2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その22
エステージャEstellaのサン・ペドロ・デ・ラ・ルア教会Iglesia de San Pedro de la Rua、続きです。前回は、この教会一番の注目アイテム、回廊を紹介しましたが、教会本堂にも残る、わずかなロマネスクについても、しっかりチェックしてきました。
どこだと思いますか? ここはスペイン、当然のことながら、軒持ち送りです!
常にその時代時代で現役教会であるがために、多くの変容を遂げてしまった本堂で、それでもロマネスクの名残がちゃんと残されていることには感動しますが、同時に、あらゆるものに邪魔されて、身近から鑑賞できないことに、イライラも感じる、残念ながら、そういう名残です。
回廊はともかく、この部分は、ほとんど見学場所としては考えられていないので、アクセスも大変。それでも、何とか裏側に回って、いろんな角度で垣間見る努力。これまた、修行ですね~。
面白いものがあるだけに、残念。 ほらね。ガジガジ、自分の歯の丈夫さを誇るかのような。
歯に関しては、新車二台分くらいのお金がかかっている私としては(イタリアでは、歯医者は基本的に全額自己負担のため、詰め物だけで2万円近くします…)、うらやましいやらにくいやら、笑。
これも、ガジガジ系ですね、溶け方激しいけど!
どうもガジガジ系が好きなのは、歯の丈夫な人がうらやましいからかぁ。なんか、今腑に落ちた気分です。
それなりの堪能をして、本堂を通り抜けて、正面扉に戻ります。
残っている構造から想像すると、もともとは素敵な後陣があったかも、ですねぇ。 さて、扉口。 ここもまた、すごい重なり。そして、扉際は、クリンクリン装飾というのも、他と共通ですね。
イスラムの影響とか感じてしまいますね、この各アーチを埋め尽くす細かい彫り物は。 縦線で、フィギュアレリーフが置かれているのも、他と同じ作りです。
ちょっとしつこくて、すごく好きかというと違うんですが、レースっぽさとか、これを好む人もいるだろうなぁ。 アーチの根元に、フィギュアが置かれていて、これも、これまで見た他の扉口装飾と共通です。
雰囲気がかわいいので、溶けちゃってて残念。司教さんっぽい杖を持っているような。ただの杖かなぁ。脇を走る市松模様のアーチがいいですね。 ここにも、すっごくかわいかっただろう、溶けちゃっているライオン君と、ブレッツェル的な植物装飾。
プエンタ・ラ・レイナとかシラウキとか、このエステージャは、距離的にも相当近いし、巡礼路状にあるという共通項もあるし、確実に、同じ石工さん、工房がかかわっているのでしょう。
側柱下部分の花モチーフも同じです。
全体のイメージはつまらないのですが、ディテール、見逃してはなりませんね。
ここのロマネスクは、全体にそういう感じです。
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2017/05/30(火) 05:33:50 |
ナヴァッラ・ロマネスク
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2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その21
次に訪ねたのは、エステージャEstella。星という名前の町です。この辺りは、もう巡礼の道そのままで、たどっていけば自然に巡礼してる状態になります。
以前にも何回か触れたことがあると思いますが、ブログを始める前、始めてからしばらくの間も、手書きで旅の絵日記を作っていました。あんまり手間がかかるので、残念ながらやめちゃったんですが、この辺りは、確かあったはず、と思い、探してみました。 あった!
一部ですが、結構今回の旅と重なっているんですよね。エステージャも、プエンタ・ラ・レイナも、オリーテも行ってますね。 さて、何を見たんだっけ?と、絵日記を裏返すと。
エステージャの情報、限りなくゼロ。 でも、そういえば、変な町中の駐車場に入ってしまって、すごい青空市場の賑わいに疲れ果てて、見るべきものを見ることもなく退散したんだったかもしれない記憶が、ふふふ~、とかすかに思い出されました。 2005年、ちょうど10年前の旅で、まだブログはやっていないころ。写真はすでにデジカメになっていたはずですが、パソコンも違うので、CDに記録はあるはずだけど、まだ生きてるのでしょうかねぇ。写真の整理も、実は喫緊なんですけど、ブログすら、こうやってさぼり勝ちの今日この頃、とても無理。
さて、そういうわけで、実際にエステージャの教会を訪ねるのは、たぶん初めてのことみたいで、ほっとしつつ(きれいさっぱり記憶がなかったもので、自分の記憶力を心配していたもので…)、まずは、旧市街のはずれに建つ、サン・ペドロ・デ・ラ・ルア教会Iglesia de San Pedro de la Ruaへ。
ん?ゴチック? と思われるでしょうけれど、ここは、教会本体ではなくて、併設の回廊が、主なターゲットです。教会本体は、要塞的な役割を持つ建築で、一部を除き、かなり後代のものとなります。
それにしても、教会への階段、かなりの高低差で、こりゃ、年取ったらアクセスできないわ、と思ったら。
裏の方に、シースルーの立派なエレベーターが設置されていました。教会に行くというより、移動手段として、頻繁に利用されているようでした。
イタリアでも、丘の上に町がある場合、エレベーターやエスカレーターが設置されていて、無料で移動できるようになっているケースがありますね。ペルージャとかシエナとか。フランスでもいくつか遭遇しましたが、無料、というのはいいですよね。
さて、まずは一番の目的である回廊です。本堂を通り抜けて、アクセス。
これは、かなり気持ちが落ち着いてからの一枚。回廊に出た時は、興奮アワアワです。 いつも、系統立てて撮影しないと、後からわからなくなる、と自戒しているのですが、興奮しちゃうと、思わず撮りまくって、結局訳が分からなくなります。笑。
回廊は、12世紀のものが、一部しっかりと残されています。ただし、北面と西面だけで、他二面は、16世紀に、教会に寄り添うようにそそり立つ岩山状にあった城が壊された際、その瓦礫落下等によるのか、同時に壊れちゃったんだそうです。何とか考えて壊せよ、と思いますよねぇ。
ところで、この「西面」が、現地の説明版では東面となっていて、一方、現地で入手したガイドには西面となっていて、自分の写真と地図で、確認しちゃいました。まずいですよね、現地の説明版(よく見たら、英語版だけが間違っていました。だから、きっと誰も気づかないんだなぁ)。
北面から見ると、状況がわかりますが、南と東面は、岩山に張り付いている状態なのですね。きっと上からの瓦礫で押しつぶされて、全壊してしまったんでしょうね。残念なことです。
ほっそり二本組の柱の上それぞれに、美しい繊細な彫りの柱頭が載っています。
一部は、傷んでしまっていますが、全体としては、よく残されたものだと思います。 内容は、旧約新約聖書のエピソードです。例によって、無知な私は、よく認識できませんけれども。 これはダニエルさんでしょうか。
これは、詳しい方には怒られるかも、ですが、羊飼いが仕事をほおりだして、飲んだくれているようにしか見えないんですが、何かのエピソードでしょうか。
こちらは、キメラ的な動物フィギュア。顔がフクロウにしか見えないですが、笑。
なんか、結構生真面目な作風の石工さんだと感じました。 保存状態がいいのと、人物フィギュアを並べまくった生真面目さでインパクトが強いやつ。
キリストの降架ですかね。顔がなくなっちゃってます。
よく見ると、一部の柱頭では、副柱頭につながる部分に、文字が彫りこまれていますね。場面の説明になっているのでしょうね。
これは、洗礼に見えますが、どうでしょうか。とすると、右端の人はヨハネさん?
これは、まったくわからないのですが、背景として彫られたアーチの幾何学模様がいいな、と思ったのと、写真を見て気付いたんですが、副柱頭の花に色がついているのが、気になります。
緑青のような色なので、どうでも埋め込まれている?ちょっと不思議な。
聖母昇天かなぁ。
いやはや、毎度、自分の聖書知識の少なさに唖然とします。いつまでたっても、覚えなくて、情けないです…。
続きます。
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2017/05/28(日) 20:44:41 |
ナヴァッラ・ロマネスク
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2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その20
プエンタ・ラ・レイナの次に訪ねたのは、とっても懐かしく覚えている村、シラウキCirauquiです。
旧市街へと続く、この門のわきに立つ、小さな十字架。再建にも見えるのですが、最初に訪ねた時、かわいい~!とスケッチしたので、とてもよく記憶に残っています。 その割に、街並みは、ほとんど忘れていたので、我ながらがっかりの記憶力でしたけれど。
ただ、当時は今よりももっと運転技術がなくて、今よりももっと慎重で、どう見ても、激しい坂道の旧市街には入らずに、相当手前で車を降りた記憶だけは、とても正確に覚えていて、今回も、しっかり、同じような場所で、駐車しました。 どんだけ怖いんだ、坂道!
でも、これだけの坂道ですから、間違って入りこんだら、引くこともできなくなっちゃいます。おっと、黒猫に横切られてしまいました。 そういう坂道の村ですから、郵便屋さんも、こんなカートを引いて、徒歩で配達ですよ。
で、天辺に、目的の教会、サン・ロマンIglesia de San Romanがあります。このたたずまいは、よく覚えていたなぁ。
ここで注目すべきは、扉口です。
ここもまた、幾重ものアーキボルトが重なっていますので、三次元的に感じる必要のある装飾ですねぇ。 ここでも、ディテールをスケッチしたので、いくつかのフィギュアが、よく記憶に残っていました。
この子とか、鮮明に。確かあの子、いたよな、と探すのは、何とも嬉しくて懐かしくて、昔の知人に、久しぶりに会う感覚と同じです。 スケッチって、やはりすごいですね。最近は、そういう余裕のある旅をしてないのが、残念です。ある程度見てしまったら、いつかまた、そういう旅に戻れるでしょうかねぇ。
ここの彫り物も、なかなかです。ディテールに凝っているし、いろんなタイプがちりばめられています。
アーチが、ちょっととがっているんですが、時代が若干下っているのか、またはこの地域の傾向って感じもします。そのとがった場所に、要のように、レリーフが縦に置かれているのは、他でも見ました。
扉のところが、くりくりになっているのも特色ですよね。
アーチは、デザイン的なモチーフがずらりと並べられていますが、根元に、なんだか愛らしかったり、ちょっとヘンテコだったりする彫り物が置かれているんです。
お地蔵さん風聖職者。いや、巡礼?服装は、巡礼っぽいですが、ポーズが聖職者っぽいですね。
モジリアニ風に首の長い人。 それから、祝福のポーズっぽいですが、司教さん的な?
柱頭に、サムソン的な彫り物が。
別の面は、動物がわらわらと。
アーチには、かなり再建部分があると見受けましたが、側柱下部には、古そうなままの浮彫があり、これ、結構好きです。
ああ、でもアーチの模様も、やっぱりいいかも。プレッツェルみたいなのは、かわいいですね。梅の花風も。あと、お干菓子的に真ん中が盛り上がっているタイプも。
この教会、中は新しくなっていて、面白みないですが、この扉口は、なんかいつ来てもいいかも。そして、目指すわけでもなく、なんとなく通り道だから、ってまたいつか立ち寄りそうな気がします。 ここは、一般的な観光客よりも、巡礼の出没率がとても高いです。巡礼の王道脇だからですけどね。
あ、最後にこれ。
教会の外壁に掲げられた紋章。スペインでは、よく見られますが、これは結構古いですよね。ディテールが、かわいらしいです。この村の名士の紋章なんでしょうねぇ。これはこれで、結構好きなアイテムです。
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2017/05/24(水) 05:59:06 |
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2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その19
どしてもサクサクできないですね~。まぁ、日々、予期せぬ色々もあって、仕方ないと思いつつ、困ったものです。 さて、プエンタ・ラ・レイナ、続きになります。
今度は、旧市街に戻り、街道そのままの様子で、村を貫いているマヨール通りに面している、より有名教会を訪ねます。
その名もサンチャゴ教会Iglesia de Santiagoです。
教会はもちろんそもそもはロマネスク様式で建てられたものですが、16世紀に、この村が経済発展したことにより、建物は、今ある姿に変えられてしまったようです。町中にある教会は、どうしてもそのリスクがあり、それで姿を消したロマネスクというのは、おそらく想像以上にたくさんあるはず。 で、残っているロマネスクは、もともとのファサードの扉周りだけ。
到着時、ちょうどミサの最中でしたが、そういうわけでまったく問題なし。 その扉は、こちらとなります。
アーキボルトびっしりですごい。 この重なりのすごさは、二次元的に見ると、よくわからないのですが、近づいて、三次元体験すると、おおお!となります。
アーチ一つ一つが、その厚み分、外に向かってせり出しているというか、くりぬかれ状態で、奥行きを作っているというか、うまく説明できませんけれど、厚み、すごいですよね。
そして、アーチそれぞれに、独楽かい彫りが施されているんです。かなり傷んでしまっているのが残念。
扉部分が、レースのようにくりくり装飾的なのも素敵。これは、13世紀と時代が下るせいだと思います。
くりくりのそれぞれに、人物フィギュアが、かなり凝った感じで彫られています。テイストとして、なぜかオリエンタルな風味も感じてしまいます。
このくりくりに加えて、五連のアーチがあります。 最も内側のアーチ。
魚?うろこと、背景のナミナミが、魚っぽいですが、不思議ですよね、魚って。 その外側四連は、人物フィギュアが並んでいますが、わかりにくい~!
上は、獣と戦っている様子です。下は、翼が見えて、逆立ちしているような様子が見えて、もうまったく不明。
これなんて、私には、虫の身体をした怪物風にしか見えない。よくボッシュの絵に出てくるような変な生き物っていうか。ボッシュって、ロマネスク絶対好きだったよね。
アーチの一つは、聖書エピソードと思えました。定かではないですが、これは、マギにも見えます。
よき羊飼い? こうなってくると、夜空を見上げて、星座の動物を想像する的な作業になってきますね。
あ、でもこれはかなり確信をもって、エリザベスご訪問では。
これ、できた当初は、さぞや迫力の彫り物だったでしょうね。いや、惜しい。 今や、違う意味での迫力があります。
朽ち方というか、溶け方が、なんというか。 これだけ並んでいると、つい見ちゃうけどね。
見学後、端のたもとにある観光局で、ちょっと情報収集。地域の教会のオープン時間が記載されているマップをもらえて、これは大変重宝しました。
ところで、このあたり、説明版など立っていると、スペイン語、いわゆるカスティジャーノに加えて、どうやらバスク語風の分も併記されています。およそラテン語系には見えないので、たぶんバスクだと思うんですが、ナヴァラのこの辺りでも、バスクの文化が入り込んでいるんですね。 下は、橋ですが、右上に橋の名前が、二か国語で書かれています。
どの国にも、いろいろあって、こういう現実って、現場に行かないと見えないし、わからないですね。 クルマに向かいながら、ぶらぶら歩いていると、こんなものが。
闘牛は、どこでも好きなんだな。っていうか、嫌いな人も多いと思うけれど、文化としては、どこでも定着しちゃっているというか。これはなんかすごい。
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2017/05/22(月) 02:17:38 |
ナヴァッラ・ロマネスク
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2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その18
地味な土地から脱して、いよいよ、ナヴァラ地方の有名ロマネスクに突撃です。 このあたりの有名どころは、以前一度訪ねているので、あまり新鮮味がないかな、とも思っていたのですが、とんでもなかったです。 なんせ、以前と言っても、すでに10年以上は前のことなので、ほとんど正確な記憶がないうえに、当時は、ロマネスクのために訪ねたというより、旅の途上で出会ってしまったというパターンだったので、気合も見学の手順も、まったく違うものだったんですよね。
というわけで、向かったのは、プエンタ・ラ・レイナPuente la Reinaです。
この立派な橋は、さすがによく覚えています。橋のたもとの、この緑の憩いの場所も。
私もあそこに腰かけて、休憩しながら、この後の旅のことを考えていたような気がするなぁ、と思いながら、巡礼の旅をしている様子のおじさんをぼっと眺めてしまいました。 そういえば、この町で、フランス発の複数の巡礼路が、交わるんだったような気がします。だから、巡礼の人たちが、常にたくさん。
そして、皆、この千年以上の歴史を持つ橋を渡って、先へ急ぐんですね。
さて、私が到着したのは、この橋とは正反対の側で、そして、到着と同時に、道の路肩に駐車することができました。すっごくラッキー。十数年前に訪ねた時は、まだ運転経験も未熟で、駐車場所を発見するカンみたいなものもなかったし、本当にあちこちで苦労したものです。
さて、最初に訪ねたのは、旧市街の外にあるこちら。
クルシフィホ教会Iglesia del Crucifijo(キリストの十字架教会、とでもいう意味になります)。 一瞬、見事にまったく記憶にないので、結構焦りましたが、旧市街の外にあるので、昔は来てないと思います。ほっ。いや、本当に忘れているだけ、という可能性はあるんですが。
ここでまず見るべきは、というか、ロマネスク的には、ほぼそこだけなのですが、扉口装飾となります。 旧市街の方から訪ねると、こういう構造になっています。
塔は17世紀のものですが、その側が教会で、向かい側はなんだかよくわかりませんが、つながっているのは、もちろん後代の構造物です。扉は、この渡し屋根みたいな場所の下にあります。
文化財としての扉装飾を守ろうということではなくて、ここ、ずっと現役教会であるようなので、扉口前に屋根があると便利、的な発想で、こういう構造が作られたのではないか、とにらんでいます。 さて、扉口。
溶けちゃってます! で、相当再建が混じっています。
柱の表面にまで装飾文様を彫りだすなんて、とても高度で根気のいる仕事がされているのに、これほど溶けちゃうと、残念です。 でも、これだけ傷むということは、やはり屋根はずいぶん近代になって以降のものなんでしょうね。 相当白いので、修復やお掃除もかなり最近実施されたのでしょう。
とっても素敵なモチーフ。再建なのかどうかわかりませんですが、そうだとしても、もちろんオリジナルのテーマに忠実なものと思います。
アーキボルトに並ぶ彫り物も、とっても面白くてチャーミング。
これ、ちょっと洗いすぎじゃないですかね?ちょっと汚れがあって、陰影が出た方が、雰囲気もあるし、見やすいような気がしますが、ここまで真っ白にされちゃうと、かえって彫りがわかりにくいです。
かなり細かい彫です。爪を立ててアーチをつかんでいるライオン系の獣の足は、かすかにカベスタニーが入っているような雰囲気があったり、毛並みや鳥の羽根の細かさなどは、シロスの石工を髣髴としたり。12世紀後半だから、各地の技術が見られてもおかしくないように思います。 ビザンチンの影響もあると、説明版にはありました。その装飾の細かさやモチーフの内容から、明らかに、と。
それにしても、左端のキメラ風の動物、いや、ゴジラの小型ともいえるような頭部なんですが、黒目が入っているのが、驚きです。お尻の方には、彩色の名残のような様子も見られますね。
この、人物フィギュアの細かさも、また脅威です。
動物専門石工さんと、人物石工さんは、違う気がしますね。タッチも、表現する方向性も、違います。 その中で、植物モチーフは、結構王道的な内容だと思いました。
柱への彫りこみも含め、植物系幾何学系のデザインはすごいし、王道石工さんのレベルは高かったような気がします。
裏は、畑になっているので、私有地のような気もしたのですが、一応後陣もチェックして、一つだけ、目に留まったのが、この軒持ち送り君。
内部は、二身廊という変則です。
薄暗くて、雰囲気はありますが、ほぼ新しい様子がわかり、興ざめです。仕方ないですね。
もう一回、扉口をなめるように眺めて、辞去。
うーん、やっぱり洗いすぎだと思います。あと10年くらいしてから行くと、いい感じに薄汚れているかもね。笑。
もう一つの、もっとおなじみの教会へ移動します。
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2017/05/18(木) 06:10:05 |
ナヴァッラ・ロマネスク
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先週末、恒例のグラッパ合宿でした。またまたたっぷりと、おいしいグラッパを仕入れてきた結果、ついつい、夜はグラッパ漬けになってしまって、ブログアップもさぼり気味。
今更ですが、先月、すっかり忘れていましたので、まとめてアップです。大体、読書量が減ったままで、今回もとっても少ないです。だからと言って、読む時間が減った原因である、通勤時のフランス語学習が、前に進んでいるわけでもないので、なんだか、損している気分もあります。
「命売ります」三島由紀夫(筑摩書房) 「ヒトイチ、画像解析」濱 嘉之(講談社文庫) 「助左衛門四代記」有吉佐和子(新潮文庫) 「デヴィルス・ワルツ 上下」ジョナサン・ケラーマン(新潮文庫) 「歌川国芳 猫づくし」風野真知雄(文春文庫) 「百」色川式大(新潮文庫) 「さざなみ軍紀、ジョン万次郎漂流記」井伏鱒二(新潮文庫) 「喜多川歌麿 女絵草子」藤沢周平(文春文庫) 「ローマ教皇とナチス」大澤武男(文春新書)
漫画 「オズ 1-4」樹なつみ(白泉社) 「月刊少女野崎くん1-4」椿いづみ(スクエアエニックス) 「大奥13」よしながふみ(白泉社) 「ちはやふる32、33」末次由紀(講談社コミックス)
漫画は、日本の友人が、自分が面白かったものを厳選して送ってくださるので、クオリティが高くて、いつも楽しめますが、中でも「大奥」は、いつも感心します。日本の漫画の奥深さ、幅広さ、本当にすごいです。
本は、なんせ読んでいるのが少ないのですが、やはり藤沢周平は、安定した面白さがあります。 意外に面白かったのが、新書のローマ教皇とナチス。バチカンは、いろんな分野でドロドロした歴史を抱え込んでいますが、ファシズムとの辛味というのは、知りませんでした。近代史の一面として、お勧めの本だと思います。 三島由紀夫の本は、日本にいる友人が、こんなものまで書いていることにびっくりした、ということで送ってくださったもの。彼は、長生きしたわけでもないのに、本当に実験的な本をいろいろ書いています。あまりにも有名な小説が目白押し状態なので、そういう実験的な小品は、目立たないところもあると思うのですが、感心してしまいます。そして、なんと言っても、文章がうまいですから、読むのもすいすいで、それもいつも感心します。彼の小説を読んでいると、ああいう人生、特にああいう終わり方をした人であることが信じがたいですね。
今月も、もうまったく読書量が少なくて、積読が増えるばかり。いかんなぁ。
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2017/05/17(水) 05:24:33 |
読書、備忘録
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2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その17
前回訪ねたオロリスでは、二つの目的地をメモしていました。実際に訪ねたサン・バルトロメの外に、礼拝所のような教会があるはず。Ermita de San Pedro in Vincula de Echanoという名前しかわかりませんでしたが、ほとんど無人かと思われるような人の気配のない村で、たまたま人の気配がした、かわいい三毛猫が出てきたおうちの人に尋ねてみると、「その礼拝所はとてもいいところなので、是非行くといい、カギはその辺の誰かが持っているはず。でも、行き方は、うーん、なんと説明したらよいのか…」。
これではお手上げ。 というわけで、再び気持ちを切り替え、オロリスに行く前に探していたエリスタインEristainという村方向に、再度トライしてみることにしました。
やはりわからなかったのですが、なんとなく道を進んでいくと、田舎家があり、ふと見ると、その奥の方に、なんだかそれらしいものがあるじゃないですか~!
多分、見つけられなかったときは、何度もその近くを行ったり来たりしていたんですが、手前にある家に遮られているので、気が付かなかったのでしょう。見つかるとは思っていなかったので、嬉しい驚きでした。
エリスタインEristain、サンタ・マリア教会Iglesia de Santa Maria。 こんな地味な姿ですけれど、すごく苦労してたどり着いているので、なんだか神々しいような、そういう気分で近寄りましたとも。
それにしても、外観は、本当に地味で、装飾的なものは何もないに等しいので、一回りすると、見るものは終わってしまいます。 このために教会に気付けなかったであろう、すぐ近くに立っている一軒家、カギはいくらなんでもここで持っているだろうと思い、ほとんど人の気配はしなかったのですが、ダメもとで呼び鈴を押してみることにしました。
すると、二階の窓から老女が顔を出し、カギを尋ねてみると、とても当たり前のように、「カギね、ハイハイ」と下に降りてきてくださるではありませんか。
突然ですが、私は二十数年異国に暮らしているので、人も含む周囲すべてが、私にとって異国であることがすでに当たり前となっています。でも、何年暮らそうが、私が日本人であること、特に外見については、どうしようもなく異質であることは、変わりようがありません。 こちらが異質な外見を持っているにも関わらず、何らの驚きや恐れも見せずに、普通に対応してくださる人がいるこういう状況において、自分の方は、比較的当たり前に受け入れてしまうのですが、後から考えると、いつも、不思議に思い、驚嘆してしまいます。
すごく田舎の方が、逆に、ひどく普通に接してくれるケースが多いような気もします。半端な町とかの方が、差別区別があるような。すごく田舎だと、家族や近所の人以外は、みな異国の人的な感覚があるのかしら。
ま、ともかく、上品な老婦人、降りてきてくださいました。 でも、ごそごそして、いつも置いてある場所に鍵がない、と慌てています。やっぱり、そんなうまい話はないか、とあきらめ半分、おしゃべり。その間も、彼女は、あっちをごそごそ、こっちをごそごそ。挙句、孫が来るはずだから、彼女が知っているはず、と結局孫娘さんが登場するまで、20分ほども待ったでしょうか。 彼女、来るなり、おばあちゃん、ここじゃーん、と家の前の石の下から、カギを引っ張り出しました。
え、そんなところに置いとくってことは、結構使用するのかな。不思議です。
ふふふ、こういうカギ。持ってうれしいし、自分で扉を開けるのは、ワクワクですよね。これだけでも、わたし的にはアトラクション的な嬉しさです。
再び近づきます。この地味な後陣をよく見てくださいね。
そして、この地味な扉。
入ると、構造は地味ながら、後陣、内部には、ちゃんと装飾があるんです。
後陣には、中央に、アーモンドの中のキリスト像、そして、四福音書家の姿(ライオンと天使だけが残っている)、6人ずつ並んでいる十二使徒。
手前には、相当幅広になっているアーチが置かれていて、その内側にもびっしりフレスコ画が。残念ながら、相当痛んでいて、あまりよくわからないんですけれど。
14世紀のフレスコ画で、直近では1994年に修復されたと書いてありましたが、それにしては、傷みが激しいですね。建物は結構全体がこぎれいになっているし、ポルティカーダのような部分は、まるで新しい家のようなありさまになっていることから、もしかすると、相当長い間、家畜小屋とか、物置とか、住居とか、そういう目的に使われて、こういったフレスコ画などは無視されてきた歴史があるかもしれません。
フレスコ画は、やはり何らかのケアをされないと、厳しいということですね。または逆に、漆喰で覆われてしまっていた方が、残る可能性がありますね。
他の部分は真っ白にぬられています。
でもこれは、傷みが進んだ挙句にぬられているはずなので、下には、かすかには残っているのでしょうが、たぶん、修復できない状況だったということなんだと思います。
それに比べると、やはり石は強いです。
超シンプル。でも一つでもこういう柱頭があれば、なんかほっとしますし、嬉しくなります。一つじゃないし~!
2.5頭身。顔は超おやじで、身体は落花生みたいで、かわいい。リスみたいな手がすっごくチャーミングです。本を持っているということは殉教した聖人かなぁ。あ、これは先日プーリアでさんざん伺ってきた、ビザンチンの図像学の影響、笑。
どんな小さいものも見逃さず!
なんの変哲もない一枚板の説教壇も、とてもよかったです。浅浮彫付きでした。
何か浮彫プレートを彫ろうとしたけど、お花一個でやめちゃった、そういう石板なのかもしれませんよね。
1200年ごろのものと書かれていた聖母子像。衣装なんかは、後のものかもね。聖母のお顔がとてもきれいです。こういうピースは、博物館に持ってかれちゃうことが多いから、現地でこうやって置かれているのは貴重だな、と思ったら、やはりこれはコピーで、オリジナルはパンプローナの博物館だって。まぁ、フレスコ画と違って、こういうものは、博物館入りも仕方なさそうです。 この部分は、フレスコ画の模様もきれいですね。
というわけで、こんなに地味な教会でしたが、自分で鍵を開けて入った、という事実がうれしかったせいか、よーく覚えています。 やはり、何か事件性(というほどでもないけれど)とかないと、記憶に残らないんだな。
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2017/05/12(金) 05:51:06 |
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2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その16
このあたり、かなり平原なんですが、うろうろと、かなり苦労しながらの道程になりました。まずは、またもやのアイン攻めで、エリスタインを目指したものの、ナビがおかしくなって、何もないところで、「着きました」の繰り返し。30分弱の範囲で相当うろうろした挙句、気持ちを切り替えて、次の目的地に方向転換。
到着したのは、オロリスOlorizです。
サン・バルトロメ教会Iglesia Parroquial de San Bartolome'。 なんだか、たった2年前のことなのに、こういった小さい教会については、周囲の状況とか、様子とか、たたずまいとか、ほとんど忘れちゃってます。情けないなぁ。 そういうことがあるから、教会本体のみならず、なるべく周囲の様子も撮影しておこう、と思うのですが、その場だと、どうしても教会に集中しちゃって、うっかりしてしまいます。で、後からこうやって写真を見直しては、はぁぁ、とため息をつく始末です。
海馬の働きが悪いので、本でも、読んだ端から忘れちゃって、二度も三度も楽しめたりしますが、教会巡りについても、最近はどうもその傾向が強くて、まったく困ったものです。頼みの綱のブログすら、こうやって2年もたってやっとアップできるようなスケジュールになってきたので、お手上げです。
その忘却の彼方の教会ですが、地味だけど、ちょっとしたディテールが楽しめるところでした。
美しく手入れされた、幸せな田舎の教会です。
建築としての楽しみはほとんどありませんが、扉口に装飾が残されています。
ここでも、タンパンには、相当浅彫りのクリスモンがあります。この地域では、このスタイルが流行ったんですね。または、クリスモン大好きな石工さんがいたんでしょうか。スタイリッシュな彫りを見ると、時代は、若干下るのかもしれないな~。
柱頭は、植物モチーフです。一部しか残っていませんが、残っているものは、シンプルながら、かわいい。
松ぼっくりか、パイナップルに見えるものは、おそらくブドウだと思うんです。ここのは、松ぼっくり臭がとても強いですが。
扉に向いたところ、前回の教会では、お団子が並べられていた場所ですが、ここでは、ペアの葉っぱが、仲良く並んでいます。向かい側も同じモチーフ。
直物専門の石工さんだったようですね。
ファサード側と違って、あまりケアされている様子のない後陣側。
軒持ち送りはありますが、ちょっとダメになっちゃっていて、単純な鉋屑と、これだけ。
なんか、愛らしいお顔がのぞいています。
この後も、なんだか混乱の道程が続きます。
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2017/05/10(水) 05:21:10 |
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2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その15
ガリノアインGarinoainで、予想外に素敵な教会に出会い、ちょっといい気になりすぎたか、この後、大失敗しました。 かなり近くの村を目指したのですが、到着してみると、どうも、何か変。
丘の上にあって、一見すると雰囲気はあるんですが、近寄ると、絶対違う! 幸い、説明版があったことで、自分の大失敗に気付きました。
また、地域の地図を貼りますが、目指していたのは、ガリノアインからもほど近いサンソマインSansomainという村だったのに、結構南の方にあるサンソアインSansoainという村に行ってしまったんです。 というわけで、冒頭の写真は、サンソアインの、アスンシオン教会Iglesia de la Asuncionで、確かに中世創建の教会であることには違いないのですが、創建がすでに13世紀と遅いうえに、後世の変更も激しくて、ロマネスクを求めて訪ねるべき場所では、まったくないのです。ふぅ。
そもそも、目指していたサンソアインも、気になるクリスモンがありそう、というだけの目的だったのに、近いし、通り道だから、というだけだったのに、ここは距離もあったし、道も細いぐるぐる道の連続だったんで、途中で気づけよ、あきらめろよ、という話なんですけれど、これが悲しいかな、方向音痴の性というか、ナビを信用しちゃうんですよねぇ、かなりどこまでも。
それにしても不思議だったのは、教会のわきに四つ星ホテルがあって、カフェが開いていたこと。おかげで、トイレ休憩もできたし、こういうロケーションだったせいで、帰り道に、子ぎつねを見かけて、ちょっと嬉しくなったり。ポジティブ・シンキング的な、こじ付け的な。終わりよければ、的な。
本当のところはわかりませんが、クリスモンだけのために、再びサンソマインを目指す気にもならず、気持ちを切り替えて、オリソアインOrisoainへ。
わかります?このアイン攻め。これじゃ間違えるよ、と思いましたよ。
今度は無事到着。
オリソアインOrisoain、サン・マルティン教会Iglesia de San Martin。 ここは、幸いなことに、楽しい教会でした。
この扉口! 遠目にも、大いに期待できます。
下の方が、かなり崩壊しちゃっている側柱にも味わいがありますよね、危ないけど。
タンパンには、相当浅彫りのクリスモン。
四角い穴は、当然後代に開けられたものでしょうが、何がはめ込まれていたんだか。クリスモンを削り取ってしまうというのも、大胆ですね。 それにしても、サンソマインで見られなかったけど、ここで見られてよかった。とあくまで前向き。
タンパンを取り巻くアーキボルトの間に、無数の顔が。
なんか、とっても素朴で、純粋な感じのお顔が多くって。モデルさんは、もしかして村人だったりするのかも、と思いました。 朝浮彫の植物文様も、かわいらしいです。
角っこにあったであろう頭部が損壊しているのが残念な柱頭。
お団子状のお花とか、市松文様とか、全体に、シンプルだけどかわいい、ロマネスクの基本、みたいなアイテムがちりばめられていて、地域の石工さんのセンスっていうか、ハイレベルな彫りはできないなりに、自分の技量を最大限に使った装飾だなぁ、と思います。
反対側の柱頭は、ちょっと凝った植物モチーフ。そして、扉口に向かった部分に、またお団子上の装飾。
これは、面白いし、独特ですよね。 向かい側も同じですが、こっちの写真だと、正面側にも、このお団子が続いているのが、よくわかります。
扉の上に置かれた軒持ち送りは、鉋屑っぽいですよ。フランスに多い例のやつ。
で、軒持ち送りの間に、細かく彫りがされているんだけど、これは、写真を見て気付いたくらい、わかりにくい小ささと摩耗ぶりでした。 ちょっと拡大してみます。
軒持ち送りは、他の場所に面白いものが並んでいます。 超地味な後塵ですが、スペインには軒持ち送りという楽しみがあるから、看過できないですね。
酒樽背負ってにっこり。
にっこりぶりと、洋服の模様がやけに細かいのが、印象的です。 そして、にっこりペア!
なんだろ、石工さん、この縞々、技術として使いたくて仕方なかったんでしょうか。それにしても、表情の彫が、素晴らしいです。
ほら、変な組体操状態のペアも、同じです。
おそらく巡礼の着物を、こういうひだひだで表しているんでしょうね?巡礼の人たちだと思います。
例によって、素っ頓狂な動物もたくさんいます。
なんか、すっきりした彫りの石工さんだと思います。
今に通じるデザイン性というか。ロマネスクのこういうフィギュアは、全般にそういうテイストありますけれどね。
ちなみに、村には人っ子一人おらず、といういつものパターンで、カギを探す気力はなく、中には入れず仕舞いです。 というわけで、がっかりしたり喜んだり。修行が続きます。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2017/05/08(月) 02:17:18 |
ナヴァッラ・ロマネスク
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2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その14
さて、こっからしばらくは、おそらく超を付けても、納得のマイナー教会が続きます。教会がマイナーなら町村もマイナーで、その上、なんだか響きが似ていたりして再三、行き先がわからなくなったりして、えらい目にもあいました。 結果として、わざわざ行く場所かというと、どうだろうとも思いましたが、でも、とにかく、現場見ないことには、本当のところわからないわけで、行くしかないんですよねぇ。 一生行く機会がない方も、つまり、残念に思わなくてもいいかもしれません。
もう一回、地図を貼っておきます。
このあたりで、ランチのことが気になりだしたので、地図上で見て、比較的大きくて、何かいただけそうな場所、ということで向かったのが、ガリノアインGarinoainです。 通りすがりの女性に、食事できる場所を聞くと、アンヘルAngelがお勧めよ!と場所まで教えてくれたので、素直に。こういうの、スペインの田舎では遭遇率高いよなぁ、という、地元系男性、それもおやじ中心の客しかいない庶民的なお店。 昔の私だと、若干ひるんだものですが、自分もすっかりおやじ的なおばさんになっちゃってるんで、臆することもなく、ランチをいただきました。ワインをがぶがぶやっているおやじをしり目に、水でちびちび、ちょっと寂しいもんですけどね。それも、出来立てで生暖かいクアハーダ(フレッシュチーズのデザートで、大好物)なんてもんを、初めていただいちゃいました。あれは、冷えていてこそおいしいもんですね。
それにしても、ネットってすごい。どういうたたずまいのレストランだったか、町の様子とか、思い出せなくて、検索したら、ちゃんとレストランも出てきました。トリップ・アドバイザーで、ガリノアインのレストランNo.1でした。と言っても、アンヘルしかなかったですが、笑。
さて、店を出たところで、飲みすぎちまったなぁ、とぶらぶらしている赤ら顔のおやじに、期待せずに教会のありかを尋ねたところ、意外にもしっかりとした答えが返ってきました。失礼でした~。 そこからまっすぐ2キロほど進むと、道端にあるよ、という言葉に従ったところ、まさに。
サント・クリスト・デ・カタライン礼拝所Ermita di Santo Cristo de Catalain (Ermita de Katalain), Garinoain
カタラインという名称が不思議です。現地の立て看板では、Kを使っていましたが、ラテン語系では、Kというアルファベットは、普通使わないため、これも不思議。と言いつつ、全然調べていませんけれど。
道端に唐突にあるんですが、素敵なたたずまいで、見逃しようがありません。
後陣側は、全体に再建度が高そうですが、オリジナルの様子は残されているものと思います。遠目には大変地味ですが、ディテールが、愛らしいですよ。
たまらなくチャーミング。それにしても立派な歯並びです。
一方で、こちらは、もうぎゅっと、かたくなに口を閉じてる感じ。
閉じていたいんだけど、どしても口が勝手に、みたいな半端な子。 そして、違うタイプの歯見せ笑いの子。
こういう幾何学系の子たちもいます。
左のは、よく見ると、端っこにぐるぐるがあって、さながら細めのロールケーキが四本並んでいるという風情。右は好みの市松が軒送りになっていて、これもいいですねぇ。
やばそうなフィギュアも含めて、いろいろ並んでいますが、手の込んだ彫り物のあるタイプは、傷みも激しくて、やばさも伝わってこないのが残念。
他はシンプルですが、ファサードの扉口だけはとても重厚な感じで、装飾も施されていて、印象的です。
立派なでかさの柱頭。よく残っています。
テーマはよくわからないのですが、面白い図像だと思います。特に、左側のタイプ。他で見たことがないタイプのフィギュアです。すっごくすっきりしていて、でも、手などの彫はとても細かい。 副柱頭部分の植物連続模様も、とても手が込んでいて、かわいいんです。
なんというか、物語性がある彫り物だと思いました。好き。
扉上の廂部分は、全体が溶けちゃっている状態で、彫り物はほとんど判別不可能。
ここ、オリジナルは相当面白いものがずらずら状態でしょうね。面白い石工さんがかかわっていたんだろうなぁ。
嬉しさでびっくりした、マイナー教会でした。 中も良さそうな情報を得ていたので、入れずにがっかりでしたが、場所が場所だけに、開けてもらえる可能性はない、と判断し、引き上げました。
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2017/05/04(木) 05:41:25 |
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