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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ガラスろうそくでいっぱいのイースター、季節外れでごめんなさい(カマイオーレ2)

モンテピサーノ・ロマネスクその7

先の記事に書いたように、カマイオーレは、決して大きな町ではないのに、郊外の元修道院Badiaに加えて、旧市街内にも、中世の教会が二つもあります。
住宅街の中に埋もれるようにして建っているのが、ここ、サン・ミケーレ教会Chiesa di San Michele。




一見、まるで後ろにある建物の倉庫のような、ただの四角の建物なので、見逃すところですが、後陣の姿で、気付いたような次第。正面も、イースター時期だったことによる飾りがあったからこそ、宗教的な建物かもしれないと思う程度で、もはや、往時のイメージはほとんどなくなっています。




まさに、イースターの時期だったからこそ、イベント準備で、たまたま開いていたのだと思います。
中を覗き込むと、まさに、祭りの準備中。




もともと、こういうシンプルな構造の礼拝堂だったのだと思います。個人の出資で建てられたもののようですから、装飾的なものも、なかったのでしょう。
通り過ぎても構わない教会ではありますが、実は、この教会が建つのは、Via Francigenaに由来する場所らしく、考古学的には、カマイオーレの町の成り立つを解明する資料がたくさん彫りだされた広場なんだそうです。
もともと、近くに貧者や老人、また巡礼の人々を助けるための救護所があって、教会はどうやらそれに付属するものだったらしいです。墓地の跡なども、発掘されたそうですが、めぼしいものは、市立博物館に収められ、この場所では、痕跡は残されていません。ただ、周辺を緑地にしているのが、おそらく墓地の痕跡と言えるのでしょう。

説明版を読んで、面白かったのは、以前、他の土地でもお目にかかった、カンタベリーのシジェリコさんが、どうやらカマイオーレにも立ち寄ったという点。彼は、ローマからの道を、ずっと日記にしたためていて、確か大英博物館が、それを保管しているんだったのではなかったかしら。
千年ちょっと前ごろ、彼がこの地を通った時、この小さなサン・ミケーレ教会は、活発に稼働していたらしいんです。

建築のことも、地形のことも、よくわからないのですが、シジェリコさんなんて、既知の名前が出てくると、歴史ががぜん、近寄せられる感じで、ぐっと興味が沸いてきます。9世紀や10世紀のカマイオーレ、郊外に修道院があるだけの、小さな寺町だったのかな、と思うだに楽しい。

そして、旧市街のほぼ中心部には、もうちょっと後の時代に建ったサンタ・マリア参事会教会Collegiata di Santa Mariaがあります。
これは、カマイオーレが、ルッカの傘下になってから、13世紀後半に建てられたもの。




スタイルは、ロマネスク様式になっていますが、そのほとんどは後代の再建。見るからにネオ・ロマネスクなので、最初は素通りしてしまったのですが、あとから、あれだったか、と気付いて、中にも入ってみました。




どひゃぁ、こりゃ、だめだ!
それでも、何か残っていないのかしら、と例によって目を皿にして、なめるように説明なども読んでみると、かすかに…。




こんなの見ると、ちょっとほっとする。
でも、1291年ってあるから、創建の年かなぁ。これでも、本来の好みからは逸脱。でも、この字、かわいい。

どうやら、正面入り口近く一帯の基礎構造は、創建当時のものらしく、この碑文も、その一部として、塗りこめられずに残されたようです。

と言っても、この扉の隙間が往時のものと言われても、感慨も何も…。




でも、なんだかんだ言いながらも、写真だけは撮る。で、ちょっと気になったのが、扉のわきに開けられた穴。通気口みたいに、金網が貼られているんだけど、空洞が開いているようです。おそらく、古い構造が、鐘楼に続く階段を隠しているとか、なんかあるんでしょうね。なんで、こんなパステルカラーの漆喰ぬりこめ壁で隠しちゃうんだか。

ま、そんなわけで、長く由緒正しい歴史のあるカマイオーレの町ですが、痕跡が少なかったのは、残念。
一方で、町中にあふれている、なんか不思議な飾りは、興味深かったです。




お店屋さん、個人の家、大きな建物、教会や役所、どの壁にも、いろいろな形に並べられた液体入りのガラス瓶が置かれているんです。




それも、大量に。




これでもか、と並べたガラス瓶に液体を注いでいる人も。
訪ねてみると、やはりイースター関連のお祭りで、夜になると、これに明かりをともすんだそうです。教会から、聖体を担いで練り歩く行事の際に、町中が、ほのかな明かりにともされるということだと思います。

瓶の中に注がれたのは油で、赤いのは、燃やすための芯でした。




3年に一回だけのお祭りだから、是非見ていきなさいよ、と言われましたが、ルッカに泊まるので、それは無理。ちょっと見てみたい風景ではありましたね。おそらくとっても幻想的な風景が繰り広げられたのではないかと思います。
近郊から人々が来るのでしょうが、おそらく観光客は少ない土地と考えられるので、厳かなイベントと思われますねぇ。
これ、今年のイースターだったんで、次回は2019年ということです。ご興味のある方は、どうぞご予定を。

というわけで、この後、いよいよ、核心のモンテピサーノ地区に向かいます。

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  1. 2016/12/14(水) 07:26:23|
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こんなところにリゾートが。(ピエトラサンタとカマイオーレ1)

モンテピサーノ・ロマネスクその6

そろそろ昼時なので、焦りつつ、移動した先は、ピエトラサンタPietrasantaです。
目的は、サン・マルティーノ大聖堂Duomo di San Martino。




なんか、いきなり新しいんでびっくり。写真だと、あまりよくわからないかもしれないんですが、もう見るからに、これは違うだろう、という空気なんです。

それもそのはず、説明版によれば、もともと存在していたサン・マルティーノ教会の上に、今ある教会が建てられたのは、14世紀以降。思いっきりゴシック!って、後から自分のノートを見たら、やはりゴシック、と明記していたのに、なんで来たんだったっけ?

せめて、お隣に建つ塔が開いていれば、ちょっと面白そうだったんですが、クローズしていました。
塔も、15世紀とかの代物ではありますが、内部の階段の構造が、かなり面白そうだったんです。




説明版に掲げられていた写真ですが、レンガ積みで、変わったらせん状態みたいな。これは興味深い気がしました。が、閉まっていたのでは意味がありません。外は武骨で面白みないしねぇ。

ただ、ピエトラサンタに立ち寄ってよかったと思ったのは、この町、こじんまりとしていますが、なんだかとってもかわいらしいんです。オシャレなお店が点在していて、全体にとても洗練されています。旅の最後に立ち寄る予定にしていた友人へのお土産もゲットできたし、イタリアの田舎とは思えないオシャレなお店でランチをいただくこともできました。

確か、そのお店の人としゃべったのだったと思いますが、以前は、オシャレなリゾート地として、観光客も多くて、それでプレステージの高い店も多かったが、最近は不況で観光も思わしくない、というような話でした。
なるほどね。リゾートにはオシャレなお店がつきものですもんね。

次はカマイオーレに立ち寄る予定と言うと、不況で厳しいとはいえ、ピエトラサンタは、洗練された雰囲気をちゃんと保っているけど、お隣のカマイオーレは、もう終わっちゃっている、と厳しいお言葉!
お隣同士の、ライバル心ですかねぇ。

その、カマイオーレCamaioreに移動します。

ピエトラサンタと同じような規模のこじんまりとした街ですが、こちらは、おそらくもともとは、もうちょっと栄えていたのかもしれないですね。というのも、狭い旧市街に、教会が複数あるんです。加えて、町のすぐ外にも立派なものが一つ。
そして、その郊外にある教会が、最も有名かつ重要なんで、そこから行きます。

サン・ピエトロ教会Badia di San Pietro。
旧市街を出てすぐ、おそらくもとは修道院だったと考えられる作りを一部残して、この教会が建っています。




塀は、後付けだと思いますが、もともとこういう敷地で、修道院だったのだと思います。教会の名称も、修道院を表すBadiaとなっています。
今は、この塀の中は、大きな墓地となっているのです。




門をくぐると、教会。素敵な立ち姿ですが、ファサードを、見ての通り、鉄柵に阻まれて、横に回り込むことができません。ちょっと嫌な感じ。こういう建物なら、後陣も、絶対確認したいのにね。

脇に、中世の巡礼に関する説明版がありました。




ヨーロッパ中に張り巡らされた巡礼路。
中世当時でも、主要な道は、ローマ人起源のものをベースにしていると思いますが、そこからさらに多くの道が発達したのは、巡礼という現象を抜きには語れないのですね。道は、人々が絶え間なく踏み固めてこそ、道となるのですよね。気が遠くなるようなことですが、そうやってできた多くの道が、今なお残っているのですから、驚きです。

さて、かなりすっきりしたファサードから、内部も装飾性は期待せずに入場。




ごちゃごちゃとものが置かれているけれど、構造自体は相当すっきり、無装飾に近いですね。
後陣、何ともシンプル。




正直、ちょっと物足りない~。なんかないのか!
あ、ちなみにこーゆーものはありましたけれど、私の興味の範疇外なんで。




後陣しか無かろう!と思い、墓地の方に行ってみました。




本当に大きい墓地。カマイオーレに、こんなに必要かな、というくらい。
そして、教会には近づけず、また、後陣のあたりには、こんもりと緑があって、まったく見えませんでした。ちくしょ~、と罰当たりなつぶやきを口にしつつ、見学終了。

旧市街に戻り、マイナー教会を見学。続きます。

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パルマのマエストロご出張(カッラーラ3)

モンテピサーノ・ロマネスクその5

カッラーラCarrara、サンタンドレア大聖堂Duomo di Sant'Andrea続きです。
数珠繋ぎガジガジを堪能した後は、いよいよ入場!
目的がカテドラルの場合は、開いてない心配がないのは、いいところです。

と言っても、イタリアの場合、昼休みが長いのが問題で、ここも午前中は12時半までで、午後のオープンは16時でした。到着は12時過ぎだったので、危ないところです。




外観から、もしかすると、結構漆喰ぬりぬり系かも、と構えて入ったのですが、以外にも、往時に近い雰囲気というか。
今のカメラは、フラッシュがなくても、かなりいい状態の撮影ができてしまうのでびっくりですが、これ、実際はかなり暗いんです。石色も暗めなので、ちょっとどよーんとした古びた雰囲気が醸し出されていました。

先の記事でも触れましたが、このドゥオモの建築には長い時間がかかっていますので、様式も混じっています。外観の写真でもちょっと見えたと思うのですが、建物全体でいうと、ファサード側の半分くらいが、ロマネスク全盛時代に合致するもので、後陣側は、13世紀後半以降となっています。

それで、内部でも、手前側に、面白い柱頭があります。




非常にハイレベルな石工の技術を感じさせるアーカンサスモチーフの上部で、なんとここでもガジガジ!




これも、繊細な葉っぱに、渦巻きが組み合わされていて、面白いものになっています。技術もセンスもいいなぁ。
ファサードにある柱頭と、内部にあるこれら古い柱頭については、パルマの職人さん、ウィリジェルモさんWiligelmoたちの仕事とされています。
ウィリジェルモさんは、パルマのドゥオモ内に置かれたキリスト降架の浮彫で有名な方ですが、そこの工房の方々の仕事と考えられています。
パルマからカッラーラまでは、決して近くない道のり。そこを旅して、カッラーラにも、相当期間滞在して仕事をされたのでしょうねぇ。なんか、そういうところ、想像するの、結構好きなんですよ。パルマとカッラーラでは、内陸と海近くで、食生活も結構違っただろうし、とかなんとか。

全体は、灰色の壁がドカン、としていて、安藤忠雄的な?ちょっと寂しい雰囲気の本堂です。




でも、よく見ると、壁、灰色だけじゃなかった。




異なる石の組み合わせて、装飾的な色合いになってる。でも、色の石が薄れたり、後代の修復とかで全体に黒ずんでいるだけ、みたいになっちゃったのかな。寂しいなぁ。オリジナルは、かなり装飾的な壁だった可能性大ですね。

壁はともかく、外観のディテールがあれだけすごいんだから、この柱頭だけじゃなかろう、と目を凝らすと、やはりあちこちに…。




やはり、こういうプリミティブ系の表現に惹かれてしまいますねぇ。顔の向きも、いろいろ考えてるんだろうな。

そして、いました!




盛大にがじってます!




このモチーフ、面白すぎ!

暗闇に目が慣れてくると、さらにいろいろ浮かび上がってきた。




外部に比べると、内部はあまりケアされてないっていうか、見せようっていう姿勢はない感じ。




そういうのって、ちょっと残念。




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  1. 2016/12/11(日) 20:56:25|
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数珠つなぎでガジガジ~の動物満載(カッラーラ2)

モンテピサーノ・ロマネスクその4

カッラーラCarrara、サンタンドレア大聖堂Duomo di Sant'Andrea続きです。
外観の見学、続きますよ。時代はいろいろ混じっていて、必ずしも、ロマネスクに当たる時代のものだけではないのですが、テイストとしてはロマネスクで、とても面白い彫り物がたくさんありますから、ここはじっくりなめるように…。




素敵に幾何学モチーフのタンパンのある南扉のある側壁を回り込みます。縮尺を間違ったようなでかい塔がドカン!と脇に立っている後陣へ。




建物は、全体にかなり新しくなっていますし、特に上部は、スタイルはともかくとして、ロマネスク当時のものではないのが明らかですが、ところどころ、面白い彫刻が垣間見えます。




自ら、アンドレアスと名乗っているフィギュア。この教会が捧げられた本人ですね。でかくて武骨な手がとても印象的。
お隣には、なぜかこんな方が。




くねりとして、猫にも犬にもシロクマにも見えてしまう、不思議な動物のフィギュア。アンドレアさんのこと、まったく知りませんが、何か動物に関係しているのかな。
だってね、動物満載なんですよ。




それも、数珠繋ぎ系!
角っこにいる人をガジガジする順番待ち状態の怪物もしくは狼系の動物数珠繋ぎ。
角っこだけクローズアップすると、ちょっとダニエルさん的シーンに見えなくもない。




でも、ライオン数珠繋ぎはないよねぇ?ダニエルじゃないよねぇ?
それにしても、アップにもしっかり耐える、とてもキチンとした 彫り。人の表情もなんかとっても印象的というか、黒目まで入ってるし。
動物も、よく見ると、ライオン風や狼風やイノシシ風、中にはウサギ風まで混じっているの。




こっち側も、押せ押せぎちぎち!




この行列は、列にいる子たちも、それぞれ後ろから前のやつをガジガジやってるけど、先頭の角っこに行きつくと、いきなりがっぷりやられちゃってます。どひゃあ!




衝撃(?)の運命にびっくりしながら、再び側壁をファサードに向かって戻りつつ、ディテールをチェック。




こりは、犬、ですよね?いや、地獄の使者ケルベロスか?爪が半端ない。
でもね、遠目には、かわいく見えたんですよ。
だって、この一角、手前には、こんなやつがいたり。




反対側にはこんなやつがいたりするんで。




あまりの面白さに、写真撮りまくりでした。
これって、結構上の方にあるから、見上げないと見えないし、気付かない人も多いんだよね。普通人は上を見ながら歩かないからね。私が撮影していることで、気付いた人が数人いたと思います。

これは、側壁全体を撮影したものなんだけど、左側にいる乳母車の若いお母さん、じっと見てるでしょ。撮影しているとき、不思議そうに私を見た人だ。




いよいよ入場しますが、いったん切ります。

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  1. 2016/12/11(日) 19:44:39|
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ベンチも植木鉢も大理石製。近所で採れちゃうからね。(カッラーラ1)

モンテピサーノ・ロマネスクその3

フィラッティエラFilattiera で早朝を過ごした後は、一気に海側へと突き進み、次の目的地カッラーラCarraraです。
モンテピサーノと銘打っておきながら、モンテピサーノにたどり着くまでは、通過する土地の、見残しロマネスクを巡る旅となっています。




この、トスカーナ州の海側の一帯には、これまで訪ねる機会を得なかった、ロマネスク様式のカテドラルが点在しているので、この際、一気に訪ねることとしました。

カッラーラは、大理石の産地として有名で、今でも大理石を切り出している採石場がある土地です。ミケランジェロも、石を選ぶために通ったらしいですから、歴史的な採石場で、大変興味があり、いつかは絶対訪ねたい場所の一つでもありますが、今回はパス。

カテドラルを訪ねる時の問題は、カテドラルですから、当然旧市街の中心部にあるということ。こういう車で回る旅にとって、旧市街は鬼門ですし、そもそも、町中の運転は苦手ですから、なるべく事前に、旧市街近くで駐車できそうな道のめぼしはつけていきます。
どんなに時間がない時でも、山道の様子と、この都会の駐車場については、グーグルマップで、かなり細かくチェックするのが習慣です。特に時間に余裕のない旅では、都会の駐車場情報は、必ず必要です。

カッラーラの町は、そこそこの規模がありそうだったので、事前にここ、と思った道をピックアップしていましたが、大正解でした。

首尾よく、道端に駐車して、近くのバールでトイレ休憩したんですが。




なんかびっくりして、いきなり写真撮っちゃった。
カフェ・マッキアート(エスプレッソにちょっとミルクを入れた、カプチーノのミニ版)だったんですが、なぜかカプチーノ用の大きなカップで出てきたんで~。そして、頼んでもいないのに、水が出てくるのが、中部って感じで、旅気分となりました(ミラノでは、サービスで水が出ることはありませんが、エミリアなど中部では、出てくるバールが多いんです)。

旧市街には、自然に入り込むのですが、カテドラルは、駐車した場所からは反対側、ともいえるロケーションだったので、町を散歩することができました。こういうのも、車を一旦止めるよさですね~。
カッラーラの町は、変哲のない地方都市、っていう街並みでしたが、さすが、と思ったのが、さりげなくあちこちで目に入る大理石。




こんなベンチに使わないっしょ、大理石、普通は。
そのあたりで、ふと目を上げると。




岩山が見えます。白っぽい岩肌。これは大理石ではないとは思いますが、他の石も採れそう。そういう土地なんですね~。
そして、ドゥオモ広場に到着。
最初に目に入ったのは、やはり大理石のオブジェでした。




あるから、使うのは当たり前なんでしょうけれど、それにしても、ぜいたくっていうか。
そういえば、目抜き通りの商店街に、こんな地味なショーウインドーのお店がありました。




下にゴロゴロ置かれているのが大理石だから、石を彫ったり削ったりする道具を売る店と思います。他のウィンドウには、多種類の、円形ののこぎり歯のようなものも、たくさん並んでいました。世界中から、彫刻関係者が集まる街ですから、商売になるんでしょうね。印象的でした。

おっと、旅日記になっちゃってますが、カテドラル。




カッラーラCarrara
サンタンドレア大聖堂Duomo di Sant'Andrea

ファサードも、側壁も、後陣も、ディテールが大変楽しい教会でした。ドゥオモという脇には、比較的こじんまりとしている上に、建物に取り囲まれて、全体を把握できるスペースが足りない、せまぜましい場所に押し込められています。

パッと見でわかるように、結構長い時間かけて、今ある建物になっていますので、ファサードも、上と下では作られた時間が異なります。株は、11世紀から12世紀初期にかけてのもので、教会内部も、ファサード側の半分ほどがその時代。12世紀半ばから、管轄が、ルッカのサン・フレディアーノとなり、その後の建築には、ルッカ様式が導入されることとなるのです。ファサードの上部などは、さらにその後、14世紀に入って、ピサ様式で完成されたのだそうですよ。

このバラ窓は、結構新しいということです。確かに、ロマネスク・テイストからは、完全に逸脱しています。




でも、レースみたいで、すっごくきれい。それに、全体としては、時代が隔たっているのに、全体が装飾的で、しっくり調和しています。
正面の扉の装飾も、なんか独特。




タンパンが、幾何学モチーフの象嵌細工っていうのが、面白いですよね。モダンで、好みですし、他でこんなの見たことないですね~。
南側にも扉があるんですが、そしてそちらは、やはり14世紀とかだと思うのですが、やはりタンパンが面白いんですよ。




こういうのは、めったにありませんが、好き~!
そういえば、この夏訪ねた、フランスはオーベルニュのどこかに、こういう幾何学模様が並んでいるタンパンがありました。とにかく珍しいですよね。

さて、ファサードの扉に戻って、ロマネスク的に、特に見るべきは、側柱の柱頭だと思います。




すごい数の人物を並べた物語絵巻になっていて、ちゃんと黒目が入っていたり、着物の裾に穴がぽつぽつ開いているのは、キラキラものをはめ込んだりとか、そういう技のあとでしょうか?かなり技術の高い石工さんの手だと思います。

植物モチーフのところも、細かくてすごいですよ。




扉脇に、こんな浅浮彫のレリーフのはめ込み。




それから、こんなのもありました。




はめ込んだ色石が取れちゃってますが、かなり厚みのある石を入れているのがわかって、びっくりでした。こういう仕事のために、先ほどの商店で売っているような、いろいろな道具が必要になるってわけですね。道具や技術は進歩して、仕事は格段に楽になったでしょうけれど、きっと今でも、基本は同じでやっているんでしょうね。

ディテールを見だすときりがない教会ですが、やはり面白いので、じっくり行きましょう。
ということで、いったん切りますね。

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2016年10月および11月に読んだ本、備忘録

12月こそ、ちゃっちゃと毎日アップして、暮れまでにあれもこれも片づけて、すっきり新年のお休みに突入!なんて思っていたのに、甘い甘い。もう1週間が過ぎようというのに、やっと二回更新できただけじゃないですか~。

まぁ理由はいろいろで、仕事が忙しいうえに、クリスマス・カードづくりが佳境で、毎日しこしこやらざるを得なかったりして、ブログの暇がなかったり、忙しいのに人を招いて宴会したり、そんなこんなで。
カード作りは、今回妙に気合が入っちゃったので、後日、顛末でもアップしたいと思います。

さて、そんな毎日ですから、もちろん読書量も最低レベル継続中です。いまだ、通勤時間でのフランス語独学継続中なので、読書は、お休み前のひと時のみ。ちょっとだけ、と思っても、ついページを過ごしてしまうことも多く、そのせいか、ずっと眠気がひどかったです。結果、通勤中も眠くて、フランス語も上達なし。うーむ。

さて、数少ない読了本は、以下。

「照葉ノ露 居眠り磐音 江戸双紙28」佐伯泰英(双葉文庫)
「骨の島」アーロン・エルキンズ(ハヤカワ文庫)
「熱い絹 上下」松本清張(講談社文庫)
「クラインの壺」岡嶋二人(新潮文庫)
「山が見ていた」新田次郎(文春文庫)
「夜歩く」横溝正史(角川文庫)
「生存者ゼロ」安生正(宝島文庫)
「お葬式のナゾ」葬送儀礼研究会編(永岡書店)
「影の地帯」松本清張(新潮文庫)
「甘露梅 お針子おとせ吉原春秋」宇江佐真理(光文社時代小説文庫)
「イヴの眠り1-5」吉田秋生(小学館)

相変わらず、ばらばらの内容です~!
意外に面白かったのが、お葬式の話。数珠の話とか、「へぇ~」と思うようなことが多くて。と言いながら、すぐ忘れちゃうんですけれど。
小説では、生存者ゼロが、途中まで、すごかったです。半ばから、ちょっとだるくなるんだけど、かなり怖い。
松本清張は、たぶん、前回の本の市で、無料で入手したのだと思うのですが、時代が違っても、やはり、面白いものだと思いました。読ませます。

先月末に、また日本語本をごっそりと仕入れましたので、しばらくは読みやすい娯楽系の小説三昧です。

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石の魔力、半端なし。(フィラッティエラ2)

モンテピサーノ・ロマネスクその2

フィラッティエラFilattiera、ソラーノ教会(サント・ステファノ教会)Pieve di Sorano (Santo Stefano)続きです。




短い週末旅行のことですから、自宅を早朝に出て、フィラッティエラ到着は8時半頃。9時から開くはず、という情報を事前に得ていたため、まずは外を見てから、オープンと同時に中に入る、という計画を立て、順調に進んでいたのですが、9時になっても、開く気配がありません。

到着したときから、すでに仕事中の屋根職人の仕事を眺めたり、何度も周囲をうろうろ。




200メートルくらい離れた場所に、インフォメーションを発見したので、訪ねてみると、忙しそうにしているお兄さんがいて、地域の情報をくださいましたが、インフォメーションは、自然ガイド的な場所で、今も自転車ツアーの客を待って、準備しているところなのでごめんね、というあわただしい対応でした。でも、この地域、古い教会はいくつかあるよ、と山間の教会を教えてくれて、とても親切。
目の前の教会については、いつもはカギを開けに来る人がいるよ、という大変あいまいな情報しか持っていませんでしたが。

教会の裏は、地域の墓地となっています。そこからの後陣の眺めが美しいので、また戻り、撮影していると、墓守と思われるおじいさんが話しかけてきました。




鍵のことを訪ねると、ガイドさんと同じように、必ず誰かが開けに来るはずだということ。以前は一日中開いていたのだけど、最近、バンダリズムがあって、物騒なので、人がいるときしか開けなくなったということでした。
そういう教会、結構あるのですよね。
実際に、ミサに行ったり、祈りに行ったりしなくても、赤子のときに自動的に洗礼を受けて、自動的にキリスト教者となっている人がほとんどの世の中で、教会に狼藉を働く人がこれだけ多いということ、そういう話を聞く度に、単純にびっくりしてしまいます。
教会のものを盗んだり、壊したり、いたずらしたり、そういうことをしたら、何か罰が当たるかも、とは思わないんでしょうかねぇ。
私は、まったく信者でもないですが、教会に入れば、自然と、何かしら敬虔な気持ちになることが多いし、旅の無事を感謝したり祈ったり、家族友人、ひいては世界の安寧と平和を祈ることも多いのですけれど、そういう輩は、信者でありながら、そういう気持ちも感じないということなんでしょうかねぇ。

さて、そんなこんなを考えながら、正面にまわって、20分強、待ったでしょうか。9時20分過ぎに、大きな花束を抱えた女性が登場。絶対この人が鍵の人に違いない!と扉に向かうと、案の定でした。

どうぞ、と招いてくださったので、やっと入場です。




最初の感想は、「石だ~!」です、もちろん。
すっごい石積みが、中でも同様でした。




身廊を区切る柱とアーチに支えられた壁が、右側は、修復が激しいとはいえ、オリジナルの構造と作りになっているのですが、左側は、一部、補強のためなのか、アーチが閉じられています。




この面は、外側に、後付けの建物もつけられていたので(下の写真)、やはり補強のためではないかと思いますが、何とも無粋なことになってしまっていて、残念。




全体に、修復感が強いのですが、石の印象は、それでも強烈です。
装飾は極端に少なく、ほとんどないも同然。
柱頭の位置にあるのは、これ。




そして、これ。




これらは、装飾というよりは記号ですね。シンボル、とりあえずおいてみました、みたいな。でも、これだけのひっかいたような記号が、逆に単純だからこそ、妙にリアルに石工さんの仕事を想像させる感じもしました。

こんな地味な本堂ですが、実は、どうしても中に入りたかった理由があります。
それが、これ。




調べているときに、どこかで写真を見て、えらくかわいい浮彫なので、どうしても見てみたかったんです。
遠目では、よくわからないくらい、結構高い場所に掲げられていましたが、入場してすぐの左手なので、見逃すことはありませんでした。
下の写真で、わかるでしょうか。




スペインの軒持ち送りの彫刻によく出てくる、性的なモチーフのフィギュアっぽいですね。猿にも見えますが、いずれにしてもセクシャル系。どっから来たのかはわかりませんが、この地域、周辺で古代の石彫りがたくさん発掘されているので、そういう影響を受けた中世初期の浮彫ではないか、と勝手に想像しています。

堪能しました。これまで存在すら気付かなかったのが、改めて不思議になる、素晴らしい教会です。もしかすると、修復のために、公開されていない時期が長かったのかもしれません。
さんざん見たはずの外観を、最後にもう一度ぐるりと。




何度見ても、どの角度からでも感動する石積みです。
旅の最初に出会う教会のレベルがこれでは、先に対して期待もするし、もしかしていきなりピークか、という心配も感じてしまいますが、このときの旅は、期待通りの結果となりました。




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武骨なつけ柱にうっとり(フィラッティエラ)


モンテピサーノ・ロマネスクその1

なんと、今年もいよいよ師走に突入!
毎年のことですが、時の流れの早さには、ただただびっくりするのみです。

そしてまた、なぜか、お約束のように忙しなくなりますね。
私生活は、特段変更はないはずなのに、なぜか時間が足りなくて、毎日寝不足が続いて、眠くて仕方のない日々を過ごしているし、仕事は、すでに忙しくて、したくもない残業なんかもする羽目になったり。師走の魔力、恐るべしです。

そんな中、年末で区切りがつくようにするために、何をアップしようかな~、と考えていましたが、この春に急ぎ足で回ったモンテピサーノを選びました。おそらく年内には終わるような記録だと思うのです。
と言っても、このさぼり体質では、ちょっと覚束ないものもありますが。

とりあえず、始めてみることにしますね。

モンテピサーノは、ピサの町の北部から東部にかけての一帯です(私の理解では)。




数年前に、ピサやルッカを巡ったことがありますが、その時には完全ノーチェックでした。いくつかの写真を見て、イースターの祝日を使った週末旅行の行き先としては最適ではないか、と思ったのです。

ミラノから車で行くため、ルート上にあって、これまで訪ねる機会のなかったロマネスクをついでに訪問することも目的として、旅程は以下となりました。




ミラノから、ローマへ向かう高速A1に乗り、パルマの手前で、リグリア州のラ・スペツィアへ続く高速に乗り換え、海沿いを南下するというルートです。週末旅行という短い日程なので、欲張らずに、押さえるところだけをしっかり押さえる、という禁欲的修行旅。

というわけで、モンテピサーノとうたいながら、まずは、そのずいぶん手前の土地からスタートです。
この辺り一帯は、ヴィア・フランチジェーナVia Francigena、つまりフランチジェーナ街道の、本道や支線が入り乱れる土地。かつて、フランス方面から、聖地ローマ、さらにはエルサレムまで続いていた巡礼路です。
サンチャゴの巡礼路に比べると、知名度は格段に低いとはいえ、最近では整備も進み、イタリア内では、サンチャゴ巡礼をするように、このフランチジェーナ街道を歩く人々も結構増えてきているようです。
巡礼路ですから、各地に教会があるのは、サンチャゴ同様です。

特に、このポントレーモリ一帯は、かなりの山間部であり、険しい山間に教会や礼拝堂が点在しているようなのですが、知名度が低く、あまり宣伝もしていなかったり、長年にわたる修復で閉鎖されていたり、おそらくそういったことから、私も気付かなかったのだと思うのです。




ポントレーモリは、エミリア州からトスカーナ州へと州境を超える山間の高速A15を進んでいくと出会う峠の町。その近くの国道沿いに、フィラッティエラという村があり、そのはずれにあるのが、ソラーノ教会(サント・ステファノ教会)Pieve di Sorano (Santo Stefano)。




ここは、本当に驚きでした。こんなに印象的な教会を、なぜこの時まで、まったく知らなかったのか。そして、イタリアのサイトでも、ほとんど紹介されていないのか。

ファサードは、未完成なのか、それとも、後代にこうなっちゃったのかわかりませんが、遠くからのたたずまいの雰囲気に比べると、近づくとちょっとがっかりする感があります。が!はやまっちゃいけません。
扉が閉まっていたので、とりあえず、裏にまわってみて、もう言葉を失いました~!




この石積みは…!
なんというか、まったく予想外のたたずまいだったので、度肝を抜かれた、という感じです。




ほとんど石積みだけの装飾なんですが、なんという迫力。ただ圧倒されます。




身も心も釘付け状態でした。
だって、こんな、ちょっと武骨な感じの石積みなのに、なんとピサ様式、しっかり踏襲していて、ちゃんとひし形モチーフ、作ってるんです。




これ、本当に気に入りました。
開口部の厚みも、半端ない。




なによりも、石が豊富な土地なのでしょうね。惜しげなく石。色彩も多様だし、切り方も多様です。つけ柱の石は、ちゃんと円形にカットされていますよね。それも武骨なプリミティブな感じに、ぞくぞくです。

後陣を、それこそなめるように見学している最中、今思うと、相当だらしないへらへら顔をしていたのでは、と思います。かなり我を忘れていたような。
でも、これじゃ我を忘れますわ~!




私の付け柱好きは、たびたび言及していますが、ここのつけ柱は、唯一無二。こんなのほかで見たことない。いやはや。

そういえば、よく見ると、彫り物もあったんだけど。




ここでは、あってもなくても、ま、気にしない、っていう感じ。
でも、これまた原始的でかわいいけど。
なんせ、創建は相当古そうなんですよね、この教会。それも、もともと聖地みたいな場所で、古代の遺跡もザクザクみたいでした。

続きます。

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  1. 2016/12/02(金) 06:30:42|
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