fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

また今年も。

師走になると、なぜ?ってくらい忙しくて、暮が近づくにつれ、何が何だか分からなくなってきます。今年は、比較的仕事が穏やかな期待ができたので、安心していたのですが、やはり同じ結果に。なんなんですかね?

さて、ブログ、今年の目標は、毎日は無理でも、とにかくせっかく訪ねたロマネスクの、記憶が薄れないうちにアップ、だったですが、うーん、なかなか達成できないまま(これ、去年も、ほぼ同じこと言ってると思います…)。でも、後半はちょっとましだったかと思っています。とはいえ、まだ、去年のスペインとか、この夏のフランス、そして、合間にちょこちょこ出かけているイタリアなど、アップできていないものが、山ほど積まれているのが現状で、自分の怪しい記憶力との戦いとなってきております。だから、後半はちょっとだけ、頑張れたんですけれど、全然足りませんね。

来年も、すでにイースターの予定が入っていますし、夏に向けても、いくつかある連休についても、いろいろ構想(妄想)中で、探訪の勢いが衰える様子はないので、結局たまっていく一方ではありますが、まぁ焦らず、マイペースでやっていきますので、どうぞよろしくお願いします。

明日より、約2週間、一時帰国しますので、ブログもお休みとなります。
亀の歩みのブログに、いつもお付き合いくださる皆様、今年一年、ありがとうございました。来年が、皆様にとって、素敵な一年になりますよう、お祈りしています。
どうぞ、よいお年をお迎えください。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
スポンサーサイト



  1. 2016/12/31(土) 05:29:21|
  2. ミラノ徒然
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

ルッカでの、入店拒否と、すってきな老舗レストラン

モンテピサーノ・ロマネスク、番外

この週末旅行で、宿泊したのはルッカです。
クルマが停めやすく、旧市街にも歩いてアクセスできる、城壁外のお手頃なB&Bに泊まりました。
だから、夕食前に、ルッカの町を散策する余裕も持てました。




サン・ミケーレ教会Chiesa di San Michele。

ルッカは、以前じっくり回ったので、今回はお散歩だけ。
夕暮れの町は、実に美しかったです。そして、モンテピサーノの町村では、どこも人が少なかったのに、ルッカはさすがに観光地で、旧市街は大変な賑わいで、なんか戸惑いました。




サン・サルバトーレ教会Chiesa di San Salvatore。

B&Bで、レストランのリストをくれたので、町に出る前に、行き先をブーカ・ディ・サンタントニオBuca di Sant'Antonioに決めました。
数年前に姉と来た時に、ランチをいただいた店。というのも、その時おいしかったし、ホテルから最も近い位置にあったから。

予約はできなかったけれど、開店と同時に行けば、一人ならおそらく大丈夫だろう、と、散歩で時間をつぶして、開店の19時半に到着。

扉を開けると、迎え入れてくれたボーイさんが、「おひとり様ね、大丈夫ですよ」とすぐにテーブルに案内しようとしてくれたのですが、その途端、奥から年かさの男性が出てきて、「ちょっと、予約ある方?」と私にか、案内しようとしたボーイさんにか尋ねたんです。
ボーイさんが、否定すると、「それなら、悪いけれど、今夜は予約でいっぱいです」と、慇懃な調子で、断りを言うのです。

イースターの金曜日だし、そういう可能性はあるとは思っていましたが、本当に予約でいっぱいなら、スタッフがわかっているはずだし、そうでなくとも、開店と同時に一人だったら、ほとんどの場合は、受け入れ可能のはず(週末の夕食だから、遅くからの予約も多いはずなので)。一人客は嫌だったんじゃないでしょうか。入店拒否だと思います。
いろんな意味で、びっくりしたし、納得しかねる気持ちでしたが、暴れても仕方ないので、では残念です、と出てきました。

それなら最初から、もっと早くに開いている店に行けばよかったのに、と歩きながらむかむかしてきて、ダメもとで、いいレストランにトライすることにしました。




レストランジリオRistorante Giglio。
時間が遅くなってしまったし、それこそ断られるかな、と思って入ったのですが、対応してくれたボーイさんは、すぐにオーナーらしき女性のところに行き、状況を確認してくれます。オーナーさんが直接やってきて、8時半までならテーブルがあるけれど、どうかしら、と言います。すでに19時半を回っている段階なので、1時間もなく、それはちょっと厳しいので、と断ろうとしたら、もう一度、予約帳を見直して、「いえ、21時までは大丈夫。ちょっとくらい過ぎても平気だし、どうかしら」と、やりくりしてくれるのです。

それなら、ゆっくり飲めそうだと思ったので、ありがたくテーブルを頂戴しました。

とてもクラシックな、重厚な雰囲気のレストランです。




こういう店なら、がっつりと前菜とメインをいただきたいな、と思い、メニューを検討した後に、ボーイさんに、量を聞いてみました。
「うちのお皿は、結構ボリュームがありますよ。」と言います。実は、前菜もメインもいただきたいのだけど、あまり量があると、食べきれないし、と迷うと、「それなら、ハーフ・ポーションで出しましょうか」と提案してくださったのです。

ええ~、そんな親切あり?それも、結構いい店なのに?
半信半疑で、ご迷惑でないなら、是非お願いします、ということになりました。

せっかくなので、ワインは、グラスではなく、ハーフ・ボトル。もちろん、地域の赤をお願い。

前菜の前に、突き出しが供されましたが、カリフラワーのクリームに、アンチョビが添えられている逸品で、この後にお皿に期待できるお味です。

私がお願いした前菜は、大好きな生肉!




生肉は、あまりたくさんはいただきたくないので、前菜でちょうどいいし、このハーフ・ポーションの量は、ちょっと後を引くくらいで、ベストなボリュームです。

セコンドに行く前に、お皿が出されて、なんだと思ったら、なんと、オリーブオイル!




これ、すっごくおいしいから、食べてみて、と。
イタリアって、フランスと違って、レストランで、パンにバターを付けて食べる習慣がなくて、パンはパンだけ。日本の白いご飯に近いんです、役割として。
だからこんなサービスって、初めて。

実は、後日、フィレンツェに長く暮らしていた友人と話したときに、ルッカのレストランの話となり、私が名前を失念していたところ、もしかして、オリーブオイルのおいしい店?ということで、無事、レストランを確定することができました。どうも、レストランが関与したオリーブオイルらしいんですよね。
だからと言って、売るわけでもなく、メニューに載せているわけでもなんですけれど、どうも、本当においしいから、みんなに味わってほしい、というようなそういう感じで、とっても好感度高かったです。
本当においしかったんです。

そして、セコンド。




肉の煮込みとぽれんただったのですが、これまたハーフでよかったよ~、という量でした。
素朴な家庭料理ですけれど、おいしかったな。

ハーフなのにお腹いっぱい。ワインもぐいぐいいただいて、とてもデザートは無理。で、お約束のグラッパをいただきました。
ごはんはハーフなのに、ワインはしっかりハーフ・ボトルをからにした上、グラッパまで飲む東洋人。お店の人にも、あきれられたかもしれません。

お勘定の段になって、「ハーフとか言いながら、おそらくお勘定はハーフではないだろうな。」と思いながら、レシートを見てびっくり。本当にお勘定も、ちゃんとハーフでした。
それなのに、至れり尽くせりのサービスで、いやな顔一つせず。
お勘定をすましたとき、ちょうど21時で、大満足です。オーナーさんも、わざわざ見送りに来てくれました。

夜景を楽しみながら、ホテルまで千鳥足。




旅で出会うおいしいご飯って、本当に幸せ。

ごはんでは、この他にも、ちょっと面白いレストランに出会ったりしたのですが、それはまたの機会に。
モンテピサーノ、是非また訪ねたいと思います。そして、この素敵なレストランを含めて、ルッカも。

お付き合い、ありがとうございました。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
  1. 2016/12/31(土) 04:58:34|
  2. イタリアめし
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

多分ここに行った日本人は初めてだと思う修道院(カルチ2とフチェッキオ)

モンテピサーノ・ロマネスクその15

カルチCalci、サンテルモラオ・エ・サン・ジョバンニ教会Pieve di Sant'Ermolao e San Giovanni続きです。




美しい青石、いつまでも見ていたいですが、中にも入ってみます。
おお!




青石とは違った衝撃!漆喰ぬりぬりでした~!
柱頭は、往時の姿が取り戻されているようです。




きっと、この柱頭も、漆喰とか黄金ぬりぬりの時代があったのではないか、と想像します。
でも、この、ピカピカの本堂に、そのピカピカとそぐわないものが、一個だけあります。




これは、びっくりしました。事前メモを見たら、ちゃんと11世紀の洗礼盤、と書いてあったんですけれど、瞬時に、何もなかろう、と思い込みそうなピカピカぶりでしたから。
11世紀なのかどうかはわからないのですが、ロマネスク全盛期のものであることは、スタイルから言っても、そうですよね。
一つ一つの彫もとってもいいんです。




人物の、表情も、衣装の表現も、とってもハイレベルな石工さんの仕事ですよね。それに加えて、アーチや、柱にも、とても凝っているのが、印象的。




もっとずっと縮尺の大きい説教壇なんかでも行けるし、このまま、教会そのものの装飾といっても通用しそうな作品です。アーチの隙間に置かれた天使とか、ミニチュアの柱頭とか。




透かし彫りっていうか、浮彫じゃなくて自立した彫刻ですね。
危うくたっているような円柱が味わい深いです。

これ、洗礼盤としてはかなり大きくて、上から見ると、こんな作りになっています。




手前は古そうですが、半分以上は、再建という感じですね。それにしても、大きいし、不思議な作り。そもそも、11世紀だと、もう全身浸かる時代ではないので、階段式なのは不思議だし、真ん中のスペースは小さいし。単に水をためるシステムで、四隅が洗礼盤として使われていたとか、そういうものなのかもしれないですね。

この洗礼盤のおかげで、中に入れた喜びが何倍にも膨れ上がりました。やはり、写真だけではわからない宝物がいっぱいあります。ロマネスクは、現場に行くしかないって、改めて再確認しました~。

で、その再確認をもって、次に向かったのが、フチェッキオFucecchioという町なんですけれど~。これは、逆の意味で、行ってみないと、と思わされたのでした。
目指したのは、サン・サルバトーレ修道院Abbazia di San Salvatore。




ここは、大きな謎でした。
というのも、事前に調べた教会の中で、最も興味がもてそうな場所には、星を付けるのですが、ここ、二つ付けていたんです。結果として、ロマネスク的収穫は、限りなくゼロ。自分が、何をどこで見て、二つ星を付けたのか、今となっては、大いなる謎なんですよねぇ。

丘の上に町があるので、ふもとに車を止めて、坂道を登って、教会にアクセスしました。




教会の裏側が町になっていますが、ファサード側は、高台から新市街を見下ろすという絶景です。修道院の前身に、10世紀ごろ教会があったそうなのですが、そのころはきっと、ここからの眺めは、ただの緑だったんだろうと思います。

教会はクローズ。外がこんなでも、もしかしたら、中には、そういう古い時代の名残があるのかなぁ、と悩みました。教会前は、人々の憩いのスペースとなっていて、輪になっておしゃべりに興じる暇そうなじいさんが数人いたので、ちょっと話を聞いてみました。




東洋人がやってきて、うろうろしながら何かを探している様子は、おそらく、彼らも気になっていたのでしょう。話しかけたら、すごく盛り上がってくれました。教会の中は、美しいものだから、是非見ていくといい、そこの扉を入ると、修道院の窓口があるから、頼めば開けてくれる、と言うじゃないですか。

これはもしかして、ビンゴ?とワクワクしながら、示された脇の扉を入ると、鉄柵で遮られ、顔が見えないようになっている窓口があり、頼むと、では、中から扉を開けますので、そちらで待っていてください、と修道女さんが言ってくださいました。
なんと、現役の修道院なんですね~。びっくりでした。

ドキドキして、中央のドアで待っていると、すぐに扉が開けられました。興奮、絶頂!
そして!




こ、こりは…!
シュポーン、と興奮がはじけて、どっと疲れを感じました。
それでも、もしかして、クリプタとか、何か…?と思い、扉を開けてくれた修道女さん、さっさと姿を消そうとしている彼女に追いすがるようにして、あの、クリプタとかあるのですか、と尋ねると、いえ、ありませんよ、ここまでしか見せてあげられないのよ、と淡々と奥に姿を消してしまいました。

でも、面白かったのは、右側の上方にある窓から、修道女さんが二人ばかり、じっと、私を見下ろしていた姿が目に留まったのです。




私が、彼女たちに気付いたと思ったら、慌てて姿を消されましたが、あの窓は、修道院につながっているのですね。なんだか知らんが、東洋人が見に来たぜ、ということで、きっと私を見に来たんだろうな、と思います。その日の、ちょっとしたニュースを提供したのかも、私。

あとから、説明版を見てみると、確かに起源は古いので、床下などから、何か出てきたりしているそうですが、とにかく全部新しくなってしまっているので、今は往時の姿はどこにも見ることができないようです。
わずかに名残を感じるのは、ファサードに、ちょっとだけ残されている、これかな。




古い構造をなぞった窓の跡。

じいさんたちには、どうだったか、きれいだったろう、と自慢げに言われ、ゆがんだ笑顔になってしまったと思いますが、それでも、確かに現役の修道院に触れた面白さはありました。
同時代の城跡があって、どちらかというと、そちらの方が、往時の姿が残っていて興味深いから、是非見ていけ、と言われて、わかりました、と言いながら分かれてきましたが、もう元気がなくなってしまい、結局、これで、今回の短い旅は終了。ちょいと尻すぼみですね。
でも、得るものの大きい旅でした。
この地域、まだまだ、訪ねるべき場所が結構あることも分かったし、ピサ様式のバリエーションって、本当に幅広くて、そして好みだし、また短い旅をしてみたいと思います。

ちなみに、このフチェッキオの修道院。私以前に訪ねた日本人がいるだろうか?と、ふと考えてしまいました。

番外編、続きます。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
  1. 2016/12/30(金) 06:15:20|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

衝撃の青石と、愛らしいやつら(カシーナ2とカルチ1)

モンテピサーノ・ロマネスクその14

カシーナCascinaの、サン・マリア・アッスンタ・エ・サン・ジョバンニ・エバンジェリスタ(聖マリアと福音書家聖ヨハネ)教会Chiesa di Santa Maria Assunta e San Giovanni Evangelista続きです。




中に入ります。




ここも、基本はすっきりシンプル。装飾はミニマムです。
後陣は、真っ白の漆喰塗りたくりで、ちょっと残念な姿になっていますしね。

全体に修復及び再建の様子が著しく、期待できないなぁ、と思いつつ、柱頭をチェック。




柱頭そのものは、なかなか味がありますが、上も下も、すっきりと新しすぎ、ですよね。
でも、あきらめずに、目を皿のようにして宝探しをしていると、やっぱりありました!




側壁に、さりげなくくっついているのは、かつてどこにどうやって置かれていたものやら。なんとも言えない愛らしい動物のフィギュア。
角っこは、これ。




堅そうな石だし、これが精いっぱい、という感じの彫が、何とも愛らしいです。

アーカンサスモチーフ中心の柱頭は、それぞれ、なかなかのものですが、全体の雰囲気は、ちょっと残念かな。あまり手が入ると、どうしても雰囲気が損なわれますけれど、でも、現役教会であるためには、仕方ない部分もありますね。




ちょうど12時ごろ、見学終了。まるで、事前にきちんと図ったかのようなスケジュールとなりました。

ここでランチにする選択肢もあったのですが、時間的に余裕があったので、次に向かうことにしました。目指すは、カルチCalciです。

私が到着したとき、なぜか村の中に入ることができなかったのですが、近くに駐車場を見つけることができたので、事なきを得て、すぐに教会に向かいました。




サンテルモラオ・エ・サン・ジョバンニ教会Pieve di Sant'Ermolao e San Giovanni。
後ろからアクセスすることとなりましたので、まずは、ここでも、巨大な塔の姿に、びっくりすることとなりました。

はやる気持ちで、ファサード側へ。
というのも、ここは、ファサード側の写真を事前に見ていて、すごく気になっていたんです。




!!!
わかるかなぁ。写真だと、この衝撃は、きっと伝わらない…。
何が衝撃かというと、この写真だと、濃いグレーにしか見えない石、実際には、相当青とか紺に近い色なんです。
カシーナでも、白石と合わせてはめ込み装飾に使われていた色、どうやらオリジナルは、黒というよりも紺。激しく印象的なんです。




そもそも、地の砂色に白だけでも、かなりのインパクトなのに、この紺色は、すごいコントラストです。




加えて、この、横に伸びたスタイルがまた、印象的。横に長く、どこまでもアーチを続けて、永遠の表現になるのでしょうか。執拗な表現ですよね。好きです、ここ!
だってね、さらに、改めて後ろに回るとね、もう泣きたいくらい好きなものが!




おわぁ~!(意味不明)




どひゃぁ~!




ぎゃぁぁ~!




まだあったぁ~!
もう、ぜえぜえ、興奮しちゃいましたよ~!
こんなにかわいいものたちが、この、何の変哲もない地味な後陣のあちこちに、さり気にはめ込まれているんです。




これって、宝探ししないと、当たり前のように、無視して通り過ぎちゃうような後陣、というか、あえてきちんと見たい気にさせてくれる後陣では、絶対にないですよね。
でも、結果としては、あきらめちゃいかん!現場主義は、観察が大事!と思わせてくれる後陣。いや、嬉しかったなぁ。
期待していたファサードは期待以上。さらに、予想もしていなかったロンゴバルド風彫り物に出会えるなんてね。

続きます。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
  1. 2016/12/28(水) 05:16:52|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

単なる間違いか、それとも?の左右非対称(カシーナ)

モンテピサーノ・ロマネスクその13

イブに飲みすぎて~、また思い切り計画狂ってます~!
モンテピサーノをサクサクとアップして、後は年内に、半端なものをどんどん、しめしめ、と思っていたのに、気付くと、クリスマスの祝日も終わらんとしている今、モンテピサーノだけでアワアワ…。ま、いつものことですが。

さて、佳境。
カシーナCascinaです。

次の行き先確認で事前メモをチェックしたところ、オープン時間が毎日8/12となっていたので、泡を食ってヴィコピサーノ発進。幸い迷うこともなく、20分強で到着し、珍しく悩むこともなく適切な駐車場を発見。

旧市街に入った時は、11時45分ごろ。




ポルティコのある立派な道は、おそらく町の中心だろうと思い、突き当りに見える塔のあたりを目標に、急ぎ足で移動します。
そうしたら、塔の手前、右に入る道に、目的の教会の表示がありました。素直に従って、小路を抜けると。




サン・マリア・アッスンタ・エ・サン・ジョバンニ・エバンジェリスタ(聖マリアと福音書家聖ヨハネ)教会Chiesa di Santa Maria Assunta e San Giovanni Evangelista。
見通しのきかない道の先で、不意に出会う麗しいファサード。これって、毎度にっこりしてしまう状況です。

それにしても、これまた愛らしいピサ様式。すっきりくっきり、すがすがしいファサードです。




ひし形を囲むように並べられた白石と黒石。黒というより、青に近い色合いなのですが、本来は、もっと濃い色のはずなので、コントラストの面白さがあったと思います。脇にあるアーチの根元に置かれた、小さな象眼はめ込みもかわいい。
そして、切石の積み方も、石色が明るいだけにすごくくっきりわかりやすくて、面白い~!




これだけきれいに切れるのだから、何も複雑な形にする必要はないと思うんだけど、すごく複雑。端材利用?それとも、組み合わせで強度を作っているのかな。
そういうところに気付くと、なんかいろんな不思議が。
例えば、右側扉の位置。




ファサードの装飾となっているアーチに沿って、十字架は、その真ん中の位置にあるのに、なぜか扉は、真ん中じゃなくて、中央寄りにくっつけて開けられているんです。
あれ?と左側の方を見ると、ちゃんとシンメトリーに収まってる。




なぜ?
トップの写真を見ていただけると、違いが分かりやすいです。
どうやら、右側が、ほんのわずか、幅広みたいなんですよね。でも、全体のデザインはシンメトリーにしたい、扉も同じ位置に開けたい、ということで、こうなったのだと思われます。よく見ると、開口部のないアーチ下にあるひし形も、大きさが違う=アーチの径が違う様子が見られます。
なんか、とんでもなく複雑な計算をしているのか、単純にずれちゃったのか、わかりにくいんですけど、さて、どうなんでしょうか。

南側壁。




ずらりと軒送りが並んでいます。ここもヴィコピサーノ同様に、デザイン的お干菓子ずらり。かわいい~!




外観で見るべきは、実はここ、塔があるんですが、かなり思いっきり自立しちゃっているんです。




右側にあるのが、それ。超武骨なキューブが縦長になったタイプ。市壁一体型で建てられるようなタイプのものですが、ここは旧市街中心部なので、そういう役割のはずもない。こんなに離れているということは、起源が異なるのかもしれないですね。




でも、すごく立派。

ちなみにここ、後陣は、まったく見ることができません。一応ぐるりと歩いて、探ってみたのですが、横も後ろもびっしり住宅。




これが、ちょうど右側に後陣のあるあたりです。隙間もなく住居が立ち並んでいました。

内部は、次回。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
  1. 2016/12/26(月) 18:40:33|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

斬首と言われても、なんて可愛い…(ヴィコピサーノ)

モンテピサーノ・ロマネスクその12

いよいよ、モンテピサーノ自慢のロマネスク。まずは、ヴィコピサーノVicopianoです。

比較的大きな街道をそれて、対抗二車線の田舎道を進むと、突き当りといった場所にあるのが、この町。左手の丘の上に、城砦が確認される、典型的な中世起源の町です。




参ったのは、お祭りなのか、単にイースターの週末だったからなのか、車があふれていて、町の手前に設けられた駐車場はいっぱい。結局、相当離れた場所の路肩に何とか隙間を見つけて、やっとの思いで駐車しました。とはいえ、こういう田舎だと、駐車どこでも無料で、禁止もされていないので、運転技術に難あり、の私には、大変助かります。




10分近くも農道のような道を歩いて、町に戻りましたが、その間も、駐車場所を探す車が次々と来るし、人々の行きかいも激しかったので、やはり何かイベントがあったのでしょう。

町の入り口に戻ると、すぐ目的の教会です。




サンタ・マリア・エ・サン・ジョバンニ・バッティスタ(聖マリアと洗礼者ヨハネ教会)Pieve di Santa Maria e San Giovanni Battista教会。
奥の方のちっこいやつ。
手前のは、もしかして、ゴシック以降に後付けの修道院とかでしょうかね。今は何かの施設に使われているようでしたが。

それにしても、気持ちの良い空間です。前に広がる緑で、子供たちがのびのび遊んでいるのも、いい感じですよね~。

そして何より、遠くからでも、ピサ様式の教会の美しさ、光っています。




ピサ様式の基本を押さえた、非常にすっきりとした装飾も好ましいです。なぜ、ピサ様式、こんなに好きかなと思いますが、おそらく、そのデザイン性とか、シンプルな装飾性なのかなぁ。アーチとつけ柱と、ひし形彫りこみ。うっとりします。

全体に、修復と後付けの再建が幅を利かせている様子もありますが、ピサ様式の場合、そういったものが、嫌らしくなったりしないし、オリジナルをあまり邪魔しないような気がします。




そして、ここに来た最大の目的は、なんとファサードにありました。




この浮彫!
これをどこかで見て、モンテピサーノ、行かねば、と思った浮彫です。
ファサード、向かって左端に、結構大きなサイズではめ込まれていました。
解釈はいろいろあるようなのですが、教会が捧げられている洗礼者ヨハネの斬首の場面、というのが、最もありえそうな説。
中央の人物が長衣で、両側が短衣なので、民族争いとか、権力争いとか、そういう解釈もあるみたいです。
いずれにしても、血なまぐさい様子はします。が、それよりなにより、ロンゴバルド風の不思議な表情や、縮尺の大きく狂った腕の長さとか、そんなのが、すっごく好き~!

これを実際に見られただけで、すでにすごい達成感を得ましたが、もちろん、これ以外にも、見どころはたくさんある教会です。

例えば、北側の外壁。




南側は、お隣の建物が迫っていたりして、アクセスもできないのですが、道に面したこちら側の壁では、軒送りの装飾がずらりと。
朽ちたりもしているんですが、アーチの根元と、アーチの下に、いろいろなモチーフの彫り物が飾られています。




最近お目にかかっていない、お干菓子文様、またはビスケット文様!




農耕馬っぽいフィギュアに、溶けようも激しい人物フィギュア。
素朴な彫り物ばかりで、先ほどのファサードのすっきりした浮彫とは全く違う手です。こっちは、地元の石工さん作かな。

勢いで裏側にも回ってみたら、後陣は、まるで人の家に入り込むようにしてしか、見ることができませんでした。





ぎゅうぎゅう詰めになっています。よくぞここまで詰めて建てちゃったよね、という状態ですが、それでも、本来の形を取り崩すことがなされなかったことを感謝です。

入場!




とてもシンプルな作りで、石の質感と、すっきりした装飾が、ファサード同様に印象的。おそらく、柱は、再利用の品ばかりで、一本一本が異なるスタイルなんです。実は、そういうの、すっごく好きで。




柱頭も、同じでしょうね。だから、いろんな時代の、いろんなアーカンサスが並んでいて、それもまた趣があります。
出自も時代も違うものを再利用するために、下駄をはかせたり、削ったり。考えたら、結構壮大なエコ。
ロマネスク時代のものと思われる柱頭は、いずれも植物モチーフの、大変デザイン的なものでした。




単純でつまらない、と思われる方もおられるかもしれませんが、これだけシンプルですっきり彫るのって、かえって大変なような気がします。




余白の始末も、結構大変だと思うし。ローマやギリシャ風のアーカンサスは、余白を埋め尽くす、という意味で、西洋美術の近代に通じる、余白怖がりトレンドを感じますが、この余白すっきりは、どうでしょう。技術の問題もあったのでしょうが、美意識の違いっていうか。

壁には、うっすらとフレスコ画も残っています。時代はちょっと後ですね。




モンテピサーノ・ロマネスクの素晴らしさ、ちょっとはお伝えできているでしょうか。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
  1. 2016/12/24(土) 23:50:21|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

道は複雑だけど(たぶん)、人々の親切がしみわたる土地(カパンノリ)

モンテピサーノ・ロマネスクその11

翌日は、モンテピサーノを堪能する予定で、最初に向かったのは、カパンノリCapannori。
しかし、道をいくらも行かないうちに、すでに大後悔です。
というのも、場所の検討が、皆目つかなくなってしまったからです。ナビがあるにも関わらず。

ナビという強い味方があっても、基本的に、聞ける人がいる時には、ちゃんと道を確認するのが習い性です。で、出発前に宿に人に尋ねると、この道まで行ったら、後はひたすらまっすぐ行けば、大丈夫、と言われたんです。でも、行けども行けども、どうにもつく様子がないうえに、ナビは、左に曲がれ曲がれと、呪文のように繰り返します。最初は無視していたのですが、あまりにしつこいし、まっすぐもいい加減来ているから、ちょっということを聞いてみるか、と左折。

そうしたら、例によって、またもや予期しない教会に遭遇しました。




明らかに目的の教会ではないよね?と思いながらも、一応車を降りてみました。
看板には、サン・パオロ教会(カパンノリ市)とあります。目的とは違うけれども、一部壊れた説明版によれば、「8世紀ごろの創建と考えられ、地域で最も古い教会。現在見られる一身廊の構造は、12世紀の建築物」とあるではないですか。
ふーん。
では、鑑賞していきましょう。

確かに余計な構造物をのぞいていくと、ピサらしい本体が見えてきます。




無粋なポルティコにほとんど隠されてしまっているファサード上部は、美しいアーチ装飾となっていて、よく見ると、なんと!




なんかいるじゃないですか!
右側にも!




これはワクワクしますよね。浮彫の置かれ方が、何とも地味で、でもいい感じ。




かなり朽ちているし、時代も混じっているけれど、雰囲気あります。アーチのところは、みんな動物レリーフなんです。




手前の柱頭彫刻は、ずいぶん新しい。動物レリーフも、13世紀くらいかな、と思わせるものですが、でも好きでした。




一筆書き風の、シンプルなレリーフは、うまいな!やるな!という出来栄えだと思います。地域の、ちょっと腕に覚えのある石工さん作、っていう微笑ましい感じ。なんて、勝手なこと言ってますが。




さて、ちょっとだけ嬉しい気持ちになって、気分転換ともなったので、改めて先に進みます。どうしようかなぁ、と思いながら、もう少し、カパンノリをうろついて、当初目的を探してみることにしたものの、何人の人に道を尋ねたかわからないくらい。もう本当に記録的な迷い方でした。
具体的に道の名前を聞いて、ナビに入力して目指しても、途中でわやわやになっちゃうんだから、手に負えません。
とうとう行き止まりの道にはまり込んだ時には、もうやめよう、と思いつつ、最後の手段で、スマホのナビを利用したところ、スーッと、何を迷っていたのか、というようにスムーズに、目的地に到着してしまったのだから、またあきれました。

確かに私のナビ、アップデートもしてないですが、このあたり、道が新しいわけでもなく、訳が分かりません。
あとからちょっとわかったのは、カパンノリって、幹線道路を挟んだ両側のかなり広い地域全体で、その中に、さらに細かい区分けがされているっていうこと。だから、カパンノリという地域の名前と道の名前だけだと、どうやらナビでは判別できなかったらしいんですよね。
今後行かれる方、いないとは思いますが、要注意です。

さて、やっとの思いでたどり着いた目的の教会は、と言えば。




サン・レオナルド・イン・トレポンツィオ古教会Chiesa Vecchia di San Leonardo in Treponzio
カパンノリCapannori, Via di Tiglio 17

もう脱力しました。これを探して、1時間以上うろついていたんだ~!ありえない。
その上、クローズだし、とさらにがっかりしていたところ、脇の入り口から入る修道女の姿が。
これは、もしかするともしかして、中は古いままだったりとか、そういうサプライズがあるかも!まだ神様に見捨てられてないかも!と、喜び勇んで、後から入り込みました。




思いっきり、見捨てられてました…!
中では、おそらくイースターのイベント準備をしている人たちがいましたけれど、もう何を尋ねる気力もなくなり、会釈だけして退散しました。
わからないです、なぜ、事前に調べて、ここが引っ掛かったのか。もちろん、起源が古くて、基礎に古い構造が残っているとか、何かはあるとは思うのですが…。

ちなみに、後陣は、半円の三後陣だったと思うのですが、この場所、ちょっとした高台で、後陣側は、幹線道路に切り立ったようになっているんです。道路を挟んだら、また高くなっているので、おそらく丘を刻んで、真ん中に道を通したのだと思うのですが、つまるところ、車道で、結構なスピードで飛ばしていくような道になっているのです。その上、カーブしているため、下手に道路に出ると、かなり危ない感じで、だから、唯一、一見して中世の面影を残す後陣の姿すら、ほとんど拝めず、ましてや撮影どころではありませんでした。返す返すも、なんというか、脱力の結果です。

しかしながら、出発点のルッカから15分の道を1時間迷い続けた自分の方向音痴ぶりの再認識とともに、世間にはどれだけ親切な人がいるか、という実験みたいな体験をすることができたので、それもいいか、と前向きに。
いや、本当に、暇ってわけでもなさそうなのに、わざわざ自分のスマホで調べて、事細かに説明してくれる若者や、バールから出てきて一緒に悩んでくれるおやじとか、本当に親切。イタリア人の良いところです~。

こんなんばかりじゃ、モンテピサーノ・ロマネスクの良さを全然伝えられないですが、次回から、すごいですから、お楽しみに。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
  1. 2016/12/20(火) 06:37:38|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

後ろ姿にも注意!(サンタ・マリア・デル・ジュウディチェ2)

モンテピサーノ・ロマネスクその10

サンタ・マリア・デル・ジュウディチェSanta Maria del Giudice、続きです。
古い教会にすっかり満足して、次に目指すは、もう一つの教会です。こちらも、事前に住所はわかっていて、どうやら町の方にある様子。

しかし、ここは迷いました。
びっくりするくらい小さい町で、迷う余地もほとんどないようなところなのに、やはり迷うのが、真正の方向音痴ならでは、ですよねぇ。

それにしても、町の人たちもひどい。3人くらいに聞いたけど、誰もきっちりと教えてくれる人がいなかったんです。まぁ、教会の正式名称を知らない、というのはありがちなことではありますが、それにしても、町にある教会は二つしかなくて、郊外の方ではなくて、もう一つの方と言って、わからないなんてことがあるのだろうか。たまたまはずれの人たちだったんでしょうけれども。

一番ひどいのは、でも自分自身ですね。




ここ、この後陣側を、少なくとも3回、通り過ぎて、3回見たのに、塔の姿に引きずられて、「絶対にあれではない」と決めつけてしまったんです。もちろん、これだったわけです。よーく見れば、後陣部分、ちょっとそれらしいスタイルも見えますよね。

やっと、これかと納得して、脇をたどると。




かなり再建状態ではありますが、構造上は、確かに目的のものだろう!ちょっとのぞけば、すぐにわかったのに。
で、ファサード。




サンタ・マリア・アッスンタ教会Pieve di Santa Maria Assunta(新しい教会Pieva Nuova)。
確かに、ここはわかりにくいっていうか、後陣側はあんなだし、ファサード側は、住宅建物にびっしりと取り囲まれていて、視界が閉ざされているんですよね。




スタイルは、古い教会とほぼ同じ。ただ、全体にこちらの方が、手が入っているのは、やはり町中の教会だからなのだと思います。
実は、起源は、こちらの教会の方が、古いらしいんですよ。




アーキトレーブも、トップにあるピサっぽいバラ窓も、古い教会と同じですが、こうやって見ると、古い教会の味わい、しみじみ感じられます。

内部も、継続した現役性の高い町の教会だけに、いかにも教会、っていう細かいもろもろが並んでいます。




スタイルは、内部もまったく同じ。シンプルが基本です。




古い碑文。1325ですかねぇ、読めるとしても数字だけ。

古い教会でも、イースターのミサの準備をしていて、それで開いていたのだと思いますが、こちらでも、聖体の行列を待つ、ご聖体が、置かれていました。




こういう小さい町だと、地元の人だけで、そういうイベントも行われるのでしょうけれど、さて、行列にも、どれだけの人が参加するのかしら。イースターは、旅行に出る人も多いし、若い人なんかもいなそうな町だし。でも、それはそれで、厳かな式となるのかもね。

というわけで、一日の締めとしては地味な教会だったけれど、とにかく無事に見つかってなにより。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
  1. 2016/12/18(日) 01:43:26|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

朽ちて溶けたピサ様式にうっとり(サンタ・マリア・デル・ジュウディチ1)

モンテピサーノ・ロマネスクその9

あまりに迷った挙句に、たまたま見つけた教会は、疲れを癒すにはちょっと力不足。もう、これは、確実に良さそうなところに行くしかないでしょう、と、向かったのは、サンタ・マリア・デル・ジュウディチSanta Maria del Giudiceです。
さほど大きな町とも思えないのに、同時期の教会が二つもあり、モンテピサーノ地区のロマネスク上、最も重要な土地の一つと思います。

教会は、事前に住所が見つかり、ナビに従って進むと、するするとたどり着いてしまいました。最後は、対向車が来たらすれ違えないような細い上り坂で、先を見通せない状態だったので、一瞬ドキッとしましたが、幸いにも対向車はなく、そして、道は、あっという間に終わって、いきなり視界に飛び込んできたのが、目的の、サン・ジョバンニ・バッティスタ教会=洗礼者ヨハネ教会Pieve di San Giovanni Battista(古い教会Pieve Vecchia)のファサードです。




こういう時って、文字通り、息をのみますね。
ピサ様式が、かなり朽ちていて、また違った味わいを醸し出している、独特のファサード。経年劣化なんでしょうけれど、それが、妙にいい感じなんですよねぇ。こういうのが好ましいと思うのは、わびさび的な感覚なんでしょうか。




もちろん、修復はしているはずなんですが、「作らない」とでも言ったらいいのか、たぶん、あるものをそのままの状態で保つような修復にとどめているっていうのかしら。そういう感じだと思うんです。相当放置された挙句の修復だと、結構再建状態に、ピカピカにしちゃうタイプの修復もあるし、どっちかというとそういう方が多いと思うんですけれど、ここは、あるがまま。いや、単に予算がつかなくて、これ以上触れないとかそういうことかもしれないんですけれど、私は、溶けてたり、欠けてたり、そういう時の流れさえ感じさせるこのファサード、本当にいいと思いました。




装飾は、建築的要素でもあるアーチと、二色使いのアーキボルトが主なもの。正面扉のアーキトレーブには、植物モチーフの浮彫がありますが、相当溶けてしまっていて、残念。




アーチの根元の柱にある柱頭も、ほとんど溶けちゃっています。これらが残っていたら、装飾性の高い扉だったと思うのですが。




アーキトレーブの付け根にも、柱頭があります。これも植物っぽい感じで、単純なデザイン的な浮彫だと想像します。が、やはり溶けてますね~。
後陣側にも回ってみました。




すっごくシンプルだし、側廊の部分は、再建ぽいし。
ファサード側は、人々が集う広場としての役目もあったはずで、やはりファサードは装飾性も考慮されたのでしょうが、裏側は、高台のはずれで、おそらく後陣を外から見る、という視線は考慮する必要がなかったのだと思います。

側壁も、切石が整然と積まれているだけの、いたってシンプルな構造です。




でも、美しい切石。ちょっとうっとりするものはありますよね、これだけ無装飾でも。

さて、嬉しいことに、オープンしていましたので、入場します。




外同様、とてもシンプルですが、古い雰囲気がそのままで、いいですね~。
柱や柱頭は、どれも異なり、ものによっては、さらに古い時代の再利用品かもしれません。とにかくシンプルさが身上ですね。すがすがしい美しさを感じます。




少々残念だったのは、床かな。




多分全体にはりなおしているんだと思います。オリジナルの石敷きだったら、さぞや素晴らしかったのでは。いや、勝手に石敷きだったと思っているんですけどね。

そんな床面を見ていて、ふと気づいたのが、この境目。




右が祭壇部分、左が本堂の部分。わずかに段差を作っています。
これは内陣部分を分けるためなんですね。
クリプタがある教会だと、祭壇部分はとても高くに作られることになりますし、そうではなくとも、二、三段の階段が付くところが多くて、この高低差、今まで見た中で、最低の部類です。




こうやって見ていたら、一部のぞき、床面も、結構古い時代の石かもしれない、と思いました。




床面が美しい教会って、魅力的。
って、これも、病気の域ですね。

サンタ・マリア・デル・ジュウディチ、続きます。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
  1. 2016/12/18(日) 00:54:56|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

地図にない村で、ライオン君に遭遇(パッピアーナ)

モンテピサーノ・ロマネスクその8

カマイオーレから一気に南下して、この旅の目的地であるモンテピサーノ地域に向かいました。
深奥に向かう前に、一つ立ち寄りたい場所があるのですが、なんせこのあたりの道は、くねくねしていて、元来、超の付く方向音痴の私にとっては鬼門…。




この地図で、真ん中よりちょっと左上にある、Rigoliという村を目指したのですが、どうも行ったり来たりで、迷いまくりました。
そんな中、住宅地に、教会を見つけたので、立ち寄ってみました。
カマイオーレを出て、すでに1時間ほど経過していたので、一休み、仕切り直し、という意味も込めて。




見た目はこんなだけど、もしかすると目的の教会かもしれない、という一縷の期待も込めて近づきます。脇にまわると、こんな感じ。




すっごく時代の異なる建物が重層的になっているんです。下の方は、明らかに古くて、一部は、中世にさかのぼるのではないか、と思います。
その、かすかな痕跡が、もしかすると、これ。




壁にはめ込まれていた浮彫。
全体には、時代が混じっているような感じもあるのですが、ライオンはかわいいんです。




ね!テイストとしては、かなりロマネスクです。
しかし、ここはどこ?と、まったく現在地を把握していないまま、走っていたので、この教会はなに?というところでした。通りすがりに目についた地名を、忘れないように書いといて、後から調べたら、パッピアーナPappianaという村の、サンタ・マリア・アッスンタ教会Chiesa di Santa Maria Assuntaであることはわかりました。
走り書きでは、Mappianaとしていたんですが、いやはや、インターネット様様です。
20万分の一の紙の地図には載っていない村だし、インターネットのない時代では、まったくわからないままですね。

実は、本来目的としていたRigoliの村からもすぐだったのですが、その時は、本当に迷っていて、まったくわかっていませんでした。残念ですが、まぁ、このかわいいライオン君に出会えたので、よし。

さて、気を取り直して、目的地変更(Rigoliは、あっさりあきらめました)。
一気に行きたいところですが、本当に素敵な教会が続くので、眠くてたまらない今夜は無理。明日までお待ちくださいね~。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
  1. 2016/12/16(金) 07:05:34|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
次のページ