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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

リンゴって意外と繊細だったんだ!

春のグラッパ合宿、東部編、その5

おなじみのUnterthurner蒸留所で楽しいひと時を過ごした後、メラノの町の反対側を北上したところにある蒸留所を訪ねることとしました。

宿泊したホテルが大変親切で、到着時に、地域の観光情報が網羅されている小冊子をくださいました。やはりアルトアディジェは、言葉のみならず、カルチャーがイタリアというよりはドイツ的なので、いろんなところが大変システマティックなんですよね。そういう情報誌って、イタリア圏だと、めったにないし、あっても、ホテルで配ったりはしないもんです。
で、山なので夕食も早くて、夜が暇だったので、結構熟読しちゃった結果、蒸留所も数軒掲載されていることを発見していたのです。
ネット検索して、週末でも開いていそうなところを訪ねることとしたということです。




Distilleria Wezl
Jaufenstrasse 27、Riffian

なんと、町中にあるバール兼業の蒸留所でした。
バールの入り口を入ると、奥まった一角がグラッパに向けられたスペースでした。




ほっそりした容量の少ないボトルばかりで、なんだか繊細でかわいらしい雰囲気でいっぱいなんですが、歓待してくれたオーナーさんは、そのイメージと正反対で、それが何とも面白い蒸留所です。




元DJというだけあって、なんだかそういう雰囲気満載の方。ちょっととっつきにくそうな雰囲気があったのですが、話だしたら止まらないし、楽しい方でした。
片隅には、いかにも元DJ、みたいな、古いレコードが積まれていました。




それも私が大好きなトム・ウェイツの若かりし頃のアルバムが見えたので、途端に親近感でいっぱいになっちゃいましたとさ、笑。トム、若かったなぁ。

グラッパは、とにかく種類が多い!ビアンコから始めて、リゼルバ、そして果物系、とかなり味見をしました。
なんせ、バール兼業なので、お客さんがひっきりなしにやってくる。オーナーさん、奥さんに呼ばれてバールスペースへ行く。我々には、「手酌でどんどんやってて」と言いのこし。自ら注いでくれる試飲グラスはタプタプナミナミだし。

それでいて、グラッパは、ちゃんとすごくちゃんと作っている感じで、おいしいんです。思い入れもいろいろあるようで、特に、ほぉーと思ったのが、リンゴの蒸留酒でした。
スタークとか、ガラとか、いろんなリンゴで試して、デリシャスはすぐ香りが飛ぶから難しいし、リゼルバするとやはり香りがなくなるし、と、リンゴの蘊蓄は初めて聞きました。

アルトアディジェは、イタリア一のリンゴの産地で、日本出身のフジなど、新規導入のリンゴは、必ずこの地域で作られています。最近も、新しい品種がどんどん出てきて、イタリアのリンゴも、昔に比べると、本当においしくなってきています。
だから、蒸留酒でも、まずはリンゴだろう、と思うのが素人の浅はかさ?
リンゴは、おいしいのが本当に少ない、ということは、以前も書いたと思いますが、本当に少ないのです。つまり、難しいんだ、ということが、今回初めて、語られた、というわけなんです。

語るだけあって、ここのリンゴは、香り高くて、今までで一番おいしかったかも。もちろん、試飲だけでは、わからないんですけれどね。




本当にいろいろ試して、結果、2本購入。




もっとほしかったんですが、高いんですよ。それも、たったの30ミリリットルという、お土産用に毛の生えたようなサイズなのに。
印象としては、ほぼ道楽でやっているのではないか、と。売れなくても、生活の糧はバールの方で得られるだろうし、趣味というか、伝統だし設備もあるし、おいしいグラッパを作り続けなければいけない、という使命感みたいなもので作っているっていうか、そういう感じの方でした。

果実系がほしいということで、大手だけどピルケルと違って、良心的においしいものも作っているし、試飲も存分にさせてくれる生産者さん二軒も訪ねたのですが、どちらも、土曜の午後はクローズでした。




Psennerもリンゴのおいしいのがあって、以前買ったリゼルバを、また買いたかったんだけどね~。残念。スーパーでも売っているような大手ブランドですが、その、大変おいしいリンゴのリゼルバなどは、ここらへんでしか入手できないと思います。
すぐご近所にある、やはり大手のRonerもクローズ。




でも、どちらもきちんとオープン時間を掲げているのは、良心的です。でもでも、大手なんだし、土曜日も一日中やってくれてもいいのにな~!クスン。

大手と言えば、今回の合宿で、最後に立ち寄った蒸留所は、すごかったです。




Distilleria Marzadro SpA
Via Per Brancolino 10, Nogaredo (TN)

場所的には、もうアルトアディジェではなく、かなり南に下ってきた、トレント圏となります。
広大な土地に、近代的な建物で、大型バスが何台も駐車できる大きな駐車場完備。
訪ねた時も、団体さんが数組いました。ガイドツアーも実施しているようでした。




団体さんがなかなかはけなかったのですが、何とか試飲もさせていただきました。




てきぱきした型が、てきぱきとおすすめを飲ませてくれて、さすがに客慣れしている感じ。家庭的な蒸留所で、時間を気にせず、おしゃべりしちゃうような、そういうものとは全く違いますが、でもピルケルに比べれば、かなりナイスな接客と言えましょう。
ここは、デイリーに向くレベルのおいしいものを良心的な価格で大量生産している上に、それなりに意欲的な挑戦もしている様子なので、好感度もオウケイです。




この、左側のAnforaというのは、なんと、古代にお酒を入れる容器として使われたアンフォラで熟成させてみた、という変わり種。土器ですからね。味のわかる人には、テロワール的なものが感じられるとか。私には無理でした~。
大量生産で、とりあえず稼いで、面白いものにも挑戦する、というのは企業としても正しいですよね。

ここでは、デイリー向けに、どっちかというと、大量生産的なものをゲットしてきました。




試飲して、味はおいしいし、年と言っても、コスパ、めちゃくちゃいいです。右のリゼルバなど、13.70ユーロですから。

というわけで、今回の合宿、終了です。
おまけとして、食や地域観光の記録など、別記事にまとめたいと思います。

次のグラッパ合宿は、すでに日程が決定済みで、10月にピエモンテです。グラッパ好きの方、乞うご期待(いないかもね)。

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  1. 2017/06/30(金) 06:49:04|
  2. グラッパ
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初めての山の虹で、お口直し

春のグラッパ合宿、東部編、その4

前回のValentiniに続いて訪ねた蒸留所も、残念ながら、訪問がかないませんでした。




Rossi d'Anaunia - Dallavalle
Via Corti Arsio 1, Revo'

一見、ダサい一般家屋みたいですが、ちゃんとしたモダンな看板がかかっていて、電話番号とか堂々と書かれていて、訪問は事前アポの上、とか書いてある割に、電話にも誰も出ない、とちょっと対応の悪い蒸留所。車も置いてあるし、人の気配がないこともなかったのですが、出てきてくれないので、仕方ありません。

今回、一日でまず、これだけ回ったので、ずいぶん頑張りました。
合宿は、現役メンバーなので、どうしても週末になってしまうのですが、日曜日はまずクローズの蒸留所がほとんどで、下手すると、土曜日も、半日しか開いていない、という場合も多いので、初日の金曜日に、回れるだけ回る、というのが鉄則となります。というわけで、かなり頑張ってしまうんですよね、いつも初日は。

出発時点からお天気が不安定で、ひどい雨になることはなかったものの、自分の晴れ女ぶりを持っても、時々の雨にやられた一日ですが、そのおかげで、素敵な眼福にあずかることもできました。

この居留守っぽかった蒸留所から宿に向かう道、激しい雨が落ちてきた後、道の右側に広がる広々とした谷間から、虹が立ち上っていたのです。




わかりにくいと思いますが、写真の中央左より、緑を背景に、うっすらと見えますでしょうか。
これだとわかるかな。




我が家も、たったの2階の割には、家の前が公園のために、視界が広々としていて、虹のアーチ全体が見えることもあるのですが、山だと、なんと虹を見下ろせるんですね。これは、初めての経験でした。
谷底にアーチの根元があって、アーチと自分の高さが同じくらいで、見上げてしまう町の虹と全然違うんです。

とっても得した気分になって、宿にたどり着きました(宿とお食事については、別途記事にしま~す)。

さて、翌日について、また地図を貼りますね。




まずは、宿泊した町Lanaの超大手蒸留所から。




Distilleria Pircher
Boznerstrasse 17, Lana (BZ) www.pircher.it

ラーナの町のすぐ外に、広大な土地を使った工場を持っており、ここは、製造所直営のお店というよりは、普通の酒屋さんみたいで、ワインなどの並べられていて、わざわざ映像所を訪ねた楽しさ、みたいなものは一切ありません。
そして、販売員も、決まった給料もらって、仕事だから働いてます、的なただの一般社員さん風で、情熱も何もなし。いや、実は経営関係者だったようですが、そういう空気ゼロですね。
とにかく超大手なので、ほとんどイタリア全国のスーパーで販売していますし、別に、特に小売りに力を入れるような発想はないのも、わかりますけれど、でもねぇ。




一応、試飲とかできるか尋ねると、かなりしぶしぶで、ではこれはどうですか?と一杯。
果物系も、ちょっといいか、これもお願いできますか、とこっちから頼んで、やっと三種、でしたか。
別にまずくはないけれど、特段おいしいわけでもなし。お値段は、とびぬけて安くもなし。
とにかく対応ががっかりすぎ。
でも、仕方なく、小瓶を1本だけ買いました。同行者は、一応大瓶を一本。




後からあきれたことが。町のスーパーで、お土産あさりをしたのですが、そこでもピルケル(ドイツ語読みだとピルヒェーでしょうが)のものはたくさん並んでいて、私が購入した小瓶は、直売所より、0.50ユーロほど、スーパーの方が高かったようですが、同行者が購入したものは、スーパーの方が、安かったんです、涙。同行者、激怒り!
直売所の方が高いって、ありえないですから。
ここは、二度と行かないでしょうねぇ。

お口直しも兼ねて、次は、おなじみとなったUnterthurnerに向かいました。




到着したら、なんと、門が閉ざされています!それも、ハデハデ~!
いつだって開いていたので、こんな派手な門があるのを知りませんでした。

掲げられたものを見たら、改装中のため、別の場所の直売所の案内がありました。よかった~。
同じ町だけど、ちょっと郊外。早速移動です。素敵な蒸留所で、憎い(?)ピルケルの口直しをしないと、どうにもなりませんからね~。
到着。




Distilleria Unterthurner
Via Pattis 14, Marlengo (BZ)

思いっきりプレハブ小屋~。工場の片隅で、ちょっと寂しいものですが、あとわずかで、昨年11月から改装中の店舗が新規開店となるようですから、次回は素敵な新しい店舗にお邪魔できるかと思うと、それもまた楽しみです。訪ねた時に、あと2週間とおっしゃっていましたので、今はもう新しい店に戻られていることでしょう。

店舗は狭いし、居心地も今一つですが、スーパー販売員クラウディアさんは健在で、歓迎してくださいました。3回目ともなると、向こうも、覚えてくださいますから、再会って感じになるのも楽しいものです。




ここの果物系は、本当においしくて、今回は多めに買ってもいい、と思ってきていました。新作は何かあるのか尋ねたら、一押しはこれ!と出されたのが、ジンでした。
これがもう、びっくりするおいしさで、購入即決です。

あとから知ったのですが、ジンって、今世界中で流行しているんだそうですね。これまでは、ジンを楽しむというより、カクテルのベース的な扱いだったのが、今はジンそのものを楽しむ方向になっていて、ジンに、様々な香り付けをしたものを、各社が開発しているとか、そういう話です。
ここのジンは、レモンと、キイチゴと、バラ科の植物の実で香り付けしてあって、さわやかで、ストレートでいただかないともったいない風味になっています。

果物系は、お勧めで試飲させていただいた中から、これまで買っていないものを二種。
都合3本。




リンゴのビアンコと、プルーンのリゼルバ。
ここのは、お値段は決して安くはないのですが、クオリティとのバランスでは納得できるレベルです。
そして、いつも、おまけをくださるのも、嬉しい~!




クラウディアさん、まさにスーパーです。こういう販売員さん、なかなかいないと思いますし、彼女がいるから余計に売れているのは確か。会社がちゃんとわかってくれてるといいなぁ、と余計な心配までしてしまいます。
今回知ったのですが、社長は、元自転車の選手で、今でも会社経営より自転車、みたいな人らしく…。どうせ二代目とか三代目でしょうけれど、販売も、そして製造も、よい人材を抱えていて、幸せな経営者です。

そういえば、今回の合宿では、リゼルバのおいしさをあちこちで再発見しました。
続きます。

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  1. 2017/06/29(木) 06:10:47|
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沈黙恐怖症がいいこともあり。

春のグラッパ合宿、東部編、その3

前回記事のトップに貼った地図を見ていただくとわかるかと思うのですが、このあたり、狭い地域に、結構多くの蒸留所がひしめいています。グラッパ街道的な。
前回の蒸留所から、ちょっと北上した村に、次の目的地があります。




ペッツィ蒸留所Distilleria Pezzi
Piazza S.Barbara 5, Campodenno (TN)

小さな村の住宅地に入り込んだ、まるで普通のお家のようなたたずまいの蒸留所。まさにファミリー経営的な、ある意味伝統的な蒸留所ですね。

え、ほんとにここでいいのかな、とうろうろしていると、オーナーの方が出てきてくださり、どうぞどうぞといざなわれた試飲スペース。




こういういかにも庶民派的なスペースは、居心地がよくて、ほっとします。そして、大歓迎ですよ~、と言わんばかりの笑顔の対応、嬉しくなりますねぇ。

「どういったものがいいですか?ビアンコ?ではまずこれからかなぁ」と、試飲についても、てきぱきとイニシアティブを取ってくださると、助かります。

まずは、ミューラーシュルガウでした。




オーナーさん、とどまるところなしの怒涛のおしゃべりです。若干沈黙恐怖的な、そういうレベルのおしゃべりで、圧倒されまくりのクラブ員…。ミューラーの次は、地元の名産ブドウ種、GewurztraminerやNosiola、あれよあれよ、という間に、これだけ並べられてしまいました。




そして、ビアンコもリゼルバも、おいしいんですよね。




さらに、ハーブ入りなども試してみました。このハーブ入りっていうのも、東側独特かもね。ピエモンテでは作りません。やはり果実の伝統があるせいかしら。
面白かったのは、クミン入り。




クミンがそのまま入ってます!飲むと、カレーを飲んでいるような?スパイシーな食事に会いそうな逸品です。
しかし、もしかすると、何でもないビアンコの量産品を買って、スパイスなど漬け込むと、結構それなりに面白いグラッパになるかも?と思わされました。

お兄ちゃんのおしゃべりを楽しみつつ、ここではこの3本。




トレンティーノ名産のGewurztraminer、試飲でおいしかったパッシート、そしてリンゴのグラッパです。リンゴは、他でも書いたと思うけれど、おいしいのを見つけるのは至難。そのため、見つけたら、即買いです。3軒目にして、早くも、目的を忘れるような買い方となっています。目標は、果実系、少量買い。なかなか難しいもんですね。

この後、近場の蒸留所を目指し、首尾よく到着したものの、残念ながら留守。




フェデリッツィ蒸留所Distilleria Federizzi Stefano
Via Damiano Chiesa 6/B, Toss de Ton (TN)

家の前に畑が広がる、素敵な高台の村です。近所の人に場所を尋ねたら、今日はいると思うわよ、という返答で、また、我々がこの門扉に近づくと、飼い犬がダッシュで駆け寄ってきて、遊ぼう遊ぼうと大騒ぎでした。おそらく近所の畑で作業中とか、そういう様子でしたが、家に無人とは思えない状態で反応なしとは、寂しいことです。

初日は、かなり飛ばして、次に向かったのは、こちら。
ここも、前回の地図で場所がわかります。




ヴァレンティ―ニ蒸留所Distilleria Valentini 1872 SAS
Via San Vigilio 43, Tassullo (TN)

村の一角にあるかつてのお屋敷なんですが、そして、結構修復して外観もきれいなのですが、なんというか、寂しい雰囲気でした。きれいなのにさびれているっていうか、活気がないんです。

ブドウ畑を見下ろす、素敵な一角に展示コーナーがあり、試飲のカウンターも立派なんですが、すべてが、なんていうか、ちょっと埃かぶってますよね、みたいな雰囲気なんです。




本当に埃があるわけじゃないですよ、あくまで雰囲気。
お姉さんは、とても感じがよいのだけど、やはり、試飲は、ちょびちょび系で、こっちからお願いしないと、出してくれないタイプ。




初めて来た蒸留所で、何が飲みたいかなんて、わかるわけないんですよね。
リキュールがたくさんあったし、地元御用達で、十分やっていけるから、我々のような訪問者たちには、興味ないんでしょうけどね。
それはそれで仕方のないことですが、重要なのは品質。

2、3種類飲ましてもらいましたが、どれも、私の口には合わず、ただ、手ぶらで辞去もできないため、苦渋の選択、という感じで一本。




苦渋、というのは、口にも合わないうえに、お値段、結構高めだったからなんです。ちょっとびっくりしました。
まぁ、そういうこともありますね。

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  1. 2017/06/26(月) 01:22:39|
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ファミリー・ツリー自慢。いいけどね。

春のグラッパ合宿、東部編、その2

先に進みます。
前回訪ねた、トレントの北部メッツォコローナMezzocoronaを、さらに北上する道なりに、いくつかの目的地があります。




まずは、こちら。




ヴィッラ・デ・ヴァルダ蒸留所Distilleria Villa de Varda。
Via Rotaliana 27/A, Mezzolombardo (TN)

運送トラックと同じように、工場の配送口にアクセスするような入り口から入りますので、ここは、販売所がないのではないか、といぶかしみつつ、建物をくぐってみると、あらびっくり。




中庭に面して、外装ピカピカのオシャレ空間が広がりました。

立派な扉に圧倒されつつ、訪問を告げると、意外と気さくな感じで、販売スペースに招き入れてくださいました。




登場したオーナーさん、「製造所を見ますか」といううれしいご招待をしてくださいましたので、もちろん我々に否やはありません。早速、ガイド・ツアー状態となりました。




蒸留用の機器は、銅がメインで、どの蒸留所で見ても、フォルムといい、コンビネーションといい、それだけで、現代的工場のイメージとともに、一種のレトロ感があって、大好きです。
銅を使うのは、熱伝導の具合などが、ちょうどよろしいとか、そういう実際的な理由があるようですが、銅って、本当に何とも言えない味わいがありますね。




古い機器につけられたこういうメーカーさんのプレートすら、味わい深いです。ミラノの北部にあるレニャーノの会社さんのようですが、今でもあるんですかねぇ。

熱心に説明くださるご当主は、お名前、マウロさんでしたかね?ちょっと失念しました。
1トンものブドウかすからできるグラッパは12リットルとか、水の重要さとか、基本的なことから、我々が初めて聞くことまで、いろいろと教えてくださいました。

8回も合宿をやっていると、それなりに知識も残っていくものですが、今回初めて伺った工程がありました。




ブドウの搾りかすを使うため、ブドウの種から油が出てしまうので、それを除去する器械なんだそうです。原液を、この器械でマイナス15度まで下げて、固まった油だけを除去するということでした。

イタリアでは見たことがないのですが、日本ではブドウの種のオイルを売っていますね。だから、油が取れることは知っていましたが、しかし、これまで、このような工程を見たことはありませんでした。気が付かなかっただけで、どこでも実施しているのか、または一部でだけ実施しているのか、不明です。今後、気を付けたいと思います。

一通り製造工程を見学した後、いざなわれたのが、こちらのスペース。




建物のかなりのスペースを割いて、地域の農業関連の道具や、自家の蒸留酒など、歴史的な博物館となっています。
ピエモンテで二度ほど訪ねたバレストリーノさんのところに、同じようなコンセプトの私設博物館がありましたが、こちらのものは、より洗練されていると言えましょう。扉口に、MuseoTrentino.itとありましたので、一応トレント地域の博物館として、認識もされているのだと思われます。


農機具や写真など、所狭しと並べられているのは、まさにバレストリーノさんち状態。




一角に、過去の蒸留酒が並べられています。お父さん、お爺さん、ひいお爺さんくらいまで、あったかな。




なんか、この辺りから、自分の家系についてのお話が始まり、代々反映した裕福なお家だったらしい様子がわかります。いわゆる地域の領主様的な。蒸留酒作りは五代前ほどだけど、家系自体は15世紀だか16世紀だかまで遡れるとか、云々。
こうなってくると、だんだんとうざったくなってきます、あ、すみません~。

でも、面白かったんですよ。例えば、この何百年も前の蒸留器(1500年代のものらしいです)。




そりゃ、使え、と言われれば使える代物なんでしょうが、今更使うわけないだろう、といったようなもの。それでも、酒税管理する税務当局が、ちゃんと針金で封印しているとか。右側のとってから上につながった銅線が見えるでしょうか。

過去の蒸留酒が並べられた棚の下部は、ガラス張りになっているが、それは、過去に団体でやってきたスイス人が、貴重な1本を盗んでいったからだ、とか。
スイス人、というところが肝ですよね。物価が全然違っていて、清掃労働者ですら、月給が2000ユーロ(イタリアだと、ミラノですが半分かそれ以下だと思われます)とか言われているスイス人が、そんなみみっちいことをやるというのは、謎な感じです。

この一角に、リゼルバの樽が眠っていました。




ここで驚かされたのは、「我々は、新しい樽しか使わない」ということ。実際、ぱっと見、すべてが白木も清々しい、見るからに新しい樽ばかりが並んでいたので、尋ねたわけですが。樽は貴重品ですし、高価ですから、この時点で、お値段高いんだろうな、と想像しました。
一方で、使いまわしの樽によって、面白い風味をつけていくという流れもある中で、不思議な感じもしました。ご当主は、木の香ばかりが出るのが嫌だから、ということでしたが、逆のような気もしました。
ただ同時に、一度使った樽は、品質的にはほぼ新品同様ながら、一度使ったことによる味わいが出るため、もしかすると新品以上の値段で転売できるのでは?という疑惑も持ちました。いや、疑惑というのは変ですね、戦略、かな。

やれやれ、やっと試飲かと思いきや、最後に魅せられたのが、ファミリー・ツリー。




1500年代からの家系図です。はいはい。一番天辺に、自分と、その子供たちの名前が書きこまれていると。はいはい。

で、やーっと、最初のスペースに戻って試飲、となったんですが、全然積極的に勧めてくれないんですよね。何が試したいか?という感じで、こっちに投げてくる。そういうのって、すごくやりにくいんですよ。

結局2、3種類試して、いただいたのは、このリゼルバ1本。




ビアンコと、お値段がほとんど変わらなかったので、それなら、と思ったのです。正直いらない、と思ったのですが、あれだけ見学をさせていただくと、買わないという選択肢は取りにくく。

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  1. 2017/06/25(日) 23:41:24|
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この春は、果実系で決まり!

春のグラッパ合宿、東部編、その1

年二回、恒例となったグラッパ合宿、この春で、なんと8回目となりました。春の合宿は、イタリア東部、ベネトやフリウリ方面という決まりで、今回は、5月25日から28日の週末、二泊三日でした。なんと、もう1か月も立ってしまったのですね。




他との兼ね合いで、ブログアップは遅れてしまったのですが、自分のマニュアル記録用としての絵日記は、さっさと完成。こういうの作ると、マニュアルの記録は、やっぱり全体がわかりやすくていいよなぁ、と思います。どこまで行っても、アナログ人間なんですよね、結局。

今回も、ヴェローナ西部にあるソンマカンパーニャという町の駐車場で、他の土地からくるグラッパ倶楽部の仲間と合流し、彼らの車に同乗して出発です。

手書きのものではわかりにくいので、地図を貼ってみますね。




ヴェローナから、ガルダ湖を左に見て北上し、トレントの先にあるメッツォコローナMezzocoronaが最初の目的地です。




トレンティーノ蒸留所Distilleria Trentino
Localita' Pineta 9, Mezzocorona (TN)

すごい岩山がグーッと迫っていて、すごい迫力。というか、こういう山の景色を見慣れていない私には、すごい違和感というのか、不思議感覚でした。
こういう場所に住んでいたら、なんとなくメンタリティーも変わるだろうな、というような、そういう感じっていうか。

例によって、私はついていくだけなので、この蒸留所がどういった性質のものかは知らず、ただ、名前もすごく安直だし(トレント地方の蒸留所、とでも言った感じです)、多くは期待せず。

販売店舗も小さく、すぐに目につくのがリキュールの類なので、やっぱりね、という感じでした。




ところが、さにあらず!
接客してくださった方、大変感じがいいうえに、的確な進め方で、一気に好感度アップ!




どれも、普通においしいレベルな上、お値段設定はかなりお安めという、庶民に大変優しい生産者さんです。




ハーブが入っているタイプや、ビアンコ、リゼルバなど、いろいろ試飲させてもらいました。この、試飲の段階で、また蒸留所の好悪が分かれます。熱心な蒸留所は、自分の商品に自信もあるだろうからだと思うのですが、こっちが遠慮するくらい、惜しげなく多種多量に試飲させてくれるんですよねぇ。
この蒸留所のお姉さんも、そういうタイプで、ずいぶんと試させてくれました。そして、どれもおいしいうえに、値段を見ると、買いたくなってしまいます。




ミューラーシュルガウ、なんと10.5ユーロ。近所のスーパーで販売されている大量生産のものと同じレベルの値段でこのおいしさは、ちょっとありえない感じ。
でも、今回の私の目的は、「果実系」。そして、ここは、合宿最初の蒸留所。

ということで、果実系に絞って、大好きなウィリアムズ(洋ナシ)のビアンコ。




ウィリアムズは、果実系グラッパでは、最もポピュラーだと思うのですが、そして、だからこそ、一番蒸留するのが簡単のでは、くらいに思っていたのですが、各所で試飲していると、どうもそんなことはないんですよね。ここのは、かなりおいしかった上に、13ユーロといううれしいプライス!

そして、もう一つ、これは買わずにおれなかったリキュール。
いや、一つじゃなく、二本買っちゃったんですけどね。




リンゴのと、サンブーカのリキュール。
これはアルコールが15度と低く、と言っても、強いワイン並みにはあるわけですが、甘いので、さほどアルコールを感じません。でも果実の香がしっかり抽出されていて、とってもさわやかな逸品で、これからの季節、クラッシュアイスでグラニータみたいに飲んだら、さぞやおいしいだろう、と想像したら、買わずにおれませんでした!

というわけで、幸先の良いスタートとなりました。
続々と続きます~。




それにしても、連日30度超えのミラノ。山と冷たい空気が恋しくなります。そういえば、たった1か月前のことなのに、羽根布団でしたねぇ…。

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ぎっしりみっちりびっしり!(トゥデーラ2)

2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その29

お祭りに振り回されてしまいましたが、目的の教会、一つだけは発見して、見学することができました。三つ、リストアップしていましたが、時間の余裕もない中で、お祭り優先してしまって、他二つは、探す手立てもなく、あっさりあきらめました。


 

人々の後について、訳も分からず歩いているうちに、たどり着いたのが、カテドラルです。サンタ・マリア大聖堂Catedral de Santa Maria。

小さな通りに面したファサードは、幅のないスペースなので、全体を撮影することは不可能。最大にひいて、この程度です。その割に、なんというすごいアーキボルトでしょう。そのアーチにも、びっしりと彫り物が施されています。

質や技術は置いといて、このびっしりみっちり感は、なんというか、イスラム的?とにかく迫力あります。


 

アーチと、そして、それぞれのアーチの根元にある柱頭。


 

彫り物を見ると、時代はちょっと下って、13世紀以降になるのかな、という印象です。
多分、アーチごとに、モチーフのテーマがあると思いますが、面白かったのが、悪魔づくしかな。

舌引っこ抜き担当悪魔くん。




逆さづり担当悪魔くん。


 

アーチの中央部分は、縦にまっすぐ縦向きのフィギュアがあるのは、他の土地で見たのと同じデザインですが、ここは、人物フィギュア集中で、動物や植物モチーフが一切ないのが、すごい潔さです。


 

一つ一つ丁寧で、そして、同じ手に見えるのがすごい。というか、怖い。一つの工房で、統一感をもって彫られたのでしょうねぇ。それにしても、これだけの数の場面を並べるのは、本当に大変だったのでは。


 

柱頭も、同じような傾向で、ここまでやられると、なんだか苦笑いが出てきてしまいました。


 

カインとアベルだ~。


 

歯まできっちり彫られると、引けますわ~。細かくて丁寧だけど、かわいさがないんだよねぇ。
ほんと、頑張ってるなぁ、と思うんだけど…、好みじゃない、と。


 

誰が迷惑するわけでもないけれど、なんというか、ここまでやられて、好みじゃないなぁ、とか思うと、申し訳ない気持ちになっちゃいます。

ロバがハープっていうおなじみのモチーフも、やっぱりかわいくない…。


 

でも、長い時代に渡って広い土地で使われた人気モチーフって、あるんでしょうね、このロバハープのみならず。そういうのって、伝播を考えると面白いなぁ、と思います。ここのロバは、どこから伝わってきたんだろう。

後陣が東だとすると、北側になる場所に、もう一つ扉がありますが、こちらは、ファサード側よりも、修復がなされていないせいか、傷みが激しい。
そして、こちらのアーキボルトは、完全にイスラム風なアラベスク的装飾彫り物がみっちりです。


 

扉に向いたとこの彫り物だけがやけにきれいに。もしかすると、これは再建彫り物かもしれないですね。


 

さらに、中にも。
これはおそらく古い時代の建物のものではないかと思うのですが。


 

こちらのは、建物内となっているせいか、かなり美しくて、アラブ風の緻密な彫りが美しい。


 

なんとなくですが、こちらの扉口装飾の方が、私の好みに近いような。同じように細かい彫で、テーマにも凝っていて、ぎっしりみっちりなんですが、微妙に違う感じがあります。


 

時代なのか、手なのか、正直、わからないのですけれどもね。


 

最後まで、ぎっしり感。このときの旅の締めとしては、正しい彫り物だったのかもしれません。

とりあえず、ナヴァラ編、ここで終了です。次回は、ラ・リオハのロマネスクに移ります。
その前に、恒例の、寄り道が挟まりますが、ロマネスクお待ちの方には、どうぞご容赦くださいね~。

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  1. 2017/06/20(火) 05:27:40|
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巨人に翻弄された巻(トゥデーラ)

2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その28

ナヴァラ編最後は、実は旅の最後に立ち寄った町となるので、ここで取り上げるか、最後にしようかちょっと悩んだのですが、やはり、ロマネスク的には、地域でまとめた方が、理解も含めて有益と思い、やはりここに挿入することとしました。
最後にするには、若干しょぼい内容だった、という事実もありますし。

空港に行く時間を気にしながら立ち寄った最後の町は、トゥデーラTudelaです。
その昔、やはりサラゴザの空港から入った時に、最初に立ち寄った町が、ここでしたが、なんだか埃っぽくてとりとめのない町の雰囲気に、トイレ休憩だけですぐに去った記憶のある町です。
その後、ロマネスク時代の教会が三つもあることがわかり、今回もメモにまとめており、また、空港に向かうにはどうせ通過するという都合がよいロケーション出会ったために、立ち寄ることにしたのです。

が、駐車場所がよくわからず、うろうろしていると、かなり旧市街に入り込んでしまいました。いやなパターンです。一方通行の道をぐるぐるした挙句、立体駐車場を発見したので、すかさず入ったものの、確か4、5階建ての駐車場が、上がっても上がっても満杯。最後の屋上スペースで、やっと一台分見つけました。
日曜日に、旧市街がこれほど混むって、不思議な町だなぁ、と思いながら、駐車場を出て、歩き出し、異変に気付きました。


 

何か、さっきから気になる。


 

人々の服装に妙な共通性が…。


 

犬も、そして赤子も!


 

みんな、赤いものを身に着けています!

イタリアはビエッラという町のカーニバルのお祭りでは、オレンジぶつけ合いが行われるので有名ですが、ぶつけられないためには、何か赤いものを身に着ける必要があります。
ここでは、別にそういう過激なものではなく、どうやらお祭り用の衣装が、白と赤のものと決まっているようでした。
ショーウィンドーでも、こんな提案が。


 

正直、ださっ!と思いましたが、いずれもよいお値段でした~。

それにしても、困った時代です。
人々があふれだしてきて、どこもここも、大混雑となってきていました。


 

このころは、海外ではWi-Fiのあるところしかネットに接続できなかったので、地図はないし、どこに行っていいのやらわからず、途方にくれました。
それでも、なんとなく人の流れに流されるように、旧市街の深奥へと入り込み、カテドラルにたどり着くことができました。


 

なんだか、長い時間をかけて作られた教会のようで、とにかくあらゆる様式が混じってしまっている上に、メインの入り口は、旧市街の狭い道に面しているので、全体を捉えるのがひどく難しいようになってしまっています。でも、現役のカテドラルで、人々の心のよりどころって感じ。
そして、どうやら、地元の人々が楽しみにしている何かが、ここで起こるようで、混雑ぶりが半端ないことになっています。

で、尋ねてみると、町の守護聖人である聖アンナのお祭りだということでした。何が始まるのか聞く間もなく、楽団の音が…。
そして、音楽とともに、巨人たちが練り歩いてきます~。


 

いろんな人物がいますが、町の歴史に関係ある人物を表したものだそうです。各巨人一人に、人が一人入っていて、くるくる回って、衣装をふわりとさせるのが、どうも見せ所らしかったです。


 

そして、なんとなくついて歩く。


 

教会を見なくてはいけないんですが、お祭り好きなので、つい、一緒になって、ついて歩いてしまうオレ(笑)。
何が起こるんだろう、と思ったら、町の広場に続くメインストリートに、あちこちから人形が集まってきて、一列に並べられました。


 

そこでも、おのれのくるくる技術を見せつける輩も。


 

十字軍騎士が、ナイキをはいたすね毛を見せてクルクル。ちょっとやだな~。
しかし、巨人だけに、ずらりと並ばれると、結構壮観。


 

何か始まるはず!と、しばらくワクワクして待っていたのですが、しかし、待てど暮らせど、特に何も始まらず…。結構バカ面して、待ってたんですけどね。

昼間はこれだけで、きっと夜になると、またひと騒ぎあるんじゃないでしょうかね。
私は、飛行機の時間があるので、このあたりで、慌てて、町を出ましたが、駐車場は、本来駐車できないはずの場所まで満杯で、自分の車を出すのに、相当苦労する羽目となりました。ラッキーだったんだな、たぶん。

カテドラルは次回。

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  1. 2017/06/19(月) 02:43:11|
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酸っぱいブドウ的な。または後悔さいなまれ。(トレス・デル・リオ)

2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その27

さて、道なりに、さらに先に進んで、向かったのは、トッレス・デル・リオTorres del Rioです。


 

なんというか、巡礼路沿いの宿場町的な雰囲気のある村です。実際、巡礼の姿を何人か見かけました。


 

性別すら定かではない、怪しい二人組。本当に暑い盛りの時期であり、時間でしたので、おそらく、暑い国に住む人を見習って、肌を露出するよりも、こうやって覆った方が、楽ということなんだろうと思います。
正直、イタリアやスペインは、本来こういう服の方が合っているほど日差しが強いのに、白人は、肌を露出したがるので、うざったいと思うことが多いです。いい年したおばちゃんが、デコルテや太ももを露出している姿は、ちょっと…。職場でもドレスコードある会社少ないし、目のやり場に困ったり、すごく迷惑。

もとい。

村に入ってすぐ、どーん!と目的がありました。迷う暇もなし。


 

サン・セプルクロ教会Iglesia de San Sepulcro。
円形ではないけれど、やはり聖地いエルサレムを想定している、ということなんでしょうね。
12世紀、ムデハルの入ったロマネスクで、スペインならでは、のスタイルとなります。でも、巡礼路にあるスタイルではないため、構造的には謎とされているようです。
円形ではなく八角形で、背がずいぶんと高いですが、径は、意外と小さい感じです。

たどり着いたのは、15時頃。
珍しく、扉口に、オープン時間が記されていました。


 

午前中は9時から13時まで、午後は16時半から19時まで。もし、この時間に閉まっていることがあれば、オフェリアさんに電話しろ、と電話番号も記されていました。
でも、オープン時間じゃないし、スペイン時間的には、完全にランチタイムですから、電話することははばかられました。

教会の周囲は、一般の住宅が並んでいます。


 

オフェリアさんも、きっとこのどこかに住んでいる方だろう、と思ったのですが、日差しも強いせいか、どの家も、窓も入り口もぴったりと閉ざしており、人の気配もしません。
お昼時、という事実を考えると、どうも、呼び鈴を鳴らすのもためらわれる雰囲気でした。

すぐ近所にバールがあったので、カフェを飲みつつトイレ休憩をしたのですが、バールの人も、取り付く島もないような感じだったし、このときは、カギをすっぱりとあきらめました。

時として、どうしても頑張ってしまう場合と、このときのように、妙にすっきりとあきらめがつく場合があります。このときは、実はこの教会のことは、外観のことしか調べておらず、中を見る重要性がわかっていなかったせいもあって、このようにすっぱりとあきらめがついたのです。今となっては…。
というのも、この教会、最も見るべきは、内部のクーポラ構造部分だったと思うんですよね。去年訪ねたカスティーリャ地方にて、やはりクーポラの内部構造が有名なアルマサンのサン・ミゲール教会のガイドで、スペイン全土に三つしかない構造だといる説明を受けて、がっかりしました。

以下、その時の記事となります。


ま、仕方ありません。次回があることを期待したいと思います。って、自分で決めて、行けばいいだけの話…。

南側に入り口があります。


 

シンプルな扉、そして、シンプルな彫り物装飾。
これよりは、窓の方が、まだ少し装飾的。


 

と言っても、アーキボルトにはお団子が並んでいて、アーチは植物的モチーフで、やはりシンプルではあります。
そして、どの窓も同じ装飾だったように思います。


 

その辺が、ロマネスクというよりイスラム的な感じもしますが、どうでしょうか。


 

だからこそ、すっきりした統一感のある建物となっているのかもしれませんが、どっちかと言えば、私の好みからは外れるのかなぁ。

扉と反対側に、後陣が、ボコッと飛び出しています。


 

あれ?扉が南とあったので、とすると、後陣は北向きになっているのかしら。変則ですね。おそらく土地の都合でしょうけれど。

なんか、鐘楼状の構造と、後陣とがぼこぼこついていて、全体の姿は、ちょっと不思議な様子になっていますよね。普通、後陣側からの眺めは、美しいものですが、ここの場合は、ボコッとした後陣がない、八角形だけの方が、確実に美しいはず…。
なんていうと、罰が当たるでしょうか。

これ、中を見ていたら、きっと全然感想が違うと思います。返す返すも、頑張らなかった自分を恨む…。

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  1. 2017/06/15(木) 05:51:44|
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はっ!もしかして開いていたのかも!?(ヴィリャマジョール・デ・モンハルディン)

2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その26

予想外にも、午前中滑り込みで、期待していなかった教会を見ることができて、いい気分でイラチェを出発。さて、ランチをどうしようかな、と思いながら、道なりに西方向に進みます。スペイン時間では、実は、まだちょっとランチには早い。
で、到着したのが、この村、ヴィリャマジョール・デ・モンハルディンVillamajor de Monjardinです。


 

お日様が、最も高い位置に近づきつつあり、影もない日照りの道で、どうなることかと思いつつ、教会あるもんなぁ、行くしかないよなぁ、と、車を停め、思い切って、外に出ます。
なんか、猛暑の時期に車を出るのって、息を止めて水に潜るような、そういう勇気みたいな気合がいりますよねぇ。これ、写真を見直すまで、どの教会だっけ?と思っていましたが、写真を見た途端、そういう気合を思い出しました。


 

サン・アンドレス教会Iglesia de San Andres。
扉はきっちりと閉まっていたものの、一応押してみました。が、開きません。もう13時半を回っていましたから、閉まっていても仕方ないな、という投げやりな気持ちもあり、それであきらめて、扉口を離れました。
その時、ちょうど私と入れ替わるようなタイミングで、巡礼っぽい女性がやってきて、さりげなく扉を押しているので、離れた場所から、「開かないわよ」と思って見ていたら、なんと、普通に開きました。

それほど非力だとは思っていないのですが、そういえば、腕の力は意外と弱いのです。昔乗馬をやっているときに、鞍を装着できずに、泣くような思いを何度もしました。確かに鞍は重いし、タイミングとかもあるのでしょうが、普通の大人は普通に装着していたので、自分の腕が非力なのでしょう。
ということは、これまでも、すぐあきらめた扉が、実は固い扉というだけで、カギで閉まっていたわけではないのでは…?と、実はこのとき、走馬灯のように、過去のいろいろが思い出されました。暑さで、半分やられていたかもね。

気を取り直して。


 

地味だけど、バランスのよいかわいらしい扉装飾になっています。問題の扉部分は、アイアンの装飾的な補強がこれでもか、というほど並んでいます。


 

それにしても、こうやって改めて見ても、完全にカギで閉まっている雰囲気濃厚ですよねぇ。

柱頭の彫り物は、なかなか良さそうな作品と見受けますが、残念ながら、かなり壊れてしまっています。


 

黄色にピンクの混じったような石色は、フランスのブリオネ地方で、よく出会った気がしますね。


 

翼のような細かい彫が見えますが、もうこうなると、それが天使なのか鳥なのか、皆目…。


 

スペインって、クリスモンがとても好きですね。ここでも、素朴な奴が、真ん中に置かれていました。

そして、入場!


 

すっきりとすがすがしい後陣です。開口部も最低限しか開けられておらず、秘密な雰囲気が漂います。
内部の柱頭は植物モチーフです。


 

ここでも、副柱頭部分の帯模様が、かわいらしいです。半お団子ですね。

ずいぶんと後の時代のものの、それももしかすると複製かもしれませんが、多分マリア像。


 

聖母子の子がいなくなってしまってのかしら?左手が不自然ですね。

中は地味で、たとえ見られなくても後悔しなくてもよいものでしたが、でも、それは見ることができたからこその感想。見られなくて悶々とするよりはずっといいので、嬉しかったです。というか、扉を開けてくれた巡礼の女性に感謝ですね。

後ろの方も、きっちりチェックです。


 

スペースが足りず、よい写真が撮れないロケーションです。
私の好きなつけ柱のある素敵な後陣ですが、どうやっても、全体を捉えるのは無理でした。


 

オリジナルはどういった形だったのか、敷地的には、教会でしかありえないのですが、こういう囲いが、ちょっと修道院のような雰囲気も醸し出しています。


 

村の広場に面していて、はす向かいには、巡礼宿がありました。この村が修道院の村だった可能性もあるかも、と感じます。


 

村を見下ろす丘の上には、城址も見えます。古そうなものです。もちろん、近寄る気はゼロ。


 

これで、ちょうどよいランチタイムとなりました。広場の反対側にあった、かなりダサいバールにて、ワンプレートメニューで、お昼にしました。


 

スペインでは、安っぽいバールのランチだと、こういうワンプレート、多いですよね。かなり油まみれのフィッシュ・アンド・チップス。定食で、飲み物込みで10ユーロもしないようなやつ。
お酒を飲める夜を楽しみに、こういうランチは、おなかを満たして、午後頑張るための燃料みたいなものなので、多くを期待しておらず、ありつけただけで幸せ、というところです。確か、水だけは大きなボトルをいただけて、かなり嬉しかった記憶があります。暑い中、大げさですが命をつなぐ水の記憶は、鮮明です。

そういえば、ナバラの後移動するラ・リオハでは、超田舎の連続で、レストランどころかバールすらない、という状況で、油まみれのフィッシュ・アンド・チップスすら恋しく思ったものです。

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  1. 2017/06/13(火) 04:58:09|
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開いててよかった~!古い言い回しながら、実感です。(イラチェ修道院)

2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その25

エステージャを堪能した後、時間的にかなり厳しかったのですが、もしかしてギリギリ間に合うか、という微妙なところで向かったのが、イラチェ修道院Monasterio de Iracheのサンタ・マリア教会Iglesia de Santa Mariaです。
エステージャの南方3キロと、距離は近かったのですが、13時15分で一旦閉まって閉まり、午後の見学は16時から、という、スペインらしい時間なのを、事前に調査していたので、なんとしても13時15分までに見学してしまいたかったのですが、エステージャを出発したのは、すでに13時近くだったんです。


 

でも、私にしては珍しく、迷うこともなく到着して、無事、間に合ったんです。

建築物の多くの部分は、後代の建築だったり、いろいろの変更やら何やらで、ロマネスクが残っているのは、教会内部の一部、扉口と内陣部分なので、入れると入れないでは、半分見られないことになっていたので、ラッキーでした。


 

正確に言うと、教会は12/13世紀、回廊と鐘楼が14世紀、そして、修道院部分は17世紀の建築となります。
本堂に入ってすぐ、手前はもう後代の建築になっていますが、奥に見える後陣部分は、かなり素敵なロマネスク建築であることが、すぐに見て取れます。


 

すっきりとした美しいスタイルです。1980年代に、修復が施されたようですが、もともと白い石なので、清潔感があり、神々しい雰囲気ですね。そして、シンプルなだけに、その洗練されたスタイルがさらに際立つ感じです。
アーチ上の開口部は、オリジナルなのか、後代に開けられたのか、どうでしょうか。


 

アーチには、お団子やチェッカー装飾帯が施され、柱頭にも、楽しい彫り物が散見されます。これは、スペインではおなじみのケンタウロスですね。


 

残念ながら、背が高かったり、近くに寄れなかったりで、詳細を肉眼で観察するのは難しい状況でした。


 

副柱頭に当たる部分にまで、このような装飾的な彫り物です。こういう感じって、イスラム的の影響を感じてしまいますけれど、どうでしょうね。
それにしても、この帯は、初めて見るもので、わたし的には、「ワッフル文様」で、決まり!
お叱りを受けそうな命名です、笑。


 

柱頭には、マギと思われます。右側に、聖母子がいらっしゃる様子。
それにしてもワッフルの緻密さ、感心します。

これなども、興味深い柱頭です。


 

ふと、ラベンナにある、ビザンチンの柱頭を思い出しました。考えたらあれはもっと緻密で、もっと細かい。これは、ちょっと大雑把で、イスラムとかいうと、イスラムに怒られそうなレベルかも…。
でも、三角の連続帯、かなり好き。

時間がないので、焦りに焦って見学しています。
それでも、とにかく見落としをしないように、と回廊も一応のぞいてみました。


 

見学、というより、一瞥して引き返しました。半端に好きな時代風のものがなくてよかったかも~。
ちょっと安心して、再び本堂の宝探しです。

これは、天井のヴォルトの交わるところにあったはず。


 

ちょっと面白い、物語的な彫り物ですよね。このような場所にこのように物語的なレリーフが置かれるのは、珍しいように思います。


 

時代が下る感じですね。後付けってことか。多分そうですね。


 

地味だけど、やはり入れてよかったなぁ。

本堂を駆け足、10分ほどで何とか見学し終え、13時15分ちょっとすぎに出た途端、しっかりとクローズされましたので、満足感一杯でした。
心穏やかに、扉口を見学です。


 

左側の側柱。地味ですね。見学アイテムがこれだけだったら、やはりちょっと寂しかったかも。
扉に近いところの浮彫が、気になります。


 

組紐ですね。でも、ロマネスク的というよりは、何的だろう。ちょっと違う感じがしますけれど。
右側も。


 

緻密で繊細で、すっごくうまいんですね。時代が下るのか、イスラム的な装飾文様が得意な石工さんがいたのか。
クリスモンも、変わっています。


 

やっぱりちょっと時代が下る感じがしますね。
でも、扉のバランス、いいですよね、石色も。

というわけで、大急ぎ、15分ほどの見学でしたが、ギリギリ間に合ったとかそういうところで、妙に記憶に残った教会です。

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