婚式準備のためでした。内部見学を終えたころ、ちょうど花屋さんがやってきて、花を大量に持ち込んでいましたので、外観も見終えてから、もう一度中をのぞいてみました。




教会にもふさわしい、シンプルだけど清楚で美しい花飾り。
花屋さんの手際の良さに感心していると、正時だったんでしょうか。先ほどのフレスコ画のある場所で、何やら複雑な動きをしているおやじが。




なんと、ここの鐘はマニュアル操作で、この何本ものロープを複雑に引っ張って、おじさん、妙なる響きを醸し出していました。




電動でスイッチ一つで鳴らしている教会がほとんどになっている中、こんな教会の鐘って、すっごく珍しいと思いますし、おじさんの腕も貴重です。

ちょいと前後してしまいましたが、ファサード。




全体がレンガで、緑に映えます。
角が、石になっているのは、やはり強度の問題なんでしょうかね。それにしての、その石のランダムな入り方が、芸術的!これはおそらく、修復のたまものだと思うんですが、他でも見たように、違う種類の素材の交わり方が、全体にランダムでアシンメトリーであることは、ここでもそうだったんだろうと思います。

レンガも、よく見ると面白い積み方や、形。




角角が出ているスタイルはよくありますが、まるまる連続は、珍しい!っていうか、角のないレンガってこと?

同じ側壁で、大好物発見しました。




床モザイクと同時代の装飾物ですね、きっと。いくつか掲げられていました。かわいい!

教会の北側は、芝生のサッカー場になっているので、広々とした気持ちの良い空間です。




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  1. 2016/07/27(水) 05:53:00|
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1週間で4キロ減とは、まさに修行!

カスティーリャ・エ・レオン、プロローグ

またお休みが続いてしまいましたが、今回は怠惰ではなく、夏休みのためでした。今年の夏休み第一弾は、昨年同様に、スペイン!
カスティーリャ・エ・レオン地域で、1週間、駆けずり回って来ました。




乾いた大地で駆けずり回るのって、結構つらそう、と予想はしていましたが、暑さ、本当に、半端なかったです。
とはいえ、スペインの暑さは、乾燥したアフリカ系の暑さなので、日陰に入ると、風がスーッと心地よかったり、汗だくになることのない暑さ。だから、ミラノの暑さより、意外と楽な部分もあります。

とはいっても、ミラノの日常で、暑い盛りに、日盛りで写真と撮るとか、そういう状況にはならないわけで、確かに厳しい日々でした。




まぁ、だからこその、4キロ減、というわけですね。
もちろん、暑さだけではなく、食事にもよるわけで。
スペインの田舎って、本当に、何もない村町が多いわけです。




お昼時、バールやレストランに出会える確率が非常に低い。
で、お昼抜き。

今回、7泊7日という旅でしたが、お昼をいただいたのは、最初の一日だけだったのでは。後は、なるべく朝ごはんをたっぷりといただいて、夜まで、ひたすら駆けずり回る、という状態。

結果として、50か所以上の町村を訪ね、教会の総数は、70を超えるのかな。
我ながら、頑張ったな、と感心できるレベルです。だからどう、では、まったくないのですけれど。

今回回ったのは、だだっ広いカスティーリャ・エ・レオン地域の中で、ソリア県と、セゴビア県、ちょっとだけブルゴス県で、総走行距離は1600キロ。
コウノさんとの出会いも、励みにしつつ。




コウノさん=コウノトリ、なんですけどね、目指す教会の塔には、必ず彼らの巣があるもので、途中から、コウノさん呼ばわりしていました。そして、彼らのスケジュールが、朝は不在、こちらのランチ時間以降に、巣にいることが多いことを学びました。各地のコウノさんを、撮影させていただき、教会に加えて、楽しい目的となりました。

事前の情報集めは、ほとんどできず、できたとしても、おそらく、たいした情報は得られることができなかったと、今はわかりますが、いずれにしても、予想以上に、うまい具合に、オープン時間に居合わせたり、ということがあったのは、さすがに夏季の強み、
7月20日から8月一杯、夏季モードで、普段よりは、開けている教会が多かったようです。

それにしても、そういう時間情報にしても、行き方情報にしても、ネットですら、なかなか得ることができない現状には、若干イラッとしていますので、今回、途中になっているシリーズを終え次第、情報として、アップしていきたいと思っています。
例えば、夏季だけは、ちゃんと開けているのに、その情報の発信がないっていうのは、本当にもったいないって思うんですよねぇ。
っていうか、中世、ないがしろにしていますよ、観光資源として。もったいなさすぎ。

というわけで、昨年のスペインは、たぶん先送りにして、今半端になっているシリーズ後、珍しく、ほとんどオンタイムで、アップする予定ですので、お楽しみに~。

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  1. 2016/07/25(月) 05:40:24|
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どうしても自慢したかった12世紀の石工さん(ベルフィーレ)

久しぶりのヴェローナ・バッサその2

訪ねるルートも、5年前と、ほぼ同じだったかもしれません。次は、ベルフィオーレですが、しかし、ここにはびっくり。記憶が完全に欠落していたんです!
こんなに美しくて印象的な教会だというのに。




ベルフィオーレのサン・ミケーレ教会San Michele di Belfiore。

この後陣側にある駐車にちょうど良いスペースとか、全体のロケーションにかかわる部分が、きっと当時と変わっているに違いない、とすがるように、5年前の写真を見たのですが、違いは見当たらず…。本当に、ただ忘れ去っただけのようです。
もしかすると、すごく簡単にするするとアクセスできちゃったとか、そういうことですかねぇ。

ま、何はともあれ、美しいたたずまいの教会であるうえに、全体が、とても清潔にケアされているんです。

ここもまた、塔の縮尺が、本堂と比べると、おかしいくらいに大きいですが、その塔の右側が、入り口となっています。こういう風に鉄柵で囲われていると、開いてない場合、悲惨なことになるっていう典型的なたたずまい。開いててよかった!

北側壁に、入り口があったので、すぐ入場します。




すっきりと地味な本堂。やはり清潔感がびんびんです。お、柱頭が、ヴィッラノーバのクリプタと同じモチーフです。




ヴィッラノーヴァの方でも、オリジナルと再建が混じっていたように思いますが、こちらも同様です。これは、再建でも比較的簡単そう。
それにしても、この、ラングドシャっていうか、リングア・ディ・ガットというか、サヴォイアルディっていうか、その種のビスケットの縦置き並べ。
これは、他で見た記憶がないんですが、何を基にしたモチーフなんですかねぇ。イタリアだし、やはりサヴォイアルディ…のわけないか。

ちなみに、柱に刻まれた碑文、これは、覚えていました。




なんでこんなに忘れちゃったかというと、やはり、他の場所と違って、ヴェローナおよびその周辺部は、いまだにきちんとサイトにまとめていない、つまり、後付けで勉強していないせいもあるかと思います。もう半分すぎちゃったけど、今年の目標にします。

この碑文は、石工さんが、自分の仕事が相当誇らしかったのか、名前入りで刻んでしまったものらしい、12世紀のもの。もとは、彫ってはみたけれど、ちゃんと、漆喰で塗りこめたりしたのかもしれませんね。というのも、ここの柱には、フレスコ画が施されているので、本人が塗りこめなくても、塗りこめられちゃった可能性大。
いや、まさか、内陣に最も近い柱に、こんなもん、残せるわけないですよね。

フレスコ画は、ちょっと時代が下りますが、一部きれいに修復されていて、かわいいです。




こういった修復のお金も集めて、キチンと再建や修復をするだけあって、この教会って、地域で愛されているんだと思うんです。
実は、我々が見学している最中に、一人、ふらりと入ってきて、しばらく隅の方の椅子に腰かけて、頭を垂れている男性がおりました。比較的若い方でした。それで、思い出したのは、5年前に訪ねた際にも、見学中に、一人、二人と、信者さんがふらりとやってきては、頭を垂れて祈っていく姿を見ていたのです。

教会って、夏は涼しいから、もしかして、ジョギング最中に一休み、程度のことだったかもしれないんですが、実際に、そういうスタイルでしたし。でもそれでも、一休みに教会に立ち寄るっていうことが、生きている教会ということですよね。
そういう立ち位置の教会って、いいなって思います。

いきなり教会の本質と関係ないところに話が言ってしまうんですが、一つ、前回は確実に気づかなかった、またはなかったものがありました。ファサード脇、一段下がった場所です。




まさか開いてないよね?と扉を押すと、きちんと開いているうえに、トイレも、手前にある洗面所も、汚れ一つないピカピカの清潔ぶりで、手拭き用のペーパータオルまで完備!
愛される教会ならではの設備ですよ。
これには、本当にびっくりしました。こんな教会、めったにないです。

さて、本題に戻りまして、ファサード。




例によって、城石とレンガの縞々。
ここでもやはり、微妙にシンメトリーを崩している部分があるんですよねぇ。
以前は、修復しすぎ感が強くて、どうもな、と思ったんですが、全体にこういうのがこのあたりのスタイルだと思うと、これはこれかな、という風に、受け止め方もこなれてきました。
よく見ると、細部には、かわいいものもあるし。
ファサードのトップ。




やんちゃ坊主みたいな顔がポツン。
下に開けられた丸は、お皿がはめ込まれていたっぽいですね。ヴェローナらしくない装飾と言いながら、結構あちこちにあるということは、この装飾が流行った時代があったのかしらん。

縁取りになっている、三角の石を置いた帯が、好みです。光の陰影とかで、面白い効果を出すし、モダンですよね。

内陣近くの柱に、堂々と「俺が彫ったもんね!」と刻んだ石工さんの作品もあるのかと思うと、ちょっとにんまりしちゃいます。




鉄柵で囲われている中は、きれいに芝生。




午前中なので、ファサード側は逆光になってしまいます。午後の方が、きれいなはず。
それにしても、縞々のずれ、なんででしょうねぇ。単にそこまで神経質に計算してないのか、それとも、若干の高低差とかのずれがあるのを、わからなくするためとか。さて。

それにしても、やはりきれいでいい教会だなぁ、とすっかり満足して、改めて後陣。




やっぱり、塔、でかいですね。
そういえば、この石積み部分がオリジナルで、上の方は、相当再建が入っているという話だったような気がします。

ということは、塔の方が、オリジナルの姿で残っているということ。平地だから、物見の役目も担っていた塔なのかもしれません。

どっから見ても美しい後陣。




左側の、無粋なコンクリートの部分が邪魔ですが、これはトイレのお掃除とかしてくれる教会関係者の住まいと思うので、仕方ありません。祭具室とかを拡大した結果なのでしょうが、ちょっと無粋です、確かに。

すっかり満足して、次に向かう途上、果物畑の向こうに佇む姿を車窓から。




今でこそ、畑や人家が点在する土地ですが、当時は、本当に何もないところにぽつりとあったのでしょうね。ヴァルポリチェッラに続く山を背景に、美しい土地、そして愛される教会。優しい気持ちになれます。

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いきなりカンタブリア紀とか?白亜紀とか?

久しぶりのヴェローナ・バッサその1

前回、ヴェローナ近郊での素敵なお食事を記事にしましたが、ヴェローナに滞在した主目的は、ロマネスク巡りです。今回は、私が勝手に師と仰ぐ方とご一緒だったので、一人で回るのとは違った楽しさがありましたが、やはり若干修行が入っていたかな。

師匠のサイトは、以下となります(うまくリンクが貼れてなかったらごめんなさい)。
ヴェローナ・バッサ地域は、数年に一度ペースで、少しずつ回っているのですが、いまだちゃんとページにまとめていない、つまりきちんと勉強していないこともあって、記憶からいろいろ抜け落ちてしまっていましたので、今回、ちょうどよい復習のチャンスとなりました。

最初に訪ねたのは、後陣の美しいこちらです。




サン・ボニファチオの、サン・ピエトロ・ディ・ヴィッラノーヴァ教会San Pietro di Villanova di San Bonifacio。
高速降りてすぐ、という立地にも関わらず、まるで何もない草原に佇むような雰囲気ですが、これ、後陣側に広がっている、この緑のスペースのおかげで、周囲は、高速に通じる幹線道路が走っているので、全然孤高でもなんでもないんですよねぇ。
以前訪ねたのは、5年ほど前のことですが、この教会については、ロケーション、そして、この印象的にでかい塔が、よく記憶にありました。

ファサードは、この地域によくある、白い石とレンガの縞々模様となっています。




これまた、この地域ではありがちですが、いろいろと後代に付け足された装飾がごちゃごちゃとしていて、パッと見、ロマネスクのテイストが薄まっているんですよね。
そしてまた、どこもその傾向が強いんですが、石とレンガの組み合わせが、微妙にきっちりとシンメトリックじゃないのは、果たしてどうしてなのか、不明です。




結婚式の準備中で、歌のリハーサルなどもしていたので、人の出入りが激しく、おかげさまで気楽に観光できました。後から気づいたのですが、撮影禁止だったようなのですが、まったく気にせずに、撮影しまくり。
ちなみにこの内装。オリジナルの建物は、イタリアらしい木製の天井だったのを、後代に、このようにヴォルトとして、漆喰を塗りまくったようです。今でも、高い部分で、オリジナルの木組み屋根を見ることができる場所があるとのことです。

高い内陣を見て、すぐ気づかれると思いますが、クリプタがあり、ロマネスク的には、この教会で最も素敵なスペースとなっています。




修復もされていますが、構造はオリジナルのまま、美しいクリプタです。
そして、ここには、私の大好きな、あれが…。




初めて訪ねた時、このロンドバルド彫り物については道だったので、出会ったときは興奮しました。やはりかわいいですよ。そして、非常によく残っています。なんとも言えない素朴なぐるぐる、クジャクも、足がおかしいのがまた、愛らしいです。
最近はまっている、消しゴムハンコのモチーフに最適です。

この祭壇わきに、かわいらしい紙製のハトがおかれていました。




これ作った人、すごいですね。めちゃめちゃかわいい!
本堂をじっくり見た後、教会右手の扉を出ると、そこはかつての回廊部分。この場所は、以前来たときは気づかなかったので、おそらくクローズされていたんだと思います。

回廊の、柱頭部分は、壁に埋め込まれて、建物の壁となっていますが、埋め込まれた柱を露出させているのが、面白いですね。




柱の部分は、きっと後付けでそこだけ見せるようにしたんだと思いますが、それにしても、柱をそのままに壁にするっていう発想は、乱暴というか、すごいです。確かに壊して作るより、簡単だし、強度も保てるみたいな合理性があるんでしょうけれど。

かつての修道院の雰囲気を生かして、ここは薬草園となっています。




おばさんが熱心に世話をしていました。どの株も小さいし、おそらく、比較的最近、こういう形にしたんだと思います。かわいいですし、様々なハーブを実際に見られるのは、楽しい。

すると、奥から出てきたおじさんが、せっかくだから、博物館も見ていきなさい、といきなりガイド・ツアーが始まりました。やはり、一人より三人でいる方が、向こうにもインパクトがあるのでしょうねぇ。

連れて行ってくれたのは、かつてあった修道院の、居住部分です。




おじさん、かなりの速足ですたすたと先導。撮影しながらの我々は、つい遅れがちで、慌ててついていかねばなりませんでした。
この廊下、木製天井には、びっしりと絵がありますが、相当傷んでいます。




もちろん、ロマネスクよりはずいぶん後の時代のもの。修復するべきだけど、お金がない、ということでした。
一方、台所だった場所の壁には、美しいフレスコ画が残されています。14世紀ごろのものらしいですが、漆喰に覆われていたために、このように美しい色のまま、残っているようです。




かつての、修道士たちのドミトリーでは、床の一部と、壁にくりぬかれたランプ用の棚だけがオリジナルということで、少し床フェチのケがある私としては、床。




古いといっても、14,5世紀でしょうかね。レンガなんですよ。この地域は、レンガ生産が盛んだったんでしょうね。




歩きながらいろいろと説明してくださるのですが、どうにも速足で、自分の説明が終わると、すぐに電気をぱちぱちと消して回って、どんどん先に進まれるので、ちょっと大変でした。
これが、かつての姿。




ここまでは、教会に関するスペースで、ありがたいと思ったのですが、最後に、いよいよ、ここが博物館だから、と鍵で開けていざなわれたスペースは、なんと、




化石の博物館でした!
イタリアのあちらこちらで発掘された化石が、ずらずらとガラスケースの中に並べられていて、しかし、それが、なんだかすごいんで、あきれながらも、食いついちゃいました。おそらく、地域に研究者がいらして、コレクションが寄付されたとかそういうことなんでしょうけれど、それにしても、この巨大まき貝らしい化石は、どうですか??
こんなの初めて見ました。50センチくらい巻いているんですよ。

こっちは、葉っぱの化石。




これなんか、1.5メートルくらい?びっくりですよ。

いやはや、ロマネスクを見に行って、化石に終わるっていうのは、初めての経験でした。先史時代の遺跡ものまでは、結構ありますけれどもね。

続きます。

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  1. 2016/07/10(日) 23:35:20|
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夏休み、つまみ食い。ヴェローナの素敵な週末。

日本から来ている友人と合流して、ヴェローナで楽しい週末を過ごしました。たったの二泊ではありましたが、近づいている夏休みのつまみ食いという感じの、ロマネスクあり地元食ありの、とても充実した週末となりました。
第一弾として、「食」から。

車でロマネスクを回る旅をしている方々なので、宿泊は、駐車の問題のない場所ということで、ヴェローナ北西部の”郊外モーテル”というタイプのホテルでした。わたしも、ミラノから車で駆け付けたので、高速の出口からも近く、大変便利で、クルマ停め放題というところは、大変好ましいロケーションだったのですが、周囲にはなにもなさそうな感じで、夕食が若干心配でした。

ところが事前に検索すると、意外にも、徒歩圏内に、結構レストランがあるんです。その中に、トリップ・アドバイザーでもかなりランキングの上位となっている店があったので、びっくり。
ホテルの方に尋ねると、「あそこはすごい!何を食べてもおいしいし、特に手打ちパスタが超お勧め!」と言うのです。
さらに、「絶対にお腹がはちきれんばかりに食べちゃうくらいおいしいから、食後腹ごなしのためにも、徒歩がお勧め」と、ありがたい情報まで。

それが、この、トラットリア・ダル・ガル。




Trattoria dal Gal
Via Don Gregorio Segala 39/b, Verona

完全な住宅地の中、いきなり、モダンな店構えの店で、予想外の姿にびっくり。すごく地味にした恵比寿辺りの感じって言ったらよいのかしらん。周囲にここまで住居しかない立地は珍しいです。

門構えは、こじんまりとしているのに、入ったら、裏には庭もあり、相当広い店です。これまたびっくり。内装は、やはりモダン系。

テーブル・セッティングも何やらオサレ~。水のボトルまでおしゃれで、とっても高級感があります。




でも、カメリエーレたちは、とても感じがよくて、フレンドリー。そして、何より、メニューを見てびっくりしたのは、そのお値段です。安い!
多くのお皿が、ミラノで、このレベルのレストランだったら、このくらいだろう、と想像する値段の半額と言ってよいレベルです。

ホテルの人にも勧められた、お店の名物らしい手打ちパスタの五種盛りでスタート。




まずは、トルテッリーニ。ツルツル入っちゃう。
それから、包み焼みたいのを二種。とろけるチーズを包んだものと、キノコソースを包んでかけたもの。




結構空腹だったんですが、このあたりですでに、一人分でよかったかもね、と、気づきました(二人分を三人でシェアしていました)。
次は、ポルチーニ・キノコのリゾット。




そういえば、このヴェローナのあたりも、結構米どころ。程よいアルデンテで、美味でした。どのお皿も、味付けが優しいのがいいです。
五種盛り最後は、パッパルデッラでした。




どのパスタも、びっくりするくらい薄いので、軽いですが、それでも五種は、おなかにきました。でも、三人それぞれメインを頼んでしまって、その上、お勧めに従って、温野菜まで頼んでしまって、大後悔です。
せめても、軽いカルパッチョを頼んだ私は、何とかいただくことができましたけれど。




立派なマッシュルームが生でどっさり。
ほとんど食せなかった野菜盛り合わせ。もったいなかった~!




ワイン・リストもすごかったです。地元ヴァルポリチェッラだけで、1ページ以上並んでいました。お店の人におすすめを聞いて、クラシコから始め、スーペリオレ、同じ生産者さんのヴァルポリチェッラを2本、カラにしてしまいました。ま、呑兵衛3名ですから、妥当な量ですね。

同行者さんは、いつもラベルはがしを持参しているということで、噂には聞いていましたが、ラベルはがし、初めて目にしました。




すごく簡単にきれいにはがれるので、びっくりでした。なるほどね~。

で、実は、翌日、ロマネスク巡りの最後に、この生産者さん、訪ねてみたんです。




Tenute Ugolini
Fumane di Valpolicella

ヴァルポリチェッラの多くの生産者さんが集中する、ブドウ畑びっしりの、実に美しいロケーション。そこに、古い時代の建物を再生した立派な建物が、熟成所及び販売所になっていました。




土曜日の18時過ぎという時間にも関わらず、短時間ならいいですよ、と訪問を受け入れてくださり、結局1時間以上、時間を割いていただいてしまいました。
まずは、施設の簡単な説明。




古い建物ってすごいですよね。クーラーいらず。
そして、素敵なテラスにいざなわれて、試飲です!




ヴァルポリチェッラのブドウ畑のうねうねを見下ろすロケーションでの、この素敵な試飲!予約もなしに押し掛けたにも関わらず、びっくりするほどの歓待に、感激でした。
こちらでは、昨夕、レストランで味わったヴァルポリチェッラ・クラッシコ、ヴァルポリチェッラ・スーペリオーレ、そして、リパッソ、アマローネ、そして甘みの強い食後酒系レフーゾの五種類を作っています。




もともと、ワイン農家にブドウを売るのが生業だったということで、蒸留はほかの生産者さんに頼んで作っているグラッパも、そして、オリーブ・オイルもありました。




オリーブ・オイルも含め、素敵なおつまみとともに、じっくりと味合わせていただきました。
途中から、オーナーさんもジョインして、日本びいきらしいオーナーさんとの会話も楽しめました。大阪の業者さんを通じて、すでに日本にも輸出しているとのことでした。

この暑い時期でもありますし、私は、軽めのヴァルポリチェッラと、アマローネのグラッパを購入。お値段は、バランスとしては、若干お安い気がしました。
オーナーさん、素敵な木箱まで用意してくれて、その上、ソムリエ・ナイフのお土産付き!




結構いろんな農家を訪ねていますが、ここまで歓待してくれるところは、そうそうないです。それもアポなしだったのに。
名残惜しい気持ちで、ブドウ畑を眺めながら、ホテルへ戻りました。




予定よりはだいぶ遅くなっていたので、すぐに夕食へ。
やはりホテルから徒歩で行けるピッツェリアにしました。




Trattoria Un angolo di Lessinia
Via Croce Bianca 9, Verona

とっても庶民的なお店で、同じホテルから食べに来ている人が、多数いるようでした。外人が多くて、この夜、テレビでは、ヨーロッパ・カップ放映中、それもイタリア―ドイツ選でしたが、盛り上がっている人が誰もいないのは、かなり驚きでした。

この店のピッツァ、久しぶりに、本当においしいピッツァをいただいたな、と思うような、うすうす軽の、軽くておいしいピッツァで、超お勧め。お値段も、お財布にとても優しい!前菜代わりに頼んだピンツィモニオPinzimonioのボリュームにもびっくりでした。




生野菜をガシガシといただくと、夜にピッツァを食べる罪悪感が、若干軽くなりますね、笑。
どちらのレストランも、かなりおすすめ。ヴェローナの西側郊外に宿泊される向きは、ぜひ、ご予定に入れてほしいです。

本来の眼目であるロマネスクについては、ちょっと先に紹介します。

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  1. 2016/07/09(土) 06:00:44|
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結局情報は、人伝が一番ちうことですな(コンシリオ)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その4

ロアーレ城を訪ねた日は、ふもとの村アジェルベAyerbeに泊まりました。ここはその昔訪ねた時、お茶をしたバールで、日本語で話しかけられてびっくりした記憶があります。でも、宿泊もしなかったので、記憶は相当薄く、夕食に出た際に、ちょっと歩いてみましたが、どのバールだったか、定かではありませんでした。

この街には、明らかな中世の名残は見つけにくいのですが、住宅街に埋もれるようにして、ロマネスク時代の塔がありました。




サン・ペドロ参事会教会Colegiata de San Pedroという教会があったようですが、教会は、後代に住宅に飲み込まれるようにしてその姿すら消してしまい、今は、この塔だけが残っているということらしいのです。
そういう中で、よくこれだけでも残ったものよ、とは思いますが、近づいてみると、修復も激しく、往時の雰囲気を感じるのは難しかったです。




それでも、ちゃんと説明版があるのは、村としては、大切にしている、ということなのでしょうが、それにしても妙におかしかったのは、説明版の位置。




きっと、車の通行なども考慮して、なるべく余計なスペースを取らないように、ということなんでしょうが、結構なサイズの説明版なのに、壁との距離が近くて、大変不具合でした。

眠るためだけに宿泊したような町で、ホテルもしょぼかったのですが、ラッキーだったのは、ホテルの方が、ロマネスクに詳しかったんです。
さび付いたスペイン語ではありますが、それでも何とか頑張って、いろいろとお話を聞くことができました。
そのおかげで、翌日、立ち寄ることができたのが、近所にある、こちらの教会。

サンタ・マリア・デ・コンシリオ教会Iglesia de Santa Maria de Concilio。




北に向かう国道沿いの、左側の谷を下りたところにコンシリオの村があり、反対側の高台に、この小さな教会が佇んでいます。
早朝だったので、朝日がサンサンで、道側からは、完全な逆光写真になってしまいました(道の反対側、つまり教会の北側からは、撮影場所がなかったのです)。

コンシリオの村は、今ではたったの7世帯だそうですが、かつては、もっと大きな町だったのが、火災か何かがあった結果、そういう風になってしまったとかいう話だったと思います。
村のおじさんが、朝のお掃除中だったので、また、お話を聞くことができた上に、こんな田舎の小さな教会なので、開いていることは全く期待していなかったのですが、ちゃんと中に入れたんです。




と言っても、アーチ構造が残されているものの、漆喰ぬりぬりなので、閉まっていたとしても、後悔するほどではなかったのですが、でも、見られないと、そういうこともわかりませんからね。
とはいえ、実はここ、フレスコ画があったんです。新旧聖書の物語が、信者に対して教育的に描かれていたそうですが、スペインありがちのパターン。美術館展示に持っていかれちまったと。

で、後日、その本物に、ハカJacaで御目文字かないました!




ちょっとわかりにくいですね。1300年ごろのものということなので、私の好みの時代よりはずいぶん後です。




ロマネスク的には、外観に注目です。




やけにすっきりした後陣ですが、スペイン・ロマネスク好きなあなたなら、もう予想しているでしょうね。そう!おなじみの軒持ち送りCanecillosです。




数は少ないし、サイズは小さめですが、かなりよく残っています。
上は、あえて小さめサイズでアップしますが、エロティック系ではないかと思います。

好みの変な動物の変な形も。




こちらは、頭180度ぐるりの不思議な姿勢の、変な奴。お尻の感じは、やはりエロスを示唆しているんでしょうかねぇ。




なんか、どれも愛らしいとは言いにくいんだけど、石工さん、表現力あるなぁ、と思わされる作品ばかり。手が似ていますから、同じ棟梁が彫ったものだと思います。やはり当時の彫師は、モチーフを考えてなんぼっていうとこもありますねぇ。簡単じゃないと思うんです、こういう限られたスペースで、いろんなフィギュアを多種作り出すのって。




というわけで、幸先の良いスタート。
この後も、次々と見ごたえのあるロマネスクに出会って、場所が場所だけに予期はしていましたけれど、それにしても、という忘れがたい日となります。

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  1. 2016/07/05(火) 06:48:34|
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ダンジョンとか、中世のお城は妄想の宝庫(ロアーレ城)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その3

ロアーレ城続きです。
城砦内部に隠されたロマネスクの至宝、サン・ペドロ教会を堪能した後、お城見学開始!




中世都市を訪ねると、教会とともにお城との出会いもそれなりにあるのですが、いつもお城まで見学している時間がなく、素通り、ということがほとんど。お城、特に中世の城っていうのは、歴史ロマン満載で、見学すれば楽しいこと間違いないのですが、たいてい無理。
ということで、ロアーレのように、教会と一体化して、見学せざるを得ない、というのは、ある意味得難いです。
特にこの城、ロケーションといい、全体のたたずまいといい、実に中世的で、城好きなら、一度は訪ねなければならない場所の一つでしょうねぇ。中世が舞台の映画のロケにも使われたはず。周囲に何もないので、天然のセット、というところでしょうか。

教会の入り口を出て、上に上ると、扉口を見下ろせる場所がありました。




この眺めだけで、すでにドラマチックな物語が語れそうな…。
すぐに出会うのが、この連続アーチ。




かつての修道院のスペースだったようで、本来は、このアーチがヴォールトとを支えていたのですね。11世紀初頭の建築。屋根があったら、どんな風だったか、妄想が広がります。

そして、構造がどんどん複雑になってきて、方向音痴の私としては、どう進んだら無駄なく、そして余すところなく見学できるんだろう、と、例によって、アワアワしてしまいます。

ドンジョンに続く、高みにあるアーチ橋なんて見ると、絶対あそこは歩く!とソワソワするし。




建物にワクワクするばかりでなく、時々、隙間から眺めることのできるこれも!




ただでさえ、丘の中腹というロケーションなのに、お城内では、どんどん登る一方ですから、眺めの広がりは、半端ありません。

で、今は青天井となってしまった天辺へ。




ここにも、小さな古い礼拝堂がありました。




相当古い建造物ですよね。素朴さが、胸を打ちます。
外観も、同様に、とても素朴。シンプルな入り口のアーチにうっとり。




こういうのって、ポツンと一人で建っていたら、これだけ地味で何もなくても、なんか、来てよかったなぁって、確実に思うタイプの教会です。

同じ場所に、素敵な大きな窓があります。




三重のアーキボルトで囲まれたとても立派な窓で、女王の窓と呼ばれているようです。女王様の居住場所ではありえない高さですが、これを見れば、女王様へのオマージュとしてそう呼ばれているのかと納得。




女王の窓からの眺めは、まさに絶景。

このレベルが、しかし居住空間であったのは確からしく、井戸の設備があります。




全体に新しくされていますが、もともと井戸があり、屋根を伝う雨水を、8万リットルまで貯水できるようになっていたのだそうです。お城も修道院も、結局立地のポイントは水ですよね。

そして、女王の塔と呼ばれる区画。




究極のシンプルさだけど、それが美を生み出している小さなアーチの窓。これは、感動的な美しさで、印象的でした。ここには、彫り物装飾、いらないです。

このアーチの間から、教会のトップを見ることができます。




そして、先ほど見上げた渡橋へ。




見落としなく回っている達成感に襲われたり。バカみたいですけどね。
この後、塔にある台所などの設備を見て、見学終了。
相当端折って紹介していますが、教会とお城の見学で、1時間半ほど、たっぷり時間をかけました。クローズ時間ぎりぎりまで。まさに堪能です。

最後は、また同じ入り口から出ることとなるので、教会にもう一度より、あちこちの石をすりすりして、とうとう入り口、というか出口に。




夕暮れが迫りつつある空を背景に、名残惜しく全景撮影。




こちらの側からしか見えないのが残念です。
一歩離れるごろに、振り返って一枚。




なんて、印象的なたたずまいなんでしょうね。
もっとひくと、城壁も。




修復もよくされていると思いますが、それにしても、全体の残り方が素晴らしいです。
特に、10年前と比べると、確実に、見学できる場所が増えたと思います。日々、修復がなされた結果なのでしょうね。

最後の一枚。




空港で慌てた甲斐がありました。もう間に合わないかも、と思ったけれど、本当に来られてよかったです。

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  1. 2016/07/01(金) 05:52:16|
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