2015.07.スペインの旅、La Rioja編、その12
夏休みも近づいてきて、ちょっと焦り気味。ちょうど切りのいいところまでは、アップしたいと思います。
というわけで、サクサクと。
横顔だけであきらめた教会の次に向かったのは、ティルゴTirgoという村。
このあたり、かなり狭い範囲に、目的の教会がぎっしりという感じですが、いずれもかなり地味~な、そして、何にもない村が続きます。
教会も、地味なところが多いので、2年もたった今となっては、若干忘れ気味。
前回の横顔教会は、アクセスが特別だったので、記憶がかなり強かったのですが、このティルゴは、にわかには状況が思い出せませんでした。
でも、教会周辺の風景を見て、あ、あれあれ、と思い出すことができたので、やはり、そういう部分も撮影しておくもんだ、と改めて思いました。いつも、旅の後でそう思うのですが、現地では教会に集中してしまって、忘れがちなんですよねぇ。
さて、ティルゴですが、これまた地味な、民家があるだけの町ですが、教会周辺を中心として、大変こぎれいに整備されていて、ある意味びっくりします。第一次産業などで、意外と富んだ土地なんでしょうか。
ここには、もともと修道院があったそうなんですが、今に残るのは、その教会部分だけです。
エル・サルバドール教会Iglesia de El Salvador。
とっても地味なファサードですが、ここの見どころは、主に、後ろ側です。
まず、横に回り込んで。
そして、後ろ!
修復しすぎているきらいはあるものの、好物そろい踏みって感じの後陣です。
窓の装飾、とっても好き。
柱頭の素朴な彫り物もいいし、アーキボルトに並んだホタテ貝状お饅頭並びとか、麻の葉模様にも見た、ちょっとオリエントな幾何学モチーフも愛らしいし、下には、愛する市松模様、副柱頭のナミナミな感じのモチーフも好きです。
こっちの窓も、さらに素敵で、柱頭の二股人魚の、何ともチャーミングなざんばら髪と調和したざんばら二股が、たまりません。アーキボルトの超内側の細かい彫りも、印象的ですよ。
身体は、ちょっと楳図かずおさんの蛇少女的な不気味さも感じられますね~!
ホタテのお饅頭もかわいいので、アップにしておきます。
後代の無粋な建物のおかげで、窓の一つが半分つぶされちゃっているのが、悲しかったです。
柱頭も、全体に凝っています。
こんな、祝福するキリスト的なモチーフを、こういうところであらわすって、なんとなくフランス的な感じがしないでもないんですが、そういう修行をされた石工さんがいらっしゃったのかしらん。
こちらも、かなり凝った感じです。
期待の軒持ち送りは、若干時代が下った様子の顔タイプが多く並んでいます。
あまり好物ではないな、というものが多かったのですが、中には、愛らしいものもいました。
正門は、南側にあります。この面の軒持ち送りの多くは、ただの玉になっていますけれど、もともとは、きっとずらりと変なものが並んでいたんでしょうね。
近づいてみても、やっぱり地味でした。
残念ながら、オープンはミサのときだけ、ということらしく、びっちりとクローズでした。
最後に、教会のたたずまいを思い出すよすがとなった一枚、教会のファサード側からの町の様子をアップしておきます。こんな風景が、意外にも、印象に残っているものなのですね。
大げさですが、失われた時をマドレーヌで思い出す的な、記憶の不思議さを思います。
わかりにくいかもしれませんが、地面が全体に傾斜していて、教会も、確か傾斜地に立っていたように思います。そういう、ちょっとした小高い土地に、村、というか、修道院があったということなのでしょう。
ところで、時間もないので、一気に複数の教会をアップするつもりでしたが、またもや、ウィンドウズにやられました!
昨夜、延ばし延ばしにしていたOSのアップデートを実行したところ、予想外に1時間ほどもかかってしまい、ブログ更新できず。
そして今夜は、以前更新したときにも発生した、写真閲覧のアプリが、また見にくいタイプになっていて、以前同様に見るためにはどうしたらいいか、を発見するのに、時間を費やす羽目になったのです。
ウィンドウズも、それなりに使い勝手を考えたうえで、いろいろアップデートしているのでしょうが、考えすぎのケースも、多々ありますよね?
というわけで、なんだか、夏休み前に一区切り、という目標が危うくなってきました。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2017/08/09(水) 06:20:19|
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2015.07.スペインの旅、La Rioja編、その11
いやはや、イタリア中、燃えている状況継続中で、連日の40度に、かなり参っています。それでも、夜は結構涼しくなって、問題なく眠れていたのですが、この二日、いわゆる熱帯夜。夜中でも30度を超える気温で、辛い夜が続いています。
前回紹介したペシーニャの寒さが、懐かしくなります。
さて、ペシーニャの後、目指したのは、カサラレイニャCasalarreinaという場所です。
この場所、事前に調べてはいたものの、今旅のメモを見ると、何も書いておらず、あたかもアクセスできなかったようなことになっています。
その日は、小さなロマネスクを数多く回ったので、うっかりしてしまったのでしょうが、回った中でも、小ささとマイナーさでは一、二を争うこのカサラレイニャは、写真を見ると、その時の状況がまざまざと思い出される、とても印象的な場所です。
サン・ロマン・デ・アフゴンテ隠遁所Ermita de San Roman de Ajugonte。
後ろ側にある、ガードレールがわかるでしょうか。そこが国道的な道で、そこを左から右に向かって走っていて、この小さな建物には、意外とすぐに気づいたのです。
周囲に何もない平地、それも畑の中にポツンとありますから、探さなくても、目立つんです。
しかし、何もないところにあるので、当然道もなく、いったいどうやってアクセスしたらいいのか、それが問題でした。
かなり先まで国道を進み、やっと右に曲がり、この畑の反対側の道に入ったと思ったものの、対抗二車線の細い道の上に、生け垣のように木がもっさりと茂っていて、道から、この畑が全く見えないのです。
何度か行ったり期待した挙句、何とか路肩にニッチを見つけて駐車し、茂った木々を分け入って入った、という次第。実際、かなり苦労しました。
その上、この写真だとよくわかりませんが、ここ、麦とかの畑だと思うんですが、刈り取りからずいぶん時間がたっているようで、相当雑草とかが茂っているんです。それに、畑である以上、私有地だから、勝手に侵入していいのか、という疑問もあり、しばし、考えこみました。
でも、せっかく来たんだし、この角度だけ見ていても仕方ない。近づいてみることにしました。
しかし!
これが結構しんどい。写真では近く見えますが、結構な距離の上、雑草が手ごわい。半分ほど近づいたところで、ギブアップです。
一応、精いっぱい望遠で撮影したけれど、どうやら何もなさそうだし、もちろん開いているわけもないですから。
これだけ苦労して、これだけかよ、と思うと、どうしても去りがたいのですが、まぁ、仕方ないですよね。
いろんな教会やいろんな出来事を、どんどん忘れてしまう昨今なのに、こんな場所ほど、よく覚えていたりするんだから、ちょっと皮肉。それも横顔しか見られなかったのにね。
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- 2017/08/07(月) 02:23:22|
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2015.07.スペインの旅、La Rioja編、その10
夜間に雨が降ったようで、晴れ女の私をもってしても、どんよりとした朝を迎えました。早朝から、長めのドライブで、ラ・リオハの深奥部へ向かいます。
ナビが非常に変な道を示したと思うのですが、その場ではなかなか判断しがたく、わざわざ、山登りをするような行程となりましたが、車窓は、その分、印象的でした。
早朝とは思えないこの不穏な空も、妙に美しいのでした。
さて、この日、一番に向かったのは、こちらです。
ペシーニャPecinaの、ヌエストラ・セニョーラ教会Ermita de Nuestra Senora de Piscina。
この近所に、ドルメンもあるようなのですが、それにしても、不似合いなほど、大きな駐車スペースがあるのには、びっくりしました。これは完全な謎です。
それにしても、車のドアを開けた途端、ひるみました。
強風、それも、強烈に寒いんです。車の温度計は16度を指していましたが、体感温度は10度くらい?手持ちのものをありったけ巻き付ける感じで、車を出ました。
おお!
こういうアプローチ、大変良いですよね。やはり、クルマですぐ近くまでアクセスするより、最後は徒歩で、徐々に近づくのが、気持ちが盛り上がって好みです。
それが、こんな素敵な教会だと、なんだかこの近づく瞬間瞬間がもったいないような気がして、妙にそろそろと進んでしまいます。後ろを執拗に確認したりしながら。
このときは、ひと時寒さを忘れています。青空まで出てきて、完璧ですね。
ワクワク感、少しは伝わったでしょうか。
さて、じらしてても仕方りませんので、アクセス!
いいたたずまいでしょう。アクセスの反対側が南で、そちら側は、素晴らしい谷を見下ろすパノラマが広がるんです。回り込みます。
全体に、装飾性はミニマムですが、とにかくどこをとってもたたずまいが素晴らしい教会です。
最も美しいアングルは、しかし、やはりこの、後陣側からのものでしょうか。
この、後陣一帯は、教会よりも若干古い時代の墓所が広がっているのです。地盤の石を彫って、墓所にしているもののようですが、かなりの数の穴が、ボコボコ開いています。
神聖な場所だったのですね。この教会も、本来隠遁所という位置づけだったようなので、墓守的な役割も負っていたのかもしれないです。
さて、教会は、もちろんクローズでした。外観から言っても、中も何もないのでしょうが、素朴な構造を見てみたかったです。
外観は、ミニマムですが、それなりの装飾物はありますので、ちょっと紹介しておきます。
扉は、大好きなチェッカー模様の柱頭で、地味ですが、愛らしいです。上にある紋章は、もちろん後の時代のものですけれど、ホタテが入っていますね。
お約束の、軒持ち送り。
チェッカー帯も含めて、溶け具合が激しいです。
小さな後陣にある唯一の開口部。
副柱頭はオリジナルっぽいですが、柱頭は、完全に再建。こういうのは、朽ちたまま置いといてほしいような気がします。わがままないい分ですけれど。
このころには、すでに寒さが震えがくるほどでしたので、切り上げることにしました。
それにしても、たたずまいだけで、これだけ嬉しくなる教会というのも、なかなかありません。ラ・リオハの深奥部は、小さくて地味な教会が多いのですが、何とも言えない味があるっていうか、しみじみしてしまうんですよね。
おそらく、二度とは来ないだろうなあ、と、感じてしまうからかもしれませんけれど。
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- 2017/08/05(土) 23:09:49|
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2015.07.スペインの旅、La Rioja編、その10
暑いし、2か月くらい前から患っている腱鞘炎は、一向に良くならないし、その上、パソコンのネット接続の調子が悪いし、と嫌なこと続きで、また更新が滞ってしまいました。まったくもう。
気を取り直して。
さて、山奥から帰還して、時間に若干余裕があったので、おなじみな人も比較的多そうな、サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダSanto Domingo de la Calzadaへ、立ち寄ることとしました。
まったくロマネスクじゃないファサードのダント・ドミンゴ・カテドラルCatedral de Santo Domingoが目的です。
何年振りの訪問になりますか、びっくりしたのは、博物館化していたことです。過去の訪問時のことを、明確に覚えているわけではないのですが、その時は普通に教会だったと思うんですけれども。
博物館ですから、有料なのは理解できますけれど、手ぶらでなければ入れない、というのには唖然としました。チケット売り場に、一応小さなコインロッカーが用意されてはいるんですが、それが、もういかにも、の代物で、そこに、パスポートや財布を入れていく気にはとてもなれなくて、口論になってしまいました。
アルバイトの若者は、こっちが怒っている理由もわからないみたいで、規則だから仕方ない、の一点張り。そりゃ規則だから、仕方ないんでしょうけれど、小さなバッグすら持ち込めないなんて、よほど大事があったんでしょうかね。
結局、パスポートと財布とカメラをむき出しで抱えて、入場することになり、プンプン状態でした。
今思えば、長い一日の終わりで、肉体的な疲れや緊張感で、ささくれていたんでしょうねぇ。若者に悪いことをしたなぁ、と2年後に反省されてもねぇ、笑。
ファサードからわかるように、全体の構造は、かなり後代のものとなってしまっていて、中は、ディテールに、ロマネスクが残るだけです。
これは、もともとどこにあった浮彫なのか。でも、こういう風に、オリジナルから切り離されて、そっけない壁に掲げられているのって、なんか寂しくて。私はやっぱり、現場にあるものが好きで、それがたとえ溶けてしまっていても、全体のあるべき眺めが好きなんですよねぇ。
この浮彫、興味深いのは、明らかに彩色が残っているところですね。
そうそう、この教会、これで有名だったんだ。
鶏、今もちゃんといました。なんでにわとり?と思う方は、どうぞ、「サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダ 鶏」で検索してみてくださいね。宗教的なというか寓話的なというか、そういうお話がもとになっているみたいです。
それにしても、カテドラルにニワトリ。そして博物館化。変な町だと思います。
そうそう、それに小さな町なのに、パラドールが二軒もありますね。まぁ巡礼地として、それなりの需要があるのでしょうが、それにしても、同じ町にパラドール二軒というのは、かなり珍しいでしょう。
この、ニワトリのいる場所の装飾が、ちょっと面白かったです。
左甚五郎的じゃないですか。日光東照宮の、陽明門的な、というか。
ここでは、彫り物装飾すべてが彩色されていたのかもしれないですねぇ。
内陣はこんな感じですから、もう全然興味なし。
ところどころにロマネスクテイストの彫り物はあるんです。
でも、高いし遠いしで、多くの写真がぶれてしまいました。
これなんか、珍しくよく撮れていますが、再建臭いです。
一角で、古楽器の展示が行われていました。
古楽器ファンだったら、かなり嬉しいものかもね。欧州では、古楽器の演奏家も結構いるみたいだから、興味のある人は多いのかもしれません。
中世の写本や、関連彫刻なども展示されていて、それはなかなかかわいいのでしたよ。
ベアトゥス写本ですね~。めちゃくちゃかわいらしいです。
こちらの、塑像もかわいらしかったです。コピー作品と思いますけれど、色が優しくて、演奏ポーズといい表情といい、わたし的には好感度高かったです。手乗りくらいの大きさだったら、お持ち帰りしたいくらい。
というわけで、内部の見学は、さらりと終了し、外に回ります。
実は、ここを訪ねるなら、後陣直行でよいかも、というくらい、後陣は、素晴らしく往時の姿をとどめているんです。
後代の建物に取り込まれそうになりながら、何とか踏ん張っている感、わかるでしょうか。
軒持ち送り、ワクワクしますよね。
全部見ることができないのが、とっても残念。ドローンがあれば、と思う今日この頃です。
それでも、ここでは、結構近い距離で、好物を続々と発見することができます。
どれも、彫りが細かいです。石工の技術の高さを感じます。
サムソンですかね~。凝った軒持ち送りです。
立派な彫り物もよいけれど、すき間にさり気に置かれた変なフィギュアには、かなりそそられます。
ボッシュ的な変な生き物が、ざわざわしています。こういうの、本当に好き。
最初はイラッとしたカテドラルでしたが、この後陣で、相当慰められて、というか、ぐんと満足度アップして、町を後にすることができました。
上のような楽しい看板や、石彫りの紋章もたくさん見られて、楽しい街並みです。昔来たときは、パラドールに宿泊して、散策を楽しんだはずなのですが、そういうディテール、まったく覚えてないのが、ちょっと情けないです。毎度のことですが。
巡礼のシンボル、ホタテ貝がちりばめられいてる紋章を最後に。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2017/08/03(木) 05:54:39|
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